JAIST Repository: ウェブ設計に対するシステム方法論の適用に関する研究
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(2) 修. 士. 論. 文. ウェブ設計に対するシステム方法論の適用に関する研究. 指導教官. 吉田武稔. 助教授. 北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科知識社会システム学専攻. 050034. 審査委員:. 小林. 吉田. 武稔. 生麻. 助教授(主査). Gu Jifa 教授 永田. 晃也. 助教授. 三品. 和広. 助教授. 2002 年2月. Copyright Ⓒ 2002 by Ikuma Kobayashi.
(3) 目. 第. 次. 1. 章. は じ め に........................................................................................1. 1.1 研究の背景と目的 ........................................................................................... 1 1.2 本論文の構成................................................................................................... 2 第. 2. 章. 方. 法. 論. の. 説. 明 ....................................................................3. 2.1 SSM とは ........................................................................................................ 3 2.1.1 7ステージモデル .................................................................................... 3 2.1.2 関連システムの命名................................................................................. 4 2.1.3 関連システムのモデル化 ......................................................................... 5 2.1.4 “ハード”と“ソフト”の違いについて ................................................ 6 2.1.5 SSM の認識論.......................................................................................... 7 第. 3. 章. 適 用 事 例 1. 株 式 会 社 A C T R E E の H P ........................8. 3.1 会社概要.......................................................................................................... 8 3.2 SSM の適用..................................................................................................... 8 3.2.1 概略.......................................................................................................... 8 3.2.2 リッチピクチャー .................................................................................... 9 3.2.3 基本定義と概念モデル ........................................................................... 10 3.2.4 SSMの適用後のコンテンツ構造 ......................................................... 13 第. 4. 章. 適 用 事 例 2. 研 究 室 の H P..................................................17. 4.1 組織概要........................................................................................................ 17 4.2 SSM の適用................................................................................................... 17 4.2.1 概要........................................................................................................ 17 4.2.2 モード 1 とモード 2 の違い ................................................................... 17. i.
(4) 4.2.3 SSM のモード 2 の使用について ........................................................... 18 4.2.4 リッチピクチャー .................................................................................. 19 4.2.5 基本定義と概念モデル ........................................................................... 21 4.2.6 比較........................................................................................................ 32 4.2.7 コンテンツ構造...................................................................................... 33 第. 5. 章. 考 察 ................................................................................................35. 5.1 介入者の立場................................................................................................. 35 第. 6. 章. 結 論 ................................................................................................37. 6.1 今後の研究課題 ............................................................................................. 37 6.1.1 基準値の決定について ........................................................................... 37 謝 辞 .......................................................................................................................39 参 考 文 献 ............................................................................................................40. ii.
(5) 図. 目. 次. 図 1 リッチピクチャー1(事例 1) ................................................................ 9 図 2 リッチピクチャー2(事例 1) .............................................................. 10 図 3. HP により PR できる(自らが実行する)システム..............................11. 図 4 位置付けの明確になった HP を作成するシステム................................. 12 図 5 SSM 適用前のコンテンツの構造(事例 1)........................................... 13 図 6 SSM 適用後のコンテンツの構造(事例 1)........................................... 14 図 7 リッチピクチャー1(事例2) ............................................................. 19 図 8 リッチピクチャー2(事例2) ............................................................... 20 図 9 RD1に基づく CATWOE 分析および概念モデル .................................. 22 図 10 RD2に基づく CATWOE 分析および概念モデル ................................ 23 図 11 RD3に基づく CATWOE 分析および概念モデル................................. 24 図 12 RD4に基づく CATWOE 分析および概念モデル ................................ 25 図 13 RD5に基づく CATWOE 分析および概念モデル ................................ 26 図 14 RD6に基づく CATWOE 分析および概念モデル ................................ 27 図 15 RD7に基づく CATWOE 分析および概念モデル ................................ 28 図 16 RD8に基づく CATWOE 分析および概念モデル ................................ 29 図 17 RD9に基づく CATWOE 分析および概念モデル ................................ 30 図 18 RD10に基づく CATWOE 分析および概念モデル ............................. 31 図 19 SSM 適用によるコンテンツの構造(事例 2) ..................................... 33. iii.
(6) 第. 1. 章. は じ め に 1.1. 研究の背景と目的. Web には構造化された問題と構造化されない問題がある.前者は Web 上でどのよ うにしてこの機能を実装すればよいかといった問いに対して技術的に解決をしよう とする問題である.後者は Web で何をしたら良いいのか,Web をどうしたら良いの かといった漠然とした問題である. Web を設計するという問題は情報発信と制作という視点を含む.これらの視点が導 く問題は何が所与として解決を図るべきかが明確にすることが難しい.なぜならば現 実世界の問題はケースに応じて多様であり,常に同じ結果を期待できる方法を提案す ることは困難である.Web 設計の基本として定番となっているのがユーザビリティの 向上[4][5]やアクセシビリティへの配慮であるが,これらの概念はあくまで設計への ガイドラインの提案であってそれらをどのように適用していくかは Web を設計する 者の意図的な行為に依存するものであり,Web の設計自体に最適な解は存在しない. ソフトシステム方法論(以下 SSM と略す)は“問題”を定義することが困難であ るような現実世界の状況において人間活動にシステムの概念を適用し,現実との比較 を行い,システム的に望ましく文化的に実行可能な変革を引き起こす方法論である. 本研究では Web の設計を人間活動の視点から捉え,SSM の適用により Web 設計に 対してシステムアプローチが有効であるかを示すことを目的とする.. 1.
(7) 1.2. 本論文の構成. 本論文の構成は以下の通りである.第 1 章では研究背景と目的を述べた.第 2 章では 本研究で使用する SSM に関する説明を行う.第 3 章では適用事例1として株式会社 ACTREE の HP に関して述べる.第 4 章では適用事例 2 として研究室の HP に関し て述べる. 以上の適用事例を踏まえて第 5 章では考察を述べ,第 6 章で結論を述べる.. 2.
