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「好色一代男」の構造展開

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Academic year: 2021

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(1)Title. 「好色一代男」の構造展開. Author(s). 中塩, 清臣. Citation. 北海道学芸大学紀要. 第一部. A, 人文科学編, 15(2): 40-56. Issue Date. 1964-12. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/3782. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 第1 5巻 第 2号. 北海道学芸大学紀要(第一部A). 昭和3 9年12月. 「好 色 一 代 男」 の 構 造 展 開 中. 塩. 清. 臣. 北海道学芸大学岩見沢分校国文学研究室. Kiyo-omi NAKASHIHo :. ‘K6shoku- DeVe loP窟l f the Structure of ‘ i i ent o -otoko“ chida. -… こころと恋 に責められ, 五十四歳ま でたはぶれ し女三千七百四十二人, 少人のもて あそび 七百二十五人, 手日記に知 る. 井筒によりてうなゐ子よりこのかた, 腎水をかへ ほして, さ て も 命 は あ る も の か.. (「好色÷代男」 巻一). まるで計数をだしてく るところ, 西鶴の合理精神をしめすかのようにみえる. それだけにやは り演出効果は巧まれてい・ る. 所詮は転合書であることの条件意識を, スマートにしている わけで あ ろ う. こ と に こ の ビタ ・ セ ク シ ュ ア リ ス に 因 む, 刻 明 に して 精 細 な 算 術 は, コミ ッ ク ど こ ろ か フ ァ ー ス と い っ て い い で あ ろ う. だ が そ れ に して も 決 し て, 西 鶴 ひ と り の オ リ ジ ナ ル に よ る の で. なか った. す でに表現技法として伝承構造をたもち, 系譜にみちびかれ序列につながっている. ここで西鶴の推計学が, 史的に以前とちがうところは, ことさらに好色本の範噂から, パロ デー. 化 している生態にある.. ま ず異性交渉の三千七百四十二人という設定は, そのプロト・タイプを業平伝説にたどること. が で き る.. クリ地謡 「在中将業平, 契りを結びし美人の数をたづぬるに 三千七百三十三人なり ツレ , . 謡 「お よそ伊勢物語 に見えたるは以上十二人なり. 池話 「第一は紀の有常の娘, 第二には… 地謡 「伊勢物語の奥儀を, くれ ぐれと語らんな, かつはそら恐ろし , かつうは道の率爾な そつじ. り と て, 左 右 な うも の を も い は ざ りけ り, 美人 の 中 に と りて は, い づ れ か 劣 り 勝 ら ん. … … さう. (日本文学大系本古謡曲 「舞車」 →美人揃). この 「ツレ謡」 の章句 にしても, 既成知識によりかかった発想法である. 元禄十二年版 「観世流 蘭曲大成」 の 「舞車」 のそこのくだりは, 番外謡曲 「昔男」 (古典文庫本) へ繰りいれ編みこま れても いる. それから 「小野小町草紙」 よりの抄,. -…在原業平, … 「まことの道を願ふこそ, 仏も慈悲を垂れたまへ. われも 過ぎにし古事を, ふるごと 語りきかせ申さん」, とて同じ倣悔を したまふ. 「われも心をうつ し, 身をすてて色好 みは, 数を知らずあひなれ しかども, その中にも恩 、 ひとめ しは, わづかなり, 以上十三人, 第一染殿の后, 第二には紀有常がむすめ, …そのほ か伊勢物語にかきつけ し, 筆の跡に見えぬべし. みづ からも千人と しるしたり. これみない つはりの情なり. まことに妄執の雲 はれにけり. などか成仏ならざらんや. … なさけ 一 如 一.

(3) . 「好 色 一 f 男」 の 構 造 展 開 … た れ かは 老 の 坂 を 越 え ざら ん. の が る べ き 道 も な し. … こ れ 生 死 の 境 に ひ と しく して, しや’じ. ミを頼み申す よろづ身の上と思ひける. …みづからも狂言統語のことわりを ふりすてて, 大池 きぎよ べ し」 とて, か き 消 す や う に 失 せ に け り.. 不思議やな, 夢にたはぶれつる心して, ゆきがた知らず帰りたまひしおもかげを, かい見 えさせたまはずして, うせたまひつるは, これ業平にてはましまさずや. 観音菩薩と思ふな (日本古典文学大系木 「小町草紙) 」. り.. 「小町草紙」 でしるす 「千人」 と, 「美人揃」 で調 うところの 「三千 ヒ百三十三人」 と, なるほ. どひらきはあるようだが, 絶対多数をいう場合の全称名群として, 意味内容はさ してかわらない であろう. 柚きだして女人たちを, 「第一に…第二に…」 とっらねてゆく文章構成でも, 順序に . は前後がみえるけれども, 事例なら三条西家蔵本 「和歌知顕集」 にある. と こ ろ で 千 ヒ百三十三人とうたいあげるのが -. 中将御一生に契りをこめられしその数,およそ三千七百三十三人とかやいふよし,… (「雑談. = 1 集り 1 」 ・中将一代好色人教え事). 一…在 原の業平は三千七百三十余人とかや, うけたまはりおよぶぞかし. …げにや在原の業平 は, 主ある人をも隠れ顕れ望を叶へければ, 三千七百三十余人の女房は残らず成仏 しけると めし か や. …. ’. (仮 名草 子 「磯 崎」). 業平は…およそ三千七百三十三人の女に契りて, 一人も犯さず. … (「百万塔そしり草」 ) つづいてほかに三千三百三十三人ともかぞえている. -. - ・そもそも われはこれ,かんれいを うのまめ男の名を得て, 一生涯の間に契を結びし人の数, 三 千 三 百 三 十 三人 な り. … (仮名草子 「花鳥風月」 →二版本 「衣更着物語」 →三版本 「二月物語」). ー. かの伊勢物語は業 平の一生涯を沙汰せるなり. 契りたまふ女人の数三千三百三十三人なり. (「長 禄 記」 巻 二). とにかく色好みの理想像とあがめ, すっかり業平を典型化してある. ために外証の しかたは, かかって具体的に異状数 値による. 懸絶したエネル ギーの燃焼を内部衝迫にたかめ, 不落放蕩を. l l i i c sm ど こ ろ か, き わ め る ス ー パ ー マ ン の 象 徴 に 託 す. 壮 厳 至 上 の パ イ タ リ ズ ム,と き と して Pha ‐. 、. Pr i sm でさえあるにちがいない. api. -. 伊井諾尊と現じて国土を作り, 業平と化しては男女のなからひを旨として, 衆生の縁を結 ′ ・ しゆじゆう. いざなぎのみこと ぶ.. (「阿 古 根 滴 口伝」). 一. ーと い は れ しも, た だ 業 平の 事 ぞか し. - 本 党 真 如 の 身 を 分 け, 陰 陽 のね. -. 雲他業平引二女子一番二他婦- 業平要二紀有常之女-為し妻. …J , 下し達二勝ゲテ数一フルニ , 時人戯 . ー呼謂二陰 陽 神-,. -. かきつばた. 「本棚通紀」 前編巻十九) (. ,. この木陰に, むか し男業平のおもかげを社にこめ おかれ, これ陰陽の神とて, 色 を好める .・・.. 人 は, こ とさ ら に 祈 り け る.. ー. (謡曲 「杜若」). (元蕨六年版 「浮世栄花一代男」 -ノニ). けふ品川に 著きて陰陽の神いさめ, 鈴の森を跡にな して, 先は浅草その町に… (貞享五年版. 「色里三所世帯」 三ノー). けれども側々として人間意識の根源から, きざしてくる哀切のこえは,何としても無常幻化とい う,実存感覚のほかのものではない. 肉体の条件を生命の本質としているかぎ 明広…. もとより青. 春の対極が,老醜であることをいなむことはできない, . むしろそれへの超克と して,ひたすら摩詞 まか. , 止観に悟達し(端 轡 翻聾言 不浄観を念じて認真はしたにしても(「正法 も華 麗鑓識 創生観) しかん ,. 一 41 -.

