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3-2 環境マネジメント規格の制定・改訂の動き

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Academic year: 2021

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3-2 環境マネジメント規格の制定・改訂の動き

環境マネジメントシステム規格(ISO14000シリーズ)が、1996(H8)年に発行してから5年 が経過し、現在世界で27,000件、日本でも6,450件(2001年5月現在)の審査登録(認証) の実績がある。環境マネジメントシステム規格は、ISO(国際標準化機構)の環境マネジメント 専門委員会(TC207)で検討され、制定・改訂が行われている。 TC207は毎年一回総会を行っており、本年は7月に第9回総会をマレーシアのクアラルン プールで行われた。本項はこの総会での規格の見直し等を紹介します。

3-2-1 環境マネジメント専門委員会(TC207)の概要

TC207の組織 TC207は1993(H5)年2月のISO理事会で設置が決定され、同年3月に第1回TC207の 総会がカナダのトロントで開催された。この総会では6つの部会(Sub Committee)と1つの ワーキングループ(Working Group)の設置が決定された。 その後、表(3-2-1)の9回の総会を経て現在は表(3-2-2)のとおり、6つのSCと4つの WGの構成となっている。 表(3-2-1) TC207総会の開催状況 回 年 開催国 都市 参加国数〔ヵ国〕 参加者数〔名〕 1 1993 カナダ トロント 26 200 2 1994 オーストラリア ゴールドコースト 28 300 3 1995 ノルウェー オスロ 44 500 4 1996 ブラジル リオデジャネイロ 45 430 5 1997 日本 京都 49 482 6 1998 アメリカ サンフランシスコ 51 535 7 1999 韓国 ソウル 53 494 8 2000 スウェーデン ストックホルム 57 600 9 2001 マレーシア クアラルンプール 55 404 表(3-2-2) 環境マネジメント専門委員会(TC207)の構成 名称 内容 SC1 EMS (環境マネジメントシステム) 環境マネジメントシステムに関する規格の検討 SC2 EA (環境監査) 環境監査に関する規格の検討 SC3 EL (環境ラベル) 環境保全型商品につけるラベルや、環境に関 する広告・表示などについて検討 SC4 EPE (環境パフォーマンス評価) 事業活動に伴なう環境への影響評価や環境保 全活動に関する評価手法の検討 SC5 LCA (ライフサイクルアセスメント) 商品のライフサイクル全般の環境負荷の評価方 法についての検討

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WG1 EAPS (製品規格の環境側面) 製品企画において環境保全への配慮する方法 等について、規格作成者へのガイドを検討 WG2 FM (森林マネジメント) 森林の認証方法の検討 WG3 DFE (環境適合設計) 原料の調達から廃棄に至る設計・開発を検討 WG4 EC (環境コミュニケーション) 環境報告書の発行や住民説明会の取り組みに ついての規格を検討

3-2-2 国際規格(IS)までのプロセス

ISO規格は、ISO中央事務局の事務処理手順に従って、ISO規格の提案・審議・投票など の手続きを経て発行されるが、ISOでは参加メンバーのコンセンサスを大前提としている。国際 規格となるプロセスは、新しい規格作成が提案された後に、表(3-2-3)の流れに沿って審 議・投票が行われ、通常は規格の発行まで3年から5年程度かかる。 表(3-2-3) 国際規格化までのプロセス

1 NWIP Net Work Item Proposal (新業務項目提案) ↓ 2 WD Working Draft (ワーキングループ原案) ↓ 3 CD Committee Draft (委員会原案) ↓ CDはSCのPメンバー(投票権のある国)における、2/3以上の賛成により、DIS になる

4 DIS Draft International Standard (国際規格原案)

↓ DISはISO全加盟国による5ヵ月間の投票を行い、2/3以上の賛成かつ1/4以 下の反対の場合に、FDISとなる。 5 FDIS Final DIS (最終国際規格原案) ↓ FDISは2ヵ月間の投票の結果、2/3以上の賛成かつ1/4以下の反対の場合 に、ISとなる。 6 IS International Standard (国際規格)