(8) 第. 2. 章. 方. 法. 論. 2.1. SSM とは. の. 説. 明. ここで本研究において使用した SSM について説明する. SSM とはシステム思考を使って複雑な現実世界の“ソフト”な問題にたいして解 決を行うためにいかにして人間活動をエンジニアリングするかという観点から生ま れてきた方法論である.ここでいうシステムとは全体は部分以上の総和であり,個々 の部分は全体としての創発特性を持ち,それらの部分は階層性を成す.そして部分は コントロールとコミュニケーションによってシステムとして生存可能になっている. このシステムの概念を使って人間活動を意図的に構築し,現実世界と比較を行い,文 化的に実行可能な変革を導くのがこの方法論の大まかな枠組みである.. 2.1.1. 7ステージモデル. SSM は 7 ステージモデルというプロセスを持っている.ステージ1問題状況,ス テージ2表現された問題状況では現実世界の問題を豊かに知覚し,リッチピクチャー と呼ばれる絵を描くことを行う.ステージ3では知覚された問題に関連のありそうな 関連システムを基本定義(RD:Root Definition)として選択する.さらにステージ4で 基本定義から概念モデル(CM:Conceptual Model)を構築する.このステージ3,4は システム思考の世界であり,現実世界をそのまま描くモデルではない.次にステージ 5 では構築された基本定義と概念モデルを現実世界と比較する.さらにステージ6で 比較から導かれた実行可能な変革案を定義する.そして最後にステージ7で実際の行 為を行う. このような 7 ステージモデルによる説明はしばしばステージ1からステージ7ま でを順番に行うような方法論であるように誤解される可能性がある.このような誤解 に対してチェックランドは 7 ステージモデルはあくまで「ステージ」であり,順番に 実行する「ステップ」ではないと再三,強調している.つまりここで重要なのは各ス テージ同士の関係を理解することである.また,ステージ2からステージ3へ,ステ. 3.
(9) ージ 4 からステージ 5 へといった現実世界とシステム思考の世界の境界線を意識する ことも重要であると主張している. 7 ステージモデルが伝統的な SSM の適用のモデルなのに対して『ソフト・システ ムズ方法論』では「介入」,「政治システム」「社会システム」の分析を取り入れたモ デルに拡張されている.. 2.1.2. 関連システムの命名. 基本定義をつくる際に XYZ 公式に従うのが便利であると主張している.そのシス テムは「何を」行うかについて X で記述する形が最も簡単な形となる.その「何を」 「どのように」行うかを Y として「Y によって X を行うシステム」となる.さらに システムの所有者の長期的な狙いを Z として書き,「Z を達成するために,Y によっ て X を行うシステム」という形になる. ただし,基本定義を作成する際に注意すべき点は X にあたる「何を」である.この 考え方は『新しいシステムアプローチ』に明示されている. 「現実世界の活動は,物事を行う一つの方法で,通常明らかにされていない何をに 関係した一つの特定のいかにを常に表しているだろう.他方概念モデルは,いかによ りも何かを表すべきである.なぜなら基本定義のなかに,モデルが“何を”の説明か らある特定の“いかに”の説明なってしまうような制約を含むと,変革についての論 議の範囲を限定するであろうからである」 ([2],P255) つまり XYZ 公式にしたがった基本定義を構築するとしても選択する関連システム の本質である X を意識して記述すべきであろうと私は考える. SSM における関連システムの命名は非常に困難ではあるが重要な作業であり,この 命名を曖昧なままに概念モデルを構築したり,比較のステージを行えば不整合による 訂正作業が行われることになるので,特に厳密に行うべきであるとチェックランドは 主張している. 関連システムの基本定義を作る際に整合性を保つために CATWOE 分析を行う.こ こで重要なのはそのシステムがどのような変換を行うか示す T(transformation process) と , そ の 関 連 シ ス テ ム が ど の よ う な 世 界 観 で 選 択 さ れ た か を 示 す W(Weltanschauung)である. システムの特性として先ほど,創発特性,階層性,コントロール,コミュニケーシ ョンという要素があるとしたが,このような生存可能なシステムも人間活動システム. 4.
(10) としては何らかの変換を行うはずであり,それを明示することが大事である.チェッ クランドは変換の間違いとして「知識」「設備や機器」「人的資源」をインプットとし て「サービスを受けた人々」「充足された医療ニーズ」というアウトプットが得られ るという例を挙げている.CATWOE 分析の中の変換はそのようなインプットされた 個別体が別の個別体に変質するような変換ではなく,インプットされた個別体が変換 された状態の個別体になることを変換としている. 世界観とはシステムの観察者が問題状況に対してどのような理由で関連するシス テムを選択したか,という視点の元になった世界観を記述する.この記述により人間 活動システムの変換がなぜそのようにとらえられているか整合させるために重要で ある. また,人間活動を記述するのであるからその活動において変換の受損益者である顧 客を C(customers)で示し,人間活動を行う行為者として A(actors)を記述する.この ように顧客と行為者を定義するとあたかもその二つが別の対象者であるように読み 取れるが,選択した関連システムによっては同じになることも多い. そしてシステムを止めることをできる人を所有者として O(owner)として記述し, 外部にある所与の要素を環境的制約として E(environmental constraints)を記述する. 以上の CATWOE の要素を分析し,記述することにより基本定義が整合性を保つこ とができる.. 2.1.3. 関連システムのモデル化. ステージ 4 ではステージ 3 で得られた基本定義から必要最小限の活動を動詞として 導き,そこから概念モデルを構築する.動詞の数は通常,7±2にまとめるのが良い と言われている.これらの動詞を依存関係によって結び,さらにこのシステムが生存 可能になるためにモニターとコントロールを加える.これは人間活動システムに対し て選択した手段が実際のアウトプットを生産できたかという可動性,変換が最小限の 資源で行われたかという効率性,より長期の目標を達成しているかという有効性がモ ニターされ,コントロールが行われることを示している. この概念モデルは現実世界の活動をそのまま示すものではなく,システム思考の世 界で構築されたモデルであることに注意しなければならない.また,このモデルの重 要性は「反論可能」であるかそうではないか,である.. 5.
(11) 2.1.4. “ハード”と“ソフト”の違いについて. 問題に対するアプローチとして“ハード”システムアプローチと“ソフト”システ ムアプローチが存在する.これら二つのアプローチの違いを述べつつ,本研究で“ソ フト”システムアプローチの適用を試みた視点を述べたい. “ハード”システムアプローチが対象とする問題とは「この問題を解決するために は,何のシステムを設計する必要があるか」という問いや,「どんなシステムがこの ニーズを満たすか」という問いから出発する.つまり問題やニーズは“所与”とみな されうるよく構造化された問題である.そして問題の背後には単一の世界観があり, 一つの必要性や目的が述べられ,その必要性を満足したり,目的を達成したりするた めの一つの効率的手段が必要とされる. そして,“ハード”システムアプローチはシステムを修正したり,再構成したりす れば必ずよい方向に改善されると仮定されている.推奨されている問題解決の反復的 なサイクルは,目的の定式化のフェーズから始まり,その目的は可能な解に関して中 立的で,完全で,正確で,明瞭で,現実的であると仮定されている.このフェーズに 続いて通常の場合,可能な解の探索と代替案からの選択が行われる. ここで工学的なアプローチが行う「設計」という概念について述べたい.その概念 は本質的に“ハード”な概念であると言われている.なぜならば設計といわれている ものは,すべて必然的に何らかの意味で特定の意図を望ましいものとして受け入れて いる点にある.工学的な設計には技術が必要であり,設計するためには解決すべき問 題がたくさんあるのは確かであるが,ここで重要なのは設計工学者の扱う問題が構造 化された問題であるという点である.つまり,望ましい将来の状態と現在の状態の間 には埋めるべきギャップがあり,このギャップを埋めることが工学者にとっての問題 なのである.専門家としての工学者にとって,要求と目標設定は問題解決を始めるに あたって与えられているものであり,このことが,目標設定から定まる問題解決の構 造化されたモデルとともに“ハード”システム方法論に持ち込まれている. それに対して“ソフト”システムアプローチが対象とするのは構造化されていない 問題で不安を感じるという意味では問題の存在はわかるが,状況を過度に単純化した 表現以外には明示的には述べられないというものが存在する.Web には背後に設計者 があり,そして Web を所有する組織や個人が存在する.この Web の背後に背負って いるものの価値観を伝えるということはどのように論理的に設計を行おうとも非常. 6.
