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課題解決型海外インターンシップが異文化理解力にもたらす効果とその規定要因

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(1)課題解決型海外インターンシップが異文化理解力にもたらす効果とその規定要因. 課題解決型海外インターンシップが 異文化理解力にもたらす効果とその規定要因 見舘. 好隆(北九州市立大学). The Effects of Project Based Learning in Overseas Internships on Students’ Cross-Cultural Understanding and the Determining Factors of those Effects Yoshitaka MITATE (The University of Kitakyushu) 要 旨. 1.背景と目的. 2018、2019 年度の本学の課題解決型の海外インタ. 単位認定しているインターンシップを実施してい. ーンシップに参加した学生 73 名に対し、事前・事後. る大学は 84.7%(文部科学省 2019)に上り、ほとん. に質問紙を実施し、 「異文化理解力」が向上している. どの大学がインターンシップをカリキュラムに導入. か分析を行った。仮説は以下の2つとした。①課題. する時代となった。また、大学生の参加率も 79.9%. 解決型の海外インターンシップは、異文化理解力を. (マイナビ 2019)と約8割が参加しており、インタ. 向上させる、②課題解決型の海外インターンシップ. ーンシップは学生にとってもキャリア形成および就. には、異文化理解力を向上させる仕組みがある。結. 職活動においても重要なイベントになり、インター. 果、好奇心・オープンマインド・アサーティブネス・. ンシップに関する研究も多く発表されている(見舘. 失敗力・グリットが1~5%水準で向上しており、. 2017) 。. 仮説①が一部認められた。また仮説②については、. しかし、海外インターンシップについては、実施. 「実働日数」を軸に、 「社員との交流頻度」と「課題. 率は 27.2%(文部科学省 2019)と約3割の大学が実. 自由度」が「オープンマインド」にプラスの影響を. 施しているが、参加率は 0.2%と非常に少ない。また、. 与える可能性が示唆され、逆に「所属」 「学年」 「性. 海外インターンシップの教育的効果について、例え. 別」は影響しないことが示唆された。さらに「好奇. ば野口ほか(2008)は学習意欲や学習リテラシー、. 心」は「海外生活」が、 「オープンマインド」は「現. 山下ほか(2016)は異文化理解力や創造性、村上ほ. 地の人々との交流」が、 「アサーティブネス」は「他. か(2017)は異文化理解力やデータ処理能力、英語. 学生との交流」が、そして「失敗力」 「グリット」は. 力など、森下・河合(2015)は英語力、天木(2016). 「業務」がプラスの影響を与える可能性が示唆され. は海外で働く意欲、千葉(2010)は就業意識の変化. た。. や自己効力感、語学力、異文化の受容性、伊藤ほか (2018)はグローバルなものの見方や考え方、葉山 (2012)は異文化の中での仕事の厳しさの実感と語. キーワード:海外インターンシップ、PBL、異文化. 学力の向上が期待できると述べている。しかし、こ. 理解力. れらはアンケート集計に留まり、統計分析された示 唆ではない。また、海外インターンシップを効果的. 43.

(2) ビジネス実務論集 No.38. に実施する点においては、野口ほか(2008)は経済. 図表1 海外インターンシップ参加者の. 的支援の必要性を、早坂(2013)は「employability. 所属や学年、性別、人数など. (就労力) 」 「英語力」を事前に高める必要性を指摘 している。しかし、その数はまだ少なく、海外イン ターンシップの成果を挙げる要因について深く分析 はまだされていない。 そこで本研究は、2018 年度および 2019 年度の本 学の海外インターンシップに参加した学生 73 名に 対し、向上が期待できる「異文化理解力」について 分析を行った。異文化理解力とは「育った環境や価 値観が異なる人と働くときに、行き違いや対立を避 け、確かな信頼を築く技術(エリン・メイヤー2015) 」 である。異文化理解力を測定する理由は、異文化理 解に関する力の向上が前述した先行研究の中での成 果の中で最も多く、また、国内インターンシップで はなく、海外インターンシップだからこそ獲得でき る力としてふさわしいと考えたからである。 仮説は以下の2つとした。 ① 課題解決型海外インターンシップは、 異文化理解力を向上させる ② 課題解決型海外インターンシップには、 異文化理解力を向上させる仕組みがある。. 増え、2018 年度は説明会に 320 名が集まり、うち 77 名が面接に参加した。2019 年度は説明会に 340 名は. 2.本学の海外インターンシップについて. 集まり、うち 48 名が面接に参加した。 