Author(s)
田村, 三智子
Citation
沖縄大学法経学部紀要 = Okinawa University JOURNAL
OF LAW & ECONOMICS(9): 15-21
Issue Date
2007-12-31
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/5982
沖縄大学法経学部紀要 第9号
【研究 ノー ト】
地域住民のネ ットワーク形成に関する一考察
一商店街活性化研究か らのアプローチ ー
Astudyofalocalcommurlitynetwork
田 村 三智子 (MichikoTAMURA) キーワー ド :地域活性化、 ネ ットワー ク、多極的複眼型組織 1 は じめに 沖縄ブームといわれ るよ うにな って、かな りの時間が経 った。その間、沖縄県 の観光客数は増加 の一途 をたど り、平成18年には560万人を突破 し、今後 さらに観光客 が増加す ることが予測 されてい る。沖縄県 における観光産業は、 ます ます重要性 を強めてい くであろう。 しか し、 リピーターが7割 を占めるなかで、観光客 の欲求が徐 々にかわ りつつあるのを感 じる。 観光客 の インタビューで も、 「次 回は離島めぐ りをしたい」や 「地元 の人が行 くところに行 きた い」、 「今回、観光地はほとんど回 ったので、次はのんび りした い」 といった言葉が聞かれ、 ガイ ド ブ ックでも 「離島特集」や 「観光地化 されていな い場所」 とい う文言が 目に付 くよ うにな った。 つま り、 これか らの観光産業は、 「沖縄」 とい う大きな枠 ではな く、 「沖縄 の中の、特定 の地域」 といった、 もっと細分化 された要求に応えて行かな くてはな らないのである.言 い換えれば、 これ か らが地域活性化の本番だ といえる。 しか し、巨大なテーマパー クによる観光地化 とい った箱 ものでの観光客誘致 には限界がある。石 垣島や宮古島といった観光資源 の豊富な離島は ともか く、沖縄本島の過疎地や、近海離島における 観光客誘致は、交通機関の整備や生活 インフラ整備、環境保全対策 といった諸 問題 を含んでいるた め、そ もそ も巨大なテーマパー ク建設は不可能である。 そ こで、ダイビングやエ コツアー、 自然体験などとい った、小 さい規模で持続可能な観光発展 を 図ることになるが、その場合、主導権 を誰が握 るかが重要な問題 とな る。成功す るか否かは、 リー ダーの力量如何 にかか っていると言 って も過言ではないか らである。 多 くの場合、地域活性化 を 目的 とする行政や、経済的誘 因を持 つ地元 の商工会や県 内外 の観光産 業などが主導権 をとるが、人 口も観光資源 も少ない過疎地では、行政や企業が優れた リーダーシ ッ プを発揮す ることはなかなかで きないのが現状である。 そ こで、経済的誘 因を持たない地元住民が 自発的にネ ッ トワークを結び、地域活性化 に立 ち上が るケースが見 られ る。 例えば、沖縄県粟国村で近年立 ち上が った 「粟国島あいて い活性化委員会」 とい う組織は、委員 会 メンバーに役場 の職員が含 まれているとはいえ、行政が作 った組織ではないo地元住民が、 まず は 自分た ちのできる範囲で地域活性化 を図ろうと組織 した ものである。
こうした流れ を追 ううちに、過疎地が陥 っている状況は、商圏の狭 い近隣型商店街の置かれてい る状況 と同じであることに気づ き、商店街 に関す る先行研究の理論 を地域活性化に応用 しよ うと考 えたのである. もちろん、小売販売によって利益 を得 るために集積 してきた商店街 と、過疎地に居住す る住民を 全 く同 じ視角で見 ることはで きない。 しか し商店街 は 自然発生的 にできたものであ り、大型シ ョッ ピングセ ンターな どに見 られ る、デ ィベロッパーによる統一的な管理がな いことや、 したが って、 リーダー とな る核 を必要 とす るが、近隣商店街 には リーダーシ ップを発揮す る組織や人材がなかな かいないことなど、過疎地が地域活性化 の際に直面す る問題 と、議論 として重な る部分が大 きいの である。 そ こで、過疎地 の活性化 に対す るアプ ロ-チがいろいろあるなかで、本論文では、商業論か らの アプ ローチを図ってみたいと思 うC 2 商店街の歴史的発展 商店街 の 自然発生的性格 を把握 しなければその後 の議論 に結びつかないため、この節では、まず、 商店街 の発展過程 を歴史的にみ ることか らは じめる。 