研究の出口戦略
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(2) ■ 辻井 潤一 国立研究開発法人 産業技術総合研 究所 人工知能研究センター 研究 セ ンター長. 1971 年 京 大 修 士 修 了. 同 大 助 教 授,マンチェスター大学教授,東 大教授,マイクロソフト研究所首 席研究員などを経て,現職.日本 IBM 科学賞など,受賞.ACL 会長, IAMT 会長などを歴任,現在 ICCL(国 際計算言語学委員会)議長.ACL フェロー,当会フェロー,紫綬褒章. 京大工博.. 要因が関係し,根が深い.ここでは,最大の要因の 1 つに,研究の出口の欠如を挙げたい. 米国の西海岸では,情報技術者の不足から人件費の高騰と,人材の激しい流動化が起こっ ている.北京でも同様で,研究機関,大学,ハイテク企業が集積する中関村で同じ現象がある. 優秀な若者が,自己実現を求めて移り歩く.日本でも同様な流動化はあるが,限定的である. 若い研究者が将来の雇用不安から,時限つきのポストを嫌う,また,大学と企業とを峻別 し安定の大学へと向かう.この 2 つの傾向に,帰国当初,強い違和感があった.前の東欧の 学生は,博士時代に米国の大学,IT 企業でのインターンを経験し,国境を越えて流動している. 最近米国で話した若手も,3 年時限のポスト後のキャリアについて,有名な IT 企業と大学の 名前を並列に並べて,迷っていると話した.日本の若手との意識の差は大きい. 6 カ月経って,若い研究者の安定志向が彼らのせいだけではないこと,日本の人工知能研 究に出口戦略がないことが最大の原因かと気が付いた.ブームの喧騒とそこから隔離された 凪という分裂の主因も,研究の出口戦略の欠如にあるようだ.巨大 IT 企業が少ない日本で, 独自の出口戦略をどう構築するか,研究センターに課された最大の課題かなと思っている.. 情報処理 Vol.57 No.1 Jan. 2016. 巻頭.
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