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(1)

戦前期における日本のキリスト教分布と地域区分

小田匡保

*

Distribution of Christianity and the Division of the Region in Prewar Japan

ODA Masayasu

本稿は,現代日本のキリスト教分布について分析した Oda(1999)に続き,明治後期∼昭和戦前期にお ける日本のキリスト教分布と地域区分について検討する。資料は,『内務省統計報告』『文部省年報』『日 本帝国統計年鑑』掲載の宗教施設数を利用する。主な知見は以下のとおりである。1. 1899 年と 1939 年い ずれの年も,宗教施設数が際立って多い教派はなく,現在,プロテスタント全体に近い教勢を持つカト リックも,プロテスタントの 1 教派と同じくらいの規模であった。2. 1899 年から 1939 年まで主要な教派 のほとんどは宗教施設数が増加しているが,日本ハリストス正教会のみが 1918 年をピークとして減少し ている。3. キリスト教全体の宗教施設数は,1900 年,1939 年とも東京が突出して多いが,1939 年には近 畿地方の大阪・兵庫・京都にも集中が見られる。4. 教派によって分布のパターンは異なっている。5. 施 設数最多教派による府県分類で地域区分図を作成すると,複雑で明瞭さに欠ける。6. 同じく地方分類に よる地域区分図では単純化しすぎる面があるが,多少の細分と調整によってより実態に近づけられる。 キーワード:キリスト教,分布,宗教施設,地図化,地域区分

Keywords: Christianity, distribution, religious building, mapping, division of the region

*

駒澤大学文学部地理学教室

Ϩ.はじめに

日本全体のキリスト教分布研究に (地理学から) 先鞭をつけたのは,おそらく望月 (1930:67-68) で あろう。彼は宗教制度調査資料を用いて,キリスト教全体,カトリック,正教会の分布に簡単に言及し ている。次いで1),宗教学からではあるが,池上ほか (1963) は,日本基督教団などいくつかの教派の 都道府県別データを提示し,都市地域での多さを指摘している。徳久 (1968:6-46) は,群馬県におけ るキリスト教受容研究の前段として,明治期以降の日本のキリスト教分布とその変化を分析しており, 時期別の教会設立数や都道府県別信者数など多数のデータを地図化している2)。ただし,データの出所 がほとんど不明で,キリスト教全体のことなのか,プロテスタントあるいは日本基督教団3)のことなの か不明瞭な点が多いのは残念である。簡単な地図化は,その後の徳久 (1972:140,1989:213) にも見 られる。その後,川田 (1989) は,関東地方における教会の立地過程を考察する前段として,全国レベ ルで戦前期のプロテスタント教会の立地をたどっている。筆者は,小田 (1999) や Oda (1999) におい て,現代日本のキリスト教分布について検討し,カトリックと日本基督教団の信者密度を基準にした地 域分類を行なった。 駒澤地理 No.53 pp.23∼34, 2017 Komazawa Journal of Geography

(2)

本稿では,カトリックと正教会,プロテスタントをあわせて,明治後期∼昭和戦前期における日本の キリスト教の教派別分布を明らかにし,地域区分を試みる。明治後期∼昭和戦前期という時期の限定 は,使用する資料の都合である。手法は,小田 (2003,2011) で行なった仏教諸宗派の分布研究と地域 区分のものを応用する。 資料は,『内務省統計報告』『文部省年報』『日本帝国統計年鑑』を利用する。これらには,1899 年 (明治 32) から 1939 年 (昭和 14) までの府県別・教派別宗教施設 (資料では「会堂講義所等」) の数が掲 載されている (ただし,1899 年はクロス集計を欠く)。宗教施設数は信者数と比例するとは限らないが, 長期間にわたってキリスト教全教派の経年変化を追える有用なデータである。 以下,Ⅱ章で主な教派の宗教施設数の推移を概観した後,Ⅲ章では各教派の府県別施設数を地図化 し,分布の特徴を明らかにする。そしてⅣ章では,施設数が最も多い教派で府県・地方を分類し,それ をもとに日本の地域区分を行なう。