商店街の発展段階 をライフサ イクル概念 に倣 って4つに類型化 した石原 ・石井の研究によれば、 第一段階は、個 々の商人がひ とところに偶然的に、あるいは 自然的によ り集 まって くる段階であ り、 第二段階は、それ らの商人が気 ままに結びついた集団か ら一つの 「行動す る組織」に変質する段階 であるとい う。そ して、第三段階は街 全体 を管理す ることが課題 とな る段階であ り、第四段階は街 のインフラを備え外部 とのネ ットワークを張 りめぐ らせてい く段階である。 これ らの段階を通過す ることによ り、商店街 は競争的によ り強 じんな、そ して市民にとって魅力ある商店街へ と変容する のである。 また、資源 の配分方式 も、初期の互恵的配分か ら資源 の徴収 と再配分 を通過 し、市場 メ カニズムに委ね られ るよ うにな ってい く1 商業や対個人サ-ビス業 に着 目して、都市 の数や規模、および分布 を説明 しよ うとした理論 とし ては、 ク リスタラーの中心地モデルが ある。 ク リスタラーは、1930年代 当時 の中小都市の分布状況 を念頭 に置 きなが ら、ある地域 の人口分布 と交通体 系が一定で あるとい う条件の もとでは正六角形 の重複 した立地モデルが形成 され るとし たO 都市は、 当該都市の住民だけでな く、都市 を取 り囲む地域 の住民に対 して も財やサービスを提供 しているo その都市を取 り囲む地域 の住民に供給 され る財やサ-ビスを、 中心的財やサービスと定 義 し、その供給 の場 として中心地 という概念 を導入す るo 中心地は、提供 され る財やサービスの到 達範囲によって、「最高時の中心地点」、「高次の中心地点」、「低次 の中心地点」、「補助的な中心地点」 に分類 され る。到達範 囲は商圏といいかえることもできるだ ろう。 供給 され る財やサービスを、 コープラン ドによる商品分類 に沿 って理解す ると、最高次の中心地 で供給 され るものは 「買回品や専門品」、であ り、高次の中心地点では 「買回品」が、低次の中心地 では 「買回品や最寄品」、補助的な中心地では 「最寄品」が供給 され ると考 え られ る。 こうして商業的 中心地が形成 され るのであるが、 自然発生的にできる商店街 も、 同じよ うに商圏 によって 「超広域型商店街」、 「広域型商店街」、 「地域型商店街」、 「近隣型商店街」 に分けることが -
1
6-沖縄大学法経学部紀要 第9号 できる。そ して、平成18年度商店街実態調査では、その 4つの区分で商店街 を分類 した上で、最近 の景況をきいている。 結論 としては商圏が狭 い商店街 タイプはど景況が悪 い。超高域型商店街では、13.6%が 「繁栄 して いる」 と回答 し、「衰退 して いる」 は3.0%に過ぎないのに対 し、広域型商店街、地域型商店街 と規 模が小 さ くなるにつれて 「繁栄 している」 とい う回答は減少 していき、代わ って 「衰退 して いる」 という回答が増加す る。近隣型商店街 に至 っては、 「繁栄 している」はわずか0.3%で、 「衰退 してい る」が39.4%なのである2。 これは、商店街の規模が小 さければ小 さいほど、厳 しい状態に置かれ ていることを意味す る。そ の一方で、超高域型商店街や、大規模商業施設、郊外型 シ ョッピング ・モールなどは,小売業全体 の不況を反映 して伸びは小 さいものの、商店街ほどの衰退は見せていな い。 つま り、売買を集 中さ せることによ って取 引が効率的に成立す るよ うにな り、その結果社会的流通費用が節約できるとい う売買集中の原理は、 いまや超広域型商店街や他の大規模商業施設、郊外型シ ョッピング ・モール などの発展要因として理 由づけ られ るよ うにな り、近隣型商店街にはあては まらな くな って しまっ たのである。 自然発生的に発生 してきた商店街 の うち、特 に居住空間 と店舗が同 じ場所 を指す ことの多 い近隣 商店街は 「所縁型の組織なのであ り、仲間を自由に選ぶ ことはできない。た とえ、誰かが経営努 力 を怠 っていた として も、彼 を罰 した り、もっと元気 の良い店舗 と入れかえた りす ることはできな い。 