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天草河浦町における『日葡辞書』「下」の語の現在

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Title 天 草 河 浦 町 に お け る 『日 葡 辞 書 」 「下 」 の 語 の 現 在 ThelexicalformsoftheAmakusaKawauradialect: After400yearsfrom"Nippojisho" Author(s) 村 上 敬 一(MURAKAMIKeiichi) αfafloη 文 林(BUNRIN),No38:89-109 lssueDate 2004 ResourceType BulletinPaper/紀 要 論 文 ResourceVersion URL Right AdditionalInformation

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天輩河浦町におけるr日 葡辞 書」「下」の語の現在

天草河浦町 における 『日葡辞書』「

下」の語 の現在

1は じめ に 日本 本 土 的西 端 に位 置 す る天 草 は周 囲 を海 に囲 まれ 、 西 海岸 かち は 芝洋 た る東 シナ海 を望 む こ とが で き る。 古 くか ら、 大 陸 と の交流 に は恰 好 の位 置 を 占め て き た。 天 草 下 島 の 南 西 に 位 置 す る 熊 本 県 天 草 郡 河 浦 町 は 、 温 暖 な 気 候 と 豊 か な 自 然 に 恵 ま れ た 、 半 農 半 撤 の 町 で あ る 。 こ の 地 は 、 天 草 島 内 に お け る キ リ, シ タ ン 文 化 覇 祥 の 地 と し て も知 られ て い る 。

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文林 三十八号 そ の なか の ひ とっ 「天草 本 」 は、 天 正 遣 欧 使 節 団 の持 ち 帰 った グ ・一テ ン ベ ル ク式 金 属 活 版 印 刷機 を使 った、 日本初 の活版 印刷に よる・コー マ字 本 で あ る。 イ エ ズ ス会 の 宣教 師 た ち に よ って 当地 に 開 設 され た 天 草 コ レ ジオ 付 帯 の 印 刷 所 で 出 版 され て い る。 天 草 本 は、16,17世 紀 ころ の 日本 語 を知 る手 段 の ひ とっ で あ る。16世 紀 末 、 河浦 町 で 『羅 葡 日対 訳 辞書 』 が編 さん され、 そ れ を も とに 『日葡辞 書 』 が 編 さん され て か ら400年 が 経 過 した。 『日葡 辞 書 』 に採 録 され た 語 彙 ・語 法 が 、 現 在 の 河 浦 町 で どの程 度 残 存 して い るの だ ろ うか。 この こ とを 知 る た め に、 筆 者 は河 浦 町 の老 年 層 と若 年 層 に面 接調 査、 ア ンケ ー ト調 査 を 行 な った 。 そ の一 部 を こ こで報 告 す る。 2イ エ ズ ス会 の 日本語 研 究 と 河浦 町 稿 を 進 め る まえ に、 イ エ ズ ス会 の 日本 語 研 究 と河浦 町 の か か わ り にっ い て、 簡 単 に ふ れ て お きた い。 16世 紀 末 の 九 州 で は、 キ リシ タ ン宣 教 師 た ち の 布教 活 動 と と もに 、 教 育 機 関 の 充 実 も図 られ た。 イ エ ズ ス会 聖 職 者 養 成 の た め の高 等 神 学 校 コ レジ オ(コ レ ジ ョ)や 初 等 神 学 校 セ ミナ リオ の設 置 で あ る。 コ レ ジオ はCollege す な わ ち神 学 課 程 の単 科 大 学 で、 当 時 の 日本 に お け る最 高 の宣 教 師養 成 機 関 で あ った。1580年 豊 後 府 内 に聖 ポ ー ロ学 院 と して 開校 し、 以 後 平 戸 や 島 原 半 島 を転 々 と して、1587年 の伴 天 連 追 放 令 発布 を受 け、1591年 天 草 の 河 内浦(現 在 の河 浦 町)に 移 さ れ た と され る。 天草 コ レ ジオ は、 天 草 本 の ほ か に も、 日本 か ら初 め て ヨー ロ ッパ に渡 り、 ロー マ法 王 の戴 冠 式 に参 列 し た遣 欧 四少 年 使 節 が帰 国後 在 籍 した こ とで も知 られ て い る。 河 浦 町 とイ エ ズ ス会 の 日本 語 研 究 との か か わ りに っ い て は 『邦 訳 日葡 辞

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天 草 河 浦 町 にお け る 『日葡 辞 書 』 「下 」 の語 の現 在 書 』 の 解 題 に も詳 し い 記 述 が あ る の で 、 こ こ に 引 用 す る 。 イ エ ズ ス 会 は 宗 教 用 語 と し て の ラ テ ン語 を 重 視 し て 、 学 校 の 課 程 も ラ テ ン語 を 中 心 と し た の で あ っ て 、 拠 る べ き 文 典 ・辞 書 も持 っ て い た 。 日 本 で も そ れ ら を 用 い て 、 日本 語 と 関 連 づ け る こ と に 工 夫 を こ ら し た 。 そ し て 、 マ ノ エ ル ・ア ル ヴ ァ レ ス(ManoelAlvarez)の ラ テ ン文 献 に 、 日本 語 の 活 用 を 併 せ 説 い た 日本 版 を1594年 天 草 コ レ ジ オ で 出 版 し 、 そ の 翌 年 同 所 で 、 カ レ ピ ノ(Calepino)の ラ テ ン 語 辞 書 を 基 礎 と し て 、 こ れ に 豊 富 な 日本 語 対 訳 を 添 え た 羅 葡 日対 訳 辞 書 を 出 し た 。 こ れ を 先 躍 と し て 日本 語 の 文 典 ・辞 書 が1600年 代 に 長 崎 で 刊 行 さ れ た 。 す な わ ち1603、 04年 に 日 葡 辞 書 が 、1604∼08年 に ジ ョ ア ン ・ ロ ド リ ゲ ス(Joao Rodriguez)の 日本 大 文 典 が 現 れ た 。 16世 紀 末 、 河 浦 町 で 『羅 葡 日対 訳 辞 書 』 が編 さ ん さ れ、 そ れ を も と に し て 『日葡 辞 書 』 が編 さん さ れ た。 この事 実 を ふ ま え て次 章 で は 、 そ こ に採 録 され た語 彙 ・語 法 が、 現 在 の天 草 河 浦 町 で どの程 度 使 用 さ れ て い るの か を み て い く こ とに す る。 3老 年 層 に お け る 『日葡辞 書 』 「Ximo」 の語 の現 在 「日葡 辞 書 』 に は、 編 さん 当 時 の九 州方 言 が数 多 く記載 さ れ て い る。 見 出 し語 に[X.]あ る い は[Ximo]と 付 記 さ れ た 語 が300語 ほ どあ る が 、 そ れ らは 「下 」 の語 、 っ ま り当 時 の九 州方 言 で あ る こ とを 示 して い る。 ま た、 「上(Cami)で は∼ 」 と記 述 す る ことで、 間接 的 に見 出 し語 が 「方 言 」 で あ る こ と を示 した もの が100語 ほ ど あ る。 これ ら も暗 に九 州 方 言 を して

