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これからのテレビ を巡る動向を整理する Vol.6 ~ 2015 年 1 月 -4 月 ~ メディア研究部村上圭子 NHK 放送文化研究所では 2015 年 3 月 3 日 ~ 5 日に NHK 文研フォーラム 2015 を開催した 初日の 3 日は これからのテレビ 求められる役割とは何か? ~

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「Hulu」は,日テレ傘下に入って約1年となる3 月に会員数が 100万人に達し,これまで番組を 提供してこなかったフジテレビ(以下,フジ)も 提供を決めるなど,新たな動きが続いている。 こうした慌ただしい動きの陰には,全世界 で約 6,000万人2)の 会員数を誇るアメリカの S-VOD 事業者「Netflix」が,今秋から日本で サービスを開始すると2月に発表したことがあ る。既に,テレビメーカー 3 社3)がリモコンに 専用ボタンを実装した対応テレビを発表してお り,日本の放送業界にも黒船到来か,と戦々 恐々としたムードが漂っている。 NHK 放送文化研究所(以下,文研)が研究 成果を社会に報告する目的で年1回行っている 「文研フォーラム(2014 年までは「春の研究発 表とシンポジウム」)」で,「『これからのテレビ』 求められる役割とは何か? ~ 2014 年度を振り

はじめに

2015 年は年明け早々から,ビデオオンデマ ンドサービス(以下,VOD)を中心としたイン ターネット配信(以下,ネット配信)関連の動き が目まぐるしく進行している。「無料見逃し配 信」については,4月までに在京キー 5局全て のサービスが出揃い,日本民間放送連盟(以 下,民放連)の井上弘会長は,10月から5局 共同で広告付きのトライアルを実施すると発表 した。「定額見放題(以下,S-VOD)」につい ては,460万人1)と日本最大の会員数を誇る「d ビデオ」を提供してきた NTTドコモとエイベッ クス通信放送が,スマホで展開してきたサー ビスを,据え置きテレビでも視聴できるように 機能を拡張,名称も「dTV」と改めた。また日 本テレビ(以下,日テレ)の子会社が運営する

「これからのテレビ」を巡る

動向を整理する

Vol.6

~ 2015 年 1月-4 月~

メディア研究部

村上圭子

NHK 放送文化研究所では 2015 年 3月3日~ 5日に「NHK 文研フォーラム 2015」を開催した。初日の3日は「『こ れからのテレビ』求められる役割とは何か? ~ 2014 年度を振り返り,2020 年を展望する~」と題し,渡辺克也総 務省大臣官房審議官(放送行政担当)の講演,村上圭子主任研究員の報告,そして2人による対論を行った。 対論では,放送と通信の融合が今後も一層加速化していく中,テレビ・放送が社会から求められる存在であり 続けるためには何をすべきなのかについて,① 地上波,主にローカル民放の今後は,② 4K・8Kはどこまで進め るのか,③ 融合本格化時代の放送事業者の役割とは,の3 つの論点を提示した。 本稿はこの文研フォーラムの議論の再構成と,あわせて2015 年1月から4月まで大きく動いたインターネット配 信サービスの最新動向を整理した。

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返り,2020 年を展望する~」を議論したのは, まさにこうしたムード真っ盛りの3月3日のこと であった。放送と通信の融合が一層加速化し ていく中で,テレビや放送が社会から求められ る存在であり続けるためにはどのようなサービ スを提供すべきか,関連する業界はどこまで協 調すべきか,そのために検討すべき課題は何 か等について,東京オリンピック・パラリンピッ クが開催される2020 年までを視野に入れて, 渡辺克也総務省大臣官房審議官(放送行政担 当)と村上圭子が対論を行った。 論点は,①地上波,主にローカル民放の今 後は,② 4K・8Kはどこまで進めるのか,③融 合本格化時代の放送事業者の役割とは,の3 点。この論点は同時に,無料広告という民放事 業者のビジネスモデル,放送という伝送路,免 許事業としての役割という,テレビ・放送の今 後のあり方そのものを問うものでもあった。 本稿は 2 部構成である。第1章では,2015 年の1月から4月までのテレビに関連する新 サービスの最新動向について,特に動きが激 しかったネット配信サービスを軸に整理する。 今回は 2015 年に入り新たな配信戦略を打ち出 した在京キー 3局にインタビュー取材を行った。 第 2 章は,「NHK文研フォーラム2015」の対論 部分の再構成である。 なお,本シリーズでは基礎資料として,テレ ビに関連する新サービスや新たな取り組みにつ いて,業界各紙誌4)の記事などを手掛かりに事 実関係を取材して一覧表を作成している。取り 組みについては,「マルチデバイス化(マルチス クリーン化・セカンドスクリーン化)」「スマートテ レビ化(ハイブリッドキャスト・放送非連動・セッ トトップボックス)」「タイムシフト化(録画視聴 化・VOD 化)」「ソーシャル化」「高画質化(4K・ 8K)」のキーワードで,事業者については,「放 送事業者」「メーカー」「ケーブルテレビ(CATV) 事業者」「通信事業者」「ネット事業者(含む OTT)」「国・関係機関」「広告代理店」に分類 して整理している。2015 年1月から3月までの 主な動向をまとめた一覧表5)は分類表と共に本 稿の最後に示したので,本文と併せて参照され たい。

1.2015 年 1 月~ 4 月の最新動向

2015 年の1月から4月は,「はじめに」でも触 れたように,ネット配信サービスに関する動き が相次いだ。それを事業者別にまとめたのが 表 1 である。前年の2014 年1月に日テレが無料 見逃し配信を開始して以降,ネット配信サービ スの新たな動きが相次いでいるが,2015 年に 入ってからもその勢いはとどまる所を知らない。 以下,個別の動向とその意味について見ていく。

1-1 Netflix という“脅威”?

2015 年2月5日, アメリカのS-VOD 事 業者 Netflixが,今秋からの日本でのサービス開始 を発表した6)。それ以降,本稿執筆時(4月中 旬)の今もなお,放送業界はざわついた状態 が続いている。 サービス開始については,既に2014 年から あちこちで囁かれていたことではあった。しか し公式に発表されるやいなや,業界紙やウェブ 上のブログ等には連日連夜,Netflixを“黒船” になぞらえる見出しが躍り,また,これまで水 面下で動いていた Netflixの担当者と放送各局 との交渉も俄かに顕在化してきたことで,どの 局にどんな番組の提供を求めているのかとか, 共同制作にいくら出資するのかなどの噂が噂を