ϩ.教派別宗教施設数とその推移

1899 年 (明治 32) と 1939 年 (昭和 14) の教派別宗教施設数は,表 1 のとおりである。1899 年には日本 聖公会が最多で約 20%を占め,次いで日本基督教会,天主公教会 (カトリック),日本メソヂスト教会 (当時は 3 教派に分かれていたものを合計してある。1907 年 (明治 40) に合同),日本組合基督教会,日 本ハリストス正教会の順になっていた。1939 年には日本基督教会が最も多くなるが,その割合は約 15%で,以下,天主公教会,日本聖公会の順である。いずれの年も,際立って多い教派はない。また, 現在の信者数は,カトリック (カトリック中央協議会) がプロテスタント全体の値にかなり近づいてい るが (小田 1999,Oda 1999),これは 1950 年頃の教勢の伸びによるもので (キリスト教年鑑編集部 2004: 84),戦前のカトリックは人数的にも質的にも少数派であった (古屋 2003:235-247) ということが裏づ けられる。 施設数の増減を,1899 年を 100 とする指数で見ると (表 1 ),日本聖公会など明治期からある主要な教 表1 教派別宗教施設数とその推移 教派 1899年 1939年 指数 件数 割合 (%) 件数 割合 (%) (1899年:100) 天主公教会 145 14.1 273 11.7 188.3 日本ハリストス正教会 98 9.5 82 3.5 83.7 日本聖公会 203 19.8 262 11.3 129.1 日本基督教会 180 17.5 347 14.9 192.8 日本メソヂスト教会(注 1 ) 142 13.8 235 10.1 165.5 日本組合基督教会 99 9.6 185 8.0 186.9 日本バプテスト教会 (注 2 ) 54 5.3 75 3.2 138.9 (主要 7 教派計) 921 89.7 1,459 62.8 158.4 その他 106 10.3 865 37.2 816.0 合計 1,027 100.0 2,324 100.0 226.3 資料:『内務省統計報告:第 15 回』『文部省年報:第 67』 注 1 :1899年は美以教会、南美以教会、日本美以教会の合計 注 2 :1899年当時は「浸礼教会」

(3)

派のほとんどは約 1.3 倍から 2 倍近くに増加しているが,日本ハリストス正教会のみが 83.7 に減少して いる。増加が顕著なのは主要 7 教派以外の「その他」で,1939 年は指数が 800 以上にもなっている。そ の結果,1939 年の「その他」の割合は,約 37%に増大している。「その他」の内訳の主なものは,救世 軍 6.3% (147 件),きよめ教会 4.1% (96 件),日本聖教会 3.5% (82 件) で,無所属も 5.3% (119 件) あ る。きよめ教会と日本聖教会は,東洋宣教会日本ホーリネス教会が 1936 年に分離したものである(日 本キリスト教歴史大事典編集委員会 1988 : 939)。 図 1 は,1899 年から 1939 年までの教派別宗教施設数の推移を詳細に見たものである。主要教派のほ とんどがおおよそ増加傾向にあるのに対して,日本ハリストス正教会のみが,1918 年 (大正 7 ) をピー クとして減少に転じていることが分かる4)。また,図 2 は,主要 7 教派と「その他」に分けて推移を見 たものである。「その他」は徐々に増えているが,特に 1920 年代後半以降の増加が著しい5)。その結果, 主要 7 教派と合わせた合計施設数も同じ時期から急増している。 0 50 100 150 200 250 300 350 400 天主公教会 日本ハリストス正教会 日本聖公会 日本基督教会 日本メソヂスト教会 日本組合基督教会 日本バプテスト教会 0 500 1000 1500 2000 2500 その他 主要7教派 図1 教派別宗教施設数の推移(主要7教派) 図2 教派別宗教施設数の推移(主要7教派とその他)

(4)

Ϫ.各教派の分布

次に,表 2 の府県別・教派別宗教施設数データ (1900 年) を地図化する。キリスト教全体の分布状況 は,図 3 のとおりである。1939 年のデータも図 4 として示した。1900 年,府県平均 22.0 件の 2 倍以上 (45 件以上) の施設数があるのは,多い順に東京,北海道,長崎,大阪,宮城・神奈川の 6 府県である。 表2 府県別・教派別宗教施設数(

