大気中の二酸化炭素濃度,地球の平均温度,化石燃料の使用量の相互関係について
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(2) 56. 分析あるいはレーザー赤外吸収法,19世紀から行わ. 境に関する情報収集がさらに進展したので,大気中の. れている二酸化炭素の分析結果の評価などである。. 二酸化炭素濃度,地表の平均温度,化石燃料の使用量. これらの結果によると,少なくとも,19世紀中頃. の間の関係について,さらに検討を進めることができ. から大気中の二酸化炭素濃度は明らかにその増加が認. るようになった。. められる。この原因として幾つかが指摘されている。. 2. 本研究において使用したデータ. 人為的な二酸化炭素の最も大きな発生源としては,化 石燃料の使用があげられる。このほか森林の人為的な. 2.1.化石燃料の使用量. 破壊,土壌有機物の酸化も,大気中の二酸化炭素濃度. 化石燃料の使用塗による二酸化炭素の発生量は,. の増加に関係すると思われるが,これを検討するため. Keeling3),ならびにRottyら(Keelingの解析方. のデータは見あたらない。. 法に基づく)によって推定されている。本研究では. 従来,化石燃料の使用量,大気中の二酸化炭素の濃. Rotεyらのデータを用いる4)5)。彼らの推定の基本. 度変化,あるいは地表の温度変化は,それぞれ独立事. 的な考え方は,各種化石燃料について,年間の二酸化. 象として捉えられ,将来予測は過去における変動の統. 炭素の発生量を,燃料生産量,燃料としての使用割合,. 計処理,あるいはモデル化によって行われている。化. 燃焼効率,炭素盒有量の3っの項の積として表すもの. 石燃料の使用量と大気中の二酸化炭素濃度との関係に. である。化石燃料は,便宜的に気体,液体,固体に大. ついても,それぞれが時間軸に対して類似の形状の曲. 別し,各グループについて年間生産量をPi,燃料と. 線になることから,二酸化炭素濃度の増加が化石燃料. して使用する割合をFOi,各燃料グループの平均炭ξ. の使用にもとずくものであろうと.して,その相関が論. 素含有量をCiとすると,この積は,二酸化炭素発生量年. じられている。両者の間に対応関係があるかどうかに. COiになる。. ついて,その相関関係の実証が必要があるが,そのよ. 00i=Pi .FOi● Oi (1). うな作業は行われていない。そこで,著者らは二酸化. ここで,iはある特定の燃料グループを示す。 Roもty. 炭素濃度と化石燃料の使用量との相関関係と,さらに. は,この考え方のもとに,国際連合・統計局のデータ. は北半球の中緯度における平均気温との関係について. を用いて二酸化炭素発生搬を計算した。Fig.1に. 予備的な作業結果を報告した2)。本研究では,地球環. Rottyらによって推定された1860年から1982年ま. 6. 5 り. §4 覧 . §3 援. 冨 2. ぎ 1. 0 1860 1880 1900 1920 19勾0 1960. YeGr Fig。1Global CO2 production from fossil fuels, cement and gas flaring,1860−!982, after Rotty4’5).. 1980.
(3) 57. 門(】unG LOG me(】sure「nents. o. EvqluGt10n from 13C tree_ring d(】tG. o 差. &. 3彗0. \. 口. 8 EstimGtion from PolGr ice cores. △. E>GIUGtion by CGIlendG「. 8. 8 8. き. お. δ. セ. 塗. さ. 8. 湿. △●●●o 念. 320. o.△. ♂. ●. o o. .2. △. o. お. o. ● ●. 300. ロ ロ. △ o. ●. 言 戦. △ o. o. り. 8. 。●oo●. o ●㊤Oo. り. △ △. ● ●. 0. o. く. 口. ● o. △ △. 亀. 口. △ △. 280 1860 1880 1900 1920 1940 1960 1980. YeGr Fig.2Trend in the atmospheric CO2 concentration. Open circles,○, show daもa observed at Mau−. na Loa, Hawai;closed circles,●, data estimated byδ13 C tree−ring method;trian− gles, △, CO2 concenもration evaluaもed by Callendarg);and recもangles,[コ, CO2 concen−. tration evaluated from polar ice−core analy− sis by Nefte1θ孟αZ.7). での結果を示す。. 所からも発生する。生物は,光合成の過程でC−12を 選択的に取り込み濃縮を行う。自然界では,一般に同. 2.2,大気中の二酸化炭素濃度. 位体組成はプロセスまたは岡三体交換反応によって変. 喬史以前から現在に至る大気中の二酸化炭素濃度の. オ)るので,集積・蓄積の状態,すなわち貯蔵庫として. 変化は,将来の変化を予測するために重要であるが,. の大気生物圏,海洋,堆積物などはその成因によっ. 直接測定による精度の高いデータは,1958無から始. て同位体組成が異なっている。この効果を利用すると,. まったハワイ島のマウナロァにおける観測から得られ. 蓄積状態あるいは堆積物の同位体交換反応の大きさを. ている。それ以前のデータとしては,以下に述べる方. 決めることができる。例えば,C−13の濃度の尺度と. 法によっている。これらの測定ないしは推定した結果. してδL3σaを用い,さらに海洋,無機堆積物を標準. をFig.2に示す。. すなわちδ13C瓢0とするときに,有機堆積物では. 2.2.1.年輪法. 用いると,δΣ3C篇一25%oの有機堆積物(化石燃料). δユ3C=一25%D,大気では一6%Dになる。この関係を. 大気中の二酸化炭素は,安定同位体としてC−12と C−13とを含む。この濃度比は,それぞれ98.9と1.1. 註1. %である。そのほか,半減期が5700年のC−i4を含. δ13Cの定義は次のようである:. むが,この濃度は全体の10}1G%である。 C−14は天. δL3 C={[(L3 C/i2 C)sample−. 然に存在するほか,核爆発実験,あるいは原子力発電. C3 C/12 C)standard]/(ヨ3 C/江2 C)standard} x三〇〇〇.
