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摘果未熟温州ミカンのペクチンの性状-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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摘果未熟温州ミカンのペクチンの性状

猶 原

順・真 部 正 敏

PROPERTIES OF PECTININ THINNING YOUNG FRUIT OF SATSUMA MANDARIN Jun NAOHARA and Ma$atOShiMANABE

Properties of pectinin thinning young fruit(TYF)of Satsuma rhandarin(CitT・uS uTWhiu Marc..) Wer・e Studied,in relation to matured fruit(MF),and the application of pectin from TYF to food industry was discussed..

Component part of hydrochloric acid soluble pectinin totalsoluble pectin was higherin TYF

thanMF,but that of water・SOluble pectin was fairly higherin MF.The content of anhydro− galacturonic acid and degree Of esterification of pectin prepared fr・Om TYF was respectively about

70% and65%u These data were slightlylow compared to that of MFり Neutralsugarsin acidic

POlysaccharide fractiorr of pectin prepared from TYF was 9..7%,in which the major sugars were arabinose(62小1%),glucose(10。9%),galactose(9.9%),ribose(8.6%),andalsocontainmannose,Ⅹylose, r′hamnose as minorCOmpOJlent.

Pectin extrIaCted at the condition of O..05N hydr・OChloric acid,850C,60 minutes was higherin

molecular weight and pectin gradein TYF thanin MF.According1y the pectin prepared from TYF

WaS reCOgnized as to be applicabable to foodindurtry.、

未熟な段階で摘果(1985年8月29日)した早生温州ミカン果実のペクチンの性状を調べ,応用の可能性を検討した。 1摘果果実は成熟果と比較して,可溶性ペクチソのうち塩酸可溶性ペクチンの割合がかなり高く,水可溶性ペクチ ンの割合はかなり低かった。 2 摘果果実から調製した粉末ペクチンの無水ガラクツロン酸鼻は約70%,エステル化度ほ約65%で,成熟異に比べ て少し低かった。 3。ペクチンの酸性多糖画分に占める中性糖は9.7%であった。このうちアラピノースが最も多く62い1%,次いでグ′レコ ー・ス10..9%,ガラクトー・ス9.9%,リボース8い6%で,他に少量のマンノ・−ス,キシロ・−ス,ラムノ・−スが認められた。 4」摘果果実から0.05N塩酸,850C,60分抽出したペクチンは,同条件で抽出した成熟果のペクチンに比べて,分子 量が大きく,ペクチングレードが高く,ペクチン製品として良質であることが認められた。 温州ミカンは隔年結果を・防止するためや,果実品質の向上を図る目的で,幼果からかなりの生長に至る間で摘果が 行なわれている。摘果果実はミカン園にそのまま放置されており,利用されることはきわめて少ないのが現状である。 この未利用異について,最近,果皮から分離したフラボノイド配糖体が血圧降下に効果があるという新しい方向の利 用法が検討されている1)。しかしながら,従来から調べられている成熟果を対象とした利用法として果汁加工残澄に 含まれるペクチン,精油,ヘスペリジン等があげられる2)。 本研究は,これらの成分のうち食品工業に広く利用されているぺクチソを取り上げ,摘果未熟果実のベクチソの性 温州ミカソのペクチンの性状と機能(第3報)

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香川大学農学部学術報告 第39巻 第2号(1988) 164 質を明らかにするとともに,粉末ペクチソを調製してゼリー化能を測定し,応用への可能性について調べた。 実 験 方 法 1小 供試材料 供武村料は香川県三豊郡仁尾町の個人ミカン園で採取した宮川系早生温州ミカソを用いた。摘果は1985年8月29日 に・行い,1果平均重畳は31.5gであった。また,この早生の成熟果を同年10月28日に採取して供試した。 2.アルコール不溶性固形物の調製 果実をミキサ1−で摩砕し,ろ布で果汁と残港に分けた。残法は前報3)に.示す方法でアルコ・−ル処理し,アルコール 不溶性固形物(AISと略称)を調製し,粉砕後,微粉末にして供試した。 3,.租ペクチンの調製 前報3)に示す方法に従って,AISより0.4%シュウ酸アソモニウム溶液で850C,30分間,2回加熱処理してペクチン を抽出した。東洋ろ紙No.5Aでろ過したろ液を減圧濃縮後,99%ユタノ1−′レを2一.5倍量加えてペクチンな沈殿した。 沈殿べクチソを分離し,70%及び99%エタノール,アセトソで順次洗浄処理した後,400Cで真空乾燥し,粗ペクチソ を調製した。 4 可溶性ペクチンの抽出 前報3)に示す方法に従って水可溶性ペクチン(WSP),シュウ酸アンモニウム可溶性ペクチン(ASP),塩酸可溶 性ペクチソ(HSP)および水酸化ナトリウム可溶性ペクチン(SSP)の順にペクチソを分画抽出した。 5,ペクチンの分析 1)無水ガラクツロン酸 ペクチソはカルバブーソレ硫酸法ので分析し,無水ガラクツロン酸として表した。 2)エステル化度5) エステル化度は,0.25%ペクチン溶液10mlに0ル1N NaOHlOmlを加えてけん化し,遊離するメタノ・−ルを日立

