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学校生活適応感に着目した支援の工夫とその効果 : 中学校の学級担任と教科担任間の情報共有から支援の実現へ

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Academic year: 2021

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(1)学校生活適応感に着目した支援の工夫とその効果  中学校の学級担任と教科担任間の情報共有から支援の実現へ_ 専  攻 特別支援教育学 コース 特別支援教育コーディネーター. 学籍番号 M 10115B 氏  名 藤 野 光 裕. 援の効果について,そして中学校進学時に発達. I問題と目的  小・中学校の通常学級において,約6.3%以. 障害の生徒が学級担任や教科担任からどのよう. 上の割合で,学習上もしくは行動上の著しい困. な配慮や支援を受け,それに伴って学校生活適. 難をもつ児童生徒が在籍しているといわれてい. 応感がどのように変化したか検証する。. る。柘植(2011)は,中学校の特別支援教育体制. の推進に影響している点として,小学校と違い. I方法. 教科担任制であること,生徒指導上の課題が多.  対象生徒はZ市立Y中学校の通常学級在籍す. いこと,思春期の中にいることを挙げ,小学校. る中学1年生男子(以下,生徒A)であった。. とは異なる体制整備の構築の工夫の必要がある. LDとAD/HDの診断を受けていた。在籍するZ. ことを述べている。. 市立Y中学校は都市部に在る全校生徒数約880.  中学校教科担任間の情報共有は,それぞれの. 名,教職員数約50名の大規模校であった。生. 教科の立場で情報を共有し合うことで生徒の実 態を全体的に捉えることができると佐藤(2011). 徒Aの在籍する第1学年の生徒数は約320名で あった。学級担任は教職経験10年の30歳代男. は述べている。一方,中学校での教科担任間で. 性教諭で,教科は理科。本研究では筆者が外部. の情報共有の実施が難しい背景として,生徒の. のコーディネーターの立場で学級担任ヘコンサ. 実態把握も断片的であり,表出した生徒指導上. ルテーションを行った。研究期間は20XX年4. の問題に追われる現状や断片的な実態把握では. 月∼同年5月であった。. 背景にある発達的な課題も見えづらいことを阪.  生徒Aやその他,気になる生徒に対する配慮. 本・納富(2011)が指摘しおり,中学校の学級担. や支援の情報を共有するため,r拡大教科担任会. 任と教科担任間での情報共有が校内支援体制づ. 議」(以下,会議)を行った。rリフレクション・. くりのポイントの一つになっていることが予想. ラウンドテーブル」の最初に行われる「マネジ. できる。レニール・重光(2011)は「リフレクシ. メント・ハプニングス」(以下,マネハプ)から. ョン・ラウンドテーブル」と呼ばれ中堅(ミドル). 始めた。このマネハプは経験した問題を会議の. が行うマネジメントを紹介している。このマネ. 出席者に話すというものであり,.事前に「気に. ジメントは教科担任間での情報共有に活用でき. なること」「それについての対応」の情報を集め,. る方法であると思われる。. まとめたものをマネハプの資料として活用した。.  「学校適応感」とは学校生活の中で自分がど. 数名の教師が生徒Aとのかかわりの中で,困っ. のように適応を感じているかという自己評価で. たことやその時どう対応したかなどの話をおこ. ある。学校適応感には様々な研究が学校心理で. なった。マネハプの中で教科担任が対応に困っ. 行われている。特別支援教育においても障害特. ていることに対して,うまくいく具体的な配慮. 性と学校適応感の視点から研究されてきている。. や支援の情報を共有し,他の教師の実践から学.  教科担任間の情報共有の課題解決の工夫と支. び,自分でどのように配慮・支援を実践してい. 一222一.

(2)  2  1 標 準0. 国4月末 口5月末. 化一1. 得. 点.2.  −3  −4. 教師との関係. 学習への意欲  部活動への意欲  情緒的安定性                (自己肯定感). 家族との関係.         因子項目  Fig,1対象生徒の標準化得点(z得点)の変化. くかに結びつく・ように話し合いを進めた。会議. 2週間での新しく取り組んだ配慮や支援につい. 後の2週間の間に各教師の実践の変化を調べる. ての質問紙の回答では,約25%の教師が新しい. ため,「新しく取り組んだ配慮や支援」「取り組. 配慮や支援に取り組んでいることが確認できた。. まれた結果」を自由記述で質問紙に答えてもら.  4月末と5月末に実施した学校生活適応感尺. い各教師の実践を確認した。. 度の2回の生徒Aの学校生活適応感尺度得点を.  また,学校適応感は南(2011)が因子分析した. 標準化得点(z得点)で表した(Fig.1)。標準化. 中学生対象の「学校生活適応感尺度」(浅川,. 得点の2回の変化は「教師との関係」「学習へ. 2003)の質問紙を使用して調べた。この尺度を. の意欲」は低くなり,r部活動への意欲」r家族. 用いて4月末,5月末の計2回覧間紙調査を行. との関係」は高くなり,r情緒的安定性」は維持. った。第1学年全生徒データから生徒Aの標準. されるという結果になった。. 化得点(Z得点)を算出した。. 1V 考察 皿 結果.  教科担任間の情報共有の工夫では,学級担任.  学級担任は4月の初めから生徒Aの小学校で. と教科担任が実際に困っていること,実際にう. の対応や特性についての質問を多く行っていた。. まくいった配慮と支援の情報を共有することが. 筆者は実際に小学校でどのような配慮や支援を. できた。しかし,「学習の意欲」は低下した。こ. 受けてきたかの情報をr引き継ぎシート」とと. れは会議の実施が遅かったことや,生徒Aへの. もに提示した。学級担任は同級生との関係づく. 効果的な学習への配慮や支援が実施できなかっ. りを軸にした学級経営に取り組んでいた。それ. たことが要因として考えられる。学級担任の生. らを引き続き行いながら,5月は生徒Aの母親. 徒Aへの正しい特性理解とその配慮と支援によ. へのストレス軽減の配慮も行っていた。. り,生徒Aのr情緒的一な安定」が維持され,学.  教科担任間の情報共有では,実際に教科担任. 級担任の母親への配慮によってr家族との関係」. が経験している困った行動に対して,学級担任. が高くなったと考えられる。. など,経験ある教師が実際におこなっている配.  本研究から,障害特性の理解,特性に合った. 慮や支援を発言する場となった。実際の出来事. 学習支援,教師や同級生との関係づくり,親へ. への対応について,「生徒Aのロロ行動への対. の配慮,情報の共有とその活用の重要性が示唆. 応に困っている」という教師に,r自分の授業で. された。. □口行動のときはOOという対応をしてうまく.        主任指導教員 宇 野 宏 幸. いっています。」といった具体的な配慮や支援に.        指導教員宇野宏幸. ついての情報を共有することができた。会議後,. 一223一.

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