(4) . 中. 清. 塩. 臣. な )…. そ こ で裏 残 を か な し み 落 魂 を う れ え る あ ま り に, 「物 のじ定相 念羅」 四五観天品→ 「一言芳談」 や さう き 晩 へ に も 夢 幻 泡 影」 (「大平記」 三十五・謡曲 「兼平」 ← 「金剛経」)を み と め,「色 即 是 空 ・ 空 即 是 色」 「般若心経」)の こ とわ り を 知 る. (. 一…クセ謡 「…井筒によ りて うなゐ子の, 友達かたらひ て, たがひに影を水鏡, おもてをなら まめ男, ことばの露の玉章の, 心の花も色そ べ袖をかけ, 心の水の底ひなく,、…その後 ,かの・ ひ て, …. より, 真弓槻弓年 を経て, 今は亡き世に業 平の, かたみの 後シテー声謡 「…われ筒井筒の 昔, 直衣身にふれて, 恥かしや昔男の移り舞, … シテ謡 「月 や あ ら ぬ, 春 や 昔 と 詠め しも, い っ なが. (日本文学大系本謡曲 「井筒」) しい を 詠 め を こ しへ の,, 地謡 「跡 は こ 「 花 で シテワカ謡 に め 月 ・ 地謡 「月 に め で, .(中 の 舞) . , 一, の こ ろ ぞ や 筒 井 筒, …. こにぞ在原なる シテ話 「その業平の結縁の衆生に , 地謡 「ちぎり結ぶ の, シテ地謡 「神とや しゆじやう 岩本の, 池謡 「も との身なれど仮の世にいでて, 月やあらぬ春や昔の春ならぬ, 々々々. お も へを わ れも, シテ話 「た ゞ い つ とな く, 地謡 「た ゞい っ とな く, そ こ とも 涙 の み 思 ひ を り て (謡曲 「賀茂物狂」) と っ の, 憂 き 世 の 中 ぞ 悲,しき. … わ が 身 ひ, ,. 正直捨方便の御恵み, 塵 ときに 「…狂も よく思へば聖 といへり. その ぅへ神は知る し召すらん.しや うちきしや 狂言締語 「 )と謡う (一 「法華経」 安 賀茂物狂 」 てあらじ ( 」 狂言締語もへだ 光の影は . に交はる和 , きやうげんきぎよ. 楽行看 、,妄言縞語 「無量寿経」 ←) を因として議仏乗の 縁をも とめてゆく, こういう苦悶の弁 証法を . え が い て, 中 世 の 文 芸 学 は シ ス テ ム を 整 う (「白氏文集」・「和漢朗詠集」・「風姿花伝」・「わらんべ草」) が これと - 上ロソギ地 「げ に奇・特 な る 世 が た り の, 々 ぇ 々. 言 の 葉 ぐさ の 末 の 露, か り そ め な ら て も, シテ下 「他 生 の 縁 と夕 月 も, 上同 「影 に か か や く 舞 の 袖, シテ」二 「か へ れ や か へ れ い に しへ に. 昔 男 の 舞 の 曲, …. … シテ下 「恩 へ ぽ い に しへ の, 同下 「恩 へ ぽ い に しへ の, 月 も 雪 も 花 も 絶 も, よ しや た だ, 狂 もみち. 言続語をふりすてて, 讃仏案の因縁に, ひ かれてゆくや西の空の, 雲となり雨となり, 雲間 に か く れ うせ に け り. 霧 間 に か く れ う せ に け り. ●. ・ ’ (古典文庫本番外謡曲 「昔男」). したが って業平は, 精神構造をも実践項目をも,人間関係から脱 却させ, 変身転生を可能 にして,. 菩薩の垂跡とも規定できる. こしへの衣通姫のなが - そもそも清和の ころ, 内裏に小町といふ, 色好みの遊女あり. …いを そとをりひめ れ と申 し, 観音の化身とも申す. 仮にこの世に…色好みの遊女 とうまれ,飛花落葉の世の中, ひ とた び は 栄 え, ひ とた び は 哀 ふ. …. ・. (「小町草紙」). ついに物語進行のカ タストロフィ として, 小野小町の橘隊の発語のことにおよぶ. それに業平. と め ぐり あ い の セ ク シ ョ ン は, 「江 家 次 第」 か ら 「無 名 秘 抄」 ・ 「古 事 談」 へ, ま た 芸 能 化 して. 「本居内遠全集」・ 「森鴎外 , 「卒 堵婆小町」 にも, あつか ってゆく型どおりのもの( 能楽 「通小町」● 全集」 著作篇十九) だが, -… 「業平とは, 業を平むる とかきたれぱ, おの づからこの業平を, よびた てまつれば, 悪業 ごう たひら もみな消えにけり」 となり. 業平, これはたしかなる, 幽霊なるとて, くさむらをかきわけ. ●● 「小町草紙」) ・ て 見 たま へ ば 女 は な し ・た ゞ 白 骨 と 薄 ひ と む ら 生 ひ にけ り, ( . , . 世界大にひろ がる 「歌う骸骨」 型 Singing Bone Type 説 話 を ふ ま えて, ひ と き わ こ こ で業 平を. ・ー め ぐる意義論は, 中世思惟のメカニ ズムの性格を端的にしめす. - この物語を 聞く人, まして読まむ人は, すなはち観音の三十三体を つくり, 供養したるに 一 42 -.

(5) . 「好 色 一 代 男」 の 構 造 展 開. も等 しきなり. 小町は如意輪観音の化身なり. また業平は十一面観音の化身なり. あだにも こ れ を 思 ふ べ か ら ず. 南 無 大 慈 観音 菩 薩 と 回 向 あ る べ し.. ・. (「小町草紙」). 狂言締語から讃仏乗へ問題接点をうがちながら, すこぶる時局 に適うエ ピグラムをちりばめてい る. 作品によって生命示標をうちたてて人間浄化にいざな う. そういう心意仏承に即して,さ きだ. つ紫式部堕地獄続謹がある ( 「今鏡」 巻十作り物語のゆくへ・ 「藤原隆信朝臣集」 下・ 「宝物集」 巻四不妄語 戒沙汰の事) .すべて芸術家の苦悶の弁証法をかたどっている. 「源氏一品経表白」 ・ 「源氏物語表 白」 ・ 「賦光源氏物語詩序」 をへて, 能楽 「源氏供養」 にいたっている. -. 願以二今生世俗文字之業狂言縞語之誤-, 孫;為当来世々讃仏乗之因転法輸之縁-. (白居易一. 「和漢朗詠集」 下・ 「往生要集」 ・ 「魚山抄」 ・ 「九十首抄」). -. 狂言締語のあやまちをひるがへして, …転法輸の縁として, これをもてあそばむ人を, 安. 養 浄 剰 にむ か へ たま へ ….. (「源氏物語表白」). - 狂言締語の 理といひながら, つひに讃仏乗の因となるこそあはれなれ. ( 「平家物語」 巻九). - … 文 つく り, 人 の こ ころ を ゆ る が し, 暗 き こ こ ろ を み ち び く は, 常 の こと な り. 妄 語 な ど い. ふべき にはあらず. …締語と も雑織語などはいふとも, さま で深き罪にはあらずやあらむ.. 「今鏡」 第十作り物語のゆくへ) (. してみると芸術カタルシス論の第一次展開であろう, と同時に 「今鏡」 第十より 「今物語」 が う けて, 御伽草子 「紫式部の巻」 へ順応をもつ. ー. 業平は馬頭観音として, このことを案じたまひしに, 小町はおなじくこの菩薩如意輸 観音. と し て, と も に 儀 したま ひ て, か れ が た は れ を と な り, こ れ はた は れめ と な りて, 同 世 に い で た ま へ り し人 な り.. (三条西家本 「和歌知顕集」). 「知顕集」 および 「知顕抄」 (類従本) は, とかく異端・非合理をひけらかす偏奇の書, だから 「愚 見 抄」 の ポ レ ミ ッ ク で も, 「う る む な る 事」 と 否 定は し て い る. け れ ど も その こ ろ の 考 現 学. なり環境社会学を, ある程度までうかがわせていることは, やはりみとめなければならない. 鎌倉期 ごろからの展開形象として, 室町にいたって作品化した 「伏屋物語」 でも, 男は観音と. 現じ女が地蔵にとかたりおさめている. 信州の県座女の唱導女芸に属するが, 「物くさ太郎」 の あがたみ こ ) 殿はおたが (穂高) の大明神, 女房はあさい (朝 日) の権現と説く (「信府統記」 . さらに王朝 このかた竹取翁物語一箕作翁調にしても, か (く) ぐや姫は浅間権現・翁は愛鷹明神・姫は犬飼 明 神 の 垂 跡 と い っ て い る (「詞林釆葉抄」 巻五・ 「富士山の本地」 ・ 「桂川地蔵記」 ・ 「本朝神社考」) .. -. そもそもこの山 (富士) は, むか し孝霊天皇の即位五年に, 近江の湖はじめて港へ, その. 土 ここ に わ き い で て, こ の 山 と な り た り. … 平 城 天 皇 大 同 元年 に, この 社 を た て た ま へ り.. そのさき大綱の里に, 翁婆夫婦あり. 翁は鷹を愛し, 婆は犬を養ひ, つねには竹をとりて, 箕をつくりてわ ざとせり. あるとき竹の節の中に, たけ一寸六分の女子を得たり. あやしみ つれてかへり, …かくやひめと名づけたり. ここに桓武天皇延暦年中のことなるに, 坂上の 田村 丸 こ こ を 通 りて, 翁 の 家 に と どま りけ る に, 夜 と も し び な く て, ひ か り か か や く こと あ. こて は べ り. …かくやひめと名づくるなりと申す. り. 翁 にた づ ね た ま へを ,,… わ が む す めむ ・ 田村 丸 は せ か へ りて, こ の 由 を 奏 聞 せ ら る. み か ど き こ し め して … こ れ を め さ る る に, か く. やひめ…すなはち山にのぼりて, いはあなの中にいりは べり. 翁も山のいただきにのぼりた まへり. そののち延暦廿四年に, 託宜してのたまはく, われはこれ浅間の大明神なり. 翁は こ れ愛 鷹 の 明 神, 婆 は こ れ犬 飼 の 明 神 な りと い へ り. …. 「東海道名所記」 巻二) (. 三島の明神のやしろあり. …そもそもこの御神は, むかし伊予の国よりうつして, 大山紙 一 43 一. , . - . ● - . 1 : . - - 1 ’ ● . ● ・ . ● ・ 1 r . ’ ● ′ ・ . ・ ・ , 1. .. 1 ・ ● . . ・ ● .. . ● 1 ・. ・ 1 ・ . ‘ . 1 ・ 一. - ’ ・ ’ . ・ ‘ ・. 1. 1 ・ 1 1.

