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<書評・紹介> S. Yamaguchi : Index to the Prasannapadā Madhyamaka-vṛtti

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Academic year: 2021

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ナーガールジュナ︵竜樹︶の﹁中論頌﹂は、﹁般若経﹂の空の 思想を論理的に説く、中観学派の基本的な吾である。それに対 するチャンドラキールティ︵R且国司昌月称、六○○’六五 ○︶の註釈﹁プラサンナパダ1︵呼關四国自画富目︶﹂は、中観佛 教史上きわめて重要な註釈であり、サンスクリット原典、並び にチベット訳が現存する。ここに紹介する山口益博士編による 本索引は、﹁プラサンナパダI﹂に対する梵蔵・蔵梵対照総索 引である。第一分冊︵冒誹○口の︶は梵蔵︵普邑、胃詳←国胃菌。︶ 対照索引、第二分冊令秒鼻目君○︶は蔵梵︵弓旨の国旨←普口の胃岸︶ 対照索引である。﹁プラサンナパダ−﹂は大乗佛教、とくに中 観佛教研究に最も重要な註釈であるだけに、それに対する本索 引は、佛教研究者が長く待望するところであった。この度、山 J α戸吊巨皀匡国営己四m貝︺三 胃ごユの〆言︶弄面のも月餌の騨呂罠︺四号︶四・画 舅富国・唇ぐ凶昌邑四丙四︲ぐ晟茸﹄。 “ 勺四目○民5−の山国⑫屏凰寸弓号①菌冒 も由再弓尋○皿弓号①国目︲m曽勗丙国庁

長崎法

潤 口博士がその序文︵六頁︶に記すように、﹁ひとえに学友平野隆 氏の長い年月にわたる地味な協力﹂によって本索引が刊行され るにいたったことは、誠によろこばしいことである。 ナーガールジュナは、﹁中論頌﹂において大乗佛教に中観哲 学の理論的基礎を与え、中観学派の祖といわれている。この ﹁中論頌﹂に次のような註釈が伝えられている。 ⑩ナーガールジュナの自註といわれる無畏註念百首三国菌︶ ︵蔵訳にのみ現存︶ ②青目︵国侭巴伊︶の註︵漢訳︶ ⑥佛護︵切目号噌巴洋四︶の註︵蔵訳︶ ㈹渭弁︵田圃ぐ圏う、①菌︶の註︵蔵、漢訳﹁般若灯論釈﹂︶ ⑤無著︵勝凰盟︶の註︵漢訳﹁順中論﹂︶ ⑥安慧︵煕冨39騨武︶の註︵漢訳﹁大乗中観釈論﹂︶ 例月称︵§且3国畳︶の註︵サンスクリット原典︽卑色の曾昌︲ ロ名騨目﹄蔵訳︶ これら七種類の註釈書のうちサンスクリット原典とチベット 訳が現存するのはチャンドラキールティの註釈﹁プラサンナパ ダI﹂のみであり、サンスクリット原典並びにチ、、ヘット訳を通 して、文献学的に中論を解明しうる利点を有する。さらに佛教 思想史の上から言えば、佛護の註に対して清弁が批判し、チャ ンドラキールティが佛護の立場を弁護したことによって、中観 派の教学体系はプラーサンギカ派︵佛護、チャンドラキールテ ィの系統︶とスヴァータントリカ派︵清弁の系統︶とに分裂し た。したがって、﹁プラサンナ・ハダー﹂はプラーサンギカ派中 55

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観説の代表的註釈であり、中観派の思想史の上でも重要な位置 を占める。 ド・ラ・ヴァレー・プーサン︵旧○昌砂:旨く昌諒①勺○口の匪旨︶ 教授は、今世紀の初にこの﹁プラサンナパダI﹂の校訂出版に 着手し、十年間︵一九○三’一九一三︶の歳月をかけて、国go︲ 言①○四国員匡匡o四門ぐ︵陣.勺酔の厨冒員︶としてテキストを出版 した。プーサン教授は、当時手にしうるあらゆる資料を用い、| 文献学的方法論を基にしてテキスト・クリティークを行なって いる。伽教学に対する科学的研究方法は、ビュルヌフ︵閃ロ鴨目① 国員口○員︶教授によって十九世紀初に始められたが、本格的な 文献研究の成果がなされたのは、スチェルバッキー︵HF醗骨︲ ①号呉の辱︶教授、シルヴアン・レヴィ︵辱き秒旨原風︶教授、プ ーサン教授によってである。そのうち、とくに、プーサン教授 の﹁プラサンナ。ハダー﹂のテキストは、同教授校訂の切○︹旨︲ 8q胃胃胃名騨且時奥入菩提行論嗣○︹旨。肖薗ぐゅ団国に対する プラジュ’一ヤーヵラマティ爾且目富国日騨陸の註釈書︶のテキ ストとともに、文献学的研究にもとづく最もすぐれた成果の一 つとして高く評価されている。 ﹁プラサンナ・ハダー﹂のテキストが出版されて以来、このテ キストは大乗佛教の研究者に最もよく読まれ、それによって中 観佛教の研究を大いに促し、多数の研究や翻訳がなされた。た とえば、スチ|一ルバッキーは第一、第二十五章の英訳︵、二一。 ︵どこの①むほ○旨具団匡︵三三稗z旨く脚口角︾]h︺]旨唱騨︵一ゞ]縄ご︶シャ イエル︵撰ぶ巨一履冨葛普冨胃喫︶は第十章の独訳︵国口角冒匡 陣。ロロ詳民︸F葛○急︾ごぢ︶︾並びに第五、第十二r十六章の独 訳︵缶ロ侭①弓舞匡冨属砦洋里四房号尉阿儲豊旨息四目︼嗣国冒昌⑦﹀ 乞曽︶.ラモートは第十七章の佛訳︵陣巨罷①房﹄ご患︶︶ドゥ・ヨ ング色.雪.号]・侭︶は第十八’第二十二章の佛訳︵Qg・富︲ 冒吋$号国弔壗四囲ロロ四℃②Q凹尉①丘①ロ︶ごお︶﹀ジャック・メイ ︵言。君の切昌畠︶は第二l第四、第六l第九、第十一、第二十三、 第二十四、第二十六、第二十七章の佛訳弓肖忌﹄ごg︶を発表 し、総合すると﹁プラサンナパダー﹂の全訳がなされている。 さらにわが国において、荻原雲来博士は第十二’第十七章︵﹁荻 原雲来文集﹂所収︶、山口益博士は第一’第十一章︵﹁中論釈﹂ I、Ⅱ︶、金倉円照博士は第十九章︵福井博士頌寿記念﹁東洋 思想論集﹂所収︶、長尾雅人博士は第十五章︵﹁世界の名著・大 乗佛典﹂所収︶の和訳をなしている。このように東西の学者が 現代語訳をなしていることによっても、大乗佛教研究における ﹁プラサンナパダー﹂の重要性を知ることができる。 ところで、ナーガールジュナの哲学の解明、並びに中観佛教 史上きわめて重要なこのテキストに対する本索引は、佛教研究 者に利するところ多大であることは言うまでもないが、具体的 には、﹁弓国の“●ppP冨目の梵文と、好完なチベット訳の随一とさ れているチ、、ヘット訳本との用語が対照されたことによって、中 観説における重要な用語についての信頼のおける嗣寓・←胃号・﹂ ﹁弓号←望津この用例をそこに見出すことができるようになった ことである。﹂︵序文、六頁︶。周知のごとく、中観佛教論害の多 くは、サンスクリット原典が散供し、チ善ヘット訳において現存 56

