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宝徳本系統『保元物語』本文考続貂(上)

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Academic year: 2021

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宝 徳 本 系 統 ( 金 刀 本 系 統 と も 称 さ れ る ) に 属 す る 『 保 元 物 語 』 諸 本 は 、 昭 和 五 十 二 年 、 犬 井 善 壽 氏 に よ り 、 最 終 的 に 宝 徳 本 系 列 ・ 陽 明 本 系 列 ・ 松 井 本 系 列 ・ 金 刀 本 系 列 の 四 系 列 に 細 分 ・ 整 理 さ れ 、 今 日 に 至 る 。 た だ 、 そ の 後 も 該 系 統 に 属 ( 1 ) す る と 判 断 さ れ る 伝 本 の 出 現 が 続 い て い る 。 こ う し た 状 況 下 、 系 統 全 本 を 再 整 理 す る 必 要 性 を 感 じ 、 小 稿 の 作 成 を 思 い 立 っ た 。 結 果 と し て は 、 犬 井 氏 の 四 系 列 細 分 の 穏 当 で あ る こ と を 確 認 し 、 そ れ に い く ほ ど か の 知 見 を 加 え る も の と な ろ う 。 本 文 引 用 に あ た っ て は 、 必 要 と 思 わ れ る 場 合 を 除 い て 振 り 仮 名 は 省 略 す る 。 な お 、 参 考 と し て 本 文 末 ( ) 内 に 、 小 学 館 本 に お け る 所 載 頁 ・ 行 を 示 す 。 例 え ば ( 1 ― 1 ) は 、 該 当 本 文 が 第 一 頁 第 一 行 に あ る か 、 も し く は そ こ か ら 始 ま る こ と を 示 す ( 該 当 本 文 が 存 在 し な い 場 合 は 相 当 部 を 示 す ) 。 ま た 、 影 印 本 が 刊 行 さ れ て い る 伝 本 に つ い て は 、 本 文 末 ( ) 内 に 「 影 」 の 表 示 の も と 同 要 領 で 所 載 頁 ・ 行 を 示 す 。 そ れ ら 影 印 本 は 次 の 通 り 。 ○ 学 習 院 図 書 館 蔵 九 条 家 旧 蔵 本 ( 日 本 古 典 文 学 影 印 叢 刊 『 保 元 物 語 平 治 物 語 』 日 本 古 典 文 学 会 昭 和 六 十 三 年 ) ○ 東 京 大 学 国 語 研 究 室 蔵 『 保 元 記 』 ( 東 京 大 学 国 語 研 究 室 資 料 叢 書 『 保 元 記 平 治 物 語 』 汲 古 書 院 昭 和 六 十 一 年 ) ○ 陽 明 文 庫 蔵 宝 徳 三 年 奥 書 本 ・ 陽 明 文 庫 蔵 三 巻 本 ( 陽 明 叢 書 『 保 元 物 語 』 思 文 閣 昭 和 五 十 年 ) ○ 彰 考 館 文 庫 蔵 京 師 本 ・ 同 蔵 等 覚 院 本 ( 古 典 研 究 会 叢 書 『 保 元 物 語 』 汲 古 書 院 昭 和 四 十 七 、 四 十 九 年 ) ○ 九 州 大 学 附 属 図 書 館 支 子 文 庫 蔵 本 ( 在 九 州 国 文 資 料 影 印 叢 書 『 保 元 物 語 』 昭 和 五 十 四 年 ) 稿 者 の 調 査 が 及 ん だ 限 り で は 、 そ の 全 文 も し く は 本 文 の 大 半 が 宝 徳 本 系 統 に 属 す る と 見 な さ れ る 伝 本 は 左 掲 の 如 く に な ろ う 。 各 伝 本 の 末 尾 ( ) 内 は 小 稿 で 使 用 す る 略 称 で あ る 。 * を 冠 し た 伝 本 は 犬 井 氏 論 文 で は 扱 わ れ て い な い が 、 天 ・ 早 ・ 文 以 外 は か つ て 採 り 上 げ た こ と が あ り 、 論 述 が そ れ ら と ( 2 ) 重 な る こ と も あ る 。 旧 稿 を 併 読 し て い た だ け れ ば 幸 い で あ る 。 ( 宝 徳 本 系 列 ) 今 治 市 河 野 美 術 館 蔵 斑 山 文 庫 旧 蔵 本 ( 河 ) 学 習 院 図 書 館 蔵 九 条 家 旧 蔵 本 ( 学 ) * 九 州 大 学 附 属 図 書 館 支 子 文 庫 蔵 本 ( 支 ) * 中 京 大 学 図 書 館 蔵 本 ( 中 ) 東 京 大 学 国 語 研 究 室 蔵 『 保 元 記 』 ( 東 ) 前 田 尊 経 閣 文 庫 蔵 伝 積 善 院 尊 雅 筆 本 ( 前 ) 陽 明 文 庫 蔵 宝 徳 三 年 奥 書 本 ( 宝 ) 今 治 市 河 野 美 術 館 蔵 大 型 本 〈 京 師 本 系 統 ― 永 積 分 類 〉 ( 今 ) 彰 考 館 文 庫 蔵 京 師 本 〈 京 師 本 系 統 ― 永 積 分 類 〉 ( 彰 ) 静 嘉 堂 文 庫 蔵 旧 本 〈 京 師 本 系 統 ― 永 積 分 類 〉 ( 静 ) 前 田 尊 経 閣 文 庫 蔵 大 型 本 〈 京 師 本 系 統 ― 永 積 分 類 〉 ( 尊 ) ( 陽 明 本 系 列 ) * 糸 魚 川 市 民 図 書 館 蔵 本 ( 糸 ) 京 都 大 学 国 文 研 究 室 蔵 『 保 元 記 』 ( 国 ) * 佐 賀 県 立 図 書 館 蔵 本 ( 佐 ) 大 東 急 記 念 文 庫 蔵 屋 代 弘 賢 書 入 本 ( 大 ) * 天 理 大 学 附 属 天 理 図 書 館 蔵 残 欠 本 ( 全 三 巻 中 、 中 巻 欠 )( 天 ) * 仁 和 寺 蔵 本 ( 上 巻 頭 よ り 東 三 条 殿 行 幸 記 事 ま で ) ( 仁 ) * 原 水 蔵 彩 色 絵 入 本 零 葉 ( 零 ) * 広 島 大 学 図 書 館 中 央 図 書 館 蔵 米 子 市 立 米 子 図 書 館 旧 蔵 本

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宝 徳 本 系 統 ( 金 刀 本 系 統 と も 称 さ れ る ) に 属 す る 『 保 元 物 語 』 諸 本 は 、 昭 和 五 十 二 年 、 犬 井 善 壽 氏 に よ り 、 最 終 的 に 宝 徳 本 系 列 ・ 陽 明 本 系 列 ・ 松 井 本 系 列 ・ 金 刀 本 系 列 の 四 系 列 に 細 分 ・ 整 理 さ れ 、 今 日 に 至 る 。 た だ 、 そ の 後 も 該 系 統 に 属 ( 1 ) す る と 判 断 さ れ る 伝 本 の 出 現 が 続 い て い る 。 こ う し た 状 況 下 、 系 統 全 本 を 再 整 理 す る 必 要 性 を 感 じ 、 小 稿 の 作 成 を 思 い 立 っ た 。 結 果 と し て は 、 犬 井 氏 の 四 系 列 細 分 の 穏 当 で あ る こ と を 確 認 し 、 そ れ に い く ほ ど か の 知 見 を 加 え る も の と な ろ う 。 本 文 引 用 に あ た っ て は 、 必 要 と 思 わ れ る 場 合 を 除 い て 振 り 仮 名 は 省 略 す る 。 な お 、 参 考 と し て 本 文 末 ( ) 内 に 、 小 学 館 本 に お け る 所 載 頁 ・ 行 を 示 す 。 例 え ば ( 1 ― 1 ) は 、 該 当 本 文 が 第 一 頁 第 一 行 に あ る か 、 も し く は そ こ か ら 始 ま る こ と を 示 す ( 該 当 本 文 が 存 在 し な い 場 合 は 相 当 部 を 示 す ) 。 ま た 、 影 印 本 が 刊 行 さ れ て い る 伝 本 に つ い て は 、 本 文 末 ( ) 内 に 「 影 」 の 表 示 の も と 同 要 領 で 所 載 頁 ・ 行 を 示 す 。 そ れ ら 影 印 本 は 次 の 通 り 。 ○ 学 習 院 図 書 館 蔵 九 条 家 旧 蔵 本 ( 日 本 古 典 文 学 影 印 叢 刊 『 保 元 物 語 平 治 物 語 』 日 本 古 典 文 学 会 昭 和 六 十 三 年 ) ○ 東 京 大 学 国 語 研 究 室 蔵 『 保 元 記 』 ( 東 京 大 学 国 語 研 究 室 資 料 叢 書 『 保 元 記 平 治 物 語 』 汲 古 書 院 昭 和 六 十 一 年 ) ○ 陽 明 文 庫 蔵 宝 徳 三 年 奥 書 本 ・ 陽 明 文 庫 蔵 三 巻 本 ( 陽 明 叢 書 『 保 元 物 語 』 思 文 閣 昭 和 五 十 年 ) ○ 彰 考 館 文 庫 蔵 京 師 本 ・ 同 蔵 等 覚 院 本 ( 古 典 研 究 会 叢 書 『 保 元 物 語 』 汲 古 書 院 昭 和 四 十 七 、 四 十 九 年 ) ○ 九 州 大 学 附 属 図 書 館 支 子 文 庫 蔵 本 ( 在 九 州 国 文 資 料 影 印 叢 書 『 保 元 物 語 』 昭 和 五 十 四 年 ) 稿 者 の 調 査 が 及 ん だ 限 り で は 、 そ の 全 文 も し く は 本 文 の 大 半 が 宝 徳 本 系 統 に 属 す る と 見 な さ れ る 伝 本 は 左 掲 の 如 く に な ろ う 。 各 伝 本 の 末 尾 ( ) 内 は 小 稿 で 使 用 す る 略 称 で あ る 。 * を 冠 し た 伝 本 は 犬 井 氏 論 文 で は 扱 わ れ て い な い が 、 天 ・ 早 ・ 文 以 外 は か つ て 採 り 上 げ た こ と が あ り 、 論 述 が そ れ ら と ( 2 ) 重 な る こ と も あ る 。 旧 稿 を 併 読 し て い た だ け れ ば 幸 い で あ る 。 ( 宝 徳 本 系 列 ) 今 治 市 河 野 美 術 館 蔵 斑 山 文 庫 旧 蔵 本 ( 河 ) 学 習 院 図 書 館 蔵 九 条 家 旧 蔵 本 ( 学 ) * 九 州 大 学 附 属 図 書 館 支 子 文 庫 蔵 本 ( 支 ) * 中 京 大 学 図 書 館 蔵 本 ( 中 ) 東 京 大 学 国 語 研 究 室 蔵 『 保 元 記 』 ( 東 ) 前 田 尊 経 閣 文 庫 蔵 伝 積 善 院 尊 雅 筆 本 ( 前 ) 陽 明 文 庫 蔵 宝 徳 三 年 奥 書 本 ( 宝 ) 今 治 市 河 野 美 術 館 蔵 大 型 本 〈 京 師 本 系 統 ― 永 積 分 類 〉 ( 今 ) 彰 考 館 文 庫 蔵 京 師 本 〈 京 師 本 系 統 ― 永 積 分 類 〉 ( 彰 ) 静 嘉 堂 文 庫 蔵 旧 本 〈 京 師 本 系 統 ― 永 積 分 類 〉 ( 静 ) 前 田 尊 経 閣 文 庫 蔵 大 型 本 〈 京 師 本 系 統 ― 永 積 分 類 〉 ( 尊 ) ( 陽 明 本 系 列 ) * 糸 魚 川 市 民 図 書 館 蔵 本 ( 糸 ) 京 都 大 学 国 文 研 究 室 蔵 『 保 元 記 』 ( 国 ) * 佐 賀 県 立 図 書 館 蔵 本 ( 佐 ) 大 東 急 記 念 文 庫 蔵 屋 代 弘 賢 書 入 本 ( 大 ) * 天 理 大 学 附 属 天 理 図 書 館 蔵 残 欠 本 ( 全 三 巻 中 、 中 巻 欠 )( 天 ) * 仁 和 寺 蔵 本 ( 上 巻 頭 よ り 東 三 条 殿 行 幸 記 事 ま で ) ( 仁 ) * 原 水 蔵 彩 色 絵 入 本 零 葉 ( 零 ) * 広 島 大 学 図 書 館 中 央 図 書 館 蔵 米 子 市 立 米 子 図 書 館 旧 蔵 本

