研 究 会 だ よ り
第
52回岡山実験動物研究会
平成18年12月8日 (金)午後1時30分か ら午 後5時25分 まで ピュア リテ ィまきびで 日本生物 工 学会会西 日本支部の協賛で開催 され た。 は じめに 会長 の倉林譲先生か ら開会 のあい さつがあ り、そ の後、特別講演 1に移 った。特別講演 1は 「実験動 物 と して の シ ョウジ ョウバ エ」と題 して百 田龍輔 先生 (岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 ・人体 構成学) が講演 された。 この司会 は浅 田伸彦先生 (岡 山理科大学理学部) が担 当 され た。講演終 了 後 に、休憩 を取 り、事務局か ら会務報告 があった。 ① 平成 17年度 の活動 は、第49回お よび第50回 研究会の2回研 究会 を開催 した。第49回研究 会 は岡山理科大学の浅 田伸彦先生のお世話で、 6月24日(金)13:30か ら17:10まで岡山理科 大学創 立 40周年記念館 (第25号館)8号ホー ル で開催 された。第 50回研究会 は12月2日 (金)の13:30か ら 日本生物工学会西 日本支 部の協賛 で、 ピュア リテ ィまきびで開催 した。 ② 平成 18度 の活動 としては、第51回お よび第 52回研究会 の2回研 究会 を開催 した。第51回 研究会 は ノー トル ダム清心女 子大学 の 中永征 太郎先生 ・高橋正借先生のお世話で ノー トル ダ ム清心女子大学 で開催 した。第52回研 究会 は 本 日(12月8日)、 ピュア リイテ ィまきびで開 催 してい る。研究会報 (第23号) の発行 を進 めている。会則第7条お よび第9条 に則 り平成 19年∼20年度の役 員の選任 を行 った。2期4 年 間 にわたって会長 を務 め られ た倉林譲先生 は理事 に復帰 され 、新会長 には三谷恵一先生 (当研究会理事 、環太平洋 大学 ・教授)が選任 された。新 たに理事 に大熊誠太郎先生 (川崎医 科大学薬理学教室 ・教授 ・中央研究部 ・医用生 物セ ンター長)、常務理事 に辻岳 人先生 (岡山 大学大学院 自然科学研 究科 ・動物遺伝解析学)、 監事 に高橋純夫先生 (岡山大学大学院 自然科学 研究科 ・生体制御科学 ・教授)が選任 され、長 年 にわたって役 員を務 めれた高橋正信 先生 (理 事)、河本泰生先生 (監事) は任期 を終 え られ た。 理事会 ・常務理事会 は各 々2回開催 した。 平成 18年5月11日∼ 13日、神戸国際会議場 で開催 され た第 53回 日本実験動物学会総会 (大会長 :倉林譲先生)の後援 と協力 を行 った。 ③ 平成 18年度の会計収支 中間報告 (1月1日∼ 12月 7日) 収入総額 は835,328円 (前年度繰越金465,321 円含む)、これ に対 して支 出総額 は339,514円 とな り、残高 は495,814円 となった。 ④ 平成19年度の活動計画 としては、2回 (第53 回、第54回)の研 究会 の開催 、第24号の会報 発行 、理事会 ・常務理事会の開催 、ホー ムペー ジの開設 、会報バ ックナ ンバー (第 1 号∼第 23号)の製本 を予定 してい る。 会務報告後、特別講演 2に移 った。特別講演 2 は 「黒色鶏や カ ラ スはなぜ 黒い ?∼下垂体 中葉 を 欠 く鳥類 に体色制御 の α-MSH調節 系 は存在す る か∼」 と越 して竹 内 栄先生 (岡山大学大学院 自 然科学研究科 ・理学部)が講演 された。 この司会 は 国枝哲夫 (岡山大学理学部) が担 当 した。記念講 演 は 「食物繊維 とエ ネル ギー値」と題 して、当研 究 会の監事 で平成19年3月に ご退官 され る中永征太 郎先生 (ノー トル ダム清心女子大学) が講演 され た。 この司会 は倉林 譲先生 (岡 山実験動物研究 会会長 ・岡山大学客員研究員) が担 当 された。 記念講演終 了後 、17:40か ら同会場 で懇親会 が 持たれ、講師の先生 を交 えて会員相互 の親 睦を深 め、和やかな うちに閉会 した。 特別講演.