1900

年) 府県 天主公教会日本ハリストス正教会 日本聖公会 日本基督教会 日本メソヂスト教会 (注 1 )日本組合基督教会スト教会 日本バプテ(注 2 ) その他 合計 類型 調整後の類型 北海道 4 10 36(注 3 ) 8 6 5 3 1 73 日本聖公会 日本聖公会 青 森 2 3 3 1 5 0 1 0 15 日本メソヂスト教会 日本ハリストス正教会 岩 手 4 14 0 2 1 1 1 1 24 日本ハリストス正教会 日本ハリストス正教会 宮 城 2 10 3 19 1 3 1 8 47 日本基督教会 日本基督教会 秋 田 1 1 0 0 1 0 0 1 4 複数教派 日本ハリストス正教会 山 形 2 0 0 5 3 0 0 1 11 日本基督教会 日本基督教会 福 島 1 4 2 7 1 4 0 1 20 日本基督教会 日本基督教会 茨 城 1 0 0 0 2 0 1 4 8 その他(友愛及基督教会3) 日本基督教会 栃 木 3 2 0 4 2 0 2 0 13 日本基督教会 日本基督教会 群 馬 1 6 2 2 2 8 0 2 23 日本組合基督教会 日本組合基督教会 埼 玉 0 0 7 6 4 0 0 1 18 日本聖公会 日本基督教会 千 葉 2 3 4 6 3 0 0 5 23 日本基督教会 日本基督教会 東 京 8 9 20 26 15 3 9 30 120 日本基督教会 日本基督教会 神奈川 3 4 3 8 8 1 12 8 47 日本バプテスト教会 日本メソヂスト教会 新 潟 2 2 1 2 1 6 0 1 15 日本組合基督教会 日本組合基督教会 富 山 1 0 0 1 1 0 0 0 3 複数教派 日本メソヂスト教会 石 川 1 0 1 4 3 0 0 0 9 日本基督教会 日本基督教会 福 井 0 0 2 2 1 1 0 0 6 複数教派 日本基督教会 山 梨 2 1 0 0 10 0 2 0 15 日本メソヂスト教会 日本メソヂスト教会 長 野 1 2 6 8 13 0 0 0 30 日本メソヂスト教会 日本メソヂスト教会 岐 阜 1 0 6 9 1 0 0 1 18 日本基督教会 日本基督教会 静 岡 4 5 3 4 9 0 0 7 32 日本メソヂスト教会 日本メソヂスト教会 愛 知 2 5 5 4 7 1 0 9 33 日本メソヂスト教会 日本メソヂスト教会 三 重 1 0 5 5 0 1 0 0 12 複数教派 日本聖公会 滋 賀 0 0 3 0 0 5 0 0 8 日本組合基督教会 日本組合基督教会 京 都 3 2 3 2 1 19 2 0 32 日本組合基督教会 日本組合基督教会 大 阪 4 1 13 11 4 8 8 2 51 日本聖公会 日本聖公会 兵 庫 2 1 6 4 5 10 4 4 36 日本組合基督教会 日本組合基督教会 奈 良 0 0 5 0 0 2 0 0 7 日本聖公会 日本聖公会 和歌山 1 1 4 4 0 0 0 0 10 複数教派 日本聖公会 鳥 取 1 0 5 0 0 2 0 0 8 日本聖公会 日本聖公会 島 根 2 1 12 1 0 0 0 0 16 日本聖公会 日本聖公会 岡 山 3 3 0 0 0 12 0 3 21 日本組合基督教会 日本組合基督教会 広 島 3 1 4 4 5 1 0 2 20 日本メソヂスト教会 日本メソヂスト教会 山 口 2 0 0 8 5 0 2 0 17 日本基督教会 日本メソヂスト教会 徳 島 1 0 7 2 0 0 0 0 10 日本聖公会 日本聖公会 香 川 0 0 0 1 1 0 1 0 3 複数教派 日本基督教会 愛 媛 0 0 0 2 3 5 0 0 10 日本組合基督教会 日本基督教会 高 知 1 0 0 5 0 1 0 0 7 日本基督教会 日本基督教会 福 岡 4 1 8 3 7 1 2 1 27 日本聖公会 日本メソヂスト教会 佐 賀 3 0 0 2 1 0 0 5 11 その他(福音路帖5) 天主公教会 長 崎 54 0 3 3 3 0 2 0 65 天主公教会 天主公教会 熊 本 7 1 4 0 1 3 2 2 20 天主公教会 天主公教会 大 分 3 1 1 1 1 0 0 0 7 天主公教会 天主公教会 宮 崎 1 3 3 1 0 3 0 0 11 複数教派 天主公教会 鹿児島 8 1 1 1 2 0 0 0 13 天主公教会 天主公教会 沖 縄 0 0 2 0 3 0 1 0 6 日本メソヂスト教会 日本メソヂスト教会 合計 152 98 193 188 142 106 56 100 1,035 資料:『内務省統計報告:第16回』 注 1 :美以監督教会、南美以教会、日本美以教会の合計 注 2 :資料当時は「浸礼教会」 注 3 :太字は府県内で最多の数値

