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IFRSポイント講座 第8部 連結(1)

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Academic year: 2021

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(1)

8部 連結 (1)

2010年4月2日

vol. 22

「連結」の部では、3回にわたり、以下の説明、及び想定される実務上の論点に 触れていきます。 ►IAS第27号の定める連結財務諸表、SIC第12号の定める特別目的事業体、 IAS第28号の定める関連会社に対する投資、IAS第31号の定めるジョイント・ ベンチャーに対する持分 ► 連結の範囲 ► 特別目的事業体(SPE) ► 決算日の異なる子会社 ► 会計方針の統一 ► 子会社の欠損 ► 支配の喪失を伴わない子会社に対する親会社持分の変動 ► 持分法の適用範囲 ► ジョイント・ベンチャー

はじめに

IFRSでは、企業が自己の事業を展開するために他の企業に対して行う戦略的な 投資を、子会社に対する投資、関連会社に対する投資及びジョイント・ベンチャー に対する持分の3種類に分類し、それぞれIAS第27号、IAS第28号、IAS第31号 でその会計処理及び開示等が定められています。 以下、連結の範囲について説明します。

連結の範囲

(1) 基本的な考え方 IAS第27号では、原則として特別目的事業体(SPE)を含むすべての子会社を連 結する必要があるとされています。この点、日本基準では、財務及び営業又は事 業の方針を決定する機関に対する支配が一時的であると認められる子会社や、 連結の範囲に含めることにより連結財務諸表提出会社の利害関係者の判断を 著しく誤らせるおそれがあると認められる子会社は連結の範囲に含めないことが 認められており、このような連結除外規定を定めていないIFRSとの間に差異が 生じています。

IFRSポイント講座

(2)

重要性を有しない子会社に関しては、IFRSのフレームワークにも重要性の原則は 存在するので、財務諸表利用者の意思決定に影響を及ぼすか否かという目的適合 性の観点から、重要性を有しない子会社に関する判断が必要になると考えられます。 (2) 支配の概念 IFRSでは、子会社とは親会社により支配されている企業であるとされ、支配とは企 業活動から便益を得るために、その企業の財務及び経営方針を左右する力である とされています。親会社が議決権の過半数を直接又は子会社を通じて間接的に保 有している場合は、例外的に明らかに支配が存在しないと反証されない限り、支配 が存在すると推定されます。また、親会社が議決権の過半数を保有していなくても、 以下のいずれかに該当する場合には支配が存在すると考えられます。 ► 他の投資企業との契約により議決権の過半数を支配する力を有する。 ► 法令及び契約書により財務及び経営方針を左右しうる力を有する。 ► 取締役会又はそれと同等の経営機関の過半数の構成員を選任又は解任する力 を有しており、当該取締役会又はそれと同等の経営機関により会社が支配されて いる。 ► 取締役会又はそれと同等の経営機関で過半数以上の投票権を集める力を有して おり、当該取締役会又はそれと同等の経営機関により会社が支配されている。 他の企業の意思決定機関を実質的に支配しているか否かを判断するにあたり、日 本基準では自己の計算において他の企業の議決権の40%以上50%以下を所有し ていることや、自己の計算において所有している議決権と緊密な者及び同意してい る者が所有している議決権とを合わせて他の企業の議決権の過半数を占めている ことという数値基準が示されています。従って、40%未満の議決権しか所有しておら ず、自己の議決権と緊密な者及び同意している者の議決権合計が過半数を下回っ ている場合、日本基準では支配が存在しないと判断されますが、IFRSでは上記要 件を満たせば支配が存在すると判断される可能性がある点で両者に差異がありま す。 (3) 潜在的議決権 企業が他の企業の財務及び経営方針を支配できる力を有しているか否かを判断す るにあたり、自己が保有する被投資企業に対する新株予約権や普通株式に転換可 能な負債性金融商品(いわゆる転換社債)などの潜在的議決権だけでなく、他の当 事者が所有する潜在的議決権についても、現時点で行使可能又は転換可能なもの が存在するか、及びその影響について検討する必要があります。その際、経営者の 意図及び潜在的議決権を行使又は転換するための財務能力を考慮する必要はあ りませんが、潜在的議決権の行使に関する条件及びその他の契約上の条項などを 考慮する必要があります。 日本基準では、企業結合の際の議決権比率判定にあたっては、潜在株式の議決権 行使の可能性を考慮することが必要であるとされていますが、他の企業を支配して いるか否かを判定する際に潜在的な議決権を考慮するような定めはありません。