1
実験動物 と しての シ ョウジ ョウバ エ 百田 龍輔 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 ・人体構成学 分子生物学 とさま ざまなデー タベー スのお かげ で、次 々に新 しい遺伝子が見つか り、その生物学 的な機 能 について コンピュー ター上で予測 し、そ れ を試 験管 内で検証す ることが効率的になった。 しか し、最 も重要 なのは、それ らの現象 を実験動 物 を用 いて実際に生体 内で検証す ることであるが、 それは依然 として、大変 な労力を伴 うものである。 ポス トゲ ノム時代 と呼ばれ、膨大 な数 の遺伝子 と 直面 してい る現在 、 このプ ロセ スを迅速 に進 める 必要がある。 さま ざまな実験動物 が存在す るが、 こ こで は私 が現在 扱 って い る シ ョウジ ョウバ ェ(
D
r
os
o
p
hil
amel
a
no
g
as
t
e
r
)
を取 り上げたい。 シ ョ ウジ ョウバェ は、約100年 にも及ぶ遺伝 学の歴史が あ り、その結果 、多種 の系統が維持 されてい る。 ここでは、シ ョウジ ョウバェの実験動物 としての 特徴 、 さまざまな解析 を中心 に話 を したい。また、 ショウジ ョウバエが疾患モデルとして用い られた例、 そして、私 自身が行 った研究について話 を した い と 思う 。 特別講演2 黒色鶏や カラスはなぜ黒 い? ∼下垂体 中葉 を欠 く鳥類 に体色制御の α-MStT調節 系は存在す るか∼ 竹 内 栄 岡山大学大学院自然科学研究科・理学部α-メラノサイト刺激ホルモン(α-MSH)は,プロホル モンであるプロオ ビオメラノコル チン(POMC)の限 定切断によってつくられる一群のペプチドホルモン に属する。脊椎動物 にお けるその主要な内分泌腺 は下垂体 中葉であるが,晴乳類では,視床 下部や 様 々な末梢組織でも産生され,内分泌ホルモンとし て,あるいは神経伝達物質,局所調節 因子として, 多彩な生体機能制御 に関与する。α-MSH の作用 は,cAMP経路を活性化するGタンパク共役型受 容体のメラノコルチン受容体 (MCR)により仲介され ている。MCR には,組織分布 と薬理学的性質を異 にする 5 種類のサブタイプ (MCIR∼MC5R)が存 在するが,α-MSH は MC2Rを除く4種の MCRに 対 して主要な生理 的アゴニストとして作 用 し,個体 や種の維持 に不可欠な基本 的生体機 能 (摂食 ,生 殖 ,免疫など)や,体色発現 ,外分泌などを制御 し ている。近年 ,これらの制御系において,α-MSH の 作 用を抑制する制御 因子 として,2種類 の局所性 MCR アンタゴニストが同定された。アグチシグナル タンパク(ASIP)とアグチ 関連タンパ ク(AGRP)であ る。前者 は主 に皮膚 に発現して体色制御 にはたら き,後者 は主 に視床 下部 に発現 して摂食行 動 ,坐 殖機能の制御 に関与している。 晴乳類の α-MSH 調節系に関する研究は近年め ざましい発展を遂 げ,その分子機構 に関する知 見 が 急 速 に蓄 積 され つ つ ある。 しか し,鳥 類 の α-MSH 調節 系に関してはほとんど分かっていない。 鳥類 は α-MSH の主要な内分泌腺である下垂体 中 葉をもたない"特異な"生物種である。鳥類 はその 進化の過程で,下垂体 中葉の消失とともに α-MSH 調節 系を失ってしまったのであろうか。演者 らはこ れまで,その存在が否定されてきた鳥類 α-MSH調 節 系 について,その全貌解 明に向けてニワトリを対 象とした分子生物学的解析 を世 界に先駆けて進 め てきた。その結果,鳥類の α-MSH は内分泌ホルモ ンとしての機能こそ失ったが,晴乳類の場合と同様 に局所調節 因子として多様な生体機能制御 に関与 している可能性 が示唆された。 本講演では,多様性 こそあれ,脊椎動物で共通 にみられる体色制御の α-MSH 調節系が下垂体 中 葉 を欠く鳥類 にも存在するか否か について,黒色 鶏やカラスを用いた研 究から得 られた知見を中心 に紹介する。 記念講演 食物繊維の機能 とエネルギー値 中永征太郎 ノー トル ダム清心女子大学 1. 食物繊維 の必要性 とその効果について、以 下の 4側 面か ら検討 した. 1)食餌のエネル ギー密度 ・食餌 の嵩 (Bulk)と摂食量 ・食餌 のエネル ギー密度 と排便 2)腸管吸収 とエネル ギー利用率 ・糠 の吸収 にお よぼす食物繊維 の添加効果 ・デ ンプ ンの消化 吸収 にお よぼすセル ロー ス添加効果 3)胃腸通過時間 と食物繊維量 ・精 白米食 の海藻添加 によるエ ネル ギー ・ 食物繊維比 と胃腸通過 時間な らびに糞便 水分含量 との関連性 4)食餌制限の効果 ・食餌 の消化性 な らび に窒素平衡 にお よぼ す食餌制 限の効果 ・食物繊維摂 取 と食餌制限の効果 食餌のエネルギー密度 (食餌の寓,飼料効率) E[仁王rgyDer「sitv
も
食物繊維の機能
♂
腸 管 吸収 両 esilrlalAdsoFP血 rl 胃腺通過時間 1「arlSEHirT憎♂
%
食餌制限 (値段 ・豊的制限) F弛S狛cted短emlg 図.食物繊維の機能 2.食物繊維 な らび に食餌 中の難 消化物 のエネル ギ ー含量 について検索 した. I)Fi
b
e
rmi
x
t
u
r
e 2
)
- ミセル ロー ス3
)
ペ ク チン 4)大麦 5)玄米 6)キ ャベ ツ ※※※※※※※※※※ ※※※※※※※※※※※※第 5
3回岡山実験動物研究会