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い る と 思 わ れ る か ら、 両 者 は 同 じ も の と し て 扱 っ て よ い と さ れ る(迫 野 1998)。 っ ま り、 日葡 辞 書 に 採 録 さ れ た 語 の う ち の 約400語 が 、 当 時 の 九 州 方 言 と考 え られ る の で あ る 。 以 下 、 河 浦 町 老 年 層 に お け る 『日 葡 辞 書 』 「下 」 の 語 の 現 状 に っ い て 、 調 査 結 果 を 報 告 す る 。 iイ ン フ ォ ー マ ン ト:迫 田 光 雄 氏(1924年 生 ま れ 、 河 浦 町 在 住) 廿 調 査 時 期:(面 接 調 査)2001年9月4日 ∼6日 (補 充 通 信 調 査)2001年11月 下 旬 (再 補 充 調 査)2004年1月26日 iii調 査 語 彙:『 日 葡 辞 書 』 で 「下 」 の 語 と さ れ た も の を 中 心 に 、 近 世 期 に お け る 九 州 方 言 と 考 え られ る 語 。 iv凡 例:左 か らr日 葡 辞 書 』 に 採 録 さ れ た 見 出 し語 、 そ の 漢 語 ・漢 字 か な 交 じ り表 記(一 部)、 品 詞 、 標 準 語 訳 、 分 布 域 の 順 に 記 す 。 現 代 語 訳 と分 布 域 はr邦 訳 日 葡 辞 書 』 『日 本 国 語 大 辞 典 』 を 参 考 に す る 。 見 出 し語 の 表 記 に っ い て は 、 日葡 辞 書 の 写 音 綴 字 規 則 で は な く、 迫 田 氏 の 発 音 に し た が う。

《例 》[ye]… え[UO,Vo]… お[tCU,tC]… つ[Xe]… し え

[le]… じ え[ji,gi]… じ[ZU,ZZU]… ず

① 現 在 も使 用 さ れ て い る語

あ お び 〈名 〉 ア ワ ビ*佐 賀、 長 崎南 高 来 郡 、 鹿 児 島、 福 井大 飯 郡 、 志 摩 、 京 都 府 、 和 歌 山市 、 徳 島、 愛 媛 、 高 知

あ お む る 〈他 動 〉 野 菜 な どを さ っ とゆ で る。*熊 本県 、壱 岐

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天草河浦町におけ る 『日葡辞書』 「下」 の語の現在 あ せ る 〈他 動 〉 鳥 が くち ば しで 掻 き回 す。 籾 、 粟 な どを む しろ に広 げて 干 す。*福 岡、 佐 賀 、 五 島 、 壱 岐 あ ば くる く自動〉 腫 れ 物 の 口 が開 く。*大 分 県 、福 岡県 博 多 、 山 口豊 浦郡 、 和 歌 山東 牟 婁 郡 あ め が た く名 〉 水 飴*福 岡 、 佐賀 、 長 崎 、対 馬、 五 島 、熊 本 、大 分 、 宮 崎児 湯 郡 、 鳥 取 西 伯 郡 、 島 根 仁 多 郡 あ や す 〈他 動 〉 果 実 な ど を落 とす 。*福 岡 、長 崎 、 熊本 、大 分 、 鹿 児 島 、 山 口、 岡 山、 兵 庫 佐 用 郡 あ ゆ る 〈自動 〉 果 実 、 穀粒 が落 ち る。*熊 本 菊 池 郡 、天 草 島今 津、 大分 、 種 子 島 あ ゆ る 〈自動 〉 落 ち る*福 岡、 佐 賀、 長 崎 、 五 島 、熊 本 、 宮 崎 東諸 県郡 、 鹿 児 島肝 属 郡 、 屋 久 島 い お 〈名 〉 魚*佐 賀 神 埼 郡 、 新 潟 北 蒲 原 郡 、 秋 田 河辺 郡 い が わ(井 側)〈 名 〉 井 戸*熊 本 、宮 崎東 諸 県 、福 岡、長 崎 、天 草 、鹿 児 島、 屋 久 島、 喜 界 島、 広 島佐 伯 郡 い ぎ る 〈他 動 〉 錐 で 穴 を開 け る。*佐 賀 県 、 長 崎 、 壱 岐 島 い げ 〈名 〉 棘*九 州 全 域 い こ う 〈自 ・他 〉 休 む*福 岡[よ こ う]鹿 児 島[よ く う] い な ま き 〈名 〉 藁 の錘*佐 賀 、 長 崎 、 壱 岐 、 天 草 、 種 子 島 い や(胞 衣)〈 名 〉 分 娩 時 の胎 盤*長 崎県 、五 島、対 馬 、熊 本 県 、屋 久 島 い ら く名 〉 い ら くさ*五 島 、 鹿 児 島 、 岐 阜 大 野 郡 、 越 後 、 利 根 川 上 流 、 南 会 津 うけ き 〈名 〉 身 請 け金 うち が え 〈名 〉 交 換 物