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( 広 ) 陽 明 文 庫 蔵 三 巻 本 ( 陽 ) 正 木 信 一 氏 蔵 本 〈 正 木 本 系 統 ― 永 積 分 類 〉 ( 正 ) ( 未 見 ) 宮 内 庁 書 陵 部 蔵 平 仮 名 交 本 〈 正 木 本 系 統 ― 永 積 分 類 〉 ( 宮 ) * 国 文 学 研 究 資 料 館 蔵 宝 玲 文 庫 旧 蔵 本 ( 資 ) ( 松 井 本 系 列 ) 九 州 大 学 国 文 研 究 室 蔵 本 ( 九 ) * 國 學 院 大 學 蔵 本 ( 院 ) * 実 践 女 子 大 学 図 書 館 蔵 常 磐 松 文 庫 蔵 本 ( 実 ) 静 嘉 堂 文 庫 蔵 玄 圃 斎 旧 蔵 本 ( 玄 ) 静 嘉 堂 文 庫 蔵 松 井 簡 治 旧 蔵 本 ( 松 ) 天 理 大 学 附 属 天 理 図 書 館 蔵 昭 和 十 五 年 印 記 本 ( 昭 ) 龍 門 文 庫 蔵 本 ( 上 巻 頭 よ り 中 巻 の 法 勝 寺 焼 き 討 ち 不 許 の 記 事 ま で ) ( 龍 ) * 早 稲 田 大 学 図 書 館 九 曜 文 庫 蔵 残 欠 本 ( 全 三 巻 中 、 下 巻 の み 存 ) ( 早 ) * 早 稲 田 大 学 図 書 館 蔵 津 田 葛 根 識 語 本 ( 津 ) 蓬 左 文 庫 蔵 平 仮 名 交 本 ( 上 巻 頭 よ り 後 白 河 勢 出 撃 記 事 ま で ) ( 蓬 ) 神 宮 文 庫 蔵 賢 木 園 文 庫 旧 蔵 本 ( 上 巻 頭 よ り 後 白 河 勢 出 撃 記 事 ま で ) ( 神 ) * 原 水 蔵 本 ( 全 二 巻 中 、 上 巻 の み 存 。 上 巻 頭 よ り 後 白 河 勢 出 撃 記 事 ま で ) ( 原 ) ( 金 刀 本 系 列 ) 学 習 院 大 学 国 文 研 究 室 蔵 本 ( 全 三 巻 中 、 上 巻 欠 ) ( 習 ) 金 刀 比 羅 宮 図 書 館 蔵 本 ( 金 ) 彰 考 館 文 庫 蔵 等 覚 院 本 ( 全 三 巻 中 、 中 巻 の み ) ( 等 ) 天 理 大 学 附 属 天 理 図 書 館 蔵 粘 葉 本 ( 理 ) * 東 京 国 立 博 物 館 蔵 平 仮 名 交 本 ( 博 ) 内 閣 文 庫 蔵 袋 綴 本 ( 全 三 巻 中 、 上 巻 欠 ) ( 内 ) * 早 稲 田 大 学 図 書 館 九 曜 文 庫 蔵 文 久 二 年 本 ( 文 ) ( 京 師 本 系 統 ・ 正 木 本 系 統 並 び に 前 ・ 資 ・ 佐 ・ 大 ・ 院 に は 、 京 図 本 系 統 も し く は 流 布 本 系 統 の 為 朝 説 話 が 追 補 さ れ て い る が 、 当 該 部 は 考 察 の 対 象 外 で あ る ) 一 、 宝 徳 本 系 列 の 諸 本 現 在 、 本 文 の す べ て も し く は そ の 大 部 分 が 宝 徳 本 系 列 に 属 す る と 判 断 さ れ る 伝 本 は 河 ・ 学 ・ 支 ・ 中 ・ 東 ・ 前 ・ 宝 ・ 今 ・ 彰 ・ 静 ・ 尊 の 十 一 本 で あ る 。 そ れ ら は 、 そ の 親 疎 関 係 か ら さ ら に 宝 ・ 東 ・ 彰 ・ 中 ( 今 ・ 静 ・ 尊 の 三 本 は 彰 を 祖 本 と す る こ と が 犬 井 善 壽 氏 に よ り 報 告 さ れ て い る の で 彰 を も っ て 代 表 ( 3 ) さ せ る ) の グ ル ー プ と 河 ・ 学 ・ 支 ・ 前 の グ ル ー プ に 分 か つ こ と が 可 能 で あ る 。 こ の 二 グ ル ー プ ( 便 宜 的 に 、 宝 グ ル ー プ ・ 河 グ ル ー プ と 仮 称 す る ) 間 に 見 ら れ る 比 較 的 規 模 の 大 き い 異 同 を 次 に 示 す 。 本 文 引 用 に あ た っ て は 、 宝 グ ル ー プ は 宝 、 河 グ ル ー プ は 河 に 依 る も の と す る 。 ① 人 間 ハ 老 少 不 定 の さ た ま れ る な ら ひ と か ね て 是 を は 知 食 と も 禁 中 み な く れ ニ け り ( 影 ─ 4 ) ( ― ) 338 216 11 宝 グ ル ー プ の 本 文 を 示 し た が 、 河 グ ル ー プ は 、 傍 線 部 「 と い ひ な か ら 」 と 簡 略 で あ る 。 他 系 列 も 河 グ ル ー プ と 同 じ ( た だ し 、 陽 明 本 系 列 の 宮 ・ 陽 ・ 資 ・ 糸 ・ 天 は 「 と 云 な か ら 未 つ ほ め る 花 の 御 質 た る を 無 明 の 嵐 に ち り は て 給 へ ハ 」〈 陽 の 本 文 に よ る 。 以 下 同 〉〈 影 ― 8 〉 と 独 自 ) 。 10 他 系 統 で は 、 京 図 本 系 統 が 宝 グ ル ー プ に 近 い 。 文 章 と し て は い ず れ の 形 で も 問 題 は な い 。 ② 手 負 の 兵 か す を 不 知 ( 影 ─ 1 ) ( ― 9 ) 378 236 同 じ く 宝 グ ル ー プ の 本 文 を 示 し た 。 河 グ ル ー プ で は 、 こ の 後 に 「 基 盛 も あ や う か り け れ は 進 退 き ハ ま れ り 」 の 一 文 が 続 く 。 他 系 列 は 河 グ ル ー プ と 同 じ ( た だ し 、 陽 明 本 系 列 の 宮 ・ 陽 ・ 資 ・ 糸 ・ 天 は 「 両 陳 入 乱 た る 合 戦 な れ ハ 何 勝 負 あ る へ し と も 見 え さ り け り 」〈 影 ― 4 〉 と 独 自 ) 。 42 当 該 文 が あ れ ば 基 盛 勢 の 劣 勢 が 強 調 さ れ る が 、 な く て も 文 脈 上 の 不 都 合 は な い 。 い ず れ の 形 が 本 来 で あ る か は 定 め が た い 。 ( 4 ) ③ 汝 不 知 哉 朝 威 を 軽 す る 者 ハ 朝 敵 也 朝 歒 と 成 る 者 ハ 天 の 攻 を 蒙 者 也 ( 影 ─ 7 ) ( ― ) 433 265 17 河 グ ル ー プ は 「 汝 し ら す や て う て き と な り ぬ る も の ハ 天 の せ め を か う ふ る も の な り 是 朝 威 を か ろ ん す る ゆ へ 也 」 と 文 の 順 序 が 異 な る 。 他 系 列 は 河 グ ル ー プ と 同 じ 。 い ず

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( 広 ) 陽 明 文 庫 蔵 三 巻 本 ( 陽 ) 正 木 信 一 氏 蔵 本 〈 正 木 本 系 統 ― 永 積 分 類 〉 ( 正 ) ( 未 見 ) 宮 内 庁 書 陵 部 蔵 平 仮 名 交 本 〈 正 木 本 系 統 ― 永 積 分 類 〉 ( 宮 ) * 国 文 学 研 究 資 料 館 蔵 宝 玲 文 庫 旧 蔵 本 ( 資 ) ( 松 井 本 系 列 ) 九 州 大 学 国 文 研 究 室 蔵 本 ( 九 ) * 國 學 院 大 學 蔵 本 ( 院 ) * 実 践 女 子 大 学 図 書 館 蔵 常 磐 松 文 庫 蔵 本 ( 実 ) 静 嘉 堂 文 庫 蔵 玄 圃 斎 旧 蔵 本 ( 玄 ) 静 嘉 堂 文 庫 蔵 松 井 簡 治 旧 蔵 本 ( 松 ) 天 理 大 学 附 属 天 理 図 書 館 蔵 昭 和 十 五 年 印 記 本 ( 昭 ) 龍 門 文 庫 蔵 本 ( 上 巻 頭 よ り 中 巻 の 法 勝 寺 焼 き 討 ち 不 許 の 記 事 ま で ) ( 龍 ) * 早 稲 田 大 学 図 書 館 九 曜 文 庫 蔵 残 欠 本 ( 全 三 巻 中 、 下 巻 の み 存 ) ( 早 ) * 早 稲 田 大 学 図 書 館 蔵 津 田 葛 根 識 語 本 ( 津 ) 蓬 左 文 庫 蔵 平 仮 名 交 本 ( 上 巻 頭 よ り 後 白 河 勢 出 撃 記 事 ま で ) ( 蓬 ) 神 宮 文 庫 蔵 賢 木 園 文 庫 旧 蔵 本 ( 上 巻 頭 よ り 後 白 河 勢 出 撃 記 事 ま で ) ( 神 ) * 原 水 蔵 本 ( 全 二 巻 中 、 上 巻 の み 存 。 上 巻 頭 よ り 後 白 河 勢 出 撃 記 事 ま で ) ( 原 ) ( 金 刀 本 系 列 ) 学 習 院 大 学 国 文 研 究 室 蔵 本 ( 全 三 巻 中 、 上 巻 欠 ) ( 習 ) 金 刀 比 羅 宮 図 書 館 蔵 本 ( 金 ) 彰 考 館 文 庫 蔵 等 覚 院 本 ( 全 三 巻 中 、 中 巻 の み ) ( 等 ) 天 理 大 学 附 属 天 理 図 書 館 蔵 粘 葉 本 ( 理 ) * 東 京 国 立 博 物 館 蔵 平 仮 名 交 本 ( 博 ) 内 閣 文 庫 蔵 袋 綴 本 ( 全 三 巻 中 、 上 巻 欠 ) ( 内 ) * 早 稲 田 大 学 図 書 館 九 曜 文 庫 蔵 文 久 二 年 本 ( 文 ) ( 京 師 本 系 統 ・ 正 木 本 系 統 並 び に 前 ・ 資 ・ 佐 ・ 大 ・ 院 に は 、 京 図 本 系 統 も し く は 流 布 本 系 統 の 為 朝 説 話 が 追 補 さ れ て い る が 、 当 該 部 は 考 察 の 対 象 外 で あ る ) 一 、 宝 徳 本 系 列 の 諸 本 現 在 、 本 文 の す べ て も し く は そ の 大 部 分 が 宝 徳 本 系 列 に 属 す る と 判 断 さ れ る 伝 本 は 河 ・ 学 ・ 支 ・ 中 ・ 東 ・ 前 ・ 宝 ・ 今 ・ 彰 ・ 静 ・ 尊 の 十 一 本 で あ る 。 そ れ ら は 、 そ の 親 疎 関 係 か ら さ ら に 宝 ・ 東 ・ 彰 ・ 中 ( 今 ・ 静 ・ 尊 の 三 本 は 彰 を 祖 本 と す る こ と が 犬 井 善 壽 氏 に よ り 報 告 さ れ て い る の で 彰 を も っ て 代 表 ( 3 ) さ せ る ) の グ ル ー プ と 河 ・ 学 ・ 支 ・ 前 の グ ル ー プ に 分 か つ こ と が 可 能 で あ る 。 こ の 二 グ ル ー プ ( 便 宜 的 に 、 宝 グ ル ー プ ・ 河 グ ル ー プ と 仮 称 す る ) 間 に 見 ら れ る 比 較 的 規 模 の 大 き い 異 同 を 次 に 示 す 。 本 文 引 用 に あ た っ て は 、 宝 グ ル ー プ は 宝 、 河 グ ル ー プ は 河 に 依 る も の と す る 。 ① 人 間 ハ 老 少 不 定 の さ た ま れ る な ら ひ と か ね て 是 を は 知 食 と も 禁 中 み な く れ ニ け り ( 影 ─ 4 ) ( ― ) 338 216 11 宝 グ ル ー プ の 本 文 を 示 し た が 、 河 グ ル ー プ は 、 傍 線 部 「 と い ひ な か ら 」 と 簡 略 で あ る 。 他 系 列 も 河 グ ル ー プ と 同 じ ( た だ し 、 陽 明 本 系 列 の 宮 ・ 陽 ・ 資 ・ 糸 ・ 天 は 「 と 云 な か ら 未 つ ほ め る 花 の 御 質 た る を 無 明 の 嵐 に ち り は て 給 へ ハ 」〈 陽 の 本 文 に よ る 。 以 下 同 〉〈 影 ― 8 〉 と 独 自 ) 。 10 他 系 統 で は 、 京 図 本 系 統 が 宝 グ ル ー プ に 近 い 。 文 章 と し て は い ず れ の 形 で も 問 題 は な い 。 ② 手 負 の 兵 か す を 不 知 ( 影 ─ 1 ) ( ― 9 ) 378 236 同 じ く 宝 グ ル ー プ の 本 文 を 示 し た 。 河 グ ル ー プ で は 、 こ の 後 に 「 基 盛 も あ や う か り け れ は 進 退 き ハ ま れ り 」 の 一 文 が 続 く 。 他 系 列 は 河 グ ル ー プ と 同 じ ( た だ し 、 陽 明 本 系 列 の 宮 ・ 陽 ・ 資 ・ 糸 ・ 天 は 「 両 陳 入 乱 た る 合 戦 な れ ハ 何 勝 負 あ る へ し と も 見 え さ り け り 」〈 影 ― 4 〉 と 独 自 ) 。 42 当 該 文 が あ れ ば 基 盛 勢 の 劣 勢 が 強 調 さ れ る が 、 な く て も 文 脈 上 の 不 都 合 は な い 。 い ず れ の 形 が 本 来 で あ る か は 定 め が た い 。 ( 4 ) ③ 汝 不 知 哉 朝 威 を 軽 す る 者 ハ 朝 敵 也 朝 歒 と 成 る 者 ハ 天 の 攻 を 蒙 者 也 ( 影 ─ 7 ) ( ― ) 433 265 17 河 グ ル ー プ は 「 汝 し ら す や て う て き と な り ぬ る も の ハ 天 の せ め を か う ふ る も の な り 是 朝 威 を か ろ ん す る ゆ へ 也 」 と 文 の 順 序 が 異 な る 。 他 系 列 は 河 グ ル ー プ と 同 じ 。 い ず

