民法 2012年 七戸
問責 佐藤○
時効
‥•
一定の事実状態が法定期間継続した場合に、
その事実状態が真実の権利関
係に合致するかどうかを問わずに、権利の取得や消滅を認める制度。
時効制度の存在理由——3つ
①永続した事実状態の尊重 ②証明の困難性の救済 ③権利の上に眠るものは保護に値せず時効の法的性質
1、実体法説(通説)→実体法上の権利得喪原因と捉える。上記①③の考えに親和的 2、訴訟法説 →訴訟法上の法定根拠と捉える。上記の②の考えに近い。 ※今日では二者択一の考えではなく上記3つの存在理由が複合的に寄与して時効制度が正当化されている。時効成立の流れ
①
時効の認められる権利かどうか → 例外:所有権の消滅時効、家族権②
一定の事実状態の存在の有無 → 取得(占有、権利行使) 消滅(権利不行使)③
永続した事実状態の存在の有無 → 10年、20年、••••④
時効の援用 ↓効果発生!!
時効の種類——取得時効と消滅時効
1、取得時効‥•権利者らしい状態が一定の期間継続することによって権利取得の効果が与えられる時 効のこと。所有権(162条)または所有権以外の財産権(163条)に認められる。 •所有権の取得時効の要件(162条) ①20年間(162条1項) ※占有開始時に善意無過失ならば10年間(162条2項) ②所有の意思(=自主占有であること) 自己のためにする意思+支配の意思=所有の意思 ③平穏(暴行や強迫によらず)かつ公然(隠匿でない) →②、③は186条1項で推定される、善意も推定されるが無過失は推定されない。 ④他人の ※判例(百選Ⅰ43)で自己の物の所有も認められる。 ⑤物を占有 •所有権以外の財産権の取得時効の要件(163条) ①20年間 ※善意無過失ならば10年間(期間は前条の区別に従うの部分) ②自己のためにする意思 ③平穏かつ公然 ④行使2、消滅時効‥•権利者が権利を行使できるのにかかわらず、法律で定められた一定期間、権利を行使 しないことで権利を失う時効のこと。基本的な債権(167条)特殊な債権(168〜174条)
時効の
援用
(時効の利益を受ける意思の表明)‥•
当事者が時効を援用しなければ、裁判所 は時効を理由として裁判をすることができない。(145条) •援用権者———145条の「当事者」の意味 145条にいう「当事者」とは、時効により直接利 益を受けるべき者、すなわち、時効により直接に権利を得、義務を免れる者をいう。 •時効利益の放棄の禁止‥•時効完成前に、時効の利益を放棄することはできない(146条)。これ の反対解釈として、時効完成後の時効利益の放棄の意思表示は有効である(百選41事件)。時効の障害〜2つの制度〜
時効の中断 時効の停止 リセット(最初からやり直し) モラトリアム(一時中断) 147条 158条〜161条☆
取得時効と登記(判例の準則)
〜百選53事件〜
A の土地を B が占有していた場合①B が(以下主語はすべて B)A に時効を主張するのに
登記は不要
。
②
時効完成前
に A から土地を譲り受けた C に対しても、時効を主張するのに
登記は不要
。
③
時効完成後
に現れた D に対しては、A の B と D に対する土地の二重譲渡状
態になるため
登記が必要
。
④時効の起算点(占有開始時期)をずらすことによって時効の完成を主張す
ることはできない。
⑤D の登記後さらに必要な期間占有すれば時効を主張できる(①に戻る)
。
※ それぞれの時間軸に注意!!①と②の場合は原権利者(A や C)と B は対抗関係にたたず、 当事者類似関係になる。③は、B と D は(二重譲渡類似の)対抗関係にたつ。④は、起算 点をずらすことで、②③の構成を自由に選ぶことは信義則上許されない。⑤は、④で相手 に先に登記を備えられても、また改めて時効を完成させれば、B と D は①の関係に戻る。○物権の意義と種類〜物権法定主義〜
•物権の要件と効果 〜債権と比較して〜物権
•••
(内部関係)物権とは、人の物に対する直接的支配権であって、(外部関係)絶対的(= その他全ての人に主張可)な権利である。(日本独自)排他性有り。債権
•••
(内部関係)債権とは、人の人に対する間接的支配権であって、(外部関係)相対的(= 債権に関わる者にだけ主張可)な権利である。(日本独自)排他性無し。 ※ 排他性とは‥•同一の物の上に互いに相容れない内容の物権が同時に二つ以上成立するこ とはできないということ。•物権の種類〜
占有権
・
所有権
•用益物権•担保物権〜