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文林 三十八号 うなが う じ 〈名 〉 尾 長 虫 うぶ しな(産 土)〈 名 〉 あ る人 が 生 まれ た、 そ の土 地 を守 る神 う らす 〈他 動 〉 果 実 な どを熟 させ る。 え だ 〈名 〉 腕*長 崎 西 彼杵 郡 、五 島 、熊 本 県 、 天 草 島、 大 分 県 、 宮 崎 西 臼杵 郡 、 岡 山 邑久 郡 、青 森 津 軽 え らか す 〈他 動 〉 なぶ る、 か らか う、 嘲弄 す る*福 岡嘉 穂 郡 、 佐 賀 県 、 長 崎、 壱 岐 、 対 馬 、 熊本 県 お う ど こ 〈名 〉 柱 の間 を 床 板 下 部 で交 叉 した 木 材 お ちぶ る 〈自動 〉 霧 雨 が 降 る、 大 きな 雨粒 が ぽ とぽ と と降 り始 め る。 お ど め く<自 ・他 〉 驚 く、 怖 れ る お やか た 〈名 〉 兄*宮 城 県 、 秋 田 県 、青 森 県 か い こ 〈名 〉 にわ と りま た は小 鳥 の 卵 か き ば い 〈名 〉 蛎 殻 の 殻 を 焼 い て 作 った 石 灰 か ぐむ る 〈他 動 〉 物 を 頭 に のせ て 持 つ 。*熊 本 か け ざ お 〈名 〉 衣 類 を掛 け る と きの 木 竹*静 岡志 太 郡 、 長 野 下 伊 那 郡 、 兵 庫 赤 穂 郡 が た(潟)〈 名 〉 海 岸 に あ って、干 潮 の際 に は ぬ か る み に な る と ころ*対 馬 、 長 崎 茂 木 か た くな な、 か た くな な る 〈形 動 〉 頑 固 な、 偏 屈 な か な ま け 〈名 〉 傷 が 直 ぐに癒 え な い こ と。 か べ い た 〈名 〉 仕 切 り、 隔 て 壁*福 岡 、 山梨 南 巨摩 郡 奈 良 田 か る う 〈他 動 〉 背 に負 う。*九 州 全 域 、 山 口、 愛 媛 、 高 知 西 部 き あ い 〈名 〉 気 持 ち、 心 地 き の こ 〈名 〉 茸

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天草河浦町におけあ 「日葡 辞謝r下 」の語 の現在 きわ き 〈名 〉 木挽 くい い る く自動 〉 肉 に食 い込 む。 くさ 〈名〉 急 熱 病*長 崎 、 熊 本 、 種 子 島 、愛 媛 県 南部 くさ か き 〈名 〉 間 の あ い た歯 のっ いた 鍬 累大 分 郡 くさ る る く自動 〉 腐 弓始 冶 る く もっ(供 物}〈 名 〉 主人 に 菱 し出す 金 、 米 くる ぷ く<f也 動 〉 顔 を イ犬せ るo けん べ き(癌 癖)〈 名〉 肩 痛*鳥 取 酉 伯 郡 、 愛 媛 県 こ う じつ{後 日)〈 名〉 の ちに こ うろ(名 〉 火鉢 、 囲 炉 裏 ここ ろづ け(名 〉 励 ます こ と こぶ く名)大 蜘 蛛 岸佐賀 、 長 崎 、 熊 本 、 宮 崎 、 鹿 児 島 こま ご と く名 〉 細 々 した こ と、 取 るに 足 むな い事 柄 車福 岡 博 多 、 長 崎 、 鹿 児 島 枕 崎 が い な(我 意 な)〈 形動 〉 わ が ま ま な が りま(我 力)〈 名 〉 自分 本 来 の力 げや く(下 役)〈 名 〉 下 級 の 役 、 下 役 の役 人 ごよ う に たつ 〈句 〉 童 のた め に死 ぬ。 さか しい く形 〉 健康 な*九 州 全 域 さ しぐす り く名 〉 堕胎 薬 さ ま く名 〉 窓 串福 岡 山 門郡 、 佐 賀 県 、 長 崎 県 、 熊 本 県 しお と き く名 〉 流 水 じ 曲うだ な く名)違 い棚 し 鴎か(酒 家)〈 名 〉 酒 屋

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文林 三十八号 し ゅん ち ょ う(春 潮)〈 名 〉 春 の潮 し ょ う じ ょ う 〈名 〉 酒 好 き、 酒 飲 み し ら く も ・し ら くぼ 〈名 〉 寒 湿 か らの腫 れ 物 し ろば い 〈名 〉 石 灰 す けを か う 〈句 〉 支 柱 を当 て る。 す さ 〈名〉 土 に入 れ る細 切 れ藁*熊 本 南 関、 愛 媛 県 、 徳 島県 、 島 根 那 賀 郡 、奈 良 県 、 滋 賀 彦 根 、 岐 阜 大 垣 、 愛 知 知 多 郡 す じ け 〈名 〉 けい れ ん す ず ば ち 〈名 〉 鈴 製 の鉢 す だ 〈名〉 シ ダ*長 崎南 高 来 郡 、 熊 本 県 す び く<自 動 〉 けい れ ん して 痛 む 。*大 分 玖 珠 郡 、 熊本 南 関、 熊 本 葦 北 郡 、 鹿 児 島 肝属 郡 ず ぶ と 〈副 〉 ま った く、 す っぱ り と せ か ら しい く形 〉 わ ず らわ しい*福 岡久 留 米 、 熊 本 県 、佐 賀 県 、 長 崎 県 、 天 草 島、 鹿 児 島 県 せ き こ ろす 〈他 動 〉 締 めつ けて 殺 す 。 せ く(塞 ぐ)〈他 動 〉 戸 を 閉 じ る。*九 州 全 域 せ せ か う く自動 〉 忙 し くす る、 狼 狽 す る*長 崎 せ しか う 〈自動 〉 忙 し く働 く*熊 本 県 、 宮 崎県 、 鹿 児 島県 肝 属 郡 せ ん き ゅ う 〈名 〉 あ ば た、 痕 瘡 の 跡*佐 賀県 、筑 紫、 長 崎県 、 壱 岐 、 対 馬 、 熊 本 県 、 天 草 栖 本 、 種 子 島 た い た い で ござ る 〈句 〉 対 等 で あ る こ と。 互 い に優 劣 を っ けに くい こ と。 *福 岡博 多 、 徳 島県 た っ ぼ え く名 〉 夜 中犬 が ほえ る こ と。*福 岡 県 博 多 、 長 崎 市、 壱 岐 、 対 馬

