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社会福祉施設におけるボランティア継続の理由 : 高齢者福祉施設「西院」の継続ボランティアの要因分析から

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高齢者福祉施設「西院」の継続ボランティアの要因

分析から

著者

南 多恵子

雑誌名

京都光華女子大学京都光華女子大学短期大学部研究

紀要

57

ページ

173-182

発行年

2019-12-01

URL

http://id.nii.ac.jp/1108/00000955/

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Ⅰ.はじめに 社会福祉施設(以下、施設)におけるボランティア。 これは、わが国でのボランティア活動の形態としては、 最もよく知られた、今では古典的ともいえる活動の 1 つではないだろうか。その施設では、様々なボランティ ア活動が展開している。中でも、レクリエーションや 行事などの単発型の活動、利用者の話し相手や環境整 備など長く関われる継続型の活動がよく知られてい る。岡本(1981)は、対人援助活動であるボランティ ア活動となったときには、一定の継続性が必要であり、 継続性を基に利用者とボランティアとの信頼関係が生 まれると述べている1。施設とすれば、受け入れたボ ランティアには、できるだけ長く継続的に参加しても らえればありがたい。だがボランティアはあくまで 個々人の自由意志に基づいた活動であり、無理強いは できない。ボランティアそれぞれの事情や条件も異な る。ボランティアに継続してもらいたいが、実際には 継続が難しいことは、施設にとってボランティア受け 入れにおける主要な課題である 2 現在、施設にとって、ボランティアの存在はいつく かの論点からますます求められているといってもいい だろう。第 1 の理由は、利用者への支援の質を上げる ことができるという点である。より良い支援をするた めには、限られた人数で対処せざるを得ない特定の専 門職のみが関わっていても自ずと限界がある。多様な 地域の住民がボランティアとして関わることで、彩り 豊かな支援に繋がっていく。支援の向上は、専門職の 願いでもある。第 2 には、施設周辺の住民の社会参加 の場の提供、居場所にもなるという点である。地域に 貢献したい、施設利用者のために何かしたい、福祉が 学びたい、地域で何か役に立ちたいといった住民の参 加の意欲を受け止めることにもなる。また理解ある住 民が施設の周辺にいることで、施設と地域との懸け橋 にもなる。第 3 には、施設のある地域福祉の推進、ま ちづくりという意味がある点である。特に、この第 3 の意味は、ここ数年の間に拡大しつつある。それは、 地域包括ケアシステム 3、地域共生社会4の実現が謳 われ、地域の福祉課題に関心を持つ住民が増え、支え あい助け合う関係を構築していくことは時代の急務と なっている。また、2017 年の社会福祉法改正により、 社会福祉法人の改革が迫られていることも大きい。「地 域における交易的な取り組みを実施する責務」が義務 化され、施設の持つ専門性やポテンシャルを活かし、 地域福祉推進に資する取り組みを実施する必要が益々 生まれている。ボランティア受け入れは、地域と施設 と繋ぐ大切なチャンネルの 1 つとして、この先も丁寧 に取り組んでいくことが求められる。 そこで本稿では、施設におけるボランティアの継続 をテーマに探究していく。高齢者福祉施設「西院」(京5 都市右京区)の協力のもと、そこで継続して活動する ボランティアが、なぜ継続できているのか、その理由 を洗い出し、分析を試みたい。そして、ボランティア 受け入れ対し、どのような準備をし、どのような対応 をすることで継続に繋がるのかを考察していきたい。 Ⅱ.ボランティア参加の理由とは 一般的に、ボランティアが継続する理由を探る前に、 人はどのような理由でボランティアに参加したのかを 捉えておきたい。つまり、ボランティアを始めるにあ たり、何に期待をして活動に参加したのかという点を 2 つの調査から概観する。 平成 29 年 3 月に内閣府が発表した「平成 28 年度市 民の社会貢献に関する実態調査」によると、ボランティ ア活動に「参加したことがある」と回答した人の参加 理由は、「社会の役に立ちたいと思ったから」(47.7%)、 「自分や家族が関係している活動への支援」(30.4%)、 「自己啓発や自らの成長につながると考えるため」 (30.1%)と続き、以下、「職場の取組の一環として」

