ポリ塩化ビニール皮膜の熱延伸について
橋本穗
中村悦郎On Heat Drawing of Poly-vinyl chloride Films
MinoruHashimoto EtsuroNakamura
Synopsis: We have studied the relationship between drawing rate and birefringence by heat drawing of various tθmperatuτe(30°∼150°C)and the heat shrinkage of sampleg by heat drawing of poly−vinyl chloride films. In the results, we could find that most good temperature of heat drawing for mo!ecular, micθ11er orientation and crystallization lie in extent from 700C to 1100C.1.緒 言
ポリ塩化ビニール繊維の後延伸としては、工業的に 紡糸後、熱延伸を行い、機械性を改善している。我々 は熱延伸の基礎研究として、延伸度∼複屈折度の関係 をしらべ、これと共に各熱延伸試料の熱牧縮を測定し て、この二方面より延伸効果を検討した。2.実 験 方 法
試料オパロソ平均重合度戸=1250を用い、テトラ ヒドロフラソ8%溶液となし、シヤーレ中に流し、こ れをデシer ・一ターに入れて、40°Cに4時間保つた。 倫、デシケ・・タPtの蓋は少し開いておいた。次に、こ の様にして得た皮膜をシヤーレーより取り出し、40°C で6時間蒸発乾燥させた。皮膜の厚さは約0.1mmで これを170°Cで1分間加熱して、無配列、非晶性の 試料を作製した。本試料は約4%の溶剤を含んでい た。次に30∼150°Cの各温度に於て、9cm/minの 速度で乾熱延伸し、延伸後直ちに緊張状態で室温に1 分間冷却し、次に弛緩せしめ、この様にして得た各種 延伸度(塑性延伸度)試料を用いて、牧縮率、複屈折 度を測定した。複屈折度は乾燥状態でレターデt・一・ショ ン法によつた。3.実験結果及び考察
(1)牧 縮 率 前述の様にして得た各温度延伸試料を30∼150°Cの 各温度で、1分間無緊張状態で牧縮せしめ、牧縮率∼ 熱牧縮温度関係を求め、Fig.1(延伸度2.5倍)、 Fig・2(延伸度4倍)、 Fig.3(延伸度6倍)、の様な 結果を得た。 更に105°Cで4倍熱延伸せる試料を1分間、75°C から145°Cまでの各温度で緊張下熱処理したものを 用いて、105°C,1分間、無緊張下熱牧縮を行い、 Fig・4の様な結果を得た。又、これと共に牧縮後の複 屈折度を測定した結果も併記した。Fig.4に於て、 ミ5° §ua 遣、。 §2。 /So⑭メ}傷酬(℃)
Fig.1 Drawing Rate 2.551
昭和33年6月
山梨大学工学部研究報告
第 9 号 ヘ ミd°ポ
弍「o § to §㍉
50却
Fig.2 lsa 〆50イmafら鞠(eCJ
Drawing Rate 4.0碗・ψ…チ己与嫡 (’c/
Fig.3 Drawing Rate 6・0 曲線1は熱延伸試料を75°Cより145°Cまでの各温 度緊張『下熱処理したものにつき、105°C,1分間無緊 張下熱牧縮せしめたものの牧縮率を示し、曲線∬は熱 延伸物を熱処理後の複屈折度を示す。曲線皿は、曲線52
9・・ 弩
eo 20§
き.__−7痴一一・・一…s
toO lO l20 印 μOH W80輌ψld vmbnd(’c/
Fig.4 Temp of Heat Drawing 1050C, Drawing Rate 4・0 エの熱牧縮を行つたものの複屈折度を示す・Fig・4 から明らかな様に熱処理温度が高い程、一般に牧縮し 難い。これは分子配列の安定化、結晶化が、この温度 範囲では高温程大で、特に105°C∼120°C範囲で急激 に結晶化、安定化が行われるものと思われる.複屈折 度の結果も同じ傾向を示す。又、Fig.1,2,3より 各熱延伸試料(未熱処理)の牧締率の比較から、延伸 温度が高い程、牧縮率が小さい。故に30°Cより1501 °Cまでの温度範囲では、高温程、熱延伸中に配列分 子の安定化、結晶化が大で、これが二吹的な網目とな り、牧縮を防ぐものと考えられる。 (2)複屈折度∼延伸度関係及び切断延伸度∼延伸 温度の関係 前述の様にして得た、30°C∼150°Cまでの乾熱延伸 試料の塑性延伸度と複屈折度との関係を示すと・Fig・ 6,各乾熱延伸に於ける切断延伸度∼熱延伸温度の関 係をFig.5に示し、更に各延伸度(塑性延伸度)試 料を緊張下に105°C,1分間熱処理し、前と同様な方 法で冷却し、吹に弛緩せしめた後の延伸度に対する複 屈折度を測定しFig・7の様な結果を得た・Fig・6の 曲線上の( )内温度は延伸温度を示し、Fig.7の 曲線に附した温度はFig.6の各温度に対応する延伸 試料につき熱処理後の延伸度∼複屈折度関係を示すも のである。一般にポリ塩化ビニールは二次転移点75・ °C附近1)で、セグメソトの流動が起り始め・ これが 延伸の際の分子鎖の流動を助けることとなる。しかし 生駒、万木氏等2)3)により延伸効果は100∼105°Cが 最適とされ、75°C及び、それ以下ではエネルギー効ポリ塩化ビニール皮膜の熱延伸について
9Q 80 70 へ き6。 ) 董,i・ 竃・40 §・・ ぎa・ 1.O 0\
\ \。 50 勿 90 〃D /30 /30 あ,・・,tC)・Siμ4血ぽ吻(’‘ノ Fig.5 ¶O” ・・P
・・ミ 30 果〉エントロピー効果、110°C以上ではエソトロピー 効果〉エネルギー効果とされている。本実験では少量 の溶剤の存在が二次転移点を降下せしめ、この爲75 °C附近が最も延伸効果が大となり、Fig.5,6より 明な様に切断延伸度は30°C→60°C→75°Cと急激に 大となり、それより高温では逆に低下し、複屈折度∼ 延伸度関係も75°C附近が最も増加傾向が大であり、 延伸による配列度の向上著しい。自llち、この温度附近 でエネルギー効果とエソトロピー効果が釣合つて延伸 に於て有効,c作用する。この温度は延伸中の分子鎖や ミセルの廻転と、屈曲分子鎖の直線化と有効に釣合つ て廻転配向する様な構造や、条件を與えるものと思わ れる。叉、60°C,75°Cに於ける延伸処理では、延伸 の後半に試料は白濁して、長さの方向に亀裂を生じて いる。我々の実験は少量の溶剤、創ち約4%のテトラ ヒドロフヲソを含んでいるので、これが前述の様に、 二次転移点を降下せしめ、延伸効果を決定する温度に も関係するので、溶剤の影響は後日詳細に検討の予定 である。…×に結晶性鎖状高分子物質は一般に緊張熱処 理により分子配列の安定化や結晶化が起るため、複屈 折度は増加するはずである。しかしポリ塩化ビニール の分子構造から考えると、熱運動により配列分子の無 配列化する傾向は相当大きいので、これを考慮して、53
加吻砿(伽)
50 6.o tC Fig.6 Relationship between Drawing Rate and Birefringence by Heat Drawing Fig.7,Relationship between Drawing Rate and Birefringence by Heat Treatment Fiber of Heat Drawing on IQad(1050C, 1minute) 脳昭和33年6月