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音楽における音と無音

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Academic year: 2021

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(1)Title. 音楽における音と無音. Author(s). 大塚, 夏生. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. A, 人文科学編, 17(2): 115-133. Issue Date. 1966-12. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/3920. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 第1 7巻. 第 2 号. 北海道教育大学紀要 (第一部A). 昭和41年12月. 音 楽 に お け る 音 と 無 音. 大. 塚. 夏. 生. 北海道教育大学岩見沢分校音楽研究室. Natuo OTUKA ; Sound and si l ic ence in M[us. 〔1〕. 音楽は音響の芸術であるといわれているが, 音楽は音響のみによっ て存立 しているとはいえな い. 音楽において音響が存在するためにはそれを支える何ものかがなければならない, 歴史的時 間, 心理的時間,‘ 物理的間時間および,それらの次元における種々の音楽行為が音楽の音響を支え るものと考えられ得るが, 更に音響が存在するために時間の次元においてそれを意味付けている 反音響, 叉はサイ レンスの機能をも考えねを な ら な い, 音 響 が つ ね に サイ レンス と 表 裏 を な し, 音響 が サイ レ ンス に よ っ て 媒 介 さ れ る こ と に お い て 内 的 持 続 α”γ粥 g 好み〆β”だ が外的境位にお 7. いて時間化され, 空間化されるところに音楽作品が成立するため, サイ レンスは時間的, 空間的 意味をもつ。 故に音楽創造は一概に e嵩 ”効〆あ と は い え な い の で あ る. こ の 場 合 サイ レ ンス は 存. 在の外にあるのではなく, 存在の核心にあたえられていなけれを ならない. 非存在の不断の可能 性は人間の外にあっ ても内にあっ ても存在への問いを生み, 明らかに 「不断の消失」 といえる音 !oγZ 楽 に あ っ て は かのz sZ i e z ss はそれに係わる人間によっ てのみ超越されるのである. , 理論物理学 における坂田モ デルによる重い素粒子バリオンと武谷博士の考える物質の中心的存 在, 質量も電. 荷もないニュートリノとの関係を色即是空の思想と共に考えるとき,音楽における存在と無 Z珍かe eZ Z β 〃ゑの偽 音 響 と サイ レ ンス の 問 題 に 大 きな 暗 示 が あ た え られ る 。 こ の よ う に か ん が え てく る. と ” S“e i zcβ Z SPαだ qfspge cたP. と い う 言 葉 が 意 味 を も っ てく る. 即 ち サイ レ ンス は 否 定 的 契. 機と して考えられるべ きではなく, む しろ肯定的属性ない しは根源的構造と して考えられるべき も の な の で あ る.. サイ レンス の 一 つ の表 示 形 と して の 休止 γB SZ は音楽においては極めて重要 な意味をもつ. . それ らの音響組識をもたない音楽的条件は一見逆説的な問題点と して考えられる。 この問題は詩・文 学においては すでに古代ギリシャ時代に その韻律理論のなかで二つの相異するポウズのかたちで c 即ち詩の最後にある べき音節が欠けている場合であり, もう一つは 現われた, 一つ は cの 〆βcz〆 P“cの 〆βα 向 粥〆se ‐ z eあ の i z. 日=ち 詩 の 行 の 始 ま り に あ る べ き 音 節 を 欠 く 場 合 で あ る , こ れ ら は ギ リ シャ の に お い て用 い られ た 二 種 類 の ポ ウ ズで あ る. 音 楽 に あ っ て は 休止 の も つ 技 術 上 の. 課 題 は 既 に H. Ri emann よ っ て 研 究 が な さ れ, フ ル ッ ク ナ ー の 交 響 曲 に お け る 休 止 の ダイ ナ ミ ssa は映 画 音 楽 の ッ ク ・ ク オ リ テ ィ に 関 す る 研 究 は E. Kurth に よ っ て な さ れ て い る, Zo6a Li. 美的機能に関する研究のなかで音楽における サイ レンスと 休止の問題の究明を試みた. 視覚的要 一115-.

(3) . 大. 塚. 夏. 生. 素と結びついた映画音楽においてサイ レンスは重要な劇的媒質である, この特殊な表現形式は状 況をより強く訴えさ せるためのものである が, 時には音楽という媒体が感動的状況を適切に伝達. しない場合もある. だが, とにかく映画音楽の場合サイ レンスは劇的表現のための具体的媒質と. な る の で あ る.. しか し, 純粋な音楽作品に おいては音響的空白の結果サイ レンスが生 じるとのみ考えてはなら ない, それは音楽作品への聴者の反応およ び作品自体の構造の両方において異 っ た意味をもち, th l l l lは サイ レンス に 音 響 的 空 白 よ り 以 上 の 意 味 を も た せ, Kur ema 様 々 な 機 能 を は た す. Ri. も休. ) もこの問題には美学の方面からとりく んでおり, l tl e e 止機能を動機的効力と して考え, G,Br. G. lngarden は 音 楽 が 現 出 す る た め の 媒 体 と して サイ レンス を 考 え て い る の で あ る。. サイ レ ン ス が 休 止 よ り は る か に 広 い 概 念 を 含 ん で い る こ と は い う ま で も な い,. 休 止 は サイ レ ン. スの種々な現われかたの一つにす ぎない, その特性をみると, それは音楽においてのみならず時 間的発展の型態をもつ他の芸 術においても 或る種の心的反応を起こさせる 可能性をもっ ている, り中人物の心理状態の持続を再現する. 舞台を包む 舞台劇においてもサイ レンスの契機が観客に壕. サイ レンスから観客は配役の内的思考を推定する. このような状況ではサイ レンスは緊張 した場 面を強化 し, その緊張 した雰囲気の中では無言の仕草の方がセリフよりも雄弁で表現力も大きい の で あ る,. こ の こ と は 楽 劇 に お い て も い え る, ワ グナ ー の トリ ス タ ンと イ ゾ ル デ 第 四 幕 で 痛 手 を. こ う む っ た トリ ス タ ンが イ ゾ ル デ を 待 つ 際 の ア ク シ ョ ン と 音 楽 を 伴 な わ な い 圧 迫 感 に み ち た 状 況. は動作およ び劇的情感の豊かなサイ レンスの例であり, そこでは人物の最奥の感情をよくあらわ している. オ ペ ラにおいてサイ レンスは幾度も休止と混合 した型で劇中人物や鑑賞者に係わる,. このような型のものは期待, 恐怖, 驚き, 困 惑, そ して抗することのできない死の静寂の様なも のといえよう, それらはたとえ意図された効果であっ たと しても, 音楽が止む時には効果を発揮 し, 意 味 を 感 じさ せ る. モ ー ツ ァ ル ト の ド ン o ジ ョ ヴ ァ ン ニ か ら ベ ル ク の ヴォ ツ ェ ツ ク に 至 る 数 々 の 様 々 な ス タ イ ル の オ ペ ラ に お い て 多く の例を み る こ と が で き る. 詩 に お い て は サイ レ ン ス は 多 様 な 方 法 で 現 わ さ れ る. Norwid は 次 の よ う に の べ て い る, “サイ. レンスは実際的適用の面からいえば語ることをさ し控えるものではあるが, それはあきらかに一. ) しか し, 語 る こ と を さ し控 え る と い う こ と は 思 考 過 程 を 阻 止 す る こ と で は な つ の 品 詞 で あ る“2 .. い. サイ レンスは詩においては意味内容の充実という機能をもち, 韻文におけるポウズは先行す る 言 葉 の イ メ ー ジ を 起 こ さ せ る。 プー シ キ ン は オ ネ ギソの中で待望する気持をおこす手段と し. てポウ ズを用いている。 詩のなかにはその構成要素と して 点線によっ て言葉をさ しひかえたs如か 2α をもつものが少くない. 詩のポウズは音楽のそれと同 じく時 間的な現象である, 故に, それは 沈 黙 さ せ ら れ た 時 間 と い っ て も よ い で あ ろ う。. い ろ い ろ な 記 号 の あ る な か で, しめく く り の 役 割. をもつ句読点は詩においては独特な時間的位置を示 しており, 叉, それによっ ていきいきと表現 された構想も時間的機能を果た している。 この様なことは象徴詩人のマラルメ やランボーや他の グラフィ ック作法の詩人以外にも見出だすことができる. 数多く の詩人が様々な美的見解を示 し て い る が,. そ の な か で ヴラ ジ ミ ー ル ・ ヴラ ジ ミ ロ ヴィ ッ チ ・ マ ヤ コ フ ス キー (1893~1930) の 詩. は新 しいグラフィ ックな型態を展開 したものといえる。 彼の詩の階程的な作漫ぐや急絶的リ ズムは. 呼吸の魅力を もつ.. -116-.