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れ の 形 で も 支 障 は な い が 、 他 系 統 で は 、 鎌 倉 本 に 宝 グ ル ー プ と 同 じ 形 が 見 ら れ る 。 ④ 先 祖 相 伝 而 三 代 ニ 罷 成 惟 行 も 三 度 ま て 事 に あ ふ ( 影 455 ─ 1 ) ( ― 8 ) 279 河 グ ル ー プ で は 「 相 伝 而 」 と 「 三 代 ニ 」 と の 間 に 「 既 に 惟 行 ま て ハ 」 の 字 句 が 入 る 。 他 系 列 は 河 グ ル ー プ と 同 じ ( た だ し 、 陽 明 本 系 列 は 「 惟 行 ま て ハ 此 冑 三 代 ま て 軍 に あ ふ 」 〈 宮 は 異 同 あ り 〉 〈 影 ― 5 〉 ) 。 い ず れ の 形 で も 117 文 脈 的 に 問 題 は な い 。 ⑤ 奴 ハ 一 定 今 度 ハ 助 も 置 す 射 落 し て ん す と 思 ハ れ け れ ハ ( 影 ─ 7 ) ( ― ) 479 291 15 河 グ ル ー プ は 傍 線 部 を 欠 く 。 他 系 列 も 同 じ 。 傍 線 部 を 持 つ 形 持 た な い 形 の い ず れ が 本 来 か は 決 し が た い 。 ⑥ 為 朝 弥 怒 を な し て あ の 勢 ニ か け 入 此 勢 ニ か け 合 馳 廻 り ( 影 ─ 3 ) ( ― ) 498 300 15 河 グ ル ー プ で は 「 か け 合 」 と 「 馳 廻 り 」 と の 間 に 「 き つ て ハ お と し 切 て ハ す て を め き さ け ひ て 」 と の 詞 句 が 入 る 。 他 系 列 も 同 じ 。 必 要 不 可 欠 の 詞 句 で は な い た め 、 持 つ 形 持 た な い 形 の い ず れ が 本 来 か は 決 し が た い 。 ⑦ 可 然 人 々 も 不 被 候 只 女 坊 二 三 人 計 そ 候 け る か き く ら す 御 涙 の 内 な れ は 御 意 の 澄 と し も ハ な け れ と も ( 影 ─ 5 ) 556 ( ― 9 ) 326 河 グ ル ー プ に は 傍 線 部 が な い 。 他 系 列 も 同 じ 。 こ の 場 合 も 、 傍 線 部 の あ る 形 な い 形 の い ず れ が 本 来 で あ る か は 判 定 し が た い 。 ⑧ 我 等 か 身 の 上 ハ さ て を き ぬ 只 御 事 の 心 く る し さ に こ そ 候 へ と も か く も 御 身 の た す か ら せ た ま ハ ん 事 こ そ 能 候 ハ め 只 御 意 ニ こ そ と 申 け れ は ( 影 ─ 4 ) ( ― 8 ) 567 332 河 グ ル ー プ は 傍 線 部 を 欠 く ( 学 は 、 傍 線 部 を 含 む 周 辺 「 只 御 事 を こ そ 心 く る し く 存 候 へ た ゝ 御 意 に こ そ 」 〈 影 260 ― 1 〉 と 異 な っ て い る ) 。 他 系 列 を 見 る に 、 松 井 本 系 列 は 河 グ ル ー プ に 近 く 、 陽 明 本 系 列 ・ 金 刀 本 系 列 は 宝 グ ル ー プ に 似 る 。 傍 線 部 を 欠 く 形 は い さ さ か 舌 足 ら ず の 感 が あ る 。 ⑨ 中 に も 和 殿 ハ 入 道 殿 の 御 跡 懐 に て お ほ し 立 ら れ 進 せ て 御 好 深 き 人 そ か し 争 や ミ

と し て 奉 討 覧 と ハ し た ま ふ そ 奉 助 ま て ま て こ そ な く と も ( 影 ─ 7 ) ( ― 2 ) ( マ マ ) 585 342 河 グ ル ー プ は 実 線 部 を 欠 く ( 前 は こ れ に 加 え 破 線 部 も 欠 く ) 。 他 系 列 で は 松 井 本 系 列 が 河 グ ル ー プ に 、 陽 明 本 系 列 ( 国 は 一 部 を 欠 く ) ・ 金 刀 本 系 列 が 宝 グ ル ー プ に 一 致 し て い る 。 傍 線 部 が な い と 文 脈 に 飛 躍 が 生 じ る た め 、 こ れ を 持 た な い 形 は 欠 脱 と 考 え ら れ 、 宝 グ ル ー プ の 形 が 本 来 と 思 わ れ る 。 ⑩ ( 女 房 は ─ 稿 者 補 足 ) 声 を 調 て お め き 叫 ひ た ま ひ け り 見 る 者 袖 を そ し ほ り け る 新 院 も 今 ハ の き わ に 成 た ま へ は 只 あ き れ た る 御 気 色 な り 女 房 た ち の な き か な し む あ り さ ま を 御 覧 す る に い と ゝ き え 入 心 ち そ し た ま ふ ( 影 ─ 4 ) 632 ( ― 5 ) 370 河 グ ル ー プ は 傍 線 部 を 欠 く 。 他 系 列 も 同 じ 。 い ず れ が 本 来 で あ る か は 決 し が た い 。 ⑪ 光 弘 法 師 と う 参 れ と い へ な と 被 仰 此 光 弘 法 師 と 申 は 去 十 七 日 の 夜 被 切 た り け る を も 不 被 知 食 し て 御 言 付 の あ り け る こ そ 哀 な れ ( 影 ─ 2 ) ( ― 2 ) 636 372 河 グ ル ー プ は 傍 線 部 を 欠 く 。 院 を 除 く 松 井 本 系 列 は 河 グ ル ー プ と 同 形 だ が 、 他 は 宝 グ ル ー プ と 同 じ 。 河 グ ル ー プ な ど の 形 は 「 光 弘 法 師 」 の 目 移 り に よ る 欠 脱 と 判 断 さ れ る た め 、 宝 グ ル ー プ の 形 が 本 来 と 言 え る 。 宝 グ ル ー プ と 河 グ ル ー プ の 間 に 見 ら れ る 比 較 的 規 模 の 大 き い 異 同 を 選 び 、 簡 単 な 検 討 を 加 え た 。 こ の 中 、 ⑨ ⑪ ( ⑧ も 加 え る か ) に つ い て は 、 宝 グ ル ー プ に 本 来 の 姿 が 伝 え ら れ て い る と 思 わ れ る が 、 他 の 場 合 は 定 か で な い 。 た だ 、 ① ③ に 鎌 倉 本 や 京 図 本 系 統 に 宝 グ ル ー プ と 近 い 形 姿 が 見 ら れ る こ と や 、 河 グ ル ー プ の 先 行 性 を 示 唆 す る 事 例 が 見 い だ せ な い こ と を あ わ せ 考 え る な ら 、 宝 グ ル ー プ に よ り 本 来 的 な 姿 が 残 さ れ て い る 蓋 然 性 が 高 い と す べ き か 。 単 語 レ ベ ル に 注 目 し た 場 合 、 二 グ ル ー プ 間 の 異 同 は 少 な く な い が 、 い ず れ の 形 で も 支 障 の な い も の が 多 い 。 ま た 、 二 グ ル ー プ の い ず れ に も 誤 り が 存 在 す る が 、 数 量 と し て は 河 グ ル