262p30型ガスクロマトグラフィ1−で測定した。カラム:ガラスカラム(3×2,000mm),充填剤:PorapakQS,

100−120mesh(日本クロマト工業),Carrier・gaS:N2ガス,流量:30mi/min,検出器:FID(水素炎イオン化 検出器),injection,detector temp∴:2100C,カラム温度:1150C。 3)平均分子量 平均分子量は,既報3)と同様にCHRISTENSENの方法の改良法6)を用いて測定した。 4)固有粘度,ペクチングレード,ペクチンユ=ット 固有粘度,ベタチソグレ・−ド,ペクチンユニットは三浦ら7)の方法に準じて測定した。固有粘度は,pH6..0±0.2 に調整した0.1%ぺクチソ溶液7mlを用い,オストワルトーキャノンフェンスケ粘度計により250Cで測定し,次式に より求めた。 (軍)=(1n 町)/C 肝:相対粘度 C:ペクチン濃度(g/100ml) ペクチングレ・−ド及びペクチンユニットは以下の式で求めた。 ペクチングレ・−ド=326log(Ⅴ)+18・9 ペクチンユニッ」 =ベタチソグレード × AISより換算した新鮮物中のガラクツロソ酸畳÷100 実 験 結 果 1。可溶性ペクチンの分画と定量 AISより各溶媒で分画抽出した可溶性ペクチン含盈をTablelに示した。摘果果実ではWSPがAIS当たり2.6%, 成熟果では7“0%で後者がかなり高い値であった。また,ASPも同様に前者の4..1%に対して後者はその2倍高い8.8%

(3)

TablelContent of soluble pectins of Satsuma mandrin fruit

Soluble pectin(%AIS basis)

WSP ASP HSP SSP 26 4…1 172 25

(98) (155) (652) (95)

70 8“8 146 3,1

(209) (263) (436) (92)

ヽノ ヽノ 4 0 5 〇 〇 〇 6 1 3 1 2 ︵ 3 ︵ Thinnlng young fruit* Matuでe f−ruit=

*Harvested on29AuguSt1985,…harvested on280ctober1985,

WSP:Water SOluble pectin,ASP:ammOnium oxalate soluble pectin, HSP:hydr・OChloric acid soluble pectin,SSP:SOdiumhydroxidesoluble pectin,():r・atio of soluble pectinin totalpectin

を示した。HSPは成熟果より摘果果実の方がいくらか高く,全ペクチンに・占める比率ほ65%に達した。SSPはどちら も低い値を示し,全ペクチンの約10%であった。

2ペクチンの一般性状

AISより0..4%シュウ酸アンモニウム溶液で抽出し,調製した粉末ペクチンの−・般性状を調べTable2に示した。

Table2 Properties of pectin prepared from Satsuma mandarinfruit

ThinningyOung fruit* Mature fruit…

78 03 0.8 1.1 78.4 750 054 120 9.7 0.2 14 1.7 697 651 0.60 248 Moisture(%) Ash(%) Crude protein(%) Cr・udelipid(%) AGA(%) D小E。−(%) [ヤ] MりWり(×103)

+Harvested on29 AuguSt1985, …harvested on280ctober1985,

AGA:anhydrogalacturonic acid,D.E。:degree Of esterification,[智]:

intrinsic viscosity,M..W.:aVerage mOlecular weight

無水ガラクツロン酸は摘果果実のペクチンで約70%,成熟果で約78%であり,後者のペクチソにおいてやや高い値が 認められた。無水ガラクツPソ酸に対する、エステル化度は摘果果実のペクチソで約65%,成熟果で約75%であった0 分子量は前者のペクチンで約24..8万,後者は約12万であった。

ペクチンをダウエックス1×8カラム(CI一型)で酸性多糖と中性多糖に分屈し,酸性画分の糖組成を測定し,

Table3 Neutralsugarsin acidic polysaccharidechainofSatsuma mandarin pectin

Neutral sugar Neutralsugar・S(mol%)