社会福祉施設におけるボランティア継続の理由

∼高齢者福祉施設「西院」の継続ボランティアの要因分析から∼

南   多恵子

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(20.1%)、「知人や同僚等からの勧め」(10.0%)、「自 分 が 抱 え て い る 社 会 問 題 の 解 決 に 必 要 だ か ら 」 (6.6%)、「社会的に評価されるため」(1.9%)、「その他」 (13.2%)となっている6 また、東京五輪を控える東京都が平成 28 年に行っ た「都民等のボランティア活動等に関する実態調 査」7によると、「何か社会の役に立ちたかったから」 (37.7%)、「興味を持ったから」(29.5%)で、あとは「周 りの人がやっているから」(15.2%)が割合的に多く、 「自分の技術や能力、経験を活動に生かしたかったか ら」(10.3%)、「活動を通じて友人や仲間を増やしたい」 (11・7%)、「余暇時間を有意義に過ごしたい」(10.6%)、 「身近に放っておけない問題や課題があったから」 (10.3%)、「就職や進学に有利になると考えたから」 (3.8%)、「特に理由はない」(13.5%)、「その他」(3.8%)、 「無回答」(2.0%)となっている。 このことから、理由はいつくかに大別できることが わかる。ボランティア活動の原則、自発性、社会性、 無償性の 社会性=社会の役に立つ ことは確かに理 由の上位に挙げられている。そして、「自己啓発や自 らの成長につながると考えるため」という自らの力を 社会に生かすことで成長したいというものもある。し かし、「自分や家族が関係している活動への支援」「職 場の取組の一環として」、「知人や同僚等からの勧め」、 「周りの人がやっているから」といった、社会性を帯 びたとは言い難い理由や、「社会的に評価されるため」 や「就職や進学に有利になると考えたから」といった 利己的なみられる。中には、「特に理由はない」とい う確固とした目的意識がなくとも参加している人がい ることも伺える。前述したとおり、ボランティア活動 には自発性、社会性、無償性が包括されているが、社 会のために役立つ活動プログラムに参加することだけ でボランティアが期待することが充たされる訳ではな いことがこの結果からは確認できる。 Ⅲ.ボランティアの活動継続の要因とは 次に、ボランティアが実際に継続するための要因は 何なのかを探る。前章で挙がっている活動の動機が充 たされれば良いのか、それとも別の要因があるのか、 という点である。橋ら(2019)らは、スポーツ・ボラ ンティアをテーマに参加動機、参加継続を促進する因 子および参加に関する不安要因を検討している。それ によると、研究協力者であるボランティアスタッフの 参加動機の上位 3 位は、「スポーツへの関心」「自分自 身が成長したい」「社会的な視野を広げたい」である という8。しかしながら、活動に参加して成果があっ たと感じていることも尋ねたところ、「所属感を感じ るところ」が終了時の成果として高い値を示したとい う。これは自分にとって居場所があるという集団への 帰属意識を指すとし、「スポーツへの関心」「自分自身 が成長したい」「社会的な視野を広げたい」といった 項目では、開始当初に期待に対して、終了時の成果と しての評価が低くなった。そして、「重要なことは、 うまくいかない場面に出会ったと時に、1 人で悩みを 抱えさせてしまうのではなく、仲間や先輩と経験を共 有できる関係性をまずは構築していくことではないだ ろうか。ともに改善策を考え実践する取り組みが、集 団への所属感をより強めボランティア活動の継続につ ながっているのではないかと考えられる。知識や技術 の習得や向上にはる程度の時間と経験を必要とするこ とを理解し、成果を急ぐことなく人材育成に時間をか けることの重要性を理解することもボランティア組織 運営には必要であろう。」と考察している。9 勝又ら(2016)が行った病院ボランティアを対象と した継続要因の調査でも、「病院ボランティアへ参加 する高齢者の活動は、共に病院を創るとの思いやボラ ンティア間の絆が活動の継続要因」であるという考察 を示している10 桜井(2005)は、ボランティア活動の継続要因を明 らかにする目的で、287 人のボランティアを対象に調 査を行った。サンプルを若年層(30 歳未満)、壮年層(30 歳以上 60 歳未満)、高齢層(60 歳以上)の 3 つの年 齢層別に区分して分析を行った。その結果、年齢層毎 に、活動継続要因は異なっていた。若年層では活動を 通じてのやりがいや適材適所、若年層ボランティアの 活動継続を促進していると考えられるとしている。壮 年層では、ボランティア同士のコミュニケーションや ボランティア団体のへの所属意識への満足とあり、高 齢層ではまったく見返りを求めない利他的な動機を 持った者よりも、ボランティア活動を通じてさらなる 自己成長を期待している者が活動を継続しており、な おかつ、社会的に役立つことを望み、そして活動を通 じてその実感が得られている者の方が、活動を継続し

