1 参考資料 国際バカロレアについて知るために(Ver.1):2017.8.23
基礎・基本からあなたの授業の「単元デザイン」に生かす
http://pedagogytocrosstheborder.blogspot.jp/2017/08/ver12017823.html 0 新学習指導要領の方向性・ESD/SDGs のめざすもの・国際バカロレアのプログラムに通底するもの それは、みずから持続可能な社会の担い手と成るために必要な資質・能力を持った次世代市民を育て ること。それを通してみずから教師(おとな)として必要な資質・能力を引き出し、研鑽し続けてゆくこ と。 そして、そこに通底する概念は、あらゆるひと・もの・こととのつながりやつりあい、、そしてそれら をつつみこみ、つづく/つづける、深くて永く続く問いや学びを引き出したり、取り戻したりする営み、 すなわち、ホリスティックなアプローチである。 また、新しい教育学、とりわけ多面的な「理解」をもたらすカリキュラム理論と方法が通底していると 言っても過言ではありません。多面的な「理解」をもたらすカリキュラムの「逆向き設計論」(ウィギン ズ, マクタイ, 2012)であり、多様なカリキュラムサイクル論(PDS, PDCA や CAP,Do! サイクル)、 カリキュラムモデル(ALACT モデル)、カリキュラムループ(OODA ループ)など、カリキュラムマネ ジメント理論と実践がその可能性を示唆している。 国際バカロレアのプログラムは、一言も ESD/SDGs という概念を明示してないが、ESD/SDGs を 支援・推進するカリキュラム理論と方法を有している。 また、国際バカロレアのプログラムは、新しい学習指導要領の方向性を先取りするカリキュラムマネジ メントを有していると言ってもが込んではない。 三者に通底している理論・哲学は、原則として、トランスアクション型の交流学習、トランスフォーメ ーション型の主体変容(変様)の教授・学習であり、構成主義的(社会構成主義的)アプローチであり、 プラグマティズム哲学・ホーリズム哲学であると言ってよいだろう。 ただし、忘れてはいけないのは、教育諸理論の三層包括分類表(Ver.10.0)が示す通り、トランスミ ッション型の教授(講義・一斉指導)を否定し去ってはいない点である。 とかく××から○○へと転換を迫られるのが世の常であるが、この三者、少なくとも ESD/SDGs と 国際バカロレアのプログラムでは一方向へのリニア(直線的)な転換ではなく、むしろ包括的な関係性や 均衡性こそが重視されていると考えたい。【教育諸理論の三層包括分類表(Ver.10.0)】を参照されたい。 今あなたが依って立つ理論・哲学の傾向性・ポジショニングを鳥の目・虫の目・魚(さかな)の目・当 事者の目など通じてハイパー・メタ認知を行うといい。 また、異なる学習者観・教師観・教育観を持つ管理職・先輩・同僚・後輩・保護者と対話する際には、 【教育諸理論の三層包括分類表(Ver.10.0)】をそれぞれの主張・実践の背景にある理論・哲学を見取る ツールとして援用されたい。単なる対立、違和感・反感・嫌悪感の根拠や背景が推察できるに違いない。2 1 ミッション(理念):3 歳から 19 歳と教師のために 翻訳:「国際バカロレア(IB)は、多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世 界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としています。/この目的 のため、IB は、学校や政府、国際機関と協力しながら、チャレンジに満ちた国際教育プログラムと厳格 な評価の仕組みの開発に取り組んでいます。 IB のプログラムは、世界各地で学ぶ児童生徒に、人がもつ違いを違いとして理解し、自分と異なる考 えの人々にもそれぞれの正しさがあり得ると認めることのできる人として、積極的に、そして共感する 心をもって生涯にわたって学び続けるよう働きかけています。」 翻訳:http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/1353422.htm 英文:http://www.ibo.org/about-the-ib/mission/ 2 10 の学習者像:3 歳から 19 歳と教師のめざす学習者像 http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/1353422.htm 翻訳:「「IB の学習者像」は、「IB の使命」を具体化したもので、「国際的な視野をもつとはどういうこ とか」という問いに対する IB の答えの中核を担っている。具体的には、IB 認定校が価値を置く人間性を、 以下 10 の人物像として表している(各学習者像の具体的な内容は、以下リンク先を参照)。 ・探究する人 ・知識のある人 ・考える人 ・コミュニケーションができる人 ・信念をもつ人 ・心を開く人 ・思いやりのある人 ・挑戦する人 ・バランスのとれた人 ・振り返りができる人」 翻訳:10 の学習者像の説明(リンク先) 英文: http://www.ibo.org/contentassets/fd82f70643ef4086b7d3f292cc214962/learner-profile-en.pdf 3 ディプロマ・プロブラム DP DP(Diploma Programme)は 16 歳~19 歳までを対象としており、所定のカリキュラムを 2 年間履 修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格) が取得可能なプログラムである。「日本語 DP」の対象科目等を除き、英語、フランス語又はスペイン語 で実施。
