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DSpace at My University: Ⅳ 教職課程活動報告 5 教育実習報告・レポート

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4. 教育実習レポート 英語教育の実態と課題 工藤 由美恵 Ⅰ. はじめに 5 月の終わりから 6 月の中頃にかけて、 公立中学校で3週間、 教育実習をさせていただいた。 担当は英語科である。 近年、 公共の英語科教育については様々な動きが見られ、 それと同時に、 課題も挙げられている。 初等教育での導入、 受験英語と活 きた英語のミスマッチなどである。 メディアなどで取り上げられてはいるが、 その実態はどうなっているのだろうか。 教育実習を通 じて見えてきた英語科教育現場の実態と課題について述べていきたい。 Ⅱ. 生徒の実態 私が英語科実習を担当したのは、 第三学年の全5クラス、 各4コマの計20時間である。 第三学年は男子88名、 女子79名の 計167名であり、 各クラス33名前後で構成されていた。 ほとんどのクラスの生徒が授業に対して積極的であり、 授業中の反応も 良かった。 積極的に授業に参加しようという生徒が多く、 明るい雰囲気で学習を進めることができていた。 授業中に与えられた課 題に対しては真剣に取り組む姿勢が見られ、 質問があれば聞くなどの向上心も見られた。 英語を発音することへの抵抗はあまり なく、 授業中も多くの生徒が大きな声で発音できていた。 しかし、 理解度に関しては、 新学年に上がり約 2 ヶ月ほどであったが、 クラス、 またクラス内でも差が生じてきているように感じた。 また、 ほとんどの生徒が真面目に授業を取り組むことができていたが、 中には英語の学習に困難を感じ、 積極的に学習に取り組めない生徒もいたため、 こうした生徒に対するケアについても、 本文で 考察をおこないたい。 Ⅲ. 効果的な指導 A. タスクの取り入れ まず、英語科指導における効果的な方法について述べていきたい。 近年では、コミュニケーション志向の英語教育が重視され、 タスクを取り入れた授業が多く行われている。 タスクとは、「何らかの目的、しかも言語そのものを対象とした学習以外の目的を持ち、 主として言語の処理、 理解、 そして情報あるいは意味のやり取りを通して行われるコミュニケーション活動により、 何らかの形ある ものを結果として生み出す活動である」 (三浦 ,2009)。 つまりは、 教師が一方的に説明をすることに重点を置くのではなく、 実際 に生徒たちが英語を使用した活動を中心に授業を展開していくということだと思われる。 私も教育実習をする上で、 Activity (活 動) の部分に時間的比重の重きを置いていた。 最初の頃は、 理論的展開の講義形式の授業になりがちで生徒たちに活動させ る時間に余裕を持つことがうまくできずにいた。 生徒たちも講義形式の授業では積極的に参加する機会がなく、 英語の授業なら ではの活動的な雰囲気が見られなかったように思われる。 また、 教師自身も生徒と関わる時間も少なかったように思われる。 活動 に重点を置いた授業にしてからは、 生徒が活動を通じて積極的に授業に参加できることができていたように思われる。 また、 活 動時に机間支援を行うことによって、 生徒の習熟度の確認や、 大まかではあるが個々へのアドバイスが可能であったように思われ る。 こうした活動をより効果的にするには、 導入などの活動前の段階をどれだけシンプルかつ明確にするかが大事だと思われる。 理論的にすべてを説明しようとしたならば、 時間がかかり、 活動への移行はできない。 逆に説明を簡素化しすぎても生徒の理解 度に支障をきたすおそれがある。 ここでは、 教師が教えるべきポイントを的確に見抜き、 シンプルにわかりやすくまとめるチカラが 必要であるように思われる。 B. 教員の明確な指示 次に、 英語科の授業を進めるにあたって効果的な方法について述べていきたい。 教員の指示と、 各活動における目標設定で ある。 まず、教員の指示については、とにかく細かなことも明確に出すということである。 例えば、ペアで活動をさせる際に、「では、 ペアを作ってやってみて」 というような指示をするのではなく、 「隣の人とペアになって、 じゃんけんをして勝った人から順番にやっ てみてね」 というふうに全員が理解し、 すぐに活動に入れるような指示をすることである。 活動以外で時間ロスをしない指示を出 すことが、 スムーズに活動に入るために必要であると考えられる。 また、 活動に入ってからは、 生徒が活動に集中できるように、 途中での指示はしなくて済むように事前に必要な指示はまとめてしておく方が望ましいと思われる。 もし指示が必要な場合には、 気づいたことをどんどん言うのではなく、 ある程度まとめ一回で済ませられるようにすることが大切であると思われる。 その際には、

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全員がしっかり理解できるように姿勢を作らせることも重要であると思われる。 C. 各活動における目標設定  次に、 各活動における目標設定を行うということについて述べていきたい。 これは、 いかにして生徒に活動のモチベーションを 持たせるかということである。 私の場合は、 ゲームの要素を取り入れるということを行った。 例えば、 文法や単語確認の際に、 た だ個人で確認をさせるのではなく、時間制限を設けて何個できるかペアで確認し合うということを行った。 さらには、事前にボーダー を想定した指示とチャレンジボーダーの指示を行い、 目標意識を持てるようにした。 特に時間制限を設けるということは、 生徒の モチベーションを高めるにあたっては有効であったように思われる。 また、 これらはメインとなる活動のほか、 導入や復習の活動 にも有効であった。 Ⅳ. 英語科指導における課題 A. モチベーションの向上 英語科指導を実施する上で重要なのが、 いかにして生徒のモチベーションを上げるかということであると考えられる。 他教科と 比べ、 Activity など発話の機会の多い英語科では、 いかにして生徒を参加させるかが課題であると考えられる。 また、 この発話 の機会の多さを活かすことも教師に求められていることであると思われる。 英語科の持つ独特の雰囲気を活かし、 普段はおとなし い子が堂々と発表することができるようにするなどのことが大事だと思われる。 研究授業を行ったクラスで実施した学習に関するアンケートでは、 英語を話せるようになりたいと答えた生徒は 33 人中 32 人に 対し、 英語が好き、 またはどちらかというと好きと答えた生徒は 23 人であった。 