(12) に難しい.何故ならばそれこそが構造化されない“ソフト”な問題であるからだ.し かし,もし Web の向こう側から組織や人の価値観を共有できる,心地よい Web が作 成できるとすればその設計は明らかに“ソフト”システムアプローチによってなされ るものだろう. そのような価値観を共有できる,心地よさを感じる Web 設計のアプローチとして 本研究では“ソフト”システムアプローチの中でも人間活動をシステム思考の世界で 構築し,現実の世界の問題解決を図る方法論であるソフト・システムズ方法論の適用 することにより,人間活動の視点から Web 設計を行うことを試みた.. 2.1.5. SSM の認識論. この方法論は,“問題”という概念を重視することがあげられる.それはさまざま な行為者が,問題だと知覚するかもしれない状況の概念を取り扱う.それは,状況の 知覚から始まって,行動を引き起こすまでのすべてにおいて援助を与えようとして考 案された.現実の管理の世界においては,このことは,しばしば,恐らく以前の似た 経験を参照することによってなされていく.これに対してこの方法論は,現実世界が どうなっているかを調べることから始めて,現実世界について,何らかのシステム思 考を適用し,現実世界において行動を引き起こす機会を提供する.したがってその強 調点は,外的な“現実”にあるのではなく,人々の現実の知覚にあり,精神過程の対 象ではなく,むしろ精神過程そのものにある. したがってステージ5は,システムモデルを現実におけるものと比較することを伴 い,ステージ6は比較に照らして何をなすべきなのかを決定することを伴う.知覚す ること,叙述すること,比較すること,決定することはすべて,日々の精神的活動あ り,したがって方法論は奇異なものではない.方法論は単に,これらのありふれた精神 的過程を首尾一貫した形で組み合わせ,システム概念をフォーマルに利用をしうるよ うにしただけである.もし,世界を相互作用するシステムの複合体からなると解釈す ることが有用であるとする仮説が良いものであるならば,この方法論は現実世界の性 質をその問題を洞察するのに良い方法であろう,とチェックランドは考えている.. 7.
(13) 第. 3. 章. 適 用 事 例 1 株 式 会 社ACTREE の HP 3.1. 会社概要. 会社の商号:株式会社アクトリー(ACTREE CORPORATION) 本社:石川県松任市水澄町 375 番地 設立:昭和46年4月 1 日 資本金:80,725,000 円(平成 13 年 3 月 31 日現在) 事業内容:公害防止プラント,焼却処理プラント,汚泥処理プラント, 省エネルギー機器プラント,各種集塵装置,リサイクルプラント, 産業機械,環境浄化装置の設計,施工及び管理 期間. 3.2 3.2.1. 2001 年 5 月 14 日から 2001 年 6 月 25 日まで 3 回の会議による. SSM の適用 概略. 株式会社 ACTREE では 2001 年の社名変更に伴い,HP によって信頼を確保し,売 上を向上させることを計画していた.その一方で自社の企業理念である「高度循環型 社会への提案」をアピールし企業イメージを向上させることも望んでいた.また HP の作成では創立 30 周年ビデオの内容との整合性を取りつつ矛盾のない企業イメージ をアピールすることも課題として挙げられていた. なお SSM の適用は公開期日の 4 月 1 日の完全なカットオーバ予定を過ぎていたた め 6 月末日を目指し 3 回の会議によって問題状況を知覚し,短期間に行われた.. 8.
(14) 3.2.2. リッチピクチャー. 企業理念の達成. 会社存続. 利益を上げる. 人材採用. 通年 vs 新卒. 創立30周年 記念ビデオ作成. 整合性 の確保. 企業イメージ 販売部 技術部. HPで宣伝 会社概要. 販売員. 信頼獲得. 製品. コンペとの 比較. 創発性 実績. 社員の名詞に URLを印刷. 図 1. 製品紹介. 自社技術の 優位性抽出 表現する. リッチピクチャー1(事例 1). 上記リッチピクチャーにより,HP を作成するに当たって重要な問題として創立3 0周年記念ビデオとの整合性が問題となることが明らかになった.また点線で結ばれ た項目に関しての Web コンテンツを設計する必要がありそれらのコンテンツが会社 組織のどの部分と密接しているかも明らかとなった.. 9.
(15) 技術力(独自技術力)と 将来性をアピール. 社長の業務命令. 製品群 焼却炉 汚泥処理 環境修復 新産業処理. HP維持・管理 英語化. 目標:6月中に開設. HP作成 会社PR 競合他社に勝つ! 「高度循環型社会への提案」. 顧客サービス 最終顧客 代理店. 人材確保. 図 2. 社会問題(ダイオキシン、 二酸化炭素、etc). リッチピクチャー2(事例 1). HP に課せられた使命を明確にするために上記のリッチピクチャーを作成した. これらのリッチピクチャーにより HP を中心とした問題状況が表現できた.. 3.2.3. 基本定義と概念モデル. 上記のリッチピクチャーより(会社を)PR できる(自らが実行する)システム, 位置付けが明確になった HP を作成するシステムという二つの概念モデルを導いた. これらの基本定義はZが企業理念の達成となっており,そのためのHPの作成である ことを示している.これはリッチピクチャーに描かれた会社の長期的目標が企業理念 の達成だったことによる.. 10.