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れ の 形 で も 支 障 は な い が 、 他 系 統 で は 、 鎌 倉 本 に 宝 グ ル ー プ と 同 じ 形 が 見 ら れ る 。 ④ 先 祖 相 伝 而 三 代 ニ 罷 成 惟 行 も 三 度 ま て 事 に あ ふ ( 影 455 ─ 1 ) ( ― 8 ) 279 河 グ ル ー プ で は 「 相 伝 而 」 と 「 三 代 ニ 」 と の 間 に 「 既 に 惟 行 ま て ハ 」 の 字 句 が 入 る 。 他 系 列 は 河 グ ル ー プ と 同 じ ( た だ し 、 陽 明 本 系 列 は 「 惟 行 ま て ハ 此 冑 三 代 ま て 軍 に あ ふ 」 〈 宮 は 異 同 あ り 〉 〈 影 ― 5 〉 ) 。 い ず れ の 形 で も 117 文 脈 的 に 問 題 は な い 。 ⑤ 奴 ハ 一 定 今 度 ハ 助 も 置 す 射 落 し て ん す と 思 ハ れ け れ ハ ( 影 ─ 7 ) ( ― ) 479 291 15 河 グ ル ー プ は 傍 線 部 を 欠 く 。 他 系 列 も 同 じ 。 傍 線 部 を 持 つ 形 持 た な い 形 の い ず れ が 本 来 か は 決 し が た い 。 ⑥ 為 朝 弥 怒 を な し て あ の 勢 ニ か け 入 此 勢 ニ か け 合 馳 廻 り ( 影 ─ 3 ) ( ― ) 498 300 15 河 グ ル ー プ で は 「 か け 合 」 と 「 馳 廻 り 」 と の 間 に 「 き つ て ハ お と し 切 て ハ す て を め き さ け ひ て 」 と の 詞 句 が 入 る 。 他 系 列 も 同 じ 。 必 要 不 可 欠 の 詞 句 で は な い た め 、 持 つ 形 持 た な い 形 の い ず れ が 本 来 か は 決 し が た い 。 ⑦ 可 然 人 々 も 不 被 候 只 女 坊 二 三 人 計 そ 候 け る か き く ら す 御 涙 の 内 な れ は 御 意 の 澄 と し も ハ な け れ と も ( 影 ─ 5 ) 556 ( ― 9 ) 326 河 グ ル ー プ に は 傍 線 部 が な い 。 他 系 列 も 同 じ 。 こ の 場 合 も 、 傍 線 部 の あ る 形 な い 形 の い ず れ が 本 来 で あ る か は 判 定 し が た い 。 ⑧ 我 等 か 身 の 上 ハ さ て を き ぬ 只 御 事 の 心 く る し さ に こ そ 候 へ と も か く も 御 身 の た す か ら せ た ま ハ ん 事 こ そ 能 候 ハ め 只 御 意 ニ こ そ と 申 け れ は ( 影 ─ 4 ) ( ― 8 ) 567 332 河 グ ル ー プ は 傍 線 部 を 欠 く ( 学 は 、 傍 線 部 を 含 む 周 辺 「 只 御 事 を こ そ 心 く る し く 存 候 へ た ゝ 御 意 に こ そ 」 〈 影 260 ― 1 〉 と 異 な っ て い る ) 。 他 系 列 を 見 る に 、 松 井 本 系 列 は 河 グ ル ー プ に 近 く 、 陽 明 本 系 列 ・ 金 刀 本 系 列 は 宝 グ ル ー プ に 似 る 。 傍 線 部 を 欠 く 形 は い さ さ か 舌 足 ら ず の 感 が あ る 。 ⑨ 中 に も 和 殿 ハ 入 道 殿 の 御 跡 懐 に て お ほ し 立 ら れ 進 せ て 御 好 深 き 人 そ か し 争 や ミ

と し て 奉 討 覧 と ハ し た ま ふ そ 奉 助 ま て ま て こ そ な く と も ( 影 ─ 7 ) ( ― 2 ) ( マ マ ) 585 342 河 グ ル ー プ は 実 線 部 を 欠 く ( 前 は こ れ に 加 え 破 線 部 も 欠 く ) 。 他 系 列 で は 松 井 本 系 列 が 河 グ ル ー プ に 、 陽 明 本 系 列 ( 国 は 一 部 を 欠 く ) ・ 金 刀 本 系 列 が 宝 グ ル ー プ に 一 致 し て い る 。 傍 線 部 が な い と 文 脈 に 飛 躍 が 生 じ る た め 、 こ れ を 持 た な い 形 は 欠 脱 と 考 え ら れ 、 宝 グ ル ー プ の 形 が 本 来 と 思 わ れ る 。 ⑩ ( 女 房 は ─ 稿 者 補 足 ) 声 を 調 て お め き 叫 ひ た ま ひ け り 見 る 者 袖 を そ し ほ り け る 新 院 も 今 ハ の き わ に 成 た ま へ は 只 あ き れ た る 御 気 色 な り 女 房 た ち の な き か な し む あ り さ ま を 御 覧 す る に い と ゝ き え 入 心 ち そ し た ま ふ ( 影 ─ 4 ) 632 ( ― 5 ) 370 河 グ ル ー プ は 傍 線 部 を 欠 く 。 他 系 列 も 同 じ 。 い ず れ が 本 来 で あ る か は 決 し が た い 。 ⑪ 光 弘 法 師 と う 参 れ と い へ な と 被 仰 此 光 弘 法 師 と 申 は 去 十 七 日 の 夜 被 切 た り け る を も 不 被 知 食 し て 御 言 付 の あ り け る こ そ 哀 な れ ( 影 ─ 2 ) ( ― 2 ) 636 372 河 グ ル ー プ は 傍 線 部 を 欠 く 。 院 を 除 く 松 井 本 系 列 は 河 グ ル ー プ と 同 形 だ が 、 他 は 宝 グ ル ー プ と 同 じ 。 河 グ ル ー プ な ど の 形 は 「 光 弘 法 師 」 の 目 移 り に よ る 欠 脱 と 判 断 さ れ る た め 、 宝 グ ル ー プ の 形 が 本 来 と 言 え る 。 宝 グ ル ー プ と 河 グ ル ー プ の 間 に 見 ら れ る 比 較 的 規 模 の 大 き い 異 同 を 選 び 、 簡 単 な 検 討 を 加 え た 。 こ の 中 、 ⑨ ⑪ ( ⑧ も 加 え る か ) に つ い て は 、 宝 グ ル ー プ に 本 来 の 姿 が 伝 え ら れ て い る と 思 わ れ る が 、 他 の 場 合 は 定 か で な い 。 た だ 、 ① ③ に 鎌 倉 本 や 京 図 本 系 統 に 宝 グ ル ー プ と 近 い 形 姿 が 見 ら れ る こ と や 、 河 グ ル ー プ の 先 行 性 を 示 唆 す る 事 例 が 見 い だ せ な い こ と を あ わ せ 考 え る な ら 、 宝 グ ル ー プ に よ り 本 来 的 な 姿 が 残 さ れ て い る 蓋 然 性 が 高 い と す べ き か 。 単 語 レ ベ ル に 注 目 し た 場 合 、 二 グ ル ー プ 間 の 異 同 は 少 な く な い が 、 い ず れ の 形 で も 支 障 の な い も の が 多 い 。 ま た 、 二 グ ル ー プ の い ず れ に も 誤 り が 存 在 す る が 、 数 量 と し て は 河 グ ル

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ー プ の 方 に い く ぶ ん 多 い 。 宝 ・ 河 二 グ ル ー プ の 関 係 を 確 認 し た 上 で 、 個 々 の 伝 本 の 検 討 に 移 る 。 宝 グ ル ー プ か ら 見 て ゆ き た い 。 該 グ ル ー プ に 属 す る 四 伝 本 で は 、 宝 と 東 、 彰 と 中 が 各 々 近 い 関 係 に あ る 。 ま ず は 、 宝 ・ 東 に 近 似 が 見 ら れ る 事 例 を 示 す 。 ① 御 辺 院 へ 参 ら れ 候 ハ ん 事 何 の く る し ミ か 候 へ き 蹤 子 息 縦 カ を 進 れ 候 と も あ ひ く し て 参 ら れ て こ そ 交 替 あ る へ き に ( 影 ─ 2 ) ( ― ) 390 243 12 本 文 引 用 は 宝 に 依 る 。 以 下 同 。 宝 ・ 東 以 外 の 伝 本 で は 「 候 へ き 」 と 「 蹤 」 と の 間 に 「 今 度 は み な お や ハ 親 子 ハ 子 に て こ そ 候 へ 」 ( 本 文 引 用 は 河 に よ る 。 伝 本 間 の 小 異 は 無 視 。 以 下 同 ) と の 一 文 が 入 る 。 い ず れ の 形 で も 問 題 は な い が 、 鎌 倉 本 ・ 京 図 本 系 統 に も 同 趣 文 が 見 え て い る 。 ② 汝 か 家 ニ 於 て ハ 不 吉 の 宰 史 な に ゝ か ハ せ ん と そ 申 け る ( 影 ─ 2 ) ( ― 8 ) 561 329 宝 ・ 東 以 外 の 伝 本 で は 「 宰 史 」 ( 「 さ い し よ 」 「 れ い 」 と す る 伝 本 あ り ) と 「 な に ゝ か ハ せ ん 」 と の 間 に 「 な り と て 御 許 容 な か り し か ハ 判 官 陸 奥 の 外 ハ 給 て も 」 と の 文 が 入 る 。 陸 奥 守 を 望 む が 「 汝 か 家 ニ 於 て ハ 不 吉 」 と 許 さ れ な か っ た 為 義 が 「 陸 奥 の 外 ハ 」 不 要 と し て 他 国 を 望 ま な か っ た 旨 の 記 述 で あ る 。 他 本 の 形 が 本 来 で 、 宝 ・ 東 は 欠 脱 を 生 じ て い よ う 。 ③ 判 官 殿 君 の 御 歒 と 成 ら せ た ま ひ て 候 間 頭 殿 の 御 承 に て 政 清 か 太 刀 取 ニ て 被 打 さ せ た ま ひ 候 ぬ ( 影 ─ 2 ) ( ― 601 354 5 ) 宝 ・ 東 以 外 の 伝 本 で は 「 太 刀 取 ニ て 」 と 「 被 打 さ せ た ま ひ 候 ぬ 」 と の 間 に 「 昨 日 の あ か つ き 七 条 の 西 の 朱 雀 に て 」 と の 句 が 入 る 。 い ず れ の 形 で も 行 文 上 の 問 題 は な い 。 ④ 手 を 合 せ 父 ハ い つ く ニ わ た ら せ た ま ふ そ 只 今 参 そ や 待 せ た ま や と て こ ゑ