このことから、 英語の必要性を感じつつも、 学習 に困難を感じている生徒がいることがわかる。 また、 英語を話すことに関して、 22 人が抵抗はない、 またはあまり抵抗はないと答 えたのに対して、 抵抗がある、 または少し抵抗があると答えた生徒は 11 人であった。 しかし、 英語を使って活動をすることが楽 しい、 またはどちらかというと楽しいと答えた生徒は 28 人であり、 抵抗を抱きつつもほとんどの生徒が英語を使っての活動を楽し んでいることがわかる。 また、 こうした抵抗感をなくすためにも、 クラスルーム・イングリッシュの多用や、 クラス内での英語のチェッ ク機能を充実させ、 生徒たちが自信を持って活動ができるようにすることが大切だと思われる。 また、 英語が得意と感じている子と苦手と感じている子のモチベージョンをどう上げるかも授業を展開していく上での課題であ る。 苦手意識のある生徒たちにポイントを置いて授業を展開していっては、 得意と感じている生徒たちを放置し、 彼らのモチベー ションを下げることに繋がる。 逆に、 英語を得意と感じている生徒たちにポイントを置いて授業を展開していくと、 今度は苦手意識 のある生徒たちを置き去りし、 彼らのモチベーションを下げることに繋がってしまう。 全てのレベルの生徒たちをカバーできるような 授業展開ができれば理想的であるが、 双方の理解度の差が大きい場合実践するのは難しいように思われる。 こうした場合、 まず、 教師はどのレベルの子どもたちを中心に展開していくかを、 決めることが大切であると考えられる。 また、 活動において数段階の レベルを用意し、 生徒たちのモチベーションを上げるように指示を出すことが大切であると考えられる。 B. 4技能のバランス 英語科指導をする上で課題となるのが4技能のバランスを授業にどう組み入れるかということであると思われる。 4技能とは、 ライ ティング、 リーディング、 リスニング、 スピーキング、 の4つである。 これら4技能のバランスを考えた授業展開が重要であると思わ れる。 また、 生徒の苦手意識や得意意識を加味して行うのも大切であると考えられる。 また、 英語を習得するにあたり、 これらの バランスは非常に重要であると考えられる。

  学習に関するアンケートでの動詞を過去分詞に変換させる問題では、 “swim” の過去分詞 “swum” を “swam” と書く生徒が 数人見られた。 また、同様に発音に沿ってローマ字表記をするということが、全クラスを含めた実習全体を通して度々見受けられた。 これは、 リスニングとスピーキングとリーディングの力はついているが、 ライティングに関してはまだ練習が必要であるということを表 しているのではないかと思われる。 また、 これらは実際に書かせてみないとわからないため、 実際に書かせるということの重要性 を認識し、 教員が確認、 あるいはペアやグループでの確認の場を意図的に設けることが大切であると考えられる。 C. 理論と実践 次に、 英語科授業展開における理論と実践のバランスについて述べていきたい。 授業を展開していく上で、 文法事項などの 理論的部分と活動を含む理論的な部分の割合をどうするかである。 現役の英語科の先生たちによると、 先生方の時代の英語科 教育法では、 英語をシャワーのように浴びせること、 英語で授業を展開していくことが主流であったということである。 確かに、 授 業参観させていただいた第1学年、第2学年の英語科の授業では英語で指示が出されて、英語で授業が展開されていた。 しかし、 担当させていただいた第3学年の英語科授業では、 3割ほどの割合で日本語が授業で使用されていた。 これらは、 複雑な文法 をしっかりと確認させるための配慮である。 もしこれらの文構造等を英語で説明した場合には、 英語が苦手と感じている生徒にとっ

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ては二重苦となる。 さらには、英語を得意と感じている生徒と苦手と感じている生徒の、理解度にも大きな差を及ぼすと考えられる。 これらのことから、 英語科の授業を展開していく上で、 英語を使用して実践的に行うことも大切ではあるが、 生徒の様子を察しな がら、 要所では日本語で説明するなど、 論理的に理解を深めることも大切であると考えられる。 Ⅴ. 指導準備の重要性 次に、 指導準備の重要性について述べていきたい。 これは私が実習を重ねる内で最も重要である感じたことのひとつである。 授業を行う上で、 教材研究を行い、 指導案を作成し、 教材を準備することは当たり前のことである。 私が痛感したのは、 これを 実際に授業として進める練習である。 まず、 出来上がった指導案の内容と流れを頭に入れておくことは最低でもやっておかなけ ればならない。 これができていなければ授業の流れを教師自身がつかめていないということになってしまうからである。 また、 出来 上がった教材に関しても、 内容を把握し、 机間指導や机間支援の際に生徒のつまずいている場所の把握や適切なアドバイスが できるようにしておくべきであると考える。 また、 事前に生徒がつまづくと思われるポイントを押さえておくことによって、 時間ロスを 抑えて、 活動の時間に余裕を持たせることも可能である。 そして、 新任教師にとって大切なのが、 板書計画と練習であると思わ れる。 一度黒板に書いたことは、 基本書き直さない。 何度も消したり書いたりしていては、 生徒が、 どこが重要ポイントなのかわ からなくなってしまうからである。 こうしたことがないようにしっかりと計画を立て、 実際に書いて練習を行うことが大切である。 実際 に書いてみて配色や、 配置の適切、 不適切を確認することができるからである。 こうした授業準備のさらに準備を行うことによって、 より良い授業が実施できるのではないかと思われる。 Ⅵ. 授業雰囲気と関係性の構築 次に、 授業雰囲気と関係性の構築について述べていきたい。 授業を活発に展開していくには、 授業雰囲気のコントロールと生 徒との関係性を構築する必要があると考えられる。 A. 授業の雰囲気 まず、 教師が授業雰囲気をコントロールするということについて述べていきたい。 英語科の授業展開で独特なのが、 4技能を使 用した活動的な授業展開であると思われる。 また、 英語を使っての自由な発話や、 ゲーム要素を取り入れたアクティビティなどは、 英語学習に対して、 生徒の興味をひく大きな要素ではないかと考えられる。 英語を使っての自由な発話を生徒に促す場合、 教 師が何気ない一言でも英語で述べることによって、 アウトプットが自然におこなわれると思われる。 