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Academic year: 2021

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(1)

載荷時間が圧密特性に及ぼす影響

村上幸利

([1召和50年7月25日受理)

The Influence of Loading Duration on

Consolidation Characteristics

YukitoshiMURAKAMI

      Abstract  Astudy is made of the consolidation characteristics of a clay, as they are affected by the duration of previous pressure.  It is shown theoretically that the characteristics are considerably influenced by the loading duration. The experimental results also indicate the same tendency.  In conclusion, it is pointed out that the re・examination of the increment duration is nece_ ssary for the determination of the coe伍cient of consolidation from consolidation tests.

1.緒

言  一次元圧密試験は,Terzaghiの圧密理論と結びつ けられながら,土の体積圧縮係数mvや圧密係数C.を 求める際に広く使用されている。このうち,最も一般 的な試験法の標準圧密試験では,周知のとおり,供試 体の大きさ,荷重増分比,載荷時間等に規定が施けら れている。しかし,この規定は,主として工学的利用 の観点から定められたものであって,Terzaghi理論 との厳密な対応性については,なんらはっきりした根 拠づけがなされていないのが現状である。こうしたこ とから,この試験法の再検討の意味も含めて,これら の要素と圧密特性との関連性を調べる研究が,最近, 盛んに行われるようになってきている1)2)3)。  本論文は,こういった要素のうちの載荷時間を取り 挙げ,それが圧密現象に及ぼす物理的効果を考察しな がら,圧密特性に与える影響を理論および実験的に調 べている。 2. 載荷時間と二次圧密  粘土に荷重を働かせると,圧密をおこす。この圧密 は,一般に,Terzaghi理論で説明が可能であるとさ れる部分の一次圧密と,粘土のクリープにより生じる 部分の二次圧密とに分けられる。後者の圧密過程にお いては,粘土粒子構造の再配列,およびthixotropyが おこっており,結局,載荷時間が長いほど,これらの 現象は進行し,粒子構造は安定化する。土粒子接触点 について,このことを図式的に示すと図一1のようにな る4)。すなわち,その点でのせん断応力τとせん断ひ ずみ速度7との関係曲線が,時間の経過とともに矢印 の方向へ移動していくことになる。それゆえ,一定荷 重載荷状態が充分に長く続いた粘土に新しい荷重増分 ∠1Pを作用させた場合,粘土内にはその増分に見合っ ただけの内部応力が発生するが,粘土粒子骨格にせん 断変形(すなわち圧密)をおこさせるには,dP>κ ATy(の(κ:定数)でなければならなく,前荷重の載荷 ナ    0      τ      Aτy(り 図一1土粒子接触点でのせん断応力τとせん断ひず   み速度ナの関係

(2)

時間の増加とともにAPの下限が引上げられる。また, このAPがかなり大きい場合であっても,内部応力の 一部は,せん断ひずみ速度ナが生じない接触点で,こ のせん断応力に関連する応力として受けもたれるの で,荷重増分4クが作用した瞬間において発生する過 剰水圧量Aσt.。は,dPに等しくなく,しかも,前荷重 載荷時間の増加とともに,このdat.。値は減少ぎみに なる。これらの現象については,すでに実験事実とし て,いくつかの論文中で報告されている2}5)。  以上に述べられたことは,Terzaghi 6)が提案した film bondの概念をもちこんで説明するとわかりやす い。彼は,このfilm bondをsolid bondと対応させ て,粘土粒子をとりまく吸着水の接触のbondとして rheol・gyから論じている。いずれにしろ,二次圧密の 進行とともに,このfilm bondが強化され,この時, 新しい荷重増分によって発生する内部応力増分の一部 が,このEondで受けもたされるというのである。こ の応力をPvで表すと,荷重増分dPに対して,   ∠ク=AP’+カ。+∠1σ の関係が得られる4)。ただし,ap「はsolid bondで受け もたされる応力増分,dσは過剰間隙水圧増分である。 荷重増分作用瞬間時の非排水状態において,4カがか なり大きい場合には,lip’= Oと考えられるので,   4ρ=ρ。+∠1σ σ=0) となる。  さて,過剰水圧の発生により粘土からの排水がおこ ると,粘土粒子接触点で受けもたされるべきせん断応 力が増す。このため,その点でせん断ひずみが生じ始 め,全体的には,粘土の変形がおこって,圧密が進行 していくことになる。この過程で,前荷重段階での二 次圧密中に強化されたfilm bondは崩され,それまで はそのbondで受けもたされていた応力Pvが4P’また はdaの応力に変換されていくと考えられる。  もちろん,一方では,荷重増分比dP/Pがあまりに も小さい場合には,このbondの崩れはおこらず, Terzaghiの圧密理論からは説明のなしえないような 圧密特性が生じる2}7)。  本研究は,理論解析を,従来の一次圧密を主体とし た圧密理論のもとに進めていこうとするものであるこ とから,一次圧密が終了した段階ではP,,=0となるこ とを前提として,荷重増分比が充分に大きいもの,す なわち,標準圧密試験で用いられている1程度を基準 に話をすすめていく。さらに,本研究の目的が,「新荷 重段階での一次圧密特性が,前荷重段階での二次圧密 によって,いかに影響を受けるか」を調べていこうと するものであるゆえ,film bondによる応力P。につい てはここでは直接には取扱わないこととして,本問題 の基礎理論中での全応力増分量を有効応力増分AP’と 過剰水圧増分∠σの和でもって定義する。それゆえに, 真の意味での全応力APは圧密中,不変であるが,こ こで考える全応力は時間の関数で特に,t=0では(Pv 十Aa)に,また, t→。。ではdPノに等しい4)o 3. 理論および解析 粘土が完全飽和しているならぽ,従来のBiot 8)に よって提案された圧密理論にならって 6v=C句ク2εv G(ク萄一、寺〆・・adの一・・ad(d・) 乎ク・一ク・(∠・) /(・) なる基礎式を得る。ただし,ε。は土の体積ひずみ(圧縮   づ正),μは変位ベクトル,rw, le, C。はそれぞれ水の単 位体積重量,透水係数,圧密係数である。 またG,ノ は粘土粒子骨格についての弾性定数を表す。  この基礎式(1)から,一次元荷重gが有限深さをもつ 粘土層に作用した場合を考え,粘土内部に生じる有効 応力をdz=dP’,過剰水圧をσ=Aa,それらの和を全応 力としてσ、で表すと,その圧密解は次のようになる。   εv/9=一(k/Cvγw)〔Σふcos(NZ)・exp       (一∂2り+δ〕  σ/q=Σ〔ANcos(NZ)十EN〕・exp   ハア   (一∂2の W・/q−(〃/Cv・・)昂』・i・(NZ)・e・p    (−ZE2t)十z〃㍉t.。/q σノq=ΣENexp(一∼ξ2t)十(σ2)t.。。/q