ニ 念 仏 た か ら か に と な へ け れ は ( 影 ─ 1 ) ( ― 7 ) 611 359 宝 ・ 東 ・ 陽 明 本 系 列 ( 資 を 除 く ) 以 外 の 伝 本 で は 「 手 を 合 せ 」 と 「 父 ハ 」 と の 間 に 「 ね ん ふ つ を 申 せ よ と を し へ け れ は 三 人 の お さ な ひ も の と も 又 め を ふ さ き に し に む か ひ 手 を あ ハ せ 」 と の 文 が 入 る ( 玄 は 一 部 を 欠 く ) 。 乙 若 が 三 人 の 弟 た ち に 念 仏 を 勧 め 、 弟 た ち が そ れ に 従 う 場 面 で あ り 、 他 本 の 形 が 本 来 で 、 宝 ・ 東 並 び に 資 を 除 く 陽 明 本 系 列 の 形 は 「 手 を 合 せ 」 「 手 を あ ハ せ 」 の 目 移 り に よ り 欠 脱 を 生 じ た も の と 推 測 さ れ る ( 「 手 を 合 せ 」 を 、 東 は 「 手 を あ わ す れ は 」 、 陽 明 本 系 列 の 大 は 「 て を あ ハ せ よ と い へ ハ 」 と す る 。 ま た 、 陽 明 本 系 列 の 国 は 独 自 の 本 文 を 持 ( 5 ) つ が 、 こ の 点 に つ い て は 二 十 九 頁 で 述 べ る ) 。 宝 徳 本 系 列 中 、 宝 ・ 東 に 共 通 す る 現 象 の い く つ か を 掲 げ た 。 こ れ ら の 事 実 よ り 、 宝 ・ 東 二 本 が よ り 近 い 関 係 に あ る こ と が 知 ら れ る 。 以 下 、 宝 ・ 東 各 本 の 性 格 に つ い て 述 べ る 。 ま ず 東 に つ い て は 、 大 曽 根 章 介 氏 ・ 栃 木 孝 惟 氏 に よ る 先 行 研 究 が あ る 。 栃 ( 6 ) 木 氏 は 、 該 本 が 「 安 定 化 す る 以 前 の 四 類 本 ( 宝 徳 本 系 統 ― 稿 者 注 ) の 原 態 的 態 様 を 宝 徳 本 と と も に う つ し だ す か と み ら れ る 」 こ と を 確 認 し た 上 で 、 「 い く ほ ど か の 脱 文 、 誤 り を 抱 え た 本 文 で あ る 」 一 方 、 部 分 的 に は 、 宝 の 先 行 形 態 を 伝 え る 部 位 を 持 つ こ と を 指 摘 、 「 東 大 本 『 保 元 記 』 の 持 つ 問 題 性 、 あ る い は 、 宝 徳 本 、 東 大 本 、 金 刀 比 羅 本 の 関 係 を め ぐ る 問 題 、 ひ い て は 四 類 本 の 代 表 本 文 を 決 定 す る 課 題 は 、 な お 多 く の 問 題 を 残 し て い る 」 と そ の 位 置 づ け の 難 し さ を 述 べ ら れ る 。 大 曽 根 氏 は 、 該 本 が 、 旧 大 系 本 ( 金 を 底 本 と す る ) と 比 較 し て 「 脱 文 の 多 い こ と 」 「 独 自 の 異 文 が 少 な く な い 」 こ と を 指 摘 さ れ る が 、 そ の 認 識 は 概 ね 正 し い 。 稿 者 の 計 数 に よ れ ば 、 東 に は 、 二 十 音 節 以 上 ( 小 稿 に い う 音 節 は 音 韻 論 的 音 節 〈 モ ー ラ 〉 の 意 で あ る 。 伝 本 間 で 字 句 に 異 同 の あ る 場 合 、 い ず れ の 伝 本 に 依 る か 、 ま た 漢 字 の 読 み 方 に よ っ て も い く ほ ど か の 誤 差 が 生 じ る 。 こ の 場 合 、 各 々 の 箇 所 で 底 本 と し た 伝 本 に 依 る 。 従 っ て 、 得 ら れ る 数 値 は 一 つ の 目 安 に 過 ぎ な い ) の 固 有 欠 脱 ( も し く は 省 略 ) が 二 十 三 箇 所 数 え ら れ る 。 こ れ ら の 多 く は 大 曽 根 氏 の 掲 出 項 と 一 致 し て い る こ と で も あ り 、 紙 幅 の 都 合 も あ っ て 具 体 的 な 掲 出 を 控 え る 。 た だ 、 そ の 中 、 元 性 服 喪 に 関 す る 記 述 に 、 旧 「 大 系 本 で 約 百 九 十 字 に 及 」 ぶ 大 規 模 な 欠 落 が 見 ら れ る こ と に は 留 意 し て お く べ き だ ろ う 。

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ー プ の 方 に い く ぶ ん 多 い 。 宝 ・ 河 二 グ ル ー プ の 関 係 を 確 認 し た 上 で 、 個 々 の 伝 本 の 検 討 に 移 る 。 宝 グ ル ー プ か ら 見 て ゆ き た い 。 該 グ ル ー プ に 属 す る 四 伝 本 で は 、 宝 と 東 、 彰 と 中 が 各 々 近 い 関 係 に あ る 。 ま ず は 、 宝 ・ 東 に 近 似 が 見 ら れ る 事 例 を 示 す 。 ① 御 辺 院 へ 参 ら れ 候 ハ ん 事 何 の く る し ミ か 候 へ き 蹤 子 息 縦 カ を 進 れ 候 と も あ ひ く し て 参 ら れ て こ そ 交 替 あ る へ き に ( 影 ─ 2 ) ( ― ) 390 243 12 本 文 引 用 は 宝 に 依 る 。 以 下 同 。 宝 ・ 東 以 外 の 伝 本 で は 「 候 へ き 」 と 「 蹤 」 と の 間 に 「 今 度 は み な お や ハ 親 子 ハ 子 に て こ そ 候 へ 」 ( 本 文 引 用 は 河 に よ る 。 伝 本 間 の 小 異 は 無 視 。 以 下 同 ) と の 一 文 が 入 る 。 い ず れ の 形 で も 問 題 は な い が 、 鎌 倉 本 ・ 京 図 本 系 統 に も 同 趣 文 が 見 え て い る 。 ② 汝 か 家 ニ 於 て ハ 不 吉 の 宰 史 な に ゝ か ハ せ ん と そ 申 け る ( 影 ─ 2 ) ( ― 8 ) 561 329 宝 ・ 東 以 外 の 伝 本 で は 「 宰 史 」 ( 「 さ い し よ 」 「 れ い 」 と す る 伝 本 あ り ) と 「 な に ゝ か ハ せ ん 」 と の 間 に 「 な り と て 御 許 容 な か り し か ハ 判 官 陸 奥 の 外 ハ 給 て も 」 と の 文 が 入 る 。 陸 奥 守 を 望 む が 「 汝 か 家 ニ 於 て ハ 不 吉 」 と 許 さ れ な か っ た 為 義 が 「 陸 奥 の 外 ハ 」 不 要 と し て 他 国 を 望 ま な か っ た 旨 の 記 述 で あ る 。 他 本 の 形 が 本 来 で 、 宝 ・ 東 は 欠 脱 を 生 じ て い よ う 。 ③ 判 官 殿 君 の 御 歒 と 成 ら せ た ま ひ て 候 間 頭 殿 の 御 承 に て 政 清 か 太 刀 取 ニ て 被 打 さ せ た ま ひ 候 ぬ ( 影 ─ 2 ) ( ― 601 354 5 ) 宝 ・ 東 以 外 の 伝 本 で は 「 太 刀 取 ニ て 」 と 「 被 打 さ せ た ま ひ 候 ぬ 」 と の 間 に 「 昨 日 の あ か つ き 七 条 の 西 の 朱 雀 に て 」 と の 句 が 入 る 。 い ず れ の 形 で も 行 文 上 の 問 題 は な い 。 ④ 手 を 合 せ 父 ハ い つ く ニ わ た ら せ た ま ふ そ 只 今 参 そ や 待 せ た ま や と て こ ゑ

ニ 念 仏 た か ら か に と な へ け れ は ( 影 ─ 1 ) ( ― 7 ) 611 359 宝 ・ 東 ・ 陽 明 本 系 列 ( 資 を 除 く ) 以 外 の 伝 本 で は 「 手 を 合 せ 」 と 「 父 ハ 」 と の 間 に 「 ね ん ふ つ を 申 せ よ と を し へ け れ は 三 人 の お さ な ひ も の と も 又 め を ふ さ き に し に む か ひ 手 を あ ハ せ 」 と の 文 が 入 る ( 玄 は 一 部 を 欠 く ) 。 乙 若 が 三 人 の 弟 た ち に 念 仏 を 勧 め 、 弟 た ち が そ れ に 従 う 場 面 で あ り 、 他 本 の 形 が 本 来 で 、 宝 ・ 東 並 び に 資 を 除 く 陽 明 本 系 列 の 形 は 「 手 を 合 せ 」 「 手 を あ ハ せ 」 の 目 移 り に よ り 欠 脱 を 生 じ た も の と 推 測 さ れ る ( 「 手 を 合 せ 」 を 、 東 は 「 手 を あ わ す れ は 」 、 陽 明 本 系 列 の 大 は 「 て を あ ハ せ よ と い へ ハ 」 と す る 。 ま た 、 陽 明 本 系 列 の 国 は 独 自 の 本 文 を 持 ( 5 ) つ が 、 こ の 点 に つ い て は 二 十 九 頁 で 述 べ る ) 。 宝 徳 本 系 列 中 、 宝 ・ 東 に 共 通 す る 現 象 の い く つ か を 掲 げ た 。 こ れ ら の 事 実 よ り 、 宝 ・ 東 二 本 が よ り 近 い 関 係 に あ る こ と が 知 ら れ る 。 以 下 、 宝 ・ 東 各 本 の 性 格 に つ い て 述 べ る 。 ま ず 東 に つ い て は 、 大 曽 根 章 介 氏 ・ 栃 木 孝 惟 氏 に よ る 先 行 研 究 が あ る 。 栃 ( 6 ) 木 氏 は 、 該 本 が 「 安 定 化 す る 以 前 の 四 類 本 ( 宝 徳 本 系 統 ― 稿 者 注 ) の 原 態 的 態 様 を 宝 徳 本 と と も に う つ し だ す か と み ら れ る 」 こ と を 確 認 し た 上 で 、 「 い く ほ ど か の 脱 文 、 誤 り を 抱 え た 本 文 で あ る 」 一 方 、 部 分 的 に は 、 宝 の 先 行 形 態 を 伝 え る 部 位 を 持 つ こ と を 指 摘 、 「 東 大 本 『 保 元 記 』 の 持 つ 問 題 性 、 あ る い は 、 宝 徳 本 、 東 大 本 、 金 刀 比 羅 本 の 関 係 を め ぐ る 問 題 、 ひ い て は 四 類 本 の 代 表 本 文 を 決 定 す る 課 題 は 、 な お 多 く の 問 題 を 残 し て い る 」 と そ の 位 置 づ け の 難 し さ を 述 べ ら れ る 。 大 曽 根 氏 は 、 該 本 が 、 旧 大 系 本 ( 金 を 底 本 と す る ) と 比 較 し て 「 脱 文 の 多 い こ と 」 「 独 自 の 異 文 が 少 な く な い 」 こ と を 指 摘 さ れ る が 、 そ の 認 識 は 概 ね 正 し い 。 稿 者 の 計 数 に よ れ ば 、 東 に は 、 二 十 音 節 以 上 ( 小 稿 に い う 音 節 は 音 韻 論 的 音 節 〈 モ ー ラ 〉 の 意 で あ る 。 伝 本 間 で 字 句 に 異 同 の あ る 場 合 、 い ず れ の 伝 本 に 依 る か 、 ま た 漢 字 の 読 み 方 に よ っ て も い く ほ ど か の 誤 差 が 生 じ る 。 こ の 場 合 、 各 々 の 箇 所 で 底 本 と し た 伝 本 に 依 る 。 従 っ て 、 得 ら れ る 数 値 は 一 つ の 目 安 に 過 ぎ な い ) の 固 有 欠 脱 ( も し く は 省 略 ) が 二 十 三 箇 所 数 え ら れ る 。 こ れ ら の 多 く は 大 曽 根 氏 の 掲 出 項 と 一 致 し て い る こ と で も あ り 、 紙 幅 の 都 合 も あ っ て 具 体 的 な 掲 出 を 控 え る 。 た だ 、 そ の 中 、 元 性 服 喪 に 関 す る 記 述 に 、 旧 「 大 系 本 で 約 百 九 十 字 に 及 」 ぶ 大 規 模 な 欠 落 が 見 ら れ る こ と に は 留 意 し て お く べ き だ ろ う 。