(6) . 塩. 中. 清. 臣. , 神といはひまつる, 三島と富士とは親と子の御神なり二 富 士権現 は木花開耶姫なり. 三島は 御父の神にておは しま しけり. 竹取の物語に, かくや姫とかきしは, 後の世の事 にやあるら む.. ,. (「東 海道 名 所 記」 巻 二). ・. く. い ま か こ と ご と く本 地 物 の 霊 験 謹 の ジ ャ ン ル, こ と に 垂 跡 説 を く ぐ っ て 以 後 の 享 受 に も と づ,. くや姫の本地物に徴証をもとめると, ときとして伝承 者の職掌をかきとめてある.「桂川地蔵記」 ではかたりだしから 「座女…日」 , 「臥雲日件録抜尤」 に 「呂云…」 とあ って座頭の城呂の名をと どめている. またたとえば 蘇民将来伝説に ついて具体例をとるなら, 「東海道名所記」 には委曲 のかぎりを つくしながら, 楽阿弥の三人称叙法が印象的である. - やぅやぅ桑名ちかくなるま に, これより三里ばかり川上に,津島の天王とておはします.. 京の底園 殿と一体にておはすといふ. 男聞きてこの天王の由来やしるしめける. かたりたま へ と い へ ば, 舟 中 み な 一 同 に所 望 々々 と い ふ. 楽 阿 弥 さ ら ば あ ら あ ら か た り申 さ ん とて, 声 う ち つ く ろ ひ て か た る. そも そも こ の 天 王 と 申 し た て ま つ る は, … 神代 の い に しへ は, …. 天照大神の御おとうとすさのをのみことなり. また一名をば武塔天神とも申しけり. まさ し く日本に跡を垂れたまふ由来を たづねたてまつるに, … つひにこの国に跡を垂れて津島の 底 園 と あ が め ら れ, 牛 頭 天 王 と あ ら は れ た ま ふ. …. (巻四). 「源氏物語」 が王朝の長者調なら, 「平家物語」 は中世の長者調であろう. 幸若舞曲 「築島」(別 ) では, 清盛終煮のところを兵庫の 経 島 になぞらい, その生前の港湾事業を主題追求し 名 「兵庫」 きようのしま. つっ, 平相国は地蔵の仮現 で松王健児が大日王の化身, つづいてめい月 女を吉祥天女の異形とい 、 こんでし う 由緒 を 調 う.. (「金平本全集 「兵庫の築島」). ・. ヮキ次第 「神 や 仏 と へ だ つれ ど, 々 々 々, 誓 ひ は 同 じ か る ら ん, …. ー. シテッレ謡 「あるひは神明または仏陀と顕はれたまる 、 , みなこれ同体異名にて, たとへば水波 ーし た て ま つ る は, 救 世 観音 の 御 垂 跡 に て, 仏 法 キ の へ だ て の ご と し. こ と に こ の 上 宮 太 子 とー ぐぜ. (日本文学大系本古謡曲 「上富太子」). 主 法 を 起 し た ま ふ.. それもこれも法性随縁・皆令仏道によ って, 円覚のよす がを明らかにし 人仏不二の妙体とはな ・ にんぷつふ に. ほつしようずいえん かいりようぶつどう. る.. ーシテ詞 「…業平は極楽の, 歌舞の菩薩の化現なれば, 詠みおく和歌の言の葉までも, みな法 けげん 身説法の妙女なれば, 草木までも露の 恵みの, 謡 「仏果の縁をとむらふな り, -. シテ謡 「仏事を なすや業平の, 昔男の舞の姿, ワキ話 「これぞすなはち歌舞の菩薩の, シテ言 語 「仮 に 衆 生 と 業 平 の, ,ワキ謡 「本 地 寂 光 の 都 を い でて, シテ話 「あ ま ね く 済 度, ワキ話 「荊 生. の, シテ謡 「道 に, 地謡 「は る ば る き ぬ る か ら ど ろも, 著 つ つ や 舞 を か な づ ら ん. …. 地謡 「光あまねき月やあ らぬ, 春や昔の春ならぬ, わが身ひと つはもとの身にして, 本覚 真如の身を分け, 陰陽の神といはれしも, た ゞ業平のことぞかし. かやうに申す物語, うた ) が ひ た ま ふ な 旅 人, は る ば る き ぬ る 唐 ご ろ も, 著 つ つや 舞 を か な づ ら ん. …・ (謡曲 「杜着」. ら演輝されてゆ 神気が悪き副うてよりしろ・おぎしろ が, 幽明のあわいをさまよう夢の浮橋か メ. かみけ. トロイ ライ. つ. く人間学だから, 生命認識の次元はすこぶるもの狂 わしげ にたか ぶっている. 「鴨鷺合戦 ー かの 中将は極楽世界の歌舞の菩薩正観音の化身なり. …小町は大日の変化なり, ( 物語」). -. ず ‘. しやう. 業平は極楽世界の歌舞の菩薩正観音の化身なり, およそ三千七百三十三人の女に契りて,. 「百万端そしり草」) (. 一 人も 犯 さ ず. … - 44・一.

(7) . 「好 色 一 代 男」 の 構 造 展 開. 1 昌導派の 融通無凝のポエジ←があろう, ましてみずから炎だ 歌舞の菩薩と観じてくると ころに,1 っ変身譜の曇陀羅・正観音は 「聖観音」 ともあてて, 千手・十一面・如意輪・馬頭 ・准低・不空 まんだ ら. じゆんてい. ,. ,. 編索をふくめ, 七観音の根本正身という. 「契りて犯さず」 とは, 胎生身を超えて自然法繭のゆ じわんほうに けんじやく えに. 分別事識より契機真諦 にいたるもの. やがて業平の肉体昇華をかたどって. 業平塚の民間 しんてい. 伝 承は か な り に あ る ( 「伊呂波字頚抄」・仮名草紙 「宮戸川物語」-「今業平物語」「好色花のおちあひ」-・ 「了 ) 阿遺書」・「東都紀行」・「にぎはひ草」・「江戸名所記」・「本所雨やどり」・合巻本,「業平塚の由来」 .. -…不退転法輪寺は, …業平朝臣の建立にして, みづから観自在菩薩を つくりすゑたまふ, と こんりふ いひつたふる説あり. …滋野貞主の家を寺となし, 慈恩寺と名づけられ, …またその慈恩寺 は, 業平朝臣の居住にて, のち ここにうつし ‐て, 不 退寺といふとも, 玉林抄に見えたり.. (「和 州 旧 跡 幽考」). ー. 不退寺にいた りて, 業平自筆の影あり. 拝見せしに, 容顔美麗端正なる, うつつの人にむ が、. か ふ が ご と し.. (「吉 野 詣の 記」). 業平邸が占める街区の位置と か, それが存続のありさまについて, 「無名秘抄」 にはつぶさに説い てある.不 退寺 (奈良市法蓮町) は在原寺ともよぶ真言律宗派. 業平が平城上皇の離宮 萱の御所を,. 承和十年に勅命にもとづ いて寺とした. 安置してある聖観音立像は,業平の制作とつたえている. 「河海抄」 をへて 「本朝神社考」 (一 「本所雨やどり」) にかきとめる条々, 一 世にいふ, 在原業平は貌閑雅にして和歌を善くす. ほとんど和歌の神な り. 一旦, 吉野川 力 ちた ・. よ. に 入 っ て 終 る と こ ろ を 知 ら ず と.. 「本朝神社考」) (. 原典は 「三代実録」 三十七・陽成天皇紀にのべてあるが, 思惟表象は紗発と五組のかなたに逸し ごうん て ゆ く.. -. 在原業平卒去の年しれず. …あるひは仙術をおこなひて昇天せ りといふ. いま按ずるに,. … 大 和 国 石 上 在 原 山光 明寺 は, そ の 葬 地 の よ し相 伝 ふ. -. 業 平 --旦入二吉 野 川 上-, 而 不し知し所し終, 不 審. ・. (「広益俗説弁」 巻九). 「本朝通紀」 前編巻十九) (. まさしく発生基層を, 英雄不死説とひとしく している. 源氏物語の 「幻の巻」 につづく, 「雲隠 の 巻」 の 設 定 解 釈 に して も, 貴 公 子 紡 錘 調 の ト ポロ ジ ー と, ま こ と に ひ と つづ き で あ ろ う. -. 花 橋 の 袖 の 香 に 昔 男 の 業 平 づ く り…. -. 秋 の 夜 の 記 念 な りけ り 俗 源 氏. ) (「五十年忌歌念仏」. 珊瑚. (「こころ葉」 ). 「こころ葉」 は西鶴十三回忌追善句集であ る (宝永三年刊) , 湖梅の句の前書に, 「井原入道西 鶴は風流の翁にて, …下戸なれば飲酒の苦をのがれて, 美食をたくはへて,人にくはせて楽 しむ.. おもへば一代男」 と したためる. 「好色一代男」 をも って俗源氏と称している条理になる. 「源 氏物語」 五十四帖は西鶴の副意識 にながれ, 直裁に間接に作品 「一代男」 を綾なす. けれども本 質形成なら 「伊勢物語」 をも って回転軸にしてある. 現に終章 「床の責道具」 女護の島わたりの とこ . Eめ 百部…」 とかきあげて,創作工房の内面をうかがわ 章で, あきらかに 「…枕絵弐百冊・伊勢物語弐- せてゆく. 加賀援正本 「伊勢物語」 は, つぼや吉左術門版奥付に, 「天和二壬戊正月吉日」 とい う( 「浄瑠璃稀本集」 ) ,「京版一代男」の成立はその神無月以後. いってみるとすでに「源氏物語」が, 「伊勢物語」 の様 式軌跡をつづる結集版である. 「伊勢物語」 は成立してこのかた恋愛術教科書. の最古典,それをと って規矩としてみ ごとに作品化を しとげたのが「源氏物語」, さらにこういう雅 よ り俗 へ や つ し て 「好 色一 代 男」 は 「俗 (Pseudo-) 源氏」 に擬す. 王朝版を町人化・俳譜化し. 」 より, 狂訓 て, つまり 「昔男」 から 「一代男」 へ…. 修紫桜柳亭種 彦の合巻本 「修紫田舎源氏 にせむらさき・ 亭主人為永春水の人情本 「春色梅暦」 シリー ズにおよぶ関係も, 脈絡をつらねてた ぐられる座標 一 45・一.