(4) 58. の燃焼によって生成する二酸化炭素を一6%oの大気. 2.2.3 その他のデータ. 中に放出すると,大気中の二酸化炭素中のC−13の濃. 19世紀においても大気中の二酸化炭素濃度は関心事. 度は減少することになる。自然災害あるいは人為的破. の一つであって,多くの結果が報告されている。測定. 壊による生物圏の減少の場合にも岡じ効果を生じるこ. 方法の詳細はわからないが,Callendar9)は測定結果. とになる。従って,年輪組織を年毎に分けてC−13の. の中から,1866年から1956庫までの測定データの評. 濃度を測定すると,大気中の二酸化炭素濃度の経時変. 価を行って信頼度の高いデータを選び,19世紀の二酸. 化がわかる。C−14についても同位体二七比14C. 化炭素濃度として290ppmvを提案している。これら. /12Cが各環境ごとに異なるので, C−13の場合と同. の評価作業の結果,信頼性が高いとされたデータにつ. じように,同位体比を測定して二酸化炭素濃度を知る. いては,Fig.2に△印で示した。. ことができる。また同位体比’3C/12 Cと14 C/’2 Cを. 比較することによって,精度の検討ができる。Freyer. 2.2.4 二酸化炭素濃度の測定結果についてのまとめ. によって行われたδ13C法による年輪測定は,1800無. 1850年以降の測定ないしは推定結果は,すべてFig.. から1976年までの測定値があり6),この測定値がマ. 2にまとめてあるが,得られている結果から一般的に. ウナ・ロアにおける測定結果とかなりよい一致を示す. 言えることは,. ので,本研究では1958年以前の測定結果として,こ. ①二酸化炭素の濃度の測定法として19世紀から20世紀. のδま3C年輪法の結果を用いる。. にかけて得られた測定値のバラツキはかなり大きい。. ②マウナ・ロア観測所における測定値と,δ一C年彦 2.2.2.氷層の分析. 輪法による推定値との一致はかなり良い。 防. 積雪層の表面に新たに積もる雪がさらに積もる雪の. ③南極の氷層の分析結果は,マウナ・ロアにおける測. 圧力によって氷に変わるとき,この氷は大気を閉じ込. 定値,あるいはδ一3C年輪法による値よりも小さい. める。この雪氷層は,大気に関係するいろいろな情報. 値を与える。. を保存することになる:例えば,過去の気候に直接関. などである。. 係する記録(温度,雨・氷,相対湿度),気候に関係 する他の要因(エアロゾル,大気)など.従って,氷. 2.3 地球の平均気温. 層を表面から深さ方向に掘削し,その氷床サンプルの. 地球の平均気温は,Jonesら1D), Hansenら1い2). 旧聞を決めれば,過去の気候に関する情報が得られる。. によって推定されている。Hansenにより報告された. 丁霊の年代,あるいは氷が生成した時期は幾つかの方. 地球表面の大気温度をFig.3に示す。. 法によって決められる。比較的近年の時期は季節的変. Jonesの方法は,地球上の旧観測点から得られた. 化を利用できるが,数世紀の蒔間尺度では,Pb−210. 陸上の気温,海上の気温(MAT),水温(SST)に. (半滅期=20年)のような岡位体を用いれば数鋸の精. ついて,北半球と南半球に分けて統計処理を行い,そ. 度で年代を決めることができる。さらに長い年代決定. れぞれの半球の平均温度を求める。次に,地球の温度,. についてはC−14のような半減期の長い同位体を用. Tgbba1,として,次式により計算する。. いる。雪氷中の二酸化炭素は融解することなく氷の状. Tgloba監 = 0.25 NHIand 十 〇.25 醤HssT. 態で二酸化炭素を抽出してガスクロマトグラフ,ある. +0.2SHland+0.3 S HssT (2). いは赤外レーザー分光法によって分析する。. Hansenの方法は,地球を等面積になるように80区. この方法による結果は,Nefもe1ε蝕Z.7)とRaynaud. 域に分け,各区域において測定された温度の平均値か. &J.M. Barnola8)によって報告されている。その. ら北および南楽球,全地球的な平均温度を計算する。. 結果は,Fig.2に口印で示す。19世紀前半の工業化. 測候所における地表大気温度の主なデータ源として,. 以前の大気中の二酸化炭素濃度は250∼290ppmvと. 世界気象記録(WWR),米国海洋大気庁(NOAA). いわれているが,Nefもel e‘αZ.らの結果は280±. による世界月間気候データ(MCDW)を用いる。平. 5ppmvであり,Raynaud&Barnolaの測定結果は. 均値の求め方に違いはあるが,大気温度と時間との関. 260∼270ppmvである。 Raynaud&Barnolaは,. 係は,同じような傾向を示す。Fig.4は, Hansen. 彼らの結果をもとに二酸化炭素濃度は必ずしも一定で. とJonesの温度との関係を示す。測定点の選択,統. はなく260∼295ppmvであろうと結論している。. 計処理の違いから,勾配が45。の直線にはならない。 表式化すると次式のようになる。 乃 . = 0.6847TH − 0.017 (3).
