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チ-ズ製造における限外炉過技術の利用 ; 3

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(1)101. チ ーズ製造 にお け る. υ 限外炉 過技術 の利用一Ⅲ 浅. 田 祥. 司. 6.2 UF処 理におけるホエー蛋自の変性 ホ エ ー蛋 白 は さまざまな変性状態 でチー ズ中 に含 まれ てい るため ,テ クス チ ャーや フレーバ ーに及 ぼす 影響 を評 価す る ことは決 して容 易 では な い。 オ ラ ン ダの研究者 らに よる と,未 変性 のホ エ ー蛋 白は不 活性 な充 てん材 の よ う な役割 を担 ってお り9① ,チ ーズに なめ らか な テ クスチ ャーを賦与 してい る可 の 能性 が 指摘 され てい る 。 この根拠 として,ホ エ ー蛋 白 は パ ラカゼ イ ンの マ トリッ クス形成 に関与 せ ず ,逆 に マ トリッ クス形成 を妨げ る場合 さえあ る と い う実験結果 が示 され てい る。 伝統 的 な チ ーズ組織 の強 さや固 さは大部分 ,カ ゼ イ ンの フレーム ワー クに 由来す る もので あ る。 したが って,未 変性 のホ エ ー蛋 白を 20%ま で含む よ うに なれ ば ,テ クスチ ャー全般 ,特 に. TS含 量. (全 9D。. 固形分 )が 比較的高 いチ ーズの テ クスチ ャーに影響 を与 える ことに なろ う. UF Mozzarellaチ ーズ9場 では UF Goudaチ ーズ8,90)ゃ UF Havartiチ. _ズ 33)と 同様 ,従 来法 の もの よ りも ソフ トな テ クスチ ャー となる こ とが既 に 報告 され てい る。 もとの 未変性状態 の ままの ホ エ ー蛋 白が どの程度 の害J合 で. UFチ ーズに. 含 まれ てい るかを知 るのは困難 で あ る。 と言 うのは,UF自 体 が 何 らか の変. 性をホエ ー蛋白に もた らす と考 え られ るか らである。β―ラク トグ ロブ リンの 場合,5%か ら 50%の 範囲内で変性を引き起 こしている可能性が指摘 されて い る。 ただ し,そ の程度は. UF濃 縮乳の循環回数,滞 留時間,温 度お よび工. 注)本 稿は,「 甲南女子大学研究紀要」 ,第 25号 , p lll-127(1989)に 続 くものであ る。.

(2) 102. チーズ製造における限外源過技術の利用一 Ⅲ. 程 中 に入 り込む空気 の比率 に依存す る (Harper,w.J.か らの私信 )。 一 方. ,. い くつ か のホ エ ー蛋 白 (た とえば ,β ―ラク トグ ロブ リン)は 気液界面効果 7D に よって容 易 に変性す ることも知 られ てい る。 熱変性 したホ エ ー蛋 自 の場合 と同様 ,こ の変性 の結果 ,カ ゼ イ ンや カル シ ウム と複合体 を形成す るだけ の 構造変化 (unfOlding)が β―ラク トグ ロブ リンに生 じるのか 否 かは 未 だ 確定 してい な い。 ポ リスル フ ォ ン膜 や ミネ ラル膜 の導 入 に よ り,55° Cあ るいはそれ以上 の温 度 で も原乳 の UF濃 縮 が 可能 に な って きた。研究初期 の頃 は , 60°. Cで 4∼. 5時 間 に及 ぶ UF濃 縮 を実施す る と最小 限 の変性 が ホ エ ー蛋 白 に生 じる9の と 考 え られ ていた よ うで あ る。 しか し,最 近 では. 54°. Cで 2時 間 とい う操作条. 85)が 件下 で もホ エ ー蛋 白 とカゼ イ ンの会合 観察 され てい る。 そ のため ,い く. つか の. UFチ ーズの製造現場 では,ホ エ ー蛋 自 の変性 を 最小 限 にす る 目的. で操作温度 を下げ るこ とも試 み られ てい る。 と ころが , この よ うに操作条件 を変 えて も,濃 縮保持液 が バ ル ブを通 して. UF装 置 内に ポ ンプ 送液 され る. 際 には何 らか のホ エ ー蛋 白変性 が 起 こ り得 るのであ る。 吸 い込み ライ ンでの 漏れ (leaks)も. UF濃 縮保持液 へ の空気 の混入を増大 させ る ことに なろ う。. 一 方 ,変 性 の程度 は透析戸過 (dianltradon)が 行 なわれ るか ど うか に依存 す る事実 98pも 報告 され てい る。即 ち,透 析戸過 に よって濃縮保持液 中 の乳糖 の保護効果 が 取 り除 か れ るため ,ホ エ ー蛋 自 の熱変性 が 加速 され るよ うに な るのであ る。 60°. Cで. pH 6。. 2の 条件下 で透析戸過 を 2回 行 な った場合 ,α ―. ラク トアル ブ ミンと β―ラク トグ ロブ リンの 75∼ 90%ま で熱変性す る こ とが 観察 され てい る。 これ に対 し,原 乳 の. UF濃 縮 だけは 15∼ 20%の 変性 が認. め られ るだけで あ る98p。. 6。. 3 UFチ ーズにおけるホエー蛋自の加水分解 変性 したホ エ ー蛋 白 はチ ーズの熟成 と共 に加水分解 が進行 し,異 常 な フ レ. ーバ ーや テ クスチ ャーを もた らす こ とが既 に報告 され てい る28,49,94,9D。. 硫黄. 分 の多 いホ エ ー蛋 白を硫化水素や他 の硫黄化合物 に加水分解す る こ とは フレ.

