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被覆によるオオイタドリ(Reynoutria sachalinensis)の生育抑制効果

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Academic year: 2021

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技術報告

TECHNICAL REPORT

被覆によるオオイタドリ(

Reynoutria sachalinensis

)の生育抑制効果

佐藤厚子

*1)

・畠山 乃

1)

1) 国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所

摘要:北海道に広く生育しているオオイタドリは,生育が旺盛で あるため交通安全上の課題があり,生育を抑制できる維持管理方 法が求められている。このため,オオイタドリの生育抑制に関す る研究が各機関で行われている。本調査では,オオイタドリの生 育箇所を被覆することに着目し,オオイタドリの生育している盛 土のり面への施工を対象として,メッシュシート,土木シート, 張芝により被覆し,被覆しない場合と比較してその効果を再検証 した。オオイタドリの生育抑制の目標を植被率の低減と草丈 80 cm 以下として調査を行った結果,張芝では生育抑制の効果は少 なかったが,メッシュシート,土木シートで被覆することにより 生育を抑制できた。 キーワード:オオイタドリ,メッシュシート,被覆,生育抑制, 植被率,草丈 1. はじめに 北海道に生育するオオイタドリ(Reynoutria sachalinensis (Fr. Schm.) Nakai)は生育が旺盛であるため,写真-1a,b に示すように道路交差部や曲線部での視程障害があること, 歩道や河川堤防では走行困難であることなどから,交通安全 上の課題があり適切な維持管理を行わなければならない。こ れまで,オオイタドリの生育抑制に関して,除草の時期やその 間隔に関する研究3,4),薬剤散布に関する研究2),イタドリの 生育箇所をメッシュシートにより被覆する研究 7)がなされて きている。この方法を北海道のオオイタドリに適用するため に試験的に施工し調査を進めてきた 1,5,6)。本研究では,オオ イタドリがすでに生育している盛土法面の被覆に限定して, ネット状のシート(以降メッシュシートと称する),土木シート,張芝 を法面に被覆し,被覆しない場合とともにオオイタドリおよ びオオイタドリ以外の草本類の生育状態を調べ再解析した。 なお,本研究では,オオイタドリの生育抑制として,植被率が 低減されることおよび草丈が80 cm までとなることとした。 これは,道路および河川管理者からの聞き取りでは,草丈が80 cm を超えると学童の確認が困難になるためである。 2. オオイタドリの生育状況と生育抑制対策 オオイタドリは生育が旺盛になると,草丈が写真-1c に示す ように成人の身長よりもはるかに高くなる。数年間草刈りを していない状況のオオイタドリの根 6)を調べたところ,直径 30 cm 程度の塊根8)の地上部に茎径約3 cm の多数の地上茎 が発生し,その根元には予備芽があった。さらに塊根からは直 径5~6 cm の水平地下茎が 2 m 位の長さで伸びており,この 水平地下茎にある側芽や塊根から今後オオイタドリが繁茂す る可能性がある 9)。定期的な刈り取りを行えば,オオイタド リの生育は抑制できるが3,4) ,予備芽や地下茎を残した状態で は,刈り取りを休止すると再度繁茂する可能性がある。 この対策として,メッシュシート,土木シート,張芝のそれぞれの 被覆材でオオイタドリの生育箇所を被覆した。メッシュシートは表-1 の規格品で,目合いが1.2 mm であり,オオイタドリ以外の草本類 はメッシュシートを通ることにより,メッシュシートの地山への定着を 促し,オオイタドリでは芽がメッシュシートを通らず生育を抑制 できると考えた。土木シートは厚さ 0.25 mm (#3000)のポリエ チレン製であり,オオイタドリの芽を通さないと考えた。張芝は,植 a 曲線部での視程障害 b 歩道の走行困難 c 生育が旺盛なオオイタドリ 写真-1 オオイタドリの生育状況

* 連絡先著者(Corresponding author):〒062-8602 札幌市豊平区平岸 1 条 3 丁目 1-34 E-mail:[email protected] 日緑工誌,J. Jpn. Soc. Reveget. Tech., 46(1),75-78,(2020)