(5) 59. O,6. o x. O,4. =. O,2. o. = co m= U. s ? li. ,q i. Lo. im. 4-J. vo. gifiisilp. co. L= oL. k. o. "J. o Q Eo -O,2. r rvi, 'l. w. L o o U voL =. l. .-. ,zig. `gio' ,,zsik --. o,tl. g. a. 8 '. 1. pW. liili. ! ij. x1. ,41. s. g f. co. pt-. noo o. -O,6. g. pt-. -O,8 1880. 1920. 1900. l940. 1960. 1980. 2000. Year Fig. 3 Trend in the global surface air temperature since 1880, after Hansenii・ i2) .. O,6. U o. × ca. e = o) L o. Oilt. o/. --. -w. O,2. o Lo Po= o Lo aE po L -O,2 .Pe o o e pa L= -O,4. o. o Oo. g,.oeo. teo-・ 3oco.g cl). o. /%/. o o o. o oo e. Oo oO. eO. o. to. TH-. Doo. -o. -O,6 -O,6. -O,Lt -O,2. o. O,2. O,4. O,6. Global surface air temperature after Hansen / .C Fig. 4 Relationship between Hansen's global surface. air temperatureii''2) and Jones' temperatureie).. The solid line is calculated by least-squares method..
(6) 60. 叢. a. も. 340. 2 ・{ン/. \. &o. ぎ. コ. △ 6. 2. . oOo. o. 芒. 8 8 0. 。 0800 革・、ゆ 8、βo。 ロ 、.△. ♂. 0 2. /舷 ロ. 8. ロ. 。。R. お. 琶 置. △ 受)O. △●鴨. 320. 警. 300. ●口. く △ △ △∠△. 280 0. 1 2 3 自. 5. 6. CQ2 emission / 109 tOn C. Fig.5Relationship between global, man−made CO2 production from fossil fuels, cement and gasflaring,1860−1982 and atmospheric CO2 concentration. The solid line is calcu−. lated by least−squares method. Symbols areもhe same as those used in Fig.2.. ここで乃,7HはJones, Hansenによる温度を示. による将来予測の方法が使われているが,この方法で. す。標準偏差は0.087℃である。. は化石燃料の使用による二酸化炭素濃度の影響を正確. 両データについて共通していえることは,1880年. に把握することができない。そこで,大気中の二酸化. 以降の大気温度は1880黛から1940年頃までは気温が. 炭素濃度と化石燃料の使用量のデータを用いて,両者. 上昇傾向にあり,それ以降1970無代まではほぼ横ば. の関係を調べた。結果をFig.5に示す。化石燃料の. い,1980年代になると急激な上昇がみられる。. 使用量と二酸化炭素濃度の関係は,実線で示すように,. 北半球についてはこの外Vinikov窃αZ.(1980)ユ3),. 直線を使って近似できる。最小自乗法により求め表式. 山本・星合(1980)!4)の報告があるが,本研究では両. 化すると(4)式になる。なお,この式の導出にはマ. 半球を含む地球の大気温度について扱ったので,ここ. ウナ・ロアにおける測定結果(1958−1982年)と爺輪. ではこれらのデータを使用しなかった。. 法の結果(!860−1974庫)のみを用いた。なお,図に. 4.化石燃料の使用と大気中の二酸化炭素濃 度の関係. は参考までに南極における雪氷の分析結果をも示した。 g == 4.992κ + 308.00 (4). ここで,2は大気中の二酸化炭素濃度(ppmv),κは. 大気中の二酸化炭素濃度の増加を見積る方法として. 化石燃料の使用とセメント生産によって発生する二酸. は,従来,大気中の濃度の経年変化をもとにモデル化. 化炭素量(109Gton C/year)である。(4)式によっ.