商店街は少な くとも当面は、与え られた メンバーでや って い くしかない」。そ して、 「ここに商店街 の組織 としての弱 さがある」・io 商店街が、大規模商業施設や郊外型 シ ョッピング ・モール のよ うに、統-感 のある空間を演出す るために組織化することを考えて も、その組織への参加、不参加は個店 の店主の意思に任 されてお り、個店の店主はそれぞれ に平等である。それ ゆえに、会社組織 に見 られ るよ うな管理 システムは 構築できず、商店街の 「相互扶助 の精神 にもとづ く平等 の原則が, しば しば少数の反対者 に対 して 最大の権利 を与えてきた ことも否定できない4」 とい うわけである。 そ して、その結果、個 々の商店 ・商店街だけの力では克服困難な場合が存在 し、その場合 には公 共政策 といった外的支援策が必要 にな るのである5。 公共政策が必要な根拠は、商店街の 「公共性」 である。すなわち、商店街の もつ 「公共空間 とし ての街路」、 「消費者にとっての買い物空間」、 「地域の コミュニテ ィ施設」、 「地域の担 い手」 とい う 性格 を崩壊 させないために、外的支援策が必要 となるのである6。 3 多極複眼型組織 とい う視点 前節では、商店街の歴史的発展 と、 自然発生的だか らこその困難性、 さらにはその公共性 ゆえに 公共政策が必要であることを述べた。 自然発生的 に発展 してきた商店街 においては、個店がそれぞ れ に独立 した存在であ り、企業組織のよ うに、 トップダ ウンの権限 を持 った組織的管理 を図ること ができない。 また、相互扶助の精神 にもとづ く平等 の原則 によって、少数派 の意見が 力を持つ こと もある。 この ことが、構成員に不満を募 らせ る結果 とな り、組織が停滞、 または悪 くすれば崩壊す ることにもな りかねない。 「平成15年度商店街実態調査」において、組合員同士の連携 ・協力が うま くい っていないと回答 し
た商店街 にその原 因を尋ねた ところ、 うま くいかない原因は 「商店街活動 に対 して組合員 (または 会員)の意欲が低 い」が78.8%で最 も高 く,ついで、 「組合員 (または会員)が高齢化」46.7%、 「商 店街活動 を積極 的に推進で きる リーダーが不在」32.1%とい う結果であ った7。 この結果か らもわか るよ うに、商店街 の活性化 のためには、個店 の協 力体 制 と、それ らを引っ 張 って い くリーダーが必要であるにもかかわ らず、個店 の意欲が低か った り、高齢化の問題があっ た りして、 うま く組織が機能 しないとい う問題が大 きいのである。 組織 を調整す るメカニズムとして、畢宿泊は インフォーマルな組織 を挙げ、商店街の比較分析の 結果か ら
,2
つのタイプの相互作用 を識別 している。 1つは構成員が組織 を付 き合 いの場所 として 利用 し、 また,付 き合いにおいて構成員の関心は組織 の 目的遂行 よ り、む しろ個人的な知 り合いを 拡げ、個人間の親睦を深めることにあるとい うタイプである。 もう1つは、構成員が個 人的なつな が りを作 ることよ り、組織 の 目的遂行 によ り大 きな関心があ り、相互作用において構成員が 自らの 技能や知識 を示 した り、それ を広げた りす るタイプである。そ して華は、 この後者の相互作用 こそ 協調に関す るインフォーマルなグループ規範 ・慣例 と、構成員の コスモポ リタンな態度の形成 に導 くと考 えるのである80 ただ、 この2つのタイプの組織は、二者択一的なものではな く、 1つ目のタイプの組織ができあ が ってか ら、2
つ 目の組織 に発展す ると考える方が 自然ではないか と思われ る。構成員が相互に信 頼 し合 って こそ、組織の 目的遂行 に適進で きるとい うものである。実際、 まちづ くりや地域お こし の成功例 を聞 くと.最初 の組織づ くりにもっとも時間がかか り、仲間意識で結ばれた組織ができあ が って しまえば、その後、一つの 目標 に向か って加速が付 いて走 り出す とい うケースが多い。 そ して、商店街 の内部組織 を研究す る石原は.仲間型組織 の有用性 を提唱す る。仲間型 とは、一 定 の 目的を達成す るために選抜 された商人 による組織である。福 田尚好は、 この仲間型 を、所縁型 組織 の典型であると思われ る岸和 田のだん じり祭 りの組織 を参考 に して論 じている。