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ま た 、 大 曽 根 氏 は 、 旧 大 系 本 と の 比 較 か ら 、 東 「 独 自 の 異 文 」 「 主 要 な も の 」 十 七 箇 所 を 掲 げ ら れ る 。 こ の 中 の 十 一 箇 所 に つ い て は 東 以 外 の 伝 本 に も 同 趣 文 が 見 え て い る の で 、 厳 密 に は 左 の 六 箇 所 が 該 当 す る 。 ① 門 々 を 分 て か た め ら る 此 由 を ミ て 京 童 部 と も 申 け る ハ を ろ か な る 平 城 の 御 か ま へ か な と あ さ む き 申 さ ぬ ハ な か り け り ( 影 ─ 9 ) ( ― 7 ) 58 249 ② た る 矢 を は つ す 義 朝 の 運 の ほ と こ そ つ よ か り け れ ( 影 ─ 1 ) ( ― ) 128 290 10 ③ つ か ハ し け り 是 う ん の き わ め な り と ハ 後 こ そ お も ひ し ら れ け れ ( 影 ─ 7 ) ( ― ) 199 332 13 ④ 諸 卿 一 同 に 尤 然 へ き 由 申 さ れ け れ は 公 家 を 初 ま い ら せ て ミ な 此 儀 に そ 定 り け る ( こ の 間 、 中 下 の 巻 区 分 あ り ) か ゝ り け る 処 に 少 納 言 入 道 信 西 ( 影 ─ 5 ) ( ― 1 ) 206 337 ⑤ 重 祚 と ハ 二 度 位 に つ き 給 事 也 ( 影 ─ 7 ) ( ― ) 273 374 17 ⑥ 丗 八 の 御 歳 わ か ふ か き つ み に お こ な ハ れ ( 影 ─ 6 )( 313 400 ― ) 17 各 項 、 傍 線 部 が 東 の 固 有 本 文 だ が 、 こ う し た 類 は 他 に も 多 く 見 い だ し 得 る 。 顕 著 な も の を 追 加 す る な ら 、 ⑦ 都 合 五 十 余 騎 に ハ 過 さ り き ゆ ゝ し き 上 洛 と そ 聞 え し さ る 程 に 鳥 羽 殿 に ハ ( 影 ─ 6 ) ( ― 7 ) 72 258 ⑧ 月 卿 雲 客 一 人 も 候 は さ れ は さ ひ し き に ( 影 ─ 4 ) ( 299 392 ― 4 ) ( 傍 線 部 、 他 本 は 「 候 ハ れ す 」 「 こ う せ す 」 「 な く 」 な ど ) 等 が 加 え ら れ る 。 ① ② ③ ⑦ は 、 作 者 ( 現 今 で は 語 り 手 と い う の だ ろ う か ) も し く は 世 人 に 託 し て の 評 言 で あ り 、 ④ ⑤ ⑥ ⑧ は 説 明 も し く は 補 足 で あ る 。 こ れ ら に 共 通 す る 点 は 、 い ず れ も 行 文 上 必 要 不 可 欠 で は な い と い う こ と で あ る 。 そ の 意 味 で は 後 補 の 可 能 性 が 高 い か も し れ な い 。 単 語 レ ベ ル に お い て も 東 に は 説 明 的 な も の が 多 い 。 次 の よ う な 事 例 が 見 い だ さ れ る 。 ① 彦 波 涂 武 鸕 鵲 草 葺 不 合 尊 ( 影 ─ 6 ) ( ― ) 47 240 10 ② 斎 院 の 御 所 白 河 殿 ( 影 ─ 9 ) ( ― 1 ) 54 246 ③ 興 福 寺 の 牒 使 信 実 ( 影 ─ 3 ) ( ― ) 68 255 10 ④ 多 田 の 満 中 ( 影 ― 4 ) ( ― 7 ) 164 311 ⑤ 禅 定 院 の 僧 都 信 範 ( 正 し く は 尋 範 。 ま た 、 他 本 は 傍 線 部 「 法 印 」 ) ( 影 ─ 1 ) ( ― 2 ) 168 315 各 項 に お い て 傍 線 部 が 東 に 固 有 で あ る 。 ② ③ ⑤ に つ い て は 他 部 に 同 記 述 が 見 え て お り ( ② は 〈 影 ― 4 〉 、 ③ は 〈 影 ― 49 168 2 〉 、 ⑤ は 〈 影 ― 1 〉 ) 、 そ れ ら と の 統 一 を 図 っ た と 考 え ら れ 168 る 。 こ れ ら は 、 正 式 名 称 あ る い は 説 明 語 の 類 で あ る 。 こ の 他 、 東 に は 年 号 に 干 支 を 付 す 場 合 が あ る 。 大 曽 根 氏 は こ の 現 象 を 、 東 が 「 年 代 記 的 性 格 を 残 」 し た た め と 見 ら れ る が 、 そ う で は な く 、 上 掲 例 と 同 じ く 説 明 的 後 補 と 理 解 す べ き だ ろ う 。 掲 出 事 例 以 外 に も 東 に は 全 体 に 亘 っ て 独 自 表 現 が 相 当 数 見 ら れ 、 か つ 小 規 模 な 誤 り や 欠 脱 も 少 な く な い 。 こ う し た 事 実 を 総 合 す る な ら 、 部 分 的 に は と も か く も 、 総 体 と し て は 、 宝 徳 本 系 列 中 で は 、 欠 脱 ( も し く は 省 略 ) が 格 段 に 多 い 一 方 、 固 有 本 文 も 見 い だ さ れ る こ と よ り し て 、 改 変 性 の 濃 い か な り 個 性 的 な 伝 本 と 認 識 す べ き か と 思 う 。 次 に 宝 に つ い て 述 べ る と 、 該 本 に は 二 十 音 節 以 上 の 固 有 欠 脱 ( も し く は 省 略 ) は 見 い だ さ れ な い 。 も っ と も 、 前 掲 の 如 く 東 と 共 通 す る 比 較 的 規 模 の 大 き い 欠 脱 が あ り 、 か つ 微 細 な 誤 写 ・ 誤 字 の 類 は 少 な く な い 。 し か し 、 固 有 の 長 脱 部 位 が な く 、 固 有 本 文 も ご く 僅 か で あ る こ と を 考 え れ ば 、 限 界 は あ る に せ よ 、 他 本 に 比 し た 場 合 、 全 体 的 に よ り 純 良 な 姿 を 伝 え る 度 合 い が 高 い か と 思 わ れ る 。 次 に 、 中 ・ 彰 に つ い て 述 べ る 。 当 該 二 本 に 「 多 く の 共 通 点 が あ る 」 こ と は 、 既 に 大 島 龍 彦 氏 の 指 摘 さ れ る と こ ろ で あ る 。 ( 7 ) 彰 は 宝 徳 本 系 統 本 文 に 為 朝 説 話 を 追 補 し た 、 永 積 分 類 に 言 う 京 師 本 系 統 の 伝 本 だ が 、 宝 徳 本 系 統 本 文 部 に つ い て は 、 中 と の 間 に 符 合 ・ 一 致 が 多 数 見 い だ さ れ 、 そ の 緊 密 度 は 、 宝 ・ 東 間 に 見 ら れ る そ れ よ り も 遙 か に 高 い 。 些 細 で は あ る が 、 両 者 間 に お け る 符 合 ・ 近 似 の 事 例 を い く ほ ど か 掲 げ る 。 本 文 引 用 は 彰 に よ る 。 な お 、 他 本 に つ い て は 宝 の 本 文 を も っ て 示 す が 、 異 同 が 大 き い 場 合 は そ の い く つ か を 併 記 す る 。 ① 寒 暑 境 を あ や ま た す ( 影 ─ 1 ) ( ― 8 ) か ん う ん を り 394 213 「 寒 暑 」 を 、 中 は 「 か ん う む 」 と 平 仮 名 表 記 す る が 、 か んう ん ン

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ま た 、 大 曽 根 氏 は 、 旧 大 系 本 と の 比 較 か ら 、 東 「 独 自 の 異 文 」 「 主 要 な も の 」 十 七 箇 所 を 掲 げ ら れ る 。 こ の 中 の 十 一 箇 所 に つ い て は 東 以 外 の 伝 本 に も 同 趣 文 が 見 え て い る の で 、 厳 密 に は 左 の 六 箇 所 が 該 当 す る 。 ① 門 々 を 分 て か た め ら る 此 由 を ミ て 京 童 部 と も 申 け る ハ を ろ か な る 平 城 の 御 か ま へ か な と あ さ む き 申 さ ぬ ハ な か り け り ( 影 ─ 9 ) ( ― 7 ) 58 249 ② た る 矢 を は つ す 義 朝 の 運 の ほ と こ そ つ よ か り け れ ( 影 ─ 1 ) ( ― ) 128 290 10 ③ つ か ハ し け り 是 う ん の き わ め な り と ハ 後 こ そ お も ひ し ら れ け れ ( 影 ─ 7 ) ( ― ) 199 332 13 ④ 諸 卿 一 同 に 尤 然 へ き 由 申 さ れ け れ は 公 家 を 初 ま い ら せ て ミ な 此 儀 に そ 定 り け る ( こ の 間 、 中 下 の 巻 区 分 あ り ) か ゝ り け る 処 に 少 納 言 入 道 信 西 ( 影 ─ 5 ) ( ― 1 ) 206 337 ⑤ 重 祚 と ハ 二 度 位 に つ き 給 事 也 ( 影 ─ 7 ) ( ― ) 273 374 17 ⑥ 丗 八 の 御 歳 わ か ふ か き つ み に お こ な ハ れ ( 影 ─ 6 )( 313 400 ― ) 17 各 項 、 傍 線 部 が 東 の 固 有 本 文 だ が 、 こ う し た 類 は 他 に も 多 く 見 い だ し 得 る 。 顕 著 な も の を 追 加 す る な ら 、 ⑦ 都 合 五 十 余 騎 に ハ 過 さ り き ゆ ゝ し き 上 洛 と そ 聞 え し さ る 程 に 鳥 羽 殿 に ハ ( 影 ─ 6 ) ( ― 7 ) 72 258 ⑧ 月 卿 雲 客 一 人 も 候 は さ れ は さ ひ し き に ( 影 ─ 4 ) ( 299 392 ― 4 ) ( 傍 線 部 、 他 本 は 「 候 ハ れ す 」 「 こ う せ す 」 「 な く 」 な ど ) 等 が 加 え ら れ る 。 ① ② ③ ⑦ は 、 作 者 ( 現 今 で は 語 り 手 と い う の だ ろ う か ) も し く は 世 人 に 託 し て の 評 言 で あ り 、 ④ ⑤ ⑥ ⑧ は 説 明 も し く は 補 足 で あ る 。 こ れ ら に 共 通 す る 点 は 、 い ず れ も 行 文 上 必 要 不 可 欠 で は な い と い う こ と で あ る 。 そ の 意 味 で は 後 補 の 可 能 性 が 高 い か も し れ な い 。 単 語 レ ベ ル に お い て も 東 に は 説 明 的 な も の が 多 い 。 次 の よ う な 事 例 が 見 い だ さ れ る 。 ① 彦 波 涂 武 鸕 鵲 草 葺 不 合 尊 ( 影 ─ 6 ) ( ― ) 47 240 10 ② 斎 院 の 御 所 白 河 殿 ( 影 ─ 9 ) ( ― 1 ) 54 246 ③ 興 福 寺 の 牒 使 信 実 ( 影 ─ 3 ) ( ― ) 68 255 10 ④ 多 田 の 満 中 ( 影 ― 4 ) ( ― 7 ) 164 311 ⑤ 禅 定 院 の 僧 都 信 範 ( 正 し く は 尋 範 。 ま た 、 他 本 は 傍 線 部 「 法 印 」 ) ( 影 ─ 1 ) ( ― 2 ) 168 315 各 項 に お い て 傍 線 部 が 東 に 固 有 で あ る 。 ② ③ ⑤ に つ い て は 他 部 に 同 記 述 が 見 え て お り ( ② は 〈 影 ― 4 〉 、 ③ は 〈 影 ― 49 168 2 〉 、 ⑤ は 〈 影 ― 1 〉 ) 、 そ れ ら と の 統 一 を 図 っ た と 考 え ら れ 168 る 。 こ れ ら は 、 正 式 名 称 あ る い は 説 明 語 の 類 で あ る 。 こ の 他 、 東 に は 年 号 に 干 支 を 付 す 場 合 が あ る 。 大 曽 根 氏 は こ の 現 象 を 、 東 が 「 年 代 記 的 性 格 を 残 」 し た た め と 見 ら れ る が 、 そ う で は な く 、 上 掲 例 と 同 じ く 説 明 的 後 補 と 理 解 す べ き だ ろ う 。 掲 出 事 例 以 外 に も 東 に は 全 体 に 亘 っ て 独 自 表 現 が 相 当 数 見 ら れ 、 か つ 小 規 模 な 誤 り や 欠 脱 も 少 な く な い 。 こ う し た 事 実 を 総 合 す る な ら 、 部 分 的 に は と も か く も 、 総 体 と し て は 、 宝 徳 本 系 列 中 で は 、 欠 脱 ( も し く は 省 略 ) が 格 段 に 多 い 一 方 、 固 有 本 文 も 見 い だ さ れ る こ と よ り し て 、 改 変 性 の 濃 い か な り 個 性 的 な 伝 本 と 認 識 す べ き か と 思 う 。 次 に 宝 に つ い て 述 べ る と 、 該 本 に は 二 十 音 節 以 上 の 固 有 欠 脱 ( も し く は 省 略 ) は 見 い だ さ れ な い 。 も っ と も 、 前 掲 の 如 く 東 と 共 通 す る 比 較 的 規 模 の 大 き い 欠 脱 が あ り 、 か つ 微 細 な 誤 写 ・ 誤 字 の 類 は 少 な く な い 。 し か し 、 固 有 の 長 脱 部 位 が な く 、 固 有 本 文 も ご く 僅 か で あ る こ と を 考 え れ ば 、 限 界 は あ る に せ よ 、 他 本 に 比 し た 場 合 、 全 体 的 に よ り 純 良 な 姿 を 伝 え る 度 合 い が 高 い か と 思 わ れ る 。 次 に 、 中 ・ 彰 に つ い て 述 べ る 。 当 該 二 本 に 「 多 く の 共 通 点 が あ る 」 こ と は 、 既 に 大 島 龍 彦 氏 の 指 摘 さ れ る と こ ろ で あ る 。 ( 7 ) 彰 は 宝 徳 本 系 統 本 文 に 為 朝 説 話 を 追 補 し た 、 永 積 分 類 に 言 う 京 師 本 系 統 の 伝 本 だ が 、 宝 徳 本 系 統 本 文 部 に つ い て は 、 中 と の 間 に 符 合 ・ 一 致 が 多 数 見 い だ さ れ 、 そ の 緊 密 度 は 、 宝 ・ 東 間 に 見 ら れ る そ れ よ り も 遙 か に 高 い 。 些 細 で は あ る が 、 両 者 間 に お け る 符 合 ・ 近 似 の 事 例 を い く ほ ど か 掲 げ る 。 本 文 引 用 は 彰 に よ る 。 な お 、 他 本 に つ い て は 宝 の 本 文 を も っ て 示 す が 、 異 同 が 大 き い 場 合 は そ の い く つ か を 併 記 す る 。 ① 寒 暑 境 を あ や ま た す ( 影 ─ 1 ) ( ― 8 ) か ん う ん を り 394 213 「 寒 暑 」 を 、 中 は 「 か ん う む 」 と 平 仮 名 表 記 す る が 、 か んう ん ン

