析出硬化性合金の析出時効と再結晶に関する研究 (
第1報)
著者
末永 勝郎, 浜崎 美智子
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
2
ページ
11-16
別言語のタイトル
ON THE RECRYSTALLIZATION OF PRECIPITATE
HARDENABLE ALLOYS
析出硬化性合金の析出時効と再結晶に関する研究 (
第1報)
著者
末永 勝郎, 浜崎 美智子
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
2
ページ
11-16
別言語のタイトル
ON THE RECRYSTALLIZATION OF PRECIPITATE
HARDENABLE ALLOYS
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末 永 勝 郎 * ・ 浜 崎 美 智 子 *
ONTHERECRYSTAI』LIZATIONOFPRECIPmATE HARDENABLEALLOYSKatsuroSUENAGA,MichikoHAMASAKI
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ReceivedMay31,1962. て実験に供した. Cu-Be合金鋳塊を700°Cで25%熱間圧延した後,次の4征
の処理を施こした. a800°C,2hr溶体化水冷b同上後30%冷間圧延および40%冷間圧延
c800°C,2hr保持後50°C/hrの割合で徐冷焼鈍
d同上後30%冷間圧延および40%冷間圧延
Cu-Co合金鋳塊を1000°C,1hr均熱後25%の冷間圧延を行
なって,次の4種の処理を施こした. a950℃,1hr溶体化水冷b同上後20%冷間圧延および70%冷間圧延
c950oC,1hr保持後50℃/hrの割合で徐冷焼鈍
d同上後20%冷間圧延および70%冷間圧延
Cu-Ni2Si合金鋳塊を900℃,Zhr均熱後25%の冷間圧延を行な
って,次の4和の処理を施こした. a900。C’1hr溶体化水冷b同上後20%冷間圧延および40%冷間圧延
c900℃,1hr保持後50.C/hrの割合で徐冷焼鈍d同上後20%冷間圧延および40%冷間圧延
以上おのおの,溶体化水冷,溶体化水冷後冷間圧
延,徐冷焼鈍,徐冷焼鈍後冷間圧延の処理を施こした
ものについて,100.Cより50℃間隔に階段的に昇温
し各温度1hr繰返し加熱水冷の再加熱処理を施こし
て,その間の硬度変化をみた.また種々の温度のsalt
bath中で種々の時間保持水冷して,その間の硬度変化
1 . 緒 言筆者等の1人はLCN-155超耐熱合金に関する研究
の過程において,溶体化水冷後冷間圧延したものは徐
冷焼鈍後冷間圧延したものに較べて,再結晶軟化の著
しく遅れることを見出した')2).この事実は耐熱合金
の性能向上の上よりきわめて興味のあることである.
木報告は析出時効と再結晶との関連性を明らかにす
るための予備的実験として行なった結果を示したもの
であるが,LCN-155合金は合金元素の種類も多く,
その時効過程も複雑であるので,ここでは比較的単純
な析出硬化性合金の二三について検討を加えた.
