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バイオ構造における SAXS 分析

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Academic year: 2021

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バイオ構造における

SAXS分析

(2)

構造生物学における

SAXSのメリット

SAXS(小角X線散乱)は、分子生物学分野の構造研究

手法です。他の確立された手法では得られない貴重

な情報が得られることから、広く使用されるように

なってきています。

生体高分子及びその複合体の構造解析を行う際、一般的に使用 される手法は、結晶学とNMR(核磁気共鳴)です。SAXSでは、 これらの高分解能のテクニックのいずれを使っても得ることの できない貴重な追加情報を得られます。また、結晶学と比較し て明確なメリットがあります。 結晶学では、生体分子の単結晶が必要になりますが、多くの場 合、入手が困難です。また、「フローズン(結晶化した)」状態 のサンプルが必要であるということは、「サンプルに対して、 自然環境がどのような影響を与えるか」や「サンプルは、どの 動的プロセスに関わっているか」などに対する答えが得られな いことになります。 NMRとSAXSでは、これらの問いに対する答えが得られま す。NMRでは、高分解能の構造情報が得られますが、その信号 は非常に複雑で、他の入力情報がなければ解釈できないことも 多くあります。 SAXSでは、溶液中の生体高分子を生理学的条件下で分析でき ます。動的なプロセス(リガンド結合時の構造変化や、環境変 化後のタンパク質のフォールディング/アンフォールディングな ど)を調べる際には、非破壊でのサンプル分析が不可欠です。 豊富な構造情報出力に基づき、サンプルの準備が簡単で、試験 条件も柔軟に設定できるSAXSは、生物学的研究において重要 なテクニックとされています。

SAXS:基本原理

SAXS測定では、散乱角の関数として、分子の散乱強度を 測定します。通常、分解能は1~200 nmです。別の材料の ナノサイズのドメインを含む固体材料または液体材料をX線 が通り抜けるとき、X線はナノ構造によって小角で散乱しま す。これは、ナノ構造がX線の波長と比較して大きいためで す。得られた散乱パターンは、粒子のサイズ、形状、内部 構造の特性を表します。

SAXS分析の誕生

オーストリアのグラーツにおいて、オ ットー・クラツキー教授がアントン パール社と共同で最初の商用SAXS分 析装置を開発 クラツキーコンパクト カメラの開発。アント ンパール社が800台以上 を製造し世界中で販売

1957

1981

トランスグルタミナーゼの組織

(3)



生体高分子のサイズと形状



タンパク質またはタンパク質複合体の3Dエンベ

ロープ



集合度



質量分析



タンパク質フォールディング/アンフォールディン



外部パラメータのばらつきに対するタンパク質の

安定性



リガンド結合による構造変化

SAXSの結果を一目で把握

X線ビームの単色化 と2D検出を特徴と するSAXSessの発売 様々なX線源及 び検出器を特徴 とするSAXSess mc2の発売 初の自動調整SAXS 分析装置である SAXSpaceの発売

2003

2009

2012

単色X線ビーム

散乱X線ビーム

少量の

タンパク質サンプル

散乱ベクトルq [nm-1] 散乱強度 I(q) 形状 全体フォールデ ィング 原子構造

(4)

タンパク質の解析

タンパク質のサイズと質量の決定

ギニエプロット解析では、散乱ベクトルが0に向かう限界 点によって、タンパク質の幾何特性を調査できます。慣 性半径(粒子サイズに比例)は、ギニエプロットの散乱曲線 の最初のスロープによって決定されます。これに基づい て、粒子の容積(粒子の質量に比例)が縦軸切片から得られ ます。

タンパク質のアンフォールディングの監視

大きい散乱角の限界により、タンパク質のフォールディング及びアンフォー ルディングについての情報が得られます。クラツキープロットは、小さい粒 子の散乱曲線は広角でq-4で減衰しますが、ランダムウォークポリマ ーはq-2でしか減衰しない、という事実を用います。I(q) q2対qのプロットに おいて、アンフォールディングされたタンパク質の信号は平坦化しますが、 フォールディングされたコンパクトなタンパク質には、はっきりとした最大 値があります。このようにして、時間分解によるSAXS測定を使用して、タ ンパク質変性プロセスを確認できます。 q2[nm-2] q I(q)*q 2 In (I(q)) フォールディングされ たタンパク質 アンフォールディング されたタンパク質

SAXSpace

SAXSpaceナノ構造分析システムは、タンパク質、

タンパク質複合体、DNA、その他の生体高分子の

研究を目的として設計されました。



迅速な測定時間:

高スループットスクリーニング



少量のサンプルで測定可能



高い強度と使いやすさを備えたコンパクトなデザ

イン

SAXSpaceは、あらゆるBio-SAXSアプリケーショ

ンに対応します。

パワフルなSAXSquant™ソフトウェアは、測定し

た散乱データについて、複数の分析オプションを

備えています。

(5)

あらゆる可能性

球状タンパク質の3Dエンベロープの作成

SAXS曲線のフーリエ変換を行うことで、実際の情報が明らかになり、二体間 距離分布関数(PDDF)が利用できるようになります。 粒子内の散乱中心(電子)間の距離の分布によって、干渉現象が強まり、実際の 散乱パターンが生まれます。二体間距離分布関数だけでも、粒子のサイズや形 状、内部構造に関する貴重な情報を抽出できます。タンパク質データに特化し た高度なab-initio手法を使用すると、低分解能エンベロープ及びビーズモデルを 生成したり、タンパク質骨格のフォールディングを示すことができます。