また、 私の場合、 普段より多い、 120%の元気で授業に取り組むことを意識した。 こうした私の姿を見ることによって、 英語の授業のもつ非日常性を感じてもらい、 自らも活発になることによって、 活動的な授業雰囲気を作れるのではないかと考えたからである。 実際に、 教師側が活発に授業 をおこなった場合には、 生徒も同様のテンションで返してくれていた。 例えば、 活動を開始する際の掛け声を “Are you ready?” と通常のもので述べた場合には、 “Yes.” という風に通常のテンションでの返答や、 または返答なしかのどちらかであった。 しかし、 “Are you ready!?” とテンションを上げて強調して述べた場合には、 “Yes” という返答の他に “Yeah!!” というような返答もちらほら 聞こえるようになった。 こうしたことから、 活動的に授業を展開していくには、 教師が活動的で陽気な人物になりきって授業を展開 していくことも一つの手立てとして有効ではないかと考えられる。 また、授業雰囲気を考える上で、考えたことは、生徒たちのテンションは教師のテンションに影響されるということである。 これは、 生徒たちがいかによく教師を観ているかということがわかった。 もし、教師が不安を抱えて授業を行った場合には、教師側のテンショ ンは上がりきらないことはおろか、 教師の抱える不安も無意識に生徒に伝染してしまう。 こうした不安をなくすためにも、 上記で述 べたような指導準備が必要であると考えられる。 また、 不安を払拭しきれない場合でも、 教師はテンションを上げて、 活動的にク ラスを引っ張る役を演じることが必要であるように感じた。 生徒は教師をよくみている。 もし、授業が思うように進まなかった場合や、 生徒の反応が悪い場合には、 他にも理由はあるかもしれないが、 自分のテンションはどうであった、 活動的に生徒と関われてい たのかを振り返ってみることも大事なことではないかと思われる。 B. 生徒との関係性の構築 次に、 生徒との関係性を構築していくことの重要性について述べたい。 これは、 特に生徒との関係性を構築することは実習を するにあたり、 担当教諭に何度も指南していただいたことである。 多くの生徒にとって、 英語を学ぶということは未知のもの習得で あり、 さらにはそれを使って活動までを他の生徒と関わりながらおこなうため、 不安と感じる生徒が多いように感じる。 塾などで事 前に学習した生徒や、 英語を得意と感じている生徒は、 実習初日からも中心となって動けていた。 しかし、 反応の薄い生徒も多 くおり、 授業を活発に動かすことができずにいた。 実習をおこなっていく過程で、 反応の薄かった生徒からも、 分からない部分の 質問が出るようになり、 机間支援の際の反応もよくなっていったように感じる。 また、 得意と感じている子や苦手と感じている子を

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教師側が把握することによって、 机間支援や机間指導も効果的に行えるようなったように思われる。 また、 生徒が私に慣れること と比例して、 授業も活発になっていったように思われる。 また、 休み時間など授業外でも積極的に関わったクラスほど、 実際の授 業での反応もよくなったように思われる。 はじめの頃は授業中以外関わりのなかった生徒たちも、 授業後に自主的にプリントの添 削を願い出る生徒や、 授業で行った活動のチェックをしにくる生徒たちも現れた。 生徒たちと、 過ごす時間をつくり、 関係性を築 くことも、 授業を展開するうえでの重要な要素であると考えられる。 Ⅶ. おわりに 本文では、 教育実習を終えて、 英語指導上の課題と効果的な指導法などについて、 気づいたことに対して述べてきた。 3週 間の実習を終えて、 様々な課題に直面した。 これらの経験から、 何よりも大事だと感じ、 学んだことは、 生徒のことを考えて自ら の全力を出し切るということである。 生徒が興味を持ちそうな教材を用意する、 生徒が活動を意欲的に取り組めるにはどうしたらよ いか、 など実習中は常にそのことで頭が一杯であった。 しかし、 まだまだ未熟で教授法のレパートリーも少ししかない状態では、 ありきたりのアイデアばかりであった。 それでも、 なんとか授業に生徒たちが付いてきてくれたのは、 精一杯の自分に生徒たちが 応えてくれたからではないかと思う。 生徒たちは本当に教師を観ているのだと感じ、 拙い説明でも頑張って授業についてきてくれ たことは本当に印象的である。 私がもう一度教壇に立つ時には、 たとえ知識や経験が豊富になったとしても、 実習の時のように、 一つ一つの授業で全力を出してぶつかることができる教師でありたいと思う。 参考文献 三浦省吾. 深澤清次. (2009). 「英語科―授業の理論と実践」. 京都. ミネルヴァ書房. 教育実習を通じて、 考えた課題とその解決に向けたビジョン 中尾 実可   I. はじめに 平成21年4月から小学校5、 6年を対象に外国語活動が導入された。 また、 平成24年4月から中学校での極力英語を使った 英語教育が導入された。 これらは、 21世紀の社会を生きるうえで新しい知識 ・ 情報 ・ 技術が基盤として必要となると考えられて いる (2008, 文部科学省 )。 そのなかで確かな学力、 豊かな心、 健やかな体の調和を大切にする 「生きる力」 を育むことが大切 となるのだ (2008, 文部科学省 )。 その中でも特に、 確かな学力や、 OECD (経済協力開発機構) のPISA調査などの学力試 験の結果から考えられるさまざまな課題点を考慮し、 編成が行われた (2008, 文部科学省 )。 しかし、 実際の学校現場では担当 の教科を教えるだけでは学校は成立しない。 特に中学校では、 生徒指導が重要な教師の仕事である。 そのため、 担当の教科 を教えるということは当たり前で、 教えることに加え生徒指導を行うことが現場では求められている。 また、 学級を持たれる教員は 学級経営も行わなければならない。 学級内のさまざまな問題を解決するだけではなく、 クラスのレイアウトなどにも工夫を凝らし、 生徒にとって学習が行いやすい、 居心地の良い場所を作らないといけない。 そのような環境下でどのように学習指導要領の編成 が教員に受け取られ、 対応されているかという視点に立って教員、 生徒が抱える課題について考えたい。 II. 中学校での英語教育の実態 実際の中学校を訪問させていただき疑問に思ったことは、 英単語にカタカナをふっていたことだ。 中学1年生だけではなく2,3 年生までもがカタカナをふる癖がついてしまっているように思われた。 