(8) . 中. 塩. 清. 臣. 軸はかわらない, ー 其方は十六なれば, 初冠 して 「出来業平」 と申しはべる. ちと似合ひたるおかほを見む. うひかぶり でき. (「好 色一 代 男」 巻 二). かの同胞の女に馴れて, その夜の枕物語, 左のかたに若 狭, 右のかたに若松, と召され候 はらから と名に立ちて, 都へ上らば連れて行かいではと, … (…巻二) ふぞや. ・今中納言平様 、 ひら 「わけ う ) 都の錦-八田光風・宍 しりの世之介さま」 とい (巻五 . 業平モ ダニ ズムを意図して, 戸与一一は毒舌家だが, 「まことに西鶴 こそわけの聖」 「元禄(諸芸)太平記」 ) , ,とまでもほめそやす ( -. ・・. ひじり. 業平→光源氏一世之介の伝承像の系譜に沿って, 「わけの聖」 西鶴のヒュ ーマ ン・ ドキュメント が かさなる. 延宝七年に柏屋与市郎開板の仮名草子 「伊勢物語平詞」 四巻の一名は 「業 平 昔 物 ひらことば. 語」, これと前後して年代未詳の仮名草子 「今業平物語」 がある. くだ ろとこの表題に準じて合巻 本 「今業平昔廼面影」 七編, 笠亭仙果のふでに歌川芳虎のさ しえで嘉永三年初版. 寛女二年発刊. の 「新町をかし男」 の徽案は 「吉原伊勢物語」 である. この印行推定は延宝ご ろまでだろう. 元 禄五年の 「書籍目録」 にはみえているから. 寛永整版本 「仁勢物語」 二巻は伝烏丸光広作ときく が, 「伊勢物語」 をなぞっての戯文であることは, 表題でも自明のところ. 地口軽口化した 「伊 勢物語昔男時世粧」 五 巻 は 享 保十フ 年 の上梓. 志水燕十の滑稽本 「仁(似)勢物語通補抄」 一巻 いまようすがた. しみずえんじゆう. (天明四年版) は, しいて これの亜流をよそっている. 貞享三年にふたたび「仁勢物語」の上梓は , じようし ・ 」 五巻 (貞享三年版) もそ むしろ 「好色一代男」 ブームにひかれている. 酒楽軒の 「好色伊勢物語. ・ . れ. ・ 「伊勢物語」 をは ぐらかしわるふざけ して, ぅが. た観察の 「雷真実伊勢物語」 三巻(元. 禄三年開板) へ. 目序にさいくわくとしたためてあ って, もちろん偽書である, 風来山人悟道軒の 「療陰隠逸伝」 (明和五年初版) の先駆といっていいであろう. 黄表紙 「写 昔男通風伊勢物語」 三 なえまらいんいっでん. .. うふう. 巻は, 堪亭伊庭可笑に鳥居清長画の組みあわせ. 合巻本 「風俗伊勢物語」 が天保六年初編をだし いまよう ) 正月 印刷の 「如来 684 て天保九年に完結, 東里山人に五雲亭貞秀のさ し絵である. 天和四年 (1. 一代記」 八巻は, 「江戸版一代男」 と無関係・没交渉ではない. 「一代男」 のプロ ッ ト編輯 に際 して, たしか に釈迦の人間史と符節を合はせた局面がめだっ. -. ある長老をたのみ, 十九歳の四月七日に出家になして, …草葺の仮屋や ぅやう身の置きど こ ろ も こ こ に ….. 一. (「好色一代男」 巻二・出家にならねばならず). 釈迦如来と申すも, …悉達太子と申せしとき,十九にて御出家あり. …六年辛苦したまひ, 二十五の御年僧にならせたまひ, かさねて六年定座にて… 十二年難行したまひ, 真の道を悟 り え て 仏 と な らせ た ま ひ, そ れ よ り 釈 迦 と 申 し は べ る.. -. (御伽草子 「朝顔の露の宮」). 悉達太子は十九にて, 伽耶域をいでて, 難行苦行の功によって, つひに成等正覚 したまひ じやうとうしやうかく か・ や. しつた. (「平家物語」 濯頂巻). き,. 釈迦が生死解脱の方便をも とめての出家は 十九だし ( 〒」 ・ 「為愚療物 「私票百因縁集」 巻一・ 「三宝絵言 1月八日物 語」 ) , それから降誕花ま つりの四月 八日をもじった語感覚をいる どろ. 文化九年の n& うづき. 晩年の合巻本にある. まず 「如来一代記」 以前には, 「釈迦の本地」 三 語」 三巻なら, 振鷺亭の1 ) がつづく. す ごくも 寛永二十年 1 ) 巻( 643 をうけて, 「釈迦八相物語」 八巻 (寛女六年 1666 てはやされ て再摺して,年代不明の刊本いくつかみえる.べつに発 売の時期は未詳だか,「しやか出 ) も, こういうはやりにの っ 生記」 三巻がある. 井上播磨轍正本 「釈迦八相記」(寛女九年 16 69. ている. もちろん法談とか説経が前提 に あったし, もう一般教養だったわけである. 近松の 「釈 迦如来誕生会」 は 「釈迦八相記」 をふまえている (元牒八年四月上演)-はるかのちほど集大成し 一 46 一.

(9) . 「好 色 一 代 男」 の 構 造 展 開. 5一明治二年 1869 ) がつづられた. この て, 合巻本 「釈迦八相倭女庫」 五十八篇 (弘化二年 184 遅々狂斎が, つぎつぎにつきあっている. こ 方亭応賀の作品には, さし絵を二世豊国・二代国貞・- 「 二巻の改題再摺の 黒本, それに青本の「釈迦 本 嵯峨釈迦如来開帳 」 れにくるま でに明和七年版黒 ) とか, 「釈尊御一代 御縁起」 から, 読本の 「 鎌 釈迦実録」 五巻 (鈴亭 細長訳-安政元年 1853 図会」 六巻 (葛飾北斎画) とがつな が ってゆく. 文化年中に菅野序遊の 「釈迦八相記」 , まして明 治なか ごろ岸沢仲肋の 「釈迦八相記」 , と浄瑠璃演奏の生活空間さえひろが っている. 「こ ころ の ま この銀つかへ」 と, 母親気を通して, 弐万五千貫目たしかにわたしける.. (「好色一代男」 巻四) 明白実正なり. … 「大大大尽」 とぞ申しける. じつしやう 青春の紡錘・ 漂泊・遍歴のはてに, 色道殉教の理想像 「大々々尽」 へ, そのときは浮世之介が. 三十四歳とい う. 一 ほどなく祝 儀をとりいそぎ, 樽・杉折の山をな し, 島台の粧ひ・相生の松風, 吉野は九十 (巻五・後は様つけ呼ぶ). 九ま で…. 「燕石十種本」 第三 「吉野伝」 「色道大鏡」 巻十七吉野伝・ ) と, 「前代未聞の遊女」とたたえられた吉野 ( つぎのとしには家を堅めるというはこびになる. すると釈迦の成道から転法輪へ, とにかくこの 「今昔物語」 巻一・ 「閑居の友」 上) よはいの 前後にあてはまる ( . 世之介はここに色道開眼におよぶ.. だから女護の島わたりが, 入浬繋にかたりくちを託し, 「好色一代男」 八巻のフ レミ ン グは, 「如来一代記」 の釈迦八相をなぞる. 世之介とは浮世之介の省略, してみるとその原形質が,「浮. 「徳川文芸類栗」第三) 世物語」 で 「ゆきがたなくうせぬ」 という, 瓢太郎浮世房と共通項であろう( . 「 ご とあらためて寛女十 絵入浮世ぱなし 再板が 京都で寛女のはじめ ろ 「 」 i乎世物語」 の初摺は , 年に江戸 で, さらに要請にこたえて延宝九年 (一天和元年) にもだし, 四版より 「続可笑記」 -(元 うけてい る. 女二年) と表題をかえて大阪からさばく. この複製本は宝暦七年にも. 捜神記の筆の跡を, 思ひ寝にや したりげん. 汗水になりて, 目をさま し書きとどめぬ. そ もそも楽阿弥陀仏とは, 何者 にてありけるやらん」 顔も見 しらず, 行きがたもしらず.. -. 「東海道名所記」 のむすびであ る. 十返舎一九の滑稽本 「東海道中膝栗毛」 原版の内題は,「浮世 (天, 保六年) 道中膝栗毛」 (享和二年一文化六年) である. 花山亭笑 馬の滑稽本 「東海道中滑稽調」 - が陸を接する。 「浮世物語」 ・ 「東海道名所記」 にさきがけて, 「竹斎」 (一寛永活字本 「竹 きびす 斎物語」′→寛女年間覆刻本 「竹斎狂歌ぱなし」 一天和三年鱗形屋版 「下り竹斎」)があっ た. 「竹 斎」 を謂うところの 追随作品だけでも, 仮名草子 「上り竹斎」 (年時不明) ・浮世草子 「新竹斎」. (貞享四年) ・黄表紙 「竹斎老宝山吹色」 (寛政六年) と うつりかわる. 滑稽紀行一風狂の伝承秩序 こ が, 「好色一代男」 の構造展開 をうながす. 「浮世物語」 の浮世房瓢太 郎の命名法は, しきリマ そのころうた われた民謡から. -. 浮いたか瓢箪. 軽さうに流れる. 行く さき知らねど あの身 になりたや. 岩波文庫本 「日. 本民謡集」 -. … 浮 き に ぅい て な ぐさ み, 手 ま へ の す り き れ も 苦 に な ら ず, 沈 み い ら ぬ こ こ ろ だ て の,. 水に流るる瓢箪のご とくなる, これを浮世と名 づくるなりといへるを, それ者は聞きて, ま こ と に そ れ そ れ と感 じけ り.. り軽) なる法師ありけり. … (「浮世物 今はむかし, 浮世房とて, 浮きに ういて瓢金 (一祭. 語」 第一). 貞享年間の 「好色四季ぱなし」(四巻) を, 元縁六年印行のときに改題して 「浮世栄花一代男」. 序 女の署名には松寿軒西鶴,というけれどもとても信じられない. それを元謙十一年の再 版に際して 一 47 一.

