〈論文〉給与所得課税のシミュレーション分析
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(2) 第10巻. 1.は. 第2号. じ. め. に. 平 成23年 度 の 税 制 改 正 大 綱 に お いて,所 得 再 分 配 の 観 点 か ら所 得 税 が 見 直 され る こ と に な っ た。 見 直 され る点 は,こ れ まで 制 度 目的 と して は水 準 が 高 い と いわ れ て いた 給 与 所 得 控 除 の 縮 小 で あ る。給 与 収 入1,500万 円 超 の給 与 所 得 者 の給 与 所 得 控 除 を一 般 従 業 員 と役 員 にわ けて 縮 小 させ よ う とす る もの だ 。 しか し政 治 的 な 混 乱 の 中で,こ の 改 正 は実 現 に は い た らな か っ た。 そ こで 今 年 度(平 成24年 度)の 税 制 改 正 大 綱 で は,一 般 従 業 員 と役 員 を 区 別 す る こ と な く,給 与 収 入1,500万 円 超 の 給 与 所 得 控 除 に245万 円 の上 限 を設 定 す る こ と に な っ た。 これ ほ ど まで の 改 正 は1974年 税 制 改 正 以 来 の 大 きな もの とな る。 1980年 代 半 ばの 抜 本 的 税 制 改 革 以 降,所 得 税 は累 進 税 率 表 の フ ラ ッ ト化 が 改 正 の 傾 向 に あ っ た。 しか し,2000年. 代 に入 って,所. 得 格 差 が 経 済 問 題 と して 取 り上 げ られ る よ う に. な っ た こ とか ら所 得 税 改 革 の 傾 向 が 変 化 して い る。 直 近 で は,平 成23年 度 税 制 改 正 大 綱 に 書 か れ て い る よ う に,所 得 税 は格 差 是 正,所 得 再 分 配 機 能 の 強 化 を 目的 と した 改 正 に動 い て い る。 政 府 税 制 調 査 会 は,平 成24年 度 大 綱 を ま と めて い くな か で,所 得 税 の 最 高 税 率 の 引 き上 げ を議 論 し,具 体 案 まで 出 して い る。 平 成24年 度 の 税 制 改 正 大 綱 に お いて は,東 日本 大 震 災 の 復 興 財 源 と して,所 得 税 の 定 率 2.1%増 税 が織 り込 まれ て い る こ とに も注 意 が必 要 で あ る。増 税 期 間 は25年 に もわ た る長 期 的 な もの で あ る。 「社 会 保 障 と税 の 一 体 改 革 」 で は,消 費 税 増 税 が 注 目 され て い るが,今 回 の 改 正 で は所 得 税 増 税 も行 わ れ て い る こ と も忘 れ て はな らな い。 本 稿 で は まず,2012年. 所 得 税 改 正 に お け る給 与 所 得 控 除 改 正 と税 制 調 査 会 で 議 論 され て. い た 累 進 税 率 表 の 改 正 案 は,家. 計 負 担 に どの よ う な影 響 を もた らす の か に つ い て シ ミュ. レー シ ョ ン分 析 を 通 じて 明 らか にす る。 次 に,給 与 所 得 控 除 と累 進 税 率 表 改 正 につ いて 抜 本 的 改 革 案 を提 案 し,同 様 の シ ミュ レー シ ョ ン分 析 を 通 じて 今 後 の 所 得 税 改 革 の あ り方 を 検 討 す る こ と に した い。. 2.所. 2.1.平. 得税改正 について. 成23年 度 税 制 改 正 大 綱 と 復 興 増 税. 平 成23年 度 税 制 改 正 大 綱(以. 下,平. 成23年 度 大 綱 と す る 。)は,菅. る 重 要 課 題 を 反 映 して い る(2)。平 成23年 度 大 綱 は,改 一76(154)一. 内 閣(当. 時)が. 掲 げ. 正 の 目 的 と して,「 デ フ レ脱 却 と 雇 用.
(3) 給与所得課税の シ ミュレー シ ョン分析(鈴 木) の た めの 経 済 活 性 化,格 差 拡 大 と その 固 定 化 の 是 正,納 税 者 ・生 活 者 の 視 点 か らの 改 革, 地 方 税 の充 実 と住 民 自治 の確 立 に向 けた 地 方 税 制 度 改 革 」 を掲 げ て い る(3)。 所得 税が関連 す る部 分 と して は,「 格 差 拡 大 とそ の 固定 化 の是 正 」 が あ て は ま り,「 社 会 保 障 制 度 と併 せ て,税 制 に お け る再 分 配 機 能 の 回 復 を 図 る必 要 が あ ります 。 平 成23年 度 税 制 改 正 で は,所 得 税 に お け る諸 控 除 の 見 直 しや 相 続 税 に お け る控 除 や 税 率 構 造 の 見 直 しに よ り,税 制 の 累 進 構 造 の 回 復 を図 ります 。」 と記述 され て い る④。 本 稿 で は給 与 所 得 控 除 改 革 と所 得 税 の 税 率 構 造 につ いて 焦 点 を 当て て い るの で,こ の2点. につ いて 改 正 の 内容 を み る こ と にす る。. 図1は 平 成23年 度 大 綱 に記 述 され て い る給 与所 得 控 除 改 正 の 概 要 を 図示 した もの で あ る。 改 正 の 目玉 は,給 与 収 入1,500万 円 超 に給 与 所 得 控 除 の 上 限(245万. 円)が 設 定 され る こ と. で あ る。 い ま ひ とつ は,給 与 所 得 者 を 一 般 従 業 員 と法 人 役 員 等 に区 分 し,法 人 役 員 等 につ いて は,給 与 収 入4,000万 円 超 か ら上 限 を125万 円 と一 般 従 業 員 の半 分 の水 準 に設 定 す る こ とで あ る。 一 般 従 業 員 と法 人 役 員 等 の 上 限 額 に差 を 設 け る根 拠 につ か わ れ て い るの が,給 与 所 得 控 除 の 性 格 を 「勤 務 費 用 の 概 算 控 除 」 と 「他 の 所 得 との 負 担 調 整 」 の2つ る考 え 方 だ(5)。これ ら2つ の 区 分 か ら考 え て,平. に区 分 す. 成23年 度 大 綱 で は,改 正 の 理 由 と して,. まず 「他 の 所 得 との 負 担 調 整 」 と して は,就 業 者 の 約9割 が 給 与 所 得 者 で あ る現 状 を 挙 げ て,他. の 所 得 と負 担 調 整 す る た め とい う機 能 が薄 れ て い る と指摘 して い る(6)。い ま ひ とつ. の 「勤 務 費 用 の 概 算 控 除 」 と して は,給 与 所 得 控 除 の 割 合 が 給 与 収 入 総 額 の 約3割 を 占 め て い る こ とが 主 要 国 と比 較 して も高 い こ とを 指 摘 して い る(7)。 以 上2つ. の 指 摘 に基 づ い て,「 勤 務 費 用 の概 算 控 除」 と 「他 の 所 得 との負 担 調 整」 の 性. 格 は それ ぞれ 半 分 ず つ 有 して い る と して,現 状 の 給 与 所 得 控 除 は過 大 で あ る と し,格 差 是 正 と所 得 再 分 配 機 能 の 回 復 と い う観 点 か ら適 正 化 へ の 見 直 し した 案 が 図1の. よ う にな って. い る。 図1に. は示 して いな いが,特 定 支 出控 除 を 利 用 で き る幅 が 広 が った 点 も大 きな 改 正 の1. つ で あ る(8)。 改 正 に よ って給 与 所 得 控 除 が縮 減 され る給 与 所 得 者 が 出 て くる可 能 性 が あ る。 これ まで は実 額 で 経 費 と して 認 め られ,そ の 額 が 給 与 所 得 控 除 を 上 回 る場 合 は,特 定 支 出. (2)「 新 成 長 戦 略(2010年6月18日 が あ げ られ る。 (3)「 (4)「 (5)給 (6)「 (7)「 (8)こ. 閣 議 決 定)」 お よび 「財 政 運 営 戦 略(2010年6月22日. 平 成23年 度 税 制 改 正 大 綱 」2ペ ー ジ参 照 。 平 成23年 度 税 制 改 正 大 綱 」3ペ ー ジか ら引 用 。 与 所 得 控 除 の 性 格 と機 能 につ い て は 藤 田(1992)を 参照。 平 成23年 度 大 綱 」11ペ ー ジ参 照 。 平 成23年 度 大 綱 」11ペ ー ジ参 照 。 の 他,成 年 扶 養 控 除 と退 職 所 得 課 税 の 見 直 しが あ る。 -77(155)一. 閣 議 決 定)」.