(5)

1939 年,府県平均 49.4 件の 2 倍以上 (99 件以上) の施設数があるのは,多い順に東京,大阪,兵庫,北 海道,京都の 5 府県である。両年次とも東京が突出して多いが,1939 年には近畿地方の大阪・兵庫・京 都にも集中が見られる。表 3 は,上記の 8 府県だけを抜粋して増加の指数を計算したものである。兵庫 と京都の増加率が高く 3 倍以上になっており,次いで東京が高い。初期に施設数が多かった北海道,長 崎,宮城の伸びはそれほど大きくなく,日本の中での比重が低下していることが分かる。 教派別に分布を見ると,まず天主公教会 (図 5 ) は長崎に圧倒的に多い。日本ハリストス正教会 (図 6 ) は東日本に多いが,特に岩手・宮城・北海道に集中している。日本聖公会 (図 7 ) は多い地点が分散し ており,北海道,東京,大阪,島根に多い。日本基督教会 (図 8 ) は比較的まんべんなく分布している が,特に東京,宮城に多い。日本メソヂスト教会 (図 9 ) は,東京・神奈川の他,甲信・東海(静岡・ 愛知) 地方に集まっているのが特徴である。日本組合基督教会 (図 10) は,近畿地方北部 (京都・兵庫・ 大阪) と岡山に多い。日本バプテスト教会 (浸礼教会) (図 11) は神奈川,東京,大阪に多く見られる。 表3 主な府県の宗教施設数とその推移 府県 1900年 1939年 指数 (1900年:100) 北海道 73 108 148 宮 城 47 61 130 東 京 120 355 296 神奈川 47 90 191 京 都 32 103 322 大 阪 51 133 261 兵 庫 36 128 356 長 崎 65 97 149 日本全体 1,035 2,324 225 資料:『内務省統計報告:第 16 回』『文部省年報:第 67』 図3 キリスト教全体の施設分布(

1900

年) 図4 キリスト教全体の施設分布(

1939

年)

(6)

図7 日本聖公会施設の分布(

1900

年) 図8 日本基督教会施設の分布(

1900

年) 図5 天主公教会施設の分布(

1900

年) 図6 日本ハリストス正教会施設の分布(

1900

年)

(7)

ϫ.地域区分

地域区分にあたっては,小田 (2003,2011) と同様,各府県で施設数が最も多い教派を指標とする。 施設数最多教派で府県を分類すると,天主公教会が最多の府県 4 ,以下,日本ハリストス正教会 1 , 日本聖公会 8 ,日本基督教会 10,日本メソヂスト教会 7 ,日本組合基督教会 7 ,日本バプテスト教会 図9 日本メソヂスト教会施設の分布(