本学の海外インターンシップには4つの特徴があ. 北九州市立大学の北方キャンパスの課題解決型海. る 。 第 一 は 学 生 用 の 業 務 を 用 意 す る OJT 型. 外インターンシップ(以下、海外インターンシップ). (On-the-Job Training) ではなく、 PBL 型 (Project-Based. は、2012 年 9 月に文部科学省の補助事業「グローバ. Learning)である点である。理由は、当初 OJT 型の. ル人材育成推進事業」に採択され生まれた、. みで運営していたが、受入団体の負担が多く、持続. Kitakyushu Global Pioneers(以下 KGP)の制度の一つ. 的なプログラムとして維持することが難しくなった. であり、2013 年度よりスタートした。時期は夏季長. こと、また、目的の一つである異文化理解力の促進. 期休暇限定で、目的は KGP で身に付けた語学力を海. にばらつきが出てしまうことが懸念されるためだ。. 外にて働くことでブラッシュアップしつつ、異文化. よって、まず期間については、必ず2週間以上で、. 理解力を身に付ける機会と位置付け、渡航費用の一. できるだけ長期でと依頼している。結果、実働実数. 部(欧米5万円、アジア2万円)や海外旅行保険の. は2週間から休日を除いた 10 日間が最短で、最長は. 費用を一部負担する制度である。当初は特任教員を. 32 日間から休日を除いた 27 日間となり、 平均は 16.9. 雇用してプログラム開発をし、2016 年度には 24 プ. 日だった。次に、 「渡航前の事前課題」 「中間発表の. ログラム・50 名の学生を派遣したが、文科省からの. 機会と厳しい改善点の指摘」 「最終発表の機会とフィ. 資金提供が終了したため、2017 年度より本学独自で. ードバック」を依頼し、現地社員の皆様との交流機. の運営に切り替わり、2018 年度は 17 プログラム・. 会やフィールドワークの機会を多く創っていただく. 37 名、2019 年度は 21 プログラム・36 名が参加した. ことを依頼している(本稿の参考文献の後にある図. (図表1参照) 。なお、本プログラムは年々志望者が. 表2参照) 。. 44.

(3) 課題解決型海外インターンシップが異文化理解力にもたらす効果とその規定要因. 第二は豊富な事前学習と事後学習の実施である. 3.研究方法. (図表3参照) 。理由は、海外だからこそ国内のよう なサポートができないため、トラブルや体調不良時. 仮説①については、事前・事後で、異文化理解力. に冷静に対処できるようにすること、また渡航後ス. を測定する質問紙を実施して、その平均値の差に有. ムーズに活動にできるようにすること、そしてリフ. 意差があるかを確認する。測定した異文化理解力は. レクションの機会を多く作ることで、学びを腑に落. 図表4に示す。. とすことを強く促すためである。. 異文化理解力を構成する要素として、八代ほか. 第三は担当教員が現地にて直接交渉しプログラム. (2001)は 10 要素に、八代ほか(2010)は6要素に. 開発していることである。理由は、旅行会社などに. 分類し、またエリン・メイヤー(2015)は異文化理. 支払うコーディネートフィーをカットすることで、. 解力を8つの視点での文化の違いを把握することを. 学生は渡航費のみで参加できるようにし、費用が支. 指摘しており、これらを敷衍して共通性の高い6つ. 払えない学生を少なくするようにするためである。. の要素( 「好奇心」 「オープンマインド」 「アサーティ. また、受入先の職場や周囲の環境の安全性を確認す. ブネス」 「失敗力」 「判断力」 「グリット」 )を選んだ。. るためでもある。. 質問紙作成には、 「好奇心」を西川一二・雨宮俊彦. 第四は担当教員がインターンシップ中に各受入先. (2015) 、 「アサーティブネス」を八代京子・荒木晶. に訪れていることである。理由は担当教員と受入先. 子・樋口容視子・山本志都・コミサロフ喜美. との信頼関係を基盤に運営しているため、学生を送 り出してそのままというわけには当然いかず、実施. 図表4 事前・事後に実施した、. 中に訪問して受入先や学生から課題を吸い上げ対処. 異文化理解力を測定する質問紙項目. しつつ、受入先に感謝を伝えることが肝要となるた めである。また、インターンシップ中に担当教員が 顔を出すことは、学生にとっても緊張がほぐれる。 さらに、長期間我が子を海外に送り出している保護 者にとっても、本プログラムを運営する教職員にと っても安心感を与えるためである。もちろん、コス トは発生するが、外注によって発生するコーディネ ートフィーに比べ格段に安く、持続性担保にも繋が っている。 図表3 事前学習・事後学習の内容 大学. 事前. . キックオフミーティング. . 課題解決のノウハウ. . 異文化理解. . 保険の知識と危機管理. . 社会人マナー. . 出発直前ミーティング. 受入先. 渡航前に 課題が提示される 企業も一部あり. 事後. . 振り返りレポート. 帰国後、. . 報告書作成. 成果を納品する. . 学内発表会. 企業も一部あり. 45.

