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もやし製造時における2.4-Dの効果について

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Academic year: 2021

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昭 和38年8月(1963) 一7-一

もや し製 造 時 に お け る2.4-Dの

効 果 に つ い て

ま え が き もや しは 消 化 され 易 く,ま た 他 の 野 菜 に 比 して 廃 棄 率 少 く,調 理 も簡 単 で あ る特 徴 を 有 す るが,さ らに ビ タ ミンCを 豊 富 に 含 む た め,ビ タ ミンCの 欠 乏 しゃ す い 季 節 また は 地 域 に お け る貴 重 な給 源 とな って い る 。 一般 に 種 子 は 発 芽 に 際 して 多 量 の ビ タ ミンCを 生 成 す る こ とは よ く知 られ て い る が,も や しに お い て も例 外 で は な く緑 豆 もや し中 の ビ タ ミンCに つ い て は, (1) (2) (3) (2) 郷,三 輪,井 藤 らの 研 究 が あ り,三 輪 は 緑 豆 発 芽 時 に おけ る 各 部 の還 元 型 ビタ ミンCの 消 長 に つ い て 報 告 し 幼 芽 中 に 最 も多 く,発 芽 の生 理 作用 と深 い 関 係 が あ る との べ て い る 。 一 方 植 物 の 発 芽,成 長 そ の 他 の生 理 作 用 に 深 い 関 係 を 有 す る物 質 と して 植 物 ホ ル モ ンが 発 見 され,さ ら に 研究 が 進 め られ た 結 果 多 くの 合成 ホル モ ン もあ らわ れ 中 で も2,4-D(2,4‐Dichlorophenoxyacetic acid) は 合 成 が 容 易 で 光,熱 な どに 対 して 安 定 で 安 価 な た め,種 々 の 方 面 に 利 用 され て い る。 第1図2,4‐Dichiorophenoxyacetic acid O-CH:,-COOH l /\ -Cl l ll \/ } C1

成 長 促 進 作 用 を 伸 長度 に て 検 討 した 場 合,ビ ル マ産 の 緑 豆 を 京 都 市 内 もや し製 造 所 よ り入 手 し,緑 豆50g を 種 々 の 濃 度 の2,4-Dナ トリ ウ ム塩 溶 液300cc中 に340Cで 一 夜 浸 漬,こ れ を 発 芽 装 置 に 移 して6時 間 毎 に43∼45。Cの 浸 漬 液 を注 加 し,発 芽 緑 豆 は 毎 一一一 定 時 間 に20粒 宛 と り,そ の全 長(幼 芽 の 先 端 か ら幼 根 の 先 端 まで)を 測 定 して 平 均 値 を 求 め,一 粒 の 全 長 を 出 した 。 成 長 促 進 作 用 を 重 量 変 化 に て 検 討 す る場 合, 前 記 同 よ う処 理 した 緑 豆 を 穴 を あ け 黒 い 布 で 覆 っ た ボ ー ル 箱 製 暗 箱 中 に 入 れ,18QC,25°C,又 暗 箱 を 用 い な い で340Cで 発 芽 させ 毎 日一 定 時 に10粒 を と り出 し て 重 量 を 測 定 し5図 の 平 均 値 を も って10粒 の か や し重 量 と した 。 緑 豆 の 発 芽 装 置 は 直径20cmの ビニ ール 製 ザル に 脱 脂 綿 を 敷 きそ の 上 に 炉 紙 を 敷 き こ こで 処 理 緑 豆 を 発 芽 させ た 。 実 験 結 果 実 験 結 果 を 図 示 す れ ば 第2図 ∼第5図 の ご と くで あ る 。 第2図 2,4-D処 理 に よる緑 豆 発 芽 の 成 長 度 2,4-Dは 強 い ホル モ ン作 用 を 有 し成 長 促 進 作 用 を 示 す ほ か 特 に 植 物 成 分 に も種 々の 影 響 を お よ ぼ し, ビタ ミンC含 量 も増 大 せ しめ る とい わ れ て い る。 よっ て 著者 らは もや し製 造 に 際 して 原 料 の2, r処 理 に よ り発 芽,成 長 促 進 を 行 な い もや し製 造 の 能 率 を 高 め,併 せ て ビタ ミンC量 の増 大 を 行 な わ ん と して 本 実 験 を 行 な っ た 所w予 想 通 りの 好結 果 を 得 た の で 報 告 す る 。 実 験 の 部 2,4-Dの 発 芽 最 適 濃 度 お よび成 長 促 進 度