Ⅲ、試料と実験方法試料はTablelに示す配合組成のものをタンマン
炉で熔製し,シェル型に鋳造した.Tablelの合金の
中C,DはいずれもNi:Si=4:1(重迅比)の割合
として,それぞれ2%,5%Ni2SiとCuとの擬二元合
金としたものである.得られた鋳塊にはそれぞれ次のごとき処理を施こし
Table、1CompositionofSpecimens * 機 械 工 学 教 室 0.40 1.00 ABCDC
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析出硬化性合金の析出時効と再結晶に
関 す る 研 究 ( 第 1 報 )
1.60 4.00 97.0 97.5 98.0 95.0AT500.L 40xLoldnjllCdム(↑Cr
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鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 2 号 A1580.[ 12 および組織の変化をみた. 400 0・〔 m ・ 実 験 結 果 と そ の 考 察 木実験でとりあげた合金を冷間圧延して後,階段的 に昇温繰り返し加熱するときの硬度変化は,極々の因 子が重展しその総和として現われるものである.すな わち徐冷焼鈍後冷間圧延したものの場合は,歪時効に よる硬化,加工歪の恢復,再結晶による軟化,さらに は徐冷焼鈍時の析出物が母相へ逆溶解することによる 軟化などがその因子として考えられる.一方溶体化水 冷後冷間圧延したものの場合は,歪時効,析出時効に よる硬化,加工歪のI恢復,再結晶による軟化および析 出物の凝集,素地固溶体への再溶解による軟化などの 総和として現われるものとみられる. 1.Cuおe合金 Fig.1にCu-Be合金の階段的昇温繰返加熱による 硬度変化を示す.溶体化水冷したものは再加熱により 著しい硬化を示し,約350℃で最高硬度に達するが, 以後温度の上昇とともに軟化に転ずる.溶体化水冷後 冷間圧延したものも200℃附近より急激な硬化を示 し,約350.Cで最高硬度に達する.徐冷焼鈍したも のは低温側においてはほとんど硬度の変化を示さぬ が,高温側では徐冷焼鈍中の析出物が素地固溶体に逆 溶解することにより軟化する.徐冷焼鈍後冷間圧延 したものは,溶体化水冷後冷間圧延したものと同様 350.C附近より軟化に転ずるが,後者は前者より軟化 が著しく遅れる.Fig.2は同じく30%冷間圧延した 0 0 ︵︾ざ、弓。一︶ どぺ /l/
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︵茸○劃勺剣ロー︶協豊誼剣工巴呈J夢 PQ OIoo200300400500boo700800 −TEmPerinjTbmPeI貢fz‘c°CFig.2.Hardnesschangebytempering
ofCu−3%Bealloysateach temperatureforlhr、ものについての結果であって,40%冷間圧延の場合
と同じ傾向を示すが,30%冷間圧延したものが軟化
完了温度はやや高い.Fig.3は500。C,580℃,600℃の各温度のsalt
bath中に保持するときの保持時間と硬度との関係を
示したものである.加熱保持温度の上昇とともに軟化
が急速に行なわれるが,いずれの場合も溶体化水冷後
冷間圧延したものは徐冷焼鈍後冷間圧延したものよ
り,軟化が遅れる.溶体化水冷後冷間圧延したものを
比較的低温に保持するときは,階段的昇温加熱の場合
にみるごとく,最初硬化してから軟化に転ずる.
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のであって,徐冷焼鈍後冷間圧延したものが1min保
持ですでに再結晶を完了し,以後粒界移動による成長
を示すのに対し,溶体化水冷後冷間圧延したものは
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0 1 4 I b M ? 5 b O l 4 I b b 4 2 S 6 0 I 4 1 b H 2 5 b −−H"叩iimcminFig、3.Hardnesschangebyagingof
Cu・-3%Bealloys. < 100 LnneAI団 ロ . mlIcdムIIP『 uen[hed mlI2Jム(tEf cd 毒9座罰心(c) ;に永・浜崎:析出硬化性合金の析出時効と再結晶に関する研究(第1報) 0 1 0 0 2 0 0 3 0 0 4 0 0 5 0 0 b O O j 7 0 0 8 0 0 9 0 0 −−−−淀InPerin'TbmPemr巴.c Fig.4,Hardnesschangebytemperlng ofCu-2.5%Coalloysateach temperatureforlhr. ■ 鴎ひ痔学二 可OXcoldroI1eda縦r
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昏弓:。⋮皇豊I
(a) 1min保持で局部的にわずかに再粘,1m'1が始まっている のが認められるのみで,180min後もなお再結11,11,は完 了していない.Fig.3の硬度変化とよく対応するもの である. 2.Cu−Co合金 Cu-Be合金と同様析出硬化性のある2.5%Co-Cu合金について同様の’ノミ験を行なった.Fig.4は階段的
