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財務諸表論③

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Academic year: 2021

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2018年11月号 財務諸表論 つぶ問 3問目 問題 負債の割引価値の測定に関する,下記の設問に答えなさい。それぞれ指定された字 数を目安に解答すること。 (問1)資産除去債務の測定に際して,将来キャッシュ・フローの割引計算に無リスクの割 引率を用いるべきとする立場があるが,その根拠を説明しなさい。(150 字程度) (問2)いわゆる「負債評価のパラドックス」について,財政状態および経営成績の双方に 生じる問題が明らかになるように説明しなさい(250 字程度) 解答 (問1)資産除去債務の測定に無リスクの割引率を用いるべきとする立場は,退職給付債務 の算定との整合性や,信用リスクを調整した割引率を用いた場合には負債計上額が少なく なり,財政状態が適切に示されなくなってしまうこと,そして企業自らの不履行を前提と した資産除去債務の測定は適当でないと考えられることなどを根拠としている。(153 字) (問 2)「負債評価のパラドックス」は,負債の期末評価に際して,負債を計上している企 業のリスクを調整した割引率を用いた場合に生じる問題である。通常,信用力の低下した 企業は,要求される利回りも大きくなるため,リスクを調整した割引率を用いれば負債の 測定値は小さくなり,財政状態が適切に表せなくなる。また,負債の減少は同時に収益の 発生をもたらすことになるため,信用リスクが高まるほど,負債から生じた評価益によっ て業績が好転することになり,財務諸表利用者をミスリードする恐れがある。(232 字) 解説 資産除去債務に関連させて,負債の割引計算についての問題を出題しました。 (問1)解答の通りです。本誌の財務諸表論「資産除去債務」の中で,無リスクの割引率を 用いる根拠についてまとめてありますので,再度確認しておきましょう。なお,解答では, 無リスク割引率支持者の一般的な根拠を中心にコンパクトにまとめていますが,「資産除去 債務は有利子負債やリース債務とは異なり,明示的な金利キャッシュ・フローを含まない」と いう,会計基準が無リスクの割引率を採用した(=信用リスク調整割引率を用いないこと とした)根拠について言及するのもOK です。 (問2)負債評価のパラドックスについての出題です。通常は「負債の時価評価」によって

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生じる問題として論じられることも多いです。負債の時価には,その負債を負う企業の信 用リスクが反映されるため,リスクの高い企業ほどその時価が低く評価されるわけです。負 債だとわかりにくいという方は,資産(債券)の視点から考えてみるとわかりやすいでしょう。 借金を返済できるか怪しい企業には,なるべく利息で回収できるよう,債権者達が高い利 子率を要求するわけです。割引計算の分母が大きくなれば,現在価値はそれだけ小さくな りますから,あとはその金額を負債として負担している企業の側から捉えてあげれば…と いうことです。 なお,負債評価のパラドックスには,本問にもあるようにB/S 面と P/L 面それぞれの問 題があるとされていますので,よく整理しておくようにしましょう。

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