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JAIST Repository: 研究開発のイノベーション・プロセス : 6眼モデルにもとづく研究開発主体の発展的変化(イノベーションのジレンマへの日本型の解(1))

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Academic year: 2021

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(1)

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

研究開発のイノベーション・プロセス : 6眼モデルに

もとづく研究開発主体の発展的変化(<ホットイシュー

>イノベーションのジレンマへの日本型の解(1))

Author(s)

吉永, 崇史; 遠山, 亮子

Citation

年次学術大会講演要旨集, 19: 111-114

Issue Date

2004-10-15

Type

Conference Paper

Text version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/10119/7019

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す

るものです。This material is posted here with

permission of the Japan Society for Science

Policy and Research Management.

(2)

lB05

研究開発のイノベーション・プロセス

6 服モデルにもとづ く 研究開発主体の 発展的変化 一 0

吉永崇史,遠山亮子

( 北陸先端科学技術大学院大 ) 要約 : 本栖では,過去の 経験を重視しかつ 過去に縛られない ,独白のイノベーション・プロセスの 構築を日的として , 6 眼モ デル ( 林 , 1999:2001:2004) にもとづく,研究開発主体の 未来展望と過去展望の 相 圧 作用を核としたイノベーション プロセスの提案を 行った.更に , 口茶企業内研究所における 研究開発プロジェクト・チームを 対象とした 当 プロセスの 実証研究に先立って 行った予備調査の 結果を検討し 当プロセスが 概ね妥当であ るとの見通しを 得たことを報告した キーワード : イノベ - ション・プロセス , 6 眼 モデル,構造の 再構成 研究の背景と 目的 と 知識」, 「マインメント・システム」, 「物理的なシス イノベーションの 本質は過去の 延長線上にない 非 テム」を挙げている. このことを NonakaandTakeuch 」 連続性にあ る (Schumpeter, 193 りが,従来は ,その (1995) ㈹知識創造モデルの 枠組みで捉えれば ,個人 プロセスが,非連続的な (radical) イノベーション と, のもつ価値観のレベルに 近づけば近づくほど 変えにく それから生まれた 技術を持続的に 改良する漸進的な く,それに縛られやすくなる.その ょう な状況にⅡ系 (incremental) イノベーションによって 成り立つと説 企業が今後対応するために ,我々は非連続的か 連続的 明 されてきた㎝ osenberg, 1982). また, この枠組み か, といった従来の 枠組みにとらわれない ,過去を大 の下では,漸進的なイノベーションにおいて 優位な立 切にしつつ, , 方で過去に縛られない イ / ベーショ 場 にあ るのが日系企業の 特徴であ るとされてきた.つ ン ・プロセスを 模索していくことが 必要なのではない まり,固定化した 取引慣行や流動性が 低く安定的な 労 かという問題意識を 持つに至った・ 働 市場に支えられて 実現した経験の 文脈的共有から 得 以 L の背景及び問題意識から ,我々は, この「 最 られた知識資産の 積み上げ ( 後藤, 2000) によって , も 変えにくいもの」に 対し企業のイノベーション 活 連続的で着実な 技術開発を行ってきたと 理解されてき 動のコアであ る研究開発活動に 携わる研究開発者個人 たのであ る 及びその構成組織であ る研究開発プロジェクト・ チ一 しかし,近年の 急速な科学の 進歩と TT 技術の飛躍 ムの 両側面から接近していきたいと 考える・そして , 的な上昇により ,既存技術の 破壊をもたらす イ / ベ一 それがより端的に 可視化できるものとして ,個人の レ ションが起こる 頻度が従来よりも 高まることで , 日系 ベルにおいては 個人の価値観を 他者に説明可能なもの 企業の優位性が 失われることが 危惧されている.破壊 にしたものという 意味で「問題意識」を ,他方,組織 曲技術の下では ,過去に積み 上げてきた知的資産は 陳 のレベルでは ,それらの集合体という 意味で「コンセ 腐化するどころか ,むしろ有害になりかれないとされ プト」に着目する・ これらをどう 質的に変化させてい ている (Christensen, 1997). また, Leonard (1995) けばよいのか ,またそのプロセスはどのようなものな は,「過去の 蓄積」によって 構築されてきたコア・ケイ のか, ということを 明らかにすることを 試みる・ パビリティが ,それに固執することによってコア・ リ ジ ディティ ( 硬質性 ) へと変質し,イノベ - ションの 2. 本研究の枠組み 阻害要因となることを 示した. し eonard(1995) は更に , 我々は,研究の 枠組みづくりにあ たって, 主体と コア・ケイパビリティのコア・ リジ ディティ化への 対 しての同 - 性を保ちつつ , 同時に発展的な 変化をし 続 応 が困難な順に ,「 ( 組織 ) の価値」,「 ( 個人の ) スキル けていくプロセスに 関連した先行研究を 検討した・ そ