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天草河浦町 における 『日葡辞書』「下」 の語 の現在 た まが る 〈自動 〉 驚 く*筑 紫 、 筑 後 久 留 米 、 福 岡県 、 佐 賀 県 、 長 崎県 、 熊 本 県 、 大分 玖 珠 郡 、 宮 崎県 、 鹿 児 島県 ち ゅう まい(中 米)〈 名 〉 中等 米 ち ょうび(調 備)〈 名 〉 食 べ 物 を整 え る、 調 理 す る。 好 都 合 な こ と。 ち りぶ る 〈他 動〉 水 な どを ま き ち らす 。 っ じま き 〈名 〉旋 風 、 つ む じ風*福 岡県 博 多 、 久 留 米 、 長 崎 南 高 来 郡 、 熊本 県 、大 分 郡 、 種 子 島 っ っ く<自 動 〉激 し く痛 む*福 岡県 、 佐 賀 県 、 長 崎 県 、 熊 本 南 関 、 天 草 大 江 、香 川 屋 島、 徳 島県 っ ば 〈名 〉 唇*九 州 全 域 っ ぶ し く名〉 膝 頭*福 岡糟 屋 郡 、 五 島、 壱 岐 、 対 馬 、 大 分 県 、 鹿 児 島 肝 属 郡 、種 子 島、 愛 媛 新 居 浜 、 徳 島祖 谷 て が さ 〈名 〉 手 の癖 癬 て ぞ り 〈名 〉 自分 で頭 髪 、 ひ げ を剃 る こ と。 と うね ん ご 〈名 〉 当歳 児 とか ぎ り 〈名 〉 とか げ*九 州 全 域 、 山 口、 愛 媛 と しな わ(年 縄)〈 名 〉 しめ縄 ど だ い 〈名 〉 礎 石 上 の横 木*全 国 各 地 な が し 〈名 〉 梅 雨*長 崎 南 高 来 郡 、 熊 本 県 、 天 草 島、 大 分 市 、 宮 崎県 、 鹿 児 島県 、 甑 島、 奄 美 、 琉 球 、 徳 島祖 谷 、 高 知 県 な ば 〈名 〉 茸*九 州 全 域 、 石 見 、 山 口、 広 島、 愛 媛 県 、 高 知 県 な ら し く名 〉 衣 類 掛 け*久 留 米 、 福 岡 朝 倉 郡 、 佐 賀 県 、 長 崎 県 、 壱 岐 、 対 馬 、 五 島、 熊 本 県 、 大 分 県 、 鹿 児 島県 、 奄 美 、 琉 球 、 高 知 幡 多 郡 、 香 川 県 、 和 歌 山 日高 郡

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文林 三十八号 に ん た い(人 体)〈 名 〉 人 体 、 貴 人 ぬ か る 〈自動〉 っ き さ さ る*福 岡 県 久 留 米、 長 崎 伊 王 島、 熊 本 下 益 城 郡 、 大 分 日田郡 ぬ ぎか くる 〈他 動 〉 衣 服 を脱 ぎ、 半 裸 にな る。 ね ぎ る 〈他 動〉 に らむ*佐 賀 県 、 長 崎 県 、熊 本 葦 北 郡 、天 草 島、 宮 崎県 、 鹿 児 島県 ね ず み わ な 〈名 〉 ねず み取 り ね ず む 〈他 動 〉 っ ね る*九 州 全 域 ね た ま が る く自動 〉 驚 き目覚 め る。*鹿 児 島、 壱 岐、 対 馬 ね っ な 〈名 〉 丁 寧 に物 事 を進 め る こ と ね ね 〈名 〉 乳 母*島 根 大 原 郡 ね ま る 〈自動 〉 煮 物 な ど が腐 る。*九 州 全 域 の しあ わ び 〈名 〉 あ わ び を乾 か した もの はえ の か ぜ 〈名 〉 南 風*佐 賀 県 、 長 崎南 高 来 郡 、 熊 本 県 、 天 草 島 、 宮 崎 西 諸 県 郡 、 鹿 児 島県 、 種 子 島 はざ 〈名 〉 時、 間*福 岡朝 倉 郡 、 佐 賀 県 、 熊 本 南 関 は しる 〈自動 〉 火 中 の物 が飛 ぶ。*福 岡博 多 、佐 賀 、 壱 岐、 熊本 県 、 鹿 児 島県 は と(波 止)〈 名 〉波 止場*福 岡 築 上 郡 、長 崎 南 高来 郡 、天 草 島 、種 子 島 、 愛 媛 周 桑 郡 、 山 口県 、神 戸 、 愛知 知 多 郡 はや ま る 〈自動 〉 時 間 が繰 り上 が る。 は らこめ 〈名 〉 子 を は らん で い る こ と、 妊 娠*対 馬 は らお び(腹 帯)〈 名 〉 妊 婦 が 腹 に巻 く帯*広 島県 、 新 潟 県 はん た 〈名〉 忙 しい こ と*福 岡 博 多