また、 実際に使用している教科書には発音記号が表記され ていないことにも驚いた。 これでは、 折角の小学校の外国語活動の目的が達成されていないように思われる。 この現状に教員も それぞれ考えを持たれ、 取り組まれているようだが、 生徒の習熟度などに合わせてこのようにカタカナをふって発音がわかるように しているのだ。 そして、 実際に生徒にカタカナ表記のある単語プリントについてどう思うかを尋ねて見た。 生徒からは、 読み方が わからなかったり、 発音が合っているか不安なので表記されていた方が安心するという答えが返ってきた。 実際の現場では、 この ように発音に関してカタカナ表記を使うことで生徒が安心できるというメリットを持つかもしれないが、 通じる英語や教員の苦労を考 えるとカタカナ表記はあまり使用しない方が良いと考える。 また、L と R の発音の違いなどはカタカナでは言い表すことができない。 そのため、 カタカナ表記には疑問を持った。 その一方で、 しっかりとイントネーションの上げ下げなどは、 教科書に書かれており

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指導も行われていた。 英語らしく発音するという点において、 イントネーションはとても大切なものであると考えるため、 このことは 大変感心した。 そして、 複数形を学ぶ単元での s をつける時の発音の違いなどにも指導が行われていた。 音声学を学んでいな いとなかなか教えることは難しいと思っていたが、 担当教諭はごろ合わせのようにして発音の違いを生徒に教えていた。 カタカナ 表記に関して疑問を持つが、 イントネーションや、 音声学で学ぶような発音の違いなど質の高い教育が現在の中学校では行われ ているように思われた。 III. 小学校での英語教育の実態 小学校でも、 外国語活動として英語教育が行われるようになったという新聞記事や、 ニュースなどで知っていた。 しかし、 実際 にどのような活動が行われているかについてはあまり理解できておらず、 担当の教諭の付き添いとして小学校の英語も見学させて いただいた。 小学校での外国語活動とは、 apple, banana 程度の簡単な英単語と考えていた。 しかし、 実際に訪問させていただ き英語の質の高さに驚いた。 中学校1年生でまだ学習していないような What is this? などの英文や中学英語の導入として用いら れる日付などの質問にも答えることができるほどのものであった。 また、 課外活動では行先で知り合った外国人に名前とサインを もらい写真を撮ろうという活動が行われており、 そのことを授業参観で英語の寸劇として披露するというものであった。 英語をただ 音から聞いて真似をして発音すると言うことだけではなく、 実際に課外活動などで英語を使う機会を用いることは素晴らしいことだ と考える。 また、 英語でその場面を再現するなどの英語の使われ方が学習としてのみの使用だけで終わっていないという現状に 驚いた。 しかし、 英語に興味のある生徒には楽しく学ぶことができるが、 興味のない生徒には少ししんどいように思われた。 授業を見学させていただき、 小学校の段階で英語に対して苦手意識を持つ生徒とそうでない生徒が明確に分かれてしまうよう に思われた。 そうならないためにも、 音楽や映像を用いて興味が湧くように、 楽しいと思えるような授業の工夫が見られた。 また、 授業のほとんどがゲームなどのアクティビティーで実際に英語を使うという習慣をつけようとされていた。 このように多数の生徒が楽 しく英語を学べるようになっているがために、 中学入学後の英語の授業とのギャップで英語を苦手に感じる生徒は増えるように思 われる。 また、 多くの小学校で総合的な学習の時間などで取り組まれているが、 各学校において取り組みにはばらつきが出る。 また、 毎週外国語活動の授業が行われるわけではなく、 急にその日の授業がキャンセルとなる場合があるのだ。 IV. 小学校での外国語活動の在り方 小学校の外国語活動のほとんどが音声から学ぶため、 音を聞いてそれの真似して発音する力はついているが、 文字から発音 するという力は養われていないように思われる。 音から英語の発音を学ぶ際にも、 当然文字を目にしているものの意識的に見て いないことから文字だけを見て発音するとなるとできなくなってしまうように考える。 それがたとえ、 スラスラと発音できていた単語で あっても文字だけを見て発音するとなると読めなくなってしまうのだ。 このことは、 小学校5、 6年にも、 中学生のどちらにも言える ことだ。 そのため、 小学校の外国語活動の段階から、 もう少し意識的に文字として発音できるようにするという認識を生徒自身に 持たせる必要があると考える。 しかし、 小学校での外国語活動の目的は、 「外国語を通じて, 言語や文化について体験的に理 解を深め, 積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り, 外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら, コミュニケーション能力の素地を養う」(2008, 文部科学省 ) ことだ。 確かに、中学校以降での英語の授業において、コミュニケーショ ン能力を育成するための素地となることは明らかなものである。 また、英語を使う体験を通して親しみを持つことは大切だ。 しかし、 それを音声のみで英語を使うことが楽しいというように終わってしまっているように考える。 このことは、 英語の表現に慣れ親しむこ とはできても、 中学以降の英語教育におけるコミュニケーション能力の素地には結びつけにくいように思われる。 それは、 中学で はただ発音して終わりと言うようなアクティビティーはほとんど行われておらず、 文字から発音することなどの力もコミュニケーション 活動の中で必要となってくるからである。 そのためにも、 小学校での外国語活動には音声だけに頼ることなく文字からの発音がで きるという reading の力を意識的に導入する必要があると考える。 V. 生徒の反応を見ながらの授業づくり 授業を実際にさせていただいて一番気をつけようと思ったのが、 生徒の反応を見ながらの授業づくりであった。 生徒を目の前 にして教壇に立つのはとても緊張するものであった。 そのため、 用意してきたものが上手く提示できないことや説明が思っていた ように伝えられないことが多々あった。 そうなってしまうと、 なかなか生徒の反応を見るというところまで、 余裕が持てなくなってしま う。 授業を持たせていただく以前に、生徒に 「先生は授業をするとき、私たちの困ってる顔をよく見てな。」 と言われた。 その時は、 しっかりと生徒の 「わからない」 というサインに気づいてあげないといけないと思っていた。 しかし、実際に授業を持たせてもらうと、 そのようなことを気づかえるほどの余裕はなかったのだ。 授業が終わって、 自分なりに授業の振り返りを行った際に、 ようやく自分