平成19年6月22日 (金)午後 1時 30分か ら午 後 5時 30分まで岡山大学創 立五十周年記念館 ・大 会議室で開催 され た。 は じめに会長 の三谷恵一先 生か ら開会 のあい さつがあ り、その後 、一般講演 に移 った。一般講演(I)は 「ラ ッ トの学習 ・記憶のサ ー カデ ィア ン リズ ムに関す る検討」と題 して藤 高 浩輝 氏 ほか (岡 山大 学 大学院 医歯 薬学総合 研 究 科 ・薬効解析) が講演 され た。 この司会 は辻 岡克 彦先生 (川崎 医科大学 ・生理学) が担 当 され た。 一般講演(2)は 「マ ウス卵胞基底膜 のⅣ型 コラー ゲ ンα鎖構成」と題 して中野和代 さんほか (岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 ・人体構成学)が講演 された。 この司会 は高橋純夫先生 (岡山大学大学 院 自然科学研 究科 ・生態制御学) が担 当 され た。 一般講演(3)は「Limbinノックア ウ トマ ウスが呈す る骨形成異 常 に関す る解析 」と題 して稲本政 隆氏 ほか (岡山大学大学院 自然科学研究科 ・動物遺伝3
2
解 析学 、ア メ l)カ国立衛 生研 究所 、 リエー ジュ大 学 ・獣 医学) が講演 され た。 この司会 は内藤 一郎 先 生 (岡 山大学大学院 医歯薬 学総合研 究科 ・人体 構 成学) が担 当 された。 一般講演終 了後 に、休 憩 を取 り、事務 局 か ら会 務報告 が あった。 ① 平成 18年度 の活動 として、第 51回お よび第 52回研 究会 の 2回研 究会 を開催 した。第 51回 研 究会 は ノー トル ダ ム清 心女 子大学 の 中永征 太郎先生 ・高橋正佑先生 のお世話 で ノー トル ダ ム清心女子大学で開催 した。 第 52回研 究会 は 日本生物 工学会西 日本 支部 の協賛で 12月 8日 に ピュア リイテ ィまきびで開催 した。研 究会報 (第 23号、62頁) を 12月 に発行 し、翌年 1 月 に会 員-発送 した。 会則 第 7条お よび第 9 条 に則 り平成 19年 ∼20年度 の役員 の選任 を行 った。5月 11日∼ 13日、神 戸 国際会議場で開 催 され た第 53回 日本 実験動物学会総会 (大会 長 :倉林 譲先生)の後援 と協 力 を行 った。理 事会 は 6月 23日、12月 8日の 2回、常務理事 会 は 4月 25日、11月 1日の 2回開催 した。 ② 平成 18年度 の会計収 支決算報告 (1月 1日∼ 12月 31日) 収入総額 は 865,328円(前年度繰越 金 465,321 円含 む)、 これ に対 して支出総額 は 455,751円 とな り、残高 は 409,577円 となった。 ③ 平成 19年度 の活動 としては研 究会 を2回 (第 53回、第 54回)行 う計画 であ るが、第 53回 研 究会 は本 日 (6月 22 日)、岡 山大学創 立五十 周年記念館 で開催 してい る。 第 54回研 究会は 11月 30 日 (金)、 ピュア リテ ィまきび で開催 を予定 してい る。第 24号会報 は 11月 に発行 を 予定 してい る。理事会 ・常務理事会 はす でに 6 月 22日、5月 7日にそれぞれ 開催 してい るが、 後1回ずつ開催す る予 定であ る。ホー ムペー ジ の開設 、会報バ ックナ ンバー (第 1号∼第 23 号)の製 本、会 員の拡大 な どについて検討す る。 ④ 平成 19年度 の会計収支 中間報告 (1月 1日∼6 月20日) 収 入総額 は 76上630 円(前年度繰越金 409,577 円含 む)、 これ に対 して支 出総額 は 255,155円 とな り、残高 は 506,475円 となった。 会務報告後 、教育講演 に移 った。教育講演 は 「ナ ノテ ク ノロジー材料 の安全性 問題 を認識す るため に (調査報告)」 と題 して嶋村 三智也 氏 (㈱クラレ・ 倉敷研 究所 構 造解析 グル ープ)が講 演 され た。 こ の司会 は国枝 (岡 山大学大学院 自然科学研 究科 ・ 動物遺伝解析 学) が担 当 した。 引続 いて、特別講 演が行 われた。特別講演 は 「倫理 的動物 実験 の実践 に向けて∼動物 実験 関係者 の社会的責任 を明確 に、 具体 的 に∼」と題 して北 徳 先生 (倉敷芸術科学 大学生命科学科 非常勤講 師、元川 崎 医科 大学 医用 生物セ ンター)が講演 され た。この司会 は佐藤 (岡 山大学大学院 自然科学研 究科 ・家畜育種 学) が担 当 した。 特別講演 終 了後 、会場 を ピー チユ ニ オン (岡山大学生協) に移 して懇親会 が開催 され た。 一般講演 (1) ラ ッ トの学習 ・記憶の サー カデ ィア ン リズムに関す る検討 藤高浩輝 ・益岡尚由 ・三上 梓 ・亀井千晃 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 ・薬効解析 【目的】脳 内の コ リン神経 系 は学習 ・記憶 に重要 な働 きを果 た してい る と考 え られ てい る。 また、 コ リン神経 系の伝 達物質 、酵 素お よび受容体 はサ ーカデ ィア ン リズム と関連す る ことが報告 され て い る。 しか し、学習 ・記憶 のサーカデ ィア ン リズ ムについて検討 した報告 はほ とん ど見 られ ない。 そ こで、本研 究では明期(7:30-10:00)と暗期(19二30 -22:00)でのアセ チル コ リン関連化合 物 の効 果 を 検討 した。 また、サーカデ ィア ン リズムの 中枢 で あ る視交 叉上核 を破壊 す るこ とに よ り、 これ らの 化合物 の効果 がいかな る影響 を与 えるか否 か につ いて検討 した。 【方法 】l群 18匹の Wistar系雄性 ラ ッ トを用いた。 これ らの ラ ッ トは 12時間毎 の明暗サイ クル で飼 育 し、食餌 制 限 を行 い、水 は 自由に摂取 させ た。 空間記憶 学習 は8方 向放射状迷路 を用 い、記憶 障 害の指標 として、総エ ラー数 、参照記憶エ ラー数 、 作業記憶 エ ラー数 を用 いた。 サー カデ ィア ン リズ ムを消失 させ る 目的で両側視 交叉上核 を電気的 に 破 壊 した。用 いた薬物 は スコポ ラ ミンお よび ドネ ペ ジルであ り、ス コポ ラ ミンは試行 30分前 に腹腔 内投与 した。 ドネペ ジル は試行1時間前 に経 口投 与 し、ス コポ ラ ミン誘発 記憶障害 に対す る効 果 を 検討 した。 【結 果 ・考察 】記憶 障害 を起 こす ス コポ ラ ミンお よび記憶 障害 を改善す る ドネペ ジル は明期 のほ う が暗期 よ り効 果 が強力 で あった。 また、視交叉上 核 を破壊 してサー カデ ィア ン リズムを消失 させ た ラ ッ トに スコポ ラ ミンお よび ドネペ ジル を投与す る と明期 な らび に暗期 の間の有意差 は認 め られ な くなった。 以上 の成績 よ り、 スコポ ラ ミンの記憶 障害作 用 な らび に ドネペ ジル の記憶改善作用 の明 暗差 にお け る違 いは、サー カデ ィア ン リズム と密 接 に関連 してい ることが判 明 した。 一般講演 (2) マウス卵胞基底膜の Ⅳ型 コラーゲ ンα