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こ れ は 彰 の 誤 っ た 振 り 仮 名 と 一 致 す る 。 ② 左 馬 寮 の 使 ( 影 ─ 7 ) ( ― 2 ) さ ま の す け つ か い 396 215 「 左 馬 寮 」 を 、 中 は 「 左 馬 助 」 と し 、 振 り 仮 名 の 方 と 一 さ ま の す け 致 す る 。 ③ 御 う ら み つ く し て ( 影 ─ 5 ) ( ― ) 402 218 10 傍 線 部 は 、 他 本 の 如 く 「 深 く ( ふ か く ) 」 と あ る べ き と こ ろ 。 中 ・ 彰 共 に 同 じ 誤 り を 生 じ て い る 。 ④ ふ け ゆ く ま ゝ に あ つ ま れ ハ ( 影 ─ 1 ) ( ― 2 ) 403 219 傍 線 部 、 他 本 は 「 し つ ま れ は 」 「 し つ か な れ は 」 な ど と 妥 当 。 中 ・ 彰 の 記 す 「 あ つ ま れ ハ 」 は 誤 り 。 ⑤ か ふ と ま い ら せ よ と て さ ふ ら ひ を め し て 馬 の あ し 立 な を し ( 影 ─ ) ( ― 6 ) 430 11 235 傍 線 部 、 他 本 は 「 緒 を し め 」 と す る 。 中 ・ 彰 の 形 は 「 緒 」 を 「 侍 」 と 誤 読 し た こ と か ら 生 じ た か 。 ⑥ て い た こ の ミ ( 「 こ の ミ 」 ミ セ ケ チ ) の 言 は か な ( 影 き や つ ─ 8 ) ( ― 4 ) 513 286 傍 線 部 は 、 彰 が ミ セ ケ チ 訂 正 す る 如 く 「 て い た き や つ 」 と あ る べ き 。 中 は 「 て い た こ の ミ 」 と し 、 彰 の 本 行 本 文 の 誤 り と 一 致 す る 。 ⑦ た す け す て 給 へ ( 影 ─ 9 ) ( ― ) ミ セ ケ チ 528 294 17 「 助 は て 給 へ 」 ( 東 ) ( 影 ― 3 ) の 「 は 」 を 「 す 」 と 誤 136 っ た も の だ ろ う 。 彰 は 「 す て 」 を ミ セ ケ チ と し 衍 字 と み な す が 、 中 は 「 た す け す て 給 へ 」 と 誤 っ た 形 を 残 す 。 ⑧ こ う や く よ り こ の か た ( 影 ─ 7 ) ( ― 2 ) 609 339 傍 線 部 、 「 劫 初 」 が 正 し い が 、 中 ・ 彰 共 に 同 じ 誤 り を 生 じ て い る 。 ⑨ わ が ご せ を も ね か ハ は や と 千 な ミ お も ひ け れ 共 ( 影 635 ─ ) ( ― 6 ) 10 358 傍 線 部 、 中 も 「 ち な ミ 」 と す る が 、 他 本 の 如 く「 千 度 」 「 ち た ひ 」 と あ る べ き と こ ろ 。 中 ・ 彰 共 に 同 じ 誤 り を 生 じ て い る 。 ⑩ と か う う け 申 て ( 影 ─ ) ( ― ) 657 11 371 14 傍 線 部 、 他 本 は 「 辞 」 「 い な ミ 」 も し く は 相 当 部 を 持 た な い 。 中 は 「 請 」 と す る 。 彰 の 「 う け 」 は 「 請 ( こ ひ ) 」 を 「 う け 」 と 誤 記 し た も の だ ろ う 。 こ の よ う に 、 中 ・ 彰 両 本 間 に は 偶 然 の 一 致 と は 思 わ れ な い 共 通 の 誤 り が 少 な か ら ず 見 い だ さ れ 、 さ ら に 、 両 本 に の み 共 通 す る 欠 脱 ( も し く は 省 略 ) も い く つ か 存 在 す る 。 顕 著 な も の は 次 の 如 き で あ る 。 ① 是 等 を 始 と し て 一 人 当 千 の 兵 十 七 騎 都 合 五 十 余 騎 に ハ 過 さ り け り ( 影 ─ 5 ) ( ― 6 ) 418 258 ② 汝 ハ 内 裏 へ 参 れ 我 ハ 院 へ 参 覧 主 上 軍 ニ 勝 給 は 汝 を た の ミ て 我 ハ 参 ら ん 院 軍 ニ 勝 せ 給 ハ ヽ 我 を た の ミ て 汝 ハ 参 れ ( 影 ─ 3 ) ( ― 5 ) 476 290 ③ 左 衛 門 大 夫 家 弘 子 息 左 衛 門 尉 盛 弘 右 衛 門 尉 衛 門 光 弘 ミ セ ケ チ 文 章 生 安 弘 ( 影 ─ 9 ) ( ― 9 ) 576 337 本 文 引 用 は 宝 に 依 る 。 ① ② ③ の 各 々 に お い て 、 中 ・ 彰 と も に 傍 線 部 を 欠 く 。 ③ は 不 注 意 に 因 る 欠 脱 と 思 わ れ る が 、 ① ② の 場 合 は 省 筆 も 考 え ら れ る 。 以 上 よ り 、 中 ・ 彰 両 本 は 極 め て 親 し い 関 係 に あ る こ と が 知 ら れ る 。 た だ 、 い ず れ か 一 方 が 他 本 に 比 し て 絶 対 的 に 優 位 な 位 置 に あ る と い う 事 実 は 認 め ら れ ず 、 両 者 を 親 子 関 係 も し く は そ れ に 準 じ る 直 接 的 な 書 承 関 係 で 捉 え る こ と は で き な い 。 中 は 彰 ( 京 師 本 系 統 ) の 親 本 と な っ た で あ ろ う 宝 徳 本 系 統 の 一 本 と さ ほ ど 溯 ら な い 時 点 で 共 通 の 祖 本 に た ど り 着 く 関 係 に あ ろ う と 推 測 さ れ る 。 当 該 二 本 の 本 文 面 で の 優 劣 に つ い て は 明 確 な 判 定 が 困 難 だ が 、 二 十 音 節 以 上 の 欠 脱 ( も し く は 省 略 ) 数 を 計 数 す る と 、 彰 が 三 箇 所 、 中 が 一 箇 所 と な る 。 彰 に つ い て は 次 の 如 く で あ る 。 ① 将 門 純 友 ニ も 貞 任 宗 任 に も 勝 た り 上 代 に も た め し な く ( 影 ― 1 ) ( ― ) 407 252 15 ② 院 の 御 事 を ハ た れ か ハ 見 と ゝ け 進 せ へ き と お も ひ け れ ハ よ ろ ほ ひ

つ か ま つ る 院 も 合 戦 の ま き れ な れ ハ 供 御 も ま い ら す し て ( 影 ─ 2 ) ( ― ) 537 316 11 ③ 我 も 参 覧 人 も 参 覧 と 申 し か は 様 々 ニ す か し お か せ た ま ひ て け さ 我 等 か ね た り つ る 間 ニ ( 影 ─ 9 ) ( ― ) 613 360 13 本 文 引 用 は 宝 に よ る 。 上 掲 の 各 項 に つ い て 彰 に は 傍 線 部 が