(4) . 音楽における音と無音. 固 く 禁 じ ま す. (1926) マ ヤ コフ ス キー. い. 天気だ,. 五月. ま る で 五月 だ,. どこ ろ か まさ しく 夏 だ. 見るもの聞くもの 何 で も 嬉 しい, <後. 赤帽も. 略〉. (小笠原豊樹訳). マヤコフスキーは自己の作品の朗読にかんしては 明確な時間的中断を入れることを 強く 望んで おり, グラフィ ッ ク作法に無知で, しかも作品の意 味を曲解する朗読には反対 したと いわれてい る,. 我々は山頂や砂漠などの自然界において, 極めて厳然たる静寂に触れることがある。 しか しこ の様な静寂は芸術作品において価値付けられるサイ レンスのもつ様な意味をもたず, 芸 術作品に. おいて果す べ き機能をもたない。 それは物理的現象と しての静寂であり, そこでは音現象が 音響 学的・日常的に無いのである, これに反して音楽的音響が存在するところには別の意味でのサイ レンスが媒介 しており, 日常的音響の入り込むすきがない. サイ レンスや休止は音楽作品 の演奏. においては特に重要なことである. 演奏におけるサイ レンスや休止の本質と機能は作品の様相に 応 じて種々異る。 休止の機能は音楽のスタイルが新 しく展開されるにつれて変 化 して いく が, そ. れは作品の多様な展開状況及び, 作品内部において作用力 をもつ全ての要素に由来する. サイ レ ンスを最も簡単に定義すれば 《無音響的構成要因》ということになるが, それは音響が構成され 顕示され, 継続されるための不可欠な媒介なのである。 継起的様態をもち, 演奏前のサイ レンス と演奏後のそれとの間で緊張する音構成の流動と しての 音楽作品は背後に在る 無音に桔抗 しなが ら みz鰯γ〃αお さ れ る も の と い え よ う, 故 に, 音楽 の 発 展 に 対 して 直 接 的 な 位置 を 占め て い る サイ. レンスは音楽の時間的構造の主要素でもあり, そ して内的な多様性をも有っ ているため, 単なる 作品の外的形姿を規定する演奏前・後の静寂と同一 視することはできない. 循環形式楽章にあら. われる切れ目や, 相異る部分間の気息つ ぎや, 楽章内での各部分 の切れ目や, 楽段, 楽節, 動機 などの終りの極く短カ ・い時間や, 時には単一音間の休符等の全ての中間的休止には長 短の時間の 差 は あ っ て も 全 て サイ レ ンス が 内 在 して い る, こ の様 な 場 合, サイ レ ンス は 作品 の 各 関 連部 を 統. 御する拍節的な規範や律動的な規範に完全に適合しているが, これらの規範は音響の律動的流動 を 充 足 し, メ ト リ ッ ク な 型 態 を 完 成 さ せ て い る も の な の で あ る,. 音 楽 作品 に あ っ て は, そ の時 間. 的発展の型態も種々のセクショ ンを持つが, それらのセク ショ ンは恰も空間芸術に於けると同様 の原理に基 づいて相互に協調 し合う音響と協力的並存関係にあるサイ レンスの力をかりて, 効果. 的に造型的な盛り上げがなされる. サイ レンスは即目的には音響組織とは全く背反する価値であ るが, 上記の様に音響と相利共生することによってサイ レンスは音楽組成の-要素と な っ て い る. 音楽組成の秩序的シェーマは音とサイ レンスとの弁証法的関係に基づいている, この様に両 者の差異は外見的なものと してよりも本質的なものと して考えられるべきである, も し音楽的流. 動が継続的変化過程に開示されなければ, サイ レンスは原理的, 印目的意味しかもたないである -1 1 7-.

(5) . 大. 塚. 夏. 生. う, 音楽的, 対目的な意味が付与される場合, すなわち, 作品の展開に応 じて定められた様々の 機能を発揮する過程において, サイ レンスは, 音の無いものではあっ ても, 音組織から放射され る一種異っ た内容をもっ ている. サイ レンスは, あらゆる音楽的型態の裡に存在するが, それが. 周囲の音構造によっ て, 様々に作用 の仕方を変えるということは, その内容が音楽の流れの変化 や音組 織の構造的変化に沿っ て, かわるということなのである. 1〕 〔1. ここで, 作品の組成以外 の部分, つまり, 演奏に先立つサイ レンスの様相について考察をすす 固有の音楽時間をもつか, その音楽時間 めよう. ある作品はそれの演奏に於いて, 各々一回毎の1. は演奏の前・後の現実時間との純粋な意味での連続はない. しか し, 作品は演奏の前・後に消滅 状態に陥っ ているというのではなく, それは演奏者の精神的, 技術的行為によっ て, いつでも, どこの会場でも音楽時間をもちうる可能的な存在であり, 演奏者も鑑賞者も心理的に演奏前・後 の サイ レ ンス に お い て 作 品 ・ 演 奏 と つ な が っ て い る の で あ る.. こ の 心 理 的 な つ な が り そ の も のが. 一般 的な生の反映を排除し得ないとすると, それらのサイ レンスは絶対的存在なのではなく, 絶. 対性の流れの上に浮かび出た相対的サイ レンスともいうべきものとなると言へよ う, 故に, 演奏 前のサイ レンスが, 奏者にと っ ても鑑賞者にとっ ても, 精神的に深ければ深いほ ど, 演奏をとお しての両者のむすびつきは緊密の度を増すのである, 逆の言い方をすれば, そのサイ レンスは明. 確な知性的体験を期 待する聴者の反応であっ て, 演奏や作品への理解が深ければ深いほど, 最初 の音を待つサイ レンスは深い. また, 演奏後のサイ レンスの瞬間は, まだ雰囲気が充満 し, 聡者 はなおも音楽の世界に止まっ ているが, それは作曲者と演奏者が聴者の期待に応えぬいたことを. 如実に示す瞬間で もある.. 拍手から最初の音までの, ほんの少しの時間もある意味では音楽創造の一部分となる. 然 し,. そ の 場 合 に は 体 験 者 のイ マ ジ ネ ー シ ョ ンの 樫 に,. き た る べ き 初 頭 の 音 の 流 れ が あ り, さ ら に, r F. 品をよく知っ ている場合には明確な音構造さえもがある. その作品をよく 知らない場合でも, 同 じ作曲者の他の作品で, よく親 しんでいるものなどを想起 し得る, さらに, 連想は作曲家の個性. や時〉代様式に連っ てゆく。 演奏前のサイ レンスは沈黙時間の一つの客観的変化形にす ぎなく, 聴 者の主観的期待で充たされる場合が多く, また其処には演奏者自身の演 奏への準備と しての沈黙 もある。 故に, 演奏直前に プロ グラムが変更された場合の期待はずれの反応なども, いかに聴者. が楽曲への想像的心境に深く 入り込んでいたかがわかる. この期待する沈黙というものは時間的 価値の点では不可測なものである。 聴者の作品 に接するための予備状況や, 演奏の行なわれる環 境や, 作品や演奏者と聴者との内面的なつながりの如何によ っ て, その沈黙は非物理的な様々の. 持続時間をもつ, しか し, 環境の如何を問わず, 最初の音がならされるまでの沈黙は非常に緊張 度がたかく, 時には演奏開始後もつ づく程である。 べ ラ ・ バ ル ト ク の 「紘 ・ 打 楽 器 と チ ェ レ ス タ の若 もの 音楽」 の よ う に,. 最 初 に 弱 音 器を つ け た ヴィ オ ラ が 非 常 に 静 か に 始 まり, 次 第 に 他 の. 紘楽器をくわえ, 複旋律的に緊張を産みつつ発展する音楽の場合, 演奏前のサイ レンスから最初 の部分へ入るときでも, 以前の緊張が余り変質せずに続いてゆく. こ の様に して聴衆の気持は創造に参加 し, 創造を促進 し, そ して共の雰囲気を高めてゆく. こ の事を考えるとき, 芸術体験に於て, 人間集団の緊張 した期待の状態が精神的な意味をもっ てい る こ と を 続局 的 に 認 め な い わ け に は い か なく な る.. -11 8一.