(3) 浅. 103. 田 祥 司. ―バ ー欠陥を引 き起 こす可能性 が あ る。 これ に対 し,未 変性 のホ エ ー蛋 白 は キ モ シン (chymosin),ス ターター細菌 ,プ ラス ミン (plasmin)に よる加水 分解 を受 け に くい事実. 8,33,9の. が 矢日られ てい る。 さ らに,UF. Cheddarチ ーズ 30。. では従来法 の ものに比 べ ,遊 離 ア ミノ酸 の蓄積 が 遅 くな る傾 向 に あ る. こ. の理 由 としては ,原 乳 中 に あ る プ ロテ ィナ ーゼ とペ プチ ダ ーゼの イ ンヒビタ ー (inhibitors)濃 度 が. UF濃 縮保持液 中 で 高 くな ってい る ことが 考 え られ. よ う。 一 方 ,プ ラス ミンとそ の前駆体 (precursOr)で あ る プラス ミノーゲ ン (plasminOgen)が ,変 性 した β―ラク トグ ロブ リンに よって 阻害 され る可能性 もあ る9° 。 プ ラス ミンはチ ーズの熟成 においてそれ な りに重要 な役割 を はた してい る8ao β_ラ ク トグ ロブ リンが変性 を受け る結果 ,比 較的 キ モ シンに よ る分解 を受 け に くい とされ る β―カゼイ ンや αs― カゼイ ンの 加水分解 におい て特 に影響 が認 め られ るか もしれ な い8の 。uF Havartiチ ーズの場合 に も熟 3の. が ぁ る。UFチ ーズ. では β―カゼイ ンの分解 が 特 に遅 くな る よ うで あ る。UF. Cheddarチ ーズの. 成速度 が従 来法 の ものに比 べ 著 し く低下す る との報告. ガε αsの proteoly‐ Jυ θ ι ι πsあ ι フ レーバ ーは,従 来 のス タータ ー菌 に Lα ει ο♭αεグ. tic株 を 加 える こ とで 著 し く改善 され てい る30。. グ ι ι πs属 の 細菌 は ″ οbα ε Lα ε. UFチ ーズ中 においてそ の活動 が 阻害 され るに もかかわ らず ,従 来法 に よる チ ーズ と同 レベ ル まで遊離 ア ミノ酸 を もた らす ことが可能 で あ った。 UFチ ーズの フ レーバ ーを改 善す るため に 中性 プ ロテ ィナ ーゼ を添加す る方法 も提 29,45)。. 案 され てい る. また,い くつ か の非 ス タータ ー細菌 が 未変性 のホ エ ー蛋. 白を加水分解す る事実 も報告 され てい る. 97)。. ホ エ ー蛋 白が 間接的 に もチ ーズの 品質 に影響 を与 える可能性 は十分 に考 え られ る。UFチ ーズ中 にホ エ ー蛋 白が 存在す る ことは一 種 の希釈効果 ,即 ち カゼイ ンの よ うな フ レーバ ー 前駆体 の 有効濃度 を 下げ る 効果を もた らす か 90。. も しれ な い. 同様 に, レンネ ッ トの よ うな酵素 とカゼ イ ンの反応 に対 し. ,. ホ エ ー蛋 白 は物理的 に干渉す る結果 , レンネ ッ トの作用 力を低下 させて しま う可能性 もあ る。 あ るいは 単 に. UF処 理 で 何倍 に も濃縮 した 原子L中 では レ. ンネ ッ トが 動 きに くいため ,レ ンネ ッ トの 作用 力 が 低下 す る こと も考 え ら.

(4) 104. チーズ製造における限外源過技術の利用一 Ⅲ. れ よ う。 いずれ にせ よ,熟 成 中 に蛋 自分解 (prOteolysis)を 必要 とす る. UF. チ ーズ では,残 存 レンネ ッ ト量 が 多 いほ ど 好 ま しい ことが 示唆 され てい る. (M.lyerの 私信 )。. UFチ ーズ中 の カゼ インの蛋 自分解速度が ホエ ー蛋 自 の. 含有率 に よって影響 を受け るのか否 か ,あ るいは ホ エ ー蛋 自 の変性 の程度 に よって左 右 され るのか 否 か については未 だ 結論 は 得 られ てい な い。UFチ ー ズの テ クスチ ャー,特 に な め らか さに影響す る別 の因子 としては,使 用す る 28,632。 これ はその タイプに よって蛋 自分 凝 固剤 (coagulant)の タイ プが あ る. 解活性や ホ エ ー蛋 白 に対す る特異性 が 異 な ってい るためで あ る。. 6。. 4 UFチ ーズにおけるホエー蛋自の熱変性. UF処 理 の前 に 原乳 を加熱 した り,あ るいは UF濃 縮保持液 を 加熱 した 場 合 ,UFチ ーズ にお け るホ エ ー蛋 自 の影響 はか な り複雑 な もの とな るだ ろ う。 と言 うのは,ホ エ ー蛋 自 の変性 と乳 コロイ ドの安定性 の両方 に対 し,加 熱処理 の程度如何 が非常 に大 きな影響を及 ぼすか らで あ る。少 な くとも 4つ ホ エ ー蛋 自 の 熱変性 の因子 ,即 ち加熱温度 ,加 熱時間 ,全 固形分濃度 ,pH力 ` に関与 してい る こ とは確か で あ る。UF Cast Fetaチ ーズの なめ らか な テ クス チ ャ ーは大部分 ,UF工 程 の前 の加熱処理 に起因 してい る。 一 方 ,UF濃 縮保 20,88,98p。 持液 へ の加熱処理 は あ ま リテ クスチ ャーには影響 しない よ うで あ る. UF濃 縮乳 での方 が よ り大 きな ホ エ ー蛋 白変 46,99,10の もあ る。 実際 ,UF濃 縮保持液 では UF工 程 性 が 観察 され る との報告 ただ し,通 常 の 標準乳 よ りも. 中 に濃縮 され て しまった可能性 の あ る細菌を殺す ため ,加 熱処理 を行 な うの が常 で あ る40。. uF Cheddarチ ーズ製造 の あ る プ ロセス14pで は,uF濃 縮. 保持液 の約 10%が スター ター菌 の培 養 に使われ てお り,ま たそれ には程度 の 強 い加熱処理 が 行 なわれ てい る。 ヨー グル トと. UFソ. フ トチ ーズの各 々の テ クスチ ャーの間 には少 なか ら. ず関係 が あ る。 いずれ も製品 として のテ クスチ ャーの なめ らか さは,行 な っ た加 熱処理 に よって決 まって しま う。 この よ うな テ クスチ ャーの なめ らか さ は如何 なる機構 に よって生 じるのか につ いては 未 だ よ く解 明 され てい な い。.