(%) Rha Rib Ara Xyl Man Gal GIc

TYF■ 97 20 86 621 25 40 99 10・9

MF… 88 84 12 482 22 50 26・0 9・0

*Thining youngfruit(harvested on29August1985),”mature fruit(harvested on28

0ctober1985),Rha:rhamnose,Rib=ribose,Ara:ar・abinose,Ⅹyl:Ⅹylose,Man:

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香川大学農学部学術報告 第39巻 第2号(1988) 166 Table3に示した。全糖畳に占める中性糖は摘果果実で9..7%,成熟果で8.8%であり,両者はほぼ同じであった。中 性糖として・アラピノース,ガラクトス,グルコ・−ス,リボ・−ス・ラムノ・−ス・マンノ・−ス,キシ′ロースの7種類が 検出された。このうちアラビノ・−スが最も多く,摘果果実は中性糖のうち62−・1%であったが成熟果は48・2%であった。 これらの構成比が,熟期によって顕著に異なる中性糖はアラビノ・−スとガラクトースであった。すなわち,アラピノ スは摘果果実のペクチソが成熟具に比べて約14%高く,一方,ガラクトースは成熟果において約16%高い値を示した0 3異なる条件で抽出し,調製したペクチンの性状 1)塩酸濃度の影響 抽出溶媒として用いた塩酸濃度を0..05N,0..1N,0い2Nとし,850C,30分抽出を2回行い先で述べた要領でペクチ ンを調製した。ペクチソの性質とゲル化能ほTable4に示すとおりである。

Table4 Effect of concentration of hydrochloric acid extraction on properties of pectin

HCl(N)

0.05 0.1 0.2

TYF* MF= TYF■ M万■… TYF*

9 7 4 3 4 6 1 2 9 6 ︵X︶ 2 4 2 3 5 5 8 4 1 24 4 63 O 58.6 78−1 23 135 O 16 8 0 ︵hU O 6 0 2 9 3 5 9 2 3 2 2 6 6 8 5 1 1 7 4 7 1 6 5 6 9 6 6 2 4 1▲ 2 5 5 7 2 225 27 7 638 65 1 571 65 6 1683 1083 49 32 2425 184。5 27 25 Yield(%) AGA(%) DいE.(%) M.W.(×103) (符) Pectin grade Pectin unit

*ThinningyOung fr・uit(harvested on29AuguSt1985),**mature fruit(harvested on 280ctober1985),AGA:anhydrogalacturonic acid,D.,E”:degree of esterificatiorl, M…W”:aVerage mOlecular weight,(軍):inherent vi$COSity

ペクチンの収率は両果実とも塩酸濃度が高まるほど増大したが,どの溶媒区でも成熟果のカが約5∼7%高い値を 示した。ペクチンの無水ガラクツロソ酸盈は塩酸濃度が高くなるにつれて漸減した。−・方,エステル化度は塩酸濃度 が0”05∼0..2Nの間でほ,ほとんど変化ほみられなかった。摘果果実の方が成熟果よりも7∼10%低かった。前者の 果実のAISより,0..05N塩酸で抽出したペクチンの平均分子量は約17万であったが,塩酸濃度0.1Nで抽出したペク チンは約8万に低下した。これに対して成熟果より調製したペクチンの平均分子量は約11万であり,濃度を0…1Nに 高めても,平均分子量はやや低下するにすぎなかった。固有粘度,ペクチングレード,ペクチソユニットも平均分子 量とほは同様の傾向がみられたb 2)抽雄温度の影響 塩酸濃度は0.05N,抽出温度は600C,850C,950Cとして30分間抽出し,これを2回反復してペクチンを調製した○ これらのペクチソの性状はTable5に示した。ペクチンの収率は抽出温度の上昇に伴って増加したが,どの温度区こで

Table5 Effect of extraction temperature on properties of pectin

Temperatur・e(OC) 甘▲ M ● ● F Y T ● TYF* M万一= TYF* MF… 0 6 1 2 1 7 5 ▲亀 2 2 0U ■⊥ 3 α 3 6 6 3 3 0 7 3 7 0 4 7 9 りん 5 9 2 8 1 2 6 5 6 1 1 7 1 6 3 2 5 5 ︻ト 5 5 8 ウリ 4 ウ山 2 6 6 ∩リ nO l l 5 8 1 3 9 5 7 り山 3 ︹/ 8 4 ウレ ︵乙 2 6 5 6 4 1 2 117 19,4 646 65 4 601 67,4 1898 1378 55 41 260“3 2183 1。5 21 Yield(%) AGA(%) D..E.(%) M.Wり(×103) (叩) Pectin grade Peetin unit