岸和田だん じ り祭 りの特徴は、組織 を細分化 しているところにあ り、 「多極複眼型組織」であるというのである. 多極複眼型組織 とは、商店街内に動態的 に変化 しつつ、すばや く環境変化 に対応す る小集団を複数 作 り上げ ることので きる組織 の ことを意味す る9。 商店街 とい う組織全体 で物事 に当た ろ うとす ると、 いろいろと障害が生 じることがあるdそ こ で.商店街組織全体での緩やかなつなが りの中で、 さらにある一定の 目的を持 って、構成員がそれ ぞれ に結びつ くことを容認す る。 「重要な ことは、商店街 の中に、できるだけ仲間型の行動を取 り入 れて、定着 させてい くこと」川なのであるO 「すなわ ち、商店街 内で共通 のターゲ ットを有 した り、共感 を有す る複数の店舗連合体 を組織 し、 従来 の商店街組織 の内部 に位置づけることができれば、つま り、所縁型組織である商店街組織 の中 に仲間型の活動 を埋め込み、その複数の仲間型組織がそれぞれのターゲ ットに向けたイベン トを実 施 し、それ を定着す ることができれば、 イベ ン トの対象顧客 と個店の対象顧客 とが一致 しやす くな る。 また、対 象顧客 が共通 し、互 いに共感 しあ う個店 の仲 間型 の組織が イベ ン トを行 うことの メ リッ トとして、共通す る対象顧客 に向けての仲間型組織 による、 クロス .マーチ ャンダ イジングの 展 開も比較的容易にな り、顧客 に便宜性 を提供できることが挙げ られ るH。」 「多極複眼型組織」は、「単 に商店街組織 を細分化 し、細分化 されたそれぞれの組織 に主体性 を付 与す ることだけを意味す るのではな く、その細分化 された組織が動態的 に変化す ることを可能 とす -1
8-沖縄大学法経学部紀要 第9号 ることに主眼をお く。 つま り、商店街内に複数の核 を作 り上げ、それぞれの主体的活動の展開を保 証することによって商店街内に活気 を醸成 しよ うとい うものであるが、細分化 された核が動態的に 変化す ることをも保証 ・奨励す るところに従来 の多 くの組織 間 との差異性 を認めることができるも のと思われ る。12」 加藤 司も.「商店街の構成 メンバーは,商店街活動か ら決 して排除 されて いるわけではな いが、特 定の事業活動については実質的 には参加 していないのと同 じ状況がつ くられているといえよ うか。 そ うい う意味では、「所縁」型組織 のメンバー全員 を共通の 目標 をもつグループに細分化す るとい う よ りも、 メンバーの中か ら共通の 目標をもつか、方向を共有化できるメンバーを選抜 し,それ を仲 間型組織 -一種のプロジェク トチームとして事業 を展開 させ、全体 の活性化をつなげてい くとい う 手法」の重要惟 を指摘 し、「こうした仲間型組織は、対立する利害 を調整す るとい うよ りも、共通の 目標ないし方向をもつ参加者が 自発的に事業 に参加、企画 ・実行 してい くイメージに近 いものであ り、 ここでは これ をネ ッ トワー ク組織 と呼ぶ ことにしよ う13」 と提案 している. 4 地域活性化を 目的としたネ ットワーク形成の事例 て少数意見が力を持つ ことも多い、 という商店街の現状は、 まさに地域活性化 を 目指す場合 に地域 が直面す る状況 と同 じである。そ うであれば、「所縁」型組織 のメンバー全員を、全体 の活性化 を 目 指すという共通の 目標 をもつグループにす るのではな く、 メンバーの中か ら、共通の 目的ないし方 向を持 って 自発的に事業 に参加 し、企画 ・実行 してい くメンバーを選抜 し、仲間型組織 として事業 を展開させ ることによ って、全体 の活性化 を 目指す という方向 も、地域活性化の参考 にす ることが できるのではないだ ろうか。 この、所縁型組織 に仲間型組織 を埋め込む とい う作業が、地域活性化 において具体的にど うい う ものか、沖縄県粟国村で立ち上が った仲間型組織 を検 討す ることによ って探 ってみたい。 「粟国島あいて い活性化委員会」 とは、粟国島の情報発信 のためにIT新聞 「粟国島電子新 聞あ ぐぅ ∼ 14」を発行 している、粟国島住 民によって作 られた委員会である。情報発信の 目的 としてよ く ある、観光客誘致や、特産物の販売促進が主 目的ではな く、島の活性化 を 目的 としている。