用益物権(地上権、永小作権、地役権、入会権)担保物権(留置権、先取特権、質権、抵当権)•
物権法定主義
•‥
物権は、民法その他の法律に定めるもののほか、創設することができな い(175条)。しかし、これ以外にも「慣習上の物権」や譲渡担保など一定の要件やその必 要性から物権として認められる権利も存在する。○物権的請求権〜占有訴権(198条、199条、200条)〜
名称 要件 ————→ ・物権的返還請求権 占有の喪失と取得物権的請求権
————→ ・物権的妨害排除請求権 上記以外の物権侵害の排除 ————→ ・物権的予防請求権 上記二つの予防策 物権的請求権の効果(費用負担)・
行為請求権‥•
相手方が費用を負担して回復しろ(行為)と請求する。・
認容請求権‥•
本人が費用を負担するから邪魔をするな(忍容)と請求する。 判例(百選46):行為請求権をベースにしつつ、「侵害が不可抗力で生じた場合」のみ認容請求権を採用。 授業中?: 返還→忍容請求権(200条):ex 隣の家に服が落ちて取りに行く時など。 妨害排除→ベースは忍容請求権ただし相手方に故意•過失があれば行為請求権。物権
占有権
制限物権
用益物権
担保物権
所有権
○取消と登記 & 解除と登記
•
取消と登記〜取消前の第三者と取消後の第三者 百選51事件
取消
とは‥•
瑕疵ある意思表示がされた場合や制限行為能力者が単独で法律行為をした場合 に、一応有効とされた法律行為の効力を遡及的に否定する意思表示をいう。 ☆ 取消前の第三者の問題 (ケース1)A が B に自分の土地を売り、B がその土地の登記を備えた。その後 B が C にそ の土地を売った。しかし、A が B の詐欺を理由に、最初の売買契約を取り消した この場合、A と C は対抗関係に立たないので、原権利者(A)の取消しが優先するのが原則 だが(制限行為能力者の取消しや強迫)、詐欺の場合は、例外的に96条3項を用いて善意 の第三者には対抗できないとする。よって、ケース1は C が B の詐欺事情について善意か悪 意かの主観的態様によって結論が異なる。このとき登記の有無は問題にならない。 ☆ 取消後の第三者の問題 (ケース2)A が B に土地を売り、B は登記を備えた。しかし、その後 A は B の詐欺を理由 に契約を取り消した。そして、B はその後にその土地を C に売り、C は登記を備えた。 この場合、A と C は、B を起点とする二重売買の形になるので、対抗関係に立つ。という訳 で、177条の問題となり、先に登記を備えた方が優先される。ケース2は、C が勝つ。も っとも、A は民事保全法や不動産登記法によって B との契約取消と同時に登記の仮処分も行 うはずなので C が勝つこのケースは稀である。•解除と登記〜解除前の第三者と解除後の第三者 百選52事件
解除
とは‥•
債権者が債務者の債務不履行を理由として、債務者に対する一方的意思表示によ って契約を終了させることをいう(540条1項)。判例•通説は、解除の効果は契約締結時に 遡って生じるという立場(直接効果説)を採用している。この立場からは、解除前に登場した 第三者の利益は害せないとする545条1項ただし書の規定も、解除前に登場した第三者の利 益を保護するため、法律が特に解除の遡及効に制限を加えたものと理解されている。 ☆ 解除前の第三者の問題 (ケース1)A が B に自分の土地を売り、B は登記を備えた。その後 B が C にその土地を売 り、C が登記を備えた。しかし、その後、A が B との契約を解除したとする。 原則として、契約を解除すると、両当事者に契約する前の状態に戻す原状回復義務が発生す るが、これを理由として第三者` ` `の権利を侵害することができない(545 条1項ただし書き)。 この第三者の「権利資格保護要件」として第三者が登記を備えることが必要となる。(学説) しかし、判例はこの登記を「対抗要件」としての登記として考えている。もちろん解除前の 第三者との関係は対抗関係に立たないから、原則解除可となって例外的に545条ただし書きを認めているのだから、これは論理的に矛盾すると思われる。 ☆ 解除後の第三者の問題 (ケース2)A が B に土地を売却したが、B が代金を支払わないので、契約の解除をした。 しかしその後、A が解除を理由とする所有権の復帰について登記をしなかった間に、B が C に土地を売り払い、C が先に登記を備えた。 取消後の第三者と同じように考えて、177条の対抗関係に立つので、先に登記を備えた方 が、所有権を主張することができる。この場合は、C が主張できる。 ※ それぞれの結論だけを簡潔に書いたので、その結論に達する理由は、各自基本書を読むな りして確認をお願いします。また、共同相続と登記、遺産相続と登記は各自で調べるよう にお願いします。
