Let’s ふるさと納税
~ 納税(寄付)で税額 Cut & 特産品 Get ~
序章
概要
私たちの暮らす日本という国には、納税の義務がある。例えば、所得税、住民税、消費 税などがあり、この国で暮らすためには様々な種類の税金を納めなくてはならない。これ らの税金は国や地方自治体に集められ、私たちの暮らしをより良いものとするための公的 財源として使われる。このように、納税の制度は私たち国民の暮らしをより良くするため にあるが、その一方で国民の不満要素でもある。また、これらの税金は、住民が多くいる 都心部に集中してしまい、地方と都心の税収格差も課題である。そこで、この問題を克服 するために、平成20 年度の税制改正によって「ふるさと納税」という制度の導入が開始さ れた。この制度は、全国の自治体にふるさと納税という形で寄付することで、住民税・所 得税の一部で控除を受けることができ、更に寄付した地域の特産品が贈られてくる。また、 都心部に集中している税収を地方に還元できる仕組みを実現した制度である。このように、 私たち納税者にとってメリットの多いふるさと納税だが、全国的に認知度は低く目立たな い制度である。浸透していない理由として、ふるさと納税の仕組みについて理解が不十分 であることや、ふるさと納税を行うための手続きが複雑かつ手間がかかるといったことが 挙げられる。本稿では、ふるさと納税の理念や社会的意義や制度、歴史、メリット・デメ リットなどについて説明し、ふるさと納税について理解を深められるよう、まとめ論じて いく。目次
序章 概要 第1 章 ふるさと納税について 第1 節 ふるさと納税の社会的意義 第2 節 ふるさと納税の歴史 a. ふるさと納税の導入 b. ふるさと納税の改正 第2 章 ふるさと納税の制度について 第1 節 ふるさと納税の仕組み a. ワンストップ特例制度 b. 寄付金控除限度額 第2 節 ふるさと納税の流れ a. ワンストップ特例を申請する場合 b. ワンストップ特例を申請しない・ワンストップ特例制度対象外の場合 第3 章 ふるさと納税のメリットとデメリット 第1 節 ふるさと納税のメリット a. 納税(寄付)者側のメリット b. 自治体(都道府県・市町村)側のメリット 第2 節 ふるさと納税のデメリット a. 納税(寄付)者側のデメリット b. 自治体(都道府県・市町村)側のデメリット 第4 章 検証 第5 章 結論 参考文献第
1 章
ふるさと納税について
第
1 節
ふるさと納税の社会的意義
ふるさと納税には三つの大きな意義がある。 第一に、納税者が寄付先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考 えるきっかけとなる制度であること。それは、税に対する意識が高まり、納税の大切さを 自分ごととしてとらえる貴重な機会になります。 第二に、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも 力になれる制度であること。それは、人を育て、自然を守る、地方の環境を育む支援にな ります。 第三に、自治体が国民に取組をアピールすることで、ふるさと納税を呼びかけ、自治体 間の競争が進むこと。それは、選んでもらうに相応しい、地域のあり方をあらためて考え るきっかけへとつながります。 【参考】総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税で地方創生 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/policy/ (accessed:2015/09/22) ふるさと納税は、支援したい、応援したいという想いから、希望する人が自発的に、自 分で選んだ自治体に寄付金を送るという制度であり義務ではない。希望者の想いから行う 制度であるため、同じ納税であっても好意的な意識を持ちやすい傾向がある。また、住民 税だけでなく、国税である所得税からも控除を受けられるため、納税に対する意識を好転 させることができる可能性が高い。このように、納税の意識を好転させ、国民が自ら進ん で納税をしてくれる状況を作り出すことが、ふるさと納税の社会的な意義となっている。 また、地方の活性化を促進するという点もふるさと納税の大きな社会的意義である。各 地方自治体は、自分たちの土地の魅力をより多くの人に知ってもらうことができれば、そ れだけ多くの人からふるさと納税で寄付を受けることができる。ふるさと納税によって、 旅行客向けの宣伝しか行っていなかった地方自治体も、自分たちの土地の名物や特徴など、 新たな魅力について全国的に宣伝するようになった。 この意義に加えて、更にはふるさと納税によって、納税者と自治体の両者がお互いの成 長を高め合う関係を築くことも、ふるさと納税導入の目的の一つである。納税者は地方行 政への関心と参加意識を高め、自治体は納税者の志に応えられる最善の取り組みを目指す きっかけとなる。国民一人一人の貢献が地方を変え、全国のあらゆる地域で活力が生まれ、 日本のより良い未来をつくることを、ふるさと納税は目的としている。第
