重要文化財世界平和記念聖堂の保存修理工事 外壁コンクリート等の施工方法について
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(2) 四 外壁の特徴. 写真 3 外壁の打ち放しコンクリートとモル タル煉瓦. 瓦棒銅板葺とし、内陣ドラムや小聖堂等は花弁状の鉄筋コンクリート造シェ. 構造は鉄筋コンクリート造で、小屋組は鉄骨トラスで、大屋根は寄棟造の. させた変化のある積み方やラフな目地仕上げにより微妙な陰影を作り出し、. 表面にはコンクリート型枠の木目が転写され、モルタル煉瓦は、所々を突出. 内部には鉄筋コンクリート造の躯体があり、二重壁となっている。柱や梁の. 形、梅形の窓枠はプレキャストコンクリートや人造石で作られている。. 開 口 部 は ス チ ー ル サ ッ シ ュ 打 ち 込 み で、 円 形 を 組 み 合 わ せ た 州 浜 形 や 雲. 重厚感の中にも温かみのある外観を生み出している。. 年に重要文化財に指 定 さ れ た 。. ルの屋根を載せて一文字銅板葺とする。聖堂は記念建築としての荘厳さと日. (以下、モルタル煉瓦)を積上げている。モルタル煉瓦は構造体ではなく、. 外壁はコンクリート打ち放しの柱梁フレーム間にセメントモルタル煉瓦. 写真 2 背側面外観全景(北東より). 本的性格を持った戦後復興における先駆的な建築として評価され、平成十八. れ、その外側は通路状の側廊・拱廊・露台となる。. メ ー ト ル を 有 し、 側 壁 は ア ー チ 列・ 洲 浜 形 の 窓 層・ 高 窓 層 の 三 層 で 構 成 さ. 階を地下聖堂、玄関広間の上階を聖歌隊席とする。身廊は、天井高一八・二. が突出し、北端には東西二方向から鐘塔へ上る外階段が取り付く。内陣の下. 写真 1 正面外観全景(西より). - 192 -.
(3) 五 コンクリート型枠の施工. (二)バラ板方式のせき板型枠. 玄関の柱と梁の接合部や東側一階の柱と壁の接合部には、せき板小口面の. ) 。これらの痕跡から、外部のせき板. コンクリート型枠は、コンクリートに直接接するせき板と、せき板を所定. が分かった。同様に内部でもせき板の小口がコンクリート面に残っている箇. 厚さは二一ミリメートルであり、せき板同士を実矧ぎで組み立てていること. 形状を示す痕跡が残っていた(写真. の位置に固定する支保工で構成される。建物に残る痕跡と古写真から聖堂で. 所があり、せき板厚さは一五ミリメートルで、せき板同士を相欠き継ぎとし. (一)型枠の種類. 使用されていた型枠は、バラ板方式と框式せき板の二種類を確認できた。打. ていた(写真. ) 。外部と内部でせき板の厚さや接合方法が異なるのは、外. ち放しとなる柱や梁のほか、幅狭部や不整形な部位に使われたのがバラ板方. 4. 式で、一定幅のバラ板材を並べ、これを桟木や根太に釘止めして各部材面ご. あり、剛性の高い方法が取られたと考えられる。. 部は打放し仕上げであるため、意匠的にもより精度の高い躯体施工が必要で. 聖堂本体の外部の柱のせき板幅を実測すると、ほとんどが一五〇と一六七. とにせき板を施工する方法である。一方、主に壁・床・基礎等のうち見え隠 れとなる部位に使われたのが框式せき板で、バラ板の周囲に框(枠)を回し. ミリメートルであった。打ち放しの柱の多くは幅六〇〇ミリメートルで、一. ①)。玄関隅柱. て中桟を入れ、せき板をパネル化したものである。なお、框式せき板型枠は. 日本建築学会『建築学会パンフレット 鉄筋 コンクリート構造施工指針』(昭和 3 年)p.21 より. 6. 実矧ぎ(画面中央)と止め釘(画面下)の 跡が残る. では中二階より上下で柱幅が変わり、下部が一、二〇〇ミリメートル、上部. 「實用新案出願公告第五八〇七號 第四十九 類 十三.混凝土型枠」p135(特許庁電子図 書)より転載. 写真 4 外壁打ち放しコンクリート面の 型枠の痕跡. - 193 -. 5. 五〇ミリメートル幅のせき板四枚で構成されていた(写真 ) 。. 図 2 框式せき板型枠(框式混凝土堰枠) と緊結方法の図. こ じま や さ ひさ. (二). 2. 清水組(現清水建設㈱)の工事長小島彌三久によって考案され、大正十三年. 図 1 バラ板方式による型枠の模式図. には「框式混凝土堰枠」として、実用新案に登録された(図. 修復トピックス.