(4) ビジネス実務論集 No.38. 図表5 帰国後実施したインターンシップの. 「オープンマインド」 が 5%水準で向上しており、 「判. 期間や内容などの質問紙項目. 断力」を除き有意に向上していることが示唆され、 仮説①が一部認められた(図表6) 。. . 実働日数(実際に働いた日数). . 社員との交流の頻度(リアルな対話に限る). . 他学生との交流の頻度(リアルな対話に限る). 「社員との交流頻度」 「他学生との交流頻度」 「課題. . 課題の難易度. の難易度」 「課題の自由度」のそれぞれの数値の平均. . 課題の自由度. より高い群・低い群との 4 つの組み合わせについて、. . 異文化理解力が向上した理由. 一要因の分散分析を行った。. 次に、 「実働日数」が平均より長い群・短い群と、. 結果、 「実働日数×社員との交流頻度」が F(3,69). (自由記述。2019 年度のみ). =3.249、p<.05 で、5%水準で「オープンマインド」 (2001) 、 「オープンマインド」と「失敗力」 「判断力」. の向上にプラスの影響を与えている可能性が示唆さ. を八代京子・世良時子・小道迷子(2010) 、 「グリッ. れた。 「実働日数×社員との交流頻度」の 4 群におけ. ト」をアンジェラ・ダックワース(2016)を用いて. る多重比較の結果については、 「実働日数が長くて社. 作成した。各5問ずつ設計し、事前事後それぞれの. 員との交流頻度が少ない群」は、 「実働日数が短くて. 結果に対し信頼性チェックを行った。結果、 「好奇心」. 社員との交流頻度が少ない群」よりも向上している. は5問そのまま(α 係数:事前 0.754/事後 0.801) 、 「失. ことが認められた(p=.032、図表7) 。. 敗力」は4問を(事前 0.744/事後 0.625) 、 「判断力」. また、 「実働日数×課題自由度」が F(3,69)=3.617、 p<.05 となり、5%水準で「オープンマインド」の向. は4問を(事前 0.750/事後 0.719) 、 「グリット」は4 問を使用した(事前 0.674/事後 0.661) 。 「オープンマ. 図表6 異文化理解力は向上したのか?. インド」と「アサーティブネス」はそれぞれ2問ま で絞ったため、相関係数を確認したところ、0.4 以上 となり正の相関が認められたので使用した(オープ ンマインド 0.469/アサーティブネス 0.438) 。 仮説②については、帰国後、インターンシップの 期間や内容についての質問紙(図表5)を実施し、 先行研究で影響が強いと示唆されている実働日数. 図表7 実働日数×社員との交流頻度が. (堀田2006、 亀野 2009、 吉本 2010、 文部科学省2013、 経済産業省・エティック 2014、古田 2014)を軸に、 見舘(2017)がインターンシップにおける成長を促 進する要因として指摘している「社員との交流頻度」 「他学生との交流頻度」 「課題の難易度」 「課題の自 由度」について一要因の分散分析を確認する。また、 事前・事後に行った自らの異文化理解力アンケート の結果を学生一人一人に渡し、向上している異文化 理解力について、なぜ向上したのかを記述した自由 記述を分析する。 4.結果 異文化理解力を測定する質問紙の事前・事後につ いて、t検定を用いて比較した結果、 「好奇心」 「ア サーティブネス」 「失敗力」 「グリット」が 1%水準、. 46. オープンマインドの向上に寄与.