(16) 基本定義 企業理念(高度循環型社会への提言)を、製品、技術力、将来性についてHP上で 公開することにより(会社を)PRできる(自らが実行する)システム C:ACTREE A:ACTREE T:PRできていない会社 → PRできた会社 W:これにより信用を得、会社の信用を上げれば売上も伸びる。売上が伸びれば、 会社は発展する。よって社会貢献度も上げられる(提言の実行) O:社長 E:4月1日までに公開できること 技術力を 明確にする. 製品を 明確にする. 1.過去の実績を 調べる. 2.必要事項を 抽出する. 8.表現する. 基準値を 決める. 3.循環図を 吟味する. 4.改良する. 将来性を 明確にする. 5.機構図を 吟味する 6.改良する. 7.関連を 明確にする. モニタする. コントロールする. *可動性:他の活動との整合性 効率性:一つのプロセスに掛ける時間配分は適切か? 有効性:これらの活動により企業理念は達成できるか? 図 3. HP により PR できる(自らが実行する)システム. 11.
(17) 基本定義 企業理念(高度循環型社会への提言を達成するために、ビジネスプランを作成す ることによって、位置付けが明確になったHPを作成するシステム C:ACTREE A:ACTREE T:位置付けが不明確なHP→ ビジネスプランにより位置付けが明確になったHP W:これにより信用を得、会社の信用を上げれば売上も伸びる。売上が伸びれば、 会社は発展する。よって社会貢献度も上げられる(提言の実行) O:社長 E:4月1日までに公開できること 3.企業ビジョンを 作る(明確にする). 1.機能を 列挙する. 2.リスク要因を 明確にする. 4.ビジネスプランを 作成する. 5.HPの位置付けを 明確にする 6.HPを 作成する モニタする. コントロールする. 基準値を 決める *可動性:他の活動との整合性 効率性:HP作成までの時間配分は適切か? 有効性:これらの活動により企業理念は達成できるか?. 図 4. 位置付けの明確になった HP を作成するシステム. 12.
(18) 3.2.4. SSMの適用後のコンテンツ構造. トップページ. 社名変更のお知らせ 高度循環型社会への提案 採用情報. リサイクル. 無害化、減溶化. 焼却炉. 炭化炉. …. 会社概要. 自然浄化. 空気浄化器 エコプランター. 図 5. SSM 適用前のコンテンツの構造(事例 1). 本研究の主目的はコンテンツの構造のみの変化を目指すものではない.しかし客観 的な視点における SSM を適用する前と後での変化を示すことは比較する上では重要 であろうと考え,図示する. 図 4 は SSM の適用する前のコンテンツの構造である.トップページからのリンク は「社名変更のお知らせ」と「高度循環型社会への提案」となっており,「高度循環 型社会への提案」の下に「会社概要」や「採用情報」 ,「製品」といった会社そのもの に関するコンテンツが含まれている.会社の企業理念を大切にし,それを前面に押し 出す場合はこのままでも良かったのかもしれないが,リッチピクチャーに描かれた問 題状況では企業理念だけを前面に押し出すような HP を目指したわけではなかった.. 13.
(19) トップページ. トピックス:社名変更のお知らせ 採用情報. 会社案内. 製品一覧 種類別 製品案内. 焼却炉 ⋮. 炭化炉. 生活排水 目的別. 許認可別:組み合わせ一覧 リサイクルと環境浄化:一覧 環境浄化. エコプランター. 自然浄化 高度循環型社会への提案. 無害化、減溶化. 法規制の対応. リサイクル 図 6. SSM 適用後のコンテンツの構造(事例 1). 上記の図が SSM 適用後のコンテンツ構造になる.SSM 適用前に比べて自社として 押し出したい会社案内や製品案内が前面に押し出され,分類が行われていなかった製 品案内に分類分けが行われた.以上のような変革により株式会社 ACTREE の HP は 会社コンセプトだけではなく,製品を閲覧者にとって分かりやすく提示し,自社の技 術力と将来性を PR できる HP となった. ここでこれらのコンテンツがどのような目的のために制作されたかを述べたい. トップページ: イメージ画像により会社の理念を間接的に伝えつつ,技術力の証明としてトピック スで受賞や出展,新製品などの紹介を行うために作られた.. 14.
(20) 会社案内: 将来性や技術力の証明,なによりもゴミ処理装置を扱っているというマイナスイメ ージを払拭するために歴史などを踏まえつつ会社を理解してもらうために作られ た.「製品一覧」へのリンクは会社情報による形式的な案内からから取り扱う製品 をカタログのように見てもらい具体的なイメージを抱いてもらう目的でリンクさ れている.また採用活動は積極的に行っていないが会社に対して就職希望を抱いた 閲覧者のために「会社案内」の中から「採用情報」へのリンクが設けてある. 製品案内: 「製品別」掲載された製品について本来であれば具体的な能力も記すべきであるが, 既存顧客ごとに異なる能力であるため記さなかった.また,技術力を示すために技 術の詳細を掲載できれば望ましかったが,他社への技術流出につながると判断した ため掲載しなかった.ただし,製品のイメージを抱きやすくするようにプラントの 写真は掲載することで閲覧者に製品の理解を促すために作られた.「許認可別一 覧」はWeb閲覧者の中の見込み客がその製品を扱うにはどのような認可が必要か を一目で分かるために作られた. 「リサイクルと環境浄化」「環境浄化」は企業理念 に矛盾しない製品を扱っていることをPRするために作られた.これは会社案内で も考慮した会社のイメージの扱いと同じ意図による.以上のようなごみ焼却炉を扱 っている会社につきものである環境を汚しているというイメージを払拭しつつ,企 業理念を伝えるコンテンツとした. 高度循環型社会への提案: 会社の最も伝えたい企業理念を扱ったコンテンツである.SSM適用前には前面に あったが製品や技術力を伝えなければならないという視点からやや大人しい扱い となった.「無害化,減溶化」に「法規制の対応」へのリンクを追加することによ り企業理念の中にも法規制に対応できる技術力をPRする構造になった. このようにSSMの適用によって構築されたコンテンツはどれも明確な理由をも って存在を述べることができる.このような成果物に対する説得力は『新しいシステ ムアプローチ』中にあるIBMピーターリー科学センターの適用事例でチェックラン ドが述べる 「第一に,根底にある概念モデルが,報告書のどの部分をもはっきりした明確さを持 って全体と関係付けられること可能にし,第二に,プレゼンテーションの基礎にある. 15.
(21) 諸仮定が明確にされることである」([2],P224) にも合致する結果である. なお短期間での SSM の適用であったため基本定義,概念モデルと現実との厳密な 比較は行われなかったが,文化的に望ましく実行可能な行為による変革は導け,Web 設計に対して有効なアプローチが可能であることが分かった.. 16.