1900

年) 図

10

 日本組合基督教会施設の分布(

1900

年) 図

11

 日本バプテスト教会施設の分布(

1900

年)

(8)

1 ,その他 2 ,最多教派が複数 7 となる (表 2 )。これを地図化した地域分類図が図 12 である。その他と 最多教派複数を合同させても 8 の類型ができ,しかもそれらがかなり複雑に入り組んだ図になる。 これを単純化して地域区分図を作成する。旧稿と同様に,(北海道・沖縄を除いて)孤立した府県が できないよう,隣接地域の主要教派を考慮しながら教派を調整し,さらに最多教派複数の 7 府県をいず れかの教派の類型に所属にさせた6)。結果的に 15 の府県で類型の変更を行ない,最終的な府県分類は, 6 類型で,天主公教会 6 ,日本ハリストス正教会 3 ,日本聖公会 8 ,日本基督教会 14,日本メソヂスト 教会 10,日本組合基督教会 6 となった (表 2 )。これを地図化した地域区分図が図 13 である。北から, 北海道=日本聖公会地域,北東北=日本ハリストス正教会地域,南東北・関東=日本基督教会地域,群 馬・新潟=日本組合基督教会地域,中部=日本メソヂスト教会地域,岐阜・北陸=日本基督教会地域, 北近畿=日本組合基督教会地域,南近畿=日本聖公会地域,山陰=日本聖公会地域,西山陽・福岡=日 本メソヂスト教会地域,四国=日本基督教会地域,九州=天主公教会地域,沖縄=日本メソヂスト教会 地域の 13 区画に区分することができる。しかし,これでもまだ複雑で明瞭さに欠けることは否定でき ない。13 の区画数はやはり多すぎると言うべきであろう。 そこで,今度は府県別ではなく地方単位で集計して (表 4 ) 考えてみたい7)。そうすると,類型数は, 日本ハリストス正教会や「その他」などがなくなって 5 となる。表 4 の地方分類を地図化したものが図 14 である。北から,北海道=日本聖公会,東北・関東・北陸=日本基督教会,東山・東海=日本メソ ヂスト教会,近畿=日本組合基督教会,中国=日本聖公会,四国=日本基督教会,九州・沖縄=天主公 教会の 7 区画に分かれる。先ほどの図 13 に比べれば,ずいぶん分かりやすいが,単純化しすぎている 面もなくはない。そこで,地方内部での相違が明瞭な東北地方と近畿地方をそれぞれ南北で二分し (北 東北=日本ハリストス正教会と,南近畿=日本聖公会を独立させる),さらに境界の府県(岐阜,三 重,岡山,徳島,福岡)の教派を調整すると図 15 のようになる。類型数は 6 ,区画数は 9 で少し複雑 だが,より実態に近づいた地域区分図になったとは言えるであろう。 表4 地方別・教派別宗教施設数(

1900

年) 地方 天主公教会トス正教会日本ハリス日本聖公会 日本基督教会 日本メソヂスト教会 日本組合基督教会 日本バプテスト教会 その他 合計 類型 調整 北海道 4 10 36 8 6 5 3 1 73 日本聖公会 東北 12 32 8 34 12 8 3 12 121 日本基督教会 青森・岩手・秋田を正教会にする 関東 18 24 36 52 36 12 24 50 252 日本基督教会 北陸 4 2 4 9 6 7 0 1 33 日本基督教会 東山 4 3 12 17 24 0 2 1 63 日本メソヂスト教会 岐阜を基督教会に する 東海 7 10 13 13 16 2 0 16 77 日本メソヂスト教会 三重を聖公会にす 近畿 10 5 34 21 10 44 14 6 144 日本組合基督教会 大阪・奈良・和歌 山を聖公会にする 中国 11 5 21 13 10 15 2 5 82 日本聖公会 岡山を組合基督教会にする 四国 2 0 7 10 4 6 1 0 30 日本基督教会 徳島を聖公会にす る 九州・沖縄 80 7 22 11 18 7 7 8 160 天主公教会 福岡を聖公会にす 合計 152 98 193 188 142 106 56 100 1,035 資料:表 2 太字は地方内で最多の数値