(5) 課題解決型海外インターンシップが異文化理解力にもたらす効果とその規定要因. 「グリット」は 上にプラスの影響を与えている可能性が示唆された。 人々との交流」が、そして「失敗力」 「実働日数×課題の自由度」の 4 群における多重比. 「業務」がプラスの影響を与える可能性が示唆され. 較の結果については、 「実働日数が長くて課題の自由. た(図表9。最も数が多かった要因を太字で表記) 。. 度が高い群」は、 「実働日数が短くて課題の自由度が 5.考察. 高い群」よりも向上していることが認められた(p =.011、図表8) 。 なお、 「実働日数×課題自由度」が「判断力」にプ. 仮説②「課題解決型海外インターンシップには、. ラスの影響を与える可能性が示唆されたが、4群に. 異文化理解力を向上させる仕組みがある」について. おける多重比較では差が認められず、その仕組みは. 考察する。. 確認できなかった。なお、 「実働日数」を軸に「所属」. まず、 「好奇心」 「アサーティブネス」 「失敗力」 「グ. 「学年」 「性別」についてもそれぞれ分析したが有意. リット」が1%水準、 「オープンマインド」が5%水. 差は認められず、異文化理解力の向上に影響しない. 準で向上しており、 「判断力」を除き有意に向上して. ことが示唆された。. いることが示唆された点について考察する。 「好奇心」. さらに 2019 年度の「判断力」以外の6項目の異文. 「アサーティブネス」 「失敗力」 「グリット」は、一. 化理解力について、なぜ向上したのかについて記述. 定期間海外で生活しながら業務の中で課題に取り組. した自由記述について分析した結果、 「好奇心」は「業. むため、否応なしに社員や他学生、現地の人々のコ. 務(課題に挑む行動を含む) 」と「海外生活」が、 「オ. ミュニケーションが国内のインターンシップよりも. ープンマインド」は「現地の人々との交流」が、 「ア. 強いられることになり向上したことが推察される。. サーティブネス」は「他学生との交流」と「現地の. ただし、 「判断力」について、課題の内容や実働日数 の組み合わせによっては即断が強いられたり、逆に. 図表8 実働日数×課題の自由度が. 冷静な判断が必要になったりするなど多様であり、. オープンマインドの向上に寄与. シンプルに向上が認められなかったと推察する。実 際、 「実働日数×課題自由度」の一要因の分散分析の 結果においては、有意差が認められたものの、4 群 における有意差は確認できなかった点でもその可能 性があると考える。 次に、 「実働日数」を軸に、 「社員との交流頻度」 と「課題自由度」が「オープンマインド」にプラス の影響を与える可能性が示唆され、逆に「所属」 「学 年」 「性別」は影響しないことが示唆された点につい て考察する。オープンマインドとは、柔軟な思考力 を持つことである。すなわち、実働日数が長いほど、 とりあえず行動し、振り返り、その行動から得た学 びを言語化し、仮説を立て、また行動へつながる、 いわゆる経験学習モデルを何度も回す機会があるこ とが推察される。同時に、社員からのフィードバッ クに何度も気付きを与えられること、そして課題の. 図表9 学生が記述した成長要因の分類結果. 自由度が高いほど、先入観を排した柔軟な発想が求 められることが、オープンマインドの向上に寄与し ていることが推察される。 最後に、学生自らの振り返りにおける、異文化理 解力の向上の理由のテキスト分析の結果、 「好奇心」. 47.

(6) ビジネス実務論集 No.38. は「海外生活」が、 「オープンマインド」は「現地の. のぶつかり合いにおいて、 「言葉で伝えなければ伝わ. 人々との交流」が、 「アサーティブネス」は「他学生. らない」思いを何度も経験したことが伺える。結果. との交流」が、そして「失敗力」 「グリット」は「業. 特に「他学生との交流」が、次いで「現地の人々の. 務」がプラスの影響を最も与える可能性が示唆され. 交流」が「アサーティブネス」を引き出したことが. た点について考察する。. 推察される。図表 10 の学生の自由記述からもそのコ ンテキストが散見された。. まず「好奇心」ついては、仕事をすることがアル バイトを除き初めてであるのにもかかわらず、海外 で暮らすこと自体が刺激に溢れているからこそ、特.  アサーティブネスを「他学生との交流」が. に「海外生活」が、次いで「業務」が「好奇心」を. 引き出した例. 引き出していることが推察される。図表 10 の学生の. インターン生3 人で話し合って特集の内容を決め、そこから. 自由記述からもそのコンテキストが散見された。. また作成にあたる中で、他の 2 人が何を根拠に発言してい るのかといった言葉の裏にある考えや思いを意識するよう.  好奇心を「海外生活」が引き出した例. にした。もし相手の意見と自分の意見が食い違っていても. この研修に取り組むにあたって、自分の中で決めた目標の. 頭ごなしに否定するのではなく、互いを気遣い発言するこ. 一つに「異文化を五感で感じる」というものがあった。その目. との大切さを学んだ。. 標のもと、未知の食べ物や体験などさまざまなモノに恐れ. 【タイ、出版社、女性、2 年生】. ず、常に好奇心を持って生活することができたと思う。【タ イ、旅行会社、女性、2 年生】. 「失敗力」については、初めての仕事に取り組む 以上、当然何度も失敗をし、社員から何度も厳しい. 「オープンマインド」については、日本でかつ同. フィードバックを頂いたことだろう。結果、特に「業. 世代の学生とコミュニケーションを主に取っていた. 務」が、次いで「社員との交流」が「失敗力」を引. 学生にとって、異国でかつ現地の人々とのコミュニ. き出したことが推察される。図表 10 の学生の自由記. ケーションは何度も自らの先入観を修正することに. 述からもそのコンテキストが散見された。. なっただろう。