(22) 第. 4. 章. 適 用 事 例 2 4.1. 研 究 室 の HP. 組織概要. 所属:北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科知識社会システム学専攻 組織名:複合システム論講座吉田研究室 構成員:助教授1名 博士後期課程2年1名 博士前期課程2年7名 博士前期課程1年4名. 4.2 4.2.1. SSM の適用 概要. 適用事例1では完全に部外者という立場で「介入」を行い SSM を適用したが,適用 事例 2 では研究室に所属する内部者として「介入」を行い SSM を適用した.また, 適用事例1ではプロジェクトの期限からリッチピクチャーからより多くの基本定義 と概念モデルの構築は不可能だったが,本研究では丹念にリッチピクチャーを作成し, より多くの関連システムと概念モデルの構築を試みた.このような繰り返しによって Web コンテンツを設計するにあたり,意図的な人間活動システムから作成されたコン テンツの説得力が増すであろうと考えたためである.. 4.2.2. モード 1 とモード 2 の違い. SSM の発展において『ソフト・システムズ方法論』ではモード 1「研究を行うため に SSM を活用する(using SSM to do a study)」とモード2「SSM を活用しながら仕 事を行う(doing work using SSM)」について論じている. モード 1 として使用されていた 70 年代までの SSM はコンサルタントという立場 で大学外の企業などに「部外者」として問題状況の中に参画し,「探索」する,介入 という形で主に研究が行われていた.それに対して 80 年代の研究では SSM を問題. 17.
(23) 状況の中の日常業務において使用し「学習」する相互作用という形での研究が行われ た.この結果,SSM はモード 1 とモード2の違いを区別するようになった. その違いとはモード 1 は SSM を公式的に適用するやり方として「SSM をメンタル な出発点として,何か行うことを構造化するために SSM を使用する」のにたいして, モード 2 は SSM を思考法として「これから行おうとしていることをメンタルな出発 点として,それを SSM に対応させるか,あるいは SSM を通してそれを意味付ける」 とチェックランドは述べている. また,このような二つのモードの実際的な違いはモード 1 の SSM がシステム観念 の枠組みを使用する現実世界の何らかの部分を探索し,それを改善しようとするため に 7 ステージ・モデルがフルスケールで使用される方法論であることと,モード 2 の SSM が SSM 自体を観念の枠としてとらえ,SSM を事象と観念の流れとの相互作用 を意識的に自省する方法論とし,探索の焦点を,問題状況を意図的に改善する自分流 のやり方を学習するプロセスとして非公式的な形で使用されうるという点である. 近年の SSM は以上のように二つのモードが存在することを言及している.特に極 端な形のモード2として内在化された SSM を使用することに関して,それが SSM を使ったということを明確に定義できる憲法的定義がある.. 4.2.3. SSM のモード 2 の使用について. 本適用事例では自分自身が内部の人間であるため,あたかも外部の人間としての問 題状況への「介入」が困難であった.そのため,自分の「役割」を「制作する」こと を日常の業務のようにとらえて行い,モード 2 を意識した使用をした.また,モード 1 とモード 2 はどちらか両極端になるべきではないとチェックランドは述べており, 絶え間なくモード1とモード 2 を意識的に切り替えた. ただし,以下の SSM の適用の経過は明らかにモード 1 によってなされた結果であ る.. 18.
(24) 4.2.4. リッチピクチャー 同研究室の学生、配属希望の学生 進学志望の学生、社会人. 何を伝えるのか? 研究室の発展:. Web. 人材の獲得 優秀な研究成果の増加 共同研究の提携 研究の引継ぎによる発展. 研究:. 研究室の活性化:. 研究論文 学会発表 ゼミ ミーティング. 雰囲気や文化、情報の共有 研究テーマの相互理解. 企業. 研究室. メンバー. OB. 場所: 立地 ブース ミーティング スペース. スケジュール. 競争が あって. 生活が あって. 人がいて. 歴史があって. 研究外:. 勉強があって 助け合って. 交流があって くつろいで. 雰囲気、文化 図 7. リッチピクチャー1(事例2). 19. 飲み会 合宿 お茶会.
(25) 研究室. 生活が あって. 人がいて 歴史があって. 交流. 勉強があって くつろいで. 助け合って. 雰囲気、文化. 4Fリフレッシュ ルームの管理. イベント好き. 就職活動に強い. 図 8. 幅広い学問分野: 社会学、システム学、 金融工学. 夜行性の 学生が多い. コーヒー基金. リッチピクチャー2(事例2). 研究室に関するリッチピクチャーをこのように描いた.研究室の持っている雰囲気 や文化をどのように伝えるべきかを描いたが,この文化とは SSM でいう「文化的に 実行可能」の文化を意図して描いたわけではない. リッチピクチャー1は研究室としての長期的目標から主な活動,それらに対する研 究室の持つ文化や雰囲気の関係を意識的に描いた.リッチピクチャー2は吉田研究室 の持つ特徴から雰囲気や文化への繋がりを示した.. 20.
(26) 4.2.5. 基本定義と概念モデル. 以上のリッチピクチャーから幾つかの関連システムを選択した.選択をする視点と して研究室の長期的目標である「研究室の発展,活性化」に関係があると思われる関 連システムを意図的に選択した. RD1:研究室の研究内容を外部に知ってもらうために,Web 上でメンバーのペー ジを作ることによって,研究テーマを公開するシステム RD2:研究室を訪れたいと思う人のために,Web 上で研究室までの道順を示すこ とによって,外来の人を案内するシステム RD3:研究室内を活性化させるために,Web 上でゼミ情報を公開することによっ て,情報を共有するシステム RD4:研究室としての活動を外部に知ってもらうために,Web 上でゼミ情報を公 開することによって,研究活動を PR するシステム RD5:研究室の活性化を促すために,Web 上で交流の情報を公開することによっ て,文化を共有するシステム RD6:研究室に来たことがない人が親しみを持ってもらうために,Web 上で交流 の情報を公開することによって,研究室の雰囲気を伝えるシステム RD7:研究室の発展に必要な人材を獲得するために,Web 上で就職先を公開する ことによって,就職活動の強さを PR するシステム RD8:様々な分野の学生,社会人に研究室を知ってもらうために,Web 上で研究 の幅広い分野と成果を公開することで,研究活動を PR するシステム RD9:研究室の活性化を促すために,Web 上で一年間のスケジュールを公開する ことで,情報共有をするシステム RD10:研究室へ配属希望の学生や進学希望者のために,Web 上で 1 年間のスケ ジュールを公開することで,研究生活を伝えるシステム これらの基本定義を記述する時に一つのシステムが対象とする人(受損益者)によ って違った定義になることが明らかになった.チェックランドの世界観の違いによる システムの捉え方の違いは他者との違いであるが,Web が対象とする人が様々である 場合の Web コンテンツを設計する際には設計者による見方も異なる定義が必要であ ろう.これらの基本定義の CATWOE 分析を行い,概念モデルを構築した.. 21.
