線路の腐朽枕木の力学上の一問題
線路の腐朽枕木の力学上の一問題
1 緒 言 ’ 鉄道でぱ枕木腐朽の:E:め年々多量に交換補充しなけ ればならず、振動や事故の原因をたして居り枕木の腐 朽は、経済上、資源上、からも保線上からも大きた問 題である。こXでは保線上腐朽枕木が線路の応力や沈 下に如何たる影響を與えるかの樫念を得たいと思うが 腐朽枕木の程度や分布状熊は不規則であり、軌道応力 状態も複難多岐で取扱いの理解も困難であるからこN には便宜上一本の腐朽枕木が軌道に與える影響を調べ 、1> たいと、思うO2 腐朽枕木の沈下係数に輿える影響
枕木の上に敷かわたレールを取外し、レールの位置 に荷重を加えて枕木の沈下係数を調べて見るに、枕木 上面の沈下はi×の二つの要素より成ることが分る。一 つは枕木自身の圧縮を考慮しないで枕木が砂利砕石及 路盤の弾性床上に横たえた梁としての沈下(プ)であ り、他は枕木自身の圧縮による沈下(y’ノ)であつて、 普通の枕木ではその表面の沈下量i±この二つの和y= y’+yt’より成る。これに伴い枕木係数(軍位のy, y’, yt「を生ぜしめる軌条圧力)にもD, D’, DVの三種があ り1/D=1/D’+1/D’「の関係がある。D’tの値は実測に よれば硬枕木で100t/cm2,古枕木で50t/CML),腐朽枕 木で10t/cmL)である。これらの数値を用いてDを求め ると大体吹の檬な僻値カミ得られる。 第 1 表若林正 坂本幸男
道と腐朽枕木の点に仮装荷重を加えた応力とに分けて 考え、これを合成すればよい第一段
枕木係数が全部一緩な軌道に荷重がおる場合の沈下 係数、tz ・一ル曲げモーメソト係数、勇力係数、レール 圧力係数の表は既に知られていてこれら夫々の係数に 荷重を掛ければ各枕木に於ける沈下量、及び応力が計 算される。各枕木の位置の各種係数は第1図(荷重が 枕木直上におる場合)第2図(荷重が枕木閥申央にあ る場合)の様に符号をきめることとする。 w= ’i 一一一一獅煤D’−2、一一、s−−zr−,tS一枕木番号……−2 −1 012……n……
沈下係数……y−2−−Y2Y_1 =YI yo Ylツ2……Yb…… 圧力係数……P−2=P2P−1= PIPo,PiP2…”Pn…… モー・Pt・ト係数……M−2=m−m−−1= mlmam〃m2……Mn……勇力係数…・・5=−SS=_S55…5……S……
−2−11.2 −1.0 0ユu.11.2 n−1,n nn+1 第 1 図 _. 軟弱地盤i 普通地盤・良地盤I
l 硬い地盤|6i 5.6‘5・414
10| 9 8 5.3枕木番号一 一2 −1 0 1 2……n……
沈下係数…y’=y’y’=プツ’=y’y’y’……y’…… −2 3 −1 2 0112
7Z 圧力係数…P’=・P’P’=P’P” .p’1)’P’…P’… ,−2 3−1 2 0 1 1 2 n モー:・ h係数一擁’=m’m’=沈’m’=〃〆〃〆m’・・励’… −2 P 勇力係数…5’=−s’s’ ・・ −s’=−s’ 31 51 IO ,51 17 ]5 13 28i 21 18 t 7 83 解 法
腐朽枕木の応力を求めるには吹の様ご普通枕木の軌第二段
一’Q−1 2、3 −10 第一120 112 n
s’ s’ 0.IV W.1 VV.1 1.2 s’ s’……s’…… 2.3 ?2−1,1 π・η■←1 2 図 第一段に於て枕木W直上に荷重働鐵る場合の各枕 木の沈下量s圧力、軌条の曲げモ…メソト、勇力口枕 木の番号nを個ぶやせばよい。第3図は荷重聾が枕木 直上にある場合であるが荷重カミμ番μ+1番枕木中間 にある場合も同様にして求められる。T.Wakabayashi・S. Sakamoto
The influehce of decayed si㎏epers on the railway track. }}一一 Q3−一一昭和28年7月