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呼び,局同士,また同じ局内でも部局同士で, 疑心暗鬼に陥るような状況が散見されている。 確かに,世界最大を誇る圧倒的なユーザー 数,その急速なユーザー獲得を支えてきたと いわれる高いレコメンド技術,ハリウッド映画 や質の高いオリジナル番組等の豊富なコンテン ツ量,そして資金力,どれをとっても黒船とい う名にふさわしい存在感であることは間違いな い。しかし,高額でサービスの質が必ずしもよ いとはいえないケーブルテレビ事業者と契約し なければ地上波4大ネットを十分に見ることが できないアメリカで,そのことに不満を持つ人 たちが,契約を止めたり,安い契約に切り替え たりする(コードカッティング,コードシェービ ングなどと呼ばれる7))受け皿となってきたとい う位置と,地上波民放が全国どこでも無料で 視聴できる日本でのそれとは大きく異なるであ ろうことは,冷静に考えれば理解できるはず である。それ以外にも,Netflixが日本でサー ビスを成功させるには,メディア環境の違い や様々な課題を乗り越えなければならない(表 2)。それなのになぜ,Netflix脅威論が流布し ているのであろうか。 言わずもがなであるが,黒船とは,江戸時代 に日本が 200 年以上続けてきた鎖国というモデ ルに変革を迫った“外圧”の象徴的存在である。 これを日本の今の放送事情になぞらえるという ことは,戦後半世紀にわたり,リアルタイム視 聴率という指標を通貨に,ハード・ソフト一致 の垂直統合型の産業を系列ネットワークによっ て維持してきた地上波民放のビジネスモデルに 変革を迫っている,ということになろう。しかし, 外圧=Netflixの上陸を目前に,既存モデルを 死守したいという“攘夷派”と,そのモデルにし がみついていては時流に取り残され人心を摑め ないとする“開国派”が,国を二分するが如く業 界内で対立しているかというと,そうはなってい ない。なぜなら,既存モデルの維持は地上波 民放事業者の総意といってよく,その前提の上 で実現可能な対策を模索するのが従来からの 1 月 2 月 3 月 4 月 民放連 違法配信撲滅キャンペーン①開始 (啓発スポット CM) 無料見逃し配信を NHK と協議の意向 違法配信撲滅キャンペーン②開始 (啓発テロップ) 在京キー 5 局共同で 10 月から広告付 き(無料)見逃し配信へ NHK 経営計画等に対する見解発表 NHK 「経営計画 2015-2017 年度」発表 「NHK ビジョン 2015 → 2020」発表 総務省:NHK ネット実施基準認可 NHK ネットサービス実施計画発表 (同時送信の試験的提供・Hybridcast での早戻しサービスなど) 改正放送法施行 キー局・ 準キー フジ:無料見逃し配信開始 フジ:電子コミック配信開始 MBS:『情熱大陸』を GYAO! 上で無 料見逃し配信開始 MBS:複数番組を無料見逃し配信開始 テレ朝:サイバーエージェント社と動画 配信事業会社とニュースチャンネル 会社の設立を発表 日テレ:「日テレ無料(TADA)」開始 フジ:マルチデバイス対応ニュース専 門チャンネル「ホウドウキョク」開始 テレ東:無料見逃し&同時送信開始 テレ朝:無料見逃し配信開始 ネット 事業者 (OTT) Hulu:WOWOW と  コンテンツパートナーシップ締結 Netflix:今秋サービス開始発表   東芝:対応 TV 発表   パナ:対応 TV 発表 Hulu:会員 100 万人突破 フジ:Hulu にアニメなど提供を発表 NTT ドコモ&エイベックス通信放送:  「dビデオ」→「dTV」へ シャープ:Netflix 対応 TV 発表 衛星・ IPTV Dlife:見逃し視聴アプリ提供開始 衛星放送協会:違法動画取り締まり トライアル開始 スカパー!:無料配信キャンペーン開始 ひかり TV:購入型 VOD サービス開始 ひかり TV:4K で地上波の番組の見 逃し&先行配信発表

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表 1 2015 年 1 月~ 4 月のネット配信サービス最新動向

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姿勢であり,それは今回も基本的には変わって いないからである。確かに2014 年以降,各局 それぞれが新たな取り組みを始めているし,民 放連でも先に述べたように在京キー 5局での議 論も始まっている。しかし,Netflixに対抗すべ く,局横断で配信サービス全体をデザインする ようなプラットフォームを,互いの利害を乗り越 えてまで構築しようというのは困難な様子である し,タイムシフトやリモートアクセス8)など,リア ルタイム視聴以外に増加する多様な視聴形態を 包含した新たな指標を作っていこうという気運 も,業界全体の総意としては感じられない。こ のように,思い切った一手を繰り出していない が故に,Netflixのサービス開始に対し一抹の 不安を拭い去ることができず,いささか翻弄さ れ気味の業界内には漠とした脅威論が燻り続 けている,そういうことではないだろうか。 一方で,リアルタイム視聴率や系列ネットワー クといった地上波民放の既存のビジネスモデル に対してそもそも批判的な,ネットビジネスに身 を置く一部の人たちやその側に寄る言論人たち は,あくまでも既存モデルを維持しようとする 事業者の姿勢に対し,また,そのモデルが放 送と通信の融合が進んでもなお盤石であると いう事実に対し,隔靴搔痒感を募らせてきた。 こうした人たちが,今回のタイミングを捉えて改 めて声高に変革を提起している,そうした図式 もあるのではないだろうか。 果たして Netflixが日本の放送業界に真の脅 威となるのかどうかは,サービスが開始されて みないとわからない。しかし江戸時代のように 大砲を撃って追い返すという選択肢がない以 上,“外圧”のサービスの強みを冷静に分析し た上で,自己のサービスやビジネスモデルを相 対化し,積極的によりよい形に変革していく契 機にできないものだろうか。

1-2 NHKという“脅威”?

Netflixが日本でのサービス開始を発表する 20日ほど前の2015 年1月15日,NHKは「NHK ビジョン2015 →2020」とそれを踏まえた「NHK 経営計画2015-2017年度」を発表した9)。この NHKの発表は,民放事業者の間では,Netflix の発表に勝るとも劣らないほど大きな反響が アメリカ 日本 地上波民放の 受信 CATV 経由が中心(有料パッケージ) 直接受信(無料広告モデル) S-VOD への 潜在ニーズ CATV サービスへの不満  →コードカッター,コードシェーバー,コードネーバー(CATV 未契約者)の受け皿に *そもそも潜在ニーズが高かった いつでもどこでも視聴へのニーズ *有料サービスの潜在ニーズどこまで? 地上波の編成 ゴールデンタイムの 8 割近くはドラマなどストックもの *もともとの編成のスタイルが VOD 向き? ゴールデンタイムにはバラエティーやニュース,情報番組を配置*もともとの編成スタイルがリアルタイム視聴向け

他の OTT 事業者 Netflix の寡占化が進む中,ここ 1 年ほどは特に「Hulu」や放送局独自 OTT などで巻き返しも

「dTV」「UULA」「au ビデオパス」「Hulu」,IPTV や CATV の サービスなど。サービスのマルチデバイス化も進む 民放連で 10 月から在京キー 5 局による無料見逃しポータルも Netflix の コンテンツ量 アメリカ発サービスのため圧倒的にハリウッドコンテンツが多い *日本向けコンテンツをどこまで品揃えできるか? Netflix の オリジナル番組 高額な番組制作費と制作者本位といわれる制作体制次々と新作を発表し,コンテンツファクトリーを志向 *日本の放送局や制作会社との共同制作はどこまで可能か? Netflix の レコメンド機能 75%がレコメンドからの視聴 *精度高いレコメンドは大量のコンテンツと視聴ログがあってこそ実現 表 2 日米のメディア環境の違いと Netflix の日本進出における課題