(3)

Ernst & Young ShinNihon LLC アーンスト・アンド・ヤングについて アーンスト・アンド・ヤングは、アシュアランス、税務、 トランザクション・アドバイザリー・サービスなどの分 野における世界的なリーダーです。全世界の14万4 千人の構成員は、共通のバリュー(価値観)に基づい て、品質において徹底した責任を果します。私どもは、 クライアント、構成員、そして社会の可能性の実現に 向けて、プラスの変化をもたらすよう支援します。 詳しくは、www.ey.com にて紹介しています。 「アーンスト・アンド・ヤング」とは、アーンスト・アンド・ヤング・ グローバル・リミテッドのメンバーファームで構成されるグロー バル・ネットワークを指し、各メンバーファームは法的に独立し た組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッド は、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供し ていません。 新日本有限責任監査法人について 新日本有限責任監査法人は、アーンスト・アンド・ヤ ングのメンバーファームです。全国に拠点を持ち、日 本最大規模の人員を擁する監査法人業界のリーダ ーです。品質を最優先に、監査および保証業務をは じめ、各種財務関連アドバイザリーサービスなどを提 供しています。アーンスト・アンド・ヤングのグローバ ル・ネットワークを通じて、日本を取り巻く世界経済、 社会における資本市場への信任を確保し、その機能 を向上するため、可能性の実現を追求します。 詳しくは、www.shinnihon.or.jp にて紹介しています。 お問い合わせ先 新日本有限責任監査法人 IFRS推進本部 〒100-0011 東京都千代田区内幸町二丁目2-3 日比谷国際ビル Email: [email protected]

© 2010 Ernst & Young ShinNihon LLC All Rights Reserved.

本書又は本書に含まれる資料は、一定の編集を経た要約形 式の情報を掲載するものです。したがって、本書又は本書に 含まれる資料のご利用は一般的な参考目的の利用に限られ るものとし、特定の目的を前提とした利用、詳細な調査への代 用、専門的な判断の材料としてのご利用等はしないでください。 本書又は本書に含まれる資料について、新日本有限責任監 査法人を含むアーンスト・アンド・ヤングの他のいかなるグロー バル・ネットワークのメンバーも、その内容の正確性、完全性、 目的適合性その他いかなる点についてもこれを保証するもの ではなく、本書又は本書に含まれる資料に基づいた行動又は 行動をしないことにより発生したいかなる損害についても一切 の責任を負いません。 IFRSポイント講座 (4) 公開草案第10号 IAS第27号及びSIC第12号を統合し、連結に関する単一の基準を作成することを目 的として、2008年12月に公開草案第10号「連結財務諸表」が公表されています。 本公開草案では、連結の要否の判断基準である他の企業に対する支配の定義を「報 告企業のためのリターンを生み出すために、他の企業の活動を左右する力」と改める ことを提案しています。ここでIAS第27号の支配の定義である、「その企業の財務及 び経営方針を左右する力」は「他の企業の活動を左右する力」の一形態に過ぎないと されているため、現在より多くの企業が連結の対象となる可能性があります。また、 IAS第27号において用いられていた便益と いう用語をリターンという用語に変更し、 利益と損益のいずれも含まれていることをより明確にしました。他の企業からの最大 のリターンを得る企業が、当該他の企業の活動を左右する力を最も有しているであろ うという前提を置いています。 本公開草案では、これ以外にも他の企業を支配しているか否かを判断する際に考慮 する必要がある現在行使可能なオプション及び転換権について、そのようなオプショ ンを保有する企業は当該他の企業との取引や契約関係などを考慮した上で、当該他 の企業の活動を左右する力があるか否かを判断することを提案しています。 また、他の企業の過半数未満しか議決権を保有していなくても当該他の企業の活動 を左右する力を有するか否かを判断する際の追加的なガイダンスとして、報告企業が 筆頭株主であり、かつ他の企業の戦略的な経営計画及び財務計画を決定するのに 十分な議決権を有している場合には、他の企業の活動を左右する力を有しているとし ています。 次回は、特別目的事業体(SPE)、決算日の異なる子会社、会計方針の統一、子会社 の欠損、支配の喪失を伴わない子会社に対する親会社持分の変動について説明し ます。