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ていると考えることができるとしている。また、生涯 学習の観点から、そこで知識・技術を習得し、その学 びと連動したボランティア活動が高齢層では定着して いることも指摘している11 これらのことから、ボランティアが参加する際に 持っていた参加の理由とは別の要因が継続には影響し ており、多世代のボランティアの参加と継続を図るた めには、彼らが魅力を感じる(活動継続要因に配慮し た)ボランティア活動となっているかどうかが伴とい える。だが、本節で示した調査には、施設を対象とし たものはない。そこで、高齢者福祉施設「西院」の実 態から何が み取れるのかを、次章で検証していきた い。 Ⅳ. 高齢者福祉施設「西院」におけるボランティア継 続の理由とは 本章では、施設でのボランティア継続を可能たらし める理由は何かを探るため、高齢者福祉施設「西院」(京 都市右京区)においてボランティアを継続している関 係者 6 名の協力のもと、継続の理由を出し合い、KJ 法でまとめることで、その要因分析を試みる。 1.高齢者福祉施設「西院」について はじめに、高齢者福祉施設「西院」の概要を押さえ ておく。 京都市右京区にある高齢者福祉施設「西院」は、デ イサービスや地域包括支援センターなど、いつくかの 機能を複合的に有する介護保険事業所である。設立は 1999 年。当初はボランティアの存在自体が希少で、 ボランティアがたった 2 名しかいない時期もあった。 だが、2016 年 11 月 4 日現在のデータでは、117 名の ボランティア登録があり、① 外出ボランティア(お 出掛け・旅行(日帰り・一泊)など、② 曜日ボランティ ア(デイサービスでの利用者との触れ合い、交流など)、 ③ 教室ボランティア(折り紙・麻雀・音楽・映画など)、 ④ 披露ボランティア(学生・子供・親子・高齢者な どが踊りや音楽などの一芸を披露)、⑤ 喫茶(コミュ ニティーカフェの運営)など、活動の幅が広がってお り、まさに彩り豊かな施設実践が展開されている12 その他にも、毎月金曜日の晩には多世代型食堂(い わゆる子ども食堂の拡大版)、「西院おいでやす食堂」 も実施している。高齢者福祉施設が、なぜ、子ども食 堂を運営するのだろうか。 高齢者福祉施設「西院」の支援対象は、主として認 知症高齢者やその家族である。職員は普段の支援を通 し、彼らは高齢になっても認知症であってもできるこ とが多くあり、それぞれが持てる力を発揮したいニー ズを持っていることを専門的知見から把握していた。 究極の目標には働くことも視野に入れていた。それを 実現するためには、多世代の多様な人たちが集い、互 いを理解し、顔の見える関係になる必要がある。つま り、当事者をめぐる環境が整備されねばならないとい うメゾ・マクロレベルの課題が横たわっていた。認知 症高齢者が理解され、力が発揮できる社会とは、いわ ば、社会的弱者の立場にある誰もが理解され、認め合 い、許容力の深い社会であるともいえよう。各地の子 ども食堂誕生の追い風が足がかりにもなり、西院おい でやす食堂は、誰もが暮らしやすいまちづくりに向け た 1 つの試金石として活動を開始した経緯がある。 その意味で西院おいでやす食堂は、法人資源である 高齢者支援の機能や施設という場の提供と、周辺地域 の子ども達の支援をコラボレーションさせた取り組み である。そこで、食堂に誘う対象者は特に制限せず、 誰もが集える居場所とすることは立ち上げ前から方針 で打ち出された。実際、参加者の年齢層は大変幅広く、 乳児から高齢者までが 1 つのフロアに集う場面がみら れる13 2.調査対象と研究方法 本研究では、高齢者福祉施設「西院」でボランティ ア継続をしているボランティアスタッフ 6 名により、 ボランティア継続の理由とは何かを出し合い、それら を対象として KJ 法(川喜多 1986)での分析を行った。 ボランティアの活動期間は最長 13 年、最短 3 年のメ ンバーが集まった。年代は 20 代から 80 代である。活 動内容は、デイサービスセンターで利用者との交流活 動、一芸披露のボランティア、外出行事での付き添い、 いわゆる子ども食堂「西院おいでやす食堂」での活動 など多様で、単発で終わるのでなく、活動を継続し続 けている人を対象とした。