(4) が一、〇〇〇ミリメートルである。こうした場合は、上から下まで板割を合. 仕上げが施される壁や床、天井などの効率的に転用が可能な比較的広く整形. き板の転用が可能であり、板継ぎ目の漏えいが少ないなどの利点があった。. る(同④、⑤)。ただし、最上階の梁など上記以外の寸法では幅狭や幅広の. 小 屋 裏 の 見 え 隠 れ と な る 部 分 に 使 わ れ た 框 式 せ き 板 で は、 現 状 の コ ン ク. (四)型枠の締付け方法. く一部に用いられた。. な部位の施工に用いられた。外壁打ち放し面では、鐘塔の開口部周囲などご. わせて、端の一枚に幅の狭いせき板が使われていた(同②、③) 。 一方、梁のせき板幅は一三六~一六七ミリメートルがほとんどであった。 梁成は五〇〇ミリメートルと六〇〇ミリメートルが多く、それぞれ一六七ミ. せき板が混在していた。柱は最下部から最上部までを連続して通るが、梁は. リート表面に多数の切断された番線が残っており、せき板の締付けは番線で. リメートル幅のせき板三枚と一五〇ミリメートル幅のせき板四枚で構成され. 柱部分で分断する。しかし、外壁の見付けの柱・梁の板割は上下あるいは左. )。. 行われたことがわかる(写真. ) 、これとコンク. 右のすべてが通っており、表面に転写された木目が外観を特徴づけている。. 側 廊 の 天 井 裏 に は 当 初 の 型 枠 が 存 置 し て お り( 写 真. (三)框式せき板型枠(木製定尺パネル). 一方でバラ板方式では、金具類やその使用痕が残っていないため、どのよ. )によれば、バラ板と桟木で組立てられたせき板が柱の. うな締付け方法が採用されたか不明であるが、建設中の玄関柱を北から南へ 見た古写真(写真. 合うせき板の小口は、相欠きで組まれていた。せき板の幅は、六五~一五〇. トルで、縦框の一部切欠いて納め、要所を釘で止め付けている。また、隣り. 入れで組み、長手面から釘止めされていた。せき板の厚さは約一二ミリメー. 長辺方向に幅三〇ミリメートルの中桟が入る。また、框の仕口部は、傾ぎ大. れたようである。外周は断面三〇×六〇ミリメートルの框で枠組みを作り、. 一五、四五五ミリメートルなどがあり、施工範囲の条件に応じて使い分けさ. 寸法は幅六〇六×長さ一、八一八ミリメートルを標準とし、その他に幅が三. レット 鉄筋コンクリート構造施工指針』によれば、番線(緊張線#八)に よるものや、ボルト、プレートを用いた施工方法があり(図 ) 、古写真か. は、型枠全体を堅固に締付ける必要があり、日本建築学会『建築学会パンフ. 付 け て お り、 柱 各 面 の せ き 板 を 堅 固 に し て い る。 コ ン ク リ ー ト を 打 込 む に. され、隅では隣り合う面から伸びる桟木との交差部に縦方向に端太角を取り. 板の内側から釘で桟木へ打ち付けて止めたとみられる。桟木は一定間隔に配. れ、それに直交して並べた桟木で一体化されていることから、バラ板はせき. き板幅が六五~九五ミリメートルと他の部分に比べて小さい傾向があった。. 型枠の間隔を一定に保つために用いるセパレーターには、当時は鉄製、モ. (五)セパレーターとモルタルスペーサー. は縦および横向きの両方が併用され、一面で混在している場合もあるなど、. ルタル製、パイプ製、木製、竹製が用いられていたようである。聖堂では木. 框式せき板型枠の使用方向は、横向きを基本に使用され、縦長の施工面で. 現場合わせで施工されていた。框式せき板型枠はせき板の定尺パネルで、せ. 4. - 194 -. 8. 各面に取り付けられているとわかる。せき板には、バラ板が縦方向に並べら. 9. らは判然としないがこうした方法が用いられたことも考えられる。. リート面に残る型枠の跡より実測した標準図を図 に示す。せき板面の外形. 7. ミリメートルとバラつきがあり、特に両端部の一枚は寸法調整のためか、せ. 3.