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天草河浦町 における 『日葡辞書』「下」 の語 の現在 ひえ 〈名 〉 腰 か ら下 が冷 え る病 気*壱 岐、 鹿 児 島肝 属 郡 ひ き こす 〈自動 〉 山 な どに隠 れ る。 ひ きそ び く<他 動〉 無理 に 引 っ張 る。 ひ ざの さ ら 〈句 〉膝 頭 ひ し 〈名 〉 四 本 の角 の 出 た鉄 製 の漁 具 ひ じる 〈自動 〉 曲 が る*福 岡朝 倉 郡 、 対 馬 ひ で る 〈自動 〉 傷 口、 火 傷 な ど が ぴ りぴ りす る。*対 馬 、 壱 岐、 熊 本 県 ひ はか り 〈名 〉 斑点 の あ る蛇 ひ や しもの 〈名 〉水 、 氷 な ど で冷 や して食 す る食 物 ひ ら くち 〈名 〉 ま む し*長 崎県 、 佐 賀 県 、 熊 本 県 、 福 岡県 、 大 分 県 ひ らむ く自動 〉 泣 く*大 分 宇 佐 郡 長 洲 、 佐 賀 藤 津 郡 久 間、 天 草 島牛 深 ひ る 〈名 〉 に ん に く*全 国各 地 ひ ん ぬ く<他 動 〉 力 強 く抜 く。 ふ ず き く名〉 農 具、 鋤*大 分 直 入 郡 、 高 知 県 、 福 井 県 ふ せ 〈名〉 っ ぎあ て*九 州 全 域 ふ っ 〈名 〉 よ も ぎ*九 州 全 域 ふ む く他 動 〉 踏 み っ け る*九 州 全 域 ぶ り 〈名 〉 土 砂 を運 ぶ籠*熊 本 阿蘇 郡 、 大 分 北 海部 郡 ふ りそ で 〈名〉 子 ど もの着 る袖 の 開 い た着 物*長 崎 島原 、 岐阜 飛 騨 ふ るい け 〈名 〉 悪寒 と熱 の病 気 へ こ 〈名 〉 ふ ん ど し*福 岡県 、 佐 賀 県 、 長 崎 県 、 壱 岐、 対 馬、 熊 本 県、 天 草 島 、大 分県 、宮 崎県 、 山 口 県、 島 根 那 賀 郡 、 広 島三 次 へ ぎ 〈名 〉 盃 や食 物 を の せ る小 板*福 岡 博 多 、 大分 郡 、 広 島高 田郡 、 富 山砺 波

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文林 三十八号 へ ぼ 〈名 〉水 庖瘡 、 水 痘*筑 前 、 熊 本 南 関、 岩 手 釜 石 、 秋 田 鹿 角 郡 、 青 森 南 部 へ ら く名 〉糊 を ぬ る竹 ほ うそ う 〈名 〉 帯 に下 げ る袋*熊 本 葦 北 郡 、 宮 崎県 、 鹿 児 島 県 、佐 賀 県 、 大 分 日田 郡 ほ け 〈名 〉 湯 気、 蒸気*京 都 以西 の 西 日本 各地 ほ こる る 〈自動 〉 衣類 な どが ほ ころ ぶ 。*熊 本県 、 大 分 県、 鹿 児 島 県 ほが す 〈他 動 〉 穴 を あ け る。*九 州 全 域 、 山 口、愛 媛 ほ ぐる 〈自動 〉 穴 が あ く。*福 岡 県 、 長 崎 平 戸 、 五 島 、 熊 本下 益 城 郡 、 大 分 県 、 鹿 児 島 県 、 山 口豊 浦 郡 、 愛 媛 周 桑 郡 ほ ざ くる 〈自動 〉 水 にっ か って ふ や け る。*壱 岐 ほ しめか す 〈他 動 〉 犬 を け しか け る。*佐 賀 県 、 対 馬 、 五 島 ほ や け 〈名 〉 あ ざ*筑 後 久 留 米 、 佐 賀 三 養 基 郡 、 熊 本 県 、 大 分 大 野 郡 、 鹿 児 島肝 属 郡 、 山 口大 島 、 広 島 高 田郡 まっ あ か し 〈名 〉 た い まっ ま び き 〈名 〉 め くばせ 、 ま ば た き ま めす 、 ま め る 〈他 動 〉 餅 な ど を栗 や豆 な どの粉 で まぶ す 。*長 崎県 、 対 馬 、 大 分 県 、 鹿 児 島 肝 属 郡 み い と こ 〈名 〉 従 兄 弟 の第 三 代 目*喜 界 島、 愛 媛 県 、 高 知 県 、 京 都 竹 野 郡 、 青 森 三 戸 郡 み み な ば 〈名 〉 茸*福 岡県 、 長 崎県 、 壱 岐、 熊 本 県 、 宮 崎県 、 屋 久 島 、 山 口豊 浦 郡 み み の は 〈名 〉 耳*大 分 、佐 賀 、 五 島、 熊 本 む きけ 〈名 〉 嘔 吐 を もよ お す病 気*壱 岐 、対 馬 、 熊本 、大 分 、 山 ロ