(6) . 音楽における音と無音 譜 例. 演奏後のサイ レンスは聴衆の脳裡に作品・演奏の最後の部分はもとより, その全体が綜合的に 喚起されている状態である, 演奏後において楽想が反御される間の心的持続は測定する ことを要 しない, サイ レンスの時 間的様相は作品・演奏と密接に関連 しなが らも, それらへ完全に従属す るというのではなく, 楽想と聴者各々の主体的心理作用が綜合され, 受動性と能動性が個性的に 合一 した特殊な心的時間のよ うなものである。 しか し, 作品・演奏の末尾部の性格が一般 聴衆の サイ レンスの心理的様相を大きく左右するということも事実なのである. 即ち, 消えゆく様に柔 かく, 弱く鳴りながら終る場合には音の流れが徐々にサイ レンスに変 っ てゆくような感 じがする fの の で, ス ム ー ズ に 沈 黙 に 入 っ て ゆく, こ れ に 反 して, 強 い 音 で も っ て 急 に 終 る 場 合, 例 えを f. 総奏で管紘楽曲が終止する場合は次に現れるサイ レンスは完く対照的な性格のものである, 勿論 この場合も心理的には異質層へ入る大きな抵抗感があるとはいえない, 前者・後者 共, それなり の 在 り 方 で も っ て 音 楽 と サイ レンス と の 深 い つ な が り を も っ て い る と 云 え る の で あ る が,. サイ レ. ンス は 作 品 の ス タイ ル や フ ォ ー ム, 更 に は 演 奏 の で き ぐあ い, 聴 者 の 作品 へ の心 的 態 度,. 音楽が. 聴者の心の中で占める位置, 会場や会衆の雰囲気等によっ て性格付けられるのである。 楽章, または組曲中の各曲間の短かい沈黙は楽章内では, その構成的一部分と しての休止の変 形 で は な い, と い う の は,休 止 はリ ズ ム やメ トリ ッ ク や ア ゴ ギ ー ク の 規 則 に よ っ て定 め られ て い る. 時間的価値によっ て測られるものだからである. しかし, 各楽章, 各曲にとっ ては演奏前・後の サイ レ ンス よ り は 楽 章 間 の 沈 黙 が, よ り 重 要 な 意 味 を も つ.. 即ち, 演 奏 前 の サイ レ ンス は 一 種 の. 予期であり, 演奏後のそれは一種の残余, いわば作品・演奏の総体的イメージの心的再生の為の ) 沈黙時間である3 , これに反 して, 楽章間のいきつぎの時間は楽章を区別すると同時に (叉は区 別することによっ て) それらを価値的に結びつける. そこでは, 前楽章の音が聴者のイマジネー ショ ンの内に存在する予地がつく られ, 前楽章における感動が一応落着き, 次の楽章をむかえる. べく 聴者の気持を準備する。 故に, 演奏家は非常に適切ないきつぎを演奏における重要条件と し て要求されているが, それは演奏家が音楽のスタイルやフォームへの完壁な理解を要求されてい るということでもある. 音楽史上の初期のソナタにおける楽章間のいきつ ぎは, 古典派や浪漫派 の ソ ナ タ の そ れ の 様 に な がく は な い.. 古 典, 浪 漫 両 派 の ソ ナ タ に お い て は サイ レンス は 特 別 な 重. 要性をもち, その効果は句読点によっ て産みだされる効果や, 循環形式のもつ必然的な切れ目の もつ効果よりも大きい, このことは変奏曲における各変奏聞のきれ目についても言える。 ソナタ の各楽章は互いに密接で, しかも対照的であるが, 変奏曲の各セク ショ ンは共通の 主題的素材に 9- -11.

(7) . 大 も と ずく が た め,. 塚. 夏. 生. そ れ ら は互 い に 類 似 し て い る. 故 に, 各 セ ク シ ョ ン 間 の サイ レンス は ソ ナ タ の. 各楽章間のそれと同 じ役割を果たすとはいえない。 ソナタにおいて, 聴者は次にくる異質の楽章 を う け 入 れ る た め の 充 分 な 時 間 を 必 要 と す る.. サイ レンス は余 り な が す ぎる と, ア ゴ ギ ー ク や ミ. ータの感覚を失わせるか, 少くとも減少させ, そ して調的関連性, テーマ, すぎ去っ た楽章の楽 想をぼやけさせる。 適切なサイ レンスのみが, 前楽章における注意の全てをほどよく通過させ, 次にくる楽章に抵抗なく没入することを可能にするのである. 〔m〕. 今まで述べてきたサイ レンスは第一に, 音響の存在を支えている背景的現象であり, 第二に , 芸術と しての音楽を存立させるため の根源的構造であり, 第三に, 演奏者と聴者 の心理的価値と. しての無音である, 併 し, サイ レンスの特殊な型態--狭い意味で のサイ レンスであり 楽曲の , 内部においてのみ働く もの一一である休止について, ここで考察せねばならない,. 上記の如く, 一般に定義さ れている休止は, いままでに述べてきたサイ レンスとは別の役割を もつ. 休止は楽章の 内側において作用するため, 楽章の一構成部 となっ ている 音楽における段 .. 落, 或いは句切りは薬句, 薬節, または楽曲の発展のまとめをするという意 味で, 音楽語法に於 い て 大 切 な 位置 を 占 め て い る が,. 休 止 は 音 楽表 現 を 統 御 して い る ア ゴ ギ ー ク, メ トリ ッ ク リ ズ ,. ム等の規律に密接に係わっ ており, 句切りとは別な意味で重要なものなのである 休止は時間的 , 価値を左右するのが 特長であり, フ ェルマータはリ ズム構造や旋律音の長さ の不足を補うことが 多く, そ れ に よ っ て 律 動 や 旋 律 の 感 じが 変 え られ る の で あ る.. ま た, ス タ ッ カ ー トや プ レス等 に. よっ て響きは一時消え, 新たな響きが生まれる, 即ち, サイ レンスは, どれ程短かく 瞬間的な , ものであっ ても, 新たな音を前の音と交代させるという, 一種の音組織を行なう これはまた . ,. 音と無音との対比という意味をもっ ている, それは音楽のロ ジック, 叉は音組織の構造原理 にも とずく 音楽記号の一つと しての価値 (文章における単語の如き) をもつ. 勿論, 音の組織構造の 原理は新 しいスタイ ルの音楽が出現すると同時に変化するものである4 ) 。 休止のうち, 句読点的 役割をもつもの, または気息つぎは, ソナタ楽章においては境界点に現われ る. 例えば呈示部 , と展開部の境界, 展開部と再現部の境界, ロソ ドの反復部の再入点, 薬句・薬節・動機 etc. の 境界点に現れる。 特にカデンツの後の休止 は, 仮令繋留があっ ても, 前後の部分を被然と区別す る. 休止は句読点的効力をもつが, 延長あるいは反復出現 したと しても, 記号的役割を果たすこ と は な い。. こ の こ と は, バ ッ ハ の 時 代 か ら現 在 に至 る ま で 同 じ で あ る. こ こ で 言 う 休 止 は 循 環 形. 式の各楽章間の空部とは異るものである, というのは, 循環形式では休止はメ トリッ クな動きに 含まれ, そのリズム価は可測的であり, 適宜な記号で表わされており, 聴者に作品のセクショ ン. をi 馨らしめ, 造型的形態を遡り解させる手助けになるからである。 それは, 屡々フ ェルマータによ っ て強調されるのであるが, そこでは元来のリズム価が延長され, 表現力が増加され る の で あ. る, しか し, 休止は音長や律動の規律に沿っ て用いられる場合にのみ, 楽想の発展過程における 高揚, 沈潜をつくる, 休止は, その前後の音組織や, 休符を有っ旋f l線の動機的性格によっ て, i l 相対的に価値を変えてゆく, ここで, ポウ ズが楽想におよぼす 影響を考えてゆこう, バッ ハは次に来る薬想を期待する感情を強めるための手段と して しば しば休符を用いた 「オ , . ル ガ ン の 為 の ト ッ カ ー タ (ニ 短 調)」 で は 相 異 る リ ズ ム 価 の 休 止 が 冒 頭 に 現 わ れ る,. は じめ の 二 小 節 に は フ ェ ル マ ー タ に よ っ て 延 長 さ れ た a2, aI, a の 後に32分 休符, お よ び d2 , 0一 -12.