○177条の第三者の範囲 〜主観的•客観的態様〜
不動産に関する物権の得喪及び変更は、その登記をしなければ、第三者
` ` `に対抗する
ことができない。
(177条)
第三者とは‥•
「登記の不存在を主張する正当な利益を有する者。」これを基準として主 観(背信的悪意者)•客観(不動産賃借人•不法占拠者など)的態様の両方から絞っていく。•
背信的悪意者
とは‥•単純悪意+信義則違反 百選56事件
(ケース1)A は B に土地を売却したが、B は、すぐに登記を備えなかった。それを知って いた C は、A に「B よりも高く買うから土地を売ってくれ」と頼み、A から土地を買い受け て、登記を備えた。 >>><<<>><><<<>><<><><<<><><>><>>><<<><>< (ケース2)A は B に土地を売却したが、B は、すぐに登記を備えなかった。それを知って いた C は、B を困らせてやろうと考え、A から土地を買い受けて、登記を備えた。 両方のケースにおいて C が第三者にあたるかどうかが問題となる。ケース1の場合は、単に AB 間の売買事実を知っていたという単純悪意である。この場合(単純悪意者)は、第三者 にあたるとするのが判例の見解である。なぜなら、資本主義をとる日本では、自由競争が許 されており、相手よりも良い条件で売買をしようとするのは、別段悪いことではない。次に ケース2の場合は、AB 間の売買事実を知っていたのに加えて、B を困らせてやろうとする意 思がある。この意思は、信義則違反であり、「登記の不存在を主張する正当な理由」がない とされる。この場合(背信的悪意者)は、第三者にあたらないとするのが判例の見解である。•背信的悪意者からの転得者は第三者にあたるか? 百選57事件
(問題)A は B と C に土地を二重売買した。B が登記を備えたが、B は背信的悪意者であっ た。その後、B は、この土地を D(善意)に売却し、D は、登記を備えた。このとき、C は D に対して所有権の主張ができるか。 この問題の主な論点は、背信的悪意者から土地を譲り受けた転得者が第三者にあたるかど うかである。判例は、背信的悪意者は、第三者にはあたらないとして登記を備えていても対 抗することは出来ないとするが、まったくの無権利者としている訳ではない。よって、転得 者の主観的•客観的態様のみを総合して第三者にあたるかどうかを判断すれば良い。 本問は、D の主観的態様は、善意であり、背信的悪意者ではない。よって、D は第三者と なり、177条の対抗関係に立つ。ゆえに、先に登記を備えた D に C は対抗できず、C は所 有権を主張することはできない。 ※以上、主観的態様から、第三者範囲を絞ったが、客観的態様からは、不動産賃借人•一般 債権者•差押債権者•不法占拠者(百選58事件)などがそれぞれ第三者にあたるかの議論が ある。基本書等で、各自、確認しておいてください。○「占有改定」 & 「指図による占有移転」
占有移転(引渡し)は、4種類ある。以下、引き渡す側を X、引き渡される側を Y とする。 ①現実の引渡しとは•‥X から Y へと所持を移転する場合である(182条1項)。 ②簡易の引渡しとは‥•既に目的物件を Y(またはその代理人)が所持している場合に、X•Y 間で占有を移転する旨の合意(意思表示)をする場合である(182条2項)。 ③占有改定とは‥•X が目的物件を占有している場合において、X が所持を移転することなく、 以後は Y のために占有するとの意思を表示することをいう(183条)。ここでも、X•Y 間 で占有の移転に関する合意がされたことが前提である。 ④指図による占有移転とは‥•目的物件を X が占有代理人 A に代理占有させている場合にお いて、X が A に対して、以後は Y のために占有するようにと命じることによっておこなわれ る占有の移転である(184条)。X•Y 間で占有の合意がされたことが前提である。指図に よる占有移転が認められるためには、A の承諾は必要でない。即時取得
(192条)