ゆえに特に「現地の人々との交流」 が、次いで「社員との交流」が「オープンマインド」.  失敗力を「業務」が引き出した例. を引き出したことが推察される。図表 10 の学生の自. インターンで失敗する機会が多々あったため、端的に言う. 由記述からもそのコンテキストが散見された。. と失敗に慣れた。失敗したままで終わらせるわけにもいか ないのでそれが挑戦へと繋がっていった。.  オープンマインドを「現地の人々の交流」が. 【台湾、web コンサルティング、女性、2 年生】. 引き出した例 生徒との出会いが大きいと考えます。生徒たちはとにかく素. 「グリット」については、決して安くない費用を. 直でした。私たちに対してもとても興味を持ってくれて、よく. 投じて来ている以上、諦めるものか、絶対にやり遂. 質問をしてくれました。授業では間違うことを恐れず、発表も. げてみせるといった気概が引き出されていると考え. 積極的に行い、わからないところは必ず質問し、友達同士で. る。ゆえに特に「業務」が、次いで「社員との交流」. もよく助け合っていました。笑顔も多く見られ、楽しんでいる. が「グリット」を引き出したことが推察される。図. 様子も伝わってきました。このように素直でオープンマインド. 表 10 の学生の自由記述からもそのコンテキストが. な生徒たちは、日本語の習得も早く、1 ヶ月間の間でも大き. 散見された。. な成長が見られました。【インドネシア、日本語学校、女性、3 年生】. 「アサーティブネス」については、課題解決のプ ロセスで頻繁に議論する必要がある他学生との意見. 48.

(7) 課題解決型海外インターンシップが異文化理解力にもたらす効果とその規定要因.  グリットを「業務」が引き出した例. な状況の中、学生は自らの異文化理解力を向上させ. 私はインターン以前、自分を飽き性な人間で持続的な努力. るしかなかったと読み取ることができると考えられ. は苦手な方だと思っていた。しかし、海外で 1 ヶ月間課題と. る。. 向き合ってみて分かったことがあった。それは自分が甘え. 今後の課題としては、本研究は本学の海外インタ. られる環境や人に身を置こうとしていたということである。. ーンシップに限った研究であり、一般性は担保され. 私は飽き性ではなく、厳しい環境や状況であるほど、課題. ない。また、日本のインターンシップと比較したわ. 解決のために燃えるタイプだったのだ。インターンで力が向. けでもない。もっとサンプルを増やしつつ、日本の. 上したわけではないが、インターンを経験して自分が持っ. インターンシップと比較することで、本研究の成果. ていた力に気づくことができた。【台湾、web コンサルティン. の一般性を高めたい。また、そもそも高い成長意欲. グ、女性、3 年生】. とコミュニケーション能力などソーシャルスキルを 持っている学生が参加しているため、すべての学生 において同様の結果が出るかどうかも断言できない。. 以上の考察をまとめてみて作成したのが以下の概. 海外スタディーツアーなど海外インターンシップよ. 念図(図表 11)である。. りも敷居が低いイベント参加者と比較するなどして、. 大前提として、本学の海外インターンシップはオ フィシャルなプログラムとはいえ単位認定されてい. 分析する必要があると考える。さらに研究を深めて. ない。また、他大と比べてリーズナブルとはいえ、. いき、近年の情報化やグローバル化といった社会的. 大金と長期間の時間を投じて参加する学生に限られ. 変化に対応できる人材の輩出のために必要な、日本. ている。つまり、成長意欲を持った学生のみが参加. の大学における海外インターンシップとは何かにつ. していると言える。そして多くの応募者全員に対し. いて提言することを目指したい。. 面接を行うことで、その成長意欲を確認しつつ、現 地の社員とコミュニケーションがしっかり取れる学. 参考文献. 生のみを送り出している。つまり、本プログラムに. 天木勇樹(2016) 「短期就業体験型の海外インターンシッ. は、成長意欲およびコミュニケーション能力が高い. プによる学生の意識の変化(グローバル人材として必. 学生が参加していることが推察される。. 要な素養を醸成するために何をすべきか) 」グローバル 人材育成教育学会『グローバル人材育成教育研究』 第. そして、本プログラムは海外でかつ長期間で、業. 3 巻第 1 号:p.40-49.. 務および課題に挑戦している。ゆえに、現地の社員 との交流は頻繁になり、他学生と協働する場合はそ. アンジェラ・ダックワース(2016) 『やり抜く力 GRIT(グ. の交流も避けることはできない。そして当然、海外. リット)―人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」. に来ている以上逃げることはできないという状況の. を身につける』ダイヤモンド社.. 中、さらに業務外の日常生活においても現地の人々. 千葉隆一(2010) 「文系大学での海外インターンシップの. との交流を避けることができない。このような過酷. 意義・効果についての考察-文京学院大学外国語学 部・文京学院短期大学の事例-」文京学院大学『文京 学院大学外国語学部文京学院短期大学紀要』第 10 号:. 図表 11 海外インターンシップにおける 異文化向上モデル. p.207-224. エリン・メイヤー(2015) 『異文化理解力―相手と自分の 真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』英治出版. 古田克利(2014) 「インターンシップ実習中の自律性充足 が大学生のキャリア自己効力感に及ぼす影響」日本イ ンターンシップ学会『インターンシップ研究年報』第 17 号:p.1-10. 葉山彩蘭(2012) 「グローバル人材育成の課題と展望:20 校大学の経営教育プログラムの検証から」淑徳大学国. 49.