昇温繰返し加熱による硬度変化を示したものである. 本合金はCu-Be合金に較べて析出硬化性が杵しくな いため,杵しい硬度変化は示さないが,Cu-Be合金と lr1様群休化水冷後冷間圧延したものは徐冷焼鈍後冷間 IE延したものに較べて蚊化が遅れる.加工度の大きい ものは小さいものより1炊化が速い. 以上の災験によって,比較的耶純な│斤出使化性合金 においても,LCN-155合金の場合同様,涛休化水冷 後冷間旺延したものは徐冷焼鈍後冷間圧延したものに 較べて,再加熱による軟化の遅れる覗実を確認したの であるが,更にかかる現象を過飽和固溶度の異なる合 金間で比較する目的で,同じく析出硬化性合金である 2%Ni2Si-Cu合金および5%Ni2Si-Cu合金につい て検討した. 3.Cu−Ni2Si合金 Fig.5,Fig.6にそれぞれ2%Ni2Si合金および 5%Ni2Si合金の階段的昇温繰返し加熱による硬度 変化を示す.溶体化水冷したものは再加熱によって, 200℃∼300°C附近より硬化し,2%Ni2Si合金は約 550℃で,5%Ni2Si合金は約500°Cで鹸高硬度に 達し,以後軟化に転ずる.涛体化水冷後冷間圧延した ものも300.C∼350.C附近より硬化し,20%冷間圧 延,40%冷間圧延いずれも,2%Ni2Si合金は約 500℃で,5%Ni2Si合金は約450°Cで鹸高硬度に 達して1M<化に転ずる.20%圧延と40%圧延の差はこ の場合リjらかでないが,冷間112延を施こすことによつ 300 (d) (b)( e ) ( f ) ( 9 ) ( h )
Photo、1.MicrostructureofCLl-3%Bealloys。×100 40%coldrolledaftersolutionquenching.(a)Ascoldrolled.(b)Agedat580oCforlmin.(c)Agedat580、Cfor5min,
(d)Agedat580oCforl80min、 40%coldrolledaftcrannealing。(e)Ascoldrolled.(f)Agedat580oCforlmin.(9)Agedat580oC1・or5min,
(h)Agedat580oCforl80min. 13綴
14 言200 9画
選
0 4 I b M 2 5 b I Q 3 0 4 0 q 6 0 I 4 I b b 4 2 5 b 0 l 4 1 b M 2 5 b − H e ‘ 岬 f u n 2 噸 8.Hardncs3changebyagingof Cu-5%Ni2Sialloys. Cu-Be合金,Cu-Co合金の場合と同様,溶体化水冷 後冷間圧延したものは徐冷焼鈍後冷間圧延したものに 較べて軟化が遅れる.そしてこの遅れは加工度の大き いほど,過飽和度の大きいほど著しい. Fig.7,Fig.8はそれぞれ2%Ni2Si合金,5% Ni2Si合金を500℃,600℃,700°Cの各saltbath中 に保持するときの保持時間と硬度との関係を示したも のである.加熱軟化に対する傾向はCu-Be合金の場 合とほぼ同様である.徐冷焼鈍後の冷間圧延硬度は同 一加工度であれば2%M2Si合金,5%Ni2Si合金 いずれもほぼ同一であるが,再加熱による軟化は2% Ni2Si合金より5%Ni2Si合金の方が早く進行するの が認められる.一方溶体化水冷後の冷間圧延硬度は同 一加工度の場合2%Ni2Si合金よりも5%Ni2Si合 金の方が著しく高いが,再加熱による軟化は比較的低 温側においては5%Ni2Si合金が早く始まる傾向に ある.しかして溶体化水冷後冷間圧延したものの徐冷 焼鈍後冷間圧延したものに対する軟化の遅れは,5% Ni2Si合金の方が2%Ni2Si合金より著しく大きい. 20000
伽 0 2 ︵一エミ、弓。一︶籾g直ぐエE⑳苦一ン Fig Y 、、6‘ 滝
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O O O O z ︵︾エ即つぎ一︶爵曽弓エ廻皇︺声011 図、 0%co1droiled戯脆r空鴛
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0100200300400500bOO700800 −−亜mPcnnj花、?…庭.c Fig.6.HardnesschangebytemPering ofCu−5%Ni2Sialloysateach temperaturefbrlhr・ て析出時効が促進され,かつ過飽和度の高い5%Ni2‐ si合金は過飽和度の低いものより析出時効が促進さ れていることを示すものと思われる.徐冷焼鈍したも のは本合金の場合,350°C附近より硬化に転じ,約 500℃で最高硬度に達し以後軟化するが,この場合の 硬化は歪時効によるものではなく,徐冷焼鈍時に充分 析出し得なかったものが階段的に各温度1hr繰返し 加熱により析出してきたことによるものと考える. ︽︾潟3−︾9暑皇撞馴宝眠︲︲︲l︲ 0 0 1 羽“侶笥エビ皇︶一二 凸da 酌9 〃Soo・〔鐘
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40ツbtoldmlIed soM1on4uen( 酬巴γ 0 1 4 1 b b 4 2 5 b I Q 2 4 4 0 q b O I 4 I b b 4 2 5 b o I 4 I b H 2 5 b −一一一H"fhi↑i唯、in Fig.7.Hardnesschangebyagingof Cu−2%Ni2Sialloys. 0%foIdmlIed蝿r an雁ble4 ご鼠弓二詮 0 ︾一︾
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Photo、3.MicrostructurcofCu-5%Ni2Sialloys.×100 40%coldrolledaftersolutionquenching.(a)Ascoldrolled.(b)Agedat700oCforlmin.(c)Agedat700oCfor60min.