(27) 基本定義 研究室の研究内容を外部に知ってもらうために、Web上でメンバーのページを作 ることによって、研究テーマを公開するシステム C:研究室外の閲覧者 A:Web制作者 T:メンバーの研究 → 外部に公開された研究テーマ W:研究室外へメンバーの研究テーマを公開することは研究室の活動を知ってもら うために必要である。これにより研究室の発展、活性化を促すことは可能である。 O:研究室 E:メンバーの情報提供、プライバシー 1.外部への情報の 必要性を吟味する 3.プライバシーに ついて吟味する 2.必要な情報を 検討する. 5.公開する形式 を検討する. 4.必要な情報を 収集する. 7.ページを 作成する. 6.ページを 公開する. 基準値を 決める. モニタする. コントロールする. *可動性:必要な情報は集まるか? 効率性:公開すべき情報は適切な量か? 有効性:この活動により研究室の発展、活性化は促せるか?. 図 9. RD1に基づく CATWOE 分析および概念モデル. 22.
(28) 基本定義 研究室を訪れたいと思う人のために、Web上で研究室までの道順を示すことによ って、外来の人を案内するシステム C:外来希望の閲覧者 A:Web制作者 T:研究室 → 道順の分かりやすくなった研究室 W:外来を希望する人は研究室の発展や活性化に貢献するであろう。そのような人 にWeb上で道順を示すことは研究室への来訪の抵抗感をなくすだろう O:研究室 E:収集できる情報と表現 1.外来希望者の案内の ニーズを吟味する 3.収集できる情報と 量を検討する 2.案内の表現を 検討する. 5.情報を 編集する. 4.情報を 収集する. 7.ページを 公開する. 6.ページを 生成する. 基準値を 決める. モニタする. コントロールする. *可動性:必要な情報は集まるか? 効率性:公開すべき情報は適切な量か? 有効性:この活動により研究室の発展、活性化は促せるか? 図 10. RD2に基づく CATWOE 分析および概念モデル. 23.
(29) 基本定義 研究室内を活性化させるために、Web上でゼミ情報を公開することによって、情報 を共有するシステム C:研究室のメンバー A:Web制作者 T:不足している情報の共有 → 少しでも充実した情報の共有 W:情報の共有を積極的に行うことは相互に理解できる研究領域を広げ、研究の活 性化につながる O:研究室 E:収集できる情報量と内容量の制限 1.研究を活性化させる 情報について吟味する. 2.共有の意義を 吟味する. 4.情報を公開す る範囲を決める. 3.ゼミの情報を 集める. 5.情報を 編集する 6.ページを 生成する. 7.ページを 公開する. 基準値を 決める. モニタする. コントロールする. *可動性:ゼミ情報は集まるか? 効率性:情報の量は適切か? 有効性:活性化につながるページになるか? 図 11. RD3に基づく CATWOE 分析および概念モデル. 24.
(30) 基本定義 研究室としての活動を外部に知ってもらうために、Web上でゼミ情報を公開するこ とによって、研究活動をPRするシステム C:外部からの閲覧者 A:Web制作者 T:研究室 → PRによって外部に知られた研究室 W:研究活動を知ってもらうことは外部の人が研究室に興味や理解を持つことを促 す。それによって人材の獲得や外部からの研究室の活性化は可能である O:研究室 E:収集できる情報量と内容の制限 1.外部からの閲覧者にとっ ての情報の意義を吟味する. 2.必要な情報を 検討する. 3.ゼミの情報を 集める. 4.情報を公開す る範囲を決める. 5.適切な表現を 吟味する. 5.情報を 編集する 6.ページを 生成する. 7.ページを 公開する. 基準値を 決める. モニタする. コントロールする. *可動性:ゼミ情報は集まるか? 効率性:情報の量は適切か? 有効性:外部へのPRができるページになるか? 図 12. RD4に基づく CATWOE 分析および概念モデル. 25.
(31) 基本定義 研究室の活性化を促すために、Web上で交流の情報を公開することによって、文 化を共有するシステム C:研究室のメンバー A:Web制作者 T:研究室のメンバー → 交流活動を共有した研究室メンバー W:研究室の文化を共有することは相互に理解を促し、共通の価値観を築く。このよ うな活動によりメンバー間の交流は活発となり、研究も活性化する O:研究室 E:収集できる情報、情報の公開の適切さ 1.研究室の交流に ついて吟味する 2.交流活動の情 報を検討する. 4.情報を 収集する. 3.公開できる 情報を吟味する. 6.表現を 検討する. 5.情報を 選択する 8.ページを 公開する. 7.ページを 生成する. 基準値を 決める. モニタする. コントロールする. *可動性:公開できる情報は集まるか? 効率性:集めた情報が適切な量か? 有効性:この活動によって研究室は活性化を促せるか?. 図 13. RD5に基づく CATWOE 分析および概念モデル. 26.
(32) 基本定義 研究室に来たことがない人が親しみを持ってもらうために、Web上で交流の情報を 公開することによって、研究室の雰囲気を伝えるシステム C:外部からの閲覧者 A:Web制作者 T:研究室 → 雰囲気の伝わった研究室 W:研究室に興味を持っている人にWeb上で雰囲気を伝えることは研究室に対する 親しみを持ってくれるだろう。そのような親しみやすさが多くの人材をひきつける O:研究室 E:収集できる情報、情報の公開の適切さ 2.公開できる情報の 適切さを吟味する. 1.外部の人間にとっての 研究室の交流の意義を 吟味する 3.親しみやすさに ついて吟味する. 4.交流活動の 情報を検討する 5.情報を編 集する. 6.情報を 収集する 8.ページを 公開する. 7.ページを 生成する. 基準値を 決める. モニタする. コントロールする. *可動性:公開できる情報は集まるか? 効率性:集めた情報に対する公開できる情報の量 有効性:外部の人に親しみを与えるページになっているか? 図 14. RD6に基づく CATWOE 分析および概念モデル. 27.
(33) 基本定義 研究室の発展に必要な人材を獲得するために、Web上で就職先を公開することに よって、就職活動の強さをPRするシステム C:外部からの閲覧者 A:Web制作者 T:研究室 → 外部にPRできた研究室 W:研究室の歴史であるOBの就職先をPRすることは外部の閲覧者にとって有意義 な情報でありえるし、この活動により学生を獲得できる O:研究室 E:公開できる情報内容 1.OBのプライバシーを 吟味する. 2.情報を 収集する 3.外部に公開する 適切さを吟味する 4.情報を編 集する 6.ページを 公開する. 5.ページを 生成する. 基準値を 決める. モニタする. コントロールする. *可動性:情報は公開できるのか? 効率性:適切な量の情報か? 有効性:この活動によりPRは可能か? 図 15. RD7に基づく CATWOE 分析および概念モデル. 28.