(8) ビジネス実務論集 No.38. 5/gaiyou/1338222.htm)2017.1.8 取得.. 際コミュニケーション学会『国際経営・文化研究』vol.17. 森下美和・河合理英子(2015) 「海外インターンシップの. no.1:p.1-12.. 有効性についての事例研究」神戸学院大学全学教育推. 早坂寛子(2013) 「海外インターンシップ留学における事. 進機構『教育開発センタージャーナル』第 6 号:. 前教育指導の在り方-英語面接指導方法を中心に-」 独立行政法人日本学生支援機構『留学交流』2013 年 5. p.111-118. 村上和子・前田智央・藤井里香(2017) 「海外インターン. 月号 vol.26: p.1-7.. シップに挑戦する学生たち PBL を導入した 4 年目の. 堀田聰子(2006) 「企業と指導担当者からみた効果的なイ. かたち」高知工科大学『高知工科大学紀要』第 14 巻第. ンターンシップ」 『人材育成としてのインターンシップ ―キャリア教育と社員教育のために―』 (佐藤博樹・堀. 1 号:p.229-236. マイナビ(2019)2020 年卒 マイナビ大学生 広報活動開. 有喜衣・堀田聰子・著)労働新聞社:p.182-194. 伊藤隆・今井就稔・新井淑弘・任龍在・上原景子・菅生. 始前の活動調査. 千穂(2018) 「群馬大学教育学部海外インターンシップ. ( https://saponet.mynavi.jp/release/student/#category-kouhou ). について-在外日本人学校および海外協定校での教育. 2019.4.13 取得. 西川一二・雨宮俊彦(2015) 「知的好奇心尺度の作成:拡. 実践-」群馬大学 教育学部附属学校教育臨床総合セン. 散的好奇心と特殊的好奇心」日本教育心理学会『教育. ター『群馬大学教育実践研究』第 35 号:p.25 ー 34.. 心理学研究』第 63 巻第 4 号: p.412-425.. 亀野淳(2009) 「体験型インターンシップの役割の再検証. 野口徹・吉川孝三・中村雅人(2008) 「工学系大学院にお. と仮説の設定・検証による向上効果」 日本インターン シップ学会『インターンシップ研究年報』第 12 号:. ける海外インターンシップ教育とその効果の評価」日. p.17-24.. 本工学教育協会『工学教育』第 56 巻第 3 号:p.80-85.. 経済産業省・特定非営利活動法人エティック(2014)教. 山下徹・大貫惣明・船水尚行(2016) 「現役学生及び就職. 育的効果の高いインターンシップの普及に関する調査. 後の社会人への追跡調査から見る工学系海外インター. 報告書.. ンシップの効果」日本工学教育協会『工学教育』第 64. (http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2014fy/E004388.p. 巻第 5 号:p.62-67. 八代京子・荒木晶子・樋口容視子・山本志都・コミサロ. df)2017.1.8 取得.. フ喜美(2001) 『異文化コミュニケーション・ワークブ. 見舘好隆(2017) 「第7章 インターンシップによるキャ. ック』三修社.. リア育成の効果」 『人材開発研究大全』 (中原淳・編). 八代京子・世良時子・小道迷子(2010) 『日本語教師のた. 東京大学出版会:p.143-175.. めの異文化理解とコミュニケーションスキル』三修社.. 文部科学省(2019)平成 29 年度大学等におけるインター. 吉本圭一(2010) 「第 1 章 キャリア教育の統合性と無業. ンシップ実施状況について (http://www.mext.go.jp/b_menu/internship/1413929.htm). 抑制:高校インターンシップに焦点をあてて(インター. 2019.4.13 取得.. ンシップと体系的なキャリア教育・職業教育)第 2 部 体系的なキャリア教育・職業教育と地域社会の関与連. 文部科学省(2013)インターンシップの普及及び質的充. 携) 」広島大学高等教育研究開発センター『RIHE』vol.117:. 実のための推進方策について意見のとりまとめ. p.75-89.. (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/05. 50.