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の失敗に気づいたのだ。 授業を繰り返すなかで少しずつではあるが、 気持ちとして余裕が持て生徒の反応を見れるようには心掛 けた。 また、 毎回の授業で振り返りシートを作り、 生徒自身に授業を振り返ってもらうことと授業の理解度について書いてもらった。 やはり中学生とはいえ多くの生徒は実習生のことを気づかい 「わかりやすかった」 などのコメントを返してくれた。 英語に興味を 持つ生徒からは積極的に 「この表現はどう使うの。」 などの質問も受けた。 しかし、 なかには振り返りシートを出しくれない生徒や、 「なんでこんなん書かなあかんの。」 などの厳しいコメントも受けた。 だが、 このことも一種の授業に対するコメントであると考えた。 たいして書く内容がないということは何も残るものがなかったということだと思われる。 また、 振り返りシートを書くことに対してのコメ ントは、 こちらの考えで書いてもらうことになったため、 配ることに必死になり目的をしっかりと伝えることができていなかったのだと 気づかされた。 このことから、 何をやるにも生徒がしっかりと目的を理解するように伝えないといけないと考える。 そして納得しても らえるような説明が必要だ。 それらは、 生徒の反応を見ながらの授業づくりには必要なことだと考える。 VI. 生徒を褒めて伸ばす言葉の多用 授業づくりに関しては、 教育実習の最初の期間にさまざまな教科のいろいろな教え方の方法を見学させていただいたので、 注 目する点を気づくことができた。 しかし、 「生徒を褒める」 ということに関しては、 あまり留意できていなかったように思われる。 英 語科教育法や教育方法の理論と実践など大学の授業では、 生徒の褒め言葉について学んだが、 実際に授業を行うと 「good」 などの簡単な英単語を言うことで精いっぱいになってしまっていた。 単に 「good」 という褒め言葉の繰り返しではあったが、 生徒 は褒められるともっと頑張ろうと思ってくれる。 その気持ちが学習意欲や、英語への関心につながるものであると考える。 そのため、 生徒を褒める言葉を多用することは大切であると考える。 また、 単に1つの褒め言葉を用いるのではなく、 たくさんの褒め言葉で バリエーションをつけることはさらに良い授業を作ると考える。 また、 言葉のバリエーションをつけることは英語の授業ならではのこ とだと思われる。 実際に、 他の教科を見学させていただき、 褒め言葉として用いられているのは 「そうですね、 正解」 などの言 葉でそれほどたくさんの種類はないように思われる。 そのため、 英語の授業ならではの特権をより活用的に用いるためにも、 褒め る言葉にさまざまなバリエーションをつけることは大切だと考える。 また、 大学の授業でも学んだように何が良かったのかを言うこと が大切だということが授業を担当させていただき痛感した。 VII. おわりに 教育実習を通じて、 生徒を目前にして授業を行う難しさや教員の仕事の多忙さ、 学校、 学級経営の難しさなどさまざまなことに ついて学ぶことができた。 また、中学校での教育実習ではあったが、担当教諭が小学校での外国語活動も担当されていることから、 小学校での活動も見学させていただくことができた。 小学校における外国語活動はもともと興味があったが、 想像以上に英語の 活動が行われていることを知ることができた。 また、 課外活動などで実際に生の外国人に英語で話しかける活動を行うなど英語に 触れる体験をたくさんしていることがわかった。 その一方で、 英語に興味や関心の薄い生徒にとっては苦手意識を植え付けてしま う恐れも十分に考えられた。 そして、 そのように苦手意識を持たないようにするためにゲームなどのアクティビティーが主流で行わ れていたが、音声に頼りすぎた学習であり文字から単語の発音ができるという reading の力はつきにくいように思われる。 そのため、 音声だけではなく意識的に文字を見て発音に結び付けるような学習も必要になってくると考える。 中学校における英語学習につ いては、 小学校で音声に頼りすぎた学習のため、 発音の際にカタカナ表記が必要となっているようだ。 生徒の視点に立てば、 カ タカナ表記があった方が安心して読むことができるようだ。 しかし、 英語ならではの L と R の発音の違いなどカタカナでは表現で きない音もあるためこの方法は賛否両論だと考える。 そして、 イントネーションや音声学で扱われるような発音の違いなど質の高い 英語指導が行われていた。 これらは、 文化や習慣の違いを教えるという点では大切なことだと考える。 英語の授業をつくるにあた り、 課題点としてあげたことは2点ある。 1つ目が、 生徒の反応を見ながらの授業づくりだ。 しっかりと生徒の 「わからない」 という サインに気づき必要であればさまざまなフォローを入れながら授業を行う必要があると考える。 教壇に立つという経験を何度も行っ ていないと気づくことは難しいが、 振り返りシートなどを活用し、 生徒の反応をしっかりと教員は認識する必要があると考える。 2点 目に生徒のやる気につながる褒め言葉の多用だ。 この課題点も経験を重ねなければ上達はしない。 しかし、 意識的にさまざまな 褒め言葉を用いることで生徒の学習のやる気につながると考える。 また、 褒め言葉のバリエーションは英語ならではのことであり、 何が良かったのかということも加え生徒褒めてあげなければいけないと思われる。 担当教科でさまざまなことに注意をして授業を行わなければいけない教員は、 この作業に加え生徒指導も行わなければいけな い。 生徒は学校内だけではなく学校外でも様々な問題を抱えている。 そういった生徒を踏まえながらそれぞれの生徒に合った付 き合い方を行わなければならない。 また、 生徒にとって居心地の良い場所を作ってあげないといけない。 教員は本当に多忙な仕 事であることは明らかである。 このように生徒指導に注力しなければならないが、 やはり授業づくりが教員としては1番の仕事だと