(4)

8部 連結 (2)

2010年4月16日

vol. 23

IFRSポイント講座

今回は、特別目的事業体(SPE)、決算日の異なる子会社、会計方針の統一、子会 社の欠損、支配の喪失を伴わない子会社に対する親会社持分の変動について説 明します。

特別目的事業体(

SPE)

SIC第12号では、特別目的事業体(以下、「SPE」という)は限定的で十分に明確化 された目的(リース、研究開発活動又は金融資産の証券化など)を達成するために 設立される事業体であるとされています。企業がSPEを実質的に支配している場合 には、当該SPEは当該企業に連結されることになります。しかし、SIC第12号には、 企業がSPEを支配しているか否かを判断するための明確な指針が示されていない ため、企業による相当の判断が求められることになると考えられます。企業は、当 該SPEの設立目的、その設計、誰が当該SPEから便益を得ているのか又はリスクを 負担しているのか、SPEを設計する際に誰が最終的な意思決定権を有していたか 等、すべての関連する要因を慎重に検討し、連結の要否について総合的に判断す る必要があります。 なお、現行の日本基準では特別目的会社(SPC)が一定の要件を満たす場合(適正 な価額で譲り受けた資産から生ずる収益を発行する証券の所有者に享受させるこ とを目的として設立されており、事業がその目的に沿って適切に遂行されていると き)は、当該特別目的会社は子会社に該当しないものと推定されます。 したがって、日本基準では、一定の要件を満たすSPCを連結する必要はありません が、IFRS上では、企業がSPEを実質的に支配している場合には連結する必要があ るため、IFRS適用時には連結されるSPCが増える可能性が高いと考えられます。

(5)

IFRSポイント講座

決算日の異なる子会社

IFRSでは、連結財務諸表の作成に用いる親会社及び子会社の財務諸表は、同一 の報告期間の期末日現在で作成しなければなりません。親会社と子会社の報告期 間の期末日が異なる場合には、子会社は実務上不可能でない限り、連結財務諸表 を作成する目的で、親会社の財務諸表と同じ期末日現在の財務諸表を追加で作成 する必要があります。なお、実務上不可能であるという理由により、連結財務諸表 の作成に使用される子会社の財務諸表が、親会社の財務諸表とは異なる期末日現 在で作成される場合には、親会社の期末日と子会社の期末日との間に発生する重 要な取引や事象の影響を修正しなければなりません。ただし、親会社と子会社の報 告期間の期末日の差異は3ヶ月を超えてはいけないとされています。 日本基準では、親会社と子会社の決算日の差異が3ヶ月を超えない場合には、子 会社の決算数値を基礎として連結決算を行うことができ、決算日が異なることから 生じる重要な連結会社間取引の差異は修正が必要になりますが、IFRSではそのよ うな修正は連結会社間取引に限定されない点で両者に差異があります。 また、この考え方は連結(3)で取り上げる持分法の対象となる関連会社の場合にも あてはまります。

会計方針の統一

IFRSでは、連結財務諸表を作成するにあたり、グループ内の企業の会計方針を統 一し、グループ会計方針として定め、グループ内に周知する必要があります。また、 連結決算の早期化や各社決算の均質化を図るために勘定科目体系を制定し、これ をグループ各社に伝達することが非常に重要であり、これらに基づき、連結パッケ ージの雛形の修正や、会計システムの変更等も必要になると思われます。 なお、日本基準でも親会社及び子会社の会計処理については、原則として統一す るものとされています。ただし、在外子会社については、在外子会社の財務諸表が IFRS又は米国会計基準に準拠して作成されている場合には、一定の調整を行う必 要はあるものの、それらを連結決算上利用することが容認されています。 また、この考え方は、上述の決算日の異なる子会社の場合と同様に、連結(3)で取 り上げる持分法の対象となる関連会社の場合にもあてはまります。

子会社の欠損

連結子会社の欠損のうち、非支配持分に帰属する部分がその子会社に対する非支 配持分を超える場合があります。この場合でも、IFRSでは経済的単一体説に基づき、 損益及びその他包括利益の各構成要素は親会社株主と非支配株主に帰属してい るため、包括利益合計は、たとえ非支配持分の残高が借方(マイナス)となるとして も、親会社株主と非支配株主に帰属させます。日本基準では、親会社説に基づき、 子会社の欠損のうち少数株主持分に割り当てられる額が当該少数株主の負担す べき額を超える場合には、当該超過額は、親会社の持分に負担させることとされて います。