(5) 修復トピックス. 写真 5 側廊天井裏の内壁に残るせき板. バラ板方式によるせき板は板同士を相欠き で組んでいる. ⑤167×3≒500. ③150×6+100×1=1,000. 図 3 標準的な框式せき板型枠の実測図. ②150×8=1,200. ④150×4=600. ①150×4=600. 写真 8 聖歌隊席小屋裏のコンクリート壁面 に残る番線. 写真 6 玄関南面打ち放しコンクリート の柱・梁 柱・梁とも板割が前後左右に通っている. 写真 7 側廊天井裏に残る当初の型枠. アーチ部分や天井スラブには框式せき板型 枠が使われ,柱や梁,壁にはバラ板方式の せき板が使われている. 写真 9 玄関柱の建設中の古写真 (カトリック広島司教区所蔵). - 195 -.
(6) に示すように、コンクリート等の堅固な架台を基礎とし、. 主柱四本に横つなぎ材や筋違を組み合わせた箱形のマスト(支柱、同図イ). その構造は図. 木製セパレーターは、地下の外壁や二重壁内の躯体コンクリート面など化. 製と鉄製の使用が確 認 さ れ た 。. 内部に、ガイドレールに導かれたバケット(鍋、同図ロ)がウィンチなどに. は二一ミリメートルのものが多く、釘の一部が木口に残っているものがあっ. ホ ッ パ ー( 練 混 ぜ た コ ン ク リ ー ト を シ ュ ー ト へ 流 す 枡、 同 図 ハ ) へ コ ン ク. より巻き上げられた。バケットは所定の位置で鍋返しにより反転し、タワー. タワーホッパーからデリックブーム(鉄製ブーム、同図ニ)に直交して取. た。外部に用いたせき板を加工して再利用したため、厚みがどれもほぼ同等. め、せき板面から釘止めし脱型後に釘の先端を折り曲げたものと思われる。. 付けられているシュート(流樋、同図ホ)を介して流れ出たコンクリートを. リートを排出した。. 地下外壁の框式せき板型枠で施工された部分では、間隔は長辺方向が約〇・. フロアーホッパー(同図ヘ)で受け、二輪のコンクリートカート(同図ト). へ移し替え、打込み部まで水平運搬された。古写真より基礎工事における掘. 下) 。. 下面にモルタルスペーサーと思われる跡が残っていた。玄関正面側の南端間. 外壁のモルタル煉瓦は、コンクリート躯体施工後に柱・梁間に積まれたも. ) 。モルタル煉瓦の壁厚は一枚積で、躯体コンクリートのない. のであるためモルタル煉瓦の内側には躯体があり、二重壁となっている。古. サ ー の 底 面 と み ら れ る 跡 が あ っ た( 写 真. 長 方 形 で、 底 面 は 平 坦 に 整 形 さ れ た と み ら れ、 間 隔 は 短 辺 方 向 が〇・七 六. )、過去の改修工事で外部の煉瓦目. ) 。煉瓦壁の転倒防止のために、当初は番線でモルタ 15. 地より躯体へ向かってステンレスのジベル筋アンカーを打ち込んでエポキシ. ル煉瓦と躯体を緊結していたが(写真. ねられていた(写真. があり、コンクリート躯体の表面にはモルタル防水が施され、梁上端から躯. 上) 。このクレーンは、当時コンク. 体の立ち上がり二〇〇ミリメートル程度には、さらに防水モルタルが塗り重. (三). リートタワーと呼ばれ、比較的軽量な資材の揚重も可能であったが、主に現 場内のコンクリート運搬に用いられていた。. 