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知識・技能を活用・発揮し、主体的・協働的に取り組む音楽づくり : 五音音階に親しみ、日本やアジアの伝統音楽のよさを感じ取るために

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Academic year: 2021

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知 識 ・ 技 能 を 活 用 ・ 発 揮 し , 主 体 的 ・ 協 働 的 に 取 り 組 む 音 楽 づ く り

∼五音音階に親しみ,日本やアジアの伝統音楽のよさを感じ取るために∼

北 川 真 里 菜

グローバル化社会が進む近年,我が国や郷士の伝統音楽に親しみ,よさを味わえるようにしていくこと,生活 や社会における音や音楽の働きや音楽文化についての関心や理解を深めていくことがより一層求められている。 学習指導要領においても,和楽器を含む我が国や郷士の音楽の学習の充実を図る必要性が示された。 本研究においては,日本やアジア諸国の伝統音楽で用いられた様々な 「五音音階」を手掛かりに,和楽器(拳) を用いた都節音階の鑑賞 ・演奏• 音楽づくり, 全音音階をつかった楽曲の鑑賞・ 音楽づくりをとおして,伝統音 楽に触れる機会の少ない子どもたちが我が国の伝統音楽や近隣のアジア諸国の音楽のよさを感じ取れるよう,知 識・ 技能を活用 •発揮させながら主体的 ・協働的に取り組める音楽づくりの工夫を試みた。 キーワード: 伝統音楽 和楽器 音楽づくり, 五音音階, カリキュラム ・マネジメント

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研究の目的 1 . 1 . 学習指導要領より 明

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部寺代以降, 日本の音楽教育では西洋音楽を士台 とした教育が行われてきた。 しかし,平成20年の学習指導要領では「国際社会 に生きる日本人としての自覚の育成が求められる中, 我が国や郷土の伝統音楽に対する理解を基盤として, 我が国の音楽文化に愛着をもっとともに他国の音楽文 化を尊重する態度等を養う観点から, 学校や学年の段 階に応じ,我が国や郷土の伝統音楽の指導が一罹充実 して行なわれるようにする。」と示された。 更に,平成29年度改訂の指導要領では,「我が国や 郷土の伝統音楽のよさを味わい,愛着をもつことがで きるよう工夫すること」と示され,我が国や郷土の伝 統音楽の指導の充実が一層重視されている。 1. 2. 現代における子どもと伝統音楽 現代の子どもたちは,生活様式の変化などにより日 常的に伝統音楽に触れる機会が少なくなっている。 ヤマハ音楽振興会が 2006年に実施した音楽的思考 に関する調査によれば,好きな音楽ジャンルは20 -40代の若者を中心に 「J・POP」に回答が集中, 一方, 嫌いな音楽ジャンルでは,すべての世代を通じて「純 邦楽(雅楽等)」「日本民謡」といった日本の伝統音楽 の回答が大きい割合を占めた。*l また,降矢美禰子 (1982)は,マス・メディアにお ける音楽の放送量において,クラシックやポップス, ジャズ,ロック,歌謡曲といった洋楽系音楽が93%を 占めるのに対し, 「日本の音楽」は

7%

にしか滴たない ことを指摘している。*2 以上のように日本で生活しているにも関わらず, 子どもにとって日本の伝統音楽は遠い存在であり,そ のような音楽に触れる機会もなく,場合によっては苦 手意識を抱いている可能性もあることがうかがえる。 そのような状況の子どもたちだからこそ,敦師が一 方的に知識・技能を与えるのではなく, 子どもたち自 身が主体的に仲間と協働しながら,知識・技能を得た り活用 •発揮したりしながら伝統音楽のよさを感じ取 らせたい。 1. 3. 学校教育における伝統音楽の指導 上記のような実態を踏まえ,現在各学校で和楽器な どをつかった我が国や郷土の音楽の教材をつかった指 導が行われている。 しかし,国立教育政策研究所による児童への質問紙 調査では 「音楽の学習をして,日本の音楽や地域の音 楽に輿味をもつようになりましたか。」という質問に対 して肯定的な回答の割合は約6割にしか満たない。 *3 伝統音楽に関する実践は,これまで主に鑑賞や器楽 分野で多く取り組まれている。 本研究においては,鑑賞・器楽・音楽づくりと 3つ の分野にわたって表現と鑑賞を関連付ける題材計画に よる実践を行う。伝統音楽を鑑賞したり実際に楽器を 使っで演奏したりしながらそのよさに親しむことに加 え,新たに自分たちで音楽を「つくり出す」ことによ ってより主体的にその面白さや美しさを感じ取るとこ ろまで迫りたい。 1. 4. めざす子ども像 本研究においては,仲間と協働しながらこれまでに 得た知識や技能を活用 •発揮し,主体的に音楽をつく るなかで,日本やアジア諸国などでつかわれてきた五 音音階に親しみ, 日本やアジアの伝統音楽のよさを捉 えなおし,その価値を見出す子どもの姿をめざす。