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Ernst & Young ShinNihon LLC アーンスト・アンド・ヤングについて アーンスト・アンド・ヤングは、アシュアランス、税務、 トランザクション・アドバイザリー・サービスなどの分 野における世界的なリーダーです。全世界の14万4 千人の構成員は、共通のバリュー(価値観)に基づい て、品質において徹底した責任を果します。私どもは、 クライアント、構成員、そして社会の可能性の実現に 向けて、プラスの変化をもたらすよう支援します。 「アーンスト・アンド・ヤング」とは、アーンスト・アンド・ヤング・ グローバル・リミテッドのメンバーファームで構成されるグロー バル・ネットワークを指し、各メンバーファームは法的に独立し た組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッド は、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供し ていません。詳しくは、www.ey.com にて紹介しています。 新日本有限責任監査法人について 新日本有限責任監査法人は、アーンスト・アンド・ヤ ングのメンバーファームです。全国に拠点を持ち、日 本最大規模の人員を擁する監査法人業界のリーダ ーです。品質を最優先に、監査および保証業務をは じめ、各種財務関連アドバイザリーサービスなどを提 供しています。アーンスト・アンド・ヤングのグローバ ル・ネットワークを通じて、日本を取り巻く世界経済、 社会における資本市場への信任を確保し、その機能 を向上するため、可能性の実現を追求します。詳しく は、www.shinnihon.or.jp にて紹介しています。 お問い合わせ先 新日本有限責任監査法人 IFRS推進本部 〒100-0011 東京都千代田区内幸町二丁目2-3 日比谷国際ビル Email: [email protected]

© 2010 Ernst & Young ShinNihon LLC All Rights Reserved.

本書又は本書に含まれる資料は、一定の編集を経た要約形 式の情報を掲載するものです。したがって、本書又は本書に 含まれる資料のご利用は一般的な参考目的の利用に限られ るものとし、特定の目的を前提とした利用、詳細な調査への代 用、専門的な判断の材料としてのご利用等はしないでください。 本書又は本書に含まれる資料について、新日本有限責任監 査法人を含むアーンスト・アンド・ヤングの他のいかなるグロー バル・ネットワークのメンバーも、その内容の正確性、完全性、 目的適合性その他いかなる点についてもこれを保証するもの ではなく、本書又は本書に含まれる資料に基づいた行動又は 行動をしないことにより発生したいかなる損害についても一切 の責任を負いません。

支配の喪失を伴わない子会社に対する親会社持分の変動

IFRSでは支配の喪失を伴わない子会社に対する親会社持分の変動については、 経済的単一体説に基づき、資本取引(すなわち、非支配株主との取引)として会計 処理されます。この場合、非支配持分の修正額と支払われた又は受領した対価の 公正価値との差額は、親会社持分に帰属させ、株主資本に直接認識されることとな ります。 具体的には、支配獲得後の追加取得の場合には、親会社持分の増加と支払われ た対価の公正価値との差額は、日本基準ではのれんとして処理されますが、IFRS ではのれんとして処理されず、親会社に帰属する資本の減少として処理されます。 また、支配の喪失を伴わない子会社株式の部分的な処分の場合には、親会社持分 の減少と受領した対価の公正価値との差額は、日本基準では子会社株式の売却 損益の修正として処理されますが、IFRSでは親会社に帰属する資本の増減として 処理されます。 なお、支配の喪失を伴う場合には、子会社に対する支配の喪失は投資の性質を変 える重要な経済的事象であるため、投資の処分として処理されます。つまり、子会 社に対する支配の喪失に伴い、親会社と子会社の関係から、これまでとは投資の 性質が大きく異なる投資企業と被投資企業の関係に移行することから、この時点で 改めて投資企業と被投資企業の関係を認識、測定し直すことになります。したがっ て、支配の喪失を伴う子会社株式の処分については、従前の子会社に対する残余 の投資は、支配喪失時点において公正価値で評価され、差額が損益として認識さ れます。 次回は持分法の適用範囲、ジョイント・ベンチャーについて説明します。

(7)