(10) . 中. 塩. 清. 臣. 「好色堪忍記」 としてある. べつに正徳三年の三版摺で,「浮世花鳥風月」 とあらためてだす. 宝 一筆斎女調画, 暦五年上梓の 「栄花遊二代男」(五巻) は‐ ,擬西鶴作の 「好色二代男」 をもじってい る. 安政二年の 「栄花世継男」 の角書は 「一代男後日曜」 だが, 享保初年版 「和漢遊女容質」 の 改題 した再摺本にほかならない. これと同工異曲の作品は, 宝永七年八文字屋版「寛欄平家物語」 で, 一名を 「永代男」 といっている. 「好色一代男」 の続編めかして 「平家物語」 の パロ デーも. の・ ことさら元蔵十六年版西沢与志の 「風流今平家」 六巻, それから同年版-声子の 「涯 新平家 物語」 八巻に, この傾向が際だっ. してみるとく好色>とく浮世>とく風流>とく 栄花>とく遊 興〉とは, 同心円をめ ぐって循環してゆく. 宝暦八年にでた黒本 「風流一対男」 二巻は, 「好色. 一代男」 のあてこみをきかす. -. 一. 一 代 男 と い ふ こ と あ り. 一 生 子 な く し て く ら す 男. … (「讐ー 除尽」). 世の人の心を 慰むる浮世草子の作者の名人といふは, 二万翁西鶴古 法師にまさるはなし.. (「野傾旅葛龍」 序). 宝暦十二年山本版黒本「うき世楽助一杯の夢」二巻は, 観水堂丈阿の作・富川房信の画である, 明和. 八年鶴屋版青本に鳥居清経画のr浮世夢肋出世噺」があ る.文化十一年」 談 浮世夢肋魂胆枕一 三巻 は, 遊戯堂式亭三馬の合巻本で歌川国直の さし絵だが, 宝永年間版 「魂胆色遊懐男」 (八女字白. 笑の作・西川祐信の画) の経由を追う. のちに 「魂胆色遊懐男」 を改題 して 「色道仮寝枕」 とよ ぶ. 「栄花遊二代男」 がこの続編生態をとる. 滑稽本 「魂胆夢輔調」 は, 弘化二年よりでて嘉永 元年にいたってむすぶ. 一筆庵主人の自作画というが, 一筆庵主人なら一筆庵可候→渓斎英泉で ある. 師匠の葛飾北斎の作号である時太郎可候に因む. 「好 色一 代 男」 の エ ピロ ー グ は プロ ロ ー ちな グと照応 し, 映発して作品定着の額縁をかたどる.. -…合弐万五千貫目, 母親よりずいぶんつかヘとゆ づ られける. あけくれたはけを つく して, それから今ま で二十七年 になりぬ. …いつまで色道の 中有 に迷ひ, 火宅の うちやけとまるこ とを知らず. すでにはや来る年は本卦にかへる. … ほんけ. あ さま し き 身 の ゆ く す ゑ, こ れ か ら 何 に な り とも な る べ し と, … そ れ よ り 世 之 介 は, ひ と つ こ こ ろ の 友 を 七 人さ そ ひ あは せ, … 「… これより女護の島にわたりて, つかみどりの女を. 見 せ ん」 と い へ ば. い ず れ も よ ろ こび, 「た とへ ば 腎 虚 して そ の 土 と な る べ き こ と, た ま た. , ま一代男に生まれての,. それこそ願ひの道なれ」 と恋風にまかせ, 伊豆の国より日和見すま ひより し, 天 和 二 年 神 無 月 の す ゑ に, ゆき が た 知 れ ず な り にけ り.. (「好 色 一 代男」 巻 八). 西鶴は 「好色一代男」 の制作にあた って, 藤本箕山一畠山箕山の原撰 「色道大鏡」 の草子化を こころみた. それで案内記・評判記・細見記 とりまぜて立場はリア リ ズム, だから態度が 逆説 的 に転合 書一悪道実験小説である. 「色道大鏡」 は延宝の恋愛哲学概論それから恋愛百科事典でも. あろう. 続燕 石十種本 「色道大鏡」 は九巻だけの略本, ちかごろ野間光辰氏編著 「色道大鏡」 完 本十八巻がでた. 「序」 につぶさ に説くところ,. 新道- 一…従二弱冠-遊二心千斯道-, 東到二千奥武一西究二肥筑-, 南北縦横莫所し不し競二於〕 , 入し施 斯道 然山者寒色道之大祖也 … 且名 色道 入し細無し不二渉歴- 日 一 二 -, 二 . , 似 為 色欲之媒 然勧善懲悪之道目 …筒以是書難 …題日二 「色道大鏡」- し古訓… し - し莫し之, し 二 , , , 見し善勧し之 見し悪懲し之, 素王之遺 戒者, 何知し不し為二這書之教諭一哉. ]什-, 閏中之懐艶麗之情, 莫し不し述し之, 山之斯書誠続二紫 昔時紫氏揮二彩管-忽著二源氏之禾 1 氏一之絶筆者乎. …. 三代格 式 にことよせ寛女格式をさだめて,「寛女格は遊客の教を記す, 寛女式は傾国の訓を著す」 一 48 一.

(11) . 「好 色 一 代 男」 の 構 造 展 開. という (巻二) . 狂言紛議は転法輪の因だから, 誠淫の書は好色の戒とな る. 色事三神ノ事. 宇多天皇第四宮なり. 敦慶親王と号す. 好色無隻之美人. 第 二・ 蛍車権現 嵯峨天皇の孫なり. …源至と号す. 第三 岩本神 平城天皇の孫なり. 阿保親王の五男在原の 中将業平なり.. 一第一. ‐. 玉光宮. 源氏物語に好色をいへるも, 人のこのむところよりして, 道にひきいれんの方便なり. 色 欲とのみの管見は, あやまりなるべ し. 易は乾坤をはじめ, 陰陽男女の事を知るなり. 人倫 のはじま りは, 夫婦なれば, なくてかなはぬ道なり. されども淫するは人倫をみだろ. 色を い へ る は. 色 を い ま しめ んた め な り. …. ,. (「京雀跡追」 -・浄華院). 世之介一浮世 之介の血脈は, 「…色道ふたつに, 寝ても覚めても夢介, と替名よばれ…」 た父 から, 形質もろとも うけついでいる. というような人物設定の細部にしても, たしかにく介〉 の 伝承序列をたどるところがある. 古代ロマンの主人公 「…中将」 ・ 「…少将」 が, 近世には 「… 介 (一助)」 とよぶ風にな ってきた. 一…ここに 葛の うらみの介・夢の浮世の介・松の 緑の介・君を思ひの介・半天の恋の介 とて, そ の こ ろ 都 に か く れ な き, 色 好 み の を の こ あ り.. なかぞら. (仮名草子 「恨之介」). - … こ よ ひ ひ と夜 とお も ひ な が ら, 色 な きか た にや ど り は と, い とく も惜 しか り け る に, こ こ こそ 仮 寝 の 夢を かりよ」 , とひそやかに才覚 して, かすかなる亭に入れば, あるじそれそれの. 名をふれける. 思日月1染之介様・花沢浪之丞様 ・袖島三太郎様, いずれもおも しろ笑しきさ をか (「好 色 一 代男」 巻 二). ま.. 恋愛小説一青春小説の主人公の名づけかたにも, 構造史をつらぬく展開軸がある. 絵巻物 「露殿 物語」 (寛永初年成立) の朝顔の露之介から, 著作堂曲亭馬琴の 「近 世説美少年録」 の末朱之介 晴 賢 に い た る ま で も.. 一 … 「夢 の 浮 世 を ぬめ る や れ. 遊 び や狂 へ. 皆 人」, と 世 に あ り が ほ は う ら や ま し. … (「うらみ のすけ」) -. 浮 世 は 夢 な れ ば, さ の み く す ん で も, 瓢 箪 か ら駒 も い で し.. ー. 一 期 は 夢よ た だ狂 へ. く す ん で. 一期は 何 せ う ぞ, くすんで 夢 よ, ただ狂へ 何せうぞ いちご. -. (「歌舞伎草紙絵巻」) (「閑吟集」). 「慶長見 夢 の 浮 世 に た ゞ狂 へ, と ど ろ と ど ろ と な る い か づ ち も, 我 と 君 と の 中 を ば さ け じ. ( .. 一. 聞集」 巻五・ 「阿国歌舞妓草紙」 ・ 「うらみのすけ」) -. た ゞ 人 は な さ け あ れ. 糧 の 花 の 上 な る 霧 の 世 に.. -. た ゞ 人 は な さ け あ れ.. あさかほ. 夢 の 々 々 々 々,. ー. た ゞ 人 に は な さ け あ れ.. ー. た ゞ 人 は な さ け あ る べ き 浮 世 な り.. ・ ( 「閑吟集」). き の ふ は け ふ の い} こし へ, け ふ はあ す の む か し.. (「閑 吟集」). (「御初 ) -障子 「浦島太郎」 (「義経記」 巻二). さけとてもまるで須史のもの, 身を狂わせたわけ いのちの花は 「なさけ」 (恋一色一情) , だがな .・・ しゆゆ .・・ 「閑吟 をつくしてもみるにつけ, 所詮は世間ことごとく虚仮のもの,「夢の浮世の露のわざくれ」 ( こげ. してめらめらと焔めくばか 集」 ) .とどの つまり色即是空も 空即是色にしても, ひたぶるに輪廻生死 りんねしようじ り. とかく偏向がちだ った既往の 「もののあはれ」 の路線は, 一代男の拒絶精神をも って完膚な アンタゴニズム. いまでに踏みに じられた. 古代の貴公子祐復調の脈理をひきつっ, 中世の長者調の軌跡に沿いな がら, 前衛派 「阿蘭陀西鶴」 の ダイナミ ズムによって, 躍如として離りつけられた壮麗無比の物 語像は, まこと舷煙を放つ人間風狂の ドラマであ る, 形而上の菩薩行から形而下の人間性を うば 一 49 一.

