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ソフトウェア再利用の新しい波-広がりを見せるプロダクトライン型ソフトウェア開発-:0.巻頭言:プロダクトライン開発と再利用技術

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(1)巻頭言:プロダクトライン開発と再利用技術 1. プロダクトライン開発の全体像と要求工学 2. プロダクトラインの可変性管理 〜可変性のモデル化とアーキテクチャ設計 3. プロダクトライン開発への移行技術 既存シリーズ製品の再構築とコア資産管理 4. ソフトウェアプロダクトライン開発のマネジメント: 課題と技法 5. 組込みシステムにおける ソフトウェアプロダクトラインの導入 6. エンタープライズ・システムにおける ソフトウェアプロダクトラインの適用. 特集. ソフトウェア再利用の 新しい波 —広がりを見せるプロダクトライン型ソフトウェア開発— A New Wave of Software Reuse - Widening Software Product Line Development -. 情報処理 Vol.50 No.4 Apr. 2009. 265.

(2) ソフトウェア再利用の新しい波 特集. —広がりを見せるプロダクトライン型ソフトウェア開発—. 巻頭言: プロダクトライン開発と再利用技術 岸 知二 北陸先端科学技術大学院大学☆ 1. プロダクトライン開発とは. ろう.しかしながら実際に再利用を行うことはそんなに 容易なことではない.必要な再利用資産を見つけ,それ.  ソフトウェアプロダクトライン(以下プロダクトライ. を理解し,自分のソフトウェアに組み込む作業は,どれ. ン)開発は,再利用に基づく製品ファミリーの効果的. も容易ではない.また再利用資産を誰が保守するのかと. な開発形態であり,1990 年代から欧米を中心に研究や. いった運用上の問題もある.そうした問題を改善するた. 適用の検討がなされ,数多くの成功事例が報告されて. めに,さまざまな検討や取り組みがなされてきた.. いる.プロダクトラインという用語は米国 SEI を中心.  再利用を行うためのメカニズムに関して言えば,比較. Engineering)という用語も使われていたが,近年はほぼ. よる継承などの新たなメカニズムの提案やそれを活用し. に使われてきた用語で,欧州では PFE(Product Family. 的小規模なライブラリ,オブジェクト指向技術の出現に. プロダクトラインという用語が定着してきている.. たクラスライブラリ,アプリケーションの骨格を再利用.  SEI ではプロダクトラインを「共通の管理された特徴. するフレームワーク,さらにバイナリレベルでの粗粒度. を持ち,特定のマーケットやミッションのために,共通. の再利用を可能とするコンポーネントウェアなど,より. の再利用資産に基づいて作られる,ソフトウェア集約的. 大規模な再利用を支援するメカニズムへと発展してきた.. なシステムの集合」と定義している .プロダクトライ.  一方,設計上の方式,ソフトウェアの構造の作り方な. ン開発はアドホックな再利用ではなく,再利用対象や再. どを流用するという設計の再利用も議論されてきた.設. 利用のされ方に対する十分な戦略を持った体系的な再利. 計の再利用においては,設計の考え方のエッセンスをう. 用であること,また再利用資産および製品群全体を開発. まくとりあげ再利用可能な形で抽象化することが必要で. 対象と捉え,その全体でビジネス目的を高めていくこと. ある.そうしたアプローチの 1 つとして,デザインパタ. 1). などが読み取れる.さらに技術的には,プロダクトライ. ーン,アーキテクチャパターンといったソフトウェアパ. ン中のプロダクトは共通のアーキテクチャ(プロダク. ターンの議論も活発になされてきた.. トラインアーキテクチャ)に基づいて構築される.この.  実装レベルの再利用と設計の再利用とは,重要なかか. 3 点が,プロダクトラインの大きな特徴となっている.. わりがある.特に実装レベルで大規模な再利用を行う際. こうした点がなぜ重要なのか,再利用技術の流れの中で. には,その背後にある設計を再利用することが必要にな. 考えてみたい.. ることが多いからである.このことを端的に指摘したも のとして,Garlan のアーキテクチャ不整合という考え. 再利用技術の中での位置づけ. 方がある .これは,再利用資産はそれがどのようなア 2). ーキテクチャの下で使われるかというアーキテクチャ上. ソフトウェア再利用はソフトウェア工学の初期から議. の想定を持っており,使う側のソフトウェアアーキテク. 論され,今でも検討されている古くて新しいテーマであ. チャがその想定に整合しないと,再利用資産が使いづら. る.ソフトウェアを新規に作るよりも,すでに実績のあ. くなるという観測である.たとえばデータフロー的なア. るソフトウェアを利用した方が生産性も向上するし,品. ーキテクチャで使われることを想定した部品を,イベン. 質も高まるというのが再利用に対する素朴な期待感であ. トドリブン的なアーキテクチャの中で使おうとしてもス ムースに使えないというようなことである.再利用を効 果的に行うためには,再利用する側と再利用される側で. ☆ 1. 現 早稲田大学 理工学術院 創造理工学部 経営システム工学科. 266. 情報処理 Vol.50 No.4 Apr. 2009. のアーキテクチャの整合に対する注意深い検討が必要な.