8部 連結 (3)

2010年4月30日

vol. 24

IFRSポイント講座

今回は持分法の適用範囲とジョイント・ベンチャーについて説明します。

持分法の適用範囲

IAS第28号では、原則として関連会社に対する投資については、持分法を適用する 必要があるとされています。しかし、関連会社に対する投資がIFRS第5号「売却目 的で保有する非流動資産及び廃止事業」に従って売却目的保有に分類される場合、 売却目的保有に分類される日から、投資企業は当該投資に対する持分法の適用 を中止し、IFRS第5号に従って会計処理する必要があります。 日本基準では、非連結子会社及び関連会社に対する投資については、原則として 持分法を適用しなければならないとされており、非連結子会社にも持分法が適用さ れますが、IFRSでは連結除外規定を定めておらず、すべての子会社を連結するこ とが原則であるため、非連結子会社に関する定めは存在しません。また、日本基準 では、財務及び営業又は事業の方針の決定に対する影響が一時的であると認めら れる関連会社や、持分法を適用することにより利害関係者の判断を著しく誤らせる おそれがある非連結子会社及び関連会社には持分法を適用しないことが認められ ており、このような持分法適用除外規定を定めていないIFRSとの間に差異が生じて います。 IFRSでは、関連会社とは、投資企業が重要な影響力を有し、かつ、投資企業の子 会社でも、ジョイント・ベンチャーに対する持分でもない企業であるとされ、重要な影 響力とは被投資企業の財務及び経営方針を支配、又は共同支配することはないが、 それらの方針の決定に関与する力であるとされています。投資企業が直接的又は 子会社を通じて間接的に被投資会社の議決権の20%以上を有する場合には、明確 にそうでないと反証されない限り、投資企業は重要な影響力を有していると推定さ れます。逆に、20%未満の議決権の保有では、明らかに重要な影響力が存在する と証明されない限り、投資企業は重要な影響力を有していないと推定されます。こ こで、通常以下の状況が1つ以上存在する場合には、重要な影響力は存在するとさ れています。 ► 被投資会社の取締役会又はそれと同等の経営機関への役員の派遣 ► 配当やその他の分配決定への関与など方針決定過程への関与 ► 投資企業と被投資会社間の重要な取引 ► 経営陣の人事交流 ► 重要な技術情報の提供

(8)

企業が他の企業の財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているかを判断 するにあたり、自己が保有する被投資企業に対する潜在的議決権だけでなく、他の 当事者が所有する潜在的議決権についても検討しなければならない点は、連結の 範囲を決定する場合と同様です。

ジョイント・ベンチャー

IAS第31号の定義では、ジョイント・ベンチャーとは、複数の当事者が共同支配によ り、ある経済活動を行う契約上の取り決めをいいます。共同支配とは、経済活動に 対する契約上合意された支配の共有をいい、その活動に関連する戦略的な財務上 及び営業上の決定に際して、支配を共有する当事者(共同支配投資企業)の一致し た合意を必要とする場合にのみ存在するとされています。 IAS第31号では、ジョイント・ベンチャーは(1)共同支配の営業、(2)共同支配の資 産、及び(3)被共同支配企業の3つの種類に区分され、それぞれに対して異なる会 計処理が定められています。 (1)共同支配の営業 共同支配の営業とは、共同支配投資企業自体から独立した、別個の法人格やパー トナーシップ又はその他形式による経済的組織の設立を伴わず、むしろ共同支配投 資企業自体の資産やその他経営資源を使用する営業のことをいいます。 共同支配の営業の例としては、複数の共同支配投資企業が、たとえば航空機など の特定製品を共同で製造、販売、及び流通させるために、それぞれの営業、資源、 及び技術を結合する場合が挙げられます。この場合、それぞれの共同支配投資企 業は、製造工程においてそれぞれ異なる部分(たとえば、機体、エンジン等)を請負 い、独自の費用を負担し、航空機の販売から得た収益のうち、自己の持分相当の 配分を契約上の取決めに応じて受け取ります。資産、負債、収益及び費用は、共同 支配投資企業の財務諸表で認識されることになります。 (2)共同支配の資産 共同支配の資産とは、共同支配投資企業によって共同支配されたり共同所有され たりする1つないし複数の資産のことをいいます。各共同支配投資企業は共同支配 の資産の持分割合に応じて将来の経済的便益のうち自己の持分を支配します。そ して、共同支配投資企業は、自己の持分相当額を財務諸表で有形固定資産として 計上します。 共同支配の資産の例としては、複数の共同支配投資企業が、たとえば石油パイプ ラインを共同で支配、運営している場合が挙げられます。この場合、それぞれの共 同支配投資企業は、当該パイプラインを用いて自社の生産物を輸送し、パイプライ ンの使用に伴う費用のうち合意された割合を自己の持分として負担します。そして、 輸送された石油等の販売から得る収益のうち、自己の持分に係る販売から得たも のを収益として認識します。 日本基準では、上述の共同支配の営業及び共同支配の資産に関する会計処理を