(34) 基本定義 様々な分野の学生、社会人に研究室を知ってもらうために、Web上で研究の幅広 い分野と成果を公開することで、研究活動をPRするシステム C:外部からの閲覧者 A:Web制作者 T:研究室 → 研究活動の伝わった研究室 W:研究室の発展のために研究を引き継げるような人材や新しい分野を目指す人 のために研究分野や成果を公開することは有意義である O:研究室 E:研究に関する情報の量 1.外部の人にとっての 情報の意義について 吟味する. 2.研究分野を 把握する. 4.専門分野の 分かりやすい 説明を吟味する. 3.研究分野を 分類する. 5.研究成果の 情報を収集する. 6.ページを 生成する 7.ページを 公開する. 基準値を 決める. モニタする. コントロールする. *可動性:情報は集め、分類できるか? 効率性:収集した情報に対するコンテンツになった量 有効性:この活動により閲覧者に研究活動は伝わるか? 図 16. RD8に基づく CATWOE 分析および概念モデル. 29.
(35) 基本定義 研究室の活性化を促すために、Web上で一年間のスケジュールを公開すること で、情報共有をするシステム C:研究室のメンバー A:Web制作者 T:研究室メンバー → 年間スケジュールを情報共有したメンバー W:研究室内での情報共有はメンバー間の積極的な交流を促し、研究活動の活性 化のために重要である O:研究室 E:共有するのに適切な情報 1.共有すべき情報の 必要性について吟味する. 2.情報源を 検討する. 5.情報を 編集する. 3.更新する頻度を 検討する. 4.情報を 収集する 7.ページを 公開する. 6.ページを 生成する. 基準値を 決める. モニタする. コントロールする. *可動性:継続的な情報のソースは得られるか? 効率性:どれくらいの頻度で更新するか? 有効性:情報の共有による研究室の活性化は促せるか?. 図 17. RD9に基づく CATWOE 分析および概念モデル. 30.
(36) 基本定義 研究室へ配属希望の学生や進学希望者が研究生活をイメージできるようにするため に、Web上で1年間のスケジュールを公開することで、研究生活を伝えるシステム C:研究室の部外者 A:Web制作者 T:不明な研究生活のイメージ → 具体的な研究生活のイメージ W:研究室の生活を外部に公開することは研究室の部外者にとって具体的な研究 生活のイメージを抱かせる。このような活動により、より研究室の生活を理解した 学生を導くことができる O:研究室 E:収集できる情報と公開の適切さ 1.情報のニーズに ついて吟味する. 2.情報源を 検討する. 4.情報の適切さに ついて吟味する. 3.情報を 収集する. 5.更新する 頻度を検討する. 6.情報を 選択する 8.ページを 公開する. 7.ページを 生成する. 基準値を 決める. モニタする. コントロールする. *可動性:研究生活の情報は集まるか? 効率性:どれくらいの頻度で更新するか? 有効性:この活動により研究生活のイメージは湧くか? 図 18. RD10に基づく CATWOE 分析および概念モデル. 31.
(37) 4.2.6. 比較. 比較のステージでは基本定義から現実世界の設計活動においてコンテンツ自体が設 計可能かについての比較を行った. コンテンツとして RD の番号 望ましいか? 設計可能か? コメント メンバーに関わることなのでプライバシーの配慮に 1 Yes Yes ついて気を付けるべきである. Web 上で確認するのは何気ない行為だと思われる のでなるべくイメージしやすい情報を選ぶべきであ 2 Yes Yes る. 研究室の活性化を目的としているのでなるべくゼミ に参加してないメンバーにも分かりやすく具体的なコ ンテンツにすべきである. 3 Yes Yes 研究活動の PR のためのコンテンツなので何を何 のために行っているか等を明確に説明すべきであ 4 Yes Yes る. リッチピクチャーに描かれた交流の他にも様々なも のが存在するであろうから,それらの情報をどのよう 5 Yes Yes に収集していくかが重要である. あくまで研究室内部での交流のコンテンツなので 外部からの閲覧者に親しみではなく疎外感を与えな いように気を付けるべきである. 6 Yes Yes 設計可能であるが,嫌味になる可能性がある.コン テンツとしてはページではなく付け加える程度が望ま 7 Yes/No Yes しい. 専門分野の説明になるので一読して理解可能なよ 8 Yes Yes うに設計する配慮が必要 情報を共有するためのコンテンツなので過去の情 報ではなく,これからの情報をどのように収集するか 9 Yes Yes が問題 研究生活を理解してもらうためのコンテンツなので 内部からの視点ではなく外部からの視点で設計する 10 Yes Yes ことが必要. 32.
(38) 4.2.7. コンテンツ構造. SSM の適用により以下の内容のコンテンツになった.Web サイトにおける各コン. テンツの存在意義について,基本定義と概念モデルに記述された説明による製作の意 図が明確なコンテンツの作成が行われた.また,比較ステージで行った望ましさやコ メントにより現実的に設計可能なコンテンツが導かれた. 基本定義,概念モデルとそれによって作成されたコンテンツの対応は以下の通りで ある. 研究室について:RD8 研究テーマ:RD1 就職の実績:RD7 スケジュール:RD9,RD10 ゼミ活動:RD3,RD4 2001年 OB 会:RD5,RD6 研究室への案内:RD2. このサイトについて 研究室について 研究テーマ メンバー 就職の実績. トップページ. スケジュール. 研究室の1年間 ゼミ活動. 2001年OB会. イベント. ご来訪をご希望の方へ. 研究室への 案内. リンク 図 19. SSM 適用によるコンテンツの構造(事例 2). 33.
(39) ここでこれらのコンテンツがどのような目的のために制作されたかを確認したい. 研究室について: 多分野にわたる研究内容を整理して分かりやすく伝えるためのコンテンツである. このコンテンツにより研究の方向性を内外に示すことを目的としている. 研究テーマ: 研究室の現在の研究状況を伝えるためのコンテンツである.これにより外部からは どのような研究が盛んな研究室かを伝えられるとともに研究室内ではお互いがど のようなことを行っているかを知ることができることを目的としている. 就職の実績: あまり前面に出して公開するべきではないと比較ステージで認識したが,研究室内 外に実績として「歴史」を伝えるためのコンテンツである. スケジュール: 研究室のスケジュール公開により,実際の研究生活を伝えるためにあるコンテンツ である.また,研究室内ではスケジュールの確認とともに研究室としての活動を把 握する目的もある. ゼミ活動: 研究活動の一環としてゼミ活動をPRするために作られている.また,研究室内で ゼミに参加してない学生が現状の研究室の活動を把握する目的もある. 2001年 OB 会: 研究室内の「交流」を内外に示すために作られている.これにより外部へは課外活 動での研究室の雰囲気を伝えることもでき,研究室内では過去の出来事を振り返る とともに参加していなかった人も「交流」を共有する目的もある. 研究室への案内: 外部からの閲覧者が実際の研究室までの道を知ることにより,より身近な場所とし て認識してもらうためのコンテンツである. このようにSSMの適用によって各コンテンツが明確な理由と目的によって制作 されうることが確認できた.. 34.