(9)

0

400km

天主公教会

日本ハリストス正教会

日本聖公会

日本基督教会

日本メソヂスト教会

日本組合基督教会

日本バプテスト教会

その他/複数教派

0

400km

天主公教会

日本ハリストス正教会

日本聖公会

日本基督教会

日本メソヂスト教会

日本組合基督教会

12

 施設数最多教派による地域(府県)分類 図

13

 施設数最多教派による地域区分(府県分類に基づく)

(10)

0

400km

天主公教会

日本聖公会

日本基督教会

日本メソヂスト教会

日本組合基督教会

14

 施設数最多教派による地域(地方)分類



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15

 施設数最多教派による地域区分(地方分類に基づく)

(11)

Ϭ㸬おわりに

以上,本稿では,『内務省統計報告』『文部省年報』『日本帝国統計年鑑』掲載の宗教施設数を資料と して,明治後期∼昭和戦前期における日本のキリスト教分布と地域区分について検討した。主な知見は 以下のとおりである。 1 .1899 年と 1939 年いずれの年も,宗教施設数が際立って多い教派はなく,現在,プロテスタント全 体に近い教勢を持つカトリックも,プロテスタントの 1 教派と同じくらいの規模であった。 2 .1899 年から 1939 年まで主要な教派のほとんどは宗教施設数が増加しているが,日本ハリストス正 教会のみが 1918 年をピークとして減少している。 3 .キリスト教全体の宗教施設数は,1900 年,1939 年とも東京が突出して多いが,1939 年には近畿地 方の大阪・兵庫・京都にも集中が見られる。 4 .教派によって分布のパターンは異なっている。 5 .施設数最多教派による府県分類で地域区分図を作成すると,複雑で明瞭さに欠ける。 6 .同じく地方分類による地域区分図では単純化しすぎる面があるが,多少の細分と調整によってより 実態に近づけられる。 なお,本稿には掲載しなかったが,1939 年に関しても各教派の分布図や地域区分図を作成してみた。 分布の傾向や地域区分図は異なるが,大きな変化と言えるほどのものではない。 また,第二次世界大戦後との比較に関しては,指標の相違を考慮する必要がある。戦前を扱った本稿 では資料の都合から宗教施設数を指標としたが,戦後の公的宗教統計である『宗教年鑑』では宗教団体 数,宗教法人,信者数などが表示されている(ただし,それらの教派別内訳は不明であり,教派別の分 布研究には利用できない)。また,プロテスタントのほとんどの教派は,1941 年 (昭和 16) に合同して 日本基督教団を結成し,戦後にまた一部が分離するという複雑な経過をたどっており,プロテスタント 各教派の厳密な比較は困難である。 注 1) 当麻 (1961:67,76) によれば,小林 (1954) の論文があるというが,雑誌の所在を確認できず未見である。 2) 徳久の研究は従来あまり注目されてこなかったが,それは,徳久 (1968) が国立国会図書館や主要な大学の 図書館に所蔵されておらず,研究者の目に触れなかったためであろう。筆者のかつての私的経験を述べれ ば,彼の訳書『宗教地理学』の訳者略歴欄で本書の存在は知りえたが,国立国会図書館にもなく,幻の書で あった。古書店から本書を入手し実見したのは,インターネットが普及して後のことである。現在では国立 情報学研究所の CiNii によって,ミッション系の四つの大学図書館に所蔵されていることが分かる。 3) 徳久は,日本基督教団所属のクリスチャンで,教界の役職にも就いていた (キリスト教年鑑編集委員会 2016:941)。2016 年に死去している (無署名 2016)。 4) 黒川 (2014:125-126) によれば,正教会は,日露戦争のころから宣教活動が停滞し,さらに 1917 年のロシ ア革命でロシアからの資金援助が途絶えたことや,大正時代に共産主義に対する弾圧が強まったことから後 退を余儀なくされたという。 5) 1929 年に始まった超教派の組織的宣教運動「神の国運動」も一因かもしれない。黒川 (2014:301-325)。 6) 神奈川は 1904 年に日本基督教会 7,日本メソヂスト教会 8 となること,富山は 1901 年に日本基督教会 1 ,日 本メソヂスト教会 2 となることから,それぞれ日本メソヂスト教会に分類した。同一教派が連続しない青 森・岩手・秋田,広島・山口・福岡,香川・愛媛・高知は,それぞれ 3 県を合計して最多になる教派とした。 7) いわゆる 8 地方区分では中部地方が広すぎると判断し,本稿では中部地方を北陸 (新潟・富山・石川・福 井),東山 (山梨・長野・岐阜),東海 (静岡・愛知) の 3 地方に分け,近畿地方の三重も東海地方に含めた。