・ III梨大学工学部研究報告
第 4 号w
J ↓枕木番号…−1012……n−1ヵn+1……
沈下量…・pw/Dpva/Dpw/DP「v/D……
n+1 n n・−1 n−−2 PiW/D Poげ/D PIW/ρ……圧 カ…PwPwpwPw……
れ+1 カ−−1 カ 2 , PiW PoW PiW…… 曲ゲモーメント…〃2Fγ幼W 幼ve 〃1 W…… +1 れ の−1 n 2 例11π moVV mtrv……勇 JJJ…−5 W−SW−S W−S W……
η十1η十2 n十1 n−1n η・一一2η一1 50,W S、,1 W”SL2…… 第 3 図w
枕木番号…−1
沈 下 n十2 圧 0 1 2 ……n ね十1…… 量…P’vv/刀P’rv!DP’w/DP’Pγ/D… カ…P’w n十1 n+1 n n−1 P’rv’/L)P’げ/D…… 1 1 P’W P’W P’W__ n十1 n η・−1 P’W Ptげ_… 1 1 曲ゲモーノント…m’aW m’aVV m’aVV m’aW…… %十2 n十I n 7aL− t m’aげ m〆avv…… 1 1 勇 プJ…−5’阿7−S’初7−S’r7−S’明アー−S’W・− n+3.n−2 n+2.n+l n十1 η7}.n−1.n−1.71−2 rStW S’rv S’W… ”,1 ”.1 L2 第 4 図第三段
今或る仮想荷重が0番枕木に上向に働いたとすれば 各枕木は押上げられようとする。(実際には異常枕木 のD’の関係で負となつて下向きに働くこともある。) 仮想荷重をyγ’とするとコγ’により各枕木に生ずる圧 力、沈下量、叉は軌条に働く曲げモーメソト、勇力は 第5図に示す。 4L一頃一“三■一弓枕木番号…−1 0 1 2……n %十1……
沈下量・”’ ; P−−1VV’/D−Povγ’/D−PiW’/D−P,W’/D ……−PnW’/D −P糾1げ’/D…… 圧、 カ…−P_tVV’(1−P)W’一一’ Pivpr’−P,・VV’… rPη仰η 一P〃+1げ’…… 曲ゲモーノンb…−m_iaVV’−moaW’ −mta17V’ −mtarv’ 虜 一…二mna17v’ −Mn+iaW’・…・・ カ…−5−1eVV−SoL;i W−St・.,W’−S2.317V’∵ ’” −Sπ.n+1W’…三… 第 5 図一24
第四段 仮想荷重の決定 第二段、第三段の0番枕木の圧力と沈’ド量とを夫々 加え合せると 夕・”=カ’VV/D−P・rv’/D==(P’−P・V)VVID ?b十1 処十t Po’t=4’W+(1−Po)W’・=〔P’+(1一ρo)のW/D ?b十i 7z十1 0番枕木を異状枕木と考え枕木係数をD’とすると 枕木圧縮係数は枕木の圧力と沈下との比であるから D’=麺こ=P’・品宣±(1二Po)W’ P’7、+tJγ/D−Po’VV’D yfi・eζ ∴rv=(砂’n+1−」ρ’n+1)Vγ_P’n+ハ(G−1)VVGPo+
Po(G−1)十1 (1−Po) −P。+諸一、)−q’・・ VV−…一(・) 但しG=Dt/1)==7/γ’……・・………・…(2) q’n.,VV’t/rv(荷重がn番μ十1番の枕木の申間に あるときの1Pγ’、と}γの比である。)…・……・…・(3) 3以上は各荷重が枕木中間に.!5る場合であるが荷重 がn番枕木直上にある場合にはげ㍉蒜認可一rw…………(4)