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意見は KJ ラベルに転記し(56 枚)、多段ピックアッ プによって厳選したラベル(38 枚)を元ラベルとして、 狭義の KJ 法を実施した。図 1 は元ラベルからのグルー プ編成のプロセスが全て把握できる省略のない図解で ある。 なお、倫理的配慮としては、参加者と研究目的を共 有したうえで、論文化するなど、広く発信していくこ との了解を得た。また、ラベル内の表現においては、 個人が特定できないようすべて匿名化している。 3.結果 グループ編成の結果、ラベル群は最終的に、12 の カテゴリーに分類された。【ボランティアが得る精神 的なメリット、楽しみがある】【福祉実践の最前線を 知る楽しみがある】、【通いやすい場所にある】【関わ る中で介護や利用者の人となりを理解できる】【居心 地のいい空間がある】【物的なメリットがある】【ボラ ンティアが役に立つと思わせてくれる役割がある】【職 員と親しくなることに喜びを感じる】という、ボラン ティア側が得られる部分やりがい、楽しみと、それを 生み出す土壌として【明るく周りを惹きつけ、やる気 を鼓舞するリーダーの存在】、【ボランティアから見て も利用したいと思える施設実践がある】【しっかりと マネジメントされた施設職員の総合力】【ボランティ アが魅力を感じる、施設が備えているストロングポイ ント】という、いわば施設実践の総合力ともいえる部 分、大別して 2 つのゾーンがあることが見いだせた。 【明るく周りを惹きつけ、やる気を鼓舞するリーダー の存在】 施設実践の総合力を生み出す伴は、リーダーの存在 である。意見の中にも『明るく前向きに、積極的にチャ レンジしていくリーダーの姿勢がある』がある。「所 長の前向きで明るいところ。」「所長の積極さが魅力。」 「所長の、他の施設ではやっていないことにチャレン ジしていく姿勢。」というように、前を向き、施設実 践をけん引するリーダーの姿勢が影響を与えている。 また「所長は他者にやらせるだけの人ではなく、何事 も自らも活動し、率先してやっていく人。なので、つ いていきたくなる。」「所長がとても頑張っていること が分かるのと、人柄も良く、応援したくなる。」とい うように『自らも率先して行動し、周囲のヤル気を喚 起するリーダーの姿勢がある』という点も同時に挙 がっている。他人任せにせず、リーダー自身も汗をか く様子を、ボランティアも目にしていることが伺える。 【しっかりとマネジメントされた施設職員の総合力】 まず、「職員からの声掛けや笑顔の対応がとてもい い」「職員からボランティア参加の声かけをしてくれ るので、安心するし、「お疲れ様」と言ってもらう嬉 しい。」「職員さんたちのウエルカム姿勢がある。」と いう『ボランティアからみて、好感が持てる職員の態 度・姿勢』があるということ。そして、『施設の方針 を職員がよく理解できている』では、「どの職員もボ ランティアへの対応がいい。教育が行き届いていると ころ。」「職員さんの人柄が礼儀、人情よい。いい。所 長へのサポート良好。応対。」というように、組織体 としての成熟度そのものをボランティアがよく観察し 表 1 継続ボランティアの一覧 性別 年代 期間 参加のきっかけ 主な活動内容 A 男性 70 10 年 自宅の最寄りにブランチの施設ができた際、ボランティア募集 の呼びかけがあった。 ・外出行事の付き添い ・施設の環境整備 B 女性 60 13 年 先代の所長の頃より参加。 ・行事のお茶席を担当 ・ デイサービスの利用者との会 話、交流 C 女性 70 12 年 法人の別法人のデイサービスでボランティアをしており、それ が縁で「西院」へも参加。 もともとご家族がデイサービスを利用者として通所していた。 ・外出行事の付き添い ・ デイサービスの利用者との会 話、交流 D 女性 40 3 年 「西院おいでやす食堂」ができる時、所長から声をかけられた。 ・西院おいでやす食堂の活動 E 女性 20 3 年 「西院おいでやす食堂」ができる時、大学から声をかけられた。 ・西院おいでやす食堂の活動 F 女性 80 5 年 徒歩圏内で行ける近所に住まいしていたことから。 ・喫茶ボランティアの運営 (筆者作成)

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図 1 ボランティアを継続する理由とは?