(8) . 音楽における音と無音. ト. “ ” .,“ 『m” ,.▼“,. . ” . ロ. ” ,「 【 m m 而w ’ -m一「 .“】 { - . , .【 , 【 m , ”′、‐- - ,「. i ・ キー 二. ▲ . .. 鋤 き ・ . . . 曇 …. ・. T0ccATA 員. ′ ぬ i o 蟹 ′ . . 譜 例. . . . *. .. ー. P ” r e imo B s s . .. . . . ー 達蓑豪圭三 一ー. . . ー「放± - -. ゞ. - -. d・ , d の 後に フ ェ ル マ ー タ に よ っ て 延 長 さ れ た 休 止 が 現 わ れ, 後 に 連 続 的 な 音 の 重 累 が ア ダ ー ジ オ の 部 分 を 締 めく く っ て い る が, こ の 句 切 り の 多 い パ タ ー ンは 冒 頭 部 に 序 奏 的 性 格 を あ た え て い る, フ レス テ イ ッ シモ か ら典 型 的 な ト ッ カ ー タ 風 の継 続 的 流 動 に 入 る が, こ の フ レー ズ も 短 かく フ ェ ル マ ー タ を 伴 う 休 止 に よ っ て 分 断 さ れ る た め, 即 興的 性 格 が 著 しい, 導 入 動 機 の パ ー ミ ユ テ ー シ ョ ン が 次 第 々 々 に 薬 想 を も り あ げ て ゆく が, こ こ で は 冒 頭 の短 か い ア イ デ ア が 大 き な も の に. 発展しつつ, 均衡のとれた形式に展開 してゆく, しか し, 休止はここでは未だ安定 しない雰囲 気 をはっ きりと出 し, その中間的媒介の機能を行使している。 同 じく, ハッ ハの 図ゑ音階的幻想曲 とフーガ」 のうち, 幻想曲に即興性を強めている非安定性休止があるが, フーガの部分にはでて こ な い. ハ 長 調 の ト ッ カ ー タ で は 第 1 小節, お よ び 第13~19第 小 節 に お い て, 休 止 は ス ィ ー ク ェ ンス 的 に 扱 われ て お り, そ れ によ っ てメ p デ ィ ー の特 性 が 明 瞭に な っ て い る, 続 く フ ー ガの 主 題 の構 造 も ト ッ カ ー タ に 似 て休 止 が 多く, ス ィ ー ク ェ ソス 的 に用 い ら れ て い る. 譜 例. .. 皿. ′ .. ・. . . ●′. ず. ヱ O. -1 21一. R 獅も.

(9) . 大. 生. 夏. 塚. ここに示 した二つの例は対照的なものであり, 前者は即興的, 幻想的で而も ダイナミッ クな性 格をもち, 後者は単純, 端的な連続模様のような性格をもつ。 t モ ー ツ ァ ル ト も ミッ ハ, ハ イ ド ン e c , と同 じく種々の休符を用いた. 特に劇的な緊張感, 厳粛 感 の る諺のz .鋼 さ れ て い る 楽 想 に お い て は 屡 々用 い て い る, 1 」 譜 f 夕. ′ ”. . . きハ ,. 暑. も. デ ぞ , ↑ デ t ぞ た ; 、. ” . - .. こ こ に 例示 した モ. l自 滅皮の ソ ナ タ の ツ ァ ル ト の K.Nr .457c mo ,475 の 幻 想 曲 と ソ ナ タ K,Nr. 中で珍ら しく, 自由な楽想 (スタイル) の幻想曲を前頭にもつ。 幻想曲におい ても, ソナタにお いても ドラマチックな休符 や, 暗示的な休符が多く用 いられ, 幻想的楽想と劇的楽想を見事に対 ・節0士音量の変化と同時 に休符 が, 音の消滅と暗示と 比させている. 特に幻想曲の初頭第1~54 隠 伏 の効 力 を 発 揮 して お り, 次 に く る 継 続 的 で,. しか も フ ァ ン タ ジ ッ ク な な 薬 想 に と っ て 極 め て. 適 切 な フ レー ズと な っ て い る。. 、. r 溜醐 - 縄詠 み γ も{ 輔 i. 上の譜例は幻想曲中の第四部であるが, ここでは動機的分断の為の休符とフ レーズの補充のた. ク堰z″増 を 生 み だ しば 〔い る. めの休符 が, 音量の増減と相撲っ て独特の音楽的 AZの”彰z. Iは 幻 想 曲 に 続く ソ ナ タ の フ ィ ナ ー レの コ ー ダ へ 入 る 直 前 の 部 分 で あ る. こ こ に 於 い て は 謡 例V. 休符は非常に厳 しい曲想を産出 ,しており, この作品中, 最も緊張度の高いところである, ベ ー トー ヴ ェ ンの ソ ナ タ の 序 奏 は 自 由 な か た ち を も つ が,. そ こ で は 休 符 は非 安 定 的 な シェ ー マ. 3や作品111の を形作り, 特に個性的(非類型的)な楽想を強調する個所で は休符を用いた, 作品1 -1 22一.

(10) . 音楽における音と無音. . , 〆議. 会. . . . も めご t 浄 汚? ぐ K ネ ar ) 打 Rt . ,. . . 序奏は典型的なケースであり, 作品31の1, 作品57においては主題内部で同様の機能を果た して い る。 作 品31に お い て は 動 機 と 動 機 の 間 に,. 作 品57に 於 い て は フ レー ズと フ レー ズ の 間 に 現 われ. る休符は何れも中間的媒介の作用をな しており, 更に最後の和紘のリズム的補充をな している,. . opお? . 1 神mG a無れFnn zv l中継開幽 静w P hi 1 l d鎖戦,. ”* 鯛1 ん. . き 、 に. , .;:コニゴ h\. 誘 い 一 中 一 A “. ・ ↑ “ 奈 ”塙 , . ←” 、 ィ 」 - ず 1 →か q・ … - - , ノ. , か ‘ ゑ る. 諸言語・ 、・. ′. - ゑ. ,ノイ驚羅ト\ . . . 、 一 一. . . 一 “ 憲法 ’ … 」 . 議謎 獅. 作 品 106 の第2, 第5小節の休符は各々前小節, 及び同小節 , 第1, 第2拍の分厚く 強烈な. 変 ロ長調の主和音に続いて用いられており, 厳然と して深い淵をのぞかせる これは完く対照的 , な二 つ の 状 況 を 結 びつ け た も の で あ り, 効 果 と して も 極 め て 非 凡 で あ り, フ ェ ル マ ー タ の あ る 四. 分休符の後, 第4小節の第4拍から, 弱奏の柔和な主題を出現き せる方法は非常に個 性 的 で あ -123-.