2 節
ふるさと納税の歴史
a. ふるさと納税の導入
ふるさと納税は、納税者の税に対する意識を好転させたり、地方と都市の税収格差を是 正したりする目的で、平成20 年度の税制改革によって導入が開始された。私たちの住んで いる日本という国は、東京都や大阪府、愛知県などの都市に、国の中枢機関や国を代表す る企業が集中している。それに伴い交通網が発達し、企業間の取引や仕事の働き口が多い。また、サービスのあり方が多様で、買い物をする際にも選択肢が多く、気に入った商品を 手に入れやすい。このように都市は利便性に富んでおり、現代では地方で生まれ育った人 が都市に出るケースは多くあり、都市に出てきた人たちは、住んでいる自治体に納税をす ることになる。そのため、多くの税収が都市部に集中し、地方に十分な行政コストが行き 届かなくなってしまう仕組みが成立している。更に、老後の余生は生まれ育った故郷で過 ごそうとする人が多いため、地方に介護や福祉などの行政コストの負担が集中している。 そこで、都市部へ集中している税収を地方へ還元できる仕組みとして実現したのがふるさ と納税である。このように、税制を通じて生まれ育ったふるさとへ貢献や恩返しをしたり、 都市部へ集中している税収を地方へ還元したりする仕組みとして、ふるさと納税は導入さ れた。
b. ふるさと納税の改正
平成27 年 1 月 14 日、税制改正法案が閣議決定されたことによって、ふるさと納税の制 度が改正された。改正された点は主に2 点ある。1 点目は、ふるさと納税ワンストップ特例 制度の導入によって、条件をクリアしていれば手続きが簡略化され、確定申告が不要とな った点である。2 点目は、特例控除額の上限がこれまでは個人住民所得税の約 1 割であった のが約 2 割となった点である。これらの改正点を含めたふるさと納税の制度の仕組みにつ いては、次章で詳しく論じる。ふるさと納税ではこれまでに、自己負担額 2,000 円で収ま る範囲が限定的であることや、控除を受けるためには確定申告が必要であり、手間がかか ることなどが問題とされていた。これらの問題が原因でふるさと納税を利用する人が少数 であったり、知名度が低かったりした。今回のふるさと納税の改正は、これまでの問題を 改善する仕組みを実現しており、更に便利で簡略化されたふるさと納税を利用する人の増 進を目的として行われた。第
2 章
ふるさと納税の制度について
第
1 節
ふるさと納税の仕組み
a. ワンストップ特例制度
ワンストップ特例制度とは、平成27 年 4 月 1 日から運用が開始された制度である。これ までは、ふるさと納税による税額控除を受けるためには確定申告を行う必要があったが、 ワンストップ特例制度を利用することによって確定申告を行う必要がなくなった。ワンス トップ特例制度を受けるためには、納税先へワンストップ特例制度申請書というものを提 出する必要があるが、記入項目の具体例は、住所・氏名・性別・生年月日・電話番号・寄 付年月日・寄付金額であり、確定申告と比較して申請作業が簡単である。作業の簡略化に よって、ふるさと納税を行う国民が増加することが見込まれている。 しかし、ワンストップ特例制度を受けるためには条件が3 点ある。1 点目は、もともと確 定申告をする必要がない給与所得者であることである。年収が2000 万円を超える所得者や、 医療費控除や社会保険料控除、配偶者控除などの各種控除を受ける場合などは、特例控除 の利用ができず、確定申告で寄付金控除を申請する必要がある。2 点目は、2015 年 1 月 1 日から3 月 31 日までの間に寄付をしていないことである。2015 年 4 月以前に寄付をした 場合は、通常通り年間の寄付全てを確定申告する必要がある。3 点目は、1 年間の寄付先が 5 自治体以下であることである。6 自治体以上に寄付をした場合、確定申告をする必要があ る。ただし、5 自治体まで、であって、5 回まで、ではないので、同一自治体に複数回寄付 をしても寄付先数にカウントはされない。つまり、1 つの自治体に複数回寄付をしても、寄 付先数自体は1 カウントとなる。これら 3 点の条件を満たしていないと、ワンストップ特 例制度を受けることができない。 また、ワンストップ特例制度には他にも注意事項がある。