(5) 浅. 田 祥 司. 牛乳 の加熱処理 はホ エ ー蛋 白を変性 させ る と同時 に,カ ゼ イ ン ミセル とホ エ ー蛋 自 の 間 で複合体 を形成 し6D,さ らに ミネ ラル成分 まで変化 させて しま う. もの と考 えられ る。 た とえば,変 性 した β―ラク トグロブ リンの場合,κ ―カ ゼ イ ンと反応 し,通 常 の レンネ ッ ト凝固 よりももっと弱 い ものになってしま. SH基 に加 う可能性があろ う。β一ラク トグロブ リンが変性す ると,活 性な 一 え,Caイ オ ンを 強 く結合す る カルボキ シル基 まで 分子表面 に現われる よう になる。 この結果 は,未 変性 の β―ラク トグロブ リンの示す低 い と対照的 と言え よう。原乳や. Ca結 合能. UF濃 縮保持液 を 加熱 した後 に 観察 されるテ. クスチ ャーの なめ らか さの増大 は,変 性 した β一ラク トグロブ リンに対す る Caの 結合増加 に基づ くとい うことは 十分 考 え られるのではないだ ろ うか。 なお未変性 の α―ラク トアルブ ミンは. Caを 強 く結合す る性質が あ るが,こ. れは加熱後 の著 しい Ca結 合 の増加 とは関係がなさそ うである。何故 な ら ,. α―ラク トアルブ ミンは必ず しも容易 に変性 しないか らである。. 6。. 5 保水性に及ぼすホエー蛋自の影響. UFチ ーズの テクスチ ャーは 牛乳全体 の 保水性変化 とも関係が あ るよう に思われる。 と言 うのは,ホ エ ー蛋 自の 存在 が UFチ ーズに対 し より多 く の水分を もた らしているか らである34,101)。. ホェ _蛋 白は 変性す ると保水性. が増大す ると一般に 報告 されてい るが,そ の 程度 は あ ま り大 きな ものでは ない ようであ る8,51,88,98,10υ 。 む しろ 保水性増大 の 原因 としては,カ ゼイ ン ミセル と熱変性 したホエ ー蛋白 との間の複合体形成を考 えた方が適当なので. はないだろうか。何故なら, ヨーグルトの保水性,そ してヨーグル トの粘度 や グル強度 は カゼイ ン ミセルの 集合程度 (coalescence)と 密接 な関係 が あ るか らで あ る61)。 ホ ェ ー蛋 白が. UFチ ーズに と りこまれ る際 の 形 ,即 ち 変. 性 して い るか 未変性 な のかは蛋 自分解 (prOteolySis)お よび保水性 (water― binding)の 両方 に とって重要 と言 え よ う。溶媒 として の水 が どの程度利用 で きるのか とい う点は,チ ーズの熟成 と品質 に影響す る大 きな因子 とな ってい る98)。.

(6) 106 6。. 6結. チーズ製造における限外源過技術の利用一 Ⅲ 論. チ ーズ中 にホ エ ー蛋 白が 存在す る結果 ,テ クスチ ャ ー としての さま ざまな 物性や熟成経過 に そ の影響 が 認 め られ る場合 が 多 い。 しか もそ の程度 はチ ー ズ中 に と りこまれ るホ エ ー蛋 白量 ,お よび ホ エ ー蛋 自 の変性状態 に よって決 まって くる。無論 ,こ の よ うな ホ エ ー蛋 自 の影響 は UFチ ーズ の種類 に よっ て著 し く異 な る もので あ る。UF. Cheddarチ ーズゃ uF Mozzarellaチ ーズ. で さえ,UFプ ラ ン トの運転 中にあ る種 の変性 が 通常生 じて しま うた め ,チ ーズ中 に と りこ まれた ホ エー蛋 白が本当に まだ 未変性 の状態 の ままな のか ど うか を決定 で きな い現状 で あ る。 UF Cast Fetaチ ーズや ズの製造 においては,UF工 程 に入 る前 の原乳や. UF Quargチ. ー. UF濃 縮保持液 は共 に加熱. 処 理 と均質化処理 が加 え られ てい る。 この結果 ,ホ エ ー蛋 自 の最 大限 の変性. UF UFソ. が 確実 に起 こ り,製 品 として必要 な テ クスチ ャーの なめ らか さを もった チ ーズ生産 が 容 易 と な ってい るのであ る。 熱変性 した ホ エ ー蛋 白を. UFセ. ミソフ トチ ーズに 取 り込 む こ との 意義 は, ヨー グル ト. Creamチ. ーズの製造 の場合 と理 論的 には 同 じと考 え て よい と思. フ トチ ーズや や伝統的 な われ る。. 7.UFに. よる Mozzarellaタ イプ チ ーズの製造に際 し,何 か特 別な問題が. 生 じてい るのか否か. P. 従 来法 に よる 伝統的 な Mozzarellaチ ーズの 製造 自体 は 比較的 単純 で あ る。 pHは このチ ーズの伸展性 (strectchability)と 溶融性 (meltability)の 両方 に とって最適 とされ る約. 5。. 2に コン トロール され てい る。 しか し, この. チ ーズの 理想的 な 種 々の 物性 の 実現 に関与 してい る 因子 とは 何 かにつ いて は ,未 だ正確 に 理解 され てい る と は 決 して 言 えな いのでは な いだ ろ うか。 ナチ ュラルチ ーズの 伸展性 と 溶融性 は 共 に未反応 (intact)の カゼイ ン と残 存 ミセル. Caの 比率 ,さ. らに カゼイ ン と水 分 の 比率 に よって 決 まる と 考 え. られ てい る63,8の 。 したが って,UFチ ーズの製造 工程が反応 し得 るカゼ イ ン (`erect市 e'casein)と 利用可能 な. Caの 比率を変 える よ うな ら,そ のチ ーズ.