(4) 第10巻. 第2号. ■ 結 与 所 得 控 除 の 見 直 し(案) 〔1)給 ゆ. 与 収 入 が1.500万IT】. を 胡 え 都 場 合 の 給 与 所 碍控 除 に1一隈`245万II」. 法 人 投 員 等 に つ い て は.以'ド. の 見 直Lを. ・. 給 与収 人 哩 ,{}〔 旧万 円 超 【 よ.2分. ・. 給 与 取 入2. ,000万. の1の. 円 を 雄 え4,000万1T】. 〕 を 設 定 します. 背 い ま す. 額G25万. 「'])を1:限. ま で の 間 は.挫. とLま. 隙 額 のU興. す1, を ご1分の3と. す 石 寵分 を 含 め. 調 銘 的 に 徐 々 に 控i除額 を 鮪 楓 し ま す1, 帯. 所 得税 甘平 成24年 分 か ら、住 民税 瞳平 成25年 度分 か ら遷用bま す。. 1歌正測 一般従箪員. 遜瀦 尋. 出所. 財 務 省 『平 成23年 度 税 制 改 正(案)の 図1平. ポ イ ン ト』 よ り抜 粋 。. 成23年 度 大 綱 にお ける 給 与 所 得 控 除 改 正 の 概 要. 控 除 と して控 除制 度 を利 用 す る こ とが で き た(9)。しか し領 収 書 を集 め な け れ ば な らな い と い う こ と と,実 際 に特 定 支 出が 概 算 控 除 を 上 回 る人 が ご く少 数 で あ る こ とか ら,特 定 支 出 控 除 を 申告 す るケ ー ス は年 間10件 程 度 に と ど ま って い た。 平 成23年 度 大 綱 で は,特 定 支 出 に特 定 の 業 務 に就 くた めの 必 要 な 資 格 取 得 費 と勤 務 必 要 経 費 が 加 え られ る こ とに な った⑩。 これ ま で は 給 与 所 得 控 除 を上 回 る特 定 支 出 が認 め られ て い たが,今 回 の 改 正 の 内容 に あ る給 与 所 得 控 除 の2分 の1の 額 を 上 回 る特 定 支 出部 分 が 認 め られ る よ う にな っ た。 以 上 の よ う に平 成23年 度 大 綱 で は,所 得 税 の 給 与 所 得 控 除 につ いて1974年 以 来 の 大 きな 改 正 が 盛 り込 まれ て い たが,ね. じれ 国 会 と2011年3月. に起 き た東 日本 大 震 災 へ の 対 応 と と. も に一 部 は所 得 税 法 改 正 に到 らな い部 分 が あ っ た。 特 に給 与 所 得 控 除 改 正 で は役 員 にお け る 「勤 務 費 用 の 概 算 控 除 」 部 分 の 縮 小 は改 正 に到 らな か っ た。 平 成24年 度 税 制 改正 大 綱(以 下,平. 成24年 度 大 綱 とす る。)に お け る所 得 税 改 正 は,前. (9)国 税 庁 ホー ムペ ー ジ に よ る と,特 定 支 出 と して は 以 下 の5つ を 挙 げ て い る。 ① 一 般 の 通 勤 者 と して 通 常 必 要 で あ る と認 め られ る通 勤 の た め の 支 出,② 転 勤 に伴 う転 居 の た め に 通 常 必 要 で あ る と認 め られ る支 出の う ち一・ 定 の もの,⑧ 職 務 に直 接 必 要 な 技 術 や 知 識 を 得 る こ とを 目的 と して 研 修 を 受 け る た め の支 出,④ 職 務 に 直 接 必 要 な資 格(一 定 の 資 格 を 除 き ます 。)を 取 得 す る た め の 支 出,⑤ 単 身 赴 任 な どの 場 合 で,そ の 者 の 勤 務 地 又 は居 所 と 自宅 の 間 の 旅 行 の た め に 通 常 必 要 な 支 出 の う ち一 定 の もの 。 ⑩ 平 成23年 度 大 綱 に よ る と,資 格 取 得 の 対 象 とな るの は,弁 護 士,公 認 会 計 士,税 理 士 な どで あ る。 勤 務 必 要 経 費 と は,図 書 費,衣 服 費,交 際 費 及 び職 業 上 の 団 体 の 経 費 とな って い る。 -78(156)一.
(5) 給与所得課税の シ ミュレー シ ョン分析(鈴 木) 年 度 大 綱 を引 き継 ぐ形 を と って い る。 役 員 に お け る 「勤 務 費 用 の 概 算 控 除 部 分 」 の 縮 小 は 改 正 に盛 り込 まれ て いな いが,こ れ 以 外 の 給 与 所 得 控 除 改 正 は平 成23年 度 大 綱 の 内容 が 盛 り込 まれ た(1D。 平 成23年 度 大 綱 と平 成24年 度 大 綱 に盛 り込 めな か っ た税 制 改 正 の1つ. と して 最 高 税 率 の. 引 き上 げが あ る。税 率 構 造 の見 直 しは 「社会 保 障 ・税 の一 体 改 革成 案 」 に記 述 され て い る⑰。 政 府 税 制 調 査 会 の 懇 談 会 資 料 で あ る 「税 率 構 造 の 見 直 し 〔 検 討 事 項 の 課 題 と方 向性 〕」 に よ る と(③,「どの 所 得 階 層 で も負 担 水 準 が低 下 」 「今 後 の 消 費 税 率 の 引上 等 に よ って 中 低 所 得 者 層 の 負 担 は 相 対 的 に重 くな る」 「特 に高 い 所 得 階 層 で は 負 担 が 大 き く低 下 して い る」 こ と を挙 げ,「 格 差 の是 正 等 の観 点 か ら,税 率 構 造 の あ り方 を検 討 す る必 要 」 と して い る。 この よ うな 中で 政 府 税 制 調 査 会 は4つ の 最 高 税 率 の 引 き上 げ案 を 提 案 して い る。 表1は 政 府 税 制 調 査 会 が 提 案 して い る4つ の 具 体 案 で あ る。. 表1政. 脚(課. 府税制調査会 による具体案 考. 給与収入) 税所得. え. 方. 増収見込額. 影響人員数 (納税者比). 1 1,800万. 案①. (2,336万 2,500万. 案②. (3,036万. 円超 円 超) 円超 円 超). 45% 2,700万. 案③. (3,236万 3,000万. 案④. (3,536万. (注1)給 (注2)増. 円超 円 超) 円超 円 超). 現 行 の 最 高 税 率 ブ ラ ケ ッ トに つ い て, 5%引 上 げ 。(40%ブ ラ ケ ッ トは な. 1,900億. 円程 度. 1,200億. 円程 度. 1,100億. 円程 度. くな る 。). 給与 収 入3,000万 円程 度 か ら5%引 げ。 税 率33%の. 上. ブ ラ ケ ッ ト幅(900∼1,800. 万 円)と40%の 幅(1,800∼2,700万 が 等 し くな る よ う に 設 定 。. 円). 課 税所 得3,000万 円超 は,平 成11年 に 引 き下 げ る前 の 最高 税 率 ブ ラケ ッ ト。. 900億 円 程 度. 29万 人 程 度 (0.6%) 17万 人 程 度 (0.3%) 14万 人 程 度 (0.3%) 11万 人 程 度 (0.2%). 与 収 入 は 夫 婦 子2人(子 の う ち1人 が 一 般 扶 養,1人 が 特 定 扶 養 と仮 定)を 前 提 。 収 見 込 額,影 響 人 員数 につ いて は,平 成23年 度 予 算 ベ ー ス(給 与 所 得 控 除 の上 限設 定 を 加 味)。 な お,増 収 見 込 額 につ いて は所 得 税 の み の 数 値 。. (注3)平. 成11年 に引 き下 げ る前 の最 高 税 率 は,課 税 所 得3,000万 円 超 で50%(住 民15%を 合 わ せ る と 65%)。 出所:社 会 保 障 ・税 一 体 改 革 作 業 チ ー ム 『 論 点整 理(国 税)』 平 成23年 度 第28回 税 制 調 査 会(12月21 日)資 料 一 覧 引 用 。. 最 高 税 率 に つ い て は,現 は1,800万 円 超 ∼3,000万. 行 の40%か. ら45%へ. 円 超 ま で の 間 で4案. 引 き 上 げ,最. 高 税 率 が 適 用 され る課 税 所 得. が 検 討 さ れ た 。 し か し な が ら,2012年2月17. qDし た が って 給 与 所 得 控 除 の 改 正 は従 業 員 と役 員 の 区別 無 く,給 与 収 入1,500万 円 超 に お い て245 万 円 の 上 限 が 設 定 され る こ と にな った 。 ⑫ 「IV税 制 全 体 の 抜 本 改 革 」(1)個人 所 得 課 税 の 中 で,「 格 差 の 是 正 や 所 得 再 分 配 機 能 等 の 回 復 の た め,各 種 の 所 得 控 除 の 見 直 しや 税 率 構 造 の 改 革 を 行 う。」 とあ る。 ⑱. 財 務 省,2011年12月15日. 付 けの 資 料 で あ る。 -79(157)一.