(12) . 塩. 中. 清. 臣. いかえし, 近世をかたどる敷烈きわまりない 「生」 エネルギーをぶちつけて, ルネッサンスの所 在確証を作品化して, 空前にして絶後の人間噴火・ 「好色一代男」 を創造する.. 「好色一代男」 は開巻しての章と巻八の とじめの章とを, 額ぶちでかこみ橿づけしたような, わく 作品形態 にととのえまとめあげてある. するとやはり 「今は昔…」 ・ 「いづれの御時にか…」 で 説 き お こ し,. 「… と な む か た り つ た へ た ろ や」 ・ 「… と ぞ い ひ つた へ た ろ と な む」 で 語 り お さ め. り逸脱 しているものではな い. すでに西 鶴の鱗刻にいろどられた時世 る, 説話正統の基本層位よ, る こく 粧を のりこえて, 日本の言語伝承 がたどる様式反応は, . 発想法にあ ざやか につらぬかれている. 桜もちるに歎き, 、月はかぎりありて入佐山. ここに但馬の国 金掘る里のほとりに, 浮世の かね 事をほかにな して, 色道ふたつに寝ても覚めても, 夢介と 替え名よばれて, …. ー. 力 も. ・き ・ か ほ る ・ 三 夕 思 ひ お も ひ に 身 請 し て, … こ の う ち の そ の こ ろ 名 高 き な か に も’ か つ ら. 腹より うまれて世之介と名 によぶ.. せき. ,. あ ら は に 書 き し る す ま でも な し, 知 る 人 は 知 る ぞ か し.. うけ. ・・(「好色一代男」 巻一). 世之介の可能経験は五十四章を 追い, 閲歴の起伏が濃淡さまざまに, 掌篇連珠をきらきらと紡ぎ .ストーリ ミス オムニ ノ ・ 俳諸技法をおしひろげつきぬけて 散女精神にいたりついたところの次元で; め ざましく だす. , つくりだされたこの浮世本は, 比較 して いうなら俳諸組織を逆に発句の位置へ 集約し結晶させ. て きた芭蕉とま っ たく対臆的であって, それだけに画期の文学史の起点を掘りおこす. 一. 合弐万五 千貫目, 母親よりずいぶん遣へ とゆづられける. あけくれ たはけをつく し, それ . から今まで二十七年になりぬ. …あさま しき身のゆくすゑ, これから何になりともなるべし と,,ありつる宝を投げすて, 残り し金子 六千両, 東山の奥 ふかく掘り 埋めて, そのぅへに宇 めり. 治石を置きて, 朝顔の蔓をははせて, かの石に一首刻りつけて詠・ 夕日かげ朝顔の咲く その下に六千両の光のこして. と 欲 の ふ か き 世 の 人 に 語 ら れ け れ ども, と こ ろ は ど こ とも 知 れ が た し.. (” ・巻八). 俳諸師としての二万翁阿蘭陀西鶴の古典教養は, 閑雅微妙な好情の低掴よりも, むしろ斬新放 時 な叙事の径行を浮き彫りにして, すこぶるストーリ ・ テ ーリン グの絶妙をうなずかす. 役者評 判記 「伊勢の宍は難波の白粉」 をへて, 「…一代男」 以後の好色物から町人物 ・武家物へ, さて かお. は難纂物のたぐいにおよぶまで, もとよりそういう認識圏の回転軸はかわらない. 抽いてここに 首尾のふたつを, かかげた意図から推測はみちびかれるであろうが, 「好色一代男」 は金掘長者 調を前提にして, 骨法す っかり踏襲 してきて いる. だから飛躍して 「知る人は知る,ぞか し」 ,と いい放 つことの修辞措置さへ二重作用をも つ. -. 貞享元綜のころ, 擬の大坂津に, 平山藤五といふ町人あり. 有徳なるものなれるが, …僧 うとく にもならず世間を自由にくら し, 行脚同時にて頭陀をかけ, 半年ほど諸方を巡りては宿へか. へり, はなはだ俳譜をこのみて, …のちには流儀も自己の流儀になり, 名を西鶴と改め….. (「見聞 談叢」 巻 六). こ れ に よ っ て な る ほ ど 西 鶴 は, 「平 山 藤 五」 と い っ た こ と が わ か る. け れ ど,も い ま にも て は や し. て輿論化している一件だと しても,. それでは果して 「平山藤五」 とは, 本姓一実名に擬 してまち がいないものかどうか. どうもやはり醜名一仮称・異名か謙称か, 雅師・筆名の一種だ ったので しこな. かりな. あだな. な い か. べ つ に 〈 鶴 永 > (F遠近集」・「歌仙大阪俳譜師」・「締屑集」・「古今誹譜手鑑」・「本朝二十不孝」・「男色 r. .・. 大鑑」・「武道伝来記」・「武家義理物語 」…) や, < 西 鵬 > (「新可笑記」.「秋津島」.「団袋」…) と か, 〈 四 千 . ● .・ ●, . 「 そ 翁 >(「俳譜閑相撲」. 精進晴」) れ か ら く 二 万 翁 > (「談林俳譜作法書」→「けふの昔」・「茶契福原雀」・「野傾 一 50 一.