16. も タ ワ ー ク レ ー ン が 映 っ て い る( 写 真. 基礎および躯体のコンクリート工事を記録した古写真は数点あり、いずれ. (四). ル煉瓦と躯体コンクリートとの間には四〇~一六〇ミリメートルほどの隙間. 鐘塔七、八階の東西面両端間や内陣外壁上部は半枚積となっている。モルタ. ある(写真. の大梁は幅一・〇メートル、長一・四メートルで下端に四つのモルタルスペー. 六 外壁モルタル煉瓦の施工. 工事では足場を整備してカートで運搬していた(写真. 鉄製セパレーターは、鐘塔内壁側の数箇所のみに存置されていた。三叉槍 、図. 削土の運搬には、線路を敷設してトロッコが使われていたが、コンクリート. のような断面形状で左右両端の爪を折り曲げている(写真. ) 。尖端. 九メートル、短辺方向が〇・六メートルで設置されていた。. であったとみられる。木口の釘は、セパレーターを所定の位置に固定するた. 粧 面 で は な い 部 分 に 多 数 残 っ て い た( 写 真. ) 。断面は長方形で木口の短辺. 6. 写真にはモルタル煉瓦を施工する前の躯体コンクリートが露出している姿が. 型枠と鉄筋との間隔を正確に保つために用いるスペーサーは、玄関の大梁. 隔を一定にする板止めとして加工されたものと思われる。. 部はせき板に差込み易いよう尖っており、両側の折り曲げた爪はせき板の間. 5. ) 。モルタルスペーサーの形状は. 13. 12. (六)コンクリー ト の 現 場 内 の 運 搬. メートル、長辺方向が約一メートルであった。. 14. - 196 -. 10. 11. 13.
(7) 修復トピックス. 写真 12 鐘塔内壁の鉄製セパレーター. 図 4 バラ板方式による柱の外締め施工例. 日本建築学会『建築学会パンフレット 鉄筋コンク リート構造施工指針』 (昭和 3 年)p.19 より転載. 図 5 鉄製セパレーターの実測図. (イ) (ニ). (ロ). 写真 10 階段室内壁の木製セパレーターと番 線 1 階階段室(北)の内部の二重壁(煉瓦壁)を 解体するとコンクリート壁面に木製セパレー ターや番線が多数残っていた. (ハ) (チ). (ホ) (ヘ) (ト). 図 6 コンクリートタワーの模式図. 田村浩一・近藤時夫『コンクリートの歴史』(山海 堂,昭和 59 年)p.298 より転載し, (イ)から(ト) の記号を追記した. 写真 11 玄関大梁下端のモルタルスペーサー の痕跡. - 197 -.
(8) 写真 15 北面中 2 階梁上の二重壁内のモルタ ル防水(外壁モルタル煉瓦部分解体). 写真 16 二重壁内の煉瓦と躯体を緊結してい る番線 写真 13 基礎および躯体のコンクリート工 事の状況(カトリック広島司教区所蔵) 上:コンクリートタワーによる躯体工事 下:コンクリートカートによる運搬. 図 7 標準的なモルタル煉瓦の実測図. 写真 14 建設中の古写真(カトリック広島司教 区所蔵). 図 8 外壁二重壁の断面図(中 2 階南北面). - 198 -. モルタル煉瓦施工前のため躯体コンクリー トが露出し,鐘塔の最上階( 7,8 階)の両 端間は躯体がなく開口となっている.