(11) . 大. 塚. 生. 夏. る, 斯様なア スペクトは少 し変化 して, 第一楽章の結尾部にもあらわれる, ここでは音群間の強 弱の対照の媒介をな しつつ, 遂に冒頭部にも似た断続の効果をあらわしてくる. 譜 例. 皿. . . 06 節,1 .. 譜 例. な 破れ 1 00. ば. ◆. す. . .‐. -も”. . 作品111の序奏においては前小節との対照的効果 が和声, 休符, 音量などによって生まれてし・ る, 第2, 第4小節の1, 2拍後半の八分休符は前小節の複付点的リ ズムの鋭利さとは極めて 対 照的な柔かさと落ちつきをあらわ している, これらの休符は句読点的役割の他, 次に来るフォル テを引き立たせる効果, 及び, 継続と断絶の急激な出現による非安定性をもつ, . SO N AT風. t B B G り. 1 op . .11 ぎ 茎 h d t D 〆 … ご e t t emE ー ew z r 2 0 t o } r g 8R , 孟 g “. ho B Et h e ? e ‘. 】 , を ゞ. 匁 さ. . ,. 6. =. . 』-』 ’. .. . \÷イ. 埜 圭. 恥. . 癖. ‘ け. ! ー. .. ベ ー ト【 ヴ ェ ソの 休 符 の用 法 に は op . 10 の No ,1の様に, 一つの動機と隣接する動機との対照 -1 24一.

(12) . 音楽における音と無音. をつよめるためのものもあり, 音楽の流れに対する期待 が休符によって強められることがある,. 休符によって醸 し出される期待の雰囲気を増すことによって, 曲想激化の効果を産むための対照 は 強 化 さ れ る,. ベ ー ト ー ヴ ェ ン のス ケ ル ッ オ の 代表 的 な も の で あ る 第 九 交 響 曲 の 第 二 楽 章 に お い. て, 休符は際立って劇的な個所の表現力をつよめている. 今迄に述べた例において, 休符のなが さ は 音 構 造 部 の な が さ よ り も 短 か い が,. こ の ス ケ ル ッ オ に お い て は 両者 は 同 等 と み て も よ い. 全. 休符, 叉はよりながいのもあり, 休符は音符と同等の作用力をもっ ている, 休符 は作品の表 情性 を強調するが, それは作曲者がその意味を明確に しながら表現計画を実行 したからである. 導入 動機の音量が増すにつれて休止の持続はながく なっている, 休止は音組織の発展の中に割り込ん で, そ れ を 分 割 し, 緊 張 を 強 め る が, 次 に 継 続 的 で バ ラ ンス の よく と れ た ス タ ッ カ ー トの 流 れ が. ち われるに至って, 楽想は対照的性格になる. この様な劇的な休符は, この楽章の展開部にも,. 楽器群との対話のかたちで現われる が, これは完全な休止ではなく, オーケストラの幾つかの声 ) ‘sgs と よ ん で い る5 部 を カ バ 【 して い る。 ゾフ イ ア ・ リ ッ サ は こ れ を 汐αメメメ Pの乙 . ベ ー トー ヴ ェ ンは 他 の 作 品 に お い て も, 表 現 強 化 のた め に 多 種 多 様 な 休 符 を用 い て い る. 「エ. t c ロ イ カ」, 「エ グモ ン ト序 曲」, 「コ リ オラ ソ序 曲」 e , 枚 挙 に い と ま が な い. ベ ー トー ヴ ェ ン の休. 止はダイナミックな爆発を伴うことが最も顕著な特質であり, 後世の作曲家達にも, この手法は 受け 継 が れ る. 主 要 な 楽 句 の 音 楽 的 流れ を 分 断 す る 休 止 は,. シ ョ パ ン, ブ ラ ー ムス, マ ー ラ ー,. t e c , の作品に用いられている. それ等は多様な歴史的, 個人的書法 に依っ ており, 各々それなりのあり方で作品の美的資質に奉仕している, 休符は曲の尾部におい バ ル ト ー ク, プ ロ コ フ ィ エ フ. て も, 用 い ら れ て い る が, そ こ で の 音 響 の 流 れ の 分 断 は制 動 の 働 き を も つ こ と が 多 い, ブ ラ ー ム. スの第 一交響曲のコーダはそのよい例である, 浪漫派楽曲 G丘代, 現代の作品のうちでも浪漫派 的なものを含む) に於いても休符は独特の効力を発揮 している, 浪漫派の表現法は概 し て 和 声 語法の発展, 形式の変化のうちに強化されているが, これに加 えて, 休符の多様な応 用 も そ の ‘α疑り に 非常 に 関 連 が 深 い. β 噂γa s s物g qz. シ ョ パ ンの ス ケ ル ツ ォ 変 ロ 短 調, 及 び 嬰 ハ 短 調 を み. れば明白であるが, 変ロ短調の曲頭60小節間に, ドラ マチックで激しい対照効果をもつ短かいフ レー ズは音程 (音域) , 音量などの鋭く, 烈しい変化によって緊張をうみだしている。 この特異的. な緊張は, 一面からいうならば, 度々現われる休止によってこそ, 真に強烈なものとなり得てい 65小節以後) カンティ レーナ風の部分とは極端に対照 る, この部分は全般的にみて, 次に続く ( 的 で あ る, こ の 様 な ケ ー ス は シ ョ パ ンの 他 の 曲, 例 え ば変 ホ長 調 の ポ ロ ネ ー ズな ど に も で て く. る. バ ラ ー ド第 一 番 op. 23 に於いては各フ レーズ間の媒介的無音,長さの補充の他, 第6小節の. 2分休符の様に, 第8小節以後の小節動機の継起的構成の前提をなす音群, 即ち第6小節, 第3 拍から第8小節前半の 変口音までの 音群の出現の直前にひらかれた無音の深淵は非常 に 意 味 深 い. 第8小節以後に度々現れる 8 分 休 符 は セ ィ 【 ク ェ ンス 的 な用 法 で あ る.. n) 1,粗,×l (譜{列X. リ ス ト の ロ 短 調 ソ ナ タ の 冒 頭 部, 導 入 楽 節 後 の な が い{木止, 及 び テ ー マ に 含 ま れ て い る 休 止 は 句 読 点 的 役 割 と して よ り は, 主 と して 中 間 的 な シ ェ ー マ と し て の 意 味 を も っ て い る, フ ェ ル マ ー. タによ って延長され, 末解決の ドミナ ンテによっ て不安定にされた此の箇所に於いて, 休符は型. 態を推進させる役目を果している, 期待をはらんだ様な休止は後期ローマン派においては独特な 意味 を も っ て い る,. ワ グナ ー の 薬 劇 「ト リ ス タ ンと イ ゾ ル デ」 の 終 幕 の 休符 は極 め て 劇 的 な 内 容. をもつ. ブルックナーの交響曲に於いても, 休符は同様の働きをなしており, 彼の「第二交響曲」 は P”硲e郡努7物ゐo’けe と呼ばれている位である. その全体, 特に最初のア レグロの部分は休符に -125-.

(13) . 大. 譜 例. t ・. in op chop ,31. A ‘. 紅 . Sc l erZo. l. ’ 6. ′ 闘 覇〆 縄; iL ぞ ,三をキーr三洋,琵罰. P 1 r o に o .. 、. 生. 夏. 塚. L ” ……“ メ . … 一 p ノ 、3 ; ; ; ・Q .. ,. \ → ノ 翌ム . 」〆. ま ,. 塾 * *. . . 塾 △ . /【繊臆 ふ - - E. “ .エ ー. 議纏濃. . r. 命.. . ・ =-蜘 :. 特 『 龍駿 譜 例. ゞ. 珍. . . 出艦 6砂 蹴さ ≠ 轡・ \ミ. ±E-選藍艶盤 歳ね効 . . 、 .. F. -- r 、 “. X亘. . 縫 滋 些- 議 馳駆鎚離籍 . . . . . よ っ て 音 が 散 在 し て い る 様 で あ り,. こ こ で は 休 符 は 多 種 の 機 能 を 果 し て い る, 展 開部 の 入 口 の パ. Z か ら βおりαs Zの増sの7 er に変る z ’ 7 zを℃ん ,s承れβZ ッ セージの休符は次第に音量が減 じ, 速度も ZZβ 箇 所 か ら 現 れ は じめ る, (176~181) こ こ で ホ ル ンの ソ pに木管楽器群の弱奏が伴 っ て お り, 一 種 の 顔‘“““の め〃 効果をもつ, 展開部は休符の多い稀薄な音響構成から漸次, 分厚なものに 一126一 一.