(6) 第10巻. 第2号. 日 に 閣 議 決 定 され た 「社 会 保 障 ・税 一 体 改 革 大 綱 につ い て」 で は,4案. よ り も最 高 税 率. 45%が 適 用 さ れ る範 囲 は 大 幅 に引 き上 げ られ,「 現 行 の 所 得 税 の税 率 構 造 に 加 え て,課 所 得5,000万 円 超 に つ い て45%の. 税. 税率 を設 け る」 と され る こ とに な ったω。 最 高 税 率45%が. 適 用 され る範 囲 が 大 幅 に引 き上 げ られ た理 由の1つ. と して は,東 日本 大 震 災 復 興 増 税 が 挙. げ られ る。 平 成24年 度 大 綱 の 閣 議 決 定 に先 立 って,政 府 は東 日本 大 震 災 の 復 興 財 源 に関 す る増 税 法 案 を可 決 した⑮。 所 得 税 につ いて は,所 得 税 額 が2.1%上 乗 せ され る こ と にな った。 これ は 2013年1月. か ら25年 間 に わ た る長 期 的 な 増 税 で あ る⑯。 所 得 税 負 担 者 全 体 の増 税 が 課 せ ら. れ る 中で,新. たな 増 税 対 象 者 を か な り高 額 所 得 者 に限 定 せ ざ るを え な か った もの と考 え ら. れ る。. 2.2.給. 与 所 得 控 除 の改 正 につ い て. 表2は1970年. 以 降 の 給 与 所 得 控 除 改 正 につ いて ま と め た もの で あ る。2012年 の 給 与 所 得. 控 除 改正 は1974年 以 来 の大 きな 改 革 とな る。1974年 改 正 に よ って今 回 の改 正 前 の シス テ ム, つ ま り最 低 控 除 額 と給 与 収 入 が 上 昇 す る につ れ て 限 界 控 除 率 が 逓 減 し,上 限 が な い制 度 が 構 築 され た。 それ まで は給 与 収 入 が 上 昇 す る につ れ て 限 界 控 除 率 が 逓 減 され る額 に定 額 控 除 が 加 え られ,上 限 が 設 定 され て い る制 度 で あ っ た。 その 後,物 価 の 上 昇 に伴 って 給 与 収 入 区 分 と最 低 控 除 額 は変 化 す る制 度 改 正 が 行 わ れ て い る。 図2は 平 均 給 与 と平 均 給 与 に 占 め る給 与 所 得 控 除 の 割 合 を1970年 か ら2010年 まで 計 算 し た もので あ るq7)。図2に. よ る と,1970年. か ら73年 に か け て は控 除率 が大 き く低 下 して い る. こ とが わ か る。 この 期 間 中 は高 度 経 済 成 長 を 背 景 に平 均 給 与 額 が 大 き く伸 びて い るが,給 与 所 得 控 除制 度 は改 正 が な い た め 控 除 率 が 大 き く低 下 して い るq8)。 控 除率 が低 下 す る こ と は給 与 所 得 者 に と って 増 税 とな る。 そ こで,イ. ン フ レ基 調 とオ イル シ ョ ックが 重 な る経 済. 状 況 の74年 に給 与 所 得 者 減 税 を 目的 と して 給 与 所 得 控 除 の改 正 が な され た⑲。 図 か ら も74 ω ⑮. この 改 正 案 は,2015年 分 の 所 得 税 か らの 適 用 を 予 定 して い る。 「平 成24年 度 大 綱 」 の 閣 議 決 定 は2011年12月10日,復 興 財 源 増 税 法 案 の可 決 は2011年11月30日 で あ る。. ⑯. 所 得 税 以 外 の 増 税 項 目 と して は,法 人 税 と個 人 住 民 税(地 方 税)が あ る。 法 人 税 は,法 人 税 額 が10%上 乗 せ され る こ と にな った 。 法 人 税 の 場 合 は 税 制 改 正 で10%引 き下 げ が な され て お り,引 き下 げ分 を 復 興 増 税 と して 上 乗 せ され る とい う こ と にな る。 増 税 期 間 は2012年4月 か ら3年 間 と な って い る。個 人 住 民 税 は 均 等 割 が1,000円 上 乗 せ され る こ と にな った 。増 税 期 間 は2014年6月 か ら10年 間 で あ る。. ⑰ 金 額 は 名 目値 で あ る。 ㈱1970年 の 平 均 給 与 額 は94.0万 円で あ り,1973年 の それ は146.3万 円 で あ る。 ⑲74年 で は給 与 所 得 控 除 の 他,所 得 税 は 課 税 所 得 区 分 が 変 更 され て い る。74年 度 の 一 般 会 計 予 算 に よ る と,こ れ らの 減 税 規 模 は14,810億 円 と さ れ て い る。 一80(158)一.
(7) 給 与 所 得 課 税 の シ ミュ レー シ ョン分 析(鈴 木) 表2給. 与所得控除の変遷. 改正年. 1970年. 控. 除. 内. 容. 100万 円 まで20% 200万 円 まで10% 400万 円 まで5% 定 額 控 除10万 円. 最 高 限 度50万 円. 150万 円 ま で40% 300万 円 ま で30% 1974年. 600万 円 ま で20% 600万 円 超10% 最 低 控 除50万. 円. 上限な し. 150万 円 ま で40% 300万 円 ま で30% 1980年. 600万 円 ま で20% 1,000万. 円 ま で10%. 1,000万. 円 超5%. 最 低 控 除50万. 円. 上限な し. 165万 円 ま で40% 330万 円 ま で30% 1984年. 660万 円 ま で20% 1,000万. 円 ま で10%. 1,000万. 円 超5%. 最 低 控 除50万. 円. 上限な し. 165万 円 ま で40% 330万 円 ま で30% 1989年. 660万 円 ま で20% 1,000万. 円 ま で10%. 1,000万. 円 超5%. 最 低 控 除65万. 円. 上限な し. 出所:筆 者 作 成 。. 年 に控 除 率 が 大 き く伸 びて い る こ とが 確 認 で き る。 74年 以 降 バ ブル 崩 壊 の91年 まで 平 均 給 与 額 の 上 昇 に伴 って 控 除 率 が 低 下 して い る こ とが わ か る。74年 か ら2010年 まで 平 均 給 与 額 は約2倍. に増 大 して い るが,控 除 率 は概 ね35%か. ら30%の 間 に収 ま って い る。 平 均 給 与 額 に 占 め る給 与 所 得 控 除 率 が30%程. 度 と い う値 は高 す ぎ る と い う指 摘 は よ くな. され る。 ま た控 除 率 が 高 い た め に実 額 控 除 を 選 択 す る人 が ご く少 数 に と ど ま って い る と も いわ れ る。 シ ャ ウ プ勧 告 に お いて も,事 業 所 得 等 との バ ラ ンスを 考 慮 して 勤 労 所 得 控 除 を 引 き下 げ る よ う に勧 告 した と され る⑳。 74年 の 改 正 につ いて 宮 島(1986)は,「. そ の改 正 理 由 の一 つ は制 度 の簡 素 化 を 図 る こ と,. お よ び必 要 経 費 概 算 控 除 の 性 格 を よ り明 確 にす る こ とで,こ. ⑳. 日本 租 税 研 究 協 会 編(1950)66ペ. ー ジ参 照 。 -81(159)一. こか ら一 律 定 額 控 除 の 廃 止 と.
(8) 第10巻. 第2号. 70727476788082848688909294969820000204060810年 一. 控 除率(左 軸)平. 均給 与(右 軸 〉. 出 所:国 税 庁 『民 間 給 与 の 実 態(長 期 時 系 列)」 よ り作 成 ⑳ 図2平. 均 給 与 に お ける 給 与 所 得 控 除 比 率 の 推 移. 定 率 控 除 制 度 へ の 統 合 ・一 本 化 が 実 施 され ま した。 ただ,定 率 制 度 へ の 転 換 に よ って 控 除 額 の 切 り下 げ と い う打 撃 を こ うむ る こ と にな る少 額 給 与 所 得 者 を 救 済 す るた め に最 低 控 除 額 制 度 が 同時 に導 入 され たの で す 。 も う一 つ の 注 目す べ き改 正 理 由 は 「収 入 が 増 加 す る に つ れ て 何 が しか の経 費 が増 え て くる」 とい う主 張 で,こ こか ら最 高 限 度額 制度 が撤 廃 され, いわ めて 高 額 の 給 与 収 入 に も逓 減 的 で は あれ 給 与 所 得 控 除 額 の 増 加 が 認 め られ る よ う にな りま した。」⑳ と述 べ て い る。 そ こで 宮 島(1986)は. 控 除 額 が 必 要 経 費 と して は高 す ぎ る と い う問 題 点 に加 え て,2つ. の 問 題 点 を指 摘 して い る。 ひ とつ め は,役 員 が 受 け取 る高 額 な 給 与 収 入 の 部 分 に も必 要 経 費 が 適 用 され るの か と い う問 題 で あ る。 役 員 賞 与 は役 員 の 給 与 収 入 に 占 め る割 合 が 高 く, 役 員 賞 与 は利 益 処 分 の 性 格 が 強 い と い う もの で あ る㈱。 い ま ひ とつ は,い わ ゆ る給 与 所 得 控 除 制 度 が 「影 の 累 進 税 率 表 」 にな って い る と い う も の で あ る。 給 与 所 得 控 除 額 は給 与 収 入 が 高 くな る につ れ て 控 除 額 が 大 き くな る。 しか し課 税 段 階 の 給 与 所 得 は高 くな る につ れ て 高 い累 進 税 率 表 が 適 用 され る。 ゆえ に 「給 与 収 入 の. ⑳. 表3-1「1年 勤 続 者 ・1年 の デ ー タを 利 用 して い る。. 未 満 勤 続 者 の 給 与 所 得 者 数 ・給 与 額 ・税 額 」 に お け る1年. 吻. 宮 島(1986)172ペ. ー ジ,2行. 目か ら引 用 。. ⑳. 宮 島(1986)172ペ. ー ジ,9行. 目か ら参 照 。 -82(160)一. 勤続者.