(3)

の 結果, 発達心理 アの 領域であ る時間的展望 (time perspcctive), 林 (1999: 2001: 2004) が開発した, 時間軸 ( 過去と末人 ), パラパラバイム 軸 ( アナロバと デジタル ), t, 体 ・客体 軸 ( H; 体と 客体 ) の 6 つの 視 " 、 から成る,構成論的なアプローチにもとづく 6 眼 モデ ル,及び研究開発のコンセブ ト 再構築プロセス ( 吉永・ 遠 Ⅱ @, 200 のを取りⅡげるとともに ,それらの知見か ら , 「 過 よの再構成」の 概念に着 [] するに至った. 附 n:@ 的 展望とは, あ る - 定の時点における 個人の 心理的過よおよび 人来についての 見解の総体を 指す ㏄ ewin, 1951:1979; 白井, 1997). 奥田 (2002) は , 時間的経過というよりはむしろ 何らかのイベントに 遭 遇することによって 過去展望の魚味付けが 変容する調 査結果に注目し ,過去展望の 再構成が現在の 変化によ って常に行われており ,その過程が 主体の発達に 影響 を及ぼすことを ボ 唆した. 林 (2004) は, 主体が過去・ 未来の視点を 移動さ せることによって ,その結果再構成された 世界の変化 を見ることができるとしている. 「過去」は,相対的に 変りにくい, したがって l 構造」化したあ る部分的現 実のインタラクティブ・バター ン であ り,確定的だと 誤解されるものであ る一方,「未来」は ,主体が心に 描 く望ましく, かつ直接的には 未経験の「目的」ないし は「ビジョン」であ り,それは主体にとっては 不確実 的なものであ る ( 林 , 2001 :2004). 「現在」は,「過去」 と 「未来」の交差する 場であ り,そこには 問題に対す る意識が発生しそれは 常に変化する ( 林 , 2004). なかでも過去の 延長戦」こにない「未来」から 見た @ 過去」の再構成のプロセスは ,創造性を考える 上で も 意義深い. 林 (2004) は,過去に縛られない 未来の デザインを行 う とと 4 む @@ @@, 未経験の未来の 新しい方法 を実践することが 創造性にっながるとし 実験を繰り返 している.寺島 (1998) も,企業内研究者の 創造性に 影響を与える 要因として,難しい 仕事や新しいプロジ ェクトへの参加を 通じた成功体験によって 現在の仕事 領域に関連した 知識の獲得を 行う能力であ る「コン ヒ 。 テンス」があ ることを示唆している. では,過去の 再構成は具体的にどのようなプロセ スで行われるのであ ろうか.吉永・ 遠山 (2004) は , 日系企業内研究所内で 行われた研究開発プロジェク ト ・チームを対象とした 調査を行い,研究開発コンセ プトのポジディブなイメージへの 変容を伴った 再構築 プロセスが, 「問題の創出」, 「答えの生成」, 「実践」の 段階を経ることをボ 唆した.我々はこのプロセスを 過 去の再構成という 視点から捉え 直し問題を認識して , それをポジティブなアプローチで 発展的に解消し , そ こから新たな 問題を創造する 流れであ ると解釈した. 似にの 検討から,我々は ,過去の延長線 U: にない ポ ジディブな未来を 想像し,それによって 現在が新た に解釈され,その 解釈によって 構造が再構成され 受容 されるプロセスこそが ,創造的なイノベーション・プ ロセスであ ると仮定した. このプロセスは , 常に「未 来」の視点と 「過去」の視点とが 現在を通じて 相互 作 , 崩 しているという 特徴をもつ.我々は ,その具体的な ステップを,個人・ 組織どちらにも 適用できるよう , 林 (1999) に習って「末末」を 旧約」,「過去」を @ 構 造」 と定義した ヒ で, コンセブ ト 再構築プロセス ( 吉 永 ・遠山, 200