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あり,民放連は2か月後の3月,見解を表明し た10)。NHKが経営計画や新サービスなど何等 かの方向性を示した際,民放連が民業圧迫や NHKの肥大化を懸念する趣旨の見解を表明す るのは通例であるが,今回はこれまで以上に NHKの方向性に敏感に反応しているのが,日々 の取材からもよく伝わってきた。 特に懸念が強かったのは以下の2点である。 1つ目は,「公共放送から,放送と通信の融合 時代にふさわしい“公共メディア”への進化を見 据えて,挑戦と改革を続けます」という,NHK ビジョンで示した方向性についてである。これ は,4月1日に施行された改正放送法により, 早戻しや同時送信(試験的提供)といったネット 配信サービスを,これまでのようにその都度, 総務大臣認可という形をとらなくても自由に行 えるようになったことや,「メディア環境や放送・ サービス展開を踏まえて,受信料制度のあり方 を研究」すると表明したことなども含んでの反 応である。もう1つは,据え置きテレビでのリア ルタイム視聴率というこれまでの指標に加え, それ以外の多様な指標を勘案した「トータル リーチ」という新たな指標をNHK 独自で作って いこうという方向性についての反応である。 放送以外の伝送路,主としてネットによる配 信サービスを拡大してできるだけ多くの人々に 番組・情報を届けたい,そして多様化する人々 の番組・情報への接触の実態をできるだけ正 確に把握し,よりよいサービスにつなげたい, この2点について,方向性そのものが間違って いるという批判がなされているわけではない。 昨今のメディア環境の変容や,若者を始めとし た映像コンテンツの視聴形態の変容を考える と,これらは自然な方向性であるといえるし, あまねく国民に番組・情報を提供する義務を負 うNHKだからこそ,率先して権利処理をはじ めとする新たな枠組みを開拓していくことも求め られる大きな役割であろう。しかし,仮に現状 認識は共有できていたとしても,先に述べたよ うに,いささか盤石“すぎる”既存モデルがあ るが故に“挑戦と改革”の一歩が打ち出しにく い民放事業者としては,NHKに余りに早く,そ して大々的に,民放の既存モデルの前提を覆 すような新サービスや新たな指標の構築に踏み 出されてしまうと,現行のビジネスが阻害されて しまうのみならず,新たなモデルの構築に向け た議論にも混乱をきたすおそれがあると考えて いるのではないだろうか。そうした意味で,今 の民放事業者にとっては,海を越えてやってくる “リアルな黒船”のNetflixよりむしろ,二元体制 のもとで半世紀にわたり手を携えて歩んできた NHKのほうが,リアルな脅威であり,“内なる 黒船”とすら映っているのである。 こうした民放事業者の視線をNHKはどのよ うに受け止めていくべきなのだろうか。NHKの 挑戦と改革が業界内で独善的になってはならな い一方で,変容著しいメディア環境の中で,人々 のニーズと提供できるサービスが乖離しすぎて しまうことで,社会に放送業界自体が独善的 と映ることも避けたい。NHKの挑戦と改革が, 民放事業者も含めた放送業界全体の挑戦と改 革につながり,そのことが人々への豊かなサー ビス提供に結びついていく。そのためにNHK は新サービスの提供を通じて自らの存在意義を 社会に示すことに躍起になるのではなく,民放 事業者の置かれている現状を,ビジネスモデル も含めてよく理解した上で,視聴者目線を失わ ないサービスのあり方とは何かを業界全体で検 討していく議論の場を作り,そこに積極的に協 力していくことが不可欠であるように思う。

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1-3 民放在京キー局の配信戦略

1-3-1 見逃し配信サービス 先に示した表 1の通り,2015 年に入ってから のネット配信サービスの展開は目まぐるしい。そ の中でも,在京キー 5局全てで無料見逃し配 信サービスが開始されたことは最大の動きと 言っていいであろう。 牽引役となったのは民放連である。現在,10 月から開始する予定の5局共通のポータルサイ トでの広告付き配信トライアルの準備が進んで いるが,2014 年9月に民放連の井上会長の“鶴 の一声”でこの方向性が示された時11),実際に 配信を行っていたのは日テレだけであった。し かしその後,10月にTBSテレビ(以下,TBS), 2015 年1月にはフジ,そしてこの4月から,テレ ビ朝日(以下,テレ朝)とテレビ東京(以下,テ レ東)と続いた。民放連の旗振りがなければ, これだけ早く5局のサービスが出揃うことはな かったであろう。 見逃し配信については,どの局もそれなりの 手ごたえを感じているようである。配信した番 組の大半において,リアルタイム視聴時よりも 若い層が視聴する傾向が出ていること,ユー ザーアンケートベースではあるが,リアルタイム 視聴への誘導の効果が見込まれること12),そ して,違法動画サイトでの視聴を抑止できる可 能性がうかがえること13)などである。また,各 局とも,こうした視聴者の動向と同じくらい意 味があるとしているのが,配信を契機に局内の 意識改革や業務フローの見直しが始まったとい うことである。リアルタイム視聴率至上主義の 傾向が強い営業などのセクションにおける価値 観の変化や,制作現場における権利処理への 理解とそれに伴う処理の迅速化や体制強化な どが進んでいるという。 翻って NHKはどうだろうか。民放連の井上 会長は 2015 年1月の会見で,NHKとも協議し たいとの意向を示している。しかしNHKは今 のところ無料見逃し配信は行っておらず,また, 在京キー 5局のトライアルは広告付き配信であ ることから,有料VODの共同プラットフォーム として NHKも参加した「もっとTV14)」以上 に,参加にはハードルがあると思われる。た だ,民放のサービスが浸透していけば NHKの 番組に対しても同様のニーズが高まることは想 像に難くなく,今後,NHKも無料見逃し配信 を行うことがあるならば,ラジオの同時配信の 「radiko.jp」(民放)と「らじる★らじる」(NHK) のように,別々のサービスとして展開していくこ とがベストな選択とは思えない。いずれにせよ, 今後そう遠くない時期に,NHKも何等かの判 断を迫られることになるであろう。 1-3-2 動画広告戦略 しかし,キー局の見逃し配信に課題がない かといえばそうではない。むしろ,各局それぞ れが,取り組みを開始したものの今後どう展開 していくのかについては,確たる方向性を見出 せているとはいえない状況にある。最大の課 題は,この配信が果たしてビジネスとして成立 するかどうか,具体的には,配信する番組に対 し,どのような方法で動画広告を挿入していく のか,またそれを通じてサーバー代や権利処理 など,かかったコストをどう回収し,更には収 入につなげていくか,ということである。現在, 各局で行っている配信は数~10 程度だが,今 後,ビジネスモデルの構築ができなければ,“そ れなりの手ごたえ”だけでむやみに配信する番 組数を増やしていくことはできないであろう。 動画広告のビジネスモデルについては,現

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在,大きく2 つの方法が模索されている。1つ は,先行者の日テレが取り組んできた,オンエ ア時とは異なる広告主に販売する方法である。 そしてもう1つは,フジが模索する,オンエア 時のタイム広告主15)に声をかけ,可能な限りテ レビCMをそのまま配信し,テレビ広告費に上 乗せして販売する方法である。フジは見逃し配 信を開始した1月当初は,可能なタイム広告主 からテレビCMの素材を借り受けてトライアル 配信をしていたが,4月からは販売を開始して いるという16)。ちなみに,テレ東はまだ番組に 動画広告を挿入していないが,今後,フジと同 じ方法を考えたいとしており17),TBSとテレ朝 については,既に日テレと同じ方法で販売を開 始している18)。更に後述するが,テレ朝につい ては,3月末,動画広告に特化した広告代理 事業を開始すると発表19)したネット事業者,サ イバーエージェント社と急速に関係を深めてお り,今後は既存のテレビ広告を扱ってきた代理 店とは違った販売の方法が模索される可能性 も考えられる。 先行してオンエア時とは異なる広告主に対し て動画広告を販売している日テレによれば,現 在,ネット上でテレビ番組はプレミアムコンテン ツとして扱われているため,他の動画よりもかな り高い価格で販売できているという。しかし, 今後見逃し配信の番組数が増えていく中で,ど こまでその価格が維持されるかは不明である。 フジが,オンエアの番組を支えているタイム広 告主に販売する方法を模索しているのはそのこ ともある。ただその場合,力のあるタイム広告 主を抱えている局とそうでない局で差が出るこ とも否めない。また,タイム広告主からは,テ レビ広告の“おまけ”と扱ってほしいという要望 も出かねない。 このように,動画広告を巡っては各局で事 情が異なるため,民放連はそれぞれの局の取 り組みに委ね,統一的な方法を模索すること は今のところ考えていないようである20)。しか し視聴者にとっては,できるだけ多くの番組が 無料で見逃し配信されることが望ましいし,10 月から始める民放連の共通ポータルも,番組 の数が集まらなければ集客は望めず,そもそ も共通に取り組む意味がどこにあったのか,と いうことにもなりかねない。また,ゆくゆくは 同時送信や時差再生(早戻し)など,配信サー ビス全体を考えていかなければならない中で, 見逃し配信のみの視点でいいのか,という疑 問もある。こうした中長期的なビジョンを持っ た議論を,それこそ民放連で行うべきと思う のだがどうだろうか。 1-3-3 プラットフォーム戦略 在京キー局が打ち出している配信サービスは 見逃し配信だけではない。むしろ共通している のは見逃し配信だけで,それ以外は各局とも かなり異なった戦略で臨んでいる。ここからは 2015 年に入って新たな配信サービスを打ち出し た,フジ,テレ東,テレ朝の3局についてその 詳細を見てみる。 〔フジテレビ〕 フジはこれまでも,自局のチャンネルブランド を大事にする形でネット配信を行っていたが21) ここにきてその路線は更に強まり,配信サービ ス全体を自局のサイト,フジテレビオンデマンド (以下,FOD)に寄せるような戦略を打ち出して きた。2月にはFOD上で,ドラマの原作などを 番組と連動して購入できるよう電子コミックの配 信を開始22)。4月からはネット展開中心のマル チデバイスメディアとしてニュースチャンネル「ホ