(9) 給与所得課税の シ ミュレー シ ョン分析(鈴 木) 増 加 につ れ 税 負 担 率 の 上 昇 テ ン ポが 加 速 され る と い う問 題 」 を 指 摘 して い る⑳。 藤 田(1992)は. 給 与 所 得 控 除 率 が 給 与 収 入 額 に よ って 大 き く異 な って い る こ と と,構 造. が 複 雑 で あ る こ とを 問 題 点 と して 挙 げて い る。 この こ とか ら給 与 所 得 控 除 を フ ラ ッ ト化 さ せ る こ と で簡 素 化 を は か るべ きで あ る と して い る㈱。 藤 田(1992)は87年. か ら導 入 され た. 特 定 支 出控 除 制 度 につ いて,実 額 控 除 の 導 入 と い う点 で は評 価 しな が ら も,そ の 実 効 性 に 疑 念 を示 して い る。 要 因 と して は,特 定 支 出項 目が 限 定 され す ぎて い る点,概 算 控 除 全 額 と特 定 支 出控 除 を いず れ か を 選 択 しな けれ ばな らな い点,特 殊 な 給 与 所 得 者 の 存 在 を 考 慮 して い な い 点 の3つ を 挙 げ,「 実 額 控 除 を 選 択 す る給 与 所 得 者 と事 業 所 得 者 との取 り扱 い が,経 費控 除面 に お い て平 等 に な って い な い。」 と して い る⑳。 こ の点 につ い て は,木 下 ・ 本 間 ・大 島(1986)に. お いて も,本 間 は 「労 働 に対 す る実 額 控 除 を 事 業 所 得 あ る い は資 本. に対 す る実 額 控 除 と どの よ うに整 合 的 に位置 づ け るの か とい う問題 が あ る。」⑳ と して い る。 橋 本 ・呉(2008)は. 給 与 所 得 控 除 の 金 額 との 選 択 の 形 で 実 額 控 除 が 認 め られ て い る点 か. ら して,給 与 所 得 控 除 は概 算 経 費 と して 解 釈 す べ き もの と して い る。 彼 ら は家 計 デ ー タか ら算 出 した経 費 率 と給 与 所 得 控 除 率 を 比 較 す る と現 行 水 準 が高 す ぎ る と して い る㈱。 また 彼 らは給 与 所 得 控 除 を 簡 素 化 し,定 額 控 除 と定 率 部 分 で 構 成 す る案 を 提 示 して い る。 そ し て これ を上 回 る必 要 経 費 が か か る個 人 は 申告 す れ ば よ い と して い るが,付 加 項 目 と して 事 業 所 得 に関 す る必 要 経 費 算 定 の 厳 格 化 が な けれ ば,給 与 所 得 者 の 不 公 平 感 に対 応 で きな い と して い る。 これ まで の 給 与 所 得 控 除 改 革 の 方 向 性 と して は,水 準 の 引 き下 げ と簡 素 化 が1つ の 提 案 と して あ る だ ろ う。 その 上 で 最 終 段 階 の 累 進 税 率 表 が 政 策 目的 に対 応 す れ ば よ いだ ろ う。. 3.所. 得 税 改 革 の シ ミ ュ レー シ ョ ン. 本 節 で は所 得 税 改 革 が 家 計 負 担 と マ ク ロ税 収 に どの よ うな 影 響 を 与 え るの か につ いて シ ミュ レー シ ョ ン分 析 を 通 じて 明 らか に して い く。. ⑳. 宮 島(1986)172ペ. ー ジ,12行. 目か ら引 用 。. ㈱. 藤 田(1992)110ペ. ー ジ,13行. 目か ら参 照 。. ⑫③. 藤 田(1992)111ペ. ー ジ,7行. 目か ら引 用 。. ⑳. 木 下 ・本 間 ・大 島(1986)124ペ. ⑳. 「家 計 調 査 年 報(2006年)』. ー ジ,58行. 目か ら引 用 。. 勤 労 者 世 帯 の デ ー タ を 利 用 し て 経 費 率 を 計 測 す る と,6%∼9%程. 度 で あ る と して い る。 -83(161)一.
(10) 第10巻 3.1.給. 第2号. 与 所 得 控 除 改 正 につ い て:実 効 限 界 税 率 へ の影 響. 平 成24年 度 大 綱 で は給 与 収 入1,500万 円超 に お い て給 与 所 得 控 除 の 上 限 が245万 円 に設 定 され て い る。 この よ うな 税 制 改革 が 行 わ れ た 場 合,給 与 収 入1,500万 円 に直 面 して い る人 に と って は追 加 的 な 収 入 にか か る税 負 担 が 改 正 前 後 で 異 な って くる。 通 常 の 経 済 学 で いわ れ る限 界 的 な 税 負 担 が 異 な る と い う もの で あ る。 追 加 的 な 収 入 の 増 加 に よ って 税 負 担 が 増 大 す る こ と は労 働 供 給 に負 の 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 が あ る。 図3は 単 身 者 を 想 定 して 改 正 前 後 の 実 効 限 界 税 率 を 比 較 した もの で あ る。 実 効 限 界 税 率 (EMTと. す る。)は 以 下 の式 で表 さ れ る。 つ ま り,追 加 的 に収 入 が 増 加 す る こ と に よ って. 税 負 担 額 が どれ だ け増 加 す るか につ いて 改 革 前 後 で 比 較 して い る こ と にな る。. EM写. 二(ろ 一 男)/(ろ. た だ し,耳. 一 名). (実 効 限 界 税 率). と 垢 は収 入 を表 し,ち=耳+△. 入 額 で あ る。 冗 と 環 は 耳 と%に. の 関係 に あ る。 た だ し,△ は追 加 的 な 収. 対 応 す る税 額 で あ る。 図3を 作 成 す る に あた って は,. △ を1万 円 と して 計 算 して い る。 図3に. よ る と給与 収 入1,500万 円 で は改 正 前 後 で 実 効 限 界 税 率 に乖 離 が み られ る。改 正 後. で は,給 与 所 得 控 除 額 が 減 額 され る こ と に よ る限 界 的 な 増 税 に よ って 実 効 限 界 税 率 が 上 昇 して い る。 つ ま りこれ は,改 正 に よ って 労 働 供 給 に負 の 影 響 が もた ら され る可 能 性 を 示 唆 して い る。 図3で. は,再 度,改 革 前 後 で 実 効 限 界 税 率 が 上 昇 して い る。 また2本 の グ ラ フ にず れ が. 生 じて い る。再 度,実 効 限 界 税 率 が 上 昇 す るの は,新 た な税 率 区分 に突 入 す る か らで あ る。 2本 の グ ラ フにず れが 生 じて い るの は,改 正 に よ って 課税 所 得 に差 がで て い るか らで あ る。. 3.2.所. 得 税 改 正 と独 自試 案. これ まで 述 べ て き た よ う に,給 与 所 得 控 除 につ いて は,定 額 控 除 と比 例 控 除 の 組 み 合 わ せ に簡 素 化 す べ き だ とい う議 論 が な され て き た⑳。 本 節 で は2012年 の税 制 改 正 に独 自試 案 を加 え て シ ミュ レー シ ョン分 析 を 行 う こ と にす る。 独 自試 案 と して は,給 与 所 得 控 除 を 定 額 控 除65万 円 と給 与 収 入 の10%の. 合 計 額 とす る こ と に した。 ただ し,給 与 所 得 控 除 の 金 額. は2012年 度 の 税 制 改 正 大 綱 と 同様 に245万 円 を上 限 とす る㊤ ① 。 ㈲. た と え ば,宮. ㊤①. た だ し,上. 島(1986),藤. 田(1992)を. 参 照 され た い 。. 限 に 到 達 す る 給 与 収 入 は,2011年. 本 章 の 試 案 で は1,800万. 円 と な る。 -84(162)一. 度 税 制 大 綱 が1,500万. 円 と な っ て い る の に 対 して,.
(11) 給与所得課税の シ ミュレー シ ョン分析(鈴 木) 図4は,独. 自試 算 と現 行,政 府 案 に お け る給 与 所 得 控 除 の 金 額 を 比 較 した もの で あ る。. 現 行 の 給 与 所 得 控 除 は,給 与 収 入 の 上 昇 につ れ て,控 除 率 が 段 階 的 に削 減 され て い る こ と が わ か る。 それ に対 して,政 府 案 は給 与 収 入 が1,500万 円 にな る と,給 与 所 得 控 除 が 上 限 の. 出所:筆 者 計 算 。. 図3改. 正前後 にお ける実効限界税率の比較. 給与収入(万円). 出所:筆 者 計 算 。 図4給. 与所得控除改正による控除額の変化 一85(163)一.