(7) 61. 200. L). 160 ε ρ. も. 360. ==. 8 120 曽. ≧. 8. . .葺. 8. Qり. 3 ず. ’8 80 冒. 竃 Φ. 8. 鋤噛㎡. o♂. り. ち 醜0 ぢ. Oo. 剃 望. ●. 霧 0. 9 芒. 8. 320 き. O 口 口. ♂. 0 2 δ. oo ● ●. お 三. 340 \. 琶 償. り. oo o㊤. ●. 8. 300 琶. 口. o. 8 5. 8. く. 口. 280 1860 1880 1900 1920 19qO 1960 1980. YeGr F三g.6Acumulated amounts of CO2 emitted since 1860,which is shown as the solid line. In. order to know an effect of anthropogenic CO2 amountsも。 the atmospheric CO2 concen− tration, in the figure, the increase in the. atmospheric CO2 concentraもion fromもhe value in 186G,296 ppmv,is also shown.Sym− bols are the same asもhose used in Fig.2.. て計算した二酸化炭素濃度に対する測定値あるいは推. 大きく変化することは,大気中の二酸化炭素濃度が化. 定値の標準偏差,. 石燃料の消費量だけでは決まらないことを示している。. σε一[Σ(ε。b−2,al)2/(N−1)]% (5). 化石燃料の消費量の少ない1940奪頃までの直線の勾. は3,95ppmvである。. 配が大きいのは,例えば,太陽活動の結果として現れ. Fig.5では,二酸化炭素の発生量が零に近い1860. る海水温度の変化,それに伴う大気温度の変化など,. 年頃から1940年頃までと,それ以降の二酸化炭素濃. 地球環境の変化が考えられる。二酸化炭素の濃度変化. 度の増加の傾向とが異なるように見える。そこで,2. は,人為的発生によるものと,自然現象によって引き. つの区間に分けて最小自乗法によって直線を当てはめ. 起こされるものとの重畳によるのではないかと思われ る。1940無以前における直線(6)の外挿値は297ppmv. ると,1880年から1944奪までが(6)式, 2 篇 5.338κ + 296.74 . (6). !946年以降が(7)式になる。. である。これは19世紀の大気中の二酸化炭素濃度の推 定値にほぼ等しい。. 2 = 1.5/0κ + 302,59 (7). (6),(7)式と二酸化炭素濃度の実測値との間の標準偏. 5. 大気に放出された二酸化炭素の蓄積. 差は,それぞれ1.12,023ppmvであって,相関性は. 化石燃料の使用によって人為的に発生した二酸化炭. かなり高い。しかし,直線の傾きが1940年頃を境に. 素の挙動は,大気中の二酸化炭素濃度と関係するため.
(8) 62. 0,6. 『. O. 0,4. \. 2. 君. 9. O 0,2. oOO. 8 ρ. 0. 0 8 ≒. O. O o. c8。 o. O O O. o O O o o. o. ○. 一〇.2. (1). o. O. o. 宕. 8. O O. O O o o. .i=. ε. O. 瑠・・、. 器. 一〇、4. ε. O 一〇,6. 0. 1 2 3 与. 5. 6. CO、e・1SS1・n/10gt・nC Fig.7Relationship between global CO2 producもion from fossil fuels, cement and gas flaring,. 1860−1982and global surface air tempera− ture by Hansen. 「1’he solid line is calculated. by least−squares meもhod.. に,大気中に蓄積されるのか,海洋,あるいは植物に. て,放出された二酸化炭素量の積算量と大気中の二酸. 固定されるのかについて明らかにする必要がある。す. 化炭素濃度とを比較する。化石燃料の使用量の積算値. なわち,. の経年変化をFig.6に実線で示す。この積分値は,. ①人為的に二酸化炭素を大気中に放出するとき,二. Rottyらの文献の値をそのまま使用した。積分値,. 酸化炭素のかなりの部分は大気中に蓄積されるという. すなわち人間が1860年から1982無までに放出した二. 積分効果が大きいのか,. 酸化炭素の総箪Cfは,約166GtonCになる。表式. ②それとも放出された二酸化炭素は速やかに海洋に. 化すると. 吸収されるか,あるいは植物に固定されて,蓄積より. 0{= Σσ£y (y=1860−1982) (8). は固定化される速度が大きく,そのために年毎に二酸. であり,任意の年までの積算量は積算の上限が1982. 化炭素濃度が変動するという微分効果によるものか,. ではなく,任意の年に変わる。. を調べることによって,化石燃料の使用による二酸化. 他方,化石燃料の使用量の推定が始まった1860年. 炭素濃度への寄与を明らかにすることができる。現在. 以降の大気中の二酸化炭素濃度の変化を知るために,. では,化石燃料の使用によって生産される二酸化炭素. 1860年における年輪法による二酸化炭素濃度の推定. は,まず大気中に放出され,次に海洋におよそ1/2. 1直296ppmvを基準にすると,ある年の二酸化炭素濃. が溶解し,残りの二酸化炭素が大気圏に蓄積するとい. 度の1860年からの純増は次式で与えられる。すなわ. う積分効果によって説明されている。そこで,化石燃. 料の使用量の推定がなされている1860年以降につい. ち,. (〕a 二= Cy 一 ()1860 (9).