1 ) 2 ) 3 ) 4 )

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ていることが伺えた。その他に、「複数のボランティ ア担当を置いており、何かの時に相談しやすい。」と いう『ボランティア対応を丁寧にするための職員体制』 の良さも挙がった。 【ボランティアが魅力を感じる、施設が備えているス トロングポイント】 ボランティアから観ても、施設の良いと思えるポイ ントを備えていることが、継続の理由として挙げられ ている。「デイサービスなのに夜の外出プログラムが あったり、他の施設ではみられない色々なプログラム がある。」「職員は制服ではなく、めいめいが自由な服 装。その方がオープンな感じがする。」「行事が多く楽 しみが多い。」「多くの学校から実習生を多数受入れし、 若い学生が来てくれて、高齢者にとって嬉しい。」と いったものである。 【ボランティアから見ても利用したいと思える施設実 践がある】 「ゆくゆくは西院デイにお世話になりたい。」という 『ボランティアから見ても利用したいと思える施設実 践がある』ことも理由に挙げられている。 【職員と親しくなることに喜びを感じる】 「職員と交流すると職員と仲良くなる。」ことが、喜 びに感じることだと挙がられている。 【ボランティアが役に立つと思わせてくれる役割があ る】 人は 必要とされること を必要とするという言葉 がある。「自分がボランティアに行くことを利用者が 楽しみに待っていてくれる。」「ボランティアの役割が ある(子どもと遊ぶ、ベビーカステラを作る など)」 「利用者と相談しながら、洋服や小物のブランドの立 ち上げを目指している。」というこれらのラベルは、 役割があり、求められ、自らの力が発揮できることそ のものが喜びであることが伺える。 【居心地のいい空間がある】 「おいでやす食堂の雰囲気が好き。(色々な人が来て 賑やか、干渉がないところがかえっていいなど)」と の意見から、子ども食堂としては大規模で人との関わ りはそこまで濃くないが、むしろ、それが魅力という 声が挙げられている。 【物的なメリットがある】 「1 人暮らしの学生ボランティアには、おいでやす 食堂でカレーが食べられて助かる。」「学生ボランティ アには交通費が出て助かる。」「お昼ご飯を美味しくい ただいている。」という食事や交通費が支給されるこ とで生活が助かるメリットが具体的に挙げられてい る。 【関わる中で介護や利用者の人となりを理解できる】 「介護について興味がある。ボランティアをすると 人間の生き様が見える。」「イベントに参加し、利用者 と話すと、デイでは見られなかった人となりや考えが わかり、興味深い。面白い。」と、継続するからこそ 利用者の様々な面を知ることができる興味深さ、面白 さを指摘している。 【通いやすい場所にある】 「近い場所にある。」が挙げられている。 【福祉実践の最前線を知る楽しみがある】 「最前線の福祉実践を目指している施設の行方がど うなるのかを見るのが楽しみ。」という実践の質に注 目している声が挙げられている。 【ボランティアが得る精神的なメリット、楽しみがあ る】 ここには、大きく 3 つの島がある。『多様な人との 出会いと交流ができる場』では、「おいでやす食堂に 来ると、学生ボランティアは、学年・学部・学科を超 えた交流ができる。」「おいでやすフェスティバルには 留学生もやってくる。お茶や着物を楽しんでもらえて いる。」「多様なバックグラウンドの多世代な人たちと 出会えるので楽しい。」「おいでやす食堂では、参加者 (地域の方)やボランティアと出会えるので楽しい。」 「おいでやす食堂に来ると、他大学の学生とも出会え る。」というように、主に食堂やお祭りで多様な人た ちとの出会いがあることが楽しみという声がある。『ボ ランティアをすることによる自分へのご褒美がある』 では、「満足した疲れ、いい気持になる疲れがある。 すると「また、行こう」となる。」「利用者さんから元 気をもらっている。」「学生ボランティアにとって、子 ども達と遊べて、純粋に楽しい時間になっている。」 というように、ボランティアをすることがむしろ楽し みとなり、元気をもらい心地よい疲れが味わえるボラ ンティアの醍醐味が表れている。『ボランティア同士 が親しい関係になれる』では、「人と人との輪が好き だから(人間関係にこだわらない)。」「ボランティア 同士が仲がいい。」というボランティアに行くからこ そ築ける新たな人間関係、人と人との繋がりを持つこ