(3) 巻頭言:プロダクトライン開発と再利用技術 のである.. ロダクトライン開発の全体像を説明した上で,特に最上.  運用上の問題を考えると,再利用資産を開発する側と. 流のスコーピングと要求定義に関して解説する.. 再利用資産を利用する側との活動がうまくかみ合う必要.   「プロダクトラインの可変性管理∼可変性のモデル化. がある.再利用資産を作る側は,利用する側の情報が必. とアーキテクチャ設計」では,プロダクトライン開発の. 要であるし開発したものを活用してもらわなければ活動. キーとなる可変性管理について,その概念,モデル化の. そのものが成り立たない.再利用資産を使う側は,必要. 方法,それを踏まえたアーキテクチャ設計について解説. な再利用資産を適切なタイミングでリリースしてもらわ. する.. なければならないし,障害対策やアップデートを適確に.   「プロダクトライン開発への移行技術 既存シリーズ. してもらわなければ使うことができない.そうした両者. 製品の再構築とコア資産管理」では,すでに既存資産を. の関係がうまく成立するスキームがなければ再利用は成. 持ち何らかの形で製品ファミリーの開発を行っている状. 功しない.. 態から,より体系だったプロダクトライン開発へと移行.  プロダクトライン開発は,製品系列を開発するという. する際の考え方などについて解説する.. 特定のビジネス上,開発上のコンテキストの中で,こう.   「ソフトウェアプロダクトライン開発のマネジメント:. した再利用上の問題を解決しようとするアプローチであ. 課題と技法」では,プロダクトライン開発におけるマネ. るといえる.. ジメント上の問題として,構成管理,プロセス,コスト.  プロダクトライン開発は気づいた共通部分をとりあえ. モデルなどの話題について紹介する.. ず再利用資産にするというようなアドホックな方法では.   「組込みシステムにおけるソフトウェアプロダクトラ. なく,それがどの範囲の製品に利用されるかという再利. インの導入」では,組込みソフトウェアのプロダクトラ. 用の対象を十分に検討し明確に定義しながら再利用資産. イン開発において,製品リリースの履歴を用いてプロダ. を開発する.つまり使う側の顔がはっきりと見えた範囲. クトラインの特徴を捉える方法について,実データを活. で確実な再利用資産の構築をする.またプロダクトラ. 用した実験の成果を紹介する.. イン中のプロダクトはアーキテクチャを共有し,再利用.   「エンタープライズ・システムにおけるソフトウェア. 資産もそのアーキテクチャを想定して作られる.つまり. プロダクトラインの適用」では,基幹業務システムの開. アーキテクチャ不整合の問題は原理的には発生し得ない.. 発において,プロダクトライン開発の考え方を導入した. さらに,再利用資産の開発,再利用資産を使った製品群. 事例について紹介する.. の開発という全体をビジネス目的として捉えながら全体 の活動の調整を行おうとする.このように,冒頭で指摘.  プロダクトライン開発は再利用の一形態というにとど. したプロダクトライン開発の特徴は,再利用を上手に行. まらず,ビジネス目的に照らして組織活動を体系化して. うための重要なポイントとなっているのである.. いくための高度なソフトウェア工学の実践であるともい.  もちろんプロダクトライン開発を意図通り効果的に行. える.したがって個々の製品開発プロジェクトのみを見. うためには多くの課題がある.しかしながら,すでに数. る目線では成功せず,複数の製品開発プロジェクト,さ. 多くの成功事例が産業界から報告されている. らにそのための再利用資産開発のプロジェクトという. .. 3)∼ 5). より高い目線でソフトウェア開発を捉えなければ成功し. 本特集の構成. ない.そのため CMM の成熟度でいえばレベル 3 以上 のプラクティスであるといえる..  本特集では,こうしたプロダクトライン開発について,.  本特集が,こうしたプロダクトライン開発を検討する. スコーピング,可変性管理,開発管理などの基本的かつ. 際の一助になることを期待する.. 重要な考え方を解説するとともに,近年関心を持たれて いる既存資産の活用やエンタープライズ系への適用など の新しい話題について事例を踏まえて紹介することを意 図している.   「プロダクトライン開発の全体像と要求工学」 では,プ. 参考文献 1)http://www.sei.cmu.edu/ 2)Garlan, D., Allen, R. and Ockerbloom, J. : Architectural Mismatch : Why Reuse Is So Hard, IEEE Software, pp.17-26 (Nov. 1995). 3)http://www.splc.net/ 4)Product Line State of the Practice Report, CMU/SEI-2002-TN-017 (2002). 5)Product Line Engineering : The State of the Practice, IEEE Software, pp.5260 (Nov. 2003). (平成 21 年 3 月 9 日). 情報処理 Vol.50 No.4 Apr. 2009. 267.

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