卓構成 中野和代 ・内藤一郎 ・百 田龍輔 ・大塚愛二岡山大学大学院 ・医歯薬学総合研究科 ・ 人体構成学分野 【目的 】 基底膜 には多様 な細胞外マ トリック スが存在す る。ⅠⅤ型 コラー ゲ ンは基底膜 の骨組 み とな る成分 で 、基底膜 に力学的 な強 さを与 え、 また物質透過 性 に重要 と考 え られ てい る。IV型 コラー ゲンには 6種 の α鎖 が存在 す るが、 ウシ卵 巣基底 膜 には6 種類すべ ての α鎖 が存在 し、卵胞発 育 とともに構 成 α鎖 が減少す るこ とがわか ってい る。 今 回、卵胞発 育 に伴 う構成 α(IV)鎖 の変化 をマ ウス卵巣 を用いて観察 し、合 わせ て α3(TV)鎖遺伝 子 ノ ックア ウ トマ ウス (co14a3KO)、 α6(IV)鎖遺 伝 子 ノ ックア ウ トマ ウス (co14a6KO)での卵胞 基 底膜構 成 α(TV)鎖 を解析 した。 さらに、co]4a3KO と co14a6KOの卵巣 の形態 を野生型 と比較検討 し た。 【方法 ・材料 】 解析 には我 々が開発 した IV型 コラー ゲ ンα鎖 特異抗 体 を使用 した。 二次抗体 には FITC 標 識抗
r
a
t
lgG抗体 (サ ンタクルー ズ社) を使 用 し、蛍 光 抗体法 間接法 で免疫組織 学的解析 を行 った。また、 卵巣切片 のHe
ma
t
o
x
y
l
i
n -E osin染色 を行 い、卵胞 の 形態的 な変化 を検討 した。 【結果 ・考察 】 野生型マ ウスで は、α1(lV)鎖 とα2(ⅠⅤ)鎖 は原始 卵胞 か ら一次 、二次 、成 熟卵 胞 に至 るす べての段 階 に存在 した。一方 α3(IV)鎖 とα4(ⅠⅤ)鎖 は原始 卵 胞 と一次卵胞 には存在 したが、二次卵胞 以 降 は消 失 した。α5(IV)鎖 とα6(IV)鎖 は発育 とともに減 少 し、 しか し二次卵胞 の時期 まで残 存 した。 また、 閉鎖 卵胞 には α3(ⅠⅤ)鎖 ∼ α6(lV)鎖 が残 存 す る傾 向が認 め られ た。 この結 果 は、 これ までの ウシ卵 胞 で の結 果 とほ ぼ 同 じで あ っ た。 α4(ⅠⅤ)鎖 と α 3(ⅠⅤ)鎖 は他 のα鎖 に比 べ シ ステ イ ンが多 く存在 し、 これ が元 で よ り強 固な基 底膜 を形作 るこ とが 知 られ てい る。 この α鎖 の存在 が次 の ステ ップ-の発育 を抑制 してい る もの と考 え られ る。 co14a3KO マ ウス卵胞 で は原 始 卵胞 と一次 卵胞 鎖 での α3(IV)鎖 とα4(lV)鎖 が消失 した。co14a6KO マ ウス卵 胞 で はす べ ての 発 育 段 階 の α6(TV)鎖 は 消失 し、 しか し原始卵胞 と一次卵胞鎖 での α5(ⅠⅤ) 鎖 は存在 した。これ らの結果 か ら、卵胞 の rV型 コ ラー ゲ ンには糸球 体 基底膜 に存在 す る α3/α4/α5 分子 と皮膚や腸管基底膜 の α5/α5/α6分子 が存在 す る ことが明 らか となった。 以上 の 2種類 の ノ ックア ウ トマ ウスでの卵 巣 の 形 態 には特 に異 常 は認 め られ なか った。 また、黄 体 も形成 され てい る こ とか ら排 卵 も行 われ てお り また出産 も認 め られ てい る。 【結果 ・考察 】 以 上、マ ウス卵胞 で のα鎖構 成 を明 らか に し、 α3/α4/G5と α5/α5/α6の分子 を形成す る ことを示す こ とがで きた。 しか し、 これ らのα鎖 (分子種) が どの よ うに卵胞 発育 に寄与す るのか は不 明で あ る。 一般講演 (3)Li
mb
i
n
ノ ックア ウ トマ ウスが呈す る 骨形 成異 常 に関す る解析 稲本政隆1)・辻岳人 1)・神谷宣広2)・竹 田晴子 -)・ 三品裕 司2)・国枝哲夫 l) l)岡山大学大学院 自然科学研究科 ・ 2)ァ メ リカ国立衛生研究所 ・ j)リエージュ大学獣 医学部 【背景お よび 目的 】 我 々は これ まで に和牛 に見 られ る軟骨異形成性 矯 小 体躯症 の原 因遺伝 子 と して新規 の遺伝 子 で あ るLIMBIN (I.BN)を同定 した。最近 ではLBNは 軟骨低形成 と短肢症 を特徴 とす る ヒ トのEl
l
i
s
-
v
a
n
Cr
e
v
e
l
d
症 候 群 の原 因遺 伝 子 のひ とつ で あ る こ と が報 告 され てい る。 これ まで にLb
/
‖ま骨組織 にお いて発現す るこ とが確認 され てい るものの、他 の 遺伝 子 との相 同性 は全 くな く、その機 能 につ いて は解 明 され ていない。 本研 究 で は、Lb
n
ノックア ウ トマ ウス を用い て 、形 態学 的お よび組織 学的解 析 を行 うこ とでLb
n
の骨成 長 にお け る役割 につ い て解析 を行 うとと もに、El
l
i
s
-
v
a
nCr
e
v
e
l
d
症候群 の モデル動物 として有用 で あ るか を検討 した。 【方法 】Lb
n
ノ ックア ウ ト(KO)マ ウス について 、胎齢 18.5 日お よび 4週齢個 体 にお いて骨格標 本 を作製 し野 生型 マ ウス と比較 した。 1週齢 、3週齢 、5週齢の 腰骨成長板 にお いてH.