(9)

Ernst & Young ShinNihon LLC アーンスト・アンド・ヤングについて アーンスト・アンド・ヤングは、アシュアランス、税務、 トランザクション・アドバイザリー・サービスなどの分 野における世界的なリーダーです。全世界の14万4 千人の構成員は、共通のバリュー(価値観)に基づい て、品質において徹底した責任を果します。私どもは、 クライアント、構成員、そして社会の可能性の実現に 向けて、プラスの変化をもたらすよう支援します。 「アーンスト・アンド・ヤング」とは、アーンスト・アンド・ヤング・ グローバル・リミテッドのメンバーファームで構成されるグロー バル・ネットワークを指し、各メンバーファームは法的に独立し た組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッド は、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供し ていません。詳しくは、www.ey.com にて紹介しています。 新日本有限責任監査法人について 新日本有限責任監査法人は、アーンスト・アンド・ヤ ングのメンバーファームです。全国に拠点を持ち、日 本最大規模の人員を擁する監査法人業界のリーダ ーです。品質を最優先に、監査および保証業務をは じめ、各種財務関連アドバイザリーサービスなどを提 供しています。アーンスト・アンド・ヤングのグローバ ル・ネットワークを通じて、日本を取り巻く世界経済、 社会における資本市場への信任を確保し、その機能 を向上するため、可能性の実現を追求します。詳しく は、www.shinnihon.or.jp にて紹介しています。 お問い合わせ先 新日本有限責任監査法人 IFRS推進本部 〒100-0011 東京都千代田区内幸町二丁目2-3 日比谷国際ビル Email: [email protected]

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本書又は本書に含まれる資料は、一定の編集を経た要約形 式の情報を掲載するものです。したがって、本書又は本書に 含まれる資料のご利用は一般的な参考目的の利用に限られ るものとし、特定の目的を前提とした利用、詳細な調査への代 用、専門的な判断の材料としてのご利用等はしないでください。 本書又は本書に含まれる資料について、新日本有限責任監 査法人を含むアーンスト・アンド・ヤングの他のいかなるグロー バル・ネットワークのメンバーも、その内容の正確性、完全性、 目的適合性その他いかなる点についてもこれを保証するもの ではなく、本書又は本書に含まれる資料に基づいた行動又は 行動をしないことにより発生したいかなる損害についても一切 の責任を負いません。 IFRSポイント講座 (3)被共同支配企業 被共同支配企業とは、共同支配の営業又は共同支配の資産とは対照的に、各共 同支配投資企業が持分を有する法人、パートナーシップ又は他の事業体の設立を 伴うジョイント・ベンチャーをいいます。それぞれの共同支配投資企業は、被共同支 配企業の利益の配分を受け取る権利を有しています。 被共同支配企業は、独自の会計記録を保持し、他の企業と同一の方法でIFRSに準 拠した財務諸表を作成、開示します。共同支配投資企業は、被共同支配企業に対 する持分について、比例連結(*1) 、又は持分法により会計処理がなされます。 IASBによる公開草案「共同支配契約」において、IFRSにおいて比例連結の選択肢 を廃止することが提案されており、日本基準でも2008年12月に公表された改正に より共同支配企業の形成に係る会計処理には持分法が 適用されることから、両者 の差異は解消される予定です。 (*1) 比例連結: 被共同支配企業の資産、負債、収益及び費用の各科目に対する共 同支配投資企業の持分を財務諸表で類似する科目ごとに合算する、又は共同支配 投資企業の財務諸表で別個の各科目として報告する会計処理方法 今回で、「連結」は終了となります。次回は「引当金」です。

参照

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