(7) 浅. 107. 田 祥 司. の伸展性 と溶融性 も変 わ って くるだ ろ う。 ホ エ ー蛋 白が実際 に カゼイ ンマ ト リッ クスに対 し影響す るのか ,あ るいは単 にホ エ ー蛋 白 が利用可能 な. Caと. 水を求め て カゼイ ン と拮抗す るだけ な のか ど うか は不 明 で あ る。 水分含量 の高 い. UF Mozzarellaチ ーズの製造 に成功 した とい う報告 103p. は既 に あ るが ,そ のチ ーズの伸展性 と溶融性 についての詳細 な記述 は行 なわ 92,100に よれば ,従 来法 に よる伝 れ てい な い。 パ イ ロ ッ トス ケ ール での研究 統 的 な Mozzarellaチ ーズ と 全 く同 じ特 徴 を もつ lJF Mozzarellaチ ーズ の製 造 は容易 な ことでは な い とされ てい る。 ただ し,比 較的低濃度 のホ エ ー. UF濃 縮保持液 か ら,水 分含量 の低 い. 蛋 白を含む低倍率 の. UF Mozzarella. チ ーズを 製造 した 場合 , 伸展性 と溶融性 に秀れ たチ ーズが 得 られた との報 告. 85,105)は. ぁ る。. l UFチ ーズの伸展性. 7。. 現在 まで に 公表 された UF Mozzarellaチ ーズの 製造 法 の 多 くの 場合. UF工 程 に入 る前 に約. pH 5。. 8ま で原乎Lを 酸性化 し,そ の後. を透析戸過す る ことでチ ーズ中 の. ,. UF濃 縮保持液. Ca含 量 を減 らす工程 が と り入れ られ てい. る。透析炉過 の前 あ るいは そ の間 に食塩 を添加す る こと も時 々行 なわれ てい る。 これ に よ り. UFチ. ーズの ブライ ン (brine,塩 水)浸 漬 を省略 で きる利. 点 100が あ る。部分的酸性化 (pre― acidincation)し た後 の透析戸過 は ,UF チ ーズに 伸展性 を もた らし,乳 糖含量 を コン トロールす る 上で も必須 の工 程. 10°. と考 え られ てい る。 もしチ ーズ中 に過剰 の乳糖 が 存在す る と, ピザの. 上 にのせたそのチ ーズを加 熱 した 際 , ブラウ ンの退色 を引 き起 こす可能性 が 5D。. ある. しか し先 に述 べ た よ うに,透 析炉過 を行 な うとホ エ ー蛋 自 の変性程 9め. 度 が 大 き くな った り くる。透析戸過 液. 103,100を. ,そ の後 カゼイ ン と複合体 を形成す る危険性 も増 して. は水 107),透. 過液 (permeate)9",低 濃度 の ブライ ン(塩 水)溶. 使 って行 なわれ るのが一 般的 で あ る。. UF濃 縮乳 中 の Caレ ベ ル を コン トロール す る ことは 容 易な ことではな い。多 くの研究者 らは , ミセルに結合 した. Caを 手L清 中 に拡散 させ るのに必.

(8) 108. チーズ製造における限外炉過技術の利用一 Ⅲ. 要 な時間を十分 とるべ きだ と主 張 してい る。 そ の ため ,原 乳 を酸性化処理 し た後 UF工 程 に入 る前 に,15∼ 30分 51),2時 間57)ぁ るいは数時間40放 置 して おいた方 が よいのではないだ ろ うか。 同様 に他 の製造 工程 の場合 ,pH 5.8で. UF処 理 した後 ,. リン酸 カル シウム塩を 再溶解 させ る 目的でそ の. UF濃 縮. 保持液 を 4° Cで 一 晩放置す る方法 も実施 され てい る 。この よ うな放置時間 9υ. を設け なければ な らな い とい うことは,UF. Mozzardlaチ ーズ製造 に とって. UF濃 縮保持液 中 の残存 Caレ ベ ルが如何 に大切 で あ るかを意味 して い る。 UFチ ーズが伸展性 と溶融性 の面 で劣 ってい る原因 の一つ としてチ ーズ原 51,70。 料乳 の均質化処理 も指摘 され てい る 従来法 に よる伝統的 な Mozzarella 100の タイプチ ーズ 場合 に も均質化処理 は 伸展性 を低下 させ る ことが 判 明 し. てい る。恐 らくこれ は カゼイ ン と予L脂 肪球膜が結合 して しまったためで あろ う。 したが って,UF Mozzarellaチ ーズの 製造 に 際 しては 通常脱脂乳だけ. UF処 理 され てい る。 そ して 82%と い う高 い脂肪含量 の ク リームが別 に 均質化処理 され , これ と UF濃 縮 した脱 脂乳 が 混合 され るので あ る が. 51,57)。. 同様 に このチ ーズの製造 工程 中 の加熱処理 はで きる限 り低 レベ ルで行 なわ な ければ な らな い。何故 な らホ エ ー蛋 自 の変性 の可能性 を少 な くし,Caが 変性 した β―ラク トグ ロブ リンに結合す るのを減 らす ためであ る。 UF濃 縮保持 液 が エバ ポ レーシ ョン (evaporatiOn)に よって さ らに濃縮 され る際 の 伸展 性低下 は,エ バ ポ レー ター (evapOrator,濃 縮機 )で の滞留時間 (residence. time)に よる もので あろ う10° 。 しか し,新 しい膜 の開発 で もっ と高 い濃度 に まで全 固形分 を濃縮す る ことが 可能 に なれば ,エ バ ポ レーシ ョンの工程 も必 要 で な くなる もの と期待 され る。. 7。. 2 UFチ ーズの溶融性 熱変性 に 対す る β―ラク トグロブ リンの 感受性 は,原 乳 の もともとの. pH. よりも pH 5.2で の方が低 くなるようである (L.Ko Creamerの 私信)。 に も かかわ らず,UF濃 縮乳や チーズでのよ うに ミセルが近接 している場合,ホ エ ー蛋自の低 レベルの変性 でさえ カゼインとの凝集を引 き起 こす ようになろ.