E
,染色 、von Kossa染色 、 TRAP染 色 を行 った。 また、Br
d
U
の取 り込み に よ る増殖 軟骨 細胞 の増殖活性 につ いて も解 析 を行 っ た。 【結果 】 生後直後 の KO マ ウスで は外 見上の差 が認 め ら れ ないが、 1週齢 以 降 か ら体長 ・体重共 に顕著 な 差 がみ とめ られ壊小 を呈 した。また、KO マ ウスで は四肢長 管骨 の成 長遅延 が顕著 で あ り、腔骨 成長 板 で は各軟骨細胞 層 は存在 す るものの、配列 の乱 れ 、肥大軟骨 細胞層 の減少 、増殖 軟骨細胞 の増殖 活性 の低 下が観 察 され た。さらに、KO マ ウスでは 著 しく海綿骨 が減 少 してお り、破 骨細胞 数 の増加 が観察 され た。 【考察】
Lb
n
は軟骨 細胞 の増 殖 ・分化お よび骨形成 の制 御 に関与 してい る こ とが考 え られ た。また、KO マ ウスの表現型 はEl
l
i
s
-
v
a
nCr
e
v
e
l
d
症候群 の患者 に 認 め られ る軟骨低 形 成や短 肢症 な どの症状 と類似 してお り、モデル動物 と して有用 で あ る こ とが示 唆 された。教 育講演 ナ ノテ ク ノ ロジー材 料 の安全 性 問題 を 認 識 す るため に (調 査 報 告 ) 嶋村三智也 ㈱ クラレ ・くらしき研究所 構造解析 グループ 本誌 11- 12頁 に教育講 演 要 旨 として掲載 され て い ます ので、 ご覧下 さい。 特 別 講演 倫 理 的動物 実験 の実 践 へ 向 けて -動物美顔 関係者 の社 会 的 責任 を 明確 に、具体 的 に∼ 北 徳 倉敷芸術科学大学生命動物科学科 非常勤講師 (元川崎 医科大学医用生物セ ンター) 1974年 よ り実験動物 施設 運 営 の現場 に 31年 間、 技術職 と して勤務後 、退職 して 3年 目にな ります。 74年 、医科 大学 にお け る動物 実験施設 に勤務 で き る こ とに喜 び と夢 を もって着 任 しま した が 、 そ こ に は青 二 才の甘 い喜 び も夢 も無 惨 に打 ち砕 い て し ま う現 実 が あ りま した。 そ の青 二 才 の夢 を打 ち砕 く現 実 に直面 した こ とに よって 、動物 実験施 設 の 運 営現 場 にお け る利 用者 と運 営者 の社 会 的 関係 に、 また 、利 用者 (動物 実験 を行 う研 究者 ) が施設 内 で示 す行 動 の倫 理 的 ・社 会 的意 味 に興 味 を惹 かれ る こ と とな りま した。 そ して 、 岡 山実験動 物研 究 会 第6回講 演会 で の 「動物 実験施設 運 営 と人間の 意識 のか かわ りにつ いて」 の報 告 以後 、動 物 実験 に関 わ る研 究 者や 技術者 の行 動 の社 会 的側 面や 動 物 実験 倫理 ・実験 動物福 祉 な どにつ いて 、現場 に い る者 と しての取 り組 み を して きま したO 私 は動物 が好 きだ か ら実験 動 物 の道 に入 りま し た。 です か ら実験動 物 を扱 うよ うにな って か らも 「愛 情 を持 って実験動 物 の世 話 をせ よ」 とい った 言葉 を素 直 に受 け入 れ る こ とが で きま した。 とこ ろが 医科 大学 の施設 に勤務 して しば らくす る と、 目の前 で動物 実験 を してい る研 究者 た ちが実験動 物 に対 して愛 情 を持 って行 動 して い る よ うには感 じ られ な くな り、だ んだ ん と 「ど うい う言 葉 で説 明 した ら、彼 らが実験動物 を命 あ る もの と して丁 寧 に扱 うよ うにな るの だ ろ うか?」 とい うこ とを 考 え るよ うにな りま した。 そ の延 長 が施 設 運 営 の 社会 的 問題 や倫 理 ・福祉 の 問題 で あったわ けです。 動物 実験倫理 ・実験動 物福祉 を 自分 な りに考 え、 また 90年 か ら 93年 にか けて JAVA 会 員の 人た ち か ら強烈 な批判 を浴 び なが ら考 え させ られ て 、結 論 と して到達 したの は、動物 実験 関係 者 が社 会的 信 頼 を得 るた めの具体 的 で実効 的 な制度 の構 築 と そ の運 用体 制 の整 備 が必要 で あ る とい うこ とで し た。 そ の制 度 とは① 動物 実験 を厳 密 な許 可制 とす る こ と、② 動物 実験 に関す る研 究者 の資格 制 度 を 設 け る こ と、③ 動物 実験 は、す べて事後 の公表 を 義務 づ け、す べ てデ ー タベ ー ス と して 自由に検 索 で き る よ うにす る こ と (研 究者 個 人 、研 究機 関並 び に国の義務 とす るこ と)、④ 実験動物 の福 祉 とそ こで働 く人 間 の福祉 を向上 、維持 で き る人事 態 勢 の確 保 を研 究機 関 に義 務 づ け る こ と、⑤ 実験動 物 の福祉 とそ こで働 く人 間の福 祉 を向上 、維持 で き る設 備整 備 を研 究機 関 に義務 づ け る こ と、⑥ 国 に 実験動物 福祉 ・動物 実験倫 理審 議会 を常設 す る こ と、審議 委員 に は種 々の立場 の民 間人 も含 め る こ と、とい う6項 目で した。この6項 目につ いて は、 現場 を離 れ た現 在 で も、是非 必要 と考 えてい ます。 昨年 の改正動 愛 法 の施 行 に よって 、い くつ かの項 目は現 実 の もの とな った よ うに感 じます が 、 しか し、現場 に身 を置 い て現場 の実情 を見続 けて きた 者 と して は、 一般 社 会 か らの信頼 を得 る とい う意 味 にお い て、 まだ まだ不 十 分 との思 い を禁 じ得 ま せ ん。 「一般 社会 か らの信 頼 を得 る」 ・-- そ こで大変 重 要 なの は 「社 会 全体 を 見 る 目」 と 「自己認 識 」 で あ ろ うと思 い ます。 自分 は何 者 で 、何 を感 じ、 どの よ うな社 会 の 中で、 どの よ うに行動 しよ うと してい るの か。 それ を よ く見つ め、 見極 めた 上で 「信頼 」 とは な にか、