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物の葉と根を合わせて厚さ3 cm,幅 30 cm,長さ 2 m 程度の ロール芝であり,草本類で被覆することによりオオイタドリ の生育を抑制すると考えた。なお張芝は,草本類による被覆を 目的としたため,種類は限定せず施工時に芝産地で購入でき る生芝である。 3. 施工方法と調査方法 3.1 施工方法 表-2 に示すオオイタドリの生育が旺盛な 4 箇所において, 勾配1:1.5 の法面に,メッシュシート,土木シート,張芝,被 覆しない対照区を設定した。メッシュシート以外は2 m×2 m とし,メッシュシートは幅が1 m であることから 10 cm 重ね 合わせており,幅1.9 m で被覆したため,他の被覆材よりも 幅が短い。すべての施工箇所では,すでにオオイタドリが生育 していたので,他の植物も含めて地際近くまで草刈り機で刈 り取った。図-1 に被覆の概略を示す。メッシュシートと土木 シートは,ずれ防止のため長さ15 cm のピンで 9 点を留めた。 張芝は地面に平行に横長に被覆し,国土交通省北海道開発局 の仕様に基づき,15 cm の竹串により 1 m2あたり20 点留め た。なお,すべての調査区において施工してから最終調査まで 追肥,植物の草刈りはしておらず,風雨,降雪,日光などの自 然条件を受ける状態であった。 3.2 調査方法 各被覆材の間には緩衝域を設置していないので,被覆の中 心部1.5 m×1.5 m で植物の生育を調査した。植物の生育の調 査として,オオイタドリおよびオオイタドリ以外の草本類の 植被率とオオイタドリの草丈を測定した。ここでは,植被率は 対象法面に対して垂直方向で観察したときの被覆材の上に生 育した植物の葉の占める割合,草丈はオオイタドリの茎を伸 長したときの植物の高さである。オオイタドリ以外の草本類 は草丈が低いので,図-2 に示すようにオオイタドリの生育し ている下部で植被率を測定した。このため,オオイタドリとオ オイタドリ以外の草本類の植被率を合計すると 100%を超え る場合がある。草丈は,各調査区の中で平均的なオオイタドリ を3 本選定し平均した。調査にあたり,メッシュシートによ る被覆箇所を調査区 a,土木シートによる被覆箇所を調査区 b,張芝による被覆箇所を調査区 c,被覆しない箇所を調査区 d とした。調査区 a は他の調査区よりも面積が小さいが,中心 部を測定とすることにより結果に影響を与えないと考えた。 なお,植被率,草丈の測定は毎年行った。測定日を表-3 に示 す。施工箇所No.4 帯広では 2018 年は計測していない。 4. 結果と考察 4.1 メッシュシートを被覆した調査区 a 図-3aにオオイタドリの植被率,bにオオイタドリ以外の草 本類の植被率を示す。幌加内,伊達,登別で施工1年目にオオ イタドリが確認されたが,2年目には消失し,その後確認され なかった。帯広では,調査期間中にオオイタドリは確認されな かった。被覆していない調査区dでは,いずれの施工箇所にお いても時間が長くなると植被率が大きくなっている。各施工 箇所の調査区aで生育したオオイタドリの草丈は80cmを超え 表-1 メッシュシートの規格 項目 仕様 色 黒 目合い(開口部) 1.2 mm 厚さ 1.5 mm 幅 1.0 m 材質 高密度ポリエチレン製 強度 長さ方向 4 kN/m2 幅方向 3 kN/m2 表-2 施工箇所と施工条件 施工箇所 施工日 法面の向き 施工構造物 1 幌加内 2016.6.15 南 国道 2 伊達 2016.7.12 西 国道 3 登別 2016.7.12 南東 国道 4 帯広 2016.6.29 東 堤防 メッシュシート 土木シート 張芝 被覆無し (調査区a)(調査区 b) (調査区 c) (調査区 d) 図-1 被覆の概略 1.9m 2m 2m 2m 2m 1.5m 1.5m 1.5m 1.5m 1.5m ピン 図-2 植被率の測定方法 表-3 オオイタドリの草丈,植被率の測定日 草丈,植被率の測定日 1 2016.7.26 2017.9.6 2018.9.11 2019.11.13 2 2016.8.15 2017.8.30 2018.10.24 2019.8.13 3 2016.8.15 2017.8.30 2018.10.24 2019.8.13 4 2016.8.18 2017.8.16 - 2019.10.31 オオイタドリの植被率 オオイタドリ以外の 草本の植被率 76 佐藤 厚子・畠山 乃