(12) 第10巻. 第2号. 245万 円 に達 す る こ とだ け が現 行 制 度 と異 な る点 だ。 独 自試 案 で は,年 収235万 円 まで の 低 所 得 層 は現 行 制 度 よ り もわず か に給 与 所 得 控 除 の金 額 が 増 え る こ と に な る。 年 収235万 円 を超 え る とす べ て の 所 得 階 層 に と って,給 与 所 得 控 除 の 金 額 が 削 減 され る こ と にな る。. 表3各 2011年. 課税所得区分 一195万 円 195-330万. 円. 330-695万. 円. 695-900万. 円. 900-1,800万 1,800万. 円. 円 一. 制度の累進税率表 政. 税制. 限界税率 5% 10% 20% 23% 33% 40%. 府. 課税所得区分 円. 330-695万. 円. 695-900万. 円. 900-1,800万. 円. 1,800-5,000万 5,000万. 試. 限界税率. 一195万 円 195-330万. 案. 円. 円 一. 5% 10% 20% 23% 33% 40% 45%. 案. 課税所得区分. 限界税率. 一250万 円 250-350万. 円. 350-600万. 円. 600-900万. 円. 900-1,300万 1,300万. 円. 円 一. 5% 10% 20% 25% 35% 40%. 出所:筆 者 作 成 。. 年 収235万 円 以 上 に と っ て増 税 に な る と い う よ うな給 与 所 得 控 除 の改 正 は,過 度 な 増 税 とな り,現 実 性 が 厳 し くな る。 そ こで 給 与 所 得 控 除 の 改 正 に あわ せ て,所 得 税 の 税 率 表 の 改 正 も組 み合 わ せ る こ とに した 。 表3は,現 で 提 案 され た最 高 税 率 の 引 き上 げ案,独. 行 税 制(2011年),社. 会 保 障 と税 の一 体 改 革. 自試 案 を ま と め た もの だ 。 政 府 案 は現 行 の 税 率 表. に課 税 所 得5,000万 円超 に最 高税 率45%を 加 え た もの で あ る。 これ に対 して 独 自試 案 は最 低 税 率 が 適 用 され る課 税 所 得 区 分 を195万 円 か ら250万 円 まで 引 き上 げて い る。10%の. 限界税. 率 が 適 用 され る課 税 所 得 も330万 円 か ら350万 円 まで 引 き上 げて い る。 これ ら は低 所 得 層 に と って は所 得 税 負 担 を 減 少 させ る こ と にな る。 一 方,20%の. 限 界 税 率 が 適 用 され る課 税 所. 得 区分 は695万 円 か ら600万 円 ま で 引 き下 げ て い る。23%と33%の 25%と35%に. 限 界 税 率 は,そ. れぞれ. 引 き上 げ て い る。40%の 限界 税 率 が適 用 さ れ る課 税 所 得 区分 は1,800万 円か ら. 1,300万 円 まで 引 き下 げ て い る。 これ らは,高 所 得 層 の 所 得 税 負 担 を 増 加 させ る こ と にな る。. 3.3.改. 革 に よ る税 負 担 の変 化. 改 革 試 案 に よ る定 期 収 入 階 級 別 の 税 負 担 の 変 化 を示 した もの で あ る⑳。 比 較 の 基 準 とす る た め に,政 府 案 が 実 現 した場 合 の 税 負 担 も掲 載 して い る。 以 下 で の 政 府 案 と は,復 興 増 税 と して の 所 得 税 の 付 加 税(2.1%)と ⑳. 社 会 保 障 ・税 の 一 体 改 革 の 大 綱 で 示 され た 最 高 税 率. 各 定 期 収 入 階 級 別 の 給 与 収 入,世 帯 人 員 の デ ー タを 利 用 して,税 法 を 適 用 す る こ とで 税 負 担 額 を 求 め た 。 所 得 控 除 と して は,基 礎 控 除,配 偶 者 控 除,社 会 保 険 料 控 除 を 考 慮 した 。 詳 し く は, 鈴 木(2012)を. 参 照 され た い 。 -86(164)一.
(13) 給与所得課税の シ ミュレー シ ョン分析(鈴 木) の 引 き上 げの 組 み 合 わ せ と した。 改 革 試 算 に よ る税 負 担 の 変 化 は,給 与 所 得 控 除 の み を 改 正 した場 合 の 影 響 と税 率 表 の み を 改 正 した場 合 の 影 響 も計 測 した。 給 与 所 得 控 除 の み 改 正 した場 合 の 影 響 を み て み る。 独 自試 案 にお け る給 与 所 得 控 除 は, 定 額 控 除 と比 例 控 除 の 組 み 合 わ せ に よ って 制 度 を 簡 素 化 か つ その 水 準 を 大 幅 に引 き下 げ る と い う改 革 で あ る。 しか し定 期 収 入 が235万 円未 満 の 低 所 得 層 で は,図4で. み た よ う に現. 行 よ りも給 与 所 得 控 除 の 金 額 が 多 くな る。 これ らの 低 所 得 層 は現 行 税 制 の も とで は課 税 最 低 限 以 下 の 世 帯 とな るの で,改 革 に よ って 給 与 所 得 控 除 の 水 準 が 高 くな るか ら と い って 改 革 の影 響 を受 け な い。235万 円 を超 え る世 帯 で は,給. 与 所 得 控 除 の 水 準 の低 下 に よ り所 得. 税 負 担 が 増 加 す る。 この 所 得 税 負 担 の 増 加 は,図4で. み た よ う に,中 間 所 得 層 の 給 与 所 得. 控 除 の 削 減 額 が 大 き いか らで あ る勧。 この よ う に給 与 所 得 控 除 の み を 改 正 した場 合 に は,中 間 所 得 層 の 増 税 額 が 相 対 的 に重 く な って しま う。 この 中間 所 得 層 の 増 税 額 を 圧 縮 す る た め に,所 得 税 の 税 率 表 は 中間 所 得 層 が 減 税 とな る よ う に設 定 した。 格 差 是 正 効 果 を 期 待 して,高 所 得 層 に対 して は増 税 とな る よ う に設 定 して い る。 ただ し,政 府 案 の よ う に高 所 得 層 の 増 税 は,最 高 税 率 の 引 き上 げで はな く,現 行 の 最 高 税 率 が 適 用 され る課 税 所 得 区 分 の 引 き下 げで お こな って い る。 最 高 税 率 の 引 き上 げ は,政 治 的 に は高 所 得 層 へ の 増 税 の イ メー ジが 強 いた め に好 まれ る こ と にな る もの の,課 税 所 得 区 分 を 見 直 す こ とで,限 界 税 率 を 引 き上 げ る こ とな く,高 所 得 層 の 税 負 担 を増 加 させ る こ とが で き る。 この よ うな 方 法 は,経 済 学 的 に は限 界 税 率 を 上 げ る こ と な く,平 均 税 率 を 上 げ る こ と とな り,労 働 意 欲 に対 す る阻 害 効 果 が 小 さ くな る こ とが 知 ら れ て い る。 表4を み る と,改 革 試 案 の 税 率 表 の 改 正 の み を 実 施 した 場 合 に は,中 間 所 得 層 は減 税,高 所 得 層 は増 税 とな る こ とが 確 認 で き る。 給 与 所 得 控 除 の 改 正 と税 率 表 の 改 正 を 組 み あせ た場 合 の 改 革 試 案 の も とで の 税 負 担 は, 235万 円未 満 の低 所 得 層 に は影 響 を与 え な い。235万 円を 超 え る世 帯 で は,増 税 額 が 徐 々 に 増 え て い くこ と にな る。 この 増 税 額 は,政 府 案 の 増 税 額 よ りも大 き くな って い る。 各 所 得 階 層 の 増 税 額 は,大 き くな るが 日本 の 所 得 税 負 担 はバ ブル 崩 壊 以 降,減 少 して きて お り, あ る程 度 の 増 税 はや む を 得 な い と考 え られ る。 基 幹 税 と して の 所 得 税 を 強 化 す る こ とで, 政 治 的 抵 抗 の 大 き い消 費 税 率 の 引 き上 げ幅 を 圧 縮 す る こ と も可 能 にな るだ ろ う。 最 後 に改 革 試 算 に よ る再 分 配 効 果 を 計 測 した もの が 表5で. あ る。 この 表 に よ る と,改 正. 前 の ジニ 係 数 は0.2913で あ る の に対 して,政 府 案 の そ れ は0.2909,試 案 が0.2896と な って お 働. 表4の1,320万 円超 の世 帯 の 平 均 給 与 収 入 は1,799万 円 で あ り,改 革 試 案 で の給 与 所 得 控 除 の 上 限 に は達 して い な い 。 ただ し,給 与 収 入 が1,800万 円 を超 え る高所 得層 に つ い て は,給 与 所 得 控 除 の 上 限 に 達 す るた め に,増 税 額 は大 き くな る。 -87(165)一.