(9) 樹脂で固定していた 。 煉瓦積はイギリス積を基本として所々煉瓦を突出させている。開口部の上 部にはアーチ積が用いられ、テーパーのついた煉瓦も使われているが、一部 はモルタル塗によって煉瓦の形状に整形されていた。煉瓦目地にはセメント と砂を混ぜたモルタルが用いられ、縦横の目地とも不規則に盛り上げたり、 はみ出ししたりして 粗 く 仕 上 げ て い た 。 モルタル煉瓦はプレキャストコンクリートと同様に当時現場で製作された もので、荷重を少なくするために中空となっていた。寸法は二三〇×一一〇. )。なお、空隙部分は脱型しやすいようにテーパー. ×五六ミリメートルで、内部に七二×五六×三六ミリメートルの空隙が二箇 所 設 け ら れ て い た( 図 がつけられていた。. 聖堂記は建立の由来を鉄筋コンクリート造の版の表面に刻んだもので、鐘. れていた。両面ともに内部の鉄筋には丸鋼が使用され、配筋間隔は一定では. 面ともせき板幅はほぼ一七〇ミリメートルと均一で、縦張り二四枚で構成さ. おり、これを剥すと表面にバラ板方式によるせき板の痕が残っていた。東西. 塔東西面の二階から中三階の柱・梁間に設置されている。地上でコンクリー. 西側の聖堂記の日本語文字は、版表面に文字を転写して手彫りしたとみら. ないが、平均すると西面が縦横一五〇ミリメートル、東面が縦横二二〇ミリ. ら、八〇~一〇〇ミリメートル程度であった。聖堂記の躯体コンクリートへ. れ、深さや幅が一定ではない。文字は陰影が出やすいように縦方向を浅く、. ト版を製作し文字を印刻したうえで躯体に取り付けたとみられる。縦横とも. の固定方法は詳らかでないが、聖堂記の裏側となる鐘塔内壁面には直径三〇. 横方向を深く彫り込んでいた(写真. ) 。一方で、東側聖堂記のラテン語文. ~四〇センチメートル程度の孔を閉塞した痕跡が東西とも二箇所ずつあった. 字は、木型などで一文字ずつ文字型を製作したとみられ、深さや幅が一定で. メートルで、どちらもシングル配筋であった。. 七 聖堂記の施工. 写真 18 鐘塔東面の聖堂記(ラテン語 文字). (写真 )。この部分をコア抜きして内部の構造を確認したところ、版裏側に は 環 状 に 突 出 し た 鉄 筋 が あ り、 躯 体 の 主 筋 と 番 線 で 緊 結 し て い た( 写 真. 真. ) 、脱型の際にコンクリート側に残ったとみられる。. ある。文字底には木型をせき板に止めていたとみられる釘が残っており(写. 21. - 199 -. 写真 17 鐘塔西面の聖堂記(日本語文 字). 約三・九 メ ー ト ル で 厚 さ は 非 破 壊 検 査( 電 磁 波 レ ー ダ ー 法 ) に よ る 測 定 か. 7. 版の表面には、過去の改修工事においてセメント系の被覆材が施工されて. 22. 19. )。 ま た、 孔 よ り 下 部 で は 躯 体 と の 隙 間 に コ ン ク リ ー ト が 充 填 さ れ て お. 20. り、この孔より版の取り付けを行ったとみられる。. 修復トピックス.
(10) 写真 23 鐘塔 6 階のプレキャストコン クリート窓枠. 写真 19 鐘塔西内壁(聖堂記裏側)の 孔の閉塞痕. 写真 24 建設中の古写真(カトリック広島. 写真 20 聖堂記裏側の環状の鉄筋と躯 体の鉄筋. 司教区所蔵). プレキャストコンクリート窓枠の外周の 見込み部分には鉄筋が飛び出している. 鉄筋同士は番線で緊結されていた(写 真は番線取り外し後). 写真 25 東側のコンクリート腰塀. 写真 21 鐘塔西面の聖堂記の日本語文 字(被覆材剥離後). 写 真 26 東 側 窓 下 の 地 中 部 分 の 外 壁 (掘削後). 写真 22 鐘塔東面の聖堂記のラテン語 文字. - 200 -. 文字型を型枠に止めていたとみられる 釘が残っている.