3-2-3 TC207規格作成進捗状況

ISO14000シリーズの規格は、この様なプロセスを経て国際規格となる。この規格は、日本 工業標準調査会(JISC)で審議され、日本工業規格(JIS)として制定される。第9回TC207総 会までのISO発行及びJIS化(2001年4月12日現在)の状況は、表(3-2-4)のとおりであり、 また第9回TC207総会までの部会(SC)及びワーキングループ(WG)の進捗状況は次のとお りである。

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表(3-2-4) 国際規格制定状況とJIS化 SC (部会) 規格番号 規格名称 ISO発行 JIS制定 ISO 14001 環境マネジメントシステム-仕様及び利用の手引 1996/09/01 1996/10/20 SC1 ISO 14002 環境マネジメントシステム-原則、システム及び支援 技法の一般指針 1996/09/01 1996/10/20 ISO 14010 環境監査の指針-一般原則 1996/10/01 1996/10/20 ISO 14011 環境監査の指針-監査手順-環境マネジメントシス テムの監査 1996/10/01 1996/10/20 ISO 14012 環境監査の指針-環境監査員のための資格基準 1996/10/01 1996/10/20 FDIS 14015 環境マネジメント- 用地及び組織の環境アセスメ ント(EASO) FDISに移行 SC2 DIS 19011 品質及び/又は環境マネジメントシステム監査の指 針 DISに移行 ISO 14020 (第1版) 環境ラベル及び宣言-一般原則 1998/08/01 1999/07/20 ISO 14020 (第2版) 環境ラベル及び宣言-一般原則(修正票) ※1 2000/09/15 - ISO 14021 環境ラベル及び宣言-自己宣言による環境主張(タ イプⅡ環境ラベル表示) 1999/09/15 2000/08/20 ISO 14024 環境ラベル及び宣言-タイプⅠ環境ラベル表示- 原則及び手続 1999/04/01 2000/08/20 SC3 TR ※2 14025 環境ラベル-タイプⅢ-定量的環境情報表示のラ ベル 2000/03/15 2000/08/01 ISO 14031 環境マネジメント-環境パフォーマンス評価-指針 1999/11/15 2000/10/20 SC4 TR 14032 環境パフォーマンス評価事例集 1999/11/15 - ISO 14040 環境マネジメントライフサイクルアセスメント-原則及 び枠組み 1997/06/15 1999/11/20 ISO 14041 環境マネジメントライフサイクルアセスメント-目的及 び調査範囲の設定並びにインベントリ分析 1998/10/01 1999/11/20 TR 14049 環境マネジメント-ライフサイクルアセスメント-目的 及び調査範囲の設定並びにインベントリ分析のISO 14041に関する適用事例 2000/03/15 2000/12/20 ISO 14042 ライフサイクルアセスメント-影響評価 2000/03/01 JIS化中 ISO 14043 ライフサイクルアセスメント-解釈 2000/03/01 JIS化中 CD 14048 ライフサイクルアセスメント-データフォーマット CD SC5 (TR) 14047 ライフサイクルアセスメント-影響評価事例集 CD ISO 14050 環境マネジメント-用語 1998/05/01 1998/10/20 SC6 DIS 14050Amd. 環境マネジメント-用語環境マネジメント-用語(追 補) DIS は可決され、現行ISO 14050にAmd.を含めた 形で回付予定 WG1 ISO Guide64 製品規格に環境側面を導入するための指針 1997/03/05 1998/03/20 WG2 TR 14061 森林マネジメント 1998/12/15 - WG3 DTR ※3 14062 環境適合設計(DFE) WD WG4 NWIP 14063 環境コミュニケーション(EC) スウェーデン・米国から提 案され採択 ※1 修正箇所のみ記述してある修正票 ※2 TRとはTecnical Report(技術資料)のこと ※3 DTRとはDraft Tecnical Report(技術資料原案)のこと