(14) 第10巻 表4定 定 期 収 入 階級 (年 間:万 円). 改正前. 第2号. 期 収 入 階 級 別 の 税 負 担 の 変 化(単 位:万 円) 控 除:試 案 税 率:改 正 前. 政府案. 控 除:改 正 前 税 率:試 案. 試. 案. 税負担額 税負担額 増税額 税負担額 増税額 税負担額 増税額 税負担額 増税額 0-120. 0.0. 0.0. 0.0. 0.0. 120-180. 0.1. 0.1. 0.0. 0.0. 一 〇. 0.0. 0.0. 0.0. 0.0. .1. 0.1. 0.0. 0.0. 一 〇. 180-240. 2.0. 2.0. 0.0. 1.8. 一 〇. 240-300. 4.2. 4.3. 0.1. 4.9. 300-360. 6.6. 6.8. 0.1. 360-420. 9.2. 9.4. 0.2. 420-480. 14.9. 15.2. 0.3. 480-540. 20.2. 20.6. 540-600. 29.6. 600-660 660-720. 0.0. .1. 2.0. 0.0. 1.8. 一 〇. 0.6. 4.2. 0.0. 4.9. 0.6. 8.0. 1.3. 6.6. 0.0. 8.0. 1.3. 12.0. 2.8. 9.2. 0.0. 10.9. 1.7. 19.2. 4.3. 12.3. 一2. .6. 16.4. 1.5. 0.4. 27.1. 7.0. 17.4. 一2. .8. 22.4. 2.3. 30.2. 0.6. 40.6. 11.0. 24.8. 一4. .8. 35.8. 6.3. 41.9. 42.7. 0.9. 52.9. 11.0. 37.1. 一4. .8. 48.1. 6.3. 54,9. 56.1. 1.2. 65,9. 11.0. 50.2. 一4. .8. 61.2. 6.3. 720-780. 66。6. 68.0. 1.4. 77。6. 11.0. 61.9. -4. .8. 73.0. 6.3. 780-840. 82,3. 84.1. 1.7. 93,2. 10.8. 78.9. -3. .5. 92.4. 10.1. 840-960. 100。3. 102.4. 2.1. 111。6. 11.4. 100.6. 0.3. 113.0. 12.7. 960-1,080. 114.1. 116.5. 2.4. 124.7. 10.6. 115.7. 1.6. 127.2. 13.1. 1,080-1,200. 146.9. 150.0. 31. 159.6. 12.7. 151.2. 4.3. 164.7. 17.8. 1,200-1,320. 144.1. 147.1. 30. 156.9. 12.9. 148.2. 4.1. 161.9. 17.8. 1,320一. 291.6. 302.7. 11.2. 296.6. 5.0. 307.1. 15.5. 313.1. 21.6. .1 .1. 出所:総 務 省 『家 計 調 査 年 報 」 平 成22年 よ り作 成㈱。. 表5改. 革による再分配効果 ジニ 係 数. 課 改 政 試. 税 正 府. 前 前 案 案. 再分配係数. 0.3051 0.2913. 0.0454. 0.2909. 0.0465. 0.2896. 0.0508. 出所:総 務 省 『家 計 調 査 年 報 」 平 成22年 よ り作 成鱒。. り,い ず れ も格 差 が 小 さ くな って い る こ とが わ か る㈲。 政 府 案 と試 算 を 比 べ る と再 分 配 係 数 が そ れ ぞ れ0.0465,0.0508と. 3.4.試. な っ て お り,試 案 の 方 が 再 分 配 効 果 が 大 き い こ と が わ か る ㈱。. 案 の追 加. 前 節 で は給 与 所 得 控 除 を 簡 素 化 し,水 準 を 下 げ る と い う改 革 に よ って 起 き る増 税 を どの よ う に吸 収 し,あ る程 度 の 増 収 を 見 込 め る改 革 案 を 提 示 した。 本 節 で は,よ. り抜 本 的 な 税. 制 改 革 案 を提 示 す る。 抜 本 的 な 改 革 案 の 目的 は所 得 税 を 基 幹 税 と して 復 活 させ る こ とで あ ㈱ 「第2-4世 帯 主 の 定 期 収 入 階 級 別1世 帯 当 た り1か 月 間 の 収 入 と支 出」 よ り作 成 して い る。 ㊤ の デ ー タ は表4と 同 じ。 ㈲ ジニ 係 数 は等 価 所 得 に よ って 計 測 して い る。 な お,等 価 所 得 は 所 得 を 世 帯 人 員 の 二 乗 根 で 割 る こ とで 求 め られ る。 等 価 所 得 で 再 分 配 状 況 を み る こ と につ い て は 鈴 木(2010)を 参照。 鱒. 再 分 配 係 数 と は,課 税 前 か ら課 税 後 ヘ ジニ 係 数 が どれ だ け改 善 され たか を 示 す 指 標 で あ り,(課 税 前 ジニ 係 数 一課 税 後 ジニ 係 数)/課 税 前 ジニ 係 数 に よ って 求 め る こ とが で き る。 一88(166)一.
(15) 給与所得課税の シ ミュレー シ ョン分析(鈴 木) る。 「社 会 保 障 ・税 の 一 体 改 革 」 で は 消 費 税 を最 終 的 に は 現 在 の5%か. ら10%に 増 税 させ. る こ と と して い る。 消 費 税 の 増 税 分 は社 会 保 障 目的 税 と して 取 り扱 わ れ る こ と にな って い る。 現 実 的 に は社 会 保 障 目的 と い う理 由を つ け ただ け と と らえ る向 き も あ る。 増 税 分 が 一 般 会 計 の 歳 入 に組 み 込 まれ るか らだ 。 歳 入 が 国 債 に大 き く依 存 して い る原 因 と して,バ. ブ. ル 崩 壊 以 降,所 得 税 と法 人 税 の 税 収 が 大 き く下 が って い る こ とが 挙 げ られ る。 所 得 税 収 は ピー ク時 の26.7兆 円(1991年)か. ら現 時 点 で は13.5兆 円(2011年. い る。 法 人 税 は ピー ク時 の19.0兆 円(1989年)か. 度 予 算)に. ま で下 が って. ら現 時 点 で は7.8兆 円(2011年. 度 予 算)に. まで 下 が って い る。所 得 税 は約 半 分 に,法 人 税 は半 分 以 下 に まで 下 が って い るの が現 状 だ。 法 人 税 は菅 政 権 に お いて 税 率 の 引 き下 げが 行 わ れ た㊨ の。 日本 の企 業 課 税 は 国 際 的 に重 く, 日本 企 業 の 海 外 逃 避 が 起 き た り,海 外 か ら投 資 の 妨 げ にな って い る と い う現 状 が あ る。 法 人 税 増 税 と い う税 制 改 革 は現 時 点 で は考 え に くい。 一 方 の 所 得 税 は これ まで の 累 進 構 造 の フ ラ ッ ト化 と所 得 控 除 の 拡 充 と い う税 制 改 革 が 進 め られ た。 慢 性 的 に低 い経 済 成 長 率 が 大 きな 原 因 で は あ るが,こ れ まで の 税 制 改 正 に よ る 減 収 も指摘 で き る。そ こで本 節 で は所 得 税 の 大 幅 な 増 税 を 目的 と した改 革 案 を提 示 した い。 改 革 案 と して は給 与 所 得 控 除 を 前 節 と 同様 の 制 度 を 取 り入 れ る こ とか ら,給 与 所 得 控 除 制 度 改 革 を吸 収 で き る税 収 中立 案 も 同時 に提 供 す る こ と に した。 以 上 を 目的 と した 改 革 案 は表6の. よ う にな る。 税 収 中立 案 の 設 計 は,前 節 に お け る試 案 を 参 考 に して い る。 試 案 で. は給 与 所 得 控 除 の 引 き下 げ に よ って 定 期 収 入 が240万 円階 級 か ら増 税 が 生 じる こ と にな っ て い た。 これ らの 影 響 に対 応 す る た め に追 加 試 案 で は以 下 を 講 じて い る。 税 収 中立 案 で は,増 税 を吸 収 す る た め に限 界 税 率 は試 案 を 維 持 して い るが,課 税 所 得 区 分 にお いて 低 い限 界 税 率 で あ る10%と20%が. 適 用 され る区 分 と高 い限 界 税 率 で あ る35%と40%が. 拡 大 させ た。 増 税 案 で は,最 低 税 率 を5%か. ら8%に. 適 用 され る区 分 を. 上 昇 させ て,最 高 税 率 に新 た に45%. を設 定 して い る。 これ らの 改 革 案(表6)に. 基 づ いて 前 節 の 同様 に家 計 負 担 を 計 測 す る と,表7の. ように. な る。 表7に. よ る と,税 収 中立 案 は給 与 所 得 控 除 の 引 き下 げ に よ る増 税 を,低. い限 界 税 率 が 適. 用 され る所 得 範 囲 を 拡 大 させ る こ とで 対 応 す る た め に,定 期 収 入240万 円 か ら540万 円 まで は0.6万 円 か ら2.3万 円 の 増 税 で 収 ま る。 こ の範 囲 は 人 数 の 分 布 と して広 くな って い るた め に税 収 中立 案 と して は この 範 囲 よ り分 布 は狭 いが 中高 所 得 階 層 で 減 税 させ る こ とで 低 所 得 ⑳. 東 日本 大 震 災 へ の 復 興 増 税 と して 引 き下 げ た 分 を 期 間 限 定 で 戻 して い る。 -89(167)一.
(16) 第10巻. 第2号. 者 層 の増 税 分 を 吸 収 す る結 果 に な って い る。 一 方,増. 税 案 は課 税 最 低 限 以 下 に な る120万. 円以 下 の 階層 と給 与 所 得 控 除 が 引 き上 が る階 層 で あ る180万 円以 下 の 階層 を 除 い て,す 表6追. 加試案の累進税率表. 税収中立案 課税所得区分. 増 限界税率. 一250万 円 250-450万. 円. 450-750万. 円. 750-900万. 円. 900-2,000万 2,000万. 円 一. 案. 課税所得区分. 限界税率. 一200万 円. 5% 10% 20% 25% 35% 40%. 円. 税. 200-350万. 円. 350-700万. 円. 700-900万. 円. 900-1,300万. 8% 15% 20% 25% 35% 40% 45%. 円. 1,300万. 円 一1,800万. 1,800万. 円 一. 円. 出所:筆 者 作 成 。. 表7改. 革 案 の よ る 税 負 担 の 変 化(単 位:万 円). 改正前. 定 期 収 入 階級 (年 間:万 円). 税負担額. 税収中立案 税負担額. 増. 増税額. 税負担額. 税. 案 増税額. 0-120. 0.0. 0.0. 0.0. 0.0. 120-180. 0.1. 0.0. 一. 〇. 0.0. 180-240. 2.0. 1.8. 一. 〇. 2.9. 1.0. 240-300. 4.2. 4.9. 0.6. 7.8. 3.6. 300-360. 6.6. 8.0. 1.3. 12.8. 6.1. 360-420. 9.2. 10.9. 1.7. 18.5. 9.4. 420-480. 14.9. 16.4. 1.5. 29.4. 14.5. 480-540. 20.2. 22.4. 2.3. 38.4. 18.3. 540-600. 29.6. 29.2. 一. 〇. .4. 51.8. 22.3. 600-660. 41.9. 38.1. 一3. .8. 64.1. 22.3. 660-720. 54.9. 51.2. 一3. .8. 77.2. 22.3. 720-780. 66.6. 62.9. 一3. .8. 88.9. 22.3. 780-840. 82.3. 78.4. 一3. .9. 104.4. 22.1. 840-960. 100.3. 95.5. 一4. .8. 124.0. 23.7. 960-1,080. 114.1. 109.7. 一4. .4. 138.2. 24.1. 1,080-1,200. 146.9. 147.2. 0.3. 175.7. 28.8. 1,200-1,320. 144.1. 144.4. 0.3. 172.9. 28.8. 1,320一. 291.6. 292.4. 0.8. 324.1. 32.6. .1 .1. 出所:総 務 省 『家 計 調 査 年 報 」 平 成22年 よ り作 成㈱。. 表8追. 加試案 による再分配効果 ジニ 係 数. 課 税 前 改 正 前 税収中立案 増 税 案. 0.3051 0.2913. 0.0454. 0.2924. 0,0416. 0.2881. 0。0558. 出所:総 務 省 『家 計 調 査 年 報 」 平 成22年 よ り作 成㈲。 ㈱. デ ー タ は 表4と. 同 じ。. ⑳. デ ー タ は 表5と. 同 じ。. 再分配係数. 一90(168)一. 0.0 一 〇. .1. べ.