(9) 63. 詫. 8. ○. 340. o. o o. \ 郭. O gO o. さ. 8. 呂. o冒. 2 8 琶. o. O. 8宕;醸}.④. 320. り. 8. ♂. ⑦ 口. り. .2. ●. b. ∼. 皇. 8. 5. 300. o. ● ● 口. o. く. 280 一〇,5 −0.η 一〇、2 0 0,2 0、自. 0,6. GlobGI surfGce Q三r ten}Per{〕芝ure / 。C. Fig.8RelatiQnship between the atmospheric CO2 concentra七ion and the global surface air temperature by Hansen. The solid line is calculated by least−squares method. Sym− bols are the$ame as七hose used in Fig.2.. 図6には,縦軸左側に積分値を,積分値と比較するこ. られる。1940年以降は逆に△0>0となり,二酸化炭. とができるように縦軸右側に二酸化炭素濃度を,これ. 素の蓄積量が,大気中の二酸化炭素による増し分より. は微分値に相当するが,○(雪輪法),●(マウナ・. 大きくなるので,過剰分は海洋に溶解するなど,何ら. ロアの観測値),[コ(南極の雪氷の分析値)にて示す。. かの形で自然界が吸収することになる。. 人間活動によって生産・放出される二酸化炭素量が,. 大気中の二酸化炭素濃度の推定値から,二酸化炭素. 大気中に長期聞蓄積されることなく,高々一年あるい. の発生源あるいは吸収源に関する検討を進めることが. は数俸程度の短かい期間内に海洋,あるいは陸生植物. できる。Stuiverの考え方は,δ13 C年輪法によって. によって吸収・固定され,あるいは放出されると考え. 求めた大気中の二酸化炭素濃度と化石燃料の使用によっ. ると,すなわち二酸化炭素濃度の変化に直ちに対応し. て発生する二酸化炭素濃度を比較して,その差は,す. て,化学平衡が成り立つとすると,次の式から上記の. なわち化石燃料使用量以外の発生源として,生物圏で. 考え方の検証ができる。. あるとしている15)。また,Freyerは,δ13 C年輪法. △C篇Cf−Ca (10). によって求まる大気中の二酸化炭素濃度は,1958年. Fig.6から,放出された二酸化炭素量がすべて大気. 以降はマウナ・ロアのデータと一致するが,それ以前. 中に蓄積されたときに,大気中にもともと存在してい. では同位体比が現在の値がそのまま使えるかどうかの. た二酸化炭素濃度と等しくなる年は,(10)式では△C=. 危惧を示しながらも,年輪法の同位体比を用い,さら. 0,1940年頃になる。1940卑以前では,△C〈0で. に大気中に36%の二酸化炭素が残留するとして,二. あり,人間により生産された二酸化炭素の積分値が,. 酸化炭素の積分値との差分から二酸化炭素の発生源の. 大気中に存在する二酸化炭素の増し分よりも小さいの. 検討を行い,それが生物圏にあるどしている6)。しか. で,不足分は自然界から二酸化の放出があったと考え. しながら,地球規模における炭素循環では,海洋が年.