(2)

第3図 2,4-D処 理 に よる緑 豆 発 芽 の成 長 度 (暗 箱180C)

実 験 方 法

前 項 と 同0の 緑 豆 を2,4-Dの10-5,10囎9稀 釈 液 に 浸 漬 し,同 様 に20。C暗 箱 中 で 発 芽 せ しめ,毎 日 一 定 時 間 に10粒 つ つ と り出 し ,外 皮 を 除 き 磨 砕 しイ ン ドフ ェ ノ ール 法 に よ り総 ビ タ ミンC,還 元 型 ビ タ ミン Cを 定 量 し対 照 と比 較 した,実 験 結 果 を 図 示 す れ ば 第 6図 ∼ 第9図 の 通 りで あ る。 第6図 2,4-D処 理 に よ る緑 豆 もや しの 還 元 型 ビタ ミンC (暗 箱200C) 第4図 2,4-D処 理 に よ る緑 豆 発 芽 の 成 長 度 (暗 箱25。C) 第7図 2,1 ,処 理 に よ る緑 豆 もや し10粒 中 の 総 合 ビタ ミンC (暗 箱20。C) 第5図 2,4-D処 理 に よ る緑 豆 発 芽 の成 長 度 (34。C) 第8図 2,4-D処 理 に よ る緑 豆 もや しの還 元 型 ビタ ミンC (暗 箱20。C) 本 実 験 結 果か ら伸 長 度,重 量 い ず れ に おい て も緑 豆 発 芽,成 長 に対 す る2,4-Dの 最 適 濃 度 は10-9稀 釈 液 で あ り,10-7稀 釈 液 よ り濃 い 液 は 発 芽,成 長 を 抑 制 し崎 型 を 示 した 。 暗 箱 に おけ る成 長 度 は18。Cよ り25QCの 方 が 良 好 で あ り,ま た 暗 箱 中 と 明 るい 所 と で は 暗 箱 中 の 方 が 成 長度 は 大 で あ っ た 。 緑 豆 もや し の ビタ ミンC

(3)

昭 和38年8月(1963) 一g一 第9図 2,4-D処 理 に よ る緑 豆 もや し10粒 中 の 還 元 型 ビタ ミンC (暗 箱20。C) 実 験 結 果 もや し3粒 の 酸 素 吸 収 量 の 測 定 結 果 は 第10図 ∼第15 図 の 通 りで あ り,も や し組 織 の 酸 素 吸 収 量 測 定 結 果 は 第16図 ∼ 第20図 の 通 りで あ る。 第10図 緑 豆 もや し3粒 の 呼 吸 量(第1日 目) 本 実 験 結 果 よ り総 ビタ ミンC量 は10_e稀 釈 液 処 理 に よ り最 も多 量 に 生 成 され6日 目が 最 高 に 達 す る。 成 長 抑 制 す る高 濃 度 に お い ては 一 日早 く5日 目に 最 高 に 達 す る。 還 元 型 ビタ ミンC量 につ い て も 同様10-9稀 釈 液 処 理 に よ り最 和 多 く生 成 され 部 分 的 に は 総 ビ タ ミ ンC量 よ り多 い 時 が あ る 。 (4) これ は 中 山 らの 報 告 に あ る通 り,も や し中 に 含 まれ る還 元 型 ビタ ミンC以 外 の 還 元性 物 質 に よ り起 る誤 差 と考 え られ る。 (2) (5) (6)(7) 三 輪,満 田,Synnove u, Hausenら は 植 物 の 幼 葉 中 に は成 葉 中 よ りは るか に 多 くの ビタ ミンCを 含 む 事 か ら,植 物 の成 長 促 進 に対 して ビタ ミンCは 密 接 な 作 用 を 有 す る と推 定 した が,本 実 験 結 果 か ら も,2, 4-Dが 成 長 促 進 作 用 を 有 す る と 同時 に ビタ ミンC量 も増 大 せ しめ る事 が 明 らか とな った の で,同 氏 らの説 と一 致 し これ を 立 証 す る も の で あ る。 以 上 の 結 果 を 綜 合す るに10-'2,4-D稀 釈 液 処 理 に よ り6日 間 発 芽 せ しめ た もや しが 成 長 最 も よ く, ビタ ミンC含 量 が 最 高 で あ る事 を 知 っ た 。 緑 豆 もや しの ビタ ミンCと 呼 吸 との 関 係 実 験 方 法 前 記 同 様 に 緑 豆 を,2,4-D液 に て 処 理 し20。C 暗 箱 内 に て 発 芽 せ しめ 毎 日一 定 時 間 に と り出 し,水 分 を 炉 紙 に て 除 き ワ ール ブル グ検 圧 計 に て 呼 吸 量 を 測 定 した 。 す な わ ち 検 圧 計 の主 室 に もや しを3粒 入 れ,副 室 に10%水 酸 化 ヵ リウ ム0.5m4を と り300C恒 温 槽 中 に て10分 間 温 度 平 衡 後 酸 素 吸収 量 を 測 定 した 。 ま た 組 織 の呼 吸 量 は 同様 処 理 した もや しを1gと り,9倍 量 のpH 7緩 衝 液 を 加 え て 磨 砕 し綿 で 炉 過 した 炉 液3 ccを 主 室 に 取 り,同 様 酸 素 吸 収 量 を 測 定 した 。 第11図 緑 豆 もや し3粒 の 呼 吸 量(第2日 目) 第12図 緑 豆 もや し3粒 の 呼 吸 量(第3日 目)