りを

6 眼 モデルに基づいて 再 解釈し ド 記の 4 段階から成ると 仮定した ( 図 1 参照 ). (1) 「あ るべき姿と現状のギャップを 知覚」 : 主体が取 り巻く現実世界 ( 「 eality) ( 林 , 2004 の時間軸 ) を 知覚する段階であ る. (2) 「問題意識 ( 個人 ) ないしコンセプト ( 組織 ) の 認識」 : 主体がその未来展望及び 過去展望から 知覚 したものを受け 止め,個人の 問題意識, ないし 組 織の コンセブ ト として外に表れる 段階 ( 林 , 2004 の主体・客体 軸 ) であ る. (3) 「大体験の方法を 想像し目的をデザイン㈲ 既に五 感で知覚し体験したことを 可視化し構造を 構 成 」 : 「未来」の想像 (imagination) と「 過

均の

可視化 (visualization) ( 林 , 1999) を同時に行 い, 目的と構造を 明確にする段階であ る. (4) 「目的の実践 目 構造の再構成」 : 明確になった 目的 が 実践され,同様に 明確になった 構造が再構成さ れる段階であ る.

尚 , 当 プロセスは, Nonaka and Takeuchi (1995)

の知識創造プロセスを 未来と過去の 相互作用の観点か

ら 捉え直したものと 考えることができるが ,未来と過

去の相互作用の 結果が , 常に問題意識ないしはコンセ

(4)

図 1. 6 服モデルにもとづく 問題意識・コンセプトの 発展的変化プロセス 現在

トロ

変ィ

-

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一目笑﹁・・

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成一

3. 予備調査の方法 尚 , Y 氏のメジャー・イベントは 2 つあ り,いずれも「 目 3,1. 対象と調査期間 的の実践と構造の 再構成」の段階に 起こっている 我々は ,当 プロセスを実証する 目的で,大手口系 (1) 「あ るべき姿と現状のギャップを 知覚」 (1996 年下 メーカー A 社の企業内研究所で 行われている 探索的な 期 ) 研究開発プロジェクト・チームのコンセプト 形成に中 開発現場でモノ 作りを初体験した.現場での 研究 心的な役割を 担っているマネ、 ジャー K 氏及び研究員 V はここから始まった (= あ るべき姿と現状のギャ 氏の 2 名を対象として , 2004 年 7 月から 8 月にかけて ップ の知覚 ) という意識でいる 予備調査を行った. 尚 ,予備調査では 個人の問題意識 (2) 「問題意識の 認識」 (1997 年 ) の 発展的な変化に 聴取内容を絞った 具体的な問題意識に 基づいて海外の 関連技術カン 3.2. 手続き ファレンスに 出席し,その 確認 ( 二間題意識の 認 本 プロジェクトに 関連深いイベントを 想起させた 識 ) な 行った 後,イベント 毎にその意味とイベント 間で生 - じた意識 (3) 「目的のデザインと 構造の構成」 (1997 年∼ 2000 の 変化について 聴取した. K 氏, V 氏,更に K 氏の順に 午 ) 計 3 回インタビューを 行い,個人的にインパクトが あ 経験によって 技術の土台作りをする (= 構造の構 っ たと感じているイベント ( 以下, メジャー・イベン 戒 ) と 共に,開発現場のみならず 社内の仕組み・ トと表記する ) を同定させた.それらのイベントを 持 社外や異なる 分野に目がいった ( 二目的のデザイ 系列に整理した 上で,それらが 当 モデルのどの 段階に ン ). その後,技術の 方向性についての 意識が変化 あ たるかについて ,定性分析の 下に類型を試みた した (4) 「目的の実践と 構造の再構成」 (2001 年∼ 2003 年 ) 4. 予備調査の結果と 考察 設計から製品化の 直前まで 1 人で仕事をするとい 4.1. 結果 った 新しい体験を 重ねながら (= 目的の実践 ), 技 予備調査の結果,計 49 個のイベント (1990 年 4 術に取り組むアプローチについての 意識が変化し 月 ∼ 2004 年 6 月 ) を得た・ まず K 氏, y 氏が独立して た.その後,浅く 広く技術を覚えるという 意識で それぞれ 26 イベント, 12 イベントを列挙し Y 氏の 歩んできたつもりが ,実は特定の 技術の専門家に イベントを受けて ,更に 11 イベントが K 氏によって 追 既になっていることがわかった (= 構造の再構成 ) 加された.下記に ,何 として, Y 氏のイベントを 時系列 また,その専門家が 今までに体験したことがない に 整理し当モデルに 当てはめて分析した 結果を示す 状況に対応するソリューションを 意識 ( 二間題意