(17) 給 与 所 得 課 税 の シ ミュ レー シ ョン分 析(鈴 木) て の 階 層 で 増 税 と な っ て い る 。 所 得 階 層 が 高 くな る に つ れ て 増 税 幅 が 大 き くな っ て い る 。 2つ の 改 革 案 に よ る 再 分 配 効 果 に つ い て 計 測 し た 結 果 が 表8で. あ る 。 表8に. よ る と,税. 収 中 立 案 は 改 正 前 と 比 較 して ジ ニ 係 数 は ほ と ん ど 変 化 が な い こ と が わ か る 。 再 分 配 係 数 は 改 正 前 が0.0454で. あ り,税. こ と が 反 映 さ れ て,再. 3.5.税. 収 中 立 が0.0416で. 分 配 係 数 は0.0558に. あ る 。 増 税 案 は 高 所 得 者 ほ ど増 税 額 が 大 き い. 上 昇 して い る 。. 収 額 の試 算. 本 稿 で は3つ の 税 制 改 革 案 を 提 供 して い る。 政 府 案 を 含 めて これ らの 改 革 案 の も とで 所 得 税 収 は どの く らい にな るの か につ いて 税 収 推 計 を お こな っ た。 本 稿 にお け る所 得 税 収 の 推 計 方 法 につ いて は,鈴 木(2012)が. 詳 細 に述 べ られ て い る。 鈴 木(2012)の. 齊 藤(1989),橋. どを 踏 襲 した もの で,制. 本 ・前 川(2001)な. 推 計 方 法 は,. 度 改 革 の 詳 細 を反 映 した 税. 収 を推 計 で き る点 で 優 れ て い る。 本 稿 で は所 得 税 を 源 泉 徴 収 分 と 申告 分 にわ けて それ ぞ れ を 推 計 して い る。 源 泉 徴 収 分 の 推 計 に は,国 税 庁r民 間 給 与 実 態 統 計 調 査 結 果(税 務 統 計 か ら見 た 民 間 給 与 の 実 態)』(以 降,「 民 間 給 与 の 実 態 』 とす る。)の 平 成21年 分 「第17表. 給 与 階 級 別 の 諸 控 除(合 計)」. 「年 末 調 整 を行 った1年 を通 じて勤 務 した給 与 所 得 者 」 「納 税 者 」 を 使 用 した ㈹。r民 間 給 与 の 実 態 』 の 「表17表 」 に は,給 与 階 級 別 の 給 与 所 得 者 数,給 与 額 と各 種 所 得 控 除 額 や そ の 利 用 者 数 が 掲 載 され て い る。 全 体 の 給 与 額 を 給 与 所 得 者 数 で 割 る こ とで,給 与 階 級 別 の1 人 あ た りの給 与 収 入 が計 算 され るω。 給 与 階 級 別 の 各 種 所 得 控 除額 を 階級 別 の給 与 所 得 者 数 で 割 る こ と で,給 与 階 級 別1人. あ た りの所 得 控 除額 が計 算 され る幽。 これ らの 階 級 別 の. 給 与 収 入,所 得 控 除 額 を 用 いれ ば,税 法 に も とづ き,階 級 別 の 所 得 税 額 を 求 め る こ とが で き る㈹。 階 級 別 の所 得 税 額 に,人 数 を掛 け合 わせ る と階級 別 の税 収 額 を 求 め る こ とが で き る。. ㈹. 税 務 統 計 を利 用 した税 収 推 計 に あた って は,『 民 間 給 与 の実 態 』 が,給 与 所 得 者 の うち 確 定 申 告 を お こな った もの を 含 ん で い な い こ と に注 意 す る必 要 が あ る。 ω 例 え ば,利 用 して い る デ ー タ に よ る と,給 与 階級200万 円以 下 に は,410万6,626人,給 与 額 が6 兆4,171億6,300万 円 と掲載 さ れ て い る の で,1人 あ た りの給 与 収 入 は156.3万 円 と計 算 され る。 働 税 務 統 計 に は,給 与 階級200万 円以 下 に 属 す る納 税 者 が どれ だ け 配 偶 者 控 除 を利 用 した か とい う対 象 配 偶 者 数 が掲 載 され て い る。 また 対 象 配 偶 者 数 は 「 一 般控除対象配偶者数」 「 老人 控除対 象 配 偶 者 数 」 に分 割 され,さ らに そ れ ぞ れ が 「 一 般 」 「障害 者」 「同 居 特 別 障 害 者 」 「 非 同居特別 配 偶 者 」 に分 割 され て い る。 これ らそ れ ぞ れ の 対 象 配 偶 者 数 を そ の 階級 人 数 で あ る410万6,626人 で 割 り,そ れ ぞ れ の 控 除 額(一 般 控 除 対 象 配 偶 者 か つ 一 般 は38万 円)を 乗 じ る こ とで,給 与 階 級 200万 円以 下 に属 す る 納税 者1人 あた りの各 種 配 偶 者 控 除 額 が 計 算 さ れ る。 こ の作 業 を 各 種 対 象 ⑬. 配 偶 者 数 に対 して 繰 り返 して,合 計 す る こ とで,給 与 階 級 毎 の 所 得 控 除 額 が 計 算 され る。 各 種 所 得 控 除 には,「 民 間 給 与 の 実 態 」 に掲 載 され て い る給 与 階 級 別 の 配 偶 者 控 除,扶 養 控 除, 本 人 控 除,社 会 保 険 料 控 除,小 規 模 企 業 共 済 等 掛 金 控 除,生 命 保 険 料 控 除(生 保 一 般 分,個 人 年/ -91(169)一.