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天草河浦町 にお ける 『日葡辞書』「下」の語 の現在 むぞ う(無 悪)〈 名〉 気 の毒 な様 子*佐 賀 藤 津 郡 、 熊 本 県 も る 〈他 動 〉 もぎ取 る、 採 集 す る*琉 球 、愛 媛 宇 和 島、高 知 県 、 岡 山市 、 鳥 取 西 伯 郡 も ろ む き 〈名 〉 ウ ラ ジ ロ や い ひ 〈名 〉 お灸*京 都、 丹 波 、 南 埼 玉 郡 、 茨 城 県 、 福 島県 南 部 や は く(夜 泊)〈 名 〉航 海 の途 中 で、 碇 泊 す る こ と。 ゆが く<他 動 〉 野 菜 な どの 灰 汁 を抜 くた め に煮 え 湯 にひ た す。*島 原 、 周 防 大 島、 島根 、 鳥 取 よ ぎ な い 〈自動 〉 や む を得 な い 。 よ こ う 〈自 ・他 〉 休 む*九 州 全 域 よ び こえ 〈名 〉 人 の声 が 聞 こえ る く らい の距 離 よ ま 〈名 〉 手 紙 な ど を く くる紐 や 糸*福 岡 県 博 多 、 佐 賀 県 、 長 崎 県 、 壱 岐、 対 馬、五 島、 熊 本 県 、 宮 崎 県 、 鹿 児 島県 よ りな わ 〈名 〉 麻 の細 い ひ も りん(鈴)〈 名 〉 舌 の な い鐘 、 あ る い は丸 い金 属 製 の鉢 の一 種 わ く<他 動 〉材 木 を挽 く。*対 馬 、 鹿 児 島県 、 山 口県 わ くど 〈名 〉大 き な ひ きが え る*九 州 全 域 わ くひ き 〈名〉 大 きな ひ きが え る*筑 前 、豊 後 、薩 摩 わ な れ 〈名 〉結 婚 した男 の妾 ②(迫 田 氏 が)昔 使 用 して い た が 、 最 近 は ほ とん ど使 用 しな い も の あお む る 〈他 動 〉 野 菜 な どを さ っ とゆ で る。 か な ま け 〈名 〉 傷 が 直 ぐに癒 え な い こ と。 この り 〈名 〉 米 糊

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文林 三十八号 て ん な う く他 動 〉 人 の願 いを 受 諾 す る。 だ し しろ 〈名 〉 主 城 近 くの砦 だ み ち 〈名 〉 獣 の通 る道 み さ ぶ る 〈自動 〉 感 動 しな い ③ 日葡 辞 書 の見 出 し語 と意 味 は同 じだ が、 別 の語 形 が 回 答 され た も の (【 】 は 迫 田 氏 の 回答 、 以 下 同 じ) あ ぎ と 【あ あ ぎ】 〈名〉 あ ご うど む 【ほ たえ る】 〈自動 〉 牛 が ほえ る。 え びが に 【え びが ね 】 〈名 〉 伊 勢 エ ビ、 車 エ ビ え む る 【ね ぎ る】 〈他 動 〉 に らむ お うど こ 【お ぶ き】 〈名 〉 柱 の 間 を 床 板下 部 で交 差 した 木 材 お らぶ 【お め く】 〈自動 〉 叫 ぶ しお りけ 【せ ん ぎ】 〈名〉 尿 閉 じ じき い 【お ぶ き】 〈名 〉 柱 の 問 を 畳 に沿 って 交差 した 木 材 し ら くさ 【し ら くも】 〈名 〉寒 湿 か らの腫 れ 物 そ う くう 【そ しる】 〈他 動 〉 の の しる て が ま しい 【そ うそ が ま しい】 〈形 〉 落 ち着 か な い へ す び 【へ ぐろ】 〈名 〉 鍋 釜 の 煤 み ちが ゆ く 【はか ん い く】 〈句 〉 進捗 状 況 が い い。 ④ 日葡辞 書 の 記述 と は異 な る 意 味 が 回 答 され た もの こば 〈名〉 山 間 の村 落 【焼 き畑】 な め る 〈自動 〉 す べ る 【刺 身 を食 べ る】

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天草河浦 町における 「日葡辞 書」f下 」の語 の現在 わ ん ぎ く名 〉 離 婚 【離 婚 、 また は 夫婦 が 合議 の 上 別居 す る こと 】 ⑤ 音 声 的 変 異 形 ● 連 母 音 の 融 合:[εhi〕 一一こP〔ja::】 い い カfい 【い い ぎ ゃ あ 】 〈名 〉 飯 を 釜 か ら と る匙 ■ 母 音 音 素 関 係 の 対 応:Co/Cu そ ら ご と 【す ら ご っ 】 〈名 〉 う そ 、 つ く り ご と ね お そ む 【ね お ず む 】 〈自 動 〉 眠 り か ら 覚 め る。 ● 長 音 短 呼 こ うね 【こ ね 】 〈名 〉 馬 の た て が み ● 子 音 の 撫 声 化[g]→[kコ こ ぐ 【こ く】 〈他 動 〉 稲 穂 を ひ く。 ⑥ 文 法 的 蛮 異 形 ● 一 段 活 用 → 二 段 活 用 あ ば くる 【あ ば け る】 〈自 動 〉腫 れ 物 の 口 餌 開 く。 ● 形 容 詞 の 力語 尾/イ 語 尾 お ろ よ い く形〉 【お ろよ か 】 た い して良 く な い、 悪 い さ らい く形 〉 【さ らか 】 皿 、盆 の よ うに 濃1い ひ や い1ひ や か 】 〈形〉 冷 たい 、 寒 い ものが ま しい 【もの が ま しか 】 〈形 〉 大 げ さ な、 仰 々 しい ● 格助 詞 「の 」/「 ん 」 は なの す 【はな ん す 】 〈句 〉 鼻 の 穴 ● 格助 詞 「が 」/「 ん 」