(d)Agedat700oCforl80min、 40%coldrolledafterannealing. (e)Ascoldrolled.(f)Agedat700oCforlmin(9)Agedat700oCfor60min. (h)Agedat700・Cforl80min. Photo,2,Photo、3はそれぞれ2%Ni2Si合金と 5%Ni賭Si合金の700.C保持''1の組織変化を示した ものである.いずれにおいても徐冷焼鈍後冷間11冒延し たものは,溶体化水冷後冷間服延したものより再結IiiI1, 粒の生成が早く,再結晶の進行も速いのがみとめられ る.また流体化水冷後冷間圧延したものについても, 徐冷焼鈍後冷問圧延したものについても,濃度の高い 5%Ni2Si合金が2%Ni2Si合金より再結品粒の生 成が早いのが認められ,硬度の変化とよく対応する. (a) i ;I:i#. (b) ︾今, (a) 蕊 凌 零 醗 瞬 ;認撰審
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Photo、2.MicrostructureofCu-2%Ni2Sialloys.×100 40%coldrolledaftersolutionquenehing.(a)Ascoldrolled.(b)Agedat700oCforlmin.(c)Agedat700oCfor
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5min.(h)Agedat700oCfor80min. a鍵X謎 (c) 末永・浜崎:析出硬化性合金の析出時効と再結晶に関する研究(第1報)16 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 2 号 Ⅳ 、 総 括 祈出硬化性合金の析出時効と再結晶との関連性を明 らかにするための予備的実験として,比較的単純な析 出硬化性合金について実験を行ない次の結果を得た. 1.溶体化水冷したものと徐冷焼鈍したものといず れも冷間圧延を施こして再加熱するとき,前者は後者 に較べて著しく軟化が遅れ,再結晶の開始,進行とも に遅れることを認めた. 2.同じ合金系で溶体化水冷して均一固溶体になる ものにおいて,濃度の高いものと濃度の低いものと比 較するとき,溶体化水冷後冷間圧延したものも徐冷焼 鈍後冷間圧延したものもいずれも,濃度の高い合金が 濃度の低い合金より,再加熱による軟化は早く進行す る.特に徐冷焼鈍後冷間圧延したものにおいて顕著で ある. 3.溶体化水冷したものを再加熱するとき,溶体化 水冷後冷間圧延を施こすことにより析出時効は促進さ れるが,同じ合金系でも過飽和度の高い合金は過飽和 度の低い合金に較べて時効硬化量が大きいのみなら ず,析出時効そのものも促進され,低温側に移行す る. 終りに,この研究に終始協力を惜しまなかった朝倉 友美,上田明徳,片平紘治の三君に心より感謝の意を 表します. 文 献 l)末永:日本金属学会第50回講演大会(1962年4 月)において講演(講演概要59頁) 2)岡本,末永:日本金属学会第50回講演大会(1962 年4月)において講演(講演概要60頁)