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音楽を聴いて, •音楽を形づくっている要 素を知鈷する ・よさや面白さを感受する 鑑賞 音楽を形づくっている要 素に行目し,要 素1石l士 や 曲想との関わり合いにつ いて考える 表 現 知立したことと感受 し た こととの閲わりについて 考 え , ど の よ う に 表 現 す るか思いや意図をもち, 試 行 錯 誤 し な が ら 音 楽 表 現を工夫する •利直ば惑じがUこの は」ユ苗苗如つかっ てし還のジ亨! •流UTIというお霰 奏法をつかうI::.流れ 忍 う な 惑じむ'gQ, 音楽をつく起きに ,

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研究仮説 知識・技能を活用 •発揮し,主体的・ 協働的な音楽 づくりを行うことで,五音音階に親しみ,

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本やアジ アの伝統音楽のよさを感じ取って,その価値を見出す 子どもの姿が見られるであろう。 3. 研究内容・方法 本研究においては,本校第 4学年で実施した下記の 二つの題材より, (1)の題材における子どもの姿を中 心に検証を行う。 (1)和楽器(箪)をつかった都節音階の楽曲の 鑑賞・演奏・音楽づくり 「音のお•も・て・な・し~五音音階をつかって, 外国の人に「和」のよさを伝えよう∼」 (2) 呂旋法の楽曲の鑑賞 ・演奏• 音楽づくり 「海外を魅了した五音音階∼日本やアジアの音楽」 二つの題材において,知識・ 技能を活用 • 発揮し, 主体的・協働的な音楽づくりを行うために下記の点に 留意して取り組んだ。

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知識・技能の活用・ 発揮を促すために 指導要領では, 「音楽づくりの発想を得たり,どのよ うに音を音楽にしていくかについて思いをもったりす るためには,その過程で新たな知識や技能を習得する ことと,これまでに習得した知識や技能を活用するこ との両方が必要となる」 *4と記されている。音楽づく りだけでなくすべての領域において,思いや意図をも って表現したり曲全体を味わって聴いたりするために, 知識 ・技能の習得だけでなく活用 • 発揮することの両 方が必要であることが示されている。 カリキュラム・マネジメント 3. 1. 1 . 本研究においては,知識・技能の活用 •発揮のため に次のようなカリキュラムのエ夫を行った。 ① 前単元や前時までに得た知識・技能が本単元及び 本時での学びで活用 •発揮されるよう,題材同時 のつながりを意識した年間計画(図2)の作成と, 活用•発揮させたい知識 ・技能の明確化(図 3) リズム 旋I辺) 曲の気 弦楽器 疇 比本や 旋tltrTJ 虚器 人に和 アジア 罰 の仲徴 特徴を 分を感 の評き のよさ の音楽 狙なり の を感じ 感じ取 じ取ろ を感じ を感じ を感じ 取ろう ろう う 取ろう を伝え に親し 取ろう 取ろう よう もう 音楽 旋ii吃 三 の リズム 上がり 式合い 音色 音色 醗 旋il'ffJ 音 要素 ドがり の手 醗 頂なり

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文 I 常時活動諒・リズムあな汎1'F!:'l加す活勁なと) 図2 慶霞の上がり下がり •IIIM r崖nの騎覆を舅じ敗ろうI ・常峙話勤『音の賞さを打体で褒そうj .. ,,tJJつn,,.... りU匹 aし9ぺく`じ ..,,,., ..,< ..・ウCよう...x. り 匹 じ 霞t1t11,TT闘・ロ 潤 叫n