(9) 課題解決型海外インターンシップが異文化理解力にもたらす効果とその規定要因. 図表2 受入先の国や地域、都市、業種、人数、課題内容等. 51.

(10) ビジネス実務論集 No.38. 図表 10 異文化理解力それぞれを引き出した例 好奇心を 「海外生活」 が引き出した例. オープンマインドを 「現地の人々との交流」 が引き出した例. アサーティブネスを 「他学生との交流」 が引き出した例. 失敗力を 「業務」 が引き出した例. グリットを 「業務」 が引き出した例. 知らない土地で、このプロ グラムに参加することで、 もちろんたくさん、分からな いこと、悔しいことがあった が、その中で、それをいい 機会だとポジティブに捉 え、その失敗から学ぼうと 発想の転換ができる機会 を貰ったから。【タイ、高級 スパ、女性、1 年生】. 英語が分からない中国人のお 客様は、言葉が通じず自分の 思うままに行動されていたけれ ど、社員さんは iPad やジェスチ ャーで伝えるなど臨機応変に対 応されていました。私はその姿 を見て、戸惑うことがあっても自 分にできることを考えるのが大 切だと思いました。【タイ、高級 スパ、女性、3 年生】. 一緒に活動した学生が上級 生だったから。2 週間、3 人で 生活と活動を有意義に過ご すために、毎日積極的に話 題作りをすることを心がけま した。また、先輩だからと遠 慮せず、「こうするのはどうで すか?」「どうしたらいいと思 いますか?」と自らよく提案 や質問をしたことで、年齢に 関係なくそれぞれを信頼し合 って活動することができるよ うになりました。【カンボジア、 高級スパ、女性、1 年生】. 失敗すれば、なぜ失敗したの か、次どうするべきかのプロセ スを考えることができるが、挑 戦しなければ、自分が成功する か、失敗するかも分からないの で、とにかくやってみることが大 切だと体験を通じて、学べた。 また、結果は、その後に自分の 能力や運など様々な要因の元 で、ついてくるものなので、その 結果をどう活かすかの方が大 切だとも学んだ。【タイ、高級ス パ、女性、1 年生】. 「何をするにしても、情熱とプ ライドを持って仕事をしなけ ればならない」と社員の仕事 観に触れたことが大きく影響 している。何かを成し遂げる 為には、目標を設定し順序立 ててやるべきことを一つ一つ こなしていく必要がある。特 に最終プレゼンでは、聴衆に 響くプレゼンをするには?と 様々な手を考えながら作成 し、プレゼンを成功させること ができた。【タイ、旅行会社、 女性、3 年生】. わたしは初めての海外で した。全て物が新鮮で新し かったです。それらのもの を「へーそうなんだ」で済ま せず、「どうしてこうなんだ ろう」ときちんと考えたから だと思います。【インドネシ ア、日本人学校、女性、2 年生】. 台湾人は基本的にオープンで 自分の思ったことをハッキリと 伝える人が多い。インターン先 の台湾人スタッフの方たちも私 たちにオススメの観光スポット をメールで教えてくれたり、一緒 にランチに行くなど常に私たち を気にかけてくれ、たくさんの思 い出をくれた。【台湾、web コン サルティング、女性、3 年生】. インターン生 3 人で話し合っ て特集の内容を決め、そこか らまた作成にあたる中で、他 の 2 人が何を根拠に発言して いるのかといった言葉の裏に ある考えや思いを意識するよ うにした。もし相手の意見と 自分の意見が食い違ってい ても頭ごなしに否定するので はなく、互いを気遣い発言す ることの大切さを学んだ。【タ イ、出版社、女性、2 年生】. インターンで失敗する機会が 多々あったため、端的に言うと 失敗に慣れた。失敗したままで 終わらせるわけにもいかないの でそれが挑戦へと繋がっていっ た。【台湾、web コンサルティン グ、女性、2 年生】. 自分の仕事に責任を感じるこ とで、絶対に中途半端にはし たくない、という思いが強くな り、締切に間に合いそうにな いと思ったり、終わるのが深 夜になったりしたとしても、最 後までやり遂げられたからで す。【台湾、旅行会社、女性、 1 年生】. 3 週間しかここに居ること ができないと考えると、色 んなことを知りたいと思っ たため。また、社員さんが 色々な情報を提供してくれ たことで、自分の情報量が 増えたため。【ラオス、旅行 会社、女性、3 年生】. インターンに泊まっていたホス テルが 10 人部屋で、そこに住 んでいた中国人から接触があっ た。初日にいろいろと話しかけ て来たので次の日からは自分 からたくさん話しかけるようにし たところ、とても仲良くなりしょっ ちゅうご飯を食べに行った。今 でも、頻繁に電話している。【シ ンガポール、フードビジネス、男 性、2 年生】 そこまで向上した実感はない が、考え方や価値観が違う人同 士協力して何かをしなければな らない時があったことが要因だ と考える。