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考える。 それは、 授業が面白い教員は生徒にとって相談しやすい相手や尊敬する人となりやすい。 そのため、 生徒指導も大切 であるが、 まずは担当教科の授業づくりが大切だと考える。 そのためにも、 これらの課題点を考えて授業が行える教員となる必要 があると考える。 引用文献 文部科学省 (2008). 『小学校学習指導要領解説 : 外国語活動編』 文部科学省 (2008). 『中学校学習指導要領解説 : 外国語編』 コミュニケーション能力を養うための課題 谷口 亜里沙 1. はじめに  私は母校である川西市立多田中学校で3週間の教育実習を経験した。 自分自身が生徒だったころと比べてもとても落ち着いた 校風に変わっているように感じた。 学年関係なく廊下をすれ違えば挨拶が飛び交い、 朝礼や集会の際には黙動 (しゃべらずに 移動する) で集合する。 中学校に入学した時からきちんと決められたルールに従い生徒は学校生活を送っている。 また、 母校 は非常に若い教員が多く、 20代の教員が20人以上もいるとても活気のある職員室である。 校長先生も私が中学生だった時の部 活の顧問であったこともあり、 非常に近い距離で接することができた。 実習生に対しても非常に温かく接して下さったので過ごしや すい環境のもとで実習を終えることができた。 私は2年3組を学級担当として受け持たせていただき、 教科担当では2年生7クラス の英語の授業を担当させていただいた。 教科書は 『TOTAL ENGLISH』 を使用し、 実際に私はレッスンの間にある Talking Time の道案内の単元を2時間かけて行った。 ここからは実際に行った授業だけでなく、 さまざまな授業を見学した際に感じたこと もふまえて、 実習を通して気付いた教育課題について考えていきたいと思う。 特に英語を教えていく上で最も重要なコミュニケー ション能力の育成という課題に焦点を当て、 その課題解決のために必要な指導などについて述べていきたいと思う。 2. 生徒の状況  実習中に学年問わずいろいろな授業を見学させていただいた中でそれぞれ学年の雰囲気も異なることに気付いた。 1年生はと ても落ち着いて、 非常に真面目な集団であった。 授業中も教員からの質問がたくさん投げかけられ、 全員が必死に考えて手を挙 げて答えようとする場面が多く見られた。 そのため教室はいつも生徒の声が聞こえている状況である。 特に英語の授業はにぎや かで授業への意欲も高くアクティビティーなども多様に取り入れられていた。 3年生は非常に活発で授業中の私語も見られた。 教 師がなんとか授業を工夫し生徒の興味を引いていた印象が強い。 私が担当した2年生は非常におとなしい学年であった。 英語に 限らず授業中の発表は手がなかなか挙がらず、 教師が指名する姿もちらほら見られた。 終礼などでは担任から積極的に授業中 は発表するように日々促されていた。 英語の授業に関しては得意、 不得意の差が生じていて苦手な生徒にとっては退屈そうに聞 いているも見られた。 どの学年も英語の授業は必ず日本語訳読を行っており、 新出単語については予習として生徒には指導して いる。 ペア活動はほとんどなく、 ペア音読が中心であった。  この観察からも分かるように英語の授業に関しては生徒が自ら話してコミュニケーションをとる機会が非常に少なくなっている。 平 成20年9月に出された中学校学習指導要領には、「外国語を通じて、言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーショ ンを図ろうとする態度の育成を図り、 聞くこと、 話すこと、 読むこと、 書くことなどのコミュニケーションの能力の基礎を養う」 と明記 されているが実際にはほとんどこの目標が達成できていない。 むしろコミュニケーション能力というよりも内容理解、 読解に力を入 れているようである。 3. 準備、 教材研究  ここからは生徒がコミュニケーション能力を養うための課題について考えていきたい。 まず、 授業をする上で非常に重要だと感 じたのは授業の準備、 教材研究、 ワークシート作り、 シミュレーションである。 まず授業の準備であるがこれはしてもしすぎること はないということを肌で感じた。 実際に教壇に立てばもちろん自分の思い描いていた通りの授業ができることはほとんどない。 ク ラスも違えば一人一人の感じ方も違う。 したがって教師として意識すべきことは全員が理解できるような教材、 話のネタを準備す

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ることである。 その教材が生徒の身近な人、 物であればあるほど生徒の興味も引いていることがわかった。 また、 聞いたことのあ るような馴染みのある洋楽などには非常に関心を抱いている姿も多く見られた。 実際に2年生の授業ではビートルズの “Yellow Submarine” や “Ob-La-Di, Ob-La-Da” を導入部で歌っていた。 このように導入部で洋楽を歌うことで英語の授業の雰囲気作り に効果的な教材だと思われる。 次に教材研究に関しても同じようなことがいえる。 ワークシート一枚作るにせよ、 アクティビティー をするにせよきちんとした目的意識がなければ生徒もいい加減になってしまうだろう。 教材を作る場合には必ずどの場面でどのよ うな方法で使っていくかということを何通りも考え、 実際にやってみていくことが重要である。 ややこしいワークシートは授業中に説 明が長くなりメリハリがなくなってしまうこともあり、 非常に時間のロスも大きい。 教材作成の際には様々なことに気を配って一つ一 つに番号を振ったり、 例題を示しておいたりしながら生徒の混乱を避けるように考えておかなければならない。 生徒は想像以上に 指示がなければ好き勝手に解釈してワークシートを進めていく様子が見受けられた。 この経験からも教材研究や準備というのはあ らゆる場面を想定した上で作っていかなければならないと感じた。 また、 授業を一度シュミレーションしておくことも非常に重要で あると感じた。 現場の教員の授業を見学した際にも時間のロスは必ず発生し、 そこから生徒の集中力もなくなっていく雰囲気が見 られた。 特に英語の授業ではメリハリを付けていかなければならないと思われる。 したがって生徒が効果的にコミュニケーション能 力を育成するためにも教員の準備は非常に重要で、 生徒がどの場面でどのようなコミュニケーションを図る訓練を行うかということ も全て教師のやり方で決まってくるのではないだろうか。 4. 正しい発音を身に付ける  次にコミュニケーション能力を養うためにはまずきちんとした英語の発音ができるということが大前提であると考える。 窪薗(2005) は 「人間は意思伝達の手段として、 主に音声言語 (聞く、 話す) と文字言語 (読む、 書く) を用いる。 文字を持たない言語は 存在するが音声のない言語は存在しない」 とある。 このように言語を習得する上で音声なしに意思疎通を図ることはできないとい える。 