(14) . 音楽における音と無音 譜 例. X皿. . 一 . .. Chopin op ,23 Ba l lade 続. ←「ーず. 譜 例 -. Bruckner. き 馨… 2 . Symphony Fina l e. キム. -r ′- r. ‐w里温-. X~ . = 争」- -r… M掴 r-『皿”▲. キ キ 鏡 嫁繕お ー ー 三 一 ~ 蟻 数≦ 需 -. ト 曇「種 埜′ き ぎ 町 * ‘ 一 ・ ’ 〆, Y ′▲ ▲ ” ’▲7 け ↑ fー ‘” t ′ γ 、 \‘ ,7 ・ J ・‘ 、心 . , 詳r l 瀦, 海 『 イ 雫↓ ← ー ′ ・ ニモヤ ふ ・ 一 ご. 誹雫. *. こ 〜 雲 霧 一 ご. 遥 ず ず’ 社【‘ ヨ.キ 曇≧ 』′樹r;; ー; ー‘. , ‐ ;. {≦: i y 喜 ぶ r ・‐ ! ゞ 爆 r 納 . ふ. 、.ぬ . ル ▲心 、 三 , ” rれ =ね. L r 呈 露 湿 式 』… に 島 “ ‐ ”. 醤 ー. E. ” ,門 ←ふ . { ‐ みれ・ \「 t ん 上 { は J “ r l . み も 1 ‘ ‘ 、. ″. t 、 {. 【一主翼昇 竹 “l r “ T●. L ▼ 、 - . { ●” . .{ ・ ノ ー ′ を‘ . ! ;. を. も ‘. - r ● Y 、 .・ ‐; 111- i ≧ 1 ます 学キ 弓す . 1 1 十 Il ・ : , お 1、ti1 ・. {. 一;. I ,. , 1 . ミ メだす が±り 鴬r f ◆・ 1“ i. 変 じてゆく, 展開部の終りの部分で0土音響が漸次, 稀薄になった揚句に休止が現れるが, そこに 至 る パ ッ セ ー ジ は 稀 薄 と は い え, す き 間 の な い 流 れ を示 して い る。 言 う な れ ば, こ の休 止 は 音組. 織 の 続 き で あ り, サ イ レン トな 随 伴 部 で あ り, こ こ に お い て は 遠 い 広 が り の 様 な も のを 感 じさ せ. ている. ブルックナーが神秘主 義思 想に深く入りこんで以来, 休符 は象徴主義の独特の体現とし て, 即 ち, 宇 宙 の 象 徴 と して 用 い られ た も の と お も われ る. 同 交 響 曲 のフ ィ ナ ー レの第 156 小 節 -12 7-.

(15) . 大. 塚 譜 例. 夏. 生. xv. Bruckner続. 編. 加 納m r e. 以後は多種の休符が, それぞれの特殊な意味をもっ て現れてくる.. (譜例×I V, ×V). ブ ル ッ ク ナ ー は こ の 煤 質 (休 符) を ホ 短 調 ミ サ や テ ・ デ ウ ム な ど で 沢 山 も ち い て い る が, そ こ. z”7 z z に 深 い サイ レン ス が 伴 い, 作 曲 者 の 永 遠 性 の 像 が 反映 さ れ て い る か の では ”s堺解 ”α 解Zeγ7. 様である, この場合, 休符は宗教的信仰を反映することによっ て意味伝達の媒質となっ ている. ブルッ クナ【の休止は展開する音楽の型態と協力的関係はなく, その重厚さと軽妙さの合体した 書法による音組織の混合性をもたらしたといえよう. 軽快な, または軽妙な部分の音組織にはそ れ に 適 した 休 符 を 用 い て い る.. タ躍れgsg物α為 dBγ Le8γβ” と よ ん だ が, ク ル ト はそ れ を ”Sめのz. ) それは方々に穴のあいた, とりとめのない不安な緊張を意味する6 . このような休止の用法はポ i l S b l k i L k ドの t 作 ラ ン 曲 家 と ー eski の第 三 u osaws の作品にも反映している, 例えば Szabl za es l 交 響 曲, Lut awski の オ os. t ケ ス トラ の 為 の 協 奏 曲, e c ., ま た, 休 符 が ク ライ マ ッ ク ス を つく る た め の 波 動 的 カ 性 を 助 長 す る 場 合 が あ る, バ ル トー ク の 「2 台 の ピ ア ノ と 打 楽 器 の 為 の ソ ナ タ」. 第 一 楽 章(151~160) で は テ ィ ム パ ニ ー に よ る 嬰 へ と 変 口 の 間 を 上 下 す る 波 形 ト レモ ロ を 背 景 に,. 第1ピアノが休符によっ て分割された三回の上昇的平行進行をおこない, 第2ピアノが同じく分 割された三つの下行的平行進行を おこないつつ, クライ マッ クスを作り, 第1 60小節の胃にいた る, も っ と も, こ の 部 分 は ク ラ イ マ ッ ク ス と は い っ て も, 複 旋 法 的 構 成 は 単 純 で, 他 の 部 分 と 比 -1 28-.

(16) . 音楽における音と無音 較 す る と き, さ 程 強 い 緊 張 感 は な い. 然 し, こ の“は フ ォ ル テ ~ フ ォ ル ティ ッ シモ の連 続 か ら 突 然 に 現 れ る た め, 急 の 空 無 に よ っ て (リ ズ ム 的 に は か‘腐 れ‘郷カタ z 風 で は あ っ て も) 単なる. 力““c鳶βのどの2 を超えた断絶感がうまれる,. 既に挙げた幾つかの例にもある通り, 休止は他の様々な シェーマと協同してこそ, 真の緊張や 安定を生 じf 守るのである, 即ち, 先にあげた ブルックナーの休止は, 音響を弱めつつ消す機能を はたしているが, そこでは音組織, 音色配合を漸次稀薄化しながら休止の持続も同時に延長され つ つ, 次 第 に 音を 消 して ゆく, ル トス ラ フ ス キ ー の “ 2のけ 物夕増 ク粥‘ sた の 結尾 部 は そ の 典 型 的 な 例. である. 休符の実体, 作用性は休符を構成要素の一つにしている音構造内の他の要素によっ て出 来あがり, 休符のもつ気分内容も, それに先行する音楽的内容によっ て決まるため, 古典派と浪 漫派においてはかなりの相異がみられ, 更に, 印象派においては別種 の休符効果がみられる. 印象派の和声は浪漫派のそれと異り, 和紘は感情表出的性質が弱く, むLる, 音響的存在とし. ての作用をするが, この場合, 和絃は機能和声的なカ性をもたないのである. このため, 休止 の 取 り 扱 い に もそ れ に 相 応 し た 変 化 が も た らさ れ る, そ こ で は, 休 符 は 前 の和 音 の γe-沈みo と呼ん でもよいような場合があり, それは前の和音の他に先 行する音構成の余韻を味わう場の様なもの. である, 印象主義音楽では, 休符は聴者に音色間の差異を感ずる助けをしつつ, 静的音構造 のも つ複綜の解明法をはっ きりさせる. ここには古典的な意味での休符と音構造との結合関係はなく. 休符は新しい和声の語漫 や音色に加わり, その様式内で和音の自律性をつよめているのである. 〔N〕. ベ ル ンに お い て, 以 前 に 見 られ な か っ た よ う な 様 相 と 意 味 ベ ウ ェ ー ル ンの 音楽 に お い て, 音構 造 は透 徹 し た 十 二 音 法 に 基 づ き, 従 来 の伝統. サイ レンス は 現 代 音楽, 殊 に ウ ェ を も っ てい る,. 的薬節, 薬段, 主題, 展開, 再現, 和声, 律動の様な楽曲形態の諸要素は全く重要性がなく, 新 たな要素が現れてきている. 音程 (セリーとして初めに現われ, 変容する) 色, 音長, , 強度, 音・ 無音 (休符で書きあらわされる) 等がそれぞれ同等 の重要性をもっており, スタイルも過去のも. のに因われず, 一曲毎に新たなものが現れる。 斯様な歴史的な断絶を一般に 「ウエー ベ ル ン 断 層」 とよんでいる. しかし, 彼 の作品の全てが形式的に伝統と断絶したという訳ではなく, 中に. は古典的ソナタ形式, 変奏曲形式をもつものもあるが, その他の諸要素に於いては非常に個性的. で あ る, 作品 は 一 般 に 短 かく, 純 粋, 簡 潔 で あ る. ス トラ ヴィ ン ス キ ー は ク ラ フ ー ・と の 対 話 のな ≠e dB 超 “ z ‘ かで ” PVβみe“z esZ Ze 〆 s z ‘“q“〃” と 述 べ て い る が, ウ ェ 【 ベ ル ン の 音 楽 は種 々 な 意 z. 味で歴史的, 美学的問題を多く含んでいるといえよう, ウ ェー ベルン及び彼に続く現代音楽の無調楽派に於いて, 点描的ともいうべき構成法は大きな 位置を占め, この手法による稀薄な展開に於いて, サイ レンスは音と同等の重要性をもつ. その. 重要性は調性的音楽, または非 点描音楽の何れとも相異した性格内容のものであっ て, これは単 に音型の稀薄さを補うだけのものではなく, より積極的に作品の構造に参加し, 作品の美的価値. を他の要因と同等に, 決定する, 非点描音楽に於いて, 休止は パ ンクチ ュエーショ ン的価値や劇 的効果のために用いられたり, 或いは文字通りの 「休み」 の様なものであるが, これは非点描音 楽に於いて, 音が主た る要因であり, 無音は特殊な, 末梢的な手段として考えられていたことに よ る の で あ る。 然 し, 点描音楽, 具体音楽, 電子音楽に於いて, 休止は単なる附属的要件では なく, サイ レンス と い う 重 大 な フ ァ ク タ ー と な り, 音と 無 音 は 完く 同 等 の 価 値 を も っ てく る 。. ク ト見的にみると, そこでは無音は音型を分断し, 静かに包んでいるかの様であったり, または -129-.