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ウドウキョク」を立ち上げ,FODの有料会員向 けサービスとして提供を開始している23) また,見逃し配信に関しても,フジは各局と は異なる判断を下し始めている。見逃し配信に ついては,各局とも自社サイトと共に,既にネッ ト上のプラットフォームとして多くの集客があり 視聴回数の確保が見込まれる,ヤフーの子会 社が運営する動画共有サイト「GYAO!」にも同 時に配信している。しかし,プラットフォーム に番組を置く“場所代”として,動画広告から 得られる収入のかなりの比率をGYAO! 側に支 払わなければならない。フジは,この4月から ドラマについてはGYAO! での配信を見送り, FODのみで配信することにした24) 以上のようにFOD中心の戦略をとればとる ほど,他のS-VOD 事業者との向き合いは消極 的にならざるをえない。しかし,3月の社長会 見では,長らく番組を提供してこなかった日テ レの子会社が運営するS-VODのHuluにアニ メ作品などを提供していくと発表した。この判 断について,フジのコンテンツ事業センター室 長の冨川八峰氏は,「ようやくフジ全体の配信 戦略が明確化できてきたのでHuluへの番組 提供にも踏み切ることにした。配信市場におけ るフジの役割はいくつかあるが,“コンテンツの プロバイダーとしてのフジ”は,今後,Netflix に対しても他のS-VOD 事業者と同じように向き 合っていくつもりである。ただ,S-VODが広が ることでコンテンツ単体の市場価値そのものが 下がることだけは避けなければならない。その 基本認識のもと,今後も主軸は自局のFODで の都度課金(以下,T-VOD)におき,ウインドー コントロールを行っていく。このことは放送コン テンツ全体の価値を下げないという意味でも, 業界として重要だと確信している」としている。 〔テレビ東京〕        一方,今後T-VODは次第に姿を消し,VOD サービスの大半は S-VODに向かうのではな いか,というのが,テレ東のコンテンツビジネ ス局長,福田一平氏の認識である。テレ東は これまで,S-VOD 事業者や有料放送事業者, IPTV 事業者に対して,番組販売という形で コンテンツを提供してきた。そのため,最初の 値付けの段階で条件が折り合うことが重要で, そうすれば放送コンテンツの市場価値の低下 は防げるとしている。テレ東は,現時点で市場 において品薄な4K番組の制作や展開について も積極的で,今後可能な限り,24~25 時台の ドラマやバラエティーについて4Kで制作してい くとのことである25)。4月からは4Kで制作した 番組を,地上波では 2Kで放送,4Kの見逃し 配信については「ひかりTV」で提供する取り組 みも開始した26) この他にもテレ東は,4月からいくつかの新た な取り組みを開始している。その1つが,早朝 に生放送でマーケット情報等を扱う『Newsモー ニングサテライト』の同時送信である27)。これ は,テレ東の経済情報番組をパッケージで視聴 できるS-VODサービス「テレビ東京ビジネスオ ンデマンド」のユーザーの間で,早朝出勤の時 間にリアルタイムで視聴したいというニーズが高 く,それに応えた形でのトライアルであるとい う。在京キー局は系列ネットワークとの兼ね合 いがあり,同時送信にはすぐに踏み切れない事 情があるが,福田氏は,「メーカーのリモートア クセスなどが普及してくると,同時送信で放送 局がビジネスをできなくなってしまうかもしれな い。そのためあらゆる可能性は排除せずトライ アルしていきたい。また,動画広告は見逃し配 信だけでなく同時送信にも挿入できるので,1つ

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のサービスにこだわることなく,トータルで配信 ビジネスの戦略を考えていきたい」としている。 もう1つの取り組みが,ドワンゴが運営する 「ニコニコチャンネル」上での無料見逃し配信 である28)。この取り組みのポイントは,番組の 画面上にユーザーがコメントを書き込めるよう にしたことである。ニコニコチャンネルには, 既にフジが CSチャンネルを有料で同時送信し ているが,コメントを書き込める設定にはして いない。テレ東は今回,出演者に対しても丁 寧に説明し了解を得たという。また番組の全 画面がコメントで覆い尽くされることがないよ う,ドワンゴ側と協議し,画面の下側に表示 するという折り合い点を探ったという29) 〔テレビ朝日〕 ネット上における多チャンネル動画配信のプ ラットフォーム事業者としての道を模索し始め たのがテレ朝である。先にも述べたが,3月末, サイバーエージェント社と共同出資により2 つの 会社を設立すると発表した30)。サービスの詳細 は未定というが,事業概要イメージによれば, 様々なジャンルの動画チャンネルを集積したプ ラットフォームを構築し,スマホのアプリで定 額視聴できるサービスを提供していくようであ る。S-VODが個々のコンテンツの集積プラット フォームであるとすると,このプラットフォーム はストリーミングチャンネルが集積した,衛星 放送でいうと「スカパー!」のようなサービスで ある。テレ朝はこのチャンネルのうち,ニュー スチャンネルについてはサイバーエージェントと の共同出資のもう1つの会社で制作していくと している。 また,テレ朝はこれまで,他のキー局と比べ, ネット上でのオリジナルコンテンツの制作と配信 に力を注いできた。2014 年末からは「コアポー タル構想」を掲げ,アイドル,プロレス,お笑 い,釣り,シアターにジャンル分けしたネット上 の場に,熱狂的なファンを誘客する戦略を展 開している。プロレスについては課金モデルを 開始し,その他についても今後,広告や物販 などを連動させたビジネスを模索していくとい う31)。新会社が運営するプラットフォームの中 に,コアポータル構想で運営している場をチャ ンネルとして組み込むかどうかについては未定 としながらも,「放送でもネットでも,コンテン ツを制作していくのが我々の本業であるし得意 とする所である。ネット展開については,ネット ビジネスのプロであるサイバーエージェントさん の力を借りながら,一緒に戦略を考えていきた い」(経営戦略部担当部長 船越昇氏)として いる。

2.