1 点目は、寄付の度に申請書を 提出することである。提出を忘れると、その分の控除が行われないので注意が必要である。 2 点目は、「申告特例申請書」に変更があった場合、必ず申請事項変更届出書を寄付先の自 治体へ提出する必要があることである。提出は、寄付した翌年の1 月 10 日までで、提出し ない場合は特例制度が適用されなくなる。3 点目は、寄付金証明書(寄付受領書)は必ず保 管することである。4 点目は、ワンストップ特例制度利用時は、全額、住民税控除という形 で控除されるということである。特例制度利用時は、所得税還付分も含めた全ての控除額 が住民税から控除され、所得税還付金が振り込まれることはない。b. 寄付金控除額
ふるさと納税には税制の優遇措置があり、確定申告を行うか、ワンストップ特例制度を 申請すると、寄付金が住民税や所得税から控除される仕組みになっている。控除の対象と なるのは、2,000 円以上の寄付である。2,000 円はあくまでも税金控除対象の下限であり、 寄付を受け付ける自治体によっては、受け付ける寄付金額の最低金額が別途設定されてい るケースもある。 また、平成27 年 1 月 1 日から、個人住民税の 1 割であった控除上限額が 2 割に拡充され、 住民税の中でも基本控除を除外した特例控除額が 2 倍となった。ここでの注意点は、所得 税控除額も 2 倍になるわけではないということである。また、家族構成や住宅ローン控除の有無などによって上限金額は変わるが、寄付できる金額が大幅に増加したことになる。 【図1 控除額の比較イメージ】 【参考】特集コーナー|ふるさと納税の総合情報サイト|わが街ふるさと納税|地域・特 典・使い道で、ふるさと納税をチェック http://www.citydo.com/furusato/special/expound_furusato.html (accessed:2015/10/26) 【図1】のピンク色部分の、住民税控除の中の特例控除が、平成27 年 1 月 1 日から 2 倍 となっている。また、寄付額の増加に伴い、所得還付金の額もわずかに増加した。合計す ると、自己負担額2,000 円でできる寄付金額の総計は約 2 倍となった。つまり、これまで 自己負担2,000 円で 1 万円の寄付ができていた人は、自己負担 2,000 円で 2 万円まで寄付 できることとなった。 また、寄付金控除額の計算方法は下記の通りである。 【図2 控除額の計算】 【参考】総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税のしくみ|税金の控除につ
いて http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanis m/deduction.html (accessed:2015/11/02) 所得税からの控除は、ふるさと納税を行った年の所得税から控除される。 ①所得税からの控除=(ふるさと納税額-2,000 円)×「所得税の税率」 所得税からの控除額は①の計算式で決まり、控除の対象となるふるさと納税額は総所得 金額などの40%が上限である。 住民税からの控除には基本分と特例分があり、これら 2 つを合わせた住民税からの控除 は、ふるさと納税を行った翌年度の住民税から控除される。 ②住民税からの控除(基本分)=(ふるさと納税額-2,000 円)×10% 住民税からの控除の基本分は②の計算式で決まり、控除の対象となるふるさと納税額は 総所得額などの30%が上限である。 ③住民税からの控除(特例分)=(ふるさと納税額-2,000 円)×(100%-10%(基本 分)-所得税の税率) 住民税からの控除の特例分は、この特例分が住民税所得割額の 2 割を超えない場合、③ の計算式で決まる。 ③´住民税からの控除(特例分)=(住民税所得割額)×20% 住民税からの控除の特例分(③で計算した場合の特例分)が住民税所得割額の 2 割を超 える場合は、③´の計算式で決まる。この場合は、①、②、③´の 3 つの控除を合計して も(ふるさと納税額-2,000 円)の全額控除がされず、実質負担額は 2,000 円を超える。 また、ふるさと納税の、自己負担額 2,000 円を除いた全額が控除されるふるさと納税額 は、ふるさと納税(寄付)を行う人の給与収入と家族構成で異なる。 【図3 全額控除されるふるさと納税額の年間上限の目安(平成 27 年度以降)】 ふ る さ と 納 税 を 行 う 方 本 人 の 給 与 収入 ふるさと納税を行う方の家族構成 独 身 又 は 共働き※1 夫婦※2 又は 共 働 き + 子 1 人(高校生 ※3) 共働き+子 1 人(大学 生※3) 夫婦+子 1 人 ( 高 校 生) 共働き+子 2 人(大学生 と高校生) 夫婦+子 2 人(大学生 と高校生) 300 万 円 31,000 23,000 19,000 15,000 10,000 4,000 350 万 円 38,000 30,000 26,000 22,000 17,000 9,000 400 万 円 46,000 38,000 34,000 30,000 25,000 17,000 450 万 円 58,000 46,000 42,000 38,000 34,000 25,000