(18) 第10巻. 第2号. 申告 分 の 推 計 に は,国 税 庁 『申告 所 得 税 標 本 調 査 結 果(税 務 統 計 か ら見 た 申告 所 得 税 の 実 態)』(以 下,「 申告 所 得 税 の実 態 』 をす る。)の 平 成21年 分 「第2表. 所 得 種 類 別 表(合. 計)」 の所 得 金 額 の 内訳 の 「合 計 ・事 業 所 得 者 に属 す る給 与 所 得 」 を利 用 した。 これ は給 与 所 得 分 の 推 計 に利 用 した。 本 稿 で は給 与 所 得 控 除 の 改 正 と税 率 表 の 改 正 の 組 み 合 わ せ を 考 え て い る。 給 与 所 得 分 の 推 計 に は,給 与 所 得 控 除 の 改 正 と税 率 表 の 改 正 の 双 方 が 影 響 を 受 け る こ と にな る。 一 方,給 与 所 得 以 外 は,給 与 所 得 控 除 の 改 正 の 影 響 は受 けず,税 率 表 の 改 正 の み を受 け る こ と にな る。 給 与 所 得 者 以 外 の 部 分 の 推 計 に は,合 計 所 得 者 の デ ー タ か ら給 与 所 得 者 の デー タを 取 り除 い た デー タを 使 用 した。 したが って,申 告 所 得 税 の 税 収 推 計 は,「 給 与 所 得 者 」 と 「給 与 所 得 以 外 」 に わ け て計 算 す る こ とに な る。 給 与 所 得 者 につ いて は,「 第2表 所 得 種 類 別 表(続)」 の 「所 得 金 額 の 内 訳(そ の2):給. に掲 載 され て い る 「給 与 所 得 者 」. 与 所 得 」 を 利 用 した。 と ころ が 給 与 所 得 の デ ー タだ け. で は,給 与 所 得 控 除 改 正 の 影 響 を み る こ とが で きな い た め に,本 稿 で は給 与 所 得 の デ ー タ か ら給 与 収 入 の デー タを 逆 算 した㈹。各 種 所 得 控 除 に つ い て は,「 第3表 所 得 控 除表 」 に掲 載 され て い る各 種 控 除 額 の 合 計 を 所 得 階 級 別 の 給 与 所 得 者 の 給 与 所 得 の 人 員 で 割 る こ とで も と め た。階級 別 の一 人 当 た りの給 与 収 入,所 得 控 除 を 計 算 す る こ とで,源 泉 分 と同様 に, 税 法 に したが い階 級 別 の 所 得 税 額 を 求 め,階 層 別 の 税 収 額 を 推 計 す る こ とで,申 告 分 の 所 得 税 収 の 推 計 が 可 能 にな る。 給 与 所 得 以 外 の 申 告 分 の 税 収 推 計 に は,「 申告 所 得 税 の 実 態 』 の 第1表 総 括 表 を 利 用 し た。 具 体 的 に は,「 第1表 総 括 表 」 に は,合 計所 得,事. 業 所 得 者,不. 動 産 所 得 者,給. 与所. 得 者,雑 所 得 者,他 の 区 分 に該 当 しな い所 得 者 の それ ぞ れ の 所 得 階 級 別 の 人 員 と課 税 所 得 が 掲 載 され て い る。 合 計 所 得 の 階 級 別 人 員 か ら給 与 所 得 の 階 級 別 人 員 を 差 し引 くこ とで, 給 与 所 得 以 外 の 階 級 別 人 数 と した。 同様 に合 計 所 得 の 階 級 別 課 税 所 得 か ら給 与 所 得 の 階 級 別 課 税 所 得 を差 し引 くこ とで,給 与 所 得 以 外 の 階 級 別 課 税 所 得 と した 。 給 与 所 得 以 外 の 階 級 別 所 得 を その 人 数 で 割 る こ と に よ って 給 与 所 得 以 外 の 所 得 階 級 別 の1人 得 を算 出 し,累 進 税 率 表 を 適 用 させ る こ と に よ って 階 級 別 の1人 る。1人. あた りの 課 税 所. あた りの 税 額 が 計 算 され. あ た りの 税 額 に階 級 別 の 人 数 を 掛 け た値 を 合 計 す れ ば,給 与 所 得 以 外 の 申告 分 の. 税 収 額 が 推 計 で き る。 \金 分),地 震 保 険 料 控 除,配 偶 者 特 別 控 除,住 宅 借 入 金 等 特 別 控 除 を 考 慮 して い る。 配 偶 者 控 除, 扶 養 控 除,本 人 控 除 につ い て は,対 象 人 数 が 掲 載 され て い るの で,対 象 人 数 を 階 級 別 の 給 与 所 得 者 数 で 割 った 値 に税 法 で 規 定 され て い る控 除 額 を 乗 じて,そ れ ぞ れ の 控 除 額 を 合 計 す る こ とで 求 め る こ とが で き る。社 会 保 険 料 控 除,小 規 模 企 業 共 済 等 掛 金 控 除,生 命 保 険 料 控 除(生 保 一 般 分, 個 人 年 金 分),地 震 保 険 料 控 除,配 偶 者 特 別 控 除,住 宅 借入 金 等 特 別 控 除 につ いて は,控 除 の 合 計 額 が 掲 載 され て い るの で,合 計 額 を 階 級 別 の 給 与 所 得 者 数 で 割 った 値 を 控 除 額 と して い る。 幽 計 算 の 詳 細 は,鈴 木(2012)を 参 照 され た い 。 -92(170)一.
(19) 給 与 所 得 課 税 の シ ミュ レー シ ョン分 析(鈴 木) 税 制 改 革 案 に よ る 増 収 額(単 位:億 円). 案 案案 立 中税 収 試 税増. 表9各. 9,206 1,805 33,883. 出所:筆 者 計 算 。. 以 上 の 方 法 に よ って 推 計 した結 果 は表9に. ま と め られ て い る。 まず 試 案 は給 与 所 得 控 除. の 引 き下 げ と最 高 税 率 適 用 区 分 を 大 幅 に引 き下 げ,累 進 税 率 表 を 簡 素 化 した こ と に よ って 9,206億 円 の 増 収 と な っ て い る。 税 収 中立 案 は1,805億 円 とい う ほぼ 中立 に近 い値 が え られ て い る。 増 税 案 は ほ ぼす べ て の 所 得 階 層 に よ る増 税,か つ 所 得 階 層 が 高 くな る につ れ て 増 税 と い う こ とか ら3兆3,883億 円 の 増 収 とな って い る。. 4.む. す. び. 2012年 度 税 制 改 正 で は,給 与 所 得 控 除 の 上 限 設 定 と最 高 税 率 の 新 た な 設 定 と い う増 税 が 組 み 込 まれ た。 給 与 所 得 控 除 の 上 限 設 定 は上 限 に直 面 す る家 計 に と って 実 効 限 界 税 率 の 上 昇 とな り,労 働 供 給 の 減 退 につ な が る可 能 性 が あ る。 最 高 税 率 の 新 た な 設 定 は課 税 所 得 区 分 が5,000万 円 超 が 対 象 とな って い るた め,高 所 得 者 の一 部 を狙 った増 税 で あ る。 この 制 度 改 正 で は格 差 是 正 効 果 は小 さ く,ま た増 収 効 果 も小 さ い。 これ まで 給 与 所 得 控 除 制 度 につ いて は簡 素 化 と水 準 の 引 き下 げが 求 め られ て きた 。 今 回 の 税 制 改 正 で は収 入1,800万 円超 に上 限が 設 定 され て い るだ けで,多 くの給 与 所 得 者 に と っ て は簡 素 化 に はな って いな い。 簡 素 化 と水 準 の 引 き下 げが 実 行 され る場 合,所 得 税 負 担 が 増 大 とな る場 合 は,累 進 税 率 表 を 改 正 す る こ と に よ って 対 応 して い く必 要 が あ る。 本 稿 に お け る税 収 中立 案 は ひ とつ の 参 考 とな る。 2013年 か ら東 日本 大 震 災 の 復 興 財 源 と して 所 得 税 増 税 が25年 間 な され る こ と にな った 。 これ は事 実 上 の 恒 久 増 税 で あ る。 本 稿 に お け る増 税 案 シ ミュ レー シ ョン に よ る と,給 与 所 得 控 除 制 度 と税 率 表 を 改 正 す る と い う抜 本 的 改 革 で 十 分 に財 源 の 捻 出 は可 能 で あ る。 改 革 に あ た って は,ま ず 税 収 中立 案 を 設 定 す る こ とか ら始 め る必 要 が あ る。 本 稿 で は給 与 所 得 者 を対 象 と した改 革 案 に終 始 したが,給 与 所 得 控 除 の 簡 素 化 と水 準 の 引 き下 げ に あ た って は,事 業 所 得 者 の 経 費 算 定 の 厳 格 化 を 同時 に実 行 され な けれ ば,給 与 所 得 者 の 不 満 が 増 大 す る こ と にな る。 残 され た課 題 と して は,本 稿 で の 改 革 案 は給 与 所 得 控 除 と税 率 表 に と ど ま って い る こ と 一93(171)一.
(20) 第10巻. 第2号. で あ る。 控 除 制 度 は この 他 に基 礎 控 除,配 偶 者 控 除,扶 養 控 除 等 さ ま ざ ま存 在 す る。 社 会 の ニ ー ズ と個 人 の 状 況 に合 わ せ た改 革 が で き る直 接 税 と して の 所 得 税 改 革 案 の メニ ュー は 数 多 く残 され て い る。 これ らの 追 加 的 な 改革 試 案 の検 討 に つ い て は,今 後 の課 題 と した い。. 参. 〔1〕 呉 善 充(2009)「 -22 . 〔2〕. 考. 文. 献. 税 制 の 再 分 配 効 果 に つ い て 」 『千 里 山 経 済 学 』 第42巻 第1号,pp.1. 木 下 和 夫 ・本 間 正 明 ・大 島 隆 夫(1986)「. 税 制 改 革 中 間 報 告 と諸 問 題 」 『税 経 通 信 』. 第41巻 第9号,pp.107-130. 〔3〕. 齊 藤 愼(1989)『. 〔4〕. 鈴 木 善 充(2010)「. 政 府 行 動 の 経 済 分 析 』 創 文 社. 税 制 改 革 に よ る 格 差 是 正 の 検 討 』KISERDiscussionPaper. Series,No.1 〔5〕 鈴 木 善 充(2012)『. 給 与 所 得 課 税 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン分 析 』APIRDiscussionPaper. Series,No.25. 〔6〕. 鈴 木 善 充 ・橋 本 恭 之(2012)「. 会 経 済 研 究 所r税. 給 与 所 得 控 除 の 改 正 と所 得 税 改 革 」 財 団 法 人 関 西 社. 財 政 改 革 に 向 け た 研 究 会 報 告 書(2011年. 政 策 の 評 価 一 』,第4章. 所 収,関. 〔7〕. 内 閣 府(2011)『. 〔8〕. 日 本 租 税 研 究 協 会 編(1950)『. 権以降後の税財政. 社 会 保 障 ・税 一 体 改 革 の 論 点 に 関 す る 研 究 報 告 書 』.. 〔9〕 橋 本 恭 之 ・呉 善 充(2008)「. シ ャ ウ プ 勧 告 の 綜 合 的 研 究 』 日本 租 税 研 究 協 会. 所 得 税 改 革 の 論 点 」 『国 際 税 制 研 究 』No.20,pp.35-44.. 〔10〕 橋 本 恭 之 ・前 川 聡 子(2001)「 財 政 改 革 』 第5章. 度)政. 西 社 会 経 済 研 究 所.. 所 収,有. 地 方 税 源 充 実 に 向 け て 」 本 間 正 明 ・齊 藤 愼 編. 斐 閣.. 〔11〕 藤 田 晴(1992)「. 所 得 税 の 基 礎 理 論 』 中 央 経 済 社.. 〔12〕 宮 島 洋(1986)『. 租 税 論 の 展 開 と 日本 の 税 制 』 日本 評 論 社.. 『地 方.
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