「文研フォーラム」採録

~「これからのテレビ」求められる役割とは何か ? ~ ここからは,「文研フォーラム」において3月 3日に開催した,「『これからのテレビ』求めら れる役割とは何か?~ 2014 年度を振り返り, 2020 年を展望する~」での議論を,会場の参 加者の事前アンケートなどを織り込んで再構 成する。論点は,①地上波,主にローカル民 放の今後は,② 4K・8Kはどこまで進めるのか, ③融合本格化時代の放送事業者の役割とは, の3 つであった。これらは,ビジネスモデル, 伝送路,免許事業という,テレビ・放送の根 幹に関わる課題を中長期的に考える内容でも あったことから,国の放送行政の責任者であ る総務省大臣官房審議官の渡辺克也氏にご登 壇いただき,筆者(村上)から課題を投げかけ る形で対論を行った。

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2-1 現状認識と問題意識

対論に先立ち,村上から現状認識と問題意 識を提示した(図1,2)。  放送と通信の融合が進み,技術の進化だけ がテレビ・放送の進化につながる時代ではなく なってきている中,事業者は多様なサービスを 併存させて提供していかなければならなくなっ ている。こうした中,テレビ・放送が社会や人々 に必要とされ続けるためには,何に,どんな 優先順位で,どういう体制で取り組むべきか。 そして,これらは,関係者に開かれた場で議 論され,その議論は視聴者の視点を見失わず に行われているだろうか。更に新サービスを行 う場合,技術的可能性ありきではなく目的が確 認されているか,実施にあたっては既存モデル にとらわれず,もしくは護送船団にならず,個々 の事業者が主体的に判断できているだろうか, などに焦点をあてた。

2-2 地上波,主にローカル民放の今後は

最初の論点は,地上波,主にローカル民放 の今後についてであった。これまで半世紀にわ たり,地上波民放は,在京キー局ごとに形成さ れた系列ネットワークの枠組みのもと,ローカ ル局はキー局等が制作した番組をCMも含めて 放送し,キー局はローカル局に対し「ネット保 証金」を配分するというモデルで,“もちつもた れつ”の関係が維持されてきた。図 3 は,各県 もしくはエリア別の地上波民放テレビ事業者の 自社番組制作比率を示したものであるが,全 127局のうち,在京キー局とそれ以外の局で違 いが歴然としているのはそのためである。在阪 準キー局でも制作比率は 3 割程度であり,在京 キー 5局,関東独立U局,在阪準キー局を除 いた局に至っては,平均で約 9%程度しか自社 で番組を制作していない。 一度に多くの人々に番組や情報を届ける手 段が放送波しかなかった時代には,この系 列ネットワークというモデルは極めて合理的で あった。しかし,ネットを活用した同時送信や 図 1 図 2 図 3

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VODなど,多様な手段で人々に番組や情報を 配信することが可能になってきた今日,ローカ ル局は単にキー局の番組を当該地域の人々に 届けるだけの役割では,十分に存在意義を保 ちえなくなってきているのである。また,この モデルの維持と在京キー局のネット配信の拡大 は利益相反を起こすことになるため,これまで “もちつもたれつ”だった系列ネットワーク内の キー局とローカル局の関係性にも軋轢が生まれ かねない状況になっているのである。 会場の参加者への事前アンケートでは,「オ リジナル番組を制作する能力が乏しいローカル 局は系列の在京キー局が子会社化すべき」「“土 管”的役割では再編は避けられない。地域活 性化・災害報道の役割は,ケーブル事業者と の融合を含め,国主導で進めるべき」「ローカ ル局の数が多すぎる。ネット配信等が進む中, 免許制度を考え直すべき。1県 4 波をどう整理 していくのか」など,ローカル局への厳しい目 線と共に,総務省に対し,時代に合った形で 地上波民放の制度的見直しを期待する意見が 多数寄せられた。

【対 論】

村上:国は戦後,全国でできるだけ多くのチャ ンネルを同じように視聴できるよう,1 県 4 波 政策を進めてきました。しかしこれからの時代, 果たして現状の数の局が地域に必要なのか, 維持できるのか,それらをきちんと政策として 見直すべきでは,との意見が会場からかなりあ りました。 渡辺:我々としては特に現時点で見直すという 話はありません。ただ,ここには 2 つ話があ ると思うのです。局の経営をどうするのかとい う論点と,もともと地域で 4 つもチャンネルが いる の か, と いう論点です。 我々はラジオも 含め,ローカル 局が 経 営的に 厳しいというご 指 摘を踏まえ て認定 放 送持 株会社制度32) を作ったり,あ るいは 4 月 1 日に施行される改正放送法では, とりあえず今はラジオだけにしていますが,隣 の県で放送する番組と一定の地域性を残しな がら一体的にやりましょうという制度33)を作っ たりしてきました。このような,地域の番組の数, 波の数は維持した上で経営的な仕組みをどう 作っていくかというアプローチはやっています が,この話と,そもそもこの県には 3 波,4 波 もいらないという話は全く違う話で,そういう 意味では,1 県 4 波を見直すという議論はやっ ていません。 個人的には,これからまさしく地方創生とい う中で,地方のコンテンツをどんどん都市や世 界に出していこうという部分で,ローカル局の 役割は大きいと思います。総務省では放送コン テンツの海外展開を支援していて34),去年も その募集をしたのですが,キー局だけでなく, ローカル局,ケーブル局も沢山応募いただき, 質のいい番組が結構作られているという印象 があります。 村上:ローカル局の方に伺うと,番組を制作す ればするほど赤字になるというんです。危機意 識が高く一生懸命自社で番組を作っている局ほ ど,そういう話をよく聞きます。コンテンツビジ ネスというと聞こえはいいし,放送局だから番

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組を作るのは当然,というのも正論なのです が,ビジネス化できる局が少ない。これは,こ れまで地上波民放という産業を維持してきたモ デルが時代にそぐわなくなってきたことに伴っ て起きている構造問題でもあると思うんです。 放送行政を担当するお立場としてどのような問 題意識をお持ちですか。 渡辺:端的に言うと,資金的な面で支援すると いう話があるかもしれないですが,ケースバイ ケースですね。先ほどのコンテンツによる地方 創生や海外展開みたいな話だと,番組の制作 支援だけでは不十分かもしれませんけど,そ れを展開していくまでの一定の仕組みまで作っ ていく支援をするとか。  ただ,今お話をされた,ローカル局が定常 的に制作する番組がなかなか広告を取れない という話になると,それは仕事のやり方をどう 変えるかという話かもしれません。 村上:ハードの 整 備 や 維 持 管 理についても, 地 域 内 で 局を 越えてもう少し 合理化できるの ではないかと思 います。他業界 ではハード・ソ フト分離はかな り進んでいると思うのですが,この辺りも個々 の局の経営判断に委ねられるのでしょうか。 渡辺:中継局などに関しては既に共同で維持管 理している事例は多いですし,今後,マスター 設備35)を始めとする様々な放送システムの更新 をどうしていくかという時期には,それも共同 でできないか,という話も出てくると思います。 10 ~ 20 年前の前回の更新の時とは大きく変わ ると思います。システム的に機械を全て取り換 えるといったことではなく,アプリなどのソフト で対応できる部分も出てきますし,デジタル化 による技術革新でコスト的に下がっている部分 も大きいと思います。ただ,そうした技術進化 をどのように経営判断に生かしてもらうようにし ていくかというのは,これから考えていかなけ ればならない課題かもしれないですね。

2-3 4K・8K はどこまで進めるのか

次の論点は4K・8Kについてであった。事前 アンケートの内容は懐疑的な意見が多く,中 でも放送事業者によるものが多かった。4K化 に対しては,「世帯大画面から個人小画面にシ フトしている中で,取り組むべき課題は別にあ るのではないか」「視聴者が最もよく見ている バラエティーは4K化で果たして価値が上がる のか?」などの意見が,8Kに対しては,「NHK が発案しメーカーが追随というモデルはとっく に通用しなくなっている」など,8Kを推進する NHKへの厳しい指摘が散見された。また,オー ルジャパン政策として,国が 4K・8Kを一体とし て進めていることについては,「4K・8Kの推進 がどっちつかず。まずは4Kでは」「NHK,民放, 総務省で考え方に大きな差があり,今後の計 画が全く立たない」「オールジャパンという“錦 の御旗”の無理強いは,美しいが実は戦略性 なき政策では」などの意見が寄せられた。