(13) . 「好 色 一 代 男」 の 構 造 展 開. 「誹譜独吟一日 「古今誹譜 旅葛龍」 …) とつかいあらため, さら に〈松風軒> ( ) ・なり<松寿軒> ( ,千句」 ,. ・. ・.・. 「石車) 師手鑑」・「難波曲」・「自註独吟百韻」・「難波土産」) な り, ま た 〈 松 魂 軒>( 」 ,と か の 軒 号 を も ち い わ. けているほどである, だがいってみるとやが てこの 「藤五」 は, 炭焼藤五郎・井戸掘藤五郎・芋 掘藤五郎とよぶ, 架空の人物名一児術上の詐 (いみな) にかよ うよ.ぅである.. 炭焼の藤大・貴藤大 ・藤 次から五郎 ・小五郎・五郎治・五郎蔵・友蔵・ ,長次郎たちは, どれも これもことごとく大同小異の長者縞調をのこす. 田原藤太秀郷の後衛が野州の佐野氏だったから,. 九世の孫にあたる西行もおとづれ てゆく し, 「義経記」・ で金売吉次 にともな われて, 義経が野州あ. たりにくだるエ ピソードも, 炭焼藤大の三子橘(吉)次・橋(吉)内・橘(吉)六のゆかり にひかれて S いる. 「藤六集」 の藤六輔相・歌よみ藤六・野間の藤六・岩佐の藤六坊も, 、 藤五とならぶ tory‐ l l t e e r一 うそ つき・だほらふきの不遥無頼派である. 戯笑歌・謎妄語の諸講を管理した風流滑稽家 おどけうた. し いがたり おかしみ. おこもの しやれもの. が, 栗の本衆・花の本党をへて狂言師・俳諸師の癌狂人につらなる. 「芸備国郡志」 上をひもと ふうきよう くときに, 斎藤五・斎藤六の墓どころが, 豊田郡沼田の郷 にある. ふたりとも平維盛の子六代御 さいとうご - 六代御前が斬られてからあとは その終わるところが知れないし’ こ こ 前の鱒と つたえるの に, , もりやく に墓はあっても あや しいと誠をうがつ. 斎藤五・斎藤六は漂泊の話術家だ ったわけである. 応接 しん. にも あ き る ほ ど の 採 集 量 に の ぼ る, 「朝 日 さ し 夕 日 かが や く…」 の 秀句 を も っ て, カ タ ス トロ フ. へはこばれてゆく秀句唖が, 朝日長者調一金掘大尽物語といわれている. 「備中集成志」 によると哲多郡井村 (いま岡山県新見市井村田曽) に, 金売吉次末春の宮とつ たえるものがある. この吉次末春は哲多郡八鳥町(いま阿哲郡哲西町八鳥)の道明寺屋石田氏で, 源義経を奥州へつれて行った人物という. 寛政二年版 「備中巡視略記」 にも, 多曽村 に金売吉次 の法高宮 (→穂高宮) がある旨を説く. 明和元年の刊行で鱗形屋黒本 「馨金売橋次分別袋」 三巻. がみえる. 丸本「菅原伝授手習鑑」で知られた, 大阪府南河内郡道明寺町の道明寺 は, 真言尼寺だ がもとは土師寺といった. 金掘り一金売り→金屋は, 「はにし」(土師) → 「 ‘ はじベ. 」(土師部) は じでら. の出目来歴をもつ. ふるく土器制作にしたが った部曲で,分布範囲は九州から東北にまたがる. か こあた っていたので, 葬礼・陵墓につながる任務から, 幽界接触のこと万般 にわた って埴輪づくりマ ‐ っ てつかさどる. しだいに鉄の技術専門家に変るにつれて, 鍛冶屋・鋳物師・鋳かけの地方巡 回の 生活様式を透して, 金売吉次の映像が浮き彫り になる. 守護神は金屋神→金屋子 神とよび, 踏硫. たたら. 師もいっきまつっている. 菅家の祖は土師部野見宿繭ときく (「江談抄」 巻三) , 垂仁天皇の皇后 し. ひはすひめ崩御のとき, 埴輪の制を進言してゆるされ, 姓を土師の臣と賜わる (垂仁紀) . 土師郷 , ・ 美宿禰の墓山の伝説について, 「播磨国風土記」 揖保郡の条 にとどめる. 大阪府の土師寺→道明 み. 寺の本尊十一面観音は菅原道真作 に託する. 道明は近江よりの流木をも って, 長谷寺の十一面観. 音をつくっ たとい う (「古事談」 五). だから長谷寺は土師寺だったし, また 「果つ狭」 →墓 どこ せ ろをさしてもいた. 道明寺の真能は去って高野山にのぼったことがつたわる ( 「拾遺往生伝」 下) . -. 頼 み け り我 誓 願 寺 郭公. (延宝三年 (1 6 ) 上梓の西鶴 「誹譜 独1 今一日千句」 第七発句」) 75. 「仙胎西鶴」 と墓石をきざむ菩提所の誓願寺である. 家族の日牌もここ誓願寺 に ある. 課題解 決のめどはそこにひそむ. ところは大阪と京都とちがいがあるにしても, 安 楽 庵 策 伝日快上 人 1554一164 ) が法主 にな った, 誓願寺との交渉に関 しては否定できない. 策伝が浄土宗西山流 ( 2 の法脈をついでいるのと, 西鶴は談林派西山門の統譜をうけているの- と, 同一軌跡のうえをたど さきに策 三年1 5 8 5に倉敷の誓願寺を建立 るであろう. 伝は天正十 し, 天正十九(八)年には広島の 誓願寺を開基している. ついに洛陽の誓願寺にはい って, 策伝は五十五世の法燈をかかげる. こ.

(14) . 中. 塩. 清. 臣. こで近世日本の文芸復興にとっ て, も っ とも教範評価をもつ 「醒唾笑」 八巻を完成する. とりわ け西山深草派誓願寺 には, 和泉式部の発心因縁謹がつきまとう (続群書類従本 「誓願寺縁起」 .謡曲 「誓願寺」 ・ 「東海道名所記」 巻六一 「定本柳田国男集」) .. 清原の元輔のむすめ清少納 言も, このところにはうむりはべ る. されども時うつり事さり. -. 跡とふゆかりも稀な るにや, この墓どころ知る人なし. 当寺の縁起に清信女とある. これす 「近世文芸叢書本 「京童」 -」) (. な わ ち 清 少納 言 な り,. 式部 のむすめ小式部の仮り親は五 郎太夫ときく. 五郎太夫なら炭焼藤五郎とも心意伝承をつらね. ている. 鎌倉権五 郎景政・大人弥五郎・左甚五郎・佐倉宗五郎 (宗吾) の五郎とも, 占める座標 おおひと 軸をまるでひとつにしてゆく. 和泉式部は猿丸大夫をたづねている. 猿丸太夫が深草郷で土器を. 商 っ ていた ( 「扶桑隠逸伝」 上・ 「志のの葉集」 上・ 「和歌極秘伝抄」 後篇) . それで深草郷は猿丸郷とも. あ ら た ま る こ と に な っ た が, そ こ は 近 江 の 曽 束 と 山 城 の 田 原 と の あ い だ に あ る (「無名抄」 ・ 「年山 そずか. 紀聞」 二・ 「山城名勝志」 ・ 「本朝語園」 三) . べつに 「摂津名所図会」 巻七に猿丸太夫の古墳を, 「信 濃名 勝録」 巻二で猿丸太夫居住とつたえる猿丸村 について, また 「鎌倉実紀」 巻四には宇都宮朝 綱の領分で, 温橿山式部次郎公知とよぶ猿丸太夫の末孫にふれ, 二荒権現の夢 告によっ て源家の 出世をかたり, 白旗を納めて白旗明神をまつる, というよ うに異伝とり どりである. と に か く 「和泉式部」 をも って一括して あるが, 朝 日御前とか照日の前とか,名のるた ぐいの漂泊の閏秀伶. 人である. 西鶴の平山藤五(一藤五郎)と策伝とを, むすびつけることの できる問題 路線は, 策伝 が平林平太夫を称していた事跡にかかる. 策伝の本姓は金 森氏だが,名をあきらかに していない. 」. 「醒睡笑」 巻六『推 平林か平林か, 平林か平林か, 一八十に林か, それにてなくば 平林か…. ( ひや ばやし いちはちじふ ぽくぽく ひらばやし ひらりん. ひやうりん へいりん. はちがうた』). ここでまず軽ロ ー地口・一口合一職の典型がみられるま であろう. 平太夫は猿丸太夫・五郎太夫 かろくち ちぐち くちあい ・ 声間 とか源太夫・ 白太夫に百太夫・権太夫・山荘 (一ロ ー敵.三庄・散所・算所) 太夫とかにかよう,しよ うもん 「 1 慢門師) の職人名とちが ったものではない. 藤太主・源太主に関して 元享釈書」 に載る. 身( めし. じん. 大 和 の 国 の 吉 野 の 二 仙 と い うが, 児 師 の 性 格 が こ と さ ら に い ち じ る し い. 「… ぬ し」と は 大 国主 ・ くにめし. のろんじ. 大物主・事代 主」 の くぬし> で, 地霊とか神人とかをさす. 観世流能楽 にみるよ うな 「代主」 よ ものめし. しるめし. り転じて「白主」をうみ」 , 必然的に対偶の 「黒主」 をさそう. やがて 白主は白式尉に黒主が黒式尉 へ. い ま で も ぬ し は も の ぬ し と い っ て い る. す る と 「太 夫」 - も の の ふ ・ま え つ ぎみ ・み さ き ・. よりまし・ものよし一 と同意語である. だから藤太主・源太主を, 藤太夫・源太夫とい っていいわ. けである. 「源太夫」 なら喜多流・金春流の能楽の現行曲. 白主が白太夫だ し, 高市黒人・大伴 i et shman・ も の ぬ し god‐man と し て, 概 念 規 制 は か わ ら な い. 黒 主 の ひ と も ぬ し も, よ り ひ と f. 所詮は五 郎太夫・権太夫が御霊太夫である. く平 林平太夫>より孫案し移調 させ て, <平山藤五 ものめし. (郎) > は成立しているかもしれないので ある. 一休についでの二休も どきの経緯とい っていい ) (延宝七年版 「一休品物語」 →元禄元年噺本 「一休跡目二休ぱなし」 . また辻唖の祖の露五 郎兵衛の霧休が じきう. いる. <平山藤五(郎)> からただちに表徳く仙蛤…> が演輝されてゆく. 「平 山武者所」 を称 し た秀重の姓は日奉氏だ った. ー -. (避寒七 年刊 「太郎百韻」). こ こ に入 道 あ り. 西 鶴 と 名 の る. 難 波 法 師 の 書 き の こ せ し 好 色 因 果 の 道.. ・. (元蔵元年版 「好色女伝授」). ) - 井原の入道西鶴は, 風流の翁にて, …おもへば一代男. (西鶴十三回忌追善集 「こころ葉」 平林平太夫は 「醒唾笑」 八巻 から, < 醒翁〉とよばれ, 平山藤五(郎)は真蹟短冊のうちで, <鶴 - 52 -.