(5)

識の創造的発展 ) するに至った・ 4.2. 考察 - チ 備 調査の結果から ,我々の提案したプロセスが 概 ね研究枠組みどおりに 推移している 見通しを得た・ 今 後 分析を進めていく 上での示唆としては ,次の二点が 挙げられる.まず ,研究枠組みの 前提通り, Y 氏は末体 験なものについてポジティブな 意識であ ったことを踏 まえ,その要因が 何かということを 今後見極める 必要 があ る.次に, Y 氏は「実践と 構造の再構成」段階にメ ジャー・イベントが 集中したことを 踏まえ,本人が 抱 くインパクト と ,問題意識の 質的な変化の 関係にっ い て 詳細に検討する 必要があ る 5. まとめと今後の 課題 我々は,理論的背景にもとづき ,個人の問題意識 や 組織としてのコンセプトが 発展的に変化していく 眉 lj 造 的なイノベーション・プロセスの 枠組みを提案した・ 今後,実証研究のための 本調査の手続きを 確立す るとともに, 当 プロセスと創造性との 関係,及び問題 意識の変化とコンセブ ト の変化との関係を 明らかにす る手続きの検討を 行っていく・ 謝辞 本研究に際して ,貴重なアドバイスをいただいた 青山学院大学国際マネジメント 研究科 林 吉郎教授及び 北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科藤波発助 教授に , 厚く御礼を申し 上げる・ 尚 ,本研究は,北陸先端科学技術大学院大学 21 世 紀 COE プロバラム「知識科学に 基づく科学技術の 創造 と実践」研究拠点形成事業の 下に行われた・ 引用文献 [l] Christensen, C. M. 1997. ℡ e 血刀。 巧 tor , s

OJ.le 血尼 The President and Fellows of Harvard

College. ( 伊豆 原弓訳 『イノベーションのジレン マ 』翔汰 社 , 2000 ・ ) L2] 後藤晃. 2000 . 丁 イノベーションと 日本経済 コ岩 波 書店 [3] 林 吉郎. 1999. 「大眼討議 : 「違い」のマネジメン ト ・シュミレーション」 T 慶庵経営論集』 17, 73-92 [4] ---. 2001. 「 6 服モデル (H ループ ) : 人間と 世界のモデル」 F 青山国際政経論集』 54, 149-168. [5 コ ---. 2004. 「ポストモダン 研究方法 :6 眼のパ ラダイム・シフト」『青山国際政経論集』 62, 203-217.

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図 1.  6  服モデルにもとづく  問題意識・コンセプトの  発展的変化プロセス  現在       トロ 変ィ 的         ︵  ‑   | ﹁ ‑ 一目笑﹁・・ 壌 ︐一橋 再 ‑     識 認 の @lllll     セ ‑ 廠 成一          3.  予備調査の方法  尚 ,  Y  氏のメジャー・イベントは  2  つあ り,いずれも「  目  3,1.  対象と調査期間  的の実践と構造の  再構成」の段階に  起こっている     我々は ,当  プロセスを実証する 

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