   N

(2)  ここに♂=C。1V2,ω8は鉛直変位,またwSt.。と(σz)t−.. は,おのおのt→)。でのwS,σ,を示している。さらに, 定数こは境界条件から定まるもので,いま対象として いる境界条件に対しては(−1)に等しい。N, E., AN は排水条件,初期条件から決まる固有値とそれを含む 定数である。  さて,式(2)より,   ∂ω・/∂Z=(一ε∂,∂=C。72σ+∂、   (3) の関係が得られる。前者は,水平方向のひずみ,変位 が零であることを示しており,後者は,Gibson他9)が 指摘したBiot理論とTerzaghi理論との関係を表して いる。特に,前者の妥当性は,最近のRoscoe他1°)の 実験的検証で明白にされている。  いま,両端排水の粘土層を対象とすると,o=・O (Z= −H,H)より,(図一2参照)   A」Ncos(NH)十E」v=0       (4) 初期条件εv=0(t=0,ZキH)から,

(3)

(t ,, .、. テ ・白 .、、 ・ z 2〃 一 一 0 一 粘土 一 、‘. ・■  ・ 砂 図一2 有限深さ粘土層の境界条件   Σ人cos(NZ)十C=Σ塩cos(NZ)_1==O (5)   N       」V さて,ここで,仮にTerzaghiが仮定したように, o= q(t=0,ZキH)とすると   Σ{ANcos(Nl)+EN}=1      (6) となる。よって,式(5),(6)より,   EN=0 を得て,∂σノ∂t=0が成立する。それゆえ,この場 合には,式(2)はTerzaghi解に帰着してしまう。  2節で述べたように,前荷重による一次圧密が終了 した時点で新しい荷重増分を与えた場合の圧密解とし ては,このTerzaghi解が有効になるだろうが,二次 圧密がかなり進行した粘土に対しては,前述した物理 的背景や実験結果を考えるならぽ,必ずしも初期条件 として,σ=q(t=0,ZキH)を用いることはできない。 すなわち,film bondが安定化している場合には, Pv なる応力で荷重qの一部が受けもたされる結果,σキg (t=0,ZキH)となりうるからである。  いま,式⑥の条件の代わりに,σ=ξq(0<ξ≦1,t= O,ZキH)とすると,   Σ{ANcos(」VZ)十E、v}=ξ      (6a)

  N

を得る。この条件下でも,式(4),(5)は,そのまま適用 されうるので,   u/q=Σ[AN{cos(NZ)−cos(NH)}exp(−bl2t)〕      ん「 となり,任意のN,A.に対して,排水条件は常に満 たされることになる。この場合においては,y’・¥O.5 ならば,∂σz/Ot・NeOとなる。式(4),(5),(6 a)より, A. および」Vの決定を行うと, e A.一 _(㌻1・π一li)   N=(2ξ一1)ZgZtL_      2ξH を得る。ここに,nは自然数,0.5<ξ≦1とする。  以上の結果より,過剰水圧σは,   a/q=Σ〔AN{cos(NZ)−cos(NH)}exp(一亘2Z)〕