3 DP のカリキュラム 「DP:原則から実践へ」(2009.4)http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/1308000.htm DP のカリキュラムは、以下の 6 つのグループ(教科)及び「コア」と呼ばれる 3 つの必修要件から 構成される。 生徒は、6 つのグループから各教科ずつ選択し、6 科目を 2 年間で学習する。ただし、「芸術」(グル ープ 6)は他のグループからの科目に代えることも可能となっている。 また、大学やその後の職業において必要となる専門分野の知識やスキルを、大学入学前の段階で準備 しておく観点から、6 科目のうち、3~4 科目を上級レベル(HL、各 240 時間)、その他を標準レベル (SL、各 150 時間)として学習する。 さらに、カリキュラムの中核となる核(「コア」)として、以下 の 3 つの必修要件を並行して履修する。 グループ名 と科目例 1 言語と文学(母国語) 言語 A:文学、言語 A:言語と文化、文学と演劇(※) 2 言語習得(外国語) 言語 B、初級語学 3 個人と社会 ビジネス、経済、地理、グローバル政治、歴史、心理学、環境システム社会(※)、情報テクノロジー とグローバル社会、 哲学、社会・文化人類学、世界の宗教 4 理科 生物、化学、物理、デザインテクノロジー、環境システムと社会(※)、コンピュータ科学、スポーツ・ 運動・健康科学 5 数学 数学スタディーズ、数学 SL、数学 HL、数学 FHL 6 芸術 音楽、美術、ダンス、フィルム、文学と演劇(※) (※) なお、「文学と演劇」はグループ 1 と 6 の横断科目。「環境システムと社会」はグループ 3 と 4 の横断科目。また、「世界の宗教」および「スポーツ・運動・健康科学」は SL のみ。 課題論文(EE:Extended Essay) 履修科目に関連した研究分野について個人研究に取り組み、研究成果を 4,000 語(日本語の場合は 8,000 字)の論文にまとめる。 知の理論(TOK:Theory of Knowledge)*関連図書の刊行が相次ぐ、ぜひ参照されたい。 「知識の本質」について考え、「知識に関する主張」を分析し、知識の構築に関する問いを探求する。 批判的思考を培い、生徒が自分なりのものの見方や、他人との違いを自覚できるよう促す。最低 100 時 間の学習。
4 創造性・活動・奉仕(CAS:Creativity/Action/Service) 創造的思考を伴う芸術などの活動、身体的活動、無報酬での自発的な交流活動といった体験的な学習 に取り組む。 DP の評価 国際バカロレア資格の取得には、DP カリキュラムを全て履修し、外部評価(国際バカロレア試験等) 及び内部評価を通じて、45 点満点中、原則として 24 点以上を取得する必要がある。 配点は、6 科目につき各 7 点(計 42 点)。さらに、必修要件(「コア」)について、TOKとEEの評 価結果の組み合わせに応じて最大 3 点が与えられる(CASは評価対象外)。 国際バカロレア試験は、南半球と北半球の学校年度に対応できるよう、年 2 回、世界で一斉に実施さ れる。日本の 1 条校の場合は、原則として 3 年次の 11 月に実施され、翌年の 1 月 5 日に最終スコア が通知される。なお、国際バカロレア試験の出題例(サンプル)は、以下リンク先から閲覧可能(ただし、 英語)。
Sample exam papers(国際バカロレア機構ホームページ(英語)へリンク) 「日本語 DP」 DP の授業・試験は、原則として、英語、フランス語又はスペイン語で行う必要があるが、現在、文部 科学省と国際バカロレア機構が協力して、DP の一部の科目を日本語でも実施可能とするプログラムの開 発を進めている。 (日本語 DP 対象科目等) 日本語で実施可能又は実施可能予定の科目等は、以下のとおり。 ・以下の科目: 「個人と社会」(グループ 3)のうち、「経済」、「地理」及び「歴史」 「理科」(グループ 4)のうち、「生物」、「化学」及び「物理」 「数学」(グループ 5)のうち、「数学スタディーズ」、「数学 SL」及び「数学 HL」 「芸術」(グループ 6)のうち、「音楽」及び「美術」 ※日本語 DP でも、6 科目中 2 科目(通常、グループ 2(外国語)に加えて更に 1 科目)は、英語 等で履修することが必要。 ・「コア」(3 必修要件)の全て: 「課題論文」(EE)、「知の理論」(TOK)及び「創造性・活動・奉仕」(CAS) ※日本語で実施できる科目等について、日本語に翻訳した科目ガイド等を以下リンク先から閲覧可能。 (翻訳している最中の科目ガイド等もあるため、翻訳対象文書の全てが掲載されているものではない。 未掲載の文書については、翻訳が終わり次第、順次掲載予定。) 国際バカロレア機構日本語ページ(※国際バカロレア機構日本語ページへリンク) (スケジュール) 日本語 DP による IB 校の認定スケジュールは、以下のとおり(最も早いケース)。 ・平成 25 年 10 月 IB に対し、最初の日本語 DP による候補校申請