(11) 仕上げの人造石ブロックがある。コンクリートブロックは鐘塔六階の花弁形. ある。コンクリート打ち放し仕上げのコンクリートブロックと人造石塗叩き. いる。工場で製作されたものではなく、ほとんどは現場で製作されたようで. プレキャストコンクリートは内外部の開口枠や手摺の笠木などに使われて. 八 プレキャストコンクリートの施工. を重視して外部や内部で使い分けられていることがわかった。. 枠の種類や締め付け方法、せき板の割り付けなどが、施工性だけでなく意匠. 和二十年代後半のコンクリート施工方法の一端が明らかになった。また、型. コンクリート型枠について報告した。本稿では断片的な報告ではあるが、昭. 古写真と合わせて工事の過程で明らかになった当初の施工について、主に. 十 おわりに. (五). や円形の開口枠、内陣南北面の薔薇窓枠などに使われ、外側の見附け部分は. に数度の改修工事が実施されたことにより、今日まで比較的良好な状態が維. 聖堂では当初のコンクリート材料・施工が良好であったことと、これまで. プレキャストコンクリート窓枠の取り付けを古写真から推測すると、あら. 持されてきた。そのため、今回の保存修理工事において、外壁コンクリート. 金鏝で仕上げられているが、見込み部分にはせき板の痕が残る(写真 ) 。. かじめ窓枠よりも大きい開口を躯体に設けて、プレキャストコンクリート窓. は経年劣化による部分的な補修に留まり、幸いにも大掛かりなコンクリート. (一)フ ーゴ・マキビ・エノミヤ=ラッサール。一八九八年ドイツ生まれで、 昭和四年に来日し、上智大学で教鞭を執り、同十一年より広島で教会活. 註. 態で、建物が後世に引き継がれているのではないだろうか。. 見てほしい」と語っていたという。まさに、設計者が思い描いた形に近い状. 野藤吾は生前、 「この建物は一〇年後、二〇年後、あるいは五〇年後の姿を. がらも良好な状態を保ちながら風格を高めてきたと言える。設計者である村. の解体をせずに修理することができた。経年により外壁が緩やかに変化しな. ) 、周囲をモル. 枠の内部に組んだ鉄筋を外周縁より突出させておき(写真 タルで埋めることで一体化させたとみられる。. 九 コンクリート腰塀の施工. )。この腰塀は地下室のある周囲に設置されており、当初の設. 玄関の東側から地下階段室にかけて矩折に長さ二二メートルに渡って巡って い る( 写 真. る。特に東側の窓下の外壁は、コンクリートではなくモルタル煉瓦やモルタ )、建設当初は現状より高さのある窓を計画していたと. 動を展開。同二十三年に日本に帰化し、日本名は愛宮真備(えのみやま. ル で 塞 が れ( 写 真. みられる。設計変更によってドライエリアを中止したため、地中に埋まる窓. きび) 。. 置したとみられる。その際、後から施工する腰塀と犬走りを一体化するため. に、あらかじめ犬走りに鉄筋が差し込まれていた。. 広告された。コンクリート型枠用合板が普及する昭和三十年代まで使用. (二) 框 式せき板型枠は、大正六年(一九一七年)頃に「富士紡績小山工場」 (大正十三年竣工)で使用され、実用新案は大正十三年十二月二十日に. 下部分を後から塞いだと考えられる。腰塀は外側をバラ板方式、内側を框式. 26. - 201 -. 23. 建物の背面側には高さ〇・七メートルの鉄筋コンクリート造の腰塀が、脇. 24. 計 図 で は ド ラ イ エ リ ア の 記 載 が あ る こ と か ら、 そ の 名 残 で あ る と 考 え ら れ. 25. せき板型枠とし、基礎のフーチングはなく犬走りのコンクリート打設後に設. 修復トピックス.
(12) さ れ て い た( 参 考 文 献: 清 水 建 設 株 式 会 社『 清 水 建 設 研 究 報 告 』 四、平成二十九年、『清水建設二百年 生産編』平成十五年) 。. 九. (五「 )聖 堂の建築」(『建築雑誌』 七一№八三五、一九五六年六月)の中で 村野は、「煉瓦でも、人造石ブロックでも出来るものは大体外注しない. ないとされる。. (四) 防 水 性 能 を 持 っ て い る 防 水 モ ル タ ル の 塗 り 仕 上 げ に よ っ て 防 水 す る こ と。『建築大辞典』によれば、この工法だけでは完全な防水は期待でき. (三) コンクリートを垂直輸送する仮設の楊重装置。コンクリートエレベータ. ともいう(『建築大辞典 第二版』彰国社より) 。. vol.. で現場で造った。人の高さの四五倍もありそうなローズウインドや、其 の他のブロック類も全部現場で造ったものばかりである」と述べてい る。. 参考文献 石丸紀興『世界平和記念聖堂 広島にみる村野藤吾の建築』相模書房、一九 八八年 カトリック広島司教区世界平和記念聖堂献堂 周年実行委員『世界平和記念 50. (せお まさゆき 公益財団法人 文 化財建造物保存技術協会). - 202 -. vol.. 聖堂 献堂 周年記念誌』二〇〇五年 カ ト リ ッ ク 広 島 司 教 区『 重 要 文 化 財 世 界 平 和 記 念 聖 堂 保 存 修 理 工 事 報 告 書 』 二〇一九年. 50.
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