【カンボジア、高級ス パ、女性、3 年生】. 相手の意見を聞きつつ、自分 の意見を出すことはとても難 しいことだと感じるが、そうい った中でペアの人と話し合い を進めることができたと思う から。【カナダ、旅行会社、男 性、2 年生】. 経験や知識を高める上で「とに かくなんでもやってみなければ 分からない」という思いが大きく なると同時に失敗を恐れている 暇はないという思いも大きくなっ たから。【カナダ、旅行会社、女 性、2 年生】. 最初の 2 週間は本当に仕事 ができない自分が一番嫌で、 何度か自分の部屋で泣いた こともあったのですが、早く仕 事がスムーズにできるよう、 復習したり何度も確認したり して最後までやり遂げたから です。【オーストラリア、ホテ ル、女性、3 年生】. 新しい特典を考える課題で、 相手の提案について、賛成 ばかりするのではなく、相手 を落とさずに自分の意見をう まく伝えることで向上したよう に思う。【カンボジア、旅行会 社、女性、2 年生】. 業務でチャレンジしたことに失 敗することが多かったが、その 失敗が次に活きたから。また、 失敗したらまた挑戦すれば良い と分かったから。【タイ、出版 社、女性、3 年生】. 課題が難しく、考えるのをや めそうな時があった。しかし、 自分なりにできることがない かを聞き、できる限りの事は やる努力をした。【タイ、メー カー、男性、1 年生】. 生徒との出会いが大きいと考え ます。生徒たちはとにかく素直 でした。私たちに対してもとても 興味を持ってくれて、よく質問を してくれました。授業では間違う ことを恐れず、発表も積極的に 行い、わからないところは必ず 質問し、友達同士でもよく助け 合っていました。笑顔も多く見ら れ、楽しんでいる様子も伝わっ てきました。このように素直でオ ープンマインドな生徒たちは、 日本語の習得も早く、1 ヶ月間 の間でも大きな成長が見られま した。【インドネシア、日本語学 校、女性、3 年生】. 観光プランを造成する時、グ ループの他の学生が私と違 うアクティビティを提案したと いう出来事。その出来事に、 まず、互いのプランを説明し あってグループ内の他のメン バーにも意見を聞き、次に費 用や時間、ターゲット等を元 により適している方を双方納 得の上でメインとして選ん だ。選ばれなかった方も、ア ディショナルとしてツアーに盛 り込むことにして解決した。そ の結果、相手を尊重しながら 自分の意見を伝える力が向 上した。【インドネシア、旅行 会社、女性、1 年生】. 失敗しても仕方ない状況にばか り身を置いていたから、失敗を 恐れている暇はない、と思える ようになったからです。例えば、 得意とまでは言えない英語を使 って接客をしなければいけなか ったのが当たり前だったことで す。失敗を恐れていたら何もで きないと思ったからです。【カン ボジア、高級スパ、女性、1 年 生】. 私はインターン以前、自分を 飽き性な人間で持続的な努 力は苦手な方だと思ってい た。しかし、海外で 1 ヶ月間課 題と向き合ってみて分かった ことがあった。それは自分が 甘えられる環境や人に身を 置こうとしていたということで ある。私は飽き性ではなく、 厳しい環境や状況であるほ ど、課題解決のために燃える タイプだったのだ。インターン で力が向上したわけではな いが、インターンを経験して 自分が持っていた力に気づく ことができた。【台湾、web コ ンサルティング、女性、3 年 生】. 日本ではない文化も言葉 も違う国だったので、知ら ないことが多くて「なぜ?」 と思うことが多かったので その事について知りたいと 思うようになったから。【ベ トナム、高級スパ、女性、2 年生】 この研修に取り組むにあ たって、自分の中で決めた 目標の一つに「異文化を五 感で感じる」というものがあ った。その目標のもと、未 知の食べ物や体験などさ まざまなモノに恐れず、常 に好奇心を持って生活す ることができたと思う。【タ イ、旅行会社、女性、2 年 生】. ※アンダーラインは文中に引用. 52.

(11)

図表 10  異文化理解力それぞれを引き出した例  好奇心を  「海外生活」  が引き出した例  オープンマインドを  「現地の人々との交流」が引き出した例  アサーティブネスを 「他学生との交流」 が引き出した例  失敗力を 「業務」  が引き出した例  グリットを 「業務」  が引き出した例  知らない土地で、このプロ グラムに参加することで、 もちろんたくさん、分からな いこと、悔しいことがあった が、その中で、それをいい 機会だとポジティブに捉 え、その失敗から学ぼうと 発想の転換ができる機会 を貰

参照

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