(17) . 大. 塚. 生. 夏. 音に捨抗して烈しく 衝突しているかの様である。 極めて短かい時間的展開, 及び垂直的に稀薄な 構造に於いて, 音は数少ないばかりでなく, 音域の遠隔性, 旋律的形相の欠如, 音色の拡散等の 為に, 伝統的な意味での旋律作法や和声語法の摘用はなされ ず, 音楽的な流れは(旧い意味では) 分断されている, 無音の中に最弱音で以て断片的に現れる組織は, その簡潔な短時間性の故に, 特異な表出性をもつ が, それは叉, 垂直的, 垂平的な種々の組織的な変化, 交替の為に更に鋭さ t ) の変化は, 誓えそれ が数的な発展であっ c を増す, 音楽語法 (旋律的, 和声法, 律動型態, e .. ても, 新しい日的, 即ち音構造の音響的資質の開示に役立つ. 点描的音楽に於いて, 無音 は伝統 的音楽型態によっ て習慣 づけられた聴者に中途半途の感じをおこさせるが, その一見非統一的な 構造から何かを撰択する主体的な機会を得さ せる.. 点描的音楽 (例えばウ ェーベルン等々) の場合, 休符 (これは無音記号であっ て休止記号では ない) は音列内にあっ て音群に分割する場 合と一昔を独立させる場合と があり, それが音域, 音 色などの変転を明確にききとれるような力を発揮し, 同時に空間的, 時間的進展のなかで音組織 z e 夕 z OP.27“ では透明な の凝集的全 体を 時 間 ・ 空 間 に 拡 散 さ せ る。 ウ ェ ー ベ ル ンの “ ▽”“の め’ 例湘ー ) 音組織は数多くの休符のために稀薄になり, 極度に簡潔な形式をとっ ている, (譜′ 譜 例. I XV. ぬa a嫌〉 土 t y e s r メ I L. o O 禦1. h G e o e難解. . 、. . ・ 茅 “. ,. . ・. . . . . ′. 耀. 「オ ー ケ ス トラ の 為 の 五 つ の 小 品. . 作 品10」 で も, 終 曲 を 除 い た 他 は 十 四 小節 以 内 で ま と め ら. れており, 特に第四曲は六 小節の非常に短いものである. ここでは, 楽曲は音楽性の要求する, ぎり ぎりの処まで凝 縮され, 休符の数, 量が大で, それが音と同等の重要性をもち, 作品の組織 構造や形式形成に 作用 している, ここでは, 休符は緊張を産むために特に 企図されたものではな く, そ れ 自 体 の 在 り 方 を 示 し て い る 素 材 と い え よ う, 30- -1. こ の 点 で は ウ ェ ー ベ ル ン の変 奏 曲 は シ ェ ー.

(18) . 音楽における音と無音 譜 例. . XW. [ - - 一 } { ÷ 「 ▼ ▼、も 七 無r i 1 & o n 目- ー ほ . b i 往 俵 rr g. 卿. . . ′ . ‘ ノ キ , ・. . ”. ′ 労. ’. . 鷺 / ,. e m o p ・ - 」 -t . l f r ,” ▲ ▲ ▲ “鴻凋め” “ ” 、 ぬ. ソ ベ ル ク の 「ピア ノ の た め の 6つ の 小品」 の 終 曲 と は 似 て い る が , 基 本 的 に 相 異 す る の で あ る,. 電子音楽や具体音楽に於いても, 休符は基本的にウ ェーベルン的であるが 現在のところ 表 , , 現主義的な作品が多く, 故にウェーベルンに於ける程重要 視されず 一つの音群 音型の分離 , , , 消去の手段となっ ているものが多い。 ここでは, 調性的, 和声的 律動的 形式的規則 は超克さ , , れ, 各 作 品 毎 に 独 自 の ピ ッ チ, 音 色, リ ズ ム ス タ イ ル が 現 れ る , , こ れ ら は 楽 器 音 の も つ ピッ チ. とは無関係である為, 調性法則に縛られる必要 はなく 音色の点でも楽器 の次元に縛られない , , 従来, 喋音とよばれ, 音楽に用い られることのゆるされなかった音や 純音等も音楽の為の素材 , として用 いられる為, 旧い意味での動機, 楽節, 楽段 終止形 及びその為の , ,. ミン ク チ ュ エ ー シ. c ョ ン的 休 止, et . は存 在 理 由 を 失 う こ と に な る. 従 来 の 音 楽 が リ ズム とメ ロ ディ ー と ハ ー モ ニ ー. を三要素としたのに反して, 具体音楽と電子音楽 は音程と音長と音色と強度と無音の5つを要素 とする. 無音部は 音構造に凝集性, 柔軟性, 変化などをあたえるに止まらず 薬想の深さ 広が , , り, 及び楽想 の音響のみによる限定性を超越した大きさをあたえる≦ それ故 無音部は単に無調 . , 音楽に於ける響きの複雑さに 秩序をあたえて, その連続性に型を作っ て聴者にききとり易く する 為にあると考えるのは大きな誤解といえよう. 勿論,ある意味では結果的に それが基本的な型を , 造る要素, 即ち, 聴者の音楽的イ マジネーショ ンを具体的に組織化することを助ける新たな役割 を演ずる型として生きることもあるが, これは無音部のもつ作用 の一部分であり 基本的価値で , は な い. こ の 意 味 に 於 い て のみ, ベ ッ セ ラ ー の 見 解 は 肯 定 し う る の で あ る7 ) . -13 1-.