「
信頼 」を得 るには ど うした らい い か を考 え続 けな けれ ばな らない のだ ろ うと 思 い ます。 動物 実験倫 理 ・実験動物福 祉 を考 え る とい うこ とは、 自分 自身 の 「実感」の上 に立 って 「信 頼 」 とは何 か を考 え る こ とに尽 き る。 私 は今 そ ん なふ うに思 ってお ります。 現在整備 され つ つ あ る、 あ るい は整備 を終 えた 改正動 愛 法 関連 の指針 ・委員 会制度 を具体 的 に運 す るに 当た って 、一般 社 会 か らの信 頼 を得 るた め に何 が必 要 なの か につ い て、制度 も運 用体制 もま だ まだ不十 分 との認 識 を持 つ者 と してい くつ か の 提 言 を させ て い ただ き ます。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※第
5
4
回岡山実験動物研究会
平成 19年 11月30日 (金) 午後1時 30分 か ら 午後 5時 30分 まで ピュア リテ ィま きび で 日本生物 工学会 西 日本 支部 の協 賛 で開催 され た。 は じめ に 会 長 の三 谷 恵一 か ら開会 の あい さつ が あ り、そ の 後 、特別講 演 に移 った。特別講演1は 「コオ ロギ を 実 験 動 物 と した 生 物 時 計 の 解 析 :時 計 遺 伝 子perZ'odの リズム発 現機構 にお け る機 能解 析 」と題 して富岡憲治先生 (岡山大学大学院 自然科学研究 科バ イオサイエ ンス専攻 ・教授) が講演 され た。 この司会 は浅 田伸彦 先生 (岡 山理科大学理学部) が担 当 された。講演終 了後 、休憩 を取 った後 に、 事務局か ら会務報告があった。 ① 平成 18年度 の活動 は、第 51回お よび第 52回 研究会 を開催 した。 第 51回研究会 は 6月 22 日に ノー トル ダム清 心 女子大学 の 中永征太郎 先生 ・高橋正信 先生のお世話 で ノー トル ダム清 心女子大学で開催 した。第 52回研 究会 は 日本 生物工学会西 日本支部 の協賛 で 12月8日、 ピ ュア リイテ ィまきびで開催 した。研究会報 (第 23号)を 12月 に発行 し、今年 1月 に会員-発 送 した。会則第 7条お よび第 9条に則 り平成 19年∼20年度 の役員 の選任 を行 った。理事会 は 6月 23日、12月 8日の 2回、常務理事会 は 4月 25日、11月1日の2回開催 した。5月11 日∼13日、神戸匡=架会議場で開催 され た第 53 回 日本実験動物 学会総会 (大会長 :倉林 譲先 生)の後援 と協 力を行 った。 ② 平成 19年度の活動 としては、第 53回、第 54 回の研究会 を開催 した。 第 53回研究会 は 6月 22日 (金) 岡 山大学創立五十周年記念館 で開 催 した。第 54回研究会 は 日本生物工学会西 日 本支部の協賛で本 日 (11月 30日) ピュア リテ ィまきび で開催 してい る。第 24号の会報 の編 集 ・発行 作業 を進 めていて、12 月発行 を予定 してい る。理事会 は6月 22 日、11月 30 日の 研究会 開催 日に、常務理事会 は 5月 9 日、10 月 31日に開催 した。 ホー ムペー ジを開設す る ことがで きた。会報バ ックナ ンバー (第 1号∼ 第 24号)の製本 については来年度予定 してい る。 ③ 平成 19年度の会計収 支 中間報告 (1月 1日∼ 11月28日) 収入総額 は 808,630円(前年度繰越金 409,577 円含む)、 これ に対 して支出総額 は 353,675円 とな り、残高は 454,955円 となった。 ④ 平成 20年度の活動計画としては、2回の研究会 (第 55回、第 56回)を予定している。第 55回研 究会 は会長の三谷恵一先生のお世話で 6月 27 日(金)を第 1候補 日として環 太平洋大学で開催 を 予定 している。企画 としてはアユモ ドキ(淡 水魚 ) に関するシンポジウムあるいは講演 会などを考え ている。第 56回研究会は11月 21日(金)公 共施 設 (ピュアリティまきび)で特別 講 演 ・記 念講 演(3 題)を企 画・予定している。第 25号研究会報の編 集 ・発行 (10月)、役員の選任 (任期 は平成 21-22年度)、ホームペ ージの充実、会報バックナン バーの製本 、会員の拡大などを計画しているo ⑤ 開設 した研 究会 のホームペ ージについて理事 の 嶋村三智也氏から紹介 があった。 会務報告後 、特別講演 2に移 った。特別講演2 は 「性決定機構 ・性判別の研究か ら出発 して-マ ウ ス、 トゲネ ズ ミ、 ウシ等 に関す る トピックス-」 と題 して須藤 鎮世先生 (就実大学 ・薬学部 遺伝 子解析学教授 、㈱iGENE代表取締役 社長) が講演 され た。 この司会 は国枝 (岡 山大学大学院 自然科 学研 究科 ・動物遺伝解析 学)が担 当 した。その後、 特別講演3が行 われ 、「糖尿病性壊症 に対す るマ ゴ ッ トセ ラ ピーの可能性 」と題 して三井秀也先生 (岡 山大学大学院 医歯薬学総合研 究科 ・心臓 血管外科 講 師)が講演 され た。この司会 は内藤一郎先生 (岡 山大学大学院 医歯薬総合研 究科 ・人体構 成学) が 担 当 され た。講演終 了後 、17:40か ら同会場 で懇親 会 が持 たれ た。事務局担 当の国枝 が司会 を務 め、 会長 の三谷恵一 先生 の挨拶 、監事 の 中永征太郎先 生 の乾杯 の音頭 で会 が始 ま り、講 師の先生 を交 え て会員相 互の親 睦 を深 め、和や かな うちに閉会 し た。 特別講演