‥•①取引行為によって、②平穏•公然と③動産の「占有」を始めた 者は、④善意•無過失であるときは/即時にその動産について行使する権利を取得する。 この要件のうち、動産の占有を始めたにつき、占有の開始は前主からの占有の移転(引渡し)があっ たことが言えれば、満たされる。では、占有移転の4つの方法のどれでも良いか? →現実の引渡しと簡易の引渡しは異論なく、指図による占有移転も批判はあるが、即時取得を認めて いる。問題は、占有改定による場合に即時取得を認めるかである。•占有改定/指図による占有移転と即時取得 百選66事件
(ケース1)A は、B に自己所有の絵画を売却して、B のためにその絵画を預かっておくこ とを約した。その後、A はこの絵画を自己所有の物と偽って、善意無過失の C に対しても同 様に売却し、以後は C のために預かることを約した。この場合、C は、即時取得に基づく所 有権を主張できるか。 この問題の所在は、192条の即時取得の「占有」は、簡易の引渡しである占有改定や指 図による移転で足りるかである。以下、本ケースの占有改定について判例と学説の立場を述 べつつ妥当性について検討する。 (1)否定説(判例):占有改定は、192条にいう占有の移転にあたらず、即時取得でき ないとする説。なぜなら、①即時取得の要件として、公然性を要求するので、従来の占有状 態に一般外観上なんら変更を来たさない占有改定は、この公然性の要件を満たさないから、 ②原権利者(B)は、A のもとに絵画がある内は、自分のものであると信頼している状態で、 C の即時取得を許すと B に不測の損害が生じるからである。この説をとると、本ケースでは、 C に即時取得は認められず、先に178条の動産の対抗要件である(占有改定による)引渡 しを受けた B が所有権を主張できる。批判として、早いもの勝ちになる、B が自分は買主だ と C に通告すると、C が悪意となり、絶対に即時取得できなくなり対等でない、などがある。 (2)肯定説:占有改定であっても即時取得できるとする説。理由として、即時取得の制度 趣旨を前主の占有を信頼して取引をした者を保護しようとする取引安全保護の制度と理解 し(仮定的前提)、重要なのは前主の占有なのであり、取得者は対抗要件(178条)とし ての占有(占有改定でも OK)を具備すれば足りるからである。本ケースでは、C の即時取得 が肯定され、C が所有権を主張できる。批判として、①仮定的前提にそもそも正当性がある かが疑問視される、②次元を異にする対抗要件としての「引渡し」と即時取得の「占有」の 両者を同視している、③遅いもの勝ちとなり、対等でないなどがある。 (3)折衷説(有力):ベースとして、占有改定による即時取得を認めるが、その権利取得 は不確定であり、後に現実の引渡しを受けたときに確定的となるとする説。C は占有改定時 に一応、即時取得するので、B の買主である旨の通告を受けても関係なく、現実の引渡しを 受ければ勝つ。本ケースの場合は、C は即時取得しているので、後に A から現実の引渡しを 受ければ所有権を主張できる。ただし、B が先に A から引渡しを受けた場合は、C は主張出 来ない。この点において、(1)(2)と違い BC の地位は対等である。※指図による占有移転の場合 (ケース2)A は、B に自己所有の絵画を売却して、B のためにこの絵画を預かっておくこ とを約した。その間に、A はこの絵画を自己所有と偽って、D に貸し出した。その後 A はさ らにこの絵画を C に売却し、D に以後その絵画を C のために占有するように命じた。 指図による占有移転の場合、即時取得を肯定するのが判例である。なぜなら、①絵画が D に 移った時点で原所有者(B)の信頼は形の上でも裏切られている(本来は、A が預かってい るはずの絵画を、無関係の D が持っている時点で事情を確認すべき)ので、B に不測の損害 はない、②A は占有を失い、A を媒介とする B の占有も完全に切断されるからである。 時間的に、対プリあげる予定は無かったのですが、最低限のことだけを書いてあげようと思 い、急ピッチで作りました。なので、順番がバラバラで、判例の中身が結論だけとかなり乏 しくなってしまったと思います。申し訳ありません。あとは、各自で、結論に達する理由付 けができるように勉強してもらいたいです。次に、過去問ですが、見た感じだと一問一答の 部分を全部正解できるようになればある程度の問題には対応できると思います。それと、中 間テストのような試験対策に判例も読んでおくと良いかな?対プリの中にもできるだけ百 選の番号を記したので参考にしてみてください。後は、救済の答えでも考えましょう!! では、参考になるか分かりませんが、テスト頑張りましょう。 憲法は、土日で終わればあげます•••