(9) 109. 田 祥 司. 浅. う。 ピザの上にの ったチ ーズはか な りの加熱処理 を受 け てお り,ホ エ ー蛋 白 も少 なか らず変性 して い るこ とが 予想 され る。 カゼ イ ン,特 に 一S― S一 結合 を 含む パ ラィ ーカゼイ ンや恐 らく αs2. カ. ゼ イ ンに対 し変性 ホ エ ー蛋 白が結合す. る結果 ,カ ゼ イ ン分子 が互 いに 四方 へ 移動す る力 が 低下 し,チ ーズの溶融 を 妨げ る よ うに な るのか も しれ な い。UFチ ーズにみ られ る溶融性 の低下 は変 性 ホ エ ー蛋 白が フ リーの水を つか まえて しま うため とす る報告. 87,93mも. あ るが. ,. 私 にはホ エ ー蛋 白 とカゼ イ ンの複合体形成 の方 が溶融性低下 の原因 で あ る よ うに思われ る。 チ ーズ中 にホ エ ー蛋 白が 多 くなればな るほ ど,溶 融性 もそれ だけ 低下す る よ うに なる。溶融性低下 の 機構 が 必ず しも完全 に 解 明 され て い な いので, この低下 を いか に少 な くす るか ,ま た秀れ た溶融性 を もつ. UF. Mozzarellaチ ーズを 確実 に 製造す るため に どの よ うな ことを行 なえば よい のか とい った ことは未解決 の 問題 で あ る。実 は プ ロセス チ ーズの製造 にチ ー ズベ ースを使 う際 に も同様 の問題 が 生 じてい るので あ る109。 即 ち,原 料 ミッ クス中 のチ ーズベ ースの比率 が 大 き くな るに つ れ て プ ロセス チ ーズの溶融性 87)。. しか し,こ の問題 は溶融塩 を適切 に選 ぶ こ とで見かけ上解. 40。. uFチ ーズの溶融性低下 は取 り込 まれ た ホ エ ー蛋 白に関係. も下 って くる. 決 され てい る. してい る と考 え られ ,プ ロセス チ ーズの場合 もチ ーズベ ース 自体 が Cheddar チ ーズ と同 じ成分組成 を もってい な いため 生 じた問題 ではないだ ろ うか。 電子顕微鏡 で. UF濃 縮乳 か らの カー ド (curd)構 造 を観察す る と,通 常 の. カー ドよ りも多孔性 で 目の あ らい (coarse)テ クスチ ャ ー とな る傾 向が 見出 され る16,25)。 そ して この よ うな カー ド構造 が 9。. してい る可能性 が示唆 され てい る. UFチ ーズの溶融性低下 に関係. 一 方 ,別 の溶融性低下 因子 としては ,変. 性 した β―ラク トグ ロブ リンの表面 にみ られ る カルボキ シル基 に して しま うこと も考 え られ よ う。UF濃 縮保持液 の. Ca含 量 は. Caが 結合. UF Mozza‐ 9'48,6D。. rellaチ ーズの溶融性 に とって最 も重要 な鍵 で あ る よ うに思われ る. と. ころが 別 の報告 104)に よれば ,部 分的酸性化 (pre― acidincation)に よる Ca の除去や 透析炉過 の前 お よび そ の 間 に食塩添加 を 行 な って も,UF Mozzaロ rellaチ ーズでは市販 の Mozzarellaチ ーズの平均溶融量 の半分 以下 しか なか.

(10) 110. チーズ製造における限外戸過技術の利用― Ⅲ. った との結果 も提 出 され てい る。 溶融性 に影響す る因 子 のい くつ かは伸展性 に影響す る因 子 で もあ る。 しか し,従 来法 に よる伝統的 な チ ーズでは溶融性 が 熟成時 間 とともに増 大す る傾 向な のに対 し,伸 展性 は逆 に減少す る傾 向 とな り,一 つ の重要 な相違 点 とな ってい る。 この溶融性増 大 の原因 としては, 分的分解 ,. 2)Caの. 放 出,. 1)カ. ゼ ィ ンネ ッ トワー クの部. 3)蛋 自分解 の結果 としてチ ーズ中 に生 じる水. 和 の増 加 (即 ち,溶 媒化 に利用 で きる水 の減少 )が 考 え られ るのでは な いだ ろ うか。伝統的 な Mozzarellaチ ーズの場 合 ,子 牛 レンネ ッ トのキ モ シンが チ ーズ製造 中 に 失活 す る ことは ほ とん ど1観 察 され てい な い。 また, ピザ用. Mozzarellaチ ーズの 所定 の溶融性 を得 るのに 必要 な 蛋 自分解 の程度 を左右 してい るのは,チ ーズ中 の残存 プラス ミンで あ る8の 。 したが って,UFチ ー ズ中 に含 まれ る 変性 した β―ラク トグ ロブ リンに プラス ミンが 吸着す る こと に よって生 じる阻 害 は,そ のチ ーズの溶融性 を 決 め る上 で重要 な現象 となる か もしれ な い。. 7。. 3結. 論. Mozzarellaタ イ プの きた。 それ は可溶性 の. UFチ ーズを 製造す る際 の 問題 点 が 明 らか に な って. Caと ミセルに結合 した Caと の間 の平衡 コン トロー. UF濃 縮乳 を使 う新 しいチ ーズ 製造法 での方 が ず っ と 困難 で あ る とい う事実 で あ る。 ピザや ラザ ー ニ ャを つ くる場 合 ,UFチ ーズ ル が ,従 来 法 よ りも. が 加熱 され て生 じる ホ エ ー蛋 自 の変性 は この問題 を さ らに大 きな ものに して い る。 そ の ため,UF Mozzarellaチ ーズの伸展性 と溶融性 は ともにチ ーズ 内 に と りこまれ た ホ エ ー蛋 自 の比率 に依存 してい るのではないか と予想す る研 究者 もい る。. 8.UFに 8。. よるチ ーズ製造の将来はいかな るもので あ ろ うか. P. 1 チーズ製造における従来法と UF法 との関係 従来法 に よる 伝統的 な チ ーズ と全 く同 じ特徴 を もつ 種 々の. UFチ ーズを.