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とができる喜びが挙げられている。 Ⅴ.考察 今回の結果からは、先行研究で見えてきた「所属感 を感じるところ」が大いに現れた結果であった。それ は、ボランティアの参加動機とは必ずしも一致しない、 継続にとって最も影響を与える部分であった。施設の 継続ボランティアの場合も、その有効性が見て取れる 結果であった。また、先行研究でもあったような、「 共 に活動を創る 体験」や「ボランティア同士の絆」、 適切に役割を設けマネジメントされる「適材適所」、「ボ ランティア同士のコミュニケーション」「知識・技術 を活かせる」「自己成長」「社会の役に立つ実感」といっ た要素も KJ 図からは読み取ることができる。本章で は、施設で継続をするボランティア自身から出された 意見から質的研究で導き出された継続の理由につい て、総合的に考察していく。 1.活動を支える環境 今回の研究で明らかになったことの 1 つは、継続ボ ランティアを生み出す、支えるためには、施設実践そ のものの質が問われているという点だろう。前述した ように、ラベル群は最終的に、12 のカテゴリーに分 類された。それぞれは関連しあい、相互作用をする中 で、継続ボランティアを生み出している。その土壌と なっているのは【明るく周りを惹きつけ、やる気を鼓 舞するリーダーの存在】、【ボランティアから見ても利 用したいと思える施設実践がある】【しっかりとマネ ジメントされた施設職員の総合力】【ボランティアが 魅力を感じる、施設が備えているストロングポイント】 という、いわば施設実践そのもののクオリティそのも のであった。そこに、信頼感、安心感、満足感を感じ ているから、継続をするということから、どのような ことがいえるだろうか。 1 つは、明るく積極的に、自らも汗をかき実践を牽 引するリーダーの姿をボランティアが普段から目にし ていることが大きな影響を与えている。そして、その リーダーのもと組織全体でより良い実践をしようと努 力する職員も、大きな影響を与える存在である。そこ でボランティアが目にするのは、創意工夫された多彩 なプログラム、利用者が楽しむ姿、地域住民の繋がる 場にもなっている、地域にも貢献する施設の様子であ る。ボランティアは、自分の目に映るそうしたことを しっかりと観ていることがわかった。そして、それこ そが、高齢者福祉施設「西院」で継続をする大きな理 由として表れている。このことから、リーダーの、職 員の業務に取り組む姿をボランティアにいかに 見え る 化するか、今後も検討の余地があるだろう。 しかし、そもそも、ボランティア参加の有無は関係 なく、施設実践の質の向上は福祉職として本務であり、 脈々と続く日々の実践をより良いものにするために、 組織をあげて常に研鑽せねばなるまい。実はその部分 が、継続を促す土壌となり、土壌が肥えれば、ボラン ティア参加の促進にも効果があると、この図 1 は教え てくれている。 2. ボランティア個人が活かされ、やりがいを感じら れるプログラム ラベル群の中には、前節で示したような活動を支え る環境とは異なる、ボランティア個人が感じるやりが い、楽しみ、喜びといった部分も、多く表れていた。【ボ ランティアが得る精神的なメリット、楽しみがある】 【福祉実践の最前線を知る楽しみがある】、【関わる中 で介護や利用者の人となりを理解できる】【居心地の いい空間がある】【ボランティアが役に立つと思わせ てくれる役割がある】【職員と親しくなることに喜び を感じる】という、ボランティア側が得られるメリッ トの部分である。 ボランティアは無償で活動する存在で、その行動に 求める報酬は賃金という金銭的なものでないことは言 うまでもない。とはいえ、ボランティアが抱く欲求は 昨今では多様化している。生きがいや自己実現、或い は学習機会や仲間や居場所を求めてボランティアをす る人は少なくない14。図 1 からは、今回の協力者 6 名 それぞれの多様な欲求を満たす活動となっていること がわかった。 このラベル群の中で、【職員と親しくなることに喜 びを感じる】は、前節と強い関連があるように思える。 施設の総合的な力、そこに尽力している職員と仲良く なれることそのものが喜びなのである。その職員たち と共に、ボランティアと利用者、ボランティア同士と のコミュニケーションを図り、ボランティア個々の持 つ強み、得意なことを活かし、高齢者福祉施設「西院」