但し¢,zは荷重がμ番枕木直.ヒにあるときの係数であ る。これを第6図に示す。 第『 6 図 第五段げとVγ’との合成 一様な枕木を有する線路にIVの荷重がのつた場合と 仮想荷重VV’を0番枕木の下方から上向きに作用した 場合とを合成すれば.Q, as枕木が異状枕木で荷重{撰彬 木直上叉は鈴番枕木と蕗七み番枕木との中瑠に作用オる 場合の軌道応力を容易に求めることが出來る。線路の腐朽枕木の力学上の;一:一・・問題 第2表 0番枕木が異状枕木でその 直上に荷重がある場合 これは応力及変形が最も大きくて重要であり計算式 が比較的簡軍となる。 枕木番号沈下量 圧 力 曲ゲモーメソト 勇力 OPo(1−qo)1γ『/D 〔Po(1−qo)+qo〕W mo(1−qo)aVlz−501(1・一一・qo)Vγ 1Pi(1−qo)助D P1(1−qo)W 5。1(1−qo)TY M1(1−qo)aW S12(1 一一 qe)Pγ 2P2(1−qo)Pγ/D PLi(1−qo)げ M1−40)aW S23(1−40)W ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 一・・・・・・・・・・・・… (5) 異状枕木直上の圧力以外の応力及沈下量とは全部、 通常の一檬な軌道の数値の(1 一一 qo)倍である。〔(4) 式参考〕 第3表 0番枕木が異率枕木で荷重が独番 枕木直上にある場合の軌道応力 枕木番号 沈下量 圧 力 曲ゲモ・・メソト 勇カ ー1(Pn+1−P_1qn)助D(Pn+1+カーQn)rv (M・+・−m−・q・)avv_(s。一、。+s。.、q。)w O(ρπ一力04物)W/D(Pn十4η一:ρ04η)W 伽r鋤・)a1’v−5。.,洞.。.、+51.,qn)rv 1(Pn_1−−Plqn)W/D(ρ坊一1一力1鋤)じγ (m・・一・−M・q・)・vv−(s。.一,,。一・+s、.,qn)w 2(Pn_2−P2¢n〕W/1)(Pn−2r P2qn)W (Mn_2−M2qn)aW・・・・・・・・・・・・・・・… (6) 第4表 0番枕木が異駄枕木で荷重がμ番 枕木とn+1番枕木との中央にあ る場合の軌道応力 枕木番号沈下量 一1(獅一力 n+2n−in
圧力曲ゲモーメソト勇カ
ー(s”+ 5q)vv ?1十1・7L十2 −1.0 ?1 q)−Pi「/D(P’ 一一・IP q)w(〃〆−m q)aW n+2 −1n n+t −1 ・n −(s’+ s q)w n・n+1 0.1,ra 0(P’−Pのπ/D(〉’−qPq)W(〃〆一〃29)aW n+ユ n n+ユ non n orb −(s’+ Sq)w 7z−1・n 1.2 % 1Qゲーカのw/D(IP’−Pのw(m’一〃¢のaW n 1 % % 1 n n−1 1’re −(5’+ 8q)w n−2,gz−1 2,3 % 2(グーカのπ/D(カーカのw(〃3⊆卿のava ?z−−12 γる n−12 n n−22 n −(5 + sq)w n−3,%∼2 3,4 n ●●● ■●■ ■●● ●●● ■.● ・・■・・■ ◆・■ .■● .・■ ●・“・.・.・・.・.,・.・・… ● ●.・ ・.・ …………・…・…・(7) 但しカー励=Pm ガ仇=カ’抗+1 粥_m=〃2篤 〃_仇=Mtm+1 S禰=−S物S’_批一1,_糀=5’仇.噺1……(8)4 例 題
異常枕木の直上に荷重がある場合が軌道応力に最大 の影響を與えるので異状枕木の硬軟色々の場合につい て調べた。一般枕木部分の軌道係数は最も普通なγ・= とし異常枕木は普通枕木に比べて2倍、4倍強いもの と1/2,1/4倍弱いもの(枕木沈下係数Dが4倍、2倍 1/2倍、1/4係のもの)を考え、荷重がその異常枕木直 上にある場合のレールの沈下量、圧力、曲げモ1メソ ト及勇力を計算して之れを第7図∼第10図に図示し た。 ‘枕 木 ノ ユ6 沈 下05 量 a4 第 7 図 M〆 P 、≧ (異常枕木(Oi番枕木) ノ枕木沈下係数ト レ1ルノ摸iミ曲線 (枕木ノ沈下量) o I ユ 3 4 5 6 7 異常枕本 枕木番号軌1
餐的
力as
v..., α5 ヤ解
昭 oa q’ 第 8 図 o ! 異常枕木 異常枕木(0番枕木) ノ枕木沈下係数ト各 レール枕木閲圧縮力 2 3 9 8 6 7 枕木番号一25一