    N

であるから,圧密度σ,(のは,その定義により,   U,(t) =   ΣAN{sin(∧IH)/NH−cos(」VH)}{1−exp(一α2の}      ΣA亙{sin(A(H)/(NH)−COS(NH)}       (7) として表される。  沈下度Us(のは,粘土層表面上の鉛直変位が,   (ws)…一歳9知・・i・(NH)・xp(−1・・t)+(w・)t−・・ であることより,      Σ∠4Nsin(ノVH)/2VH・{1−exp(−Zl}2t)}   Us(t) == LN 甑,・。てNR)一/−Nll−’ ’一”一(・)       N となる。よって,ξキ1に対しては,Us(t)・>EU,(りとな ることが容易にわかる。ただし,μ=(1−y’)/(1−2〆)。

4.計算結果

 式(7),(8)を用いて計算した,ξ=σ↓。。/q(0.5<ξ≦1) をパラメータとする圧密度沈下度をそれぞれ図一3, 4に示す。この計算結果をみると,ξ値による影響, すなわち,前荷重の載荷時間の影響は,圧密度に関し ては,ほとんど現れていないのに対して,沈下度で は,非常に大きく現れていることがわかる。特に, 0 0.2 0.4 0.6 O.8 1.0 0.001    0.01     0.1     1      10        T−一 Czt/H2    図一3 時間圧密度関係曲線 0 0.2 0.4      ξ=o.6 °’6

@ 1:;/

°’8

@ 1:1

1.0 0.001    0.01     0ユ      1      10        T;Cvt/H2     図一4時間沈下度関係曲線

(4)

0 0.2  O.4  0.6 巷 0.8 LO O.01    0.1 1    10   100   1000  時間(分) 図一5Northey他による実験結果 0.5<ξ≦0.8では,圧密沈下の遅れがTerzaghi解に 比して顕著になつている。 5.実験結果との比較  図一5は,Northey他5)がある種の砂質粘土を試料と して用い,圧密試験を行って得た時間沈下度曲線であ る。この図をみると,20分周期載荷試験と24時間周期 載荷試験との両圧密曲線は,圧密初期から中期にかけ ては,ほぼ同じ特性を示しているが,後期になると, 後者の圧密が大きく遅れてしまっていることがわか る。この傾向は,すでに図一4で示された理論時間沈下 度曲線と一致している。すなわち,前荷重載荷時での 二次圧密の影響により,新荷重増分作用時の圧密特性 がTerzaghi解からずれるとする理論結果を定性的に しろ,実証している。  このNorthey他による実験結果の再検討を兼ねて, 筆者は,八ケ岳ローム(長坂町で採取)を用い,圧密 試験を行った。図一6は,その実験結果である。この図 においても,理論解析の結果得た時間沈下度曲線に関 する同じ特性が認められる。  これより,前述した載荷時間が圧密特性に及ぼす影 響についての理論考察はほぼ妥当なものであると言え よう。結局,圧密に影響を及ぼす諸要素の中で載荷時 間のみに限っても,前荷重載荷時間(もちろん,粘土 の種類との相対関係はあるが)によっては,Terzaghi 理論だけでは説明のなしえない圧密特性が生じること はほぼ事実で,現場での真の圧密特性や諸係数を知る ためには,従来の標準圧密試験のようにすべての試料 に対して一律に載荷時間周期を24時間と規定しこれよ り得られた結果とTerzaghi解とのfittingから諸係数 を求める方法に,その粘土の応力履歴や状態を加味し た修正が必要となってこよう。この修正は,その定量 性から考えて過剰水圧の発生度合でもって進めていく 0.2 垂 出0・4 × ↓ 邑0・6 ⊆  0.8 k刀其月 ilfSl 1ξ;P【語さ:1.84(cm) p =O.8−1.6(kg/cm2) 30分周期載荷 241時…間II司其月載そ冒f 1週閻周期載荷    0.1       10       1000  10000        時間(分)       図一6 筆者による実験結果 のが最も妥当であると思われる。  今後の研究課題としては,上述した観点から,荷重 作用時に発生するσ、.。を実測し,前荷重載荷時間との 関連性を定量的に調べていくこと,および本研究で理 論的に得た圧密特性の定量的妥当性を調べることで ある。

6.結

論 (1)前荷重載荷時間が長いほど,二次圧密は進行し,  film bondが安定強化される結果,新荷重段階での  (一次)圧密は遅れぎみになること。特に,沈下度  が顕者に遅れることが理論・実験的に示された。 (2)この場合,もはやTerzaghi理論だけからでは充  分な説明ができないことが理論的に示された。それ  ゆえ,標準圧密試験において,粘土試料状態や履歴  と設計との関連性が充分に載荷周期等に加味され修  正されないと,従来どおりTerzaghi解に試験結果  をただfittingさせて圧密特性や諸係数を求めた場  合には,かなりの誤差を含んで評価されてしまう可  能性がある。

参考文献

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(5)

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参照

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