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の施設実践の役割の一つをボランティアの立場で担 い、役立っている感覚が持てる。まさに、集団への帰 属感をより強めることにも繋がっているのではないだ ろうか。 3.ボランティアが参加しやすい条件整備 今回の調査の協力者は、20 代の学生と 60 代以上の 人たちである。それが故という事情も影響しているか もしれないが、【通いやすい場所にある】【物的なメリッ トがある】という 2 群は、若者・高齢者に共通してあ ることが確認できた。自宅や大学から近くにあり、通 いやすいということは継続の何よりの強みだ。また、 学生から、西院おいでやす食堂の食事や交通費が挙げ られ、経済的な負担感なく参加できることが継続につ ながると述べている。60 代以上のボランティアから も、活動中に提供される食事が美味しいとの意見が あった。高齢者福祉施設「西院」では、昼食時間をま たいでの活動の際はランチを提供することにしてお り、それをメリットとして捉え、継続しやすいという 声が挙がっている。ボランティアが このような条件 があれば助かる ということを具体的に仕組みとして 整備することで、継続をサポートすることになる。 総合すると、今回の研究から大きくは次のことがい えるのではないか。①.真伨に福祉に取り組む職員と そこで生み出される実践をボランティアがつぶさに観 る中で、気づきを得、高齢者福祉施設「西院」を好ま しく思う気持ちが醸成される。②.高齢者福祉施設「西 院」の職員と親しくなり、介護現場への理解も深まる。 ボランティアの立場で役割を持ち、自分が活かされる。 人と人とのコミュニケーションや理解が広がり、楽し み、やりがいや所属感が持てる。③.交通費、食費の サポートなど参加しやすい条件整備がある。これらが 相互に影響しあい融合しあいながら、高齢者福祉施設 「西院」の継続のボランティア活動は成立している。 このことから、特に①がボランティア継続の大きな着 目点であったことは、今回得た重要な知見ではないか と考える。 このことから、地域に点在する多くの施設で、継続 ボランティアの参加を得て、地域住民の福祉活動への 参加の場、住民同士の繋がりあう場、施設利用者へ理 解を深める場として機能していくための、一つの示唆 は得られたのではないだろうか。 ただ、今回の結果は、あくまで高齢者福祉施設「西 院」に集う 6 名のボランティアの質的研究から導き出 したものであり、研究の限界もそこにある。また、継 続をしたボランティアに焦点を当てているため、ボラ ンティア受け入れの課題全般には言及はできていな い。全国には、様々な分野、種別、運営母体、地域性 等を持つ施設があり、それぞれ継続に影響する事柄も 変わってくる可能性がある。そこは今後の課題として 提示しておきたい。 謝辞 本稿の執筆に際し、高齢者福祉施設「西院」のボラ ンティア・職員の皆様、ボランティアとして参加して いる京都光華女子大学学生スタッフ、その他、協力い ただいたすべての皆様に、心より感謝申し上げます。 <注> 1   岡本榮一(1981)、大阪ボランティア協会編『ボ ランティア―参加する福祉―』、pp30-32、ミネル ヴァ書房 2   守本友美(2001)「社会福祉施設におけるボラン ティア受け入れの現状と課題」、厚生労働統計協 会編『厚生の指標第 58 巻第 5 号』、pp34、厚生 統計協会 3   厚生労働省は、2025 年を目途に、高齢者の尊厳 の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な 限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生 の最期まで続けることができるよう、地域の包括 的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシス テム)の構築を推進している。自助・互助による 住民相互の助け合いも期待されている。(https:// www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/ h u k u s h i _ k a i g o / k a i g o _ k o u r e i s h a / c h i i k i -houkatsu/) 4   厚生労働省によると、社会構造の変化や人々の暮 らしの変化を踏まえ、制度・分野ごとの『縦割り』 や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地 域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人 と資源が世代や分野を超えつながることで、住民