1
コオ ロギ を実験動物 と した生物 時計の解析 :時計 遺伝子pe
r/
'
o
d
の リズム発現機構 における 機 能解析 富岡 憲治 岡山大学大学院 自然科学研究科 バイオサイエ ンス専攻 コオ ロギは直麺 目に属す る不完全変態昆 虫で あ り、一般 に比較 的大型 で しか も累代飼育 が容易 で あ り、歩行や 虫鳴活動 に明瞭 な概 日リズムを示す こ とや 、温帯性 の コオ ロギ類 では光周性 を示す こ とか ら、頻繁 に神経行動学や 時間生物学 の実験動 物 として されてい る。 行動 リズムの研 究 では、中枢神経 系の構造 が比 較的単純 で あ り、個 々のニ ュー ロンがその形態 に よ り同定可能 で あ る こと、外科手術等 が容易 に行 えるこ とな どの利 点 を生 か して、特 に時計 の神経 機構 の解析 が行 われ て きた。 概 日時計 は複 眼 と脳 との間に位 置す る一対 の視葉 にあ り、歩行活動や 虫鳴活動 、複 眼の感度 、視 覚性 介在 ニ ュー ロンの 感度 な どの概 日リズムを制御 してい る。視葉 は体 外培養下で もその電気活動 に主観 的夜高 く、昼低 い リズムを表す ので概 日時計の座 に間違 いない。 また、視葉外 に も弱い 概 日振動体 がある ことが、 視菓切除後 の光同調 実験 か ら示唆 されてい る。 光 サイ クル- 同調す るた めの光受容器 は、 フタホシ コオ ロギで は複 眼のみ で あ るが、マ ダラスズや ニ ュー ジー ラン ドウェタでは複 眼以外 にも光受容器 の存在 が示唆 され てい る。左右一対の視菓時計 は、相互 に時刻情報 と光情報 を交換す ることで同調 し てお り、 この同調系の神経機構 や時間生物学的意 義 な どが詳細 に研究 されてい る。 最近 、 フ タホシコオ ロギでは、分子生物学的手 法 が開発 されつつ ある。 既 に多数 の遺伝子 が クロ ー ニ ング され てお り、それ らの遺伝 子 の 2本鎖 RNAを用いたRNA干渉法(RNA interference)によ
り遺伝子発現 の ノックダ ウンが可能 になってい る。 さらに、piggyBacな どの トランスポゾンを用いた 形質転換体 の作成 も試 み られ てお り、近 い将来、 生物 時計や光周性 の研 究 に応用 できる可能性 があ る。 この研究会 では、最近 われ われ が試 みてい る RNAiに よ る 、 フ タ ホ シ コ オ ロ ギ(Gryllus bimaculatus)の時計遺伝子period
(
p
er)の機能解析 を紹介 したい。 幼 虫頭部での解析 によ り、permRNAの発現量 は、夜 の始 めに ピー クを もつ リズムを示 し、 この リズムは恒暗 ・恒温条件下で も継続す るこ とが明 らか とな り、perの時計機構-の関与が示唆 された。 そ こで、perdsRNAを用いたRNAiに よ り、period 遺伝子の役割 を検討 した.幼 虫-のperdsRNAの 投与 によ り、permRNAレベル は対照群の250/.に まで減少 し、かつ ほ とん どの個体 で活動 リズムが 消失す る ことがわかった。 これ らの結果 は コオ ロ ギで もperが リズムの発現 に重要な役割 を担 うこ とを示唆 してい る。さらに、終令幼 虫にperdsRNA を授与 し、羽化後 の活動 リズムを明暗お よび恒暗 条件 下で計測 した場合 も、恒 暗条件 下で活動 リズ ム も、時計部位 である視葉 の遠 心性神経活動 も無 周期 とな ることがわかった。 これ らの結 果か ら、 コオ ロギではperiodが時計機構 に必須 であること が示唆 された。また同時 に、RNAiが時計遺伝子 の 機能解析 に極 めて有効 な手段 であ るこ とが確認 さ れた。 特別講演2
性決定機構 ・性判別の研究か ら出発 して -マ ウス、 トゲネズ ミ、 ウシ等 に関す る トピックス-須藤 鎮世 就実大学 薬学部 遺伝子解析学 1.ウシ陸の性判別 pcRを利用 した ウシ肱 の性判別 に成功 し、キ ッ トを市販 した。Y