(19) . 大. 塚. 夏. 生. 〔V〕 前節まではサイ レンスと 休止の機能について, 音楽史的段階に応 じて例証しながら述べてきた が, ここで, それ等の要素の様相を総括的に考察してゆこうと思う. 音楽のオントロ ジカルな 本質であるサイ レンスは, 音楽の構造内に於いて現われる変化過程に. 関 与するそれ自身の時間を 持っ ており, 休止は音とサイ レンスの相互作用によっ て種々の変化が ]なる場合に も作品の連続を分断するものではない, 循 与えられる, いうまでもなく, 休止は女口伝 環形式の各楽間の息つぎをも音 楽の時間的造作の一部であると認識すると き, 作品の内面に おけ. る 休止の機能が真に理解されてく る, 循環形式の楽章間 の切れ目, 楽節間の息つ ぎ特に音組織内. の休止等 が音楽言語に於ける無音要素 として認識される場合, これまで述べてきた事柄は肯定さ れ得る, 音と無音は互いに 作用し合いなが ら表現力を発揮する. 休止は全体の中の個であり, 他 と同様に享受さ れるべ き構成的属性である. 一般的な言い方をすれば, 動きと休止, 中断と盛り 上げ等の緊密な相互作用が音楽の展開の核心を造っ ているが, このことはサイ レンスと音組 織と の関係につい ても言いうる, それは合音的, 垂直的要素や音量的現象やリ ズム, 組織, 音型態 或いは音楽形成の為の素材を産出しているもの, 即ち, 音楽言語を形造る各条件間の弁証法的統. 一と言いうる。 サイ レンスの一例として屡々楽譜に見出さ れる休符が音楽の創造に 貢献するため の最上の方 法は音楽の拍子や律動の要素と協同することであろう, 強拍のところに休止がきた場 合, シ ンコ ペ ー シ ョ ン が で き る が,. シ ンコ ペ ー シ ョ ンは ジ ャ ズ を は じめ 多く の 近 代, 現 代 音 楽 に. 現われている. 休符と拍子及び律動との関係はフく切な問題ではあるが, それは, ここでは どの様 なかたちで休止が特殊なリズム構造をつく るための 必要不可欠な 条件となるかという一つの例と して考えられて きた, 休符と律動との相互関係はシンコ ペ シ ョ ンに 於 い て は 明 ら か で あ る が, 他 の場 合 に は 必 ず し も 明 確 と は い え な い,. リ ズ ム ・ パ タ ー ン が 全 て 弁 別 し得 る の は, そ れ らを 素. 材化している 楽音の時間的資質と無音との媒介によるのである, 律動的展開によって, この媒介 は表層部が 分断され, 同時にそこに音 楽的内容が充満する, 律動の単位は一般に分割構造, 即ち. 構成音の長さと強さの変化による独特の資質 をもつ. 然し, この変化は甚だ広義に解釈され, 受 けとられるべ き ものであり, 決して西洋近世の諸楽曲の場合に限定される べきではなく, 東洋, 南方の笛類, 紘楽器類, 鐘類, 更にサイ レン的, グリ ッ サン ド的具体音, 電子発信音等々に於い ても認知されねばならない. 故に律動型の統覚はサイ レンスと音 との存在様相を如何に 把握する かにかかっており, 単なるリ ズムと休符との相互作用 の把握のみでは不可能なのである, 同 じこ と は 音 の 維 持 の 仕 方 に も 言 え る,. ス タ ッ カ 【 ト, ス ピ ッ カ 【 ト, マ ル カ ー ト, ノ ン・ レ. ガー トもまた音とサイ レンスとの特殊な関係によっ ている, 物理的時間価値の点で此等の音は無 音と相互に補い合っている, 休止の内のある ものは作品の中間部または終結部において動きを止 めたり, 緊張を中断してエネルギーが過剰に流出するのを防く の に 役 立て ら れ る, テ ンポ が 速く リ ズム価が短い場合は休止によっ て現われた音楽流の間隙は 対照による 表現をぅみ出す媒介とな. り, 音楽流が突如として休符によって止まる場合は, 必ずと言ってよい 位, 独特な中断効果がう まれる. この様な 休符によっ て性格 づけけられる機能は流動の様相と休 止の出現状況によって決 定される. 無音が音楽成立の為の重要条件であることは器楽のみならず声楽についても言いうる が, 歴史を翻ってみると, 初期複音楽特にネー デルラン ドの複音楽に於いては音楽の流れを止め る休符は非常に稀である. 当時のものには線的 コンティ ヌオが多く, 音組織は分割さ れ て い な l do が劇的表現の手段として用いた い 休 止 は ホ モ フ ォ ニ ー の 特 徴 と も い える, Venosa の Gesua .. -132-.

(20) . 音楽における音と無音. 休止は, 特に和声の型態と密接に結 びついていた. 更に, 彼の作品のうちでも劇的表 情の少ない マ ドリガルに於いて用いられているのは真に興味深い, 後に発達した複音楽に於いて休止はその 機能に応 じて役割を果たした, 休止は諸声部中の一部に現われることによって或種の 表 情 を 産 む, 13,14世 紀 の 多 声 技 法 の 一 種 で あ る ゐの々郷”s に も こ の様 な 例 を み る こ と が 出 来 る. こ こ で. は旋律は休符によっ て短い断片に分けられ, 二声或いはそれ以上の声部の間でそ の断片が交互に 呈示 さ れ る, ノ 【 トル ダ ム楽 派 及 び ア ル ス ・ノ ヴァ の ギ ョ ー ム・ ド・ マ シ ョ ー に よ っ て こ の 技 法. は愛用された。 ここには一種の咽 ぶ様な効果がある. 対話法を明確化 し, 旋律線の極めて短い 断 -音節をも分割する. 現代音楽に 片のなかで声部を交替させることによっ て, 休止は曲の中の単- 於い て は ウ エ ー ベ ル に こ れ と 類 似 した 手 法 が 見 ら れ る.. ま た, こ れ に 加 えて, 対 話 声 部 は ポ リ リ. ズム の 発 展 の 基 礎 と な っ た, あ る パ ー トを 休 ま せ た り, 休 止 に よ っ て 音組 織 を 分 割 した り, そ の. 他オ ー ケ ス ト ラ の ミー トの 種 々 の 扱 い 方 に よ っ て テ ク ス チ ュ ア や 音 色 の線 的 性格 は変 え られ る.. 両外声部 が非常 に高い音程と非常に低い音程にあり, 内声部が休止する場合, 特殊な効 果がうま れる, ポロ ディ ソは 「中央ア ジアの草原にて」 のなかで高原独特の雰囲気を表 わす為に上記の方 法をとっ た フ ル ッ ク ナ ー の 作 品 に 於 い て も こ の 様な手法は重要な意味をもつ, また, 純器楽曲 。. や無伴奏声楽曲で用いられる休止による分断は同質内に於ける効果をもつが, 声楽と器 楽の合体 したものに於いては異質的なものに於ける休止のもつ独特なサスペ ンスが現われる。. さて, いままで述べてきた様に無音は休止を含めた広く, かつ基本的な意味をもつ為, 音楽の 存立に関 して根源的な価値づけがなされるべ きであるといえよう。 無音は音楽現象にとっ て不可 欠の媒体であり, 常に根紙にあっ て音楽を支え, かつ音楽の細部に現 われて, その諸要素のはた らき を 可 能 な ら しめ て い る の で あ る,. 註. “ i ‘Bs i l ique s ca l l i dune es l l lps mus i thd l t e del a mus 1) G. Bre et:‘ s a ,1949 que nouve , Par , Le Te. 2) G, Norwid: Thoughton A比 and Literature, Warsaw,1960 i t t:op e 3 ) G.Brel ,2 .c . ,1 , Chap i i i k i i ka . i i ka l 1 - s che L0g g sche H6ren pz l mus emann: Von 4)1 , Le ,1873 , Mus . Ri VI n, iご P i lmer i fS l t i si n Mus the t ence and Res on o ssa: Aes c Funct 5) Z. Li ,488, Sun ,1964, O. X X1. i l No ed by Eugen a Tarska) at . A. A, C, (Trans .4 ,J i B l B k h 1 9 2 5 K 口 e B t 6) , ur : ruc ner , r n, i i 1 l i 1 i i sche Aufnahme 1 g く a pz schi che verandrung der mus er: Ge cht 7) 日. BesSe , Le ,1961. 一133-.

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参照

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