(11) 田 祥 司. 浅. 開発す るために多大 の努 力 が これ まで費 や され て きた。 しか し,従 来法 に よ るチ ーズ製造 で重要 な パ ラメ ー ター と,UF技 術を利用 してチ ーズ製造 を行 な う上 で 重要 な パ ラメ ーター との 間 には 単純 な 関係 は 認 め られ な いので あ る4つ 。 これ は ホ エ ー蛋 白が. UFチ ーズ中 に 存在す るためだけ の 理 由か らで. はない。何故 な ら UF濃 縮保持液 は高 い緩衝能 を も ってい るため ,従 来法 に. pHと 高 い ミネ ラル含量 を UFチ ーズに もた らす傾 11の 向 も認 め られ てい るか らで あ る 。 も っ と低 い適切 な pHの チ ーズが 得 ら よるチ ーズ よ りも高 い. 1の. れ る よ うに 加工技術 を 工夫す る ことが 必要 で あろ う 。 限外炉過液 ■ltrates)中 の さまざまな複合体 の間 に あ るイオ ン分布 を どん な. (ultraロ. pHや 温度 111'11の. で も推定可能 にす る 2つ の コ ンピ ュータ ーモ デ ル も提案 され てい る これ らのモ デ ル を応用す る こ とで,チ. 。. ーズの特性 に影響 して い る原料乳 の本. 当 の構成成分 は何 かを知 る指針 が 得 られ るのではな いだ ろ うか。. UFチ. ーズに 固有 の 特徴 を打 ち消す ために. す る方法 が既 に勧 め られ てい る. 31)。. UF濃 縮乳 の 成分組成 を調整. 従来法 に よるチ ーズ製造 で最 も重要 な 2. つ の パ ラメータ ー とは,原 料平L中 の カゼイ ン と脂肪 の比率 ,そ して カー ド中 の カゼ イ ン と乳糖 の比 率 で あ る。UF法 に よるチ ーズ製造 の場合 , これ ら 2 つの比率 の中 の カゼイ ン分 を全蛋 白量 に置 き換 え て考 える ことが で きな いの だ ろ うか。 しか し,所 定 の pHに す るためには全蛋 白量 と茅L糖 の比率 は調整 しておかねば な らな いだ ろ う。 UF. Cheddarチ ーズの場合 ,Caと. 無脂 0無. 塩 固形分 の比率,そ して pHの 両者 の間 には直線 関係 が 存在す る との報告. 11め. もあ る。 デ ンマ ー クの研究者 たち3の は. uF処 理時 の pHが チ ーズの 品質 に関係す. る ことを示唆 して い る。個 々のチ ーズのタイプに応 じて,最 初 の24時 間 にお け るチ ーズ中 の水分 と pHの 関係 を示す理想 曲線 を描 くことは可能 で あ る。. UF工 程 の前 の pH制 御 は 不要 とい うことに な る。 ただ し,ほ ぼ 限界 とされ る 7倍 近 くまで UF濃 縮 す る場合 には pH制 御 を行 な った方 が よい。 また ,UF濃 縮 で取 り込 まれ る この 曲線 に基 づ けば,濃 縮倍率 が 5倍 以下 な ら. ホ エ ー蛋 自 の 比率 が 大 き くな る と チ ーズ 自体 が ソフ トに な り過 ぎて しま う.

(12) 112. チーズ製造における限外源過技術の利用― Ⅲ. が , これを妨 ぐた めには比較的高 い ミネ ラル含量 が 必要 では な いか とす る報 告. 8。. 3め. も無視 で きな い。. 2 UFで 高倍率濃縮 した保持夜からのチーズ. UFチ ーズの製造分野 では 主 に 2つ の 研究 が 広範 囲 に 展開 され て きた。 一 つ は UFチ ーズに必要 な 最終 の全 固形 高倍率濃縮 した 保持液 を 使 用す る. 分 レベ ル まで,即 ち 5∼ 7倍 まで原乳を濃 縮す る場合 で あ る。 これ に相 当す るのは ,UF. Fetaチ ーズや UF Quargチ ーズの よ うな低酸度,高 水分含量. のチ ーズの 開発 で あ った。 UF技 術 の 成果 と言 えるのは,従 来 の もの とは 若 干異 な ったテ クスチ ャーや フ レーバ ーを もつ一 連 の新 しいチ ーズを生 んだ ことでは な いだ ろ うか。新 しいチ ーズを開 発 で きるチ ャ ンス とい う意味 では. UF技 術 の有用性 が以前 か ら指摘 され て きてい る. 4,12,35)。. uF Cast Fetaチ. ーズはテ クスチ ャーや フレーバ ーに おいて も従来 の Fetaチ ーズ とは 異 なる もので あ るが , この ことは商業的規模 での開発成功を妨げ る ことには な らな. UFチ ーズの ほ しか し将来有望 な UFチ ーズ と. か ったので あ る。 現在 ヨー ロ ッパ で 製造 され てい る 新 しい とん どは軟 質. (ソ. 4,1"。. フ ト)チ ーズで あ る. Gruyereチ ーズ よ りも全 固形 35,50。 _方 ,脱 脂乳 の 分 の 少 な い Gruyereタ イ プ の 半硬質 チ ーズ で あ る UF濃 縮保持液 (10倍 濃縮 した もの)と 可塑状 の プラスチ ックク リーム とを して商業的 に製造 され つつ あ るのは,従 来 の. ブ レン ドし, さ らにその混合物 を薄膜下降 式真空 エバ ポ レー タ ーで濃縮す る ことで 高 い水分含量 の す る方法. 110も 既 に提. UF Cheddarチ ーズゃ uF Montereyチ ーズを製造. 案 され てい る。. も う一 つ の暗黙 の研究成果 ,共 通理解 と も言 えるのは,UFチ ーズの特性 を従 来 の もの と同 じに しよ うとす る場合 ,UFチ ーズ中 のホ エ ー蛋 自 の比率 を全蛋 白量 の約 10%以 下 に保 たなければ な らな い とい う点 で あ る。 したが っ て,UF濃 縮保持液 は約 5倍 程度 まで濃縮可能 となるが ,そ の場合 か な りの ホ エ ー排水 が 必要 とな って くる115)。 ヵ _ド が 一 定 の組織 を もつ よ うな. UF. Fetaチ ーズ30,uF Cheddarチ ーズ11)は この よ うな方法 で商業的 に製造 さ.

