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ソフトウェアにおける2つの世界

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Academic year: 2021

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(1)IPSJ Magazine. [巻頭コラム] ソフトウェアにおける 2 つの世界 ▪中小路 久美代 ソフトウェアシステムを作るときには,<作るモノの世界>(the world of making)のデザ インに加えて,<使うコトの世界>(the world of using)のデザインをするべきだと思って いる. <作るモノの世界>というのは,計算機から見たときに,プログラムとして処理をする対 象としての世界だ.こういうアーキテクチャに基づいて,こういうアルゴリズムを利用して, こういうプログラム構造で,といった世界だ. <使うコトの世界>というのは,使う人から見たときに,人がインタラクション(やりと り)をする対象としての世界だ.ユーザがこういう気持ちでこういう操作をして,そうする とシステムがこんな感じの表示をして,するとユーザがじゃあ次はこうしてと考えて,とい った世界だ. インタラクションデザインという言葉は,<使うコトの世界>を造形していくアクティビ ティを指すものだろう.使って楽しい,使い心地が良いといった,ユーザがシステムを使っ てどんなことをどんな風にしていきたいか,から出発するのがインタラクションデザインで ある. <使うコトの世界>には,さまざまな時間粒度でのインタラクションがかかわる. 指をタッチパネル上でクィッと動かすとオブジェクトがツーッとついてくる,といったよ うな,ミリ秒単位の細かい粒度のインタラクションから,これを決めて,次にここを選んで, といった操作の手順を表すような,秒とか分単位の粒度のインタラクション,さらに,ツー. 巻頭 情報処理 Vol.52 No.12 Dec. 2011.

(2) ■ 中小路 久美代 (株)SRA 先端技術研究所所長. 1993 年 米 国 コ ロ ラ ド 大 学 Ph.D. 奈 良 先端大客員助教授,東京大学先端科学 技術研究センター特任教授など経て現 職.専門は,ナレッジインタラクショ ンデザイン,ソシオテクニカルシステ ムなど.. ルを使い続けることによってユーザの理解がどう変わっていくかといった,何週とか何カ月 単位の大きな粒度のインタラクションもある.<使うコトの世界>をデザインする際には, このようなさまざまな時間粒度でのインタラクションを,端から端まで考えることになる. 私は,この, 「端から端まで」というところが,<使うコトの世界>をデザインする際の最 も重要なポイントだと思っている.面白い,楽しい利用場面を思いついてシナリオを書いた り,鍵になるインタラクティビティをスケッチすることは,デザインアイディアとして重要 なコンポーネントとはなるけれども,それだけで<使うコトの世界>ができ上がることには ならない.地味な場面のインタラクションも含めて,あり得るインタラクションをできるだ け網羅して,全体を通して一貫性のある<使うコトの世界>を作り上げることが大切だと考 える. プログラムに 1 個バグがあるだけでシステムを実行できなくなるのと同様に,一連のイン タラクションに 1 カ所不揃いなところがあるだけで全体としてのユーザの利用体験が損なわ れる.<作るモノの世界>を造形するプログラミングと同様に,<使うコトの世界>の造形 にも,地道なコツコツとした作業の側面がある. <使うコトの世界>を考えていないばっかりに,<作るモノの世界>に携わる人が振り回 されているように見えることがしょっちゅうある.それぞれの世界を,それぞれの世界の専 門家が造形することで,豊かなソフトウェア体験が増えていくといいなと思う.. 情報処理 Vol.52 No.12 Dec. 2011. 巻頭.

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