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文林 三十八号 み ちが ゆ く 【はか ん い く】 〈句 〉 進捗 状 況 が い い 。 む しが せ く 【む しん せ く】 〈句 〉 胃腸 の痛 み に悩 む。 む ね が せ く 【む ね ん せ く】 〈句 〉 胃、 胸 が痛 む。 4若 年 層 にお ける 『日葡 辞 書 』 「Ximo」 の語 の現 在 老 年 層 の 実 態 を ふ まえ て 、 河 浦 町 の 中学 生 を対 象 に ア ンケ ー ト調 査 を行 な った 。 そ の 結果 を 以下 に報 告 す る。 i調 査 の対 象 二河 浦 町立 河 浦 中学 校 生 徒 1年 生50名 、2年 生78名 、3年 生75名 、 計203名 且 調 査 時 期:(調 査 票 配 布)2002年11 .月(調 査 票 回 収)2002年12月 亜 調 査 語 彙:『 日葡 辞 書 』 「下 」 の語 の な か で 、 老 年 層 が 使 用 す る と した もの(一 部 を 除 く)と 近 世 期 にお け る九 州方 言 と考 え られ る語 。 「ふ だ ん使 用 す る」 「自分 の周 りの人 が 使 って い るの を聞 く こ とが あ る」 「使 わ な い」 の3通 りで 回 答 して も ら った ものの う ち、 「ふ だ ん 使 用 す る」 の 回 答 が 多 か っ た 上 位18語 を 示 し た もの が 以 下 の 図 で あ る 。 見 出 し の ()は 標 準 語 訳 。

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天車河浦町 にお け墨 「日葡 辞醤』 「下」の語 の現在 図中の教 値ほ(鋳) 「ふ だ ん使 用 す る」 の 割 合 が5腸 を 超 え た 語 につ い て 、以 下 に 簡 単 な説 明 を記 す こ と にす る。 oね ま る(食 べ 物 な どが 腐 る) 「お ま 品」 の 原 義 は 「と じ こ もる 」 「黙 座 す 石」 と い うた意 味 で 、 史 記 抄(1447)宮 ・馬 本 紀 に あ る 「ね ま りて物 を思 案 す る……」 の 記 述が 、 も っ と も古 い部 類 砂 もの で あ る自 日葡 辞 書 で は 「ネ マ ッ タ ヒ ト」 「ネマ リモ ノ」 に 「無 っ て い て 賢 い人 」 の 訳 を あ て る。 天 草 で1ま、 「食 べ物 力{くさ る」 と

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文林 三十八号 い う意 味 で 「ね ま る」 を使 用 す る。 日葡 辞 書 に は 「魚 な どが 悪 くな る」 こ とを 「ウ ヲ、 モ チ、 メ シナ ドガ ネ マ ル」 と記 述 す る。 ○ ひ ら くち(ま む し) 「ひ ら くち」 は九 州 に広 く分 布 す る特 有 方 言 の一 っ で 、 「九 州 共 通 語 」 とい うべ き もの で あ る。 東 日本 に は 「くち は み」 が多 く分 布 す る。 ○ ほが す(穴 を あ け る) 九 州 に は、 物 に 穴 を あ け る道 具 の一 つ 「錐(き り)」 の 方 言 形 に 「イ ギ リ」 が あ る。 穴 を あ け る こ とを 「い ぎ る」 あ るい は 「ほが す 」 と い う地 域 が ほ とん どで あ るが、 天 草 西 海 岸 で は 「ほ が す」 が優 勢 で あ る。 ○ ね ず む(っ ね る) 「ほ っぺ た を ね ず む 」 の よ うに使 用 す る が、 地 域 に よ って は、 「食 べ 物 を っ まむ」 こ とに もい う。 熊 本 北 部 に は 「ね じ る」 と 「っ まむ 」 の 混 交 形 「ね じっ まむ 」 が あ る。 ○ せ か ら しい(う る さい、 騒 が しい) 「せ か ら しか 」 と九 州北 部 に盛 ん な形 容 詞 の 「か」 語 尾 で い う こ と も あ る。 関 連 す る語 に 「胃 や 胸 が 痛 む」 こ とを い う と きの 「せ く」 が あ る。 「せ か ら しい」 も 「せ く」 も、 胃や 胸 の 「痛 み」 や 「忙 しさ」 を 「胸 が ふ さが る」 と と らえ た こ とか ら き た もの と思 わ れ る。 ○ た まが る(驚 く) 「た ま が る」 は 「魂 消 」、 っ ま り 「驚 い て魂 が 消 え て しま う」 と い うの が 原 義 で あ る。 民 間 語 源 説 で は、 「た ま」 す な わ ち 男 性 の 急 所 が、 驚 く こ とで上 に あが る と解釈 され る こ とが 多 い。 ○ ゆ が く(野 菜 な ど の灰 汁 を抜 くた め に、 煮 え 湯 に ひ たす) 類 義 語 に 「ゆ び く」 が あ る。 天 草 に お け る 「ゆ が く」(湯 掻 く)と 「ゆ

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天草河浦 町における 『日葡辞書』 「下」 の語 の現 在 び く」(湯 引 く)の 使 いわ け を み る と、 「湯掻 く」 は 「野 菜 な どの灰 汁 を抜 くた め に熱 湯 に しば ら く浸 す 」 こ とで あ り、 「湯 引 く」 は 「熱 湯 で さ っ と 煮 る」 こ とを い うよ うで あ る。両 者 の 違 い は、 熱 湯 に 浸 す 時 間 の長 短 と、 魚 ・鶏 の身 を湯通 しす るか 、 野菜 を湯 通 しす るか の二 点 に あ る と思 わ れ る。 使 用 率50%以 下 の語 に っ い て は、 標 準 語 訳 と文 献 な ど の 出現 例 を 以 下 に 記 す 。 ○ お め く(さ けぶ) 「猿 の よ うに か い っ きて(抱 きっ いて)を め くもお か し」 『枕 草 子 』 「前 後 四 万 騎 が お め く声 、 山 も河 もた だ 一 度 に くつ る る と こそ き こえ け れ 」 『平 家 物 語 』 ○ ぬ か る(泥 や雪 な どの 深 み に はま る) 「湿 気 の多 い場 末 の こ とで 、 往 来 はず いぶ ん ぬか って い る。」r牡 丹 の客 』 永井 荷 風 ○ ふ む(足 で下 の もの を 押 さえ っ け る こ と。 転 じて 靴 、 草 履 を 履 く こ と) 「岩 根 在 美(い わ ね ふ み)山 越 野 行 き 都 辺 に 参 り し我 が 背 を 」 『万 葉 集 』 巻18・4116 0か る う ・か ら う(担 う) 1775年 に刊 行 さ れ た 日本 で 最 初 の方 言 辞 典 『物 類 称 呼 』 で は 、 「担 う」 を 「か ら う」 と読 ま せ て い る。 ○ せ しか う(忙 し く働 く) 「せ か ら しか」 と同 じよ う に、 「忙 し くて、 心 の 中 が ふ さが りそ うだ 」 とい った感 覚 を表 す言 い 方 で あ る。