500 万 円 67,000 59,000 52,000 46,000 42,000 33,000 550 万 円 76,000 67,000 64,000 59,000 52,000 42,000 600 万 円 84,000 76,000 73,000 68,000 65,000 53,000 650 万 円 107,000 85,000 82,000 77,000 74,000 65,000 700 万 円 118,000 108,000 105,000 86,000 83,000 75,000 750 万 円 129,000 120,000 116,000 110,000 107,000 85,000 800 万 円 141,000 131,000 128,000 122,000 118,000 109,000 850 万 円 152,000 143,000 139,000 133,000 130,000 120,000 900 万 円 164,000 154,000 151,000 145,000 141,000 132,000 950 万 円 176,000 167,000 163,000 157,000 154,000 144,000 1,000 万円 188,000 179,000 176,000 170,000 166,000 157,000 1,500 万円 394,000 382,000 378,000 371,000 366,000 355,000 2,000 万円 572,000 560,000 556,000 548,000 544,000 532,000 2,500 万円 858,000 845,000 840,000 831,000 826,000 813,000 3,000 万円 1,062,000 1,048,000 1,043,000 1,035,000 1,030,000 1,016,000 3,500 万円 1,265,000 1,252,000 1,247,000 1,238,000 1,233,000 1,220,000 4,000 万円 1,468,000 1,455,000 1,450,000 1,441,000 1,437,000 1,423,000 4,500 万円 1,865,000 1,850,000 1,845,000 1,835,000 1,830,000 1,627,000 5,000 万円 2,092,000 2,077,000 2,072,000 2,062,000 2,057,000 2,042,000 6,000 2,546,000 2,531,000 2,526,000 2,516,000 2,511,000 2,496,000
万円 7,000 万円 3,000,000 2,985,000 2,980,000 2,970,000 2,965,000 2,950,000 8,000 万円 3,454,000 3,439,000 3,434,000 3,424,000 3,419,000 3,404,000 9,000 万円 3,908,000 3,893,000 3,888,000 3,878,000 3,873,000 3,858,000 1 億円 4,362,000 4,347,000 4,342,000 4,332,000 4,327,000 4,312,000 ※1「共働き」は、ふるさと納税を行う方本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていない ケースを指す。(配偶者の給与収入が141 万円以上の場合) ※2「夫婦」は、ふるさと納税を行う方の配偶者に収入がないケースを指す。(ふるさと納 税を行う方本人が配偶者控除を受けている場合) ※3「高校生」は「16 歳から 18 歳の扶養親族」を、「大学生」は「19 歳から 22 歳の特定 扶養親族」を指す。 ※4 中学生以下の子供は(控除額に影響がないため)、計算に入れる必要はない。 例えば、「夫婦子1人(小学生)」は、「夫婦」と同額となる。