(40) 第. 5. 章. 考 察 5.1. 介入者の立場. 適用事例を 2 つ挙げたがこの中で Web というものの扱いが 「手段」 であるのか, 「目 的」であるのかという視点が生まれた.Web がもし「手段」であるのならば問いは「ど ういう活動を Web でしたら良いか?」になる.また,Web が「目的」であるとする ならば「Web をどうすれば良いか?」という問いになる. 適用事例 1 を見ると基本定義は「企業理念(高度循環型社会への提言を,製品,技 術力,将来性について HP 上で公開することにより(会社を)PR できる(自らが実 行する)システム)となっており,Web が「手段」であることが分かる.リッチピク チャーも Web によって何をするかを記述してあるのでこのような基本定義が生まれ たのにも説得力がある.一方,適用事例 2 では「介入者」である自分が同時に「制作 者」であったため,情報を収集し,ページを作成するという活動がどの概念モデルに も含まれてしまい,基本定義の Z が他にあるにせよ,Web を作成すること自体が「目 的」となっていることが分かる. この二つの違いが主な視点が「計画者」と「制作者」にあると思われる.現実世界 に介入する際に自分の立場がそのどちらかであるかによって基本定義が異なってく るためそのような違いが生まれるのであろう.Web を作成するに当たって現実世界の 漠然とした不安を感じる“ソフト”な問題状況に関わり SSM の適用により意図的な 行為が導かれることは両方の事例で示せたが,この二つの事例を見ると「計画者」の 視点の方が「制作者」という視点よりもシステムの階層が高いと思われる. 「計画者」 の立場ではより抽象的な改革案が提案され,詳細な Web の作成の影響を示唆できな い.それに対して「設計者」という立場では Web への具体的な影響を及ぼす代わり にその行為自体が階層の高いシステムによって制限されうる. このような考察からもし Web を制作するにあたって SSM を適用するならば Web を「手段」としてとらえる「計画者」の立場をとるのか, 「目的」としてとらえる「制. 35.
(41) 作者」としてとらえるのか明確な線を引いてから適用すべきであろう.また,システ ムの階層性という観点からそのどちらもが相互に関係しあった人間活動システムを 導くことがシステムアプローチとして望ましい態度であると思われる.. 36.
(42) 第. 6. 章. 結 論 2 つの SSM を適用した事例により,Web 設計に対してシステムアプローチが有効. であることを示した.SSM の適用が可能になることは終わりない学習のサイクルに 設計活動を載せることが可能になったことを意味している.Web を“ソフト”な視点 から捉えたとき,最適な解はないということは研究背景で述べたが解を解決のプロセ スの中にのせることができれば知覚される問題状況に対して繰り返しアプローチが 行えるはずである. また優れた SSM ユーザーであれば「政治システム」の分析や「社会システム」の 分析を十分に行った適用による設計も可能になるものと思われる.. 6.1 6.1.1. 今後の研究課題 基準値の決定について. 適用事例2では概念モデルの伝統的な基準値である3E(可動性(efficacy),効率性 (efficiency),有効性(effectiveness))に従って基準値を設定したが,概念モデルを再. 考すると可動性と効率性の設定が非常に甘くなっていることが分かる.人間活動を一 般的に見るとき,それらの基準値は非常に重要な要素であることは先行研究でも分か るが,適用事例2のように如何にして人間活動から Web コンテンツを設計するかを 主眼とした場合,他の基準値を設定する余地があると思われる. 『ソフト・システムズ方法論』の中では3E に倫理性(ethicality)と洗練性(elegance) を加えた5E を設け倫理と美学が基準の対象に加えられると述べられている.適用事 例2でプライバシーに考慮するモデルが存在したことやコンテンツをどのように解 説し,閲覧者に理解を促すかといった視点からこれらの基準値を重要視した概念モデ ルを構築することも Web コンテンツ設計に対して SSM を適用する場合,有効であろ う. 対象とする Web コンテンツの性質により,どのような基準値によって設計する人 間活動をコントロールすることがより有効な概念モデルの構築を可能にするかは今. 37.
(43) 後の研究課題とする.. 38.
(44) 謝 辞 2001 年は SSM の背景と主旨がいつまでも理解できずに非常に困り,1 年間ずっと. 右往左往の日々の繰り返しでした.そのような中で指導教官である吉田助教授には忍 耐強く私のような覚えの悪い学生に熱心に指導をしていただき感謝の気持ちでいっ ぱいです. また,共同研究で行われたプロジェクトでは株式会社 ACTREE の増井様,綿崎様 に大切な場に参加をさせていただき,非常に感謝しております. 私の拙い SSM の使用に対してミーティングに参加して協力していただいた研究室 のメンバーにもありがたく思っています. 最後に 24 歳という年齢にもなって働きもしないで学生をやっている自分に対して 寛容な心で石川での一人暮らしの心の支えになってくれた自分の家族に感謝をした いと思います.. 39.
(45) 参 考 文 献 [1]. Peter Checkland, Jim Scholes, Soft Systems Methodology in Action, 1990,. (妹尾堅一郎,木嶋恭一,平野雅章,根来龍之訳,ソフト・システムズ方法論, 有斐閣,1994) [2]. Peter Checkland, Systems Thinking, Systems Practice, 1981(高原康彦,中野. 文平監訳,新しいシステムアプローチ ―システム思考とシステム実践―,オー ム社,1985) [3]. Clement Mok, Designing Business, 1996,(林亨監修,Web デザイン・ビジネ. ス,株式会社エムディエヌコーポレーション,1997) [4]. Jakob Nielsen, Designing Web Usability, 2000, (篠原稔和監修,ウェブ・ユー. ザビリティ. 顧客を逃さないサイトづくりの秘訣,株式会社エムディエヌコーポレー. ション,2000) [5]. Jared M.Spool, Tara Scanlon, Will Schroeder, Carlyn Snyder, Terri DeAngelo,. Web Site Usability:A Designer’s Guide, 1999(篠原稔和監訳,Web サイトユーザビ. リティ入門 [6]. サイトの「使いやすさ」を考える,株式会社トッパン,2000). Louis Rosenfeld, Peter Morville, Information Architecture for the World. Wide Web, 1998,(篠原稔和監訳,情報アーキテクチャ入門. ウェブサイトとイント. ラネットの情報整理術,株式会社オライリー・ジャパン,1998). 40.
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