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文林 三十八号 ○ こぶ(大 き な ク モ) 「ち ゅ うま えん だ の ゆ ふ ぐれ に こぶ が 疲 れて 身 を隠 す」(北 原 白 秋) ○ ひ ん ぬ く(勢 い よ く引 き抜 く) 「ひ ん ぬ く」 の 「ひ ん 」 は、 「引 き」 か ら変 化 した接 頭 語 で あ る。 動 詞 の上 に っ い て、 語 調 を 強 め る は た らき をす る。 Oい お(魚) 「白 き鳥 の(中 略)水 の うへ に遊 び つつ い を を くふ」 『伊 勢 物 語 』 「池 に泳 ぐい を …」 『源 氏 物 語 』 ○ い げ(と げ) 「と げ」 か らの 音 変 化 と さ れ るが 、 「い」 と 「と」 が 入 れ替 わ る例 は こ の ほか に見 あ た らな い 。 ○ が た(潟 、 っ ま り海岸 の ぬ か るみ の こ と) 「射水 川 水 門(み な と)の 渚 鳥 朝 凪 に 可多(か た)に あ さ り し」 『万 葉 集 』 巻17・3993 5お わ りに 『日葡 辞 書 』 編 さ ん か ら満400年 を む か え るに あ た り、 本 稿 で は そ こ に 採 録 され た 語 彙 ・語 法 が 、 現 在 どの 程 度 残 存 して い る の か に注 目 した 。 そ こで 、 イ エ ズ ス会 の 日本 語 研 究 や 、 天 草 本 とゆ か りの あ る天 草 河 浦 町 の 老 年 層 と若 年 層 を対 象 と して 『日葡 辞 書 』採 録 の語 彙 ・語 法 の実 態 を調 査 し、 こ こ に報 告 した。 老 年 層 で は、 『日葡 辞 書 』 採 録 の語 彙 ・語 法 が 比 較 的良 好 に保 持 され て い るが 、 若 年 層 で の使 用 語 は、 「ふ だ ん 使 用 す る」 も のが7語 、 「ふ だ ん 使 用 す る」 と 「聞 くこ とが あ る」 を あ わ せ て30%を 超 え る ものが18語 あ った 。

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天草河浦 町における 『日葡辞書』 「下」 の語の現在 若 年 層 にお け る伝 統 的方 言 の 衰 退 、標 準 語 化 は、 九州 の西 端 で も都 市 部 と 同 様 に進 行 して い る よ うで あ る。 九 州 他 地 域 で の 状 況 を み る こ とで 、400 年 間 にわ た る方 言 変容 の 実 態 が よ り明 らか に な る と思 わ れ る。 参 考 文 献 奥 村 光 雄(1988)九 州 諸 方 言 の古 さ一 文 献 方 言 史 的考 察(『 九 州 方 言 の 史 的 研 究 』 桜 楓 社) 九 州 方 言 学 会 編(1969)『 九 州方 言 の基 礎 的研 究 』(風 間書 房) 迫 野 度 徳(1988)九 州 方 言 の語 彙 一 日葡 辞 書 の 「下 」 注 記 一(『 文 献 方 言 史 研 究 』 清 文 堂) 坂 梨 隆 三(1993)rヅ ー フハ ル マ』 の九 州 方 言(『 鶴 久 教 授 退 官 記 念 国語 学 論 集 』 桜 楓社) 土 井 忠 生 ・森 田 武 ・長南 実 編 訳(1980)r邦 訳 日葡 辞 書 』(岩 波書 店) 富 津 の文 化 伝 承 の 会 編(2001)『 ふ る さ と の文 化 河 浦 町富 津 の 文 化 と伝 承 第 一 集 』(私 家 版) 日本 大 辞 典 刊 行 会 編(1972-76)『 日本 国語 大 辞 典 全 二 〇 巻 』(小 学 館) 松 田正 義(1983)九 州 方 言 の語 彙(『 講 座 方 言 学9一 九 州 地 方 の方 言 一』 国書 刊 行 会) 村 上 敬 一(2002)河 浦 方 言 の古 態 性 一400年 後 の 日葡 辞 書 「下 」 の語 一(『 真 田信 治 編 消 滅 に瀕 した 方 言 語 法 の 緊 急 調 査 研 究(1)』 文 部科 学 省 特 定 領 域 研 究(A)環 太 平 洋 の 「消 滅 に瀕 した 言 語 」 にか ん す る緊急 調 査 研 究) 付 記 本 稿 を ま とめ る に あ た り、 調 査 に ご協 力 くだ さ った 河 浦 町立 河浦 中 学 校 の み な さ ん 、 お よ び迫 田光 雄 さん に は、 こ こに記 して感 謝 いた しま す。 迫 田 さん に は、 筆 者 の 担 当 す る2001年 度 「社 会 言 語 学 演 習 」 の 方言 調 査 で も、学 生 た ちが お 世 話 に な り ま した 。 あわ せ て 御 礼 申 し上 げ ます 。

参照

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