【対 論】

村上:基幹放送では 4K・8K を一体として進め ていますが,政策としてどっちつかずでは,と いう声が,会場の参加者,特に放送事業者か ら多く寄せられています。

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渡辺:誤解があると思うのですが,4K と 8K を 全く同じように進展させていこうというわけで はありません。ただ,どのくらいの幅かはわか りませんが,政策としては両方の放送を享受で きるような環境は作っていきましょうということ なんです。4K と 8K というのは映像的には違 うように見えるかもしれないけれど,テクノロ ジー的にはかなり類似的なものがありますか ら。CAS36)の開発などはまさにそうです。ただ, 端末やコンテンツ,その辺りは成長の度合いが 違ってくるのは当然で,202X年になれば別かも しれませんが,当面は普及に差異はありますよ。 ただ,4K と 8K,どちらか片方だけを推進して 片方は 5 年後にしましょう,というような話はな いと考えています。 村上:2018 年の実用放送開始に向け,4K・8K を一体として進めていく前提で端末開発と帯域 割り当てを検討されていますが,正直,混乱し ているのは事実と思います。特に帯域割り当て については議論にほとんど進展が見られない。 帯域は視聴者の負担がかからない BS 右旋か, 全く使っていない左旋の開拓か。BS 右旋なら, 空帯域はわずかだから,今,帯域を使っている チャンネルの皆さんに“幅寄せ”をお願いする のか。左旋なら視聴者負担を軽減する道筋を どうするのか(図 4)37)。関係者がよくおっしゃ るのは,どの帯域をどう使うかを総務省が決め てください,決めてくれれば我々はそれに従い ます,ということ。裏を返せば,総務省がはっ きり方向性を示さないからこんなに混乱してい るのではないか,というご意見なんです。 渡辺:各局の皆さんは当然ビジネスも絡んでい るし,将来的な戦略を持って動いていると思う ので,そこを全く無視して,というのはありえま せん。我々が決めたからこうしましょうではなく, 皆さんから具体的にご要望をいただきまとめ上 げていく。我々は黒子ですから。 村上:でも要望はかなりバラバラですが。 渡辺:それは再開されるロードマップのフォロー アップ会合38)で侃々諤々ご議論をしていただく ことになると思います。 村上:会合では今年の夏までにチャンネルプラ ンが決まる感じなのでしょうか。 渡辺:少なくとも,左旋がどのくらい使えるの か使えないのか,こうした調査は行っていま す。本当に,多くの視聴者にかなりのご負担 をお願いしなければならない帯域なのかどう か。かなりラフではありますけど,衛星を視聴 している方の相当数は,現在ケーブルテレビ 経由で見ているわけですが,その場合,比較 的小規模な対応で受信可能になることもありえ ますし,戸建てについては衛星アンテナ取り換 えをテレビメーカーや放送事業者の方々がプロ モーションみたいなことをして推進することも ありえます。集合住宅共聴の場合も衛星アン テナとブースターの交換等で結構対応できるの では,という指摘もあります。去年あたりは僕 も左旋の活用にはすごくハードルがあると思っ ていましたが,実際そうでもないという指摘も あるので,まずそこを明確化します。 図 4

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 もちろん,BS 右旋の活用をどうするかも考 えていかなければなりません。やはり 2020 年 の東京オリンピック・パラリンピックに向けた時 間軸で,国民の皆さんがどういう場所で 4K・ 8Kを見られる環境を作るのがいいのかを考え ていかなければならないですから。これは, 実際に受信機を作るメーカーの意見も踏まえな がら,より現実解的な道を探っていきたいです。 5 年というのは結構短そうですけど,技術的な 革新は 5 年あればめちゃくちゃ進みますから ね。今から 5 年前は,4Kがここまで来るなんて, 誰も,少なくとも僕は全く分からなかったです。 村上:次に,4Kの地上波での見通しですが,今 回の参加者からはこの質問が最も多かったです。 今後,ユーザーの端末はどんどん4K化し,ケー ブルテレビ,IPTV,VOD サービスは 4Kに,映 画館,サイネージも 4Kに向かうでしょう。こうし た中で,日本で最も主要な映像コンテンツ産業 である地上波放送局が,4Kを放送できる帯域 がないというのが現状ですよね(図 5)。 渡辺:これも,フォローアップ会合で議論する大 きな課題の 1 つです。地上波での 4Kというの は本当に可能性がないのかどうか,技術的に 検討しなければならないと思っています。例え ば,NHKは 8Kですけど,熊本県の人吉で伝 送実験39)をしましたよね。また,去年の Inter BEEでは,あるメーカーが 4Kコンテンツを 2K にダウンコンバートしたものと 4K の差分情報 とに分けて伝送し,受信機側で合体させるとい う提案をされていました40)。技術的に将来どう いうことができるのかを見極めたい。我々が会 合でこのことを課題に入れているという意味は, 地上波のことを全く無視して 4K は衛星だけで やればいいと考えているわけではないというこ となんです。 村上:仮に技術的に可能だったとしても,ローカ ル局でこうした取り組みができる局は限られてき ますよね。先ほどの番組制作ができる局が限ら れているということもそうですが。そうしてロー カル局の中で力のある局だけが残っていく…。 4K など一連の放送高度化政策は,実はローカ ル民放再編が裏のねらいではないか,という見 方をする参加者が何人かいらっしゃいました。 渡辺:正直言って意外というか,全くそういう発 想は持っていません。放送高度化はローカル局 の再編というより,むしろ活力をあげるというの ならわかりますけど。 村上:もう1 つ,少し突飛な質問かもしれません が伺っておきたいことがあります。現状は地上波 では 4K を伝送できるだけの十分な帯域がない ということですが,地デジ化で空いた VHF 帯41) のうち,今も使われていない部分がかなりありま すね。ここをもう一度整理して地上波の 4K 伝送 に使えないかという話が,業界紙などに時々出た りしますが,この辺りはどうなのでしょう。 渡辺:それはないですよ。VHF 帯を使った様々 なサービスに関係者の方が取り組んでいる状況 ですから,我々としては,その普及に向けて対 応していく,それが我々の役目と思っております。 図 5

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2-4 融合本格化時代の

        放送事業者の役割とは

3 つ目の論点は,放送と通信の融合が本格 的に進む中でのテレビ・放送の役割を考えると いうものであった。“融合化”の本質とは,放 送波以外の手段で人々に番組や情報を届ける ことが可能になったということもさることなが ら,これまで情報や番組を一方向に送り届ける 装置だったテレビや,組織だった放送事業者 が,ネット事業者同様,視聴者(ユーザー)の アクセスログなどのパーソナルデータを収集す ることが可能になったということであると筆者 は考えている(図6)。 しかし,技術的に可能になったからといって, それをそのまますぐに実サービスにつなげてい く,とはならないだろう。特にテレビという端末 は,これまで長らく視聴の秘匿性が予め約束さ れた存在として人々の暮らしに溶け込んでおり, そのことは,パソコンやスマホなどの端末が普 及した今日だからこそ,より一層意味を持って いるともいえる。では,テレビ以外の端末にお けるサービスについてはどうか。放送事業者で なければできないパーソナルデータ活用による サービスとは果たして何なのか。ネット事業者 と全く同じ立ち位置で問題はないのか。視聴者 の感覚をないがしろにして新サービスを進めて いった場合,これまで培ってきたテレビ・放送 の信頼を失いかねないのではないだろうか。現 在,視聴履歴など様々なアクセスログを収集, 活用するためのプラットフォーム作りが始まって いるが,どの程度こうしたことが考えられている のだろうか(図7)。