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ていたが,調査区dよりも低かった。メッシュシートによる被 覆はオオイタドリの生育を大きく抑制した。また,オオイタド リ以外の草本類もメッシュシートをすり抜けて植物が生育す ることは非常に少なかった。オオイタドリはメッシュシート をすり抜けず,オオイタドリ以外の草本類はメッシュシートを通るこ とにより,メッシュシートの地山への定着を促すことが期待された が,調査区aではオオイタドリ以外の草本類も植被率が小さか った。なお,メッシュシートの下には,目合いをすり抜けるこ とができなかったオオイタドリ,オオイタドリ以外の草本類 が生育していた。なお,調査を行った期間では植物の生育による メッシュシートの破損や剥がれは発生していない。 4.2 土木シートを被覆した調査区b 図-4aにオオイタドリの植被率,bにオオイタドリ以外の草 本類の植被率を示す。調査区bでは,伊達の3年目,4年目を除 いて土木シートの上にはオオイタドリや草本類は生育しなか った。伊達は土木シートの劣化により,ずれ防止のためのピン 付近が損傷し写真-2に示すように土木シートを突き破ってオ オイタドリが生育した。この調査区のオオイタドリの草丈は 80cmを超え調査区dとほぼ同じであった。本調査で使用した 土木シートの耐用は1年程度とされているが,試験施工では, この耐用よりも長い時間損傷しなかった。土木シートは耐用 年数を超えなければ,オオイタドリの生育を抑制することが できるといえる。しかし,オオイタドリも含めた植物自体を抑 制してしまうことも考えられる。 4.3 張芝を被覆した調査区c 図-5aにオオイタドリの植被率,bにオオイタドリ以外の草 本類の植被率を示す。調査区cのオオイタドリの4年目の植被 率は,幌加内,帯広では,調査区dよりも低くなり,張芝は植 被率を低減させる効果があった。しかし,伊達,登別では,調 査区dとほぼ同じ植被率であった。図-6に調査区cのオオイタ ドリの草丈を示す。オオイタドリの草丈は時間が経過すると 写真-2 土木シートよりはみ出したオオイタドリ aオオイタドリの植被率 bオオイタドリ以外の草本類の植被率 図-4 調査区bの植被率 0 20 40 60 80 100 幌加内 伊達 登別 帯広 植 被 率 (% ) 施工箇所 1年目 2年目 3年目 4年目 施工からの 経過時間 調査区b 調査区dのオオイタドリ以外の草本類の植被率 0 20 40 60 80 100 幌加内 伊達 登別 帯広 植 被 率 (% ) 施工箇所 1年目 2年目 3年目 4年目 施工からの 経過時間 調査区b 調査区dのオオイタドリの植被率 a オオイタドリの植被率 b オオイタドリ以外の草本類の植被率 図-3 調査区 a の植被率 0 20 40 60 80 100 幌加内 伊達 登別 帯広 植 被率( % ) 施工箇所 1年目 2年目 3年目 4年目 施工からの 経過時間 調査区a 調査区dのオオイタドリの植被率 0 20 40 60 80 100 幌加内 伊達 登別 帯広 植被率( % ) 施工箇所 1年目 2年目 3年目 4年目 施工からの 経過時間 調査区a 調査区dのオオイタドリ以外の草本類の植被率 77 被覆によるオオイタドリ(Reynoutria sachalinensis)の生育抑制効果