(13) 浅. 田 祥 司. れ てい る。. 8。. 3 UFで 低倍率濃縮 した保持液からのチーズ. UFチ ーズ原料乳 の蛋 白 レベ ル を標準化す る ことは今 や ヨー ロ ッパ では普 遍的手段 となってお り,Camembertタ イ プのチ ーズ製造 では特 に これが普及 してい る1'20。. この結果 ,約 2倍 程度 まで 濃縮 した原料乳を チ ーズ製造 に利. 用 しよ うとした り12,85,105,116,117),通 常 の原料乳 に高倍率濃縮 した保持液 を加 える12,23,70,105,118,19)と い った研究 が広範 囲 に進 め られ て きたの で あ る。 この. 5%に 標準化す る ことと実質的 には 116,12の 同 じと言 え よ う 。 そ して 最終 的 に保持 され る ホ エ ー蛋 自 の比率 ,お よ よ うな方法は原料乳 の蛋 白 レベ ル を 4∼. び 収率増 加 (主 に蛋 自分 )は 非常 に小 さな もの とな ってい る。 また,UF濃 縮乳 に含 まれ る カゼイ ン とそ の関連 ミネ ラルの比率 が増 加す る と,UF濃 縮 乳 自体 の緩衝能 も大 き くな って くる。 そ の結果 ,製 造 中 の pH低 下速度 とチ. pHの 両方 につ いて過剰 コン トロール,即 ち所定 の pH変 化 が. ーズの最終. 起 こ りに くくなる とい う事態 も発生 して くるので あ る。 こ うした. pHコ ン ト. ロールに よってチ ーズの 品質面 の 同一 性 が もた らされ る もの と考 え られ てい る。 UFで 低倍率濃縮 した保持液 (Low Concentrated Retentates,以 下. LCRと. 略す )の 緩衝能増加 は ,低 い 121,12υ. 献 してい る. Na含 量 の Cheddarチ. ーズ製造 に貢. _般 に ヨー グル トの製造 では 原料乳 の固形分 を強化す る 。. ために脱 脂粉乳 が 加 え られ てい るが ,こ の工程 の 代 わ りに. UF技 術を 利用. す る こと もで きる。 た とえば ヨー グル トのね ば り (consistency)を 安定化す る 目的 で,コ ー ロ ッパ では約 10%30,ァ メ リカでは 20%ま で. UF濃 縮 され. てい る4)。. LCRを 利用す る場合 ,従 来 か らの方法や装置 をそ の ま ま使 える とい う利点 が あ る。 LCR禾 J用 に よる処理量増 加 は,生 産能 力 の拡 チ ーズ プラン トで. 大 を図 りた いが工 場 スペ ースに制約 が あ る よ うな チ ーズ プラ ン トに とって非 常 に重要 な ポイ ン トに なるのでは な いだ ろ うか。 また,低 倍率 の. UF濃 縮. では 高 い膜透過速度 が 得 られ ,資 本 とエ ネ ル ギ ー コス トは最低 となろ う。.

(14) 114 8。. 4. チーズ製造における限外炉過技術の利用一 Ⅲ 農場における牛乳の濃縮. ミネ ラル膜 を使 った システ ムが 最近 では 開発 され る よ うに な って きたが. ,. UF濃 縮 して しま うことも実現可能 に な って きた よ うに 思われ る。 も し 農場 にお け る 牛乳 の部分的 な UF濃 縮 が 実現 し これ に よ り農場 で直接 牛乳を. たな らば,冷 却 ,貯 蔵 お よび輸送 におけ る コス トは相 当節約 で きるのでは な いだ ろ うか 39,70,72,123∼ 125)。 膜透過液 を家蓄 に水 と飼料 の二 つ を兼ね た代用物 として与 える ことは,飼 料 の節約 とい う面 で も意義 が あ る と考 え られ る。 こ うした. UF技 術 の 応用 は 大規模農場 で,. しか も チ ーズ プラン トまで牛乳 を. 長距離輸送 しなければ な らな い場合 には非常 に魅 力が あ る と言 え よ う。 しか し,い ずれ の利用法 を考 えるに して も詳細 な コス トと利益 の解析 が 行 なわれ なければな らな いのは 当然 で あ る35)。 農場 で直接 ,牛 乳 の UF処 理 お よびサ ー ミゼ ーシ ョン (原 料生乳 の貯蔵性 向上 のために. 63°. Cで. 10な い し 15秒 加熱 した後 ,貯 予Lす ること)を 行 な う. とい う考 え方 は最初 MaubOis120に よって提 出 された もので あ る。 しか し. ,. これ に関す る議論 は牛乳 の加熱処理 を. UF工 程 の前 に行 な うのか,あ るいは. UF工 程 の後 で行 な うのか とい う点 に集 中 している現状 で あ る3,32,120。. この. 問題 について議論 が 混乱 して い る一 つ の理 由は,収 率計算を行 な う上 での根 拠 を明確 にす る ことが 困難 とい う点 で あろ う12)。 D● mek54)に よれば , 2倍 あ るいは それ以下 とい う濃縮倍率 では収率 の変化 は実際 の ところ認 め られ な いだ ろ うと主張 してい る。 ホ エ ー蛋 白を取 り込 んでい るのに収率増加 が 少 な いのは,従 来 の. UF装 置 では運転 中 の脂肪損失 が増加 し,こ れが結果的 にホ. エ ー蛋 自 の増加分を相殺 して しま うため と思 われ る。. 8。. 5. 食品産業における UFチ ーズの利用. 食 品産業 のため に特別 に. UFチ ーズを製造す ることは,チ ーズ産業 に とっ. て全 く新 しい市場 を開拓す る ことに なるのでは な いだ ろ うか9'4D。 新 しい Blueチ ーズタイプの食 品 は ,脱 脂乳 の. た とぇば. UF濃 縮保持液 を リパ ーゼ. とカ ビ胞子 で前処理 した牛乳 とで ブ レン ドす ることに よって開発 され た もの.