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こ れ は 彰 の 誤 っ た 振 り 仮 名 と 一 致 す る 。 ② 左 馬 寮 の 使 ( 影 ─ 7 ) ( ― 2 ) さ ま の す け つ か い 396 215 「 左 馬 寮 」 を 、 中 は 「 左 馬 助 」 と し 、 振 り 仮 名 の 方 と 一 さ ま の す け 致 す る 。 ③ 御 う ら み つ く し て ( 影 ─ 5 ) ( ― ) 402 218 10 傍 線 部 は 、 他 本 の 如 く 「 深 く ( ふ か く ) 」 と あ る べ き と こ ろ 。 中 ・ 彰 共 に 同 じ 誤 り を 生 じ て い る 。 ④ ふ け ゆ く ま ゝ に あ つ ま れ ハ ( 影 ─ 1 ) ( ― 2 ) 403 219 傍 線 部 、 他 本 は 「 し つ ま れ は 」 「 し つ か な れ は 」 な ど と 妥 当 。 中 ・ 彰 の 記 す 「 あ つ ま れ ハ 」 は 誤 り 。 ⑤ か ふ と ま い ら せ よ と て さ ふ ら ひ を め し て 馬 の あ し 立 な を し ( 影 ─ ) ( ― 6 ) 430 11 235 傍 線 部 、 他 本 は 「 緒 を し め 」 と す る 。 中 ・ 彰 の 形 は 「 緒 」 を 「 侍 」 と 誤 読 し た こ と か ら 生 じ た か 。 ⑥ て い た こ の ミ ( 「 こ の ミ 」 ミ セ ケ チ ) の 言 は か な ( 影 き や つ ─ 8 ) ( ― 4 ) 513 286 傍 線 部 は 、 彰 が ミ セ ケ チ 訂 正 す る 如 く 「 て い た き や つ 」 と あ る べ き 。 中 は 「 て い た こ の ミ 」 と し 、 彰 の 本 行 本 文 の 誤 り と 一 致 す る 。 ⑦ た す け す て 給 へ ( 影 ─ 9 ) ( ― ) ミ セ ケ チ 528 294 17 「 助 は て 給 へ 」 ( 東 ) ( 影 ― 3 ) の 「 は 」 を 「 す 」 と 誤 136 っ た も の だ ろ う 。 彰 は 「 す て 」 を ミ セ ケ チ と し 衍 字 と み な す が 、 中 は 「 た す け す て 給 へ 」 と 誤 っ た 形 を 残 す 。 ⑧ こ う や く よ り こ の か た ( 影 ─ 7 ) ( ― 2 ) 609 339 傍 線 部 、 「 劫 初 」 が 正 し い が 、 中 ・ 彰 共 に 同 じ 誤 り を 生 じ て い る 。 ⑨ わ が ご せ を も ね か ハ は や と 千 な ミ お も ひ け れ 共 ( 影 635 ─ ) ( ― 6 ) 10 358 傍 線 部 、 中 も 「 ち な ミ 」 と す る が 、 他 本 の 如 く「 千 度 」 「 ち た ひ 」 と あ る べ き と こ ろ 。 中 ・ 彰 共 に 同 じ 誤 り を 生 じ て い る 。 ⑩ と か う う け 申 て ( 影 ─ ) ( ― ) 657 11 371 14 傍 線 部 、 他 本 は 「 辞 」 「 い な ミ 」 も し く は 相 当 部 を 持 た な い 。 中 は 「 請 」 と す る 。 彰 の 「 う け 」 は 「 請 ( こ ひ ) 」 を 「 う け 」 と 誤 記 し た も の だ ろ う 。 こ の よ う に 、 中 ・ 彰 両 本 間 に は 偶 然 の 一 致 と は 思 わ れ な い 共 通 の 誤 り が 少 な か ら ず 見 い だ さ れ 、 さ ら に 、 両 本 に の み 共 通 す る 欠 脱 ( も し く は 省 略 ) も い く つ か 存 在 す る 。 顕 著 な も の は 次 の 如 き で あ る 。 ① 是 等 を 始 と し て 一 人 当 千 の 兵 十 七 騎 都 合 五 十 余 騎 に ハ 過 さ り け り ( 影 ─ 5 ) ( ― 6 ) 418 258 ② 汝 ハ 内 裏 へ 参 れ 我 ハ 院 へ 参 覧 主 上 軍 ニ 勝 給 は 汝 を た の ミ て 我 ハ 参 ら ん 院 軍 ニ 勝 せ 給 ハ ヽ 我 を た の ミ て 汝 ハ 参 れ ( 影 ─ 3 ) ( ― 5 ) 476 290 ③ 左 衛 門 大 夫 家 弘 子 息 左 衛 門 尉 盛 弘 右 衛 門 尉 衛 門 光 弘 ミ セ ケ チ 文 章 生 安 弘 ( 影 ─ 9 ) ( ― 9 ) 576 337 本 文 引 用 は 宝 に 依 る 。 ① ② ③ の 各 々 に お い て 、 中 ・ 彰 と も に 傍 線 部 を 欠 く 。 ③ は 不 注 意 に 因 る 欠 脱 と 思 わ れ る が 、 ① ② の 場 合 は 省 筆 も 考 え ら れ る 。 以 上 よ り 、 中 ・ 彰 両 本 は 極 め て 親 し い 関 係 に あ る こ と が 知 ら れ る 。 た だ 、 い ず れ か 一 方 が 他 本 に 比 し て 絶 対 的 に 優 位 な 位 置 に あ る と い う 事 実 は 認 め ら れ ず 、 両 者 を 親 子 関 係 も し く は そ れ に 準 じ る 直 接 的 な 書 承 関 係 で 捉 え る こ と は で き な い 。 中 は 彰 ( 京 師 本 系 統 ) の 親 本 と な っ た で あ ろ う 宝 徳 本 系 統 の 一 本 と さ ほ ど 溯 ら な い 時 点 で 共 通 の 祖 本 に た ど り 着 く 関 係 に あ ろ う と 推 測 さ れ る 。 当 該 二 本 の 本 文 面 で の 優 劣 に つ い て は 明 確 な 判 定 が 困 難 だ が 、 二 十 音 節 以 上 の 欠 脱 ( も し く は 省 略 ) 数 を 計 数 す る と 、 彰 が 三 箇 所 、 中 が 一 箇 所 と な る 。 彰 に つ い て は 次 の 如 く で あ る 。 ① 将 門 純 友 ニ も 貞 任 宗 任 に も 勝 た り 上 代 に も た め し な く ( 影 ― 1 ) ( ― ) 407 252 15 ② 院 の 御 事 を ハ た れ か ハ 見 と ゝ け 進 せ へ き と お も ひ け れ ハ よ ろ ほ ひ

つ か ま つ る 院 も 合 戦 の ま き れ な れ ハ 供 御 も ま い ら す し て ( 影 ─ 2 ) ( ― ) 537 316 11 ③ 我 も 参 覧 人 も 参 覧 と 申 し か は 様 々 ニ す か し お か せ た ま ひ て け さ 我 等 か ね た り つ る 間 ニ ( 影 ─ 9 ) ( ― ) 613 360 13 本 文 引 用 は 宝 に よ る 。 上 掲 の 各 項 に つ い て 彰 に は 傍 線 部 が

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な い 。 ① ② は 不 注 意 に 因 る 欠 脱 だ ろ う が 、 ③ は 省 筆 か も し れ な い ( ② に つ い て は 、 傍 線 部 相 当 記 述 が 恐 ら く は 別 筆 で 行 間 に 記 さ れ て い る 。 原 本 未 確 認 ) 。 一 方 、 中 の 場 合 は 加 之 推 古 天 皇 の 御 宇 上 宮 太 子 世 ニ 出 て 守 屋 か 邪 見 を 平 て ( 影 ― 6 ) ( ― 1 ) 421 260 の 傍 線 部 を 欠 く の み で あ る ( 本 文 引 用 は 宝 に よ る ) 。 こ の 限 り で い え ば 、 中 の 方 が よ り 純 良 な 本 文 を 備 え る か に 見 え る 。 し か し 、 二 十 音 節 以 上 と い う 条 件 を 外 し た 場 合 、 十 九 音 節 の 欠 脱 が 一 箇 所 見 ら れ る こ と を 始 め と し て 、 欠 脱 ( も し く は 省 略 ) 数 は む し ろ 中 の 方 に 多 い 。 誤 字 も 中 の 方 が 多 い 。 固 有 字 句 は 両 者 共 に 少 数 か つ 細 微 で あ り 、 し か も 、 そ れ ら は 筆 の 勢 い に 伴 っ て 生 じ た 類 の よ う で 、 自 覚 的 な 改 変 意 図 は 見 い だ さ れ な い 。 共 に 親 本 に 忠 実 た ろ う と す る 姿 勢 が 濃 い 伝 本 と 認 め ら れ る 。 そ の 忠 実 度 は 、 い ず れ か と い え ば 彰 の 方 が い く ぶ ん 高 い か 。 以 上 、 宝 グ ル ー プ に 属 す る 四 伝 本 の 概 略 を 確 認 し た 。 次 に 河 グ ル ー プ 四 本 の 検 討 に 移 る 。 河 ・ 学 ・ 支 ・ 前 四 伝 本 の 中 で は 、 河 ・ 学 が よ り 近 い 関 係 に あ る 。 両 本 に 見 ら れ る 比 較 的 規 模 の 大 き い 符 合 例 を い く つ か 示 す 。 本 文 引 用 は 河 に 依 る 。 ① 権 現 託 し て あ か ら せ 給 ひ ぬ ( ― 6 ) 221 傍 線 部 、 他 本 は 「 や か て 」 ( 影 ― 5 ) ( 宝 に 依 る 。 以 347 下 同 ) と す る 。 た だ し 、 東 は 傍 線 部 を 持 た ず 、 金 刀 本 系 列 は 河 ・ 学 に 同 じ 。 ② か た な を ぬ か せ す し け れ ハ ( ― 4 ) 237 傍 線 部 、 他 本 は 「 腹 を も き ら せ す り け れ ハ 」( 影 ― 9 ) さ 378 ( 伝 本 間 の 小 異 は 無 視 。 以 下 同 ) と す る 。 た だ し 、 金 刀 本 系 列 の 文 ・ 理 は 河 ・ 学 に 同 じ 。 ③ 真 に ゆ ゝ し く 候 ( ― ) 253 11 傍 線 部 、 他 本 は 「 ゆ ゝ し き 兵 に て 候 け り 」 ( 影 ― 8 ) 408 と す る 。 た だ し 、 金 刀 本 系 列 は 河 ・ 学 に 同 じ 。 ④ く ろ か ね を の へ た る た て な り と も ( ― 2 ) 265 他 本 は 「 鉄 を 延 て 楯 ニ つ く と も 」 ( 影 ― 9 ) と す る 。 431 た だ し 、 金 刀 本 系 列 は 河 ・ 学 に 同 じ 。 ⑤ 今 す こ し あ か り た ら ま し か は あ ぶ な か り し 事 ぞ か し ( 283 ― 9 ) 他 本 で は 「 ま し か は 」 と 「 あ ぶ な か り し 」 と の 間 に 「 頸 の 骨 な に か は あ ら ま し 」 ( 影 ― 5 ) と の 句 が 入 る 。 463 ⑥ 如 来 す こ ふ る ゑ ミ を ふ く ミ て の ち 入 涅 槃 の ○ す て に ち 事 か し ( ― 2 ) 319 他 本 で は 「 ふ く ミ て 」 と 「 の ち 」 と の 間 に 「 曰 吾 ハ よ な 八 十 年 の 化 縁 つ き て 」 ( 影 ― 8 ) の 文 が 入 る 。 行 文 上 541 必 要 な 句 で あ り 、 河 ・ 学 に 共 通 す る 欠 脱 で あ る ( 東 も 「 如 来 頗 ゑ ミ を 含 て 覧 事 す て に ち か し 」 〈 影 ─ 8 〉 と ほ ぼ 同 176 様 な 箇 所 に 欠 脱 を 持 つ が 、 河 ・ 学 と は 無 関 係 だ ろ う ) 。 ⑦ 御 書 を 公 家 へ そ た て ま つ ら せ 給 け る 朝 家 の 御 た め 野 心 を さ し ハ さ ま せ ( ― 1 ) ( マ マ ) 384 他 本 で は 「 給 け る 」 と 「 朝 家 」 と の 間 に 「 其 御 書 ニ ハ 起 請 の 詞 を 被 載 た り け る と か や 」 ( 影 ― 4 ) の 一 文 が 入 656 る ( 金 刀 本 系 列 の 博 ・ 習 も 河 ・ 学 に 近 い 形 を 持 つ が 、 傍 線 部 が 「 給 ひ け る と か や 」 と あ る ) 。 こ れ ら は 、 河 ・ 学 の 近 似 を 示 唆 す る 現 象 と 見 て よ い だ ろ う 。 両 者 の 間 に は 親 子 関 係 も し く は そ れ に 準 じ る 直 線 的 な 書 承 関 係 は 考 え ら れ な い の で 、 現 存 本 を い く ほ ど も 溯 ら な い 時 点 で 共 通 祖 本 に た ど り 着 く 関 係 に あ る と 思 わ れ る 。 さ て 、 学 の 場 合 、 二 十 音 節 以 上 の 固 有 欠 脱 ( も し く は 省 略 ) は 次 の 二 項 で あ る 。 ① 褐 の 直 垂 ニ 師 子 丸 を 三 二 縫 た る に 黒 き 唐 綾 を 太 く た ゝ ミ て 威 た る 大 荒 目 の 鎧 の 師 子 丸 の 裙 金 物 ( 影 ─ 7 ) ( 405 252 ― 5 ) ② 為 朝 戦 し か つ て ひ か へ た れ 共 近 付 者 も な き 上 馬 疲 ニ け れ ハ ( 影 ─ 6 ) ( ― ) 498 300 17 本 文 引 用 は 宝 に 依 る 。 学 は ① の 傍 線 部 を 欠 き 、 ② の 傍 線 部 を 「 そ の う へ 」 と す る 。 ① は 「 師 子 丸 」 の 目 移 り に 起 因 す る 欠 脱 と 推 測 さ れ る が 、 ② は 省 筆 が 考 え ら れ る 。 な お 、 系 列 内 で の み 固 有 と の 条 件 を 付 け る な ら 、 次 の 事 項 も 加 わ る 。 此 功 力 を も つ て 欲 赦 彼 科 莫 太 行 業 を 併 三 悪 道 ニ 投 籠 其 力

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