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大きくなっている。帯広4年目で調査区dよりも50cm草丈は低 いが,ほかの施工箇所では調査区dとほぼ同じ草丈であった。 また,伊達を除き1年目で80cm以上の草丈となった。これよ り,張芝では,施工箇所によっては植被率を低減できても,草 丈が大きくなり,オオイタドリの生育抑制は小さいと考えら れる。 5. まとめ オオイタドリの生育を抑制するために,生育箇所を被覆す る試験施工を行った。その結果次のことがわかった。 ① メッシュシートにより法面を被覆する方法は,オオイタド リの生育を抑制できる。 ② 土木シートにより法面を被覆する方法は,土木シートの耐 用年数の範囲では効果は大きいが,これを過ぎると破損によ りオオイタドリの生育抑制の効果が減少すると考えられる。 ③ 張芝により法面を被覆する方法は,植被率を低減できる場 合があるが,オオイタドリの草丈を低減できず,生育抑の効果 は少ないと考えられる。 6. おわりに オオイタドリの生育している法面を被覆することにより, オオイタドリの生育を抑制できることわかった。今後は被覆 材の耐久性や被覆材の下の草本類の生育状況を確認し法面保 護の効果を確認する必要がある。 謝辞:本検討を行うにあたり,北海道開発局の関係各位より, 現場での施工,現場調査のご協力をいただきました。ここに記 して感謝の意を申し上げます。 引用文献 1) 川嶋祥之・幸田邦彦・佐藤厚子 (2019) メッシュシートを用 いたイタドリ生育抑止手法の効果と課題-H28・29 施工箇所 の経過報告および3 回刈除草の実施報告-. 第 62 回北海道開 発技術研究発表会. 2) 国土交通省東北地方整備局湯沢河川国道事務所 (2017) 雄 物川における堤防植生管理手法適用方法 (案) -1. 本編-. 3) 長原 融・佐藤英明・瀬川明久 (1990) 堤防法面のイタドリ 除去について (第三報) - 刈り取りによるオオイタドリの衰 退枯死について - . 第 33 回北海道開発局技術研究発表会: 119-124. 4) 大島圭佑・坂内利孝・越後 貞 (2016) 湧別川における堤防 へのオオイタドリ侵入要因の考察と対策について. 第 59 回 北海道開発技術研究会. 5) 佐藤厚子・山梨高裕・野上 敦・久慈直之 (2017) メッシュ シートによるオオイタドリの生育抑制に関する北海道地域 での試験施工. ジオシンセティックス論文集, 第 32 巻: 89-92. 6) 佐藤厚子・畠山 乃 (2020) シートを用いたオオイタドリの 生育抑制に関する試験施工. 第 63 回 (2019 年度) 北海道開 発技術研究発表会 7) 嶋津君雄・岩花 賢・長岐孝司・佐野彰敏 (2016) 網 (ジオ ネット) によるイタドリ等の成長抑制手法の開発 8) 清水建美・梅林正芳 (1995) 日本草本植物根系図説. 平凡社, 19. 9) 田崎冬記・渡邉幸一・村中寿孝・石田 一 (2018) オオイタ ドリの水平地下茎分布とその側芽の特性. 日本緑化工学会 誌, No.44(1): 221-224. (2020 年 7 月 9 日受理) 図-6 調査区 c のオオイタドリの草丈 0 1 2 3 4 幌加内 伊達 登別 帯広 オ オ イ タ ド リ の草 丈( m ) 施工箇所 1年目 2年目 3年目 4年目 施工からの 経過時間 調査区c 調査区dのオオイタドリの草丈 a オオイタドリの植被率 b オオイタドリ以外の草本類の植被率 図-5 調査区cの植被率 0 20 40 60 80 100 幌加内 伊達 登別 帯広 植被率( % ) 施工箇所 1年目 2年目 3年目 4年目 施工からの 経過時間 調査区c 調査区dのオオイタドリ以外の草本類の植被率 0 20 40 60 80 100 幌加内 伊達 登別 帯広 植被 率( % ) 施工箇所 1年目 2年目 3年目 4年目 施工からの 経過時間 調査区c 調査区dのオオイタドリの植被率 78 佐藤 厚子・畠山 乃

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