現場の教員の方々の授業を見せていただいた際にも強く感じたのは発音の苦手な生徒が非常に多いことであった。 授業 の中で教科書に出てくる新出単語に関してもフラッシュカードで数回リピートはしているが、 アクティビティーなどで発音するときに はどのように発音するのか分かっていない生徒が多く見られた。 したがって授業で行う数回のリピートだけでは全く生徒の身に付 いていないのではないのではないかと感じた。 特に新出単語に関しては予習の段階で日本語の意味と発音記号をプリントに記入 してくることになっていたが、 実際には教科書の巻末の単語リストを写しているだけである。 これではせっかくの新出単語の学習も 流れ作業のように生徒の記憶からはすぐになくなってしまうと感じた。 単語を踏みこんで教えすぎると文法や教科書の内容になか なか入っていけないけれども、 ただやっている雰囲気にさせるためだけの単語学習であればコミュニケーションの際に全く読めな い、 意味が分からないという状況を生むだけなのではないだろうか。 したがってまず正しい発音を身に付けていく必要性が課題と して残っていると感じた。 フラッシュカードを使うにせよ、 チャンツのように単語を発音するにせよ、 生徒が一人でもきちんと正しく 単語を発音できるように指導していく必要がある。 例えば、 数回教師とリピートした後はペアで発音しながら確認させたり、 生徒だ けで言えるように何度も発音させるようにしたりしながら生徒が自立していけるような発音練習が必要なのではないだろうか。 単語 だけではなく教科書の本文に関しても同じことがいえるだろう。 最初はゆっくり確認しながら発音し、 だんだんとスピードを上げて 口を動かす訓練をしていくことも一つなのかもしれない。 3で示したような洋楽やチャンツを利用しながら発音を音楽で学ぶこともで きるかもしれない。 生徒のレベルに合わせながらとにかく声を出していくことが正しい発音を学ぶ上で重要であると考える。 そのた め、 教師自身の発音も訓練していく必要がある。 教師がモデルとなれることが最も重要なのではないだろうか。 5. アクティビティーの活用   次に、 授業の中でアクティビティーを豊富に取り入れることがコミュニケーション能力育成のために重要であると考える。 アクティ ビティーにもさまざまな種類があり、 ペアで行うものもあれば 4 人程度のグループで行うこともある。 実際に見学した英語の授業の 中でもアクティビティーの多いクラスには大きな声が授業内でも響く傾向にあると感じた。 アクティビティーの利点としてはまず生徒 自身が考えて自分の言葉で表現する訓練ができるということである。 これこそがコミュニケーション能力を高める訓練なのではないだ ろうか。 初めはモデル文や本文を参考にしながら自分の想いや考えを相手に伝える。 この訓練がコミュニケーション能力を高める 活動なのではないだろうか。 アクティビティーも生徒のレベルに合わせて考えていかなければならないが有効的な時間の過ごし方 であることを強く感じた。 一年生の英語を教えていた実習生の授業を見学した際にたくさんアクティビティーが取り入れられており、 そのアクティビティーから生徒は英語の発音や文法を学んでいく姿が見られた。 また、 仲間と意思疎通ができて共に学ぶ姿勢が生 まれることも利点なのではないだろうか。 実際に私自身が授業で行ったアクティビティーでもペアで一生懸命教え合いながら活動し ているペアは多く見られた。 教師が横で付きっきりで指導するよりも生徒にとってはよりよい学びとなっているのではないかと感じた。

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6. 文法訳読からの脱却  私が実習中に感じたことの一つとして英語の授業はまだ文法訳読方式が根付いているということである。 どの学年でもかっこを埋 める形式の日本語訳ワークシートが用意され、 生徒はかっこに訳を埋めたものをノートに貼っている。 訳文がなければ生徒が不 安に思うからなのかもしれない。 私が行った授業で授業のふりかえりのプリントを生徒に記入してもらった際に 「授業でやったこと をまとめたプリントが欲しい」 と書いていた生徒がいたことを思い出した。 やはりまだ日本の英語教育には 「日本語訳ができれば 英語力が身に付く」 というような考えが根付いているのだろうと感じた。 せっかくの 50 分の授業も大半をただ文章の訳をする時間 にあてるのは非常にもったいないと感じた。それならば文法をきちんと理解し、その文法の理解を深めるための活動を行う方がコミュ ニケーションの基礎になるのではないかと疑問に思った。 訳をすることも、 もちろん読解力も必要なスキルではあるが、 文章に書 いてある事実や会話に目を向けて考えて、 声に出していくことの方が重要なのではないだろうか。 実際に文部科学省が掲げる学 習目標は 「コミュニケーション能力の育成」 である。 したがって生徒同士で英語のコミュニケーションを取るための活動に重きを置 くことが必要なのではないだろうか。 また、 文章の発音や文章を使って応用した活動が効果的にコミュニケーション能力を身に付 けるために大切なことなのではないだろうか。 したがって英語科教授法に関しても文法訳読方式から脱却する必要もあると感じた。 7. 認知的学習の推進  前項で述べた文法訳読方式を脱却し、 取り入れていくべき教授法は認知的学習法であると考える。 英語学習の初期段階にあ る中学生にとって英語という言語はまだ馴染みがなく苦手意識を持って取り組む生徒も非常に多いと感じた。 英語をただ単に日 本語と照らし合わせながら学習するだけでは当然その楽しさやわかったときの達成感などが味わえない。 授業を見学した際にもき れいな訳をすることに必死になりすぎているがゆえ、 言葉の持つニュアンスやイメージをなかなか意識して学習することは難しいと 感じた。 英語も数学や理科のように論理的に考えることができるということを生徒にきちんと教えるべきである。 例えばこの実習の 中でも多くの生徒が苦手意識を持っているように感じたのは前置詞の使い方である。 まだ学習を始めたばかりの学習者に前置詞 を暗記させることはとても強引である。 実際に授業内に文章を書く場面でも多くの生徒は前置詞を意識せずにわからないから前置 詞を書かない傾向がみられた。 それだけ生徒の理解度も低いと考えられる。 さらに後に続く前置詞によっては意味が異なる動詞 に関しても教師はただ 「セットで覚えなさい」 と片付けている。 しかし、前置詞にもそれぞれ中心的意味はきちんと存在しているし、 文章の中で使われる際にも極めて論理的に考えられることができる。 そのような生徒が考えて自分で発見するおもしろさを英語の 授業の中でもっと味わわせてあげるべきであると感じた。 