(12)

Distribution of Christianity and the Division of the Region in Prewar Japan

ODA Masayasu

*

Following the author’s previous study (Oda 1999) which analyzed the distribution of Christianity in current Japan, this paper looks into its spread and the division of the region between 1899 and 1939. The materials are the number of religious buildings published in Statistical Report of the Home

Ministry, Annual Report of the Education Ministry and Japanese Empire Statistical Yearbook.

Main findings are as follows:

1. There is no outstanding denomination in terms of the number of buildings in both 1899 and 1939. Even the Catholic Church had as much share as one Protestant denomination, whereas its scale is currently close to that of the whole Protestants.

2. While most of the main denominations increased from 1899 to 1939, the Orthodox Church in Japan decreased after 1918.

3. Christian buildings were much more located in Tokyo than any other prefecture in both 1900 and 1939, but a concentration in 1939 can be found in Osaka, Hyogo and Kyoto in Kinki region, too. 4. The distribution patterns are different by denomination.

5. The map of the division of the region based on the prefectural unit is complicated and unclear. 6. The map based on the regional unit is a little too simplified, but able to be close to the reality by

some subdivision and arrangement.

*

Professor in the Department of Geography, Komazawa University 文 献 池上廣正ほか 1963. 諸宗教の全国分布―統計資料による―. 人類科学 15:41−79. 実際の執筆は藤井正雄である. 小田匡保 1999. 日本におけるキリスト教の分布. 日本地理学会発表要旨集 56:210−211. 小田匡保 2003. 日本における仏教諸宗派の分布―仏教地域区分図作成の試み―駒澤地理 39:37−58. 小田匡保 2011. 新潟県における寺社の分布と地域区分.駒澤地理 47:13−33. 川田 力 1989. 日本におけるプロテスタント・キリスト教会の立地過程:明治期・関東地方を中心として. 地理 科学44 (4):207−222. キリスト教年鑑編集委員会編 2016. 『キリスト教年鑑 2016 年版』キリスト新聞社. キリスト教年鑑編集部編 2004. 『キリスト教年鑑 2005 年版 特集・記録・統計集』キリスト新聞社. 黒川知文 2014. 『日本史におけるキリスト教宣教:宣教活動と人物を中心に』教文館. 小林 勉 1954. 我国キリスト教の地理的分布について. 地理と歴史(帝国書院)1.(未見) 当麻成志 1961. 日本宗教地理学の提唱. 人文地理 13 (4):65−78. 徳久球雄 1968. 『宗教地理学研究』三弥井書店. 徳久球雄 1972. 文化地理学各論(1)―宗教地理―. 小林望・徳久球雄『現代地理学の課題』139−171. 学文社. 徳久球雄 1989. 宗教と地域. 小林望・徳久球雄・小林徹『現代地理学への招待』204−235. 学文社. 日本キリスト教歴史大事典編集委員会編 1988. 『日本キリスト教歴史大事典』教文館. 古屋安雄 2003. 『日本のキリスト教』教文館. 望月勝海 1930. 地理学的に見たる日本の宗教.地理学評論 6:64−74.

Oda, M. 1999. Distribution of Christianity in Japan. The Pennsylvania Geographer 37 (1):17−32. (無署名) 2016. (訃報)徳久球雄(とくひさ・たまお)さん.キリスト新聞3421(2016.11.19):8.

参照

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