(15) 浅. で あ る12つ 。 もっ と高 い. 田 祥 司. Ca含 量 ,も っ と低 い レンネ ッ トレベ ルの UFチ. ー. ズ な らば,加 熱中 で も本来 の状態 を保 つ ことがで き る万能 の食 品材料 とな り の 得 るのでは な いだ ろ うか 。 また ,UFチ ーズは 冷凍 に も耐 えるよ うに ,あ るいは 包装済 み チ ーズの よ うな秀れ た貯蔵安 定性 を もつ よ うに改良 され てい くか もしれ な い9。 食 品 へ の利用 のために 特別 に考案 され た チ ーズ製品 の 良 い例 はチ ーズベ ースで あ る109。 これ は全乳 を原料 に して. UF,発 酵 お よび蒸. 発 の三 つ の工 程 を経 て つ くられ てい る。 そ してそ の製造 には全 くレンネ ッ ト が 使 われ てい な い。 この よ うに してで きたチ ーズベ ースはの りの よ うな テ ク スチ ャーを もち, プ ロセスチ ーズの製造 においては原料 ミックス中 のナチ ュ 47)に よれば ,全 脂 ラルチ ーズの30%ま で代用 で きる とされ てい る。別 の報告. 予Lの. UF濃 縮保持液 に乾燥保持液. (dried retentate)を 強化 した もの を使用. す る と,ナ チ ュラル チ ーズの 50%ま で代用す る ことが 可能 で あ り,も っ と低 い コス トで市場価値 の あ る プ ロセス チ ーズ を提供 で きそ うで あ る。. 8。. 6結 論 UFに よるチ ーズ製造 は現在 ,流 動状態 に あ る と言 え よ う。 これは主 とし. て研究初期 の頃 の期待 が 大 きす ぎたためであ る。 ほ とん どの報告 では,高 倍. UF濃 縮 した 保持液 か ら従来 のチ ーズ と 同 じテ クスチ ャーや フ レー バ ーを もつ 製 品を つ くる ことは 困難 とされ てい る。 しか し,UFで 低倍率濃. 率 まで. 縮 した保持液 を使 ってチ ーズ原料乳 の蛋 白 レベ ル を標準化す る方法 は,現 在 さ らに 広範 囲 まで 普及 しつつ あ る 状況 で あ る。多 くの. UFチ ーズプ ラ ン ト. では牛乳蛋 自 の季節的変動 をな くす ことが 大 きな 目的 とな り,ホ エ ー蛋 自 の 回収 は二 次的 な もの とな って しまって い る。UFに よる蛋 白 レベ ルの標準化 の結果 ,チ ーズ組成 の高 い 同一 性 と高 い 品質 が 製 品 に もた らされ る よ うに な ったのであ る。UFで 低倍率濃縮 した保持液 を使 う他 の利 点 としては,チ ー ズバ ッ トの実質的 な容量が大 き くなる,従 来 か らの装置 がその まま使 える と い った こ とが 指摘 され よ う。高倍率 まで. UF濃 縮 した 保持液 が 近 い将来 の. チ ーズ製造 においてはたす主 な役割 は ,UF Fetaチ ーズや UF Quargチ ーズ.

(16) チーズ製造 における限外源過技術の利用一 Ⅲ. 116. と同 じ よ うに 低 い 酸 度 で か つ 高 い 水 分 含 量 の チ ー ズ の 開 発 , さ ら に 従 来 の も の とは 若 千 異 な った 特 徴 を も つ 半 硬 質 熟 成 チ ー ズ の 開 発 に あ る よ うに 思 わ れ る。. REFERENCES l)Korolczuk,J。 ,Maubois,J一 L.&Fauquant,J。 (1986).In e Milk,the Vital ForCe', 22nd lnto Dairy COngr。 ,The Hague,p。 123《 & 153.. 2)Hansen,R。 ,(1981)。 N.Europe Dairy J。. ,47(1), 6。. 3)Honer,C。 (1984).Dairy Record,85(7), 72。 4)HOrton,B.S。 (1982).Dairy Record,83(12), 126。 5)Horton,Bo S.(1986)。 Caseus,The Cheese Magazine,3(2), 22.. 6)Jensen,L.A.,Johnson,M.E。. &Olson,No F。 (1987).Culto Dairy PrOd.J。. ,. 22(5), 6.. 7)Maubois,J.L.&Mocquot,G。. (1971).Le La■ ,51,495。. 8)De Boer,R.&Nooy,P.Fo C.(1980)。 9)Olson,N.F。. N.EurOpe Dairy J。 ,46(3), 52.. (1984).Dairy Record,85(7), 85。. 10)MocquOt,G.(1979)。 In ePorc.lst Biennial Marschan lnte clleese COnf'。. ,. p.603。. 11)ヽrilson,G.(1986).Caseus,The Cheese Magazine,3(2), 3&12。 12)KOsikowski,F.V,(1986).Food Tehnol.,40(6), 75. 13)Patel,R.S.&Reuter,H.(1985).Milchwissenschaft,40(10),592。. 14)van Leeuwen,H.J.,Freeman,N.H。 ,Sutherland,B.J.&Jameson,G。. ヽ Ve. (1984).PCT International Patent Application,WO/84/01/268/Al。. 15)Culioli,J.&Shernan,P。 (1978).Jo Text.Studies,9, 257.. 16)Green,M.L.,Turvey,A.&Hobbs,D.G。 (1981).J.Dairy Res.,48,57。 17)Glover,F.A。. (1985)。. Techo Bull.No。. 18)Maubois,J― L.&Mocquot,G。. 5。. N.Io R.D.Reading.. (1974).J.Dairy Sci.,58, 1001.. 19)Kristensen, AoS。 ,Nielsen,W.K。. & Madsen, Ro F.(1981).N.EurOp.. Dairy J.,47(9), 268.. 20)Dun10p,F.(1987).PriVate communicatiOn. 21)Patel,RoS。 ,Reuter,H.&Prokopek,D。 (1986).Jo Soco Dairy Techn01。 39, 27。. 22)Randhahn,H。 (1976).J.Texto Studies,7, 205◆ 23)Goudedranche,H.,MaubOis,J― L。 ,Ducruet,P。 &Mahaut,M.(1980). Desalination, 35, 243。. ,.

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参照

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