(10) 64. …≡. a. Q. 3な0. o o. \. O o 8 0 0. ぎ. コ. 9。8. 9. 8. 芒. 8. 320. ⑧8. 琶 り. ♂. u. む ● 口. お ⑤. 舌. 8. h賦1㊥. ㊦ ◎ ロ ロ. .2. 粘. O. o. ⑤. 300. ②. o. 口. 口. く. 280 一〇,6 −0.向 一〇.2 0 012 . 0、q O.6. SurfGce Gir temperG定ure for the Northern HemishPere / 。C. 罫’ig.9 Relationship between the atrnospheric CO2. concentration and the surface a玉r tempe−. rature for the Northern Hemisphere by }iansen. The solid line is calculated by. least.squares method. Symbols are the same as those used in Fig.2.. 閤100×109もonCの二酸化炭素の交換を行っているの に対し,生物圏での呼吸,腐食・腐敗による二酸化炭. 素の放出と,炭酸同化作用による二酸化炭素の取り込. 年頃までは化石燃料の増加と共に気温が急激に上昇す る,. ②1940年頃から1960年頃までは二酸化炭素の発生量. みがそれぞれ65と62×109tonCであるので,二酸化. に関係なく気温はほぼ一定,. 炭素の主な発生・吸収源としては,まず海洋の役割を. ③1960年以降は化石燃料の使用量の増加とともに,. 検討する必要があるのではないかと考えられ,また検. 気温が上昇する傾向にある。. 討に値すると思われる。. 図に示すように,1860年から1940年頃までの期間. 6. 化石燃料の使用と平均気温. では,化石燃料の使用量は小さいので,気温の上昇は 二酸化炭素の人為的な放出によるよりは,何らかの地. 化石燃料の使用量とHansenによる地球の平均大. 球の変動によると考えられる。この傾向はFig.5の. 気温度の関係をFig.7に示す。両者の間に明確な関. 1860年から1940年頃までの二酸化炭素濃度の増加と. 数関係はみられないが,大略的には,化石燃料の増加. 対癒するように見える。横軸が3.1×1ぴtQnCにおけ. に伴なう大気温度の変動はFig.5に類似の形になる. る温度が低いのは,1963年のAgung山の噴火によ. ことがわかる。すなわち,1940琿頃の1,5×109tonC. る。この時の気温の低下は大気中の二酸化炭素濃度に. に極大値が,1960年頃の2.5∼3×109tQnCに極小値. ほとんど影響を与えない。. が見られる。この傾向から,両者の関係は次の3つに 区分することができる。. ①1.5x109 tonC付近まで,すなわち1860年から1940.
(11) 65. 差. Q o o. 3自0. &. O O. \. Qを鴫/. 唇. コ. 9. 芒. 8 琶. ・鉾搬ぜ. 520. O ♂. ●●. O. ● 【? o. .2. む ● 0. お. ●. き 婁. 菱. ●●. 300. ●. 日. 口. 280 一〇.6 −0.q −0.2 0 . G12 0.己{ 0.6. 30nes’ 910bGI surfαce G正r te田PerGture / oC. Fig.10 Relaもionship between the atmospheric CO2 concentration and surface air temperature for the Southern Hemisphere by Hansen. The solid line is calculaもed by least−squa−. res method. Symbols are the same as those used in Fig.2.. 7. 地表の大気温度と大気中の二酸化炭素濃 度との関係. 8は1880年からのデータに基づいて作成されたもの であって,それ以前からの傾向が現在に至るまで継続 していると考えるのが噸当であろう。. 大気の温度の変動が大気中の二酸化炭素濃度にどの. 二酸化炭素の自然界における放出・吸収と人為的な. ような影響を与えるかを知るために,Fig.8に両者. 放出は北半球と南半球とでは異なる。すなわち,海洋. の関係を示す。全地球の地表の大気温度の平均値には. の二酸化炭素の放出は赤道付近にて,吸収は北・爾の. Hansenのデータを,二酸化炭素濃度のデータにはマ. 各半球の中緯度付近にて起こり,二酸化炭素の人為的. ウナ・ロアの測定値と年輪法の推定値を用いた。両者. な放出源は北半球の中緯度付近にあると考えられるの. の関係は図に見られるように,ほぼ直線関係にあるこ. で,二酸化炭素の濃度はどちらかというと北半球の方. とがわかる。直線の当てはめは,次の式になる。. が高い。そこで,Fig.8の地球表面の気温の代わり. 2 離 29.060ごy 十 321.798 (11). に,両半球に分けて平均大気温度との関係を調べると. 標準偏差は7.07ppmvである。この図は,一般的傾. Fig.9とFig.10が得られる。北半球についての両者. 向として,地表の大気温度が上昇すると二酸化炭素濃. の関係の表式は. 度が高くなることを意味する。しかし,この図から直. 2 = 20.781ニソ 十 321,519 (12). ちに二酸化炭素の濃度が高くなると大気の温度が上昇. であり,標準偏差は7.54ppmvになる。南半球につ. するという結論を導くことができない。何故ならば,. いては,地球平均のFig.8の場合と同じように,両. 化石燃料の使用量が著しく増えたのは19妬年以後で. 者の間に正の相関が見られるが,バラツキの程度は. あるが,それ以前の傾向までを含めて化石燃料の使用. Fig.8に比べるとやや小さい。表式化すると. 量に原因を求めるのは困難であると思われる。Fig.. 2 藁 35,618こy + 321.82 (13).