染色体特異的繰返 し配列 を クロ ーニ ング した ときの策略 をまず紹介す る。 2.H-Y抗原 、血清学的雄抗原(SDM)、雄特異発現抗 原(MEA) 非浸襲的な陸 の性判別 を 目指 して、HY抗体 の 利用 を考 えた。 ポ リクローナル HY抗体で得 られ たMea1(雄特異発現抗原 1遺伝子)は精子形成過程 の後期 で発現す る。モ ノクローナルHY抗体で得 られたMea2(雄特異発現抗原2遺伝子)は精母細胞 や精子細胞 の ゴル ジ体 で発現す る。 アクロソー ム を介 した物質輸送 に関与 してい る ら しい。 自己免 疫疾sLEの患者 の抗体で得 られた遺伝子 はMEA2 の断片であった。この他、HY抗体 に反応す る物質 は精子の表面、8細胞期以降の雄胚表面、MIS(抗 ミュー ラー管 ホルモ ン)があげ られ る。細胞性免疫 系で検 出 され るHY抗原 はY染色体上の遺伝子産 物 (おそ らく精子形成 関連) 由来のペ プチ ドで あ り 、HY 抗 体 と反 応 す る SDM (Serologically detectablemaleantigen)とは別 もの らしい。SDMは 常染色体 由来の精巣形成 、精子形成 に関わ る遺伝 子産物 らしい。 自己免疫疾患 は女性 に圧倒 的 に多 い。SDMが通常発現 してはな らない雌 で発現す る と、 自己免疫疾患の引き金 を引 く可能性 があ る。 X染色体 を2本 もち遺伝 子量の補正 を行 わねばな らず 、不必要 な精巣形成、精子形成 な どの遺伝子 を背負 わ され 、雌 の負担 は受精時か ら大 きい。遺 伝子制御 の複雑 さが、雌 が雄 よ り少 な く産 まれ る 機構 の一 因 と考 えてい る。 3.Y染色体を欠失 した トゲネズ ミとY染色体遺伝 子の塾居仮説 ウシの精巣誘導遺伝子SRYをクローニング し、 マ ッピン グした ところY染色体長腕 の末端 に位置 していた。 ヤギ、 ヒツジで も同 じであった。 アマ ミ トゲネ ズ(25, Ⅹ)お よび トク ノシマ トゲネ ズ ミ (45,X)では核型が雌雄 同型で、Y染色体が欠失 し、 SRYは検 出できなかった.両者 とも他 の晴乳類 の Y上の遺伝子ZFYやTLSPYはX染色体 の末端 に転 座 していた。卵子か らXを受 け継 いだ随 は雌 に、 精子か らXを受 け継 いだ腔 は雄 になるのではない か、 と考 えてい る。概 して Y染色体 は矯小化 し、 遺伝子 は両端 に移動す る傾 向にある。Y染色体 は や がて トゲネ ズ ミの よ うに、消失す るのであろ う。 私はこれ をY染色体遺伝子の塾居仮説 とよんでい る。 4.siRNAを利用 した ウシプ リオン遺伝子の鎮静化 ウシプ リオ ン遺伝子 に対す るsiRNA発現 プラス ミ ドベ クター を構築 し、EGFPを指標 として、ウシ 肺細胞 に安定的 に導入 した。核移植 によ り旺盤胞 を作 り、肱移植 に よ り仔牛 を得 た。 これ は緑色蛍 光を発す る。現在 、鎮静化の状況 を解析 中である。 特別講演3
糖尿病性壊症 に対す るマ ゴッ トセ ラ ピーの可能性 三井 秀也 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 心臓血管外科 講師 マ ゴッ トセ ラ ピー とは、クロバェ科のl種の ヒ ロズキンバエ(Phaenicia(Luciria)sericate)の ウジ虫(マ ゴ ッ ト) を無菌化 し、 これ を足 に生 じた皮膚 潰癌部 に置 き、治癒 を促す治療法です。 昨年 か ら国内で無菌マ ゴ ッ トが供給 され るよ う になった ことか ら、国内のい くつ かの施設 でマ ゴ ッ トセ ラ ピー開始 され ま した。 それ に よる と特 に 糖尿病性 の壊症 に対 して良好 な結 果 が報告 され て い ます。 この治療 の歴史 は、昔 か らマ ゴ ッ トが湧いた傷 が よく治癒す る事実 が伝承 され て きた こ とが端緒 となっています。 また、幾多の戦争 に参戦 した軍 医た ちはマ ゴッ トが湧 いた傷 が、驚 くべ き速 さで 治癒す るのを 目撃 してお りま した。現在 この治療 はイギ リスや ア メ リカな どの先進 国の多数 の医療 機 関において、糖尿病性難 治性 の足潰癌 に対 して 広 く行 われています。 なぜ効 くの については、まだ に よ くわかってい ませ ん。 しか し①マ ゴ ッ トが分泌す る多量 の消化 液 に よ り、壊死組織 が液状化 され 、吸引消化 され る。 ② マ ゴ ッ トが分泌す るア ンモ ニア化合物 、炭 酸 カル シ ウム等 の化学物質 に よ り、創 部 がアル カ リ性 に保 たれ 、菌 の繁殖 が防止 され 、感染 が制御 され る。③ マ ゴッ トが分泌す る蛋 白分解酵 素 が細 菌 な どの増殖 を妨 げ る。④創 の肉芽 の増勢 を促進 す る。 な どの点 が近年報告 され ています。将来 、 マ ゴ ッ トが分泌す る物質 の薬理作用 、抗 菌作用の 研究 か ら、新薬 が発 見 され る可能性 があ ります。 マ ゴ ッ トセ ラピー の利点 は、① 麻酔 が不要 、② 禁忌症例 がない、③安価 、④ その他 の治療 と併用 が可能 であ るな どな どです。 また、マ ゴ ッ トは、 人間の手 の届 きに くい創 の深部 にまで夜昼 な く休 みな く治療 を続 けて くれ ます。 一方マ ゴ ッ トセ ラピーの短所 、危 険性 としては、 ①周囲に軽 い皮膚炎 を起 こす可能性 があ る。②マ ゴ ッ トが動 き回 る為、モ ゾモ ゾ感等 の違和感 を生 じる。 ③ハエやマ ゴ ッ トに対す るア レル ギー体質 を持 った患者 さんには使 えない な どです。 これ ら の場合 には速や かに中止 し、従来治療 に変更す る 必要があ ります。 今後マ ゴ ッ トセ ラ ピー は広 く普及す るもの と考 え られ ます が、国内臨床 治験例 を積 み重 ね、その 結 果 を詳細 に検討 し、ひ ろ く啓蒙 の必要 があ りま す。 世界では 30秒 に 1本の足が、糖尿病 関連 で切断 され てい る ことが報告 され ています が、足切断患 者 を 一人で も少 な くす るべ く、マ ゴ ッ トセ ラ ピー の更 な る普及が望 まれ る ところです。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※