【対 論】

村上:テレビ・放送の今後,というテーマの 1 つの論点として,収集可能になったパーソナル データという存在とどう向き合っていくべきか, ということがあると思うのですが,どのようにお 考えですか。 渡辺:個人情報保護法関係の改正が検討され ていますが,それがどういう形で最終的にまと まるかというのがまずあると思いますね。法的 な方向性も見極めながら,しっかりした仕組み を作っていく必要があると思います。テレビと いうことで言うと,メーカーもいれば放送局も いる。業界横断的な枠組みで一緒に作ったほう がいい部分もあると思います。活用のプラット フォームの入口は一緒にやりましょうとか。  ただ一番は,こうしたデータを活用してどん な面白い世界が描けるのか。キラーサービスが 図 6 図 7

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あれば,視聴者もむしろ結構面白いじゃないか, と感じてくれるかもしれないですよね。安心・ 安全だとか,そういう地道なもの,それは確か に重要かもしれないけど,やはりビジネスにつ ながるようなものを作り上げることが重要だと思 いますね。どういう形でやるのがいいのかはわ からないけど,やり方によっては放送業界とし ての魅力向上につながると思います。 村上:では最後に,これからのテレビや放送の ために行政として何ができるか,もしくは何を やっていきたいと思っていらっしゃるか,伺え ますか。 渡辺:これまで私は携帯とか通信の世界の仕事 が多かったんです。そちらから見ると,隣の芝 生は青く見える,ではないけれど,とても魅力 的な世界だと思っていました。それはやはりコ ンテンツを持っているからだと思うんです。議 論の中で「ローカル局は“土管”的役割」だとい う話がありましたが,むしろ通信のほうがそう いう産業ですから,危機感は非常に強いです。 だから彼らも上のサービスレイヤーのアプリの 世界で様々な取り組みを行っています。  そういう業界のことを考えると,放送業界は もちろん下のレイヤー部分もありますけど,もと もとコンテンツを持っているというのは絶対的 な財産なんですよ。それをうまく利活用してい く仕組みを作っていく,それに尽きると思いま す。コンテンツがあるからネット事業者を使え る立場にもあるんです。だから放送の世界とい うのは,非常な広がりを持っていると思うんで すよ。ぜひ皆さんと一緒になって 2020 年の華 やかな放送の世界の実現に向けて頑張ります のでお知恵をいただければと思います。

おわりに

最近,ラジオに関する明るい話題をよく耳 にする。長らく右肩下がりが続いてきたラジオ 広告費だが,2015 年2月に発表された電通の 「2014 年 日本の広告費」によると,久し振りに 前年比100%を上回った。また,ネット同時送 信サービスであるradiko.jpのエリアフリーサー ビスも好調で,2014 年 4月のサービス開始か ら9か月間で約15万人の有料会員を獲得して いる。2015 年度中にはタイムシフトサービスも 開始する予定で動いているという。radiko.jpの 存在がラジオメディアのブランド価値向上や経 営回復の起爆剤となっているのかどうかは長い 目で検証してみないとわからないが,ログデー タやウェブアンケートなどを通じてきめ細かく ユーザーのニーズを把握し,ユーザー視点に立 ち,既存のビジネスモデルの柵を1つ1つ乗り 越えて新サービスを打ち出しているその姿勢が ユーザーに受け入れられていることは間違いな いであろう。とはいうものの,個々のラジオ事 業者の経営状態の厳しさは相変わらずである。 2000 年からの10 年でAM 事業者の事業収入 は半減し,経営難から放送局を手放す動きも出 てきている。第2 章で総務省の渡辺審議官が 紹介していたような様々な制度を活用しながら, 今後,業界全体の再編や合理化は進んでいく であろう。 テレビは今後,ラジオと同じような道筋を進 んでいくことになるのか。コンテンツを伝送する インフラ設備も系列ネットワークのあり方も,テ レビとラジオでは異なる部分も多いため,全く 同じ道筋をたどることにはならないであろう。し かし,民放事業者の中にはラ・テ兼営局も多い。 学ぶべき教訓も少なくないのではないだろうか。

(17)

これからのテレビを巡る動向は2015 年も激 変が続くと思われる。今夏までに4K・8Kのチャ ンネルプランはどこまで決まるのか。今秋の Netflixのサービス開始はどのようなインパクト があるのか。在京キー 5局共同の見逃し配信は どのような形で展開されていくのか。NHKの同 時送信の試験的提供も年内には開始される予 定である。引き続き取材を続けていきたい。 (むらかみ けいこ) 注: 1) 2015 年 3 月末日現在 2) 2015 年 4 月 15 日現在 3) 東芝ライフスタイル,パナソニック,シャープ 4) 『放送研究と調査』の「国内の動き」「メディアフォー カス」,『日経ニューメディア』『日刊合同通信』『ITpro』 『AV WATCH』『MarkeZine』『CNET Japan』

他 5) 一覧表の作成は,今回から東京大学大学院修士 課程の長谷川裕氏と共同作業で行っている 6) https://pr.netflix.com/WebClient/getNewsSummary. do?newsId=1885 7) ケーブルテレビとの契約を打ち切ったり,安いプラ ンに切り替えること。サービスをケーブルになぞら えた比喩表現 8) 自宅の据え置きテレビや DVR などとペアリングし たモバイル端末で宅外でリアルタイム視聴,もしく はタイムシフト視聴すること 9) https://www.nhk.or.jp/keiei-iinkai/giji/shiryou/1228_ giketsu01.pdf 10) http://www.j-ba.or.jp/category/topics/jba101455 11) http://www.j-ba.or.jp/category/interview/jba101391 12) 村上圭子「『これからのテレビ』を巡る動向を整理 するVol.5 ~ 2014 年 7 月─ 12 月~」(『放送研究 と調査』2015 年 2 月号)38P で日テレのアンケー トの結果を紹介。フジもユーザーアンケートを行い 同様の傾向を把握している 13) フジによると,「+7」に対して,開始当初は「違 法動画まとめサイト」からの流入が半数を占め ていたが,回を追うごとに減少しているといい, 違法動画の流通抑止にも一定の効果が上がって いるのではないかと推測している 14) 2012 年 4 月,電通と在京民放キー 5 局で開始し た有料 VOD サービス。同年 7 月に NHK も参加。 対応テレビの普及や加入者が伸び悩み,2015 年 3 月にサービスを終了している 15) 民放の CM にはタイムとスポットという仕組みがあ る。番組の提供スポンサーとなり,番組制作費など も含めてサポートしているのがタイム広告主である 16) フジテレビ コンテンツ事業センター室長の冨川八 峰氏への著者インタビューによる 17) テレビ東京 コンテンツビジネス局長の福田一平氏 への著者インタビューによる 18) テレビ朝日 経営戦略部担当部長の船越昇氏への 著者インタビューによる 19) https://www.cyberagent.co.jp/news/group_press/ id=10253 20) 2015 年 3 月の会長会見ではセールスは各社個 別に対応するとしている 21) 前掲「『これからのテレビ』を巡る動向を整理 する Vol.5 ~ 2014 年 7 月─ 12 月~」37P 22) http://www.fujitv.co.jp/company/news/150203.html 23) http://www.fujitv.co.jp/company/news/150227.html 24) 16)に同じ 25) 17)に同じ 26) http://www.nttplala.com/news_releases/2015/4/20150409. html 27) http://www.tv-tokyo.co.jp/kaisha/news/2015/0326_177042. html 28) http://www.tv-tokyo.co.jp/kaisha/news/2015/0408_177474. html 29) 17)に同じ 30) http://www.tv-asahihd.co.jp/contents/press/2015/20150331. pdf 31) 18)に同じ 32) この制度はキー局が経営状況の厳しいローカル局 を救済することを可能とすること,キー局が BS や 経営状況のよいローカル局を経営統合すること, ローカル局同士が経営統合することなど様々な形 態での活用が想定されている。活用詳細等は下 記 http://www.soumu.go.jp/main_content/000216949.pdf 33) 4月1日に施行された改正放送法により,「経営 基盤強化認定制度」が導入され,県域放送を行 うラジオ事業者等は「特定放送番組同一化」を 行うことが認められている 34) 総務省はここ数年,放送コンテンツ海外展開強化 モデル事業を行ったり,放送コンテンツ海外展開 促進機構を設立して,番組制作や海外展開を積 極的に支援している 35) 放送局から番組やニュースを送出するための根幹 となる設備一式のこと 36) デジタル放送のコンテンツ管理システムのことで, 限定受信システムともいう 37) 4K・8K の帯域を巡る課題についての詳細は,前 掲「『これからのテレビ』を巡る動向を整理する Vol.5 ~ 2014 年 7 月─ 12 月~」を参照されたい 38) 4K・8K ロードマップに関するフォローアップ会合。 2015 年 3 月 17 日に半年ぶりに再開された http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/4k8kroadmap/ 39) http://www.nhk.or.jp/pr/marukaji/m-giju363.html 40) http://www.toshiba.co.jp/rdc/detail/1411_01.htm 41) アナログ放送で使っていた帯域のこと。地デジ化 でテレビは UHF 帯に移行,VHF 帯は自営無線 やマルチメディア放送に活用されている