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て“‘る畢叩<•.. o 第4学年音楽科年間計画 菫ltllJ上がり下がり 題Mf崖律の稽戴を感じmろう9 ・l闘は鮎 H#U1, てい,.... 口已鴫9い』<へ"く●じ , . . _, ていく••し9匹,....,つ<.し●び〇曇し ft#U1,TT四•編口駄""ヽ,.. じ ,..,,.#って上心··•い 心<0.. 0 合いの手 ,1/「合いの手を探そう」 ・鵞峙計動じ9レーズを111じようJ a荀J●●つ”と...噌 . 鳴l.≪lO 〔 呂 旋 法 の 音 楽 づ く り〕 ② 同一単元において,前時までに得た知識・技能が 本時での学びで活用 •発揮されるよう,鑑賞と表 現を往還する題材構成(表1) ③ 他教科での学びで得た知識・技能が音楽科での学 びで活用 •発揮されるよう,教科横断のカリキュ ラム ・デザイン(表1) 表1 題 材 の 流 れ とつ な が り - -- - --- -- ----・---・- -- -- -- - - -- --- --, 前 単 元 月 翠 塔 認 し くみ調 歪 塚」 磁幽の即油る出肋を,手作り二茨陸つがっ可応よう ,

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の お!/W)/i淑鉗サ迄甜をいろい 窄の蒸法を碓奏し,そ ろ拭してみよう の効北こ気付く。 云 ぇ 五在寇階をつかって和?)よさ 「和」のよさが伝わる ょ を伝える音楽をつくろう テーマ決め,旋律や合 いの手をつくる。 贋

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次単元「アジアの音楽J : ドピュッジ_汎町された五酎硼印)ガムラン(インドネ1/7収滋罪楽)はどのようtJ:Mぬんだろう : < - - --- ---- -- - - -- ---- - - --- --- --- - -- - -• 3. 1. 2. 教室掲示 前単元や前時までに得た知識・技能が本単元及び本 時での学びで活用 •発揮されるよう, 次のような教室 掲示を行った。 ① ②

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図4 音楽の学びマップ (4年生) 図5 音楽を形づくつている要素とそ⑪動きに関する掲示 3. 2. 主体性・協働性を引き出すために 子どもが主体的に音楽づく りに取り組めるよう,下 記の点を工夫した。 ① 題材のゴールを見通すための,他教科と関連させ た単元を貫くめあての設定(表1) ② 「つくりたい」思いを醸成するための,即興的な 音楽づくりの時間の l

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I 確保や,教師がつく った音楽の共有 ③ 自己の学びを調整す るための,振り返り の観点の提示(凶6)

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: ,や ってみたい,もっと知IJたいこと 、一へ \まわ り の 友遅か ら 学 ん だ こ と 図6 振り返りの観点 仲間と協働的に音楽づくりに取り組めるよう,下記 の点を工夫した) ① ペアやグループで1台(面)の楽器を使用し, 「旋 律」 「合いの手」などの役割の設定 ② 互いの表現を認め合い表現の幅を広げるための, つくる過程での他のペアやグループの作品の共 有・価値付け

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授業の実際

4. 1. 「音のおもてなし」におけるお等をつか った都節音階の音楽づくり 第1時で初めて『さくらさくら』『うさぎ』を鑑賞し た際は,「何この曲・..古い」「怖い,不気味だ」など, 日本の音楽を肯定的に受け止めている子どもは極めて 少なかった。 しかし,教師の 「つかわれている音にしるしをつけ てみて」という指示に対して, 2つの楽曲が5つの音 だけでできている五音音階でできていることを知った のをきっかけに, 一気に学習意欲が増した。 第2時には,箪 (3面)とタブレッ トのバーチャル 箪アプリの両方をつかって『さくらさくら』を演奏し, その後,都節音階をつかった「和のよさをつたえる」 音楽を2人組でつくる音楽づくりの活動に入った3 等 は,1面を両側から 2人で使い,「旋律」 と「合いの手」 に分かれてペアでひとつの音楽をつくった。 箪の音色に魅了され,どの子も意欲的に音楽づく り に取り組む姿が見られた(図7)。 図7 授業の様子

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戸 冒

図8 教室掲示 また,音楽づくり の後当初は予定し ていなかったゲスト ティーチャーに来て いただき,つくった 音楽を演奏する際の 第の所作や作法につ 図 9 いて教えていただいた。 子供たちの「外国の人に和のよさを伝えたい」とい う思いが一層強くなった(図10)ことから,子どもの 様子や疇から常にカリキュラムを見直し,マネジメ ントしていくことの大切さを感じた。 • ~>::: .... コ . . '7、 。 e .