パワフルなソフトウェア

パワフルなSAXSdrive™及びSAXSquant™ソフト

ウェアパッケージでは、あらゆるSAXSpaceシス

テムコンポーネントを完全にコントロールでき、

データの取得、処理、分析を簡単に行えます。



高スループットスクリーニングに最適化



完全にカスタマイズ可能なテンプレートを用いた

シンプルなデータ処理



あらゆるルーチン評価に対応



アブイニシオモデリングプログラム

(ATSAS、SasViewなど)に簡単にデータを転送

タンパク質-タンパク質/タンパク質-DNA複合体の構造モデリング

他のテクニック(タンパク質結晶学など)を使用して事前に得られたデータ を、SAXSデータと合わせることで、複合体内の各ドメインの相対的な向きと 配置を特定できます。このプロセスは、剛体モデリングとして知られています。 この手法では、測定データに最も適合する複合体の構造を特定できます。例え ば、複合体を構成しているタンパク質の結晶構造を手がかりに、タンパク質複 合体の構造を知ることができます。

(6)

SAXSpace:

メリット

高品質と高効率

SAXSpaceは、バックグラウンドが極めて低い高輝

度単色X線ビームを使用しており、コントラストが

非常に小さいサンプルでも信頼性のあるデータを得

ることができます。このビーム品質は、散乱を極限

まで抑えた先進的なコリメーションシステムによっ

て実現されました。このシステムの元となっている

のは、SAXSの生みの親であるオットー・クラツキ

ーとアントンパール社によって1950年代に共同開

発された、クラツキベースのブロックコリメーター

です。

ハイスループット

ASX-cオートサンプラーは、最大192個のサンプルを自動測定 して、ハイスループットスクリーニングを実現するとともに、 内蔵の冷却オプションによって環境に敏感なタンパク質を保護 します。測定待機中のサンプルは、低温で保管されます。

極少量での測定

貴重なタンパク質サンプルの分析には、マイクロセルが最適で す。10 µL未満のサンプルで完全な分析を行い、サンプル回収 も万全に行います。

迅速な測定時間

SAXSpaceは、ラインコリメートX線ビームを使用するオプシ ョンに対応する唯一のSAXSシステムです。サンプル全体の大 容量標本の照射が可能なこのオプションによって測定時間が劇 的に短縮されるため、局所的な放射線損傷の発生を防ぐことが できます。コリメーションタイプの詳細については、右ページ をご覧ください。

操作が簡単

SAXSpaceの主要な特長は、操作が簡単であることです。 システムは自動調整されるため、ユーザーはすばやく簡単に、 タンパク質サンプルに対するSAXSの結果を得ることができま す。コンパクトでありながら信頼性の高い結果をハイスループ ットで提供し、メンテナンスの必要性は最小限に抑えられてい ます。

µ-セル

ASX-cオートサンプラー

(7)

ポイントにもラインにも対

応 -1つのシステムで2つの

選択肢

いずれのコリメーションタイプにも、アプ

リケーションに対して異なる利点がありま

す。SAXSpaceは両方を提供することで、ユーザー

による選択を可能にしています。

SAXS分析では、X線は、コリメーションのプロセ

スにおいて明確に定義されたビーム(ポイントまた

はライン)に変換されます。一般的なSAXSシステ

ムでは、ポイントコリメーションのみが搭載され

ています。

先進的なクラツキベースのコリメーションシステムを

ベースに開発されたSAXSpaceは、ポイントコリメーシ

ョンとラインコリメーションのすばやい切り替えが可

能な唯一のSAXSシステムです。

ポイントコリメーションは、配向性サンプルや不均質な構造を持つ 固体の解析に適しています。ラインコリメーションは、液体の測 定、特に散乱信号が少ないタンパク質溶液などの測定に適していま す。 ラインコリメーションされた入射X線ビームは、大容量サンプ ルの大量のタンパク質を照射します。これにより、各タンパク質分 子への放射は抑えながら、高い散乱信号を得ることができます。従 って、ラインコリメーションは、ポイントコリメーションと比べて、 測定時間を劇的に短縮することが可能です。 非配向性の異方性サ ンプルをラインコリメーションで測定した場合、デスメア補正を行 って、欠落した情報がないことを確認します。多くの論文などに見 られるように、この数十年間で、様々なデスメアルーチンが開発さ れ、多数の異なる種類のサンプルを適切に測定できるようになって きました。以下の例は、この手順の正確性を示すものです。

アプリケーションに応じた

最適なコリメーション

この図は、専用のBio-SAXSシンクロトロンビームライン(ポイント コリメーション)によって測定されたデータと、SAXSpace(ライン コリメーション)によって測定されたデータを比較したものです。 デスミア処理後のラインコリメーション結果は、測定したq範囲全 域において、ポイントコリメーション結果と一致しました。わず か30分の測定時間で、SAXSpaceは、シンクロトロン機器と同 じ品質のデータを生成できました。もちろん、シンクロトロ ンデータに適用される全ての評価手法を、SAXSpaceで測 定したデータにも適用できます。

SAXSpaceとシンクロトロン

の比較

希釈したタンパク質溶液 0.1 100 10-1 10-2 I(q) normalized q[nm-1] 10-3 10-4 1 10 SAXSpace、30分、ラインコリメーション SAXSpace、30分、校正後 Bio-SAXSビームライン、ヨーロッパ分子生物学研究所(EMBL) ハンブルグ、2分

(8)

株式会社アントンパール・ジャパン 〒140-000120, A-8054 Graz Daiwa品川Northビル4階 Tel.:03-6718-4466 Fax:03-3740-4006 E-mail: jp@anton-paar.com Web: www.anton-paar.co.jp 仕様は予告なく変更されることがあります。| 06/16 D21IP007JA-A

参照

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