昭和28年7月
山梨大学工学部研究報告
第 4 号
q40 Q3s: e.30 0.25 0.20 at5 ρ8・ハ\ξ e.os \、; 哨 o ’ .ao5 .Qκo第 9 図
曲ゲモーメソト比較図 { fi ρ 第 ユ1 図腐朽枕朱・レールの焼典猿
↓ o a∫ 02 q3 0,4・ 捲み 一ヨ ー2 → 0 / 2 3\ト ノ椎号
\ / 〉一・撫姥木/ 異歯桝あるとき一 \ / 、 / 、 ノ ∼〆ノ ぺ・ご) :−L;・;rfZlf−::’ →枕木丞号 ・ば! 第 10 、図 .丘呈 ⑫40 ・ ’Pヰ } 力 比 較 図 男 午 16“句 一 一 一 Ol ¢ご皇.. ンノ ㎡’P o.05 ρ匂P 一 一 Pエ 一 一_ 一 一 一 ・ 、・ 亀 ・ . ←◎、05 』.ぞ 巨 ← ,・ 》 ・←.、 ω ω 切 《3グ ω σ乃 ω→#未審考
O ot 「ヲー2 −’ 0’/ 2 3 4 次に荷重が異状枕木以外の普通枕木にのつた場合の L!一ルの擁みと曲げモ・…メソトについて第11∼18図に 示して、荷重の移動によるレールの応力、変形の変化 歌態を明らかにした。この場合には一般軌道部分は軌 道係数γ=4で異常枕木は沈下係数が通常枕木の牛分に なる様な軟い枕木について計算した。 イ段想膚童によるイ参正量第 12 図
1 腐」≠ラ枕*ことし一ノレり1蝕ザ≒ニーメント ↓一1−3rユ’r〆o1ユ34
,’’”→’⇒㍉s .バー一一亀−一へ 「o.’ ’e.2 03 [の 幽θ“モーメ.ント ρ ou、
、 , 戎端働ピさ\,’7e,肺枕彬乏のv
假想荷重による修垂量、第・・13 図
腐朽枕太乙し「!レの勧艘猿ll−「 −2
−26、一
0 ! ・2 3線路の腐朽枕木の力学上の一;.問題
第 14 図
o,o ク’ o.2一L.,rrL.t:−fl・,rr.rt−一
P.3 04 曲ゲ毛一ル声 4 N’ рr朽枕木 輌 ,假想荷重島ヨ1レ修正量 ゴ 2 ノ ρ 1 2 3 争 第 17 図 腐朽梅ekkLレヲレの祷み曲歳 ル \、1 轍あ盛端・
倍)獅
_3 、2 −/ 0 ! 2 3 4 5 」ttl7klli; o OIr“in”°v−min−”
ノ第 15 図
di 15枕未トレー・レ?)挽ミ曲線 一一 D一,,一一一,r−−n−gttellL”−i ぺ腐朽”Z 7k レーハレノ 僥ミ曲線 献含ξ 呼 留 一2 一ノ 0 8 2 3 4 ま = = :=E−一・一一...ny..一.一一一.....一一..一 イ授タ邑、荷重.による4参正量第 18 図
腐朽撚乙レヲしの曲ザモっ(斗
↓ 一一鼈鼈鼈鼈鼈黶E
’e,1 02 日酬あ
o 橿想塙隻⇒ヨ’レ修正量 ・弓 三2 −∫ θ、 ∫ 2 3 4r’”−n−qo一ffm−一一一一
o aS働
.て=
難株搬→
o.1第 16 図
腐朽枕フKFレー,。順性プンハ 呪t a2 P・s(aw) 曲ゲモーメンチ o 4枕木番号 磯想荷隻二∋’レ修正蕗董 4’一3⊇−1’
S ! 2 3 5 結 言 . 普通の軌道(軌道係数γ=4)に異常枕木が一本ある 場合について計算し、その軌道に及ぼす影響を図示し てthAの様な結論を得た。 (1)軌道応力計算には仮想荷重の方法を用い(4) 式を第5図を利用すると計算にも、力学的意義の理解 にも便利である。 (2)枕木の沈下係数は路盤、枕木の新旧、硬軟にょ つて異り、Dの値は古枕木は新木よりも1∼2割少く 腐枕木は牛分程度である。軌道各部の応力は枕木沈下 係数や道床係数に関係するが、局部的に枕木の硬さの 影響がことに大きい。 (3)荷重が異常枕木直上にあるとき (の異常枕木直上のレ…一ル圧力を除いては総べて の応力、変形は全部一様な枕木の軌道に比較して (1−qe)倍になる。((4)式(5)式参照。) 一一Q7一
昭和28年7月