(12) 66. o. 蓬3臼O. Oo. $. 8. \. 0 0. 呂. o. 9 0 ・。 。,冨. E. 蟹. 8320 §. 8●。:◎. ぎ. 匝. .2. o ⑦ 口. お. ㊤. 巷. ④②. 830G. 9. 5. 日. 口. く. 280 一〇.6 −0.自 一〇,2 . 0 0,2 0,自 0.6. SurfGce Gir te閉Peroture for tbe SoUthern Hem重sr)here / 。C. Fig. U Relationship between the aもmospheric CO2 cQncentration and the global surface air temperature by Hansen, The solid line is calculated by least−squares meもhQd. Symb ols are the same as those used in Fig.2.. 標準偏差は6.98ppmvであって,北半球のデータを. 2謀ακ十Z)ニソ十。 (15). 用いるよりも相関性が良いことがわかる。. 1880年から1982奪までの推定あるいは測定値を用. 地球の平均大気温度としてJones e‘認.による値. い,最小自乗法によって計簑すると(16)式が得られ. を用いるとFigほ1が得られる。表式は(14)式のよ. る。. うになる。. 2 ユ 4.266κ + ユ5.616二y + 310.303 (16). 2 瓢 29.655ッ 蓬一 321.911 (14). 標準偏差σ2は2,87ppmvになる。. 標準偏差は7.48ppmvである。 Fig.8のHansenの. (16)式による計算値と測定値(あるいは推定値). 温度と比べると,二酸化炭素濃度の温度に対する依存. との間の標準偏差は,気温の変化を考慮しない化石燃. 性が異なることが示される。これは地球の平均温度の. 料使用量と二酸化炭素濃度との関係式,(4)式,の標. 統計処理の仕方の違いであるが。. 準偏差値4,08ppmvより小さくなる。さらに,地表. 8.大気中の二酸化炭素濃度と二酸化炭素の 放出量,気温との相互関係. の大気温度と二酸化炭素濃度との関係式(11)式の標. 準偏差7.01ppmvに比べると一層小さいことがわか る。(16)式の各係数から,二酸化炭素濃度に与える. 既に述べてきたように,大気中の二酸化炭素の濃度. 化石燃料消費量と地表の大気温度の寄与が明らかにな. は,人為的効果による二酸化炭素の放出と,地球の平. る。すなわち,化石燃料の使用羅が1GtQn C増加す. 均温度の変化と関係があるように思われる。そこで,. ると二酸化炭素濃度は4.3ppmv増舶し,大気温度が. 二酸化炭素放出量κ(109ton C)と地表の平均大気温. 0.5℃変動すると二酸化炭素濃度は7.8ppmv増加す. 度y(℃)の両者を考慮に入れた1次関数(15)式を. ることがわかる。大気温度と化石燃料消費量とはそれ. 用いて,二酸化炭素の濃度2の関係式を求める。. ぞれ独立変数であるから,地球の変動によって二酸化.
(13) 67. 炭素濃度が変わることが充分に説明できる。すなわち,. 記号と換算表. 大気中の二酸化炭素濃度の影響を与える因子として,. κ:人為的な二酸化炭素の発生蟹(GtonC/year). 地表の大気灘度も考慮する必要があることを示してい. y:地球の年平均,表面大気の温度(℃). る。. ε:大気中の二酸化炭素の濃度(ppmv). この研究では,気温として二酸化炭素濃度の推定値, あるいは測定値の隼の大気温度を用いて評価を行った。. これは,海洋が隼間100×109tonCの二酸化炭素の交. 大気中における二酸化炭素濃度と炭素量との関係. 1ppmv CO2 in the atmosphere. 換を行っているので,人為的に放出した二酸化炭素の. 二 2,1×109 to:ユ C. 海洋への吸収が速やかに行われるとの考えに基づくも. =7.8×109ton CO2. のである。しかし,実際嬉は大気中の二酸化炭素の吸 収には何年かの時間遅れがあることも充分に考えられ るので,近似を高めるためには,この点をも考慮する. 引用文献 1). C.一C.Wallen, Monitoring the at田Q− spheric CO2 concenもration, in Current Views and I)evelopments in Energy/Cli−. 必要があるかもしれない。. mate Research”,W. Bachθεα乙(eds.),pp,. 9. まとめ. 3−29,D. Reidel Pub.Co.,Dordrecht(1983).. 本報告で扱った限りでは,大気中の二酸化炭素濃度. 2). の増大は,化石燃料の使用量,地球の大気の温度の変 化と正の相関にあることがわかるが,化石燃料の使用. 田川博章,水崎純一郎,化石燃料の消費と大気 中の二酸化濃度,横浜国大環境研紀要,15,57− 69 (1988).. 3). 攣の増加が気温の上昇をもたらすということを直接示. Keeling, C. D”Industrial production of carbon dioxide from fossil fuels and lime− stone, Tellus,25,174一一198(1973).. す結果を導くことはできなかった。 4). 以上の結果を要約すると,. 」.A. Watもs(Compiled),The carbon di−. oxide quesもion:Data sampler, in”Carbon. 1)大気中の二酸化炭素の濃度,平均気温と化石燃料. Dioxide Review:1982”,ed. by W.C.Clark,. の使用量との間には,幾つかの特徴が見られる。. PP.432−449, Clarendol〕 Press, Oxford. ①!860無から1940頃まで大気の平均温度が上昇し,. (1982). 