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一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに 創っていく社会を目指すものとされる。 (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/ bunya/0000184346.html) 5   高 齢 者 福 祉 施 設「 西 院 」( 京 都 市 右 京 区 ) は、 2017 年、2018 年の本学研究紀要にて、筆者と共 著で「社会福祉施設が創り出すネットワーク構築 の試み ∼京都市西院老人デイサービスセンター 「おいでやす食堂」の分析から∼(2018)」「地域 共生を目指す居場所づくりに関する研究 : 京都市 西院老人デイサービスセンター「おいでやす食堂」 の軌跡から(2017)」をまとめており、本論文で 事業所名を論文に掲載することについても了解を 得ている。 地域共生を目指す居場所づくりに関する研究 : 京 都市西院老人デイサービスセンター「おいでやす 食堂」の軌跡から 6   内閣府(2016)『平成 28 年度 市民の社会貢献に 関する実態調査』、pp.8 (https://www.npo-homepage.go.jp/toukei/ shiminkouken-chousa/ 2016shiminkouken-chousa20190917 取得) 7   東京都(2017)『都民等のボランティア活動等に 関する実態調査』、pp43-46 (http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/ press/2017/03/30/11.html20190917 取得) 8   橘香織、石田菜月、堀田和司(2019)「障がい者 スポーツのボランティア参加および活動継続に関 する要因についての検討」『 城県立医療大学紀 要』、pp.93 9   橘香織、石田菜月、堀田和司(2019)、前掲書、 pp.96 10  勝又直、芳賀博(2016)「病院ボランティアへ参 加する高齢者の活動継続要因に関する研究」、『老 年学雑誌 6』、pp.1、桜美林大学大学院老年学研 究科 11  桜井政成(2005)「ライフサイクルからみたボラ ンティア活動継続要因の差異」『ノンプロフィッ ト・レビュー 5(2)』、pp.110-111、日本 NPO 学 会 12  これらは高齢者福祉施設「西院」がオリジナルで 名付けているボランティア活動の呼称である。 13  南多恵子、河本歩美、田端繁樹(2018)「社会福 祉施設が創り出すネットワーク構築の試み ∼京 都市西院老人デイサービスセンター「おいでやす 食堂」の分析から∼」、pp.104『京都光華女子大 学京都光華女子大学短期大学部研究紀要 56』京 都光華女子大学短期大学部 14  日本ボランティアコーディネーター協会編、早瀬 昇、筒井のり子著(2015)『ボランティアコーディ ネーション力―市民の社会参加を支えるチカラ ―』、pp21、中央法規出版 <引用参考文献> 岡本榮一(1981)、大阪ボランティア協会編『ボランティ ア―参加する福祉―』、ミネルヴァ書房 勝又直、芳賀博(2016)「病院ボランティアへ参加す る高齢者の活動継続要因に関する研究」、『老年学雑 誌, 6, 1-14』、桜美林大学大学院老年学研究科 川喜多二郎(1986)『KJ 法―混沌をして語らしめる』 中央公論新社 桜井政成(2005)「ライフサイクルからみたボランティ ア活動継続要因の差異」『ノンプロフィット・レ ビュー 5(2)』、日本 NPO 学会 筒井のり子監修(1998)『施設ボランティアコーディ ネーター』、大阪ボランティア協会 東京都(2017)『都民等のボランティア活動等に関す る実態調査』 内閣府(2016)『平成 28 年度 市民の社会貢献に関す る実態調査』 日本ボランティアコーディネーター協会編、早瀬昇、 筒井のり子著(2015)『ボランティアコーディネー ション力―市民の社会参加を支えるチカラ―』、中 央法規出版 橘香織、石田菜月、堀田和司(2019)「障がい者スポー ツのボランティア参加および活動継続に関する要因 についての検討」『 城県立医療大学紀要』 南多恵子、河本歩美、田端繁樹(2018)「社会福祉施 設が創り出すネットワーク構築の試み ∼京都市西 院老人デイサービスセンター「おいでやす食堂」の 分析から∼」、『京都光華女子大学京都光華女子大学 短期大学部研究紀要 56』京都光華女子大学短期大 学部

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南多恵子、河本歩美、寺本珠眞美(2017)「地域共生 を目指す居場所づくりに関する研究 : 京都市西院老 人デイサービスセンター「おいでやす食堂」の軌跡 から」『京都光華女子大学京都光華女子大学短期大 学部研究紀要 55』京都光華女子大学短期大学部 守本友美(2001)「社会福祉施設におけるボランティ ア受け入れの現状と課題」、厚生労働統計協会編『厚 生の指標第 58 巻第 5 号』、厚生統計協会

図 1 ボランティアを継続する理由とは?

参照

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