*ThiningyOung fruit(harvested on29August1985),…mature fruit(harvested on28

0ctober1985),AGA:anhydrogalacturonic acid,D.,E.:degr・ee Of esterification,MlW∴

(5)

も成熟果の方が5∼6%高い値を示した。これとほ反対に,無水ガラクツロン酸鼻は抽出温度が高まるに従って漸減 する傾向にあった。エステル化度はどの温度区においても摘果果実のペクチンに比べて成熟果の方が7∼8%高かっ た。平均分子量はどちらの材料も抽出温度が850Cまでは漸減したが,950C抽出は850C抽出に比べて顕著な低下が認 められた。固有粘度,ペクチソグレードについても平均分子量と同様の傾向がみられた。ペクチンユニットはどちら の材料とも,850C抽出のペクチンにおいて最も高い値がみられた。 考 察 温州ミカンの生育過程における摘果は幼果のみでなく,最近でほかなり大きく成長した果実でも行われている。し かし,本実験では,香川県地方で摘果が最も集中する時期の果実を用いることにした。また,摘果果実のペクチソの 性状と成熟果のものとを比較検討した。 摘果果実には,ペクチンがAIS中約4分の1含まれている。収畳が,成熟果よりやや少ないとほいえ,ペクチン源 として有望であることは疑いない。ペクチン以外の多糖成分として,表には示さなかったがAIS中α−セルロ1−・スが 約3割強,へミセルロt−スが約1割強食まれている。これらはAISの半分を占めるが,果実の熟度による差はあまり 認められなかった。 全ペクチンに占めるWSP,ASPの比は成熟果に比べて摘果果実の方がかなり低く,それに対してHSPはかなり 高かった。これは,バレソシアオレンジ◎や温州ミカン9)の結果でもほぼ同様であるし,他のかんきつ果実にも共通 しているように考えられる。 AISより調製した粉末ペクチンの純度の−・指標とみなされる無水ガラクツP:/酸鼻は摘果果実が成熟異に比べてや や低いが,レモンでも低い値を示している10)。 エステル化度も摘果果実のペクチンが65%で,成熟果のものより10%低いが,レ・モソ10)のペクチンでほ未熟果,成 熟果の間であまり差がみられなかった。エステル化度は温州ミカソ果実の部位によって異なっており,アルベド部や さじょう部では成熟果の方が増加するが11),すべての部位にわたって増加がみられるものでない。 ペクチソの収率は,成熟果よりも摘果果実がやや低いとほいえ,AIS当たり20%以上を得ている。ペクチンは適熱 果のものに比べてかなり高分子であり,従って,ペクチンの粘度,ぺクチソグレードともに摘果果実の方が大きいこ とが分かった。しかしながら,塩酸濃度を0.1Nに高めると,ペクチソグレ・−ドが大きく低下することから,0り05N 塩酸で抽出することが望ましいし,ペクチンの抽出温度は850Cが適当と思われる。 以上の試験の結果が示すように,未熟な段階で摘果した果実はペクチンの収率が成熟果よりやや劣るとはいえ,ゼ リ・一化能の高いことが認められたので,実用的にみてペクチソ製造に供する価値が十分あると考えられる。 終わりに本実験を行うに当たり,香川県三豊郡仁尾町の協力をいただいた。ここに深謝いたします。 献 6)SMIT,C・・J…B”and BRYANT,E・F∴J.Fbod 励iり32,197(1967) 7)三浦 洋,水田 鼻:園学雑,31,17(1962)小 8)EAKS,Ⅰ∴しand SINCLAlR,W”B.:].Food 5ci..,45,985(1980) 9)三浦 洋,萩沼之孝,水田 節:園学雑,32,103 (1963) 10)RousE,A.H∴:Z>}OC.Fla…State Hort.Soc。, 83,281(1970) 11)猶原 順,真部正敏:日食工誌,朗,386(1987) (1987年10月31日受理) 文 1)松原義治,沢辺昭義,隈元浩康,飯塚義富,岡本耕 造:日本農芸化学会昭和61年慶大会講演要旨集,p一. 369(1986)一. 2)幸野憲二:果汁・果実飲料事典,稲垣長典他4名編 (朝倉書店,東京),pい412(1978). 3)真部正敏,猶原 順:日食工誌,33,602(1986).. 4)BITTER,T“and MuIR,H‖M..:Anal.,BiocheTn”, 4,330(1962)…

5)LEE,CY..,AcREE,T.E.and BuTTS,R.N..:

A几α∼,、仇em.,47,747(1975).

参照

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