また、「夫婦子2人(高校生 と中学生)」は、「夫婦子1人(高校生)」と同額となる。 【参考】総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税のしくみ|税金の控除につ いて http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanis m/deduction.html (accessed:2015/11/02) 【図3】にあるように、同じ給与収入であっても、世帯構成によって全額控除されるふる さと納税の年間上限金額が異なっている。また、同じ世帯構成でも、給与収入が多い人ほ ど、ふるさと納税の年間上限金額が多くなっている。このように、ふるさと納税の年間上 限金額は世帯主の給与収入や世帯構成によって異なっている。しかし、ふるさと納税の年 間上限金額を計算式で求めることは難しく手間である。その為、給与収入や世帯構成など を入力することで、ふるさと納税の年間上限金額を計算してくれるサイトもあり、一軒一 軒のふるさと納税の年間上限金額を計算することが可能となっている。
第
2 節
ふるさと納税の流れ
a. ワンストップ特例を申請する場合
【図4 ふるさと納税の流れ(ワンストップ特例制度を利用する場合)】 【参考】今さら聞けない「ふるさと納税」の仕組みと8 つのポイント http://subaru-juku.com/hometown-tax-system-678 (accessed:2015/11/01) ①ふるさと納税をしたい自治体を選び、ふるさと納税の申し込みを行う。申し込み方法 は自治体によって異なり、インターネットや郵便、FAX などがある。②申込みを終えたら ふるさと納税(寄付)を行う。寄付方法は、銀行振り込みや窓口支払い、クレジットカー ド払いなどがあり自治体によって異なる。③ワンストップ特例制度申請書をふるさと納税 した自治体に送付する。ワンストップ特例制度申請書は自治体から郵送してもらう、また は自治体のサイトからダウンロードすることで、翌年の住民税が自動的に控除される仕組みになっている。ここで、ワンストップ特例制度を利用する際の注意点を再確認すると、 もともと確定申告をする必要のない給与所得者などで、2015 年 1 月 1 日から 3 月 31 日ま での間に寄付をしておらず、1 年間でふるさと納税を行う自治体数が 5 自治体以下であるこ とである。この条件を満たしている人のみが、ワンストップ特例制度を利用することがで きる。④ふるさと納税(寄付)を行い、ワンストップ特例申請書を送付した後は、自治体 から特産物や特典が届くのを待つのみである。特産物や特典が届く時期は、自治体によっ て異なるため確認が必要である。⑤所得税からの控除は行われず、その分も含めた控除額 の全額がふるさと納税を行った翌年度の住民税から控除される。ふるさと納税(寄付)を 行った金額のうち、2,000 円を超える部分について、住民税から原則として全額が控除され ることになっている。控除の限度額は納税(寄付)者の収入や世帯構成などにより異なる。
b. ワンストップ特例を申請しない・ワンストップ特例制度対象外の場合
【図5 ふるさと納税の流れ(ワンストップ特例制度を利用しない場合)】
http://subaru-juku.com/hometown-tax-system-678 (accessed:2015/11/01) ①ふるさと納税をしたい自治体を選び、ふるさと納税の申し込みを行う。申し込み方法 は自治体によって異なり、インターネットや郵便、FAX などがある。②申込みを終えたら ふるさと納税(寄付)を行う。寄付方法は、銀行振り込みや窓口支払い、クレジットカー ド払いなどがあり自治体によって異なる。寄付を行うと、確定申告に必要な寄付を証明す る受領書が発行されるので、この受領書を大切に保管する。ふるさと納税専用の振込用紙 や自治体から発行される納入通知書(納付書)でふるさと納税を行った場合は、払込票控 (振込用紙の半券)が確定申告を行う際の寄付を証明する書類となる場合もある。③ふる さと納税(寄付)を行った後は、自治体から特産物や特典が届くのを待つ。特産物や特典 が届く時期は、自治体によって異なるため確認が必要である。④ふるさと納税(寄付)を 行った翌年の3 月 15 日までに、自分が住んでいる管轄の税務署で確定申告を行う。確定申 告を行う際には、寄付を証明する受領書を添付する必要がある。⑤確定申告を行うと、ふ るさと納税(寄付)を行った年の所得税が控除される。源泉徴収などで既に納めている所 得税がある場合は還付されることもあるが、還付される金額は納税(寄付)者の収入やそ の他の控除などの状況により異なる。⑥所得税からの控除に加えて、ふるさと納税(寄付) を行った翌年度分の住民税が減額される形で控除を受ける。ふるさと納税(寄付)を行っ た金額のうち、2,000 円を超える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除 されることになっている。控除の限度額は納税(寄付)者の収入や世帯構成などにより異 なる。