(4)

第13図 緑 豆 もや し3粒 の 呼 吸 量(第4日 目) 第16図 緑 豆 もや し の組 織 呼 吸 量(第1日 目)

第14図 緑 豆 もや し3粒 の 呼 吸 量(第5日 目) 第 ユ7図 緑 豆 もや しの 組 織 呼 吸 量(第2日 目)

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昭 和38年8月(1963) 第19図 緑 豆 もや しの 組 織 呼 吸 量(第4日 目) 第20図 緑 豆 もや し の組 織 呼 吸 量 第5日 目) もや し3粒 の 酸 素 吸 収 量 は10-9稀 釈 液 処 理 の もの が 最 大 とな りもや し組 織 の 酸 素 吸収 量 はla-5稀 釈 液 が 最 大 とな った 。 しか し10-5稀 釈 液 に よ る もの は も や し と して は 外 形 が 不 完 全 で 商 品 とは な らず,結 局10-9稀 釈 一11一 液 の もの が 良 好 な 結 果 を お さ め た 。 しか し ビタ ミンCと 呼 吸 と の間 に 一 定 の 関 係 は 認 め られ な か った が,2,4-Dに よ っ て ビタ ミンC,呼 吸 量 が 共 に 増 加 す る 事 か ら何 らか の形 で ビタ ミンCが 呼 吸 作 用 に 関 係 す る と推 定 され る。 す な わ ち,ビ タ ミ ンCが 緑 豆 発 芽 時 に おけ る酵 素 作 用 の酸 化 還 元 反応 に 役 立 つ が,呼 吸 に 関与 す る酸 化 還 元 因 子 は ビタ ミンC の み で な く他 の 因 子 も存 在 す る と考 え られ る。 この こ とは 還 元 型 ビ タ ミンCが 総 ビタ ミンCよ り大 で あ る こ とか ら も想 像 され る 。 総 括 緑 豆 もや し製 造 に 際 して植 物 ホ ル モ ン剤2,4-D 処 理 を 行 な う こ とに よ り種 々 の実 用 的 効 果 の あ る こ と を 知 っ た 。 す な わ ち, 1.2,4-D処 理 に よ り緑 豆 もや しの 発 芽成 長 は 伸 長 度 に お い て も重 量 に お い て も き わ め て 促 進 さ れ た 。 成 長 促 進 の最 適 濃 度 は10-9稀 釈 液 で あ った。 2.緑 豆 も や し中 の ビタ ミンC量 は2,4-D10-9 稀 釈 液 処 理 に よ り最 も多 く生 成 され た 。 3.緑 豆 もや しの 呼 吸 量 お よ び組 織 呼 吸 量 は2,4 -D10-9稀 釈 液 処 理 に よ り増 加 し,ビ タ ミンC量 と関 係 が あ る と想 像 され る。 参 考 文 献 1)郷 千 枝 子;大 阪 市 立 科 学 研 究 報 告,18(1925) 2)三 輪 春 夫;醸 造 学,18,371.(1940) 3)井 藤 康 亮;醸 造 学,18,171.(1940),18,37 9(1940 4)中 山 包;農 業 及 び 園 芸,24,327∼328(1949) 5)満 田 久 輝;農 化,14,1228(1938)

6)7)Synnove u, Hausen Biochem, Z,288 (1926)

参照

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