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(1) SC1(環境マネジメントシステム) ISO14001の規格は1996年に制定され、この規格には5年毎に見直しを検討するサイクル があるため、2000年の第8回総会において見直しが決定された。改正の対象範囲をISO900 0sとの両立性及び規格条項の明確化に限定し、新たに要求事項を追加しない等が条件とな っていた。 ▶ 第9回総会での改訂作業等 SC1の中のWGで、改訂の為の計画書が審議されたのみでWG原案をまとめるに至って ない。 ▶ 今後のスケジュール 2001年9~10月(ロンドン会合):WG原案のたたき台 2001年11月(デンマーク会合):WG原案(WD) 2002年6月(南アフリカ、第10回総会):委員会原案(CD) 2004年前半:発行 ▶ ISO14001改訂の論点 ▷ ISO9001との両立性の為の文書体系の整理 ▷ 言葉の概念・解釈の統一化 ※ 1996年版ISO14001の要求の範囲とか、程度あるいは意図は全く変えないとしてい るか、改訂により表現が変わり、規格の運用に影響を及ぼす可能性もある。 ▶ ISO14004の見直しは、1999年の第7回総会において決定された。SC1のWGのなかで 改訂作業を行っている。 ▶ 第9回総会での改訂作業等 14004に書かれている記述内容をもう少し具体的にしようという事で進んでいる。 ▷ 環境側面について具体的事例を入れる等、もう少しわかり易くすること。 ▷ 文書化された手順を、どれだけ必ず文書化しなければならないか。 などが論議され、ISO14001と同時にISO14004の発行を目指している。 (2) SC2(環境監査) ISO9001sとの両立性のための統合監査規格である、ISO19011(品質及び環境マネジメ ント監査の指針)が現在DISの投票段階にあり、2002年4~5月頃発行される予定である。ま たサイトアセスメントの規格であるISO14015(環境マネジメント-用地及び組織の環境アセス メント・EASO)がFDISの投票段階に入っており年内にも発行する予定である。 (3) SC3(環境ラベル) 部会での当初の作業計画は、ほぼ終わっておりIS(国際規格)になっている。我が国のJIS 化も2000年8月に制定が終わっている。第9回総会では、タイプⅢ環境ラベルのTR(テクニカ ルレポート)14025を、IS(国際規格)に格上げするかどうか論議されたが結論が出なかった。 (4) SC4(環境パフォーマンス) 部会での検討は終了しており、今回の総会では各国の環境パフォーマンス評価の取り組み についての各種報告があった。 (5) SC5(ライフサイクルアセスメント) LCAのデータフォーマットと事例集である14047と14048が残っていたが、今回の総会で はそれぞれ最終ドラフト(原案)が出され、規格化の最終段階に入り、SC5では当初の作業予

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(6) SC6(用語と定義) 用語と定義である14050の規格であるが、これを発行した後に、環境ラベルや、環境パフォ ーマンス評価、ライフサイクルアセスメントなどの各種規格ができたので、これらの用語を入れ ようと今回の総会で最終ドラフトがつくられた。構成は分野ごとに収録し、一般環境マネジメント、 EMS、監査、プロダクトシステム、ラベル、LCAの第6章になり用語は全体で92になっている。 (7) WG3(環境適合設計DFE) DFEについては1999年の第7回総会で新業務項目(NWIP)として了承され、検討されて きた。企画の内容についてはDFEを行う理由、その中にはEMSとの統合やLCAをどの様に 考えるか等、検討されている。 規格制定のスケジュールは9月に各国のコメントを求め、10月のベルリン会合で最終ドラフト をまとめる。それを投票に回し、最終的には2002年6月頃に発行する見通しである。 (8) WG4(環境コミュニケーションEC) 環境コミュニケーションは、スウェーデンとアメリカの共同提案により規格化されることが決定 した。SCIとは切り離しWG4が設置され、今回の総会で第1回目のWG会合が持たれた。今後 の予定については、今年の秋までに事務局としてのWD案を出し、12月のデンマーク会合で 具体的なWDを作り、2004年を目標にISO14063として発行を目指す。 外部コミュニケーションとしての環境報告書については、環境団体GRI(グローバル・レポー ティング・イニシアチブ)を始め、UNEPや各種機関・団体がガイドラインを策定している一方で、 日本など各国で様々な指針や規格が作られている。今後、これらとの整合をいかに図っていく か課題になっている。

参照

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