第
3 章
ふるさと納税のメリット・デメリット
第
1 節
ふるさと納税のメリット
a. 納税(寄付)者側のメリット
納税(寄付)者側の最大のメリットは、特典がある自治体に納税(寄付)をすると、自 治体から特産物が贈られてくることである。特産物は、米、牛肉、豚肉、魚介類の農産水 産物や加工品など、自治体によって様々である。税金を納め、更に特産品も貰うことが出 来るため、非常に得な制度である。また、納税(寄附)者が寄附金の使い道を選択出来る 場合があることも、ふるさと納税のメリットの一つである。私たち納税者は、税金を納め ているが、その税金が何にいくら使われているのか把握できないことが多い。しかし、ふ るさと納税では、税金(寄付金)の使い方を自分で選択することが可能な場合がある。例 えば、子育て支援や、高齢者福祉の推進、被災地の支援、自然保護、公共設備の整備など がある。自分が生まれ育った地域の子供の教育を支援したり、自分の両親が住む地域の高 齢者福祉の推進をしたりすることができ、自分が生まれ育った地域へ恩返しをすることが 可能である。自分の希望通りに税金が使われることは嬉しいことであり、これもふるさと 納税のメリットの一つである。他にも、必ずしも自分の生まれ故郷でなくても、好きな自 治体に寄付することが出来たり、自由なタイミング・金額で寄付することが出来たりなど、 ふるさと納税には様々なメリットがある。b. 自治体(都道府県・市町村)側のメリット
自治体側のメリットは、特典の提供により、自分の地域の特産物を全国にPR できること である。自分の自治体の魅力をPR することによって、自治体への観光客を増やすことが出 来たり、地域の特産物を気に入ってもらうことが出来たりと、自分の自治体に興味を持っ てもらうことが出来る可能性がある。更に、自分の自治体を気に入ってもらうことが出来 れば、複数回、観光へ訪れたり特産物を購入してくれたりするリピーターが生まれる可能 性もある。このように、自治体の財政収入を広範囲から確保することができたり、財政収 入の増収が期待できたりすることが自治体側の大きなメリットである。また、ふるさと納 税を受けることで自治体への収入が増加しても、その分、国からの地方交付税が減らされ ることはない。なぜならば、ふるさと納税は寄付金扱いとなるため、国から見て自治体の 税収が増加したことにはならないからである。つまり、ふるさと納税を受けた自治体は、 納税(寄付)を受けた分だけ得をするのである。これに伴い、自分の自治体の魅力を他の 自治体よりもPR しようとすることで、役所の職員のモチベーションが上がることも期待さ れる。他にも、自治体側のメリットとして、収入を早期に確保できることや、被災地の復 旧や復興に役立てることが出来るなどが挙げられる。第
2 節
ふるさと納税のデメリット
a. 納税(寄付)者側のデメリット
納税(寄付)者側のデメリットは、税額控除の計算方法が複雑であり、減税との関係で 最適な寄付の金額を把握し辛いことが挙げられる。前章でも述べた通り、一人一人、所得 や世帯構成などの条件により、税額控除の上限金額が異なっている。したがって、自分の場合はどのくらいまでの納税(寄付)額ならば税額が控除されるのかを、各々で計算をす るか、市役所などで計算をしてもらわなければ把握することが出来ない。また、所得の確 定前の納税(寄付)であるため、税額控除を受けられる最適な納税(寄付)金額を予想で 決める必要がある。もし、寄付金控除が適用される上限金額を超えてしまった場合や、税 額控除のために必要な申請を行っていなかった場合は、その分の金額は控除されないので 注意が必要である。他にも、税額控除を受けるために確定申告が必要な場合は、確定申告 の手間がかかることもデメリットの一つである。これまでに確定申告をしたことがない人 を中心に、確定申告の手続きに手間や不安を感じ、それが原因でふるさと納税を利用しな い人も少なくない。その他、全国の全ての自治体がふるさと納税制度を採用しているわけ ではなく、自分が応援したい自治体に納税(寄付)できないこともある点や、クレジット カードやポイントを利用する際など、支払方法によっては手続きが面倒な点なども納税(寄 付)者側のデメリットである。