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している。佛教研究をさらに進めるには、チ↑、ヘット訳にのみ現 存する論書を解読しなければならないが、われわれが持ちあわ せている国冨国口︲留鳥胃洋ぐ○。§巳騨昌の知識は、それらを 解読するためにまだ不充分である。したがって、本索引におけ る具体的な対照用例は中観論害の解読に最も有用である。 第二分冊の序文でも言及されているが、チャンドラキールテ ィは、﹁プラサンナパダー﹂のほか、聖提婆︵臂冒︲号ごp︶の ﹁四百論﹂に対する註釈︵梵文断片、蔵訳︶、その他多くの註 釈を書いているが、それらはチベット訳にのみ伝えられている。 さらに独立の諭書として﹁入中論︵冨四︹冒冒日凹圃く員習騨︶﹂を 書いている。﹁入中論﹂はかれの主著であり、チベットの学問 寺において中観説の根本諭書としてコースの中に入れられて学 習されてきた。プラーサンギカ派中観説の教学体系はこの﹁入 中論﹂において最も明瞭に説かれ、さらにチャンドラキールテ ィの学説を解明するために最も重要な諭書であるが、そのサン スクリット原典は散快し、チベット訳にのみ現存している。し たがって、研究はかなり進められているが、まだその全貌が明 らかにされるにいたっていない。ところで第二分冊︵蔵梵対照 索引︶の意義を述今へた﹁序文﹂において、﹁プラサンナパダI﹂ と﹁入中論﹂との両チベット訳は、同一チームの訳出者︵呂冒P 篭P鵯︶と校定者︵厨留国富く胃二一辱昌︶によってなされたことを指 摘し、本索引によって﹁入中論﹂のサンスクリット原典の構成 がかなり具体的に知られ、﹁入中論﹂が初めて﹁文献学的な研究 の対象とされ解読されうるようになった﹂ことを山口博士は強 詞しておられる。この点からも本索引の刊行は称讃の的となる であろう。 本索引の特徴について二三記しておきたい。まず、本索引は、 すでに言及したプーサン校訂本︵国go昏①。四国貝匡匡8弓︶を 依用している。チベット訳のテキストは、北京版影印本とデリ ゲ版とであり、前者を主とし、後者を従として取扱っている。 ﹁中論頌﹂に関しては、三枝充惠・久我順﹁中論梵漢蔵対照 語彙﹂︵宮本正尊編﹁大乗佛教の成立史的研究﹂附録︶がすでに 刊行されている。したがって、﹁プラサンナパダー﹂に引かれ ているナーガールジュナの﹁中論頌﹂は、本索引の対象にされ ていない。利用者は両索引をともに用いればさらに便利である。 サンスクリット原典とチ。ヘット訳のテキストを対校すると、 前者にあって後者に欠けている場合、またその反対の例がかな り見出される。対照を立前とする本索引には、その場合す毒へて 採られていない。その他細かい点については﹁凡例﹂に詳しく 記されている。 大乗佛教の諭書の多くはサンスクリット原典が失われ、今や チベット大蔵経に収録されるそれらの諭書を読まずには、充分 な研究成果は望まれない。そのために果す本索引の役割ははか り知れないものがある。すでに、ラモート、ドゥ・ヨング両教 授をはじめ、世界の第一流の佛教学者から、本索引に対する高 い評価が編者によせられているとのことである。最後に、本索 引の作成、刊行のためになされた長年の努力を高く称えたい。 ︵一九七四年、平楽寺書店、B五版、各分冊八、○○○円︶ 57

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