具体的 には、島民同士や島外に住む島出身者に対 して生の情報 を発信す ることを 目的 とし、その副産物 と して、 こうした取 り組みが最終的に観光客誘致や特産物 の販売 につながれば いいと考 えている。 情報発信に至 ったきっかけは、平成17年度か ら開始 された離島活性化 IT事業であるO 行政サ イ ドには、現在の村ホームページは予算が少ない上に外部委託であ り、役場 のホームペー ジ担 当者は他の仕事 と兼任のため、なかなか本格的には取 り組めない ことか ら、村 のホームページ はシンプルに して、民間に任せてはどうか という考えが あったO 民間サ イ ドか らは、以前よ り離島活性化 の一環 として行われてきたIT講習はパソコン初心者向 けのものがほ とんどで、既 にパ ソコンを使用 している村民は参加す る必要がなか ったため、 もっと 高度な技術 を学べる場を作 って欲 しいという要望があ った。 そ こで役場では民間か らの要請を取 り入れ、離島活性化専門化派遣事業 によって派遣 され る、 I T専門家である 「何で もお助け隊ユ5」 に、上級者向けパ ソコン講習 を依頼 したのである。 その結果、講習会への参加 とい う形で役場の職員 と住民が少人数で集 まることにな り,官民の垣
根 を越えた連携が 自然に生まれた。 また,講習会の参加者が、既 にパソコンを扱える若い世代主体 であった ことも、その後の動きに大き く関係 した。 彼 らは常 々持 っていた、島民同士の交流を深めたい、島外に住む島出身者に島の情報を伝えたい、 とい う願いを叶えるために、 「何でもお助け隊」 に、専門知識が必要な トップページ作成を依頼 し、 IT新聞を立ち上げたのである。 現在、 IT新聞 「粟国島電子新聞あぐぅ∼」は、「粟国島あいてい活性化委員会か らのお知 らせ」 や 「粟国島あいて い活性化委員会のブログ」に加え、「粟国島あいて い活性化委員会有志の個人ブロ グ」、誰でも参加できる 「粟国島フアンのブログ」などで、毎 日のフェリーの運行情報や村行事の連 絡などといった公共性の高いものか ら、島民の 日常をつづ った 日記 まで、幅広 く情報を発信 してい る。 これ らの活動は、 まさにインターネ ットを使 って島の情報を発信するという共通の目的を持 って 自発的に集 まった メンバーが、仲間型組織 として事業を展開させることによって、全体の活性化を 目指 している例である。 5 おわ リに 商店街の管理問題をみることによって、地域活性化においても、所縁型組織に仲間型組織を埋め 込む作業が重要だ ということが導き出された。そ して、地域活性化における、所縁型組織に仲間型 組織 を埋め込む作業 として、粟国村で立ち上が った仲間型組織 を具体例 としてあげた。 IT新聞 「粟国島電子新聞あぐ ぅ∼」では、村か らの情報発信 として、現在個 々人が 自分の感性 で情報 を発信 しているが、何が情報 として面 白いのか 「外の目」がないとわか りに くいことか ら、 「外の目」を取 り入れ るにはどうした らよいか というのが課題の一つとしてあげ られているbまた、 人材が限 られているため、継続性 に問題 を含んでいる。 しか し、若 い世代 での官民の連携が生まれた り、他 の離島の住 民との新 しい離島間情報ネ ット ワ- クが形成 された りと、 さまざまな波及効果が生まれている。 このよ うな、地域内の連携を強めるためのネ ットワーク構築が、観光客誘致や特産物販売といっ た地域外 との連携に, どこまで影響を与えるかは未知数であ り、今後のIT新聞の発展を注意深 く 見てい く必要がある。 また、多極複眼型組織 という視点か ら、粟国島の更なる活性のためには、第 2、第3の仲間型組織が生まれ、その仲間型組織が固定化す ることな く、動態的に変化する余裕を もったものでなければな らない。 大き く見れば、 この所縁型組織 に仲間型組織を埋め込む作業は、沖縄に地域を埋め込む作業にも 通 じるかもしれない。 沖縄県全体で活性化 を図るためには、沖縄県の各地域から、共通の 目的ないし方向を持 って自発 的に事業に参加 し、企画 ・実行 してい く地域を選抜 し、仲間型組織 として事業を展開させることに よ って,全体の活性化 を目指す という方向が考え られ るのではないだろうか。
ー
20-沖縄大学法経学部紀要 第9号