(18)

※ 放送事業者:放  メーカー:メ  ケーブルテレビ事業者:ケ  通信事業者:通  ネット事業者(含む OTT):ネ  国・関係機関:公  広告代理店:広 月 日 ※ 事業者 内 容 マルチ デバイス化 スマートテレビ化 シフト化タイム ソーシャル化 高画質化(4K・8K) マルチスクリーン化 セカンドスクリーン化 放送連動 (ハイブリッドキャスト) 放送非連動・多機能 STB 録画視聴化 VOD化 1月 5 日 メ 主要ハリウッドスタジオや家電メーカー等 12 社 4Kを超える映像コンテンツの推進を目指す「UHD Alliance」の設立を発表 ○ 6 日 メ「CES 2015」 ラスベガスで開幕。テレビでは薄型化とオープンソースソフトウェア基盤の展示が目立った。ソニーとシャープは相次いで薄さをアピールし,ソニーは最薄部が約 4.9mm のテレビを発表。スマートテレビではパナソニックは「Firefox OS」,Samsung

は「Tizen」,ソニーとシャープは「Android TV」を搭載 ○ ○ 7 日 ネ Google テレビ向けの OS プラットフォームとして 2010 年から展開してきた「Google TV」の終了を発表。「Android TV」プラットフォームへの移行を促す

8 日 ケ テレビユー福島 福島県内の 2 村で「テレビデータ放送によるお買い物支援サービス」の実証実験を開始。「お買いもの専用リモコン」が配布され,データ放送画面から食料品などが注文可能で,宅配業者により配達される ○ 13 日 放 フジテレビ 最新ドラマ等を放送後 7 日間無料で視聴できる「+7(プラスセブン)」を試験的に開始。「フジテレビオンデマンド」や「GYAO!」等のプラットフォーム上で展開し,放送時と同じ広告を一部挿入 ○ ○ 14 日 放 BS ディズニー BS 放送の無料チャンネル「Dlife」で放送した海外ドラマなどを,放送後 1 週間無料で見逃し視聴できる新アプリ「Dlife」の提供を開始 ○ ○ 14 日 公 総務省 平成 27 年度総務省所管予算4K・8K 推進へ 4 億 4,000 万円の予算を組む(案)を発表。東京オリンピック・パラリンピック時の最先端 ICT 環境実現に向けて新規 21 億円, ○ 15 日 ケ イッツコム 安心・安全情報などをテレビにプッシュ配信する,テレビ自動お知らせサービス「イッツコム テレビ・プッシュ」の提供を発表。自治体と連携した防災情報などを告知 ○ 15 日 メ ピクセラ SD カードに保存されたデジタル放送番組をスマホやタブレットから直接再生する Android 用アプリ「SeeQVault プレーヤー」 を発表 ○ ○ 15 日 放 NHK 「経営計画 2015-2017 年度」,「NHKビジョン 2015 → 2020」を公表。国際放送「NHK ワールド TV」の強化や,放送の同時送信の試験的提供などインターネット配信の強化を盛り込む ○ ○ ○ 15 日 公 衛星放送協会 インターネット上で違法アップロードされている会員各社の動画コンテンツの取り締まりと削除を目的とした 2 か月間のトライアルを開始。インターネット上の監視と削除要請を実施 ○ 15 日 放 三菱総合研究所 「放送・通信連携によるスマートテレビを活用した公共・地域情報等を発信するアプリケーション(スマテレ・アプリ)効果検証」事業 10 企画各番組の放送日時を発表 ○ ○

16 日 ネ Ustream Asia スポーツやお笑いなど 500 本以上の動画を無料で配信する VOD サービス「Ustream プレミアムビデオ」を開始。パソコンやスマホなどから視聴できる ○ 19 日 放 熊本放送 テレビのデータ放送を利用した住民情報サービス「デタポン」のスマホアプリを提供開始。放送を見ていない時も住民に情報を通知 ○ ○ 20 日 放 読売テレビ 旅番組でハイブリッドキャストを実施すると発表。観光情報や割引クーポン券などのコンテンツを提供し,テレビ視聴を起点とした地域振興への効果検証を実施 ○ 20 日 放 WOWOW Hulu とコンテンツパートナーシップを締結し,オリジナルドラマを配信開始。約 60 作品の提供を予定 ○ 21 日 放 民放連 「放送番組の違法配信撲滅キャンペーン」の実施を発表。その一環として啓発スポット CM を全国各局で放送する。4 種類の 15 秒 CM を制作。放送期間は 2015 年 1 月 22 日から 3 月 31 日まで ○ 21 日 メ 東芝 REGZA(Z10X シリーズ)の 4K 放送録画対応バージョンアップを発表。「Channel 4K」「スカパー! 4K 総合」「スカパー!4K 映画」を 4K 画質で録画可能。2 月 17 日から開始 ○ ○ 21 日 メ 東芝 REGZA(Z10X/J10X シリーズ)において,NTT ぷららが展開するテレビ向けの 4K 映像 VOD サービス「ひかりTV 4K」の受信に対応するバージョンアップを発表。3 月 24 日から開始 ○ ○ 21 日 広 インテージとニールセン 合弁で㈱インテージ・ニールセンデジタルメトリクスを設立することで合意。複数のプラットフォームにおける広告効果や視聴動向測定ソリューション開発を目指す ○ 22 日 放 民放連 会長会見で放送番組の見逃し配信について NHK と協議を進める意向を示す ○ 表 3 これからのテレビを巡る最新動向〈2015 年 1 月-3 月〉 キーワード 内容 1 マルチデバイス化・マルチスクリーン化 多様な端末の展開・様々な端末でどこでも同じコンテンツが見られる ・セカンドスクリーン化 ・テレビ端末に紐づいたサービス展開 2 スマートテレビ化 テレビ端末をネットにつなげる展開 ・放送連動(ハイブリッドキャスト) ・テレビ端末をネットにつなぎ放送をより楽しむ ・放送非連動・多機能 ・テレビ端末をネットにつなぎテレビをより幅広く活用 ・セットトップボックス(STB) ・テレビ端末を STB につなぎ多様なサービスを展開 3 タイムシフト化・録画視聴化 リアルタイム以外のコンテンツ視聴の広がり・デジタル録画機,HDDや全録による録画視聴の広がり ・VOD 化 ・VOD サービスの利用の広がり 4 ソーシャル化 テレビの周りにコミュニケーションの場ができる 5 高画質化(4K・8K) 画面が高画質,高精細になる

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