(15) . 「好 色 一 代 男」 の 構 造 展 開 翁 〉 と し る す ば か り か,. 「好 色 ÷ 代 男」 八 巻 に よ っ て 「ま こ と に西 鶴 こそ わ け の 聖 な りけ る」 と. 調 われた (元敵七年上板 「元蔵太平記」 ) . -. 春の花の朝, 秋の月の夜ごとに, …恋の湊を引舟に乗って, 色道のよ しあ しを ことごと ,. く お しはか り… ●. ともいうことの底本なら 「吉原大雑書」(延宝三年印行の 「遊女評判記」 ) ,. (「元蕨太平記」). こ の こ ろ の 風 俗 は, あ り し 昔 に こ と か は り, 今 よ し原 を ひ き か へ て, あ し 原 と も い ひ や せ. -. ん. な か な か げ び た る あ り さ ま. …. 「二休職」 (元綜元年版) には,「好色屋の西鶴」 となめげにいいき ってある けれども鶴翁の転 . 合書 (落月庵西吟の版) , とことわりがきする艶隠者の新戯作精神は, きわめてたか い次元に属す やさ. けさく. る. 誓願寺安楽庵の策伝上人は, 浄土宗念仏門の住侶だか ら, おもてむき西方否定など, もっ てのほかのことにちがいな いが, 此岸派のわけの聖の西鶴だから, 「…一代男に生まれての そ , れこそ願ひの道なれ…」 好色丸」 の王権旗織たからか に, 恋風に , と床の責め道具を満載 して 「よ しいうまる レジリア まかせ てゆき がたいづ こ女護の島わたりの往生調を説く. まさ しくそういう構図設定なら <補 , 陀 落 渡 海 > の 壮 麗 な ビジ ョ ン に も と づ く (「八十華厳」 入法界品・ 「 - 日華厳」 入法界品, 「陀羅尼集経」 二. ・ 「千手経」).. 「源氏物語」 それに 「浮世物語」 の雲がくれの先縦とか, また能楽 の ドラマトルギーとかが あ っ. たにしても, もちろん別途に西鶴の芸術エネルギー必至の方向にほかならぬ, やが て淫水騒人嘗 安の署名序女をもつ艶本 「女護島延喜入船」 へ. 「今昔物語」 巻十九の 「讃岐国多度郡五位, 閣法即出家語」 は, 源太夫というもの殺生をも っ て業としていたが, 説教を聴聞 してたちまち剃髪 し, 阿弥陀仏を呼びも とめつつ西へ西へむかっ て山野を 版渉 し, ついに海中より阿弥陀仏が答えるこえをた しかめ て死ぬ. 口よりめでたくあざ r やかな蓮花一葉が生 えていた. 「… ,かならず極楽に往生したろ人 にこそあるめれ」 とかたる. 悪 E H c c e 人正機 omo の実証をつぶさにする, 五位は大夫の唐名だ ったので, 源大夫のことを五位 とかいている. 「太夫」 の神道観が仏家の理解にとどかなかったのであろ う. 「宝物集」 巻下・ ・よりまし ・みさき まえつぎみ 「発心集」 第三・ 「私票百因縁集」 九にも, 精粗はとにかく この説話内容をつたえている . 「更級日記」 でさえ古伝説だ った竹芝寺縁起の長者は, わかいころ火焚 (ひたき) 屋の衛士に ふるご と 召され てのぼっ た. そこで酒がめのうえにぶ らさげ てある 瓢 の一件を, きっかけに して物語 ひさこ.ふくべ. 進行がはずむ. 「ひさご」 は以前ひきこと清 んだ. 夕顔・瓢箪・冬瓜をふくめた総 称でもあるが , ,.・ す と く に 瓢 箪 の 内 側 を く りぬ い て 干 し, 酒 と か 飲 料 の い れ もの に あ て た .. 「ひ し ゃ く」 は こ の ひ さ .・.,. .・. この音訓事象, ひさ こを縦半分わりに して水くみにもつかった. 大分県速見郡には朝日長者が つ く った用水のなごりをとどめるが, 水門 ぐちに瓢と盃との組みあわせをきざみつけてある (「速見. 郡史」) . ふたつともにひとつづ きのことからに属 している. くみづち >→水使-田の神・井の神 みずし ・川の神-まつりのおもむきを しめす. この瓢は朝日長者の王権徽章だった もとよ り瓢はうつ . .・ ぼだから水精の霊媒質で, 「鎮火祭祝詞」 にも火伏せの児物四種のうちにかぞえてある 神楽の . ・ よりしろ・おぎしろ ひぷ 「竃殿あそびの歌」 に してもひさ ごをうたいこめ ている. 宮城県栗原郡金成村畑の炭焼藤大は観 へつし ・. うた. ・.・. 音夢告霊験調の主人公, 京の清水観音 の託宣をうけたといって, はるばるやってきた嫁と 水鳥 , きよ に小判をなげつけたかたどおりの問答のいきさつがあ って, ついには金売から長者にのぼる 鴨 , をつかまえた水ほと りは, 金沢といいな れている ( 「栗原郡誌」) 神奈川県の金沢では称 名寺のつ . たえに, 「朝日のたださ すところ夕日の日照る木の下に黄金千杯」 うづめてあったので そ うい , - 53 一.

(16) . 中. 塩. 清. 臣. 「平家物語」 巻十一でも金洗沢とかたら う地名付与にいた っ たよるべを説く. だがここはすでに● し かねあら ・ ざわ. れている. 石川県の金沢にしても金洗沢だ った由緒をもつ. 芋掘藤五 郎が芋を掘りつつ, かつが つにけむり をあげ ていた隣のふせやへ, 大和の初瀬の長者殿のまなむすめが, 長谷観音のさとし にみちびかれてお しかけてくる. 長者殿は生玉右近方信とよぶのだが, して みると満能長者にか いくたまうこんまんのぷ. ようものであることはまちがいない. 田の面の雁に砂 金をぶっ っけてかえり, 妻にうながされて も. 芋を掘 って いた山にはいり, 莫大な黄金をくりだして洗っ たところが金洗沢, これから金沢のよ びかたがおこるとか. 鋳物師が炭焼をも自給経営につとめたわけ だったので, 炭を名づけていも ういもじ いものし÷. じ とも い っ て い た し, し だ い に 僻 地 細 民 の た べ も の と し て の い も (芋 ・ 藷 ・ 薯) → さ と い も ・ つ. くね いも」 やまのいも ・さつまいも・じゃ がい もへ, 民俗印象をうつす. 総括的に長者名の満能 (一満野.真野・真名) は, 幸若舞の本 「烏帽子折」 や巣林子の 「用明天皇職人鑑」 でわかるよ. うに, 伝承 座標は宇佐八幡の信仰序列・教団組織にしぼられてゆく. 「好色一代男」 巻一の 「…入佐山, ここに但馬の国金掘る里のほとり…」 の入佐山は, 歌枕と して 「八雲御抄」 にとりあげられ, 「催馬楽譜入交」 下・ 「歌枕名寄」 ・ 「和歌名所一覧」 -・ 「名所 今歌集」 上へうけつがれている. 「後撰集」 巻七の3 7 9) (. -. あ づ さ 弓 い るさ の 山は …. -. あづさ 弓 い るさ の 山に…. 月 のかげ. -. あづ さ 弓 い るさ の 山 の …. 月 よ り…. ー. あ づ さ 弓 … い る さ の 山 の月 ぞ さ や け き. ー. ゆく月 の入 るさ の 山 を …. 一. 夕月 夜 い る さ の 山 の …. 一. 月 の い るさ の 山 の 端 を …. 一. 妹 と我 と入 るさ の 山 の …. 一. 夕 づ く 日い るさの 山の …. 、 (「源氏物語] 花宴) 「 ( 新千載集」 巻三の2 7 8) ●. ・. (「曽丹集」 ) 「源氏物語」 末摘花) ( 「千載集」 巻三の163) ( 「平家物語」) (. ・ ●. 「催馬楽」 ・ 「源氏物語」 横笛) ( (「新勅撰集」 巻六の3 8 5). 霞江戸文学叢書本 「好色一代男」 追考には生野の銀山をあて, 「誓西 鶴全集」 に朝日‐中瀬の金 山 を あ げて い る.. -. 但馬の国 より金銀を出す. …図録に但馬の国, 小判金 ・小判銀・南鏡小判 ・但馬南鏡・小 「茅窓漫録」 下) (. 玉 銀等 数 品 載 せ た り.. 縁 語 ・ 懸詞 の メ カ ニ ズ ム か ら, 「い る さ」 ・ 「い る さ の 山」 の い ろ は 「入 る」. (四 段 活) ・ 「射. る」 (上一段活) にちが いないが, 「…一代男」 では金掘る里との副意 識からして, 「鋳る」(四 段活) それから 「沃る」 (上一段活) ・ 「妙る」 (四段活) でさえもあろう. いるさは入りぎは ・はいりかけ, 「さ」 は場所・方向・時間をしめす接尾語 である. -. 花 ゆ ゑ に 知 ら ぬ 山 路 の あ らば こ そ 入 る さ 帰 さ の 梁 を もせ め しをり. 「源有房朝臣集」) (. ) の語構成に似る. 「万葉集」 巻三の281・巻二十の4 514 「い る さ か へ さ」 は 「ゆくさくさ」 ( 「今昔物語」 には 「人の妻化して弓となり, のちに鳥となりて飛びうせる」 挿話 がある (巻三十の. 白鳥処女縞調一鳥女房一天 人 女 房 調-の史的秩序を 追っている. にわかに去ってゆく 第十四) .く ・ おとめものがたり ぐ し 他界妻が, か たみにと弓ひとはりを, 身がわりにとどめておく. あけくれ男は恋いこがれて, 手 .・.. .・. なつめ. ひ. に と り か い の ご い な ど し て 放 す ひ ま と て も な い.. 一. …さて月 ごろをふるほどに, その弓まへにたてたろが, にはかに白き鳥となりて飛びいで て, は る か に 南 を さ し て ゆ く. …男たづ ねゆきてみれば, 紀伊国にいたりぬ. その鳥また人 一 54 一.

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