動詞「出る」に接続するヲとカラの交替制約について(二〇一二年度卒業論文要旨集)
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(2) 感情を表す動詞慣用句における統語的固定制に関する考察. 動詞「出る」に接続するヲとカラの交替制約について. を「統語的固定性」と呼び、体の一部を表す名詞を使った慣用. 慣用句には、個々の慣用句によって語と語の結びつきの強さ が異なるという特性がある。先行研究は、語の結びつきの強さ. 動詞「出る」が表す移動のうち、 「抽象的移動」についてのヲ. 明らかにされてきた。しかし、いくつか不明な点もある。特に. 合もある。従来の研究により、ヲとカラの交替制約の大部分は. 動詞「出る」が移動を表す際に起点として接続するヲとカラ は、基本的に言い換えが可能であるが、言い換えができない場. . 句を用いて統語的固定性に段階があることを明らかにしてい. とカラの交替制約は、ほとんど明らかにされていない。そこで. 日本語教育学研究室 九四九六 山崎 良祐. る。また、統語的固定性の段階を「動詞慣用句に対する統語的. 日本語教育学研究室 九四九二 村瀬 洸平. 操作の階層関係」という表を用いて説明している。. 制約を、精緻化することである。. いう慣用句の性質とは関係なく「受身表現化」 「意思表現化」. び規準を示した。その後、統語的操作の成立は統語的固定性と. 検証をするにあたって「受身表現化」には定義の曖昧さとい う問題があったため、統語的固定性を測るために必要な定義及. そのため本研究では「他動性」や「意思性」に揺れが見られ る感情を表す動詞慣用句を用いて指摘されている点を検証した。. がある。. のような意味的な問題が関係しているのではないかという指摘. これらすべてに共通する特徴として、動詞「出る」の表す移 動が、 「物理的移動」を含意した「抽象的移動」の場合は、ヲ. つ起点の場合は、 ヲとカラを問題なく言い換えることができる。. ない。第三に、 「刑務所」や「病院」などの、共通の性質を持. に言い換えられない。第二に着点がある場合は、ヲを使用でき. 調査の結果、「抽象的移動」はカラを使用できない場合が多い、 という従来の研究で指摘されている傾向に加えて、以下のよう. 区別し、起点となる名詞毎に分類を行った。. そのために、電子コーパスを用いて「ヲ出る」と「カラ出る」 の用例を収集し、それぞれ「抽象的移動」と「物理的移動」に. 本研究の目的は、 「抽象的移動」を表す場合のヲとカラの交替. 「動詞慣用句に対する統語的操作の階層関係」の項 し か し、 目の内、「受身表現化」と「意思表現化」は統語的操作の成立. がもつ意味的な性質に依存しているという点から、 「受身表現. とカラを言い換えることができる、と考えられる。. に揺れが見られ、その揺れは慣用句の「他動性」や「意思性」. 化」と「意思表現化」が「動詞慣用句に対する統語的操作の階. な特徴がみられた。第一に、「学校ヲ出る」は「学校カラ出る」. 層関係」に入るには不適当であるということを指摘した。. - 83 -.
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