ただし、 授業の効率性を考えればこのような時間ばかり使って進めるわ けにもいかない現実がある。 したがって授業の中で一か所もしくは二か所程度ターゲットを絞って言葉について考える時間を作る ようにすれば、 だんだん自分で考えて新しい気づきを生むことができるのではないだろうか。 8. 間違えを恐れない雰囲気づくり  教室内でのコミュニケーションの場を作っていく上で最も重要なのは教室の雰囲気づくりである。 教師が日本語で授業を行えば 当然生徒も日本語に頼りきってしまい、 なかなか英語を話す雰囲気にはなっていかないだろう。 したがってまず教師が積極的に クラスルームイングリッシュを使用して指示や発話をしていくべきであると考える。 一年生の時から積極的に使っていれば、 生徒の 頭にもしっかりと残り、 英語を学ぶ環境が整えられる。 また授業を円滑に進めることにもつながるだろう。 また、 さまざまなあいさつ や指示は英語を使用し、 だんだん学年があがるにつれて英語の量も増やしながら進めていくことが重要であろう。 しかし注意した いのは、 あくまでも生徒のレベルに合わせるということである。 いくら英語を使用したとしても半分以上の生徒が理解していないよ うではかえって混乱を招くだろう。 教師が工夫し、 適度に日本語を混ぜながら英語コミュニケーション能力を高めていく必要があ る。 また生徒が英語を話すという姿勢を大切にし、 まず英語を話すということに対して自信をつけさせるようにするべきである。 そ のため会話においてあまり文法的な間違えの指摘などはせずに相手に英語で伝えるということを訓練させることでよりよいコミュニ ケーションの場をつくることができるのではないだろうか。 生徒自身が英語を話してみたい、 話せるようになりたいという気持ちが一 番大切であり、 間違えるのが怖いだとか間違えたら恥ずかしいという気持ちをできるだけ捨てられるようにしていく必要があるので はないだろうか。 実際に授業をしていても感じたことであるが、 生徒は非常に間違えることを拒んでいる。 したがって単純な質問 に対しては答えがすぐに返ってくるが、 少し考えたり応用的な質問になると一気に下を向いたりする傾向があった。 当然誰もが失 敗することは避けたいところだが、 言語習得の際に重要なことは間違えをしながら覚えていくという過程である。 したがって教室内 でたくさん発話させない限り英語コミュニケーション能力を身に付けていくのは難しいだろう。 特に教室に 40 人もいれば一人一人 の英語の発話を聞いていくのは時間もかかり、 非効率的かもしれない。 しかし、 ペア活動やグループワークを通してできるだけ個 別に近い形で生徒の英語を聞くようにしながら教師ともコミュニケーションを取るようにしていけば英語を話す環境が教室の中に生

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まれるのではないだろうか。 そのような雰囲気が生徒の英語のコミュニケーション能力にも影響していくと考える。 9. 教師のコミュニケーション能力   最後にやはり欠かせないのは教師自身のコミュニケーション能力である。 英語の授業ではきちんと英語で生徒とインタラクショ ンするためのスキルを教師自身が身につけなければならない。 例えばよく見られた光景として教師の質問に対して単語だけで答 える生徒がいる。 しかしこの時も教師は次の発話を考えておかなければならない。 その単語から次は文で言えるように教師は促 していく必要がある。 あまり英語を話すことが得意でない生徒には分かりやすい単語でゆっくりと話していく必要があるし、 英語が ある程度できる生徒にはレベルアップのためにもっとネイティブに近い速さで話す必要がある。 教師が臨機応変にすることで得意 な子が授業に退屈したり、 苦手な生徒が諦めてしまうことが少なくなるのではないだろうか。 また、 授業の中で褒める力も必要で あることを学んだ。 生徒にとって自信が持てる瞬間は教師から認められる時なのではないだろうか。 生徒が一生懸命英語を喋っ ている時や考えている時、 声を出している時は思いっきり褒めてあげることが大切である。 褒め方もきちんと考えなければならな い。 英語の授業だと “Excellent!!” や “Good job!!” など簡単に褒めて終わることが多いが、 必死に発音しているときは “Good pronunciation!” や “Very clear voice!” など具体的に何が良かったのかということを明確にして褒めてあげるとさらに学習へのモ チベーションも高まるだろう。 したがって英語を教えていく上で教師自身も生徒とコミュニケーションがうまく図れるようにさまざまな 場合を想定して準備しておく必要があるだろう。 教師が良き見本となれれば生徒のコミュニケーション能力も自然と向上するので はないだろうか。 10. おわりに  この実習の中で実際に見たり聞いたりしたことが今の教育の現場なのだと感じた。 英語の授業に関して言えば、 文部科学省の 掲げる 「コミュニケーション能力の育成」 という目標と実際の教育現場で行われている授業とは少しギャップがあるように感じた。 生徒の英語コミュニケーション能力を伸ばしていくためには①教材研究、準備、②正しい発音を身に付けること、③アクティビティー を盛り込むこと、 ④文法訳読方式を脱却すること、 ⑤認知的学習を心がけること、 ⑥教室の雰囲気作り、 ⑦教師のコミュニケーショ ン能力の育成に力を注ぐ必要があると感じた。 教壇に立つ以上は何をどのように教えていくのかということもすべて教師自身で決 めていかなければならない。 1 つのやり方に固執した授業をやっているとだんだん飽きが生じるし、 メリハリのない授業だと生徒の 集中力もなくなる。 またその教え方ひとつで生徒の英語という科目に対しての好き嫌いが明確になるというリスクがあることもこの実 習では学ばせて頂いた。 教科指導だけでなく学級経営に関してもこの 3 週間は悩んだり考えたりすることもあったが、 生徒が声を かけてくれたり励ましてくれる瞬間が自分の一番のモチベーションに繋がっていた。 教師は生徒と互いに声を掛け合いながら人と 人とのつながりでできている仕事であることを肌で感じた。 これからも英語教育に対して積極的に学んでいきたいと思う。 引用 ・ 参考文献 窪薗晴夫 (2005) 『音声学 ・ 音韻論』 くろしお出版 文部科学省 (2008) 『中学校学習指導要領解説 外国語編』 深澤清治、 三浦省吾 (2009) 『新しい学びを拓く 英語科 授業の理論と実践』 ミネルヴァ書房

参照

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