5). 大気中の二酸化炭素濃度も著しく増加する。化石燃料. G,Marland and R. M. Roもty, Carbon di− oxide ernissions frQm fossil fuels:aproce− dure for estimation and resulもs for 1950− 1982,Tellus, 36B,232−261(1984).. の使用量の関数として大気の平均温度と大気中の二酸 化炭素濃度を調べると,ほぼ直線近似することができ 6). る。. C.Lorius and D, Raynaud,”Record of past atmospheric CO2 from tree,ring and. ②1940年頃から1975年頃までは化石燃料の使用量. ice core stud三es”,p,145−176 in ”Current. が増加し大気中の二酸化炭素濃度も増加するが,大気. Views and Developments in Energy/Cli− mate Research”,W. Bachε‘αム(eds.),pp.. 温度は,変動があるにもかかわらずほぼ一定である。. 145−176,D. Reidel Pub. Co., Dordrecht. ③1975無以降では,化石燃料の使用量,大気中の 二酸化炭素濃度ともに増加し,大気温度も高くなる傾. (1983). 7). A.Nefte1, E. Moor, H. Oeschger and B.. 向にある。. Stauffer, Evidence from polar ice cores for. 2)平均気温と大気中の二酸化炭素の濃痩との問には. the increase in atmospheric CO2 in the past two centuries, Nature,315,45−47(1985).. 正の相関がある。少なくとも,1880年以来,平均気. 8). 温が高くなると大気中の二酸化炭素濃度が高くなる傾. もions over the past few centuries, Nature,. 向にあるが,この原因は化石燃料の使用量の増加によ るよりは,地表の大気温度の上昇によりものと考えら. 315,309−311(1985). 9). れる。. 3)大気中の二酸化炭素の濃度2(ppmv)を,人為 的に発生する二酸化炭素量κ(GtonC/year)と地. 248 (1958).. 10). P.D. Jones, T. M. L Wigley and P. B.. Wright, Globalもemperature variaもions be− tween 1861 an(i 1984, Nature,322,430−434 (1986).. わ:y+cで表現すると,次式が得られる。. 標準偏差σ2は2。87ppmvである。. G.S. Callendar, On the amQunt of carbon dioxide in the atmosphere, Tellus窪0,243−. 表の平均温度:y(℃)との直線的な関数,2=ακ+. ε = 4。266κ + 15.616y 十 310.303. D.Kaynaud and J. M. Bamola, An Antar− citic core reveals atmospheric CO2 varia一. 11). J.Hansen and S. Lebedeff, Global trends of measured surface air temperature,」..
(14) 68. Geophys. Res.92, 13345m13372 (1987). I2) J. Hansen and S. Lebedeff, GIobal surface. air temperature: Update through 1987, Geophys. Res. Lett., 15, 323-326 (l988).. 13) I. I. Borzenkova, K, Ya. Vinikov, L. P. Spirina and D. I. Stekhonovskii,Variation of Northern Hemisphere air temperature from 1881 to1975, Soviet Meteorology and Hydrology, 7 21-26 (1976).. 14) R. Yamamoto and M. Hoshiai, FIuctuations of the Northern Hemisphere mean surface air temperature during recent 100. years, estimated by optimum interpolation, J. Meteorolog. Soc. Japan, 58, 187193 (1980).. 15) M. Stuiver, Atmospheric carbon dioxide and carbon reservoir changes, Science, 1ee, 253 -258 (1978).. 16) C. F.Baes,Jr.,"The role of the oceans in the carbon cycle", p.31 rm 56 in W. Bach, A.. J. Crane, A. L. Berger and A. Longhetto,. "Carbon Dioxide - CurrentViewsand Developments in Energy/Climate Research", D. Reidel Pub. Co., Dordrecht (1983)..
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