5 ・平成 27 年 2 月頃 IB から、最初の日本語 DP による IB 校認定(同年 4 月に 1 年生入学) ・平成 27 年 4 月 一部の認定校で、2 年生より日本語 DP 課程開始 ・平成 28 年 11 月 同校で、3 年生が国際バカロレア試験を受験(平成 29 年 3 月卒業) ※ただし、地理、数学スタディーズ、音楽、美術については、平成 29 年 4 月に 2 年生で日本語 DP 課 程として履修可能となっており、平成 30 年 11 月に 3 年生で国際バカロレア試験において日本語によ り受験可能となる予定。 4 ミドルイヤーズ・プログラム MYP 翻訳:「MYP:原則から実践へ」(2015.1 から適用) 全 149 頁。必読の書、ダウンロードしておきたい。 特に、参考文献リストに注目したい。なぜならば、本学教職大学院の各科目で紹介され、学んでいる最 新の教育学理論がリストの中に存在しているからである。
英文:MYP: From principles into practice
5 プライマリーイヤーズ・プログラム PYP
翻訳「PYP のつくり方:初等教育のための国際教育カリキュラムの枠組み」(2009.12 改訂) 英文:https://tecnosanfran.wikispaces.com/file/view/Making+the+PYP+Happen.pdf
PYP (Primary Years Programme)は 3 歳~12 歳までを対象としており、精神と身体の両方を発 達させることを重視しているプログラムである。どのような言語でも提供可能。 PYP のカリキュラムは、国際教育の文脈において不可欠とされる人間の共通性に基づいた以下の 6 つ の教科横断的なテーマが中心となっている。 ・私たちは誰なのか ・私たちはどのような時代と場所にいるのか ・私たちはどのように自分を表現するか ・世界はどのような仕組みになっているのか ・私たちは自分たちをどう組織しているのか ・この地球を共有するということ これらの横断的テーマに取り組みつつ、PYP のカリキュラムでは、以下の 6 教科を学習する。 ・言語 ・社会 ・算数 ・芸術 ・理科 ・体育(身体・人格・社会性の発達)
6 6 キャリア関連プログラム(CP) http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/1308000.htm CP(Career-related Program)は、16~19 歳までを対象としたキャリア教育・職業教育に関連し たプログラムであり、生涯のキャリア形成に必要なスキルの習得を重視する(2012 年に新設)。一部の 科目(”振り返り”のプロジェクト等)は、英語、フランス語又はスペイン語で実施。 CP のカリキュラムは、学校がそれぞれ提供する職業教育・キャリア教育に柔軟に対応できるよう、「枠 組み」を提供するものとなっている。 CP のプログラムは、以下の 3 つの枠組みから構成される。 1 ディプロマ・プログラム(DP)の一部科目 CP では、少なくとも DP の科目(グループ 1~グループ 6)のうち、少なくとも 2 つ以上を履修す る(上級レベル、標準レベルの選択・組合せは自由)。なお、日本語 DP 対象科目を選択することも可能 である。 2 「コア」 学習の方法(Approaches to learning) 批判的・倫理的思考、異文化理解、コミュニケーション能力に焦点を当てた学習。90 時間以上の学習。 コミュニティと奉仕活動(Community and service)
教室外で、コミュニティにおける奉仕活動に取り組む。約 50 時間の学習。 外国語学習(Language Development)
最低 50 時間以上の外国語の学習。
“振り返り”のプロジェクト(The reflective project)
キャリア教育に関連した特定の課題について、倫理的な観点から検討を加える。教室内外で約 40 時 間の個人研究に取り組み、調査やコミュニケーションスキルを育成。 3 キャリア関連学習 CP は、各学校が行うキャリア関連教育を支援・補完するために開発されたプログラムであり、キャリ ア教育・職業教育は、各学校がそれぞれ提供する。 7 国際バカロレアの「危うさ」(略) 付録「わたくしと国際バカロレアとのつながり(略) 2017.8.23 成田喜一郎