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ゲストティーチャーに教わる姿

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ぃIIrJ「lfi: 図10ゲストティーチャーヘのお手紙 4. 2 「海外を魅了した五音音階」における 呂旋法の音楽づくり 前単元「音のおもてなし」 で学んだ都節音階と,他の 様々な五音音階とを比べる ことで,それぞれのよさや 面白さを感じ取ることがで きた(図11)。 音楽づくりでは,後にイ ンドネシアの伝統音楽ガム ランを学習することを意識 し,木琴をつかって「旋律」

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図12授業の様子

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授業の考察

知識・技能を活用• 発揮できたか 題材終了後のアンケート (4年B組 29人対象)では, 学んだことをつかって音楽づくりに取り組めたと答え た子どもは 93%であった(表 2)。 表2 子どもへのアンケートより 「音楽をつくるときに今まで学んだことがつかえましたか。」 つかえた 27人 図11 私たちのテーマは,花火がヒュー,パンッとなっている 子です。①ヒューのところは少しはやくあがる感じで,② 低いところから高い音。そのあとゆっくりおちて,りょう へいくん(合いの手)が③合わせ爪でパンっていう音を 出します。④どんどんたくさんの花火がなってきて ラス トスパートはだんだ板強くします。 音階の感じ 図13子どもの作品I

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作品Il(図14)では,①リズム,②お第の奏法,③ 旋律の上がり下がりの働きに関する知識を活用して つくられている。 •-• C -- •• ,., lヘア ノ

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C: ぼくたちは,屈鈴が嗚っている様子をつくりましt=,, ①風の強い時は巾を15回,弱 いl寺は5回,②スクイ爪 でやって,鳴っている様子をだしましt=,, T: 「上から下へ」つていうところはどんな様子? C: そこは,風が吹いている。③高い音から低い音へいっ たり,逆になったりして風がビューンって吹いている 感じのところです。 因14子どもの作品II 「海外を魅了した五音音階」における音楽づくりで は,作品III(図 15)のように,①リズム,⑫強弱な ど,様々な音楽の要素とその働きに関する知識を活用 してつくれt~ 作品1IIでは,子どもが無意識につかっていたJl(タ ッタ)のリズムを,波線部のような問いかけをするこ とでリズムとその働きに目を向けさせ, 学びを活用し たことを自覚させていった。 C: 僕らの班は,最初にゆうがに踊っていて, Bで激しく踊 って,またAに戻って,ゆうがに踊る様子です。 T: 何のリズムをつかったの。 C:Aはタッタ。Bはタッタじゃなくなって,またAでタッ タのリズムです。 T: なんでタッタをつかったの。 C: ①タッタをつかったら 楽しく踊る感じになるから。

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ら 図15子どもの作品m 教師が意図的にカリキュラム ・マネジメントを行う ことが,このよ うな知識・技能の活用 • 発揮につなが ることが明らかになったっ 例えば,合いの手に関する学習を前題材までに組み 込んだことで,音楽づくりにおいて「合いの手を入れ が,図16のよ うに,教室掲 示を見て指さ しながらペア やグループで 話し合う姿が 見られた。 あや:流れる感じを出すにはどうしたらいい。 しょう :これを見たらわかる。流し爪は,流れ落ちていく ような感じが す る ん や っ た 流し爪や。 あや:やってみよう。 図16お筆の奏法とそ⑪動きに関する褐示を確かめる子ども

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主体的・協働的に取り組めたか 表 3 子どもへのアンケートより 「音楽づくりの授業に,楽しく意欲的に取り組めましたか。」 とても意鈎的に取り組めた 16人 意郷勺口取り糾めた 1 3人 あまり恕雄勺ではなかった:0人 「ペアで協力して音楽をつくれましたか。」 とても協力できた 1 6人 あまりできなかった:1人

できなかった:0人 アンケートでは概ね肯定的な回答が多かった。 「音のおもてなし」では,楽しく意欲的に取り組め た理由やきっかけとして,子どもから次の項目が上位 に挙げられた(表4,図17)。 表4:子どもへのアンケートより 「どの活動が,勉強になり楽しかったですか。」(複数回答可) 活動 人数 本物のお箪で演奏したこと 2 1 日本の音楽を聴いて,五音釦堵でできていることを知 20 ったこと 自分たちで,お等をつかった音楽をつくったこと 20 お第の朝町の先生に来てもらったこと 1 7 iPadのお等で演奏したこと 1 5

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図17 自由記述欄より 本物の楽器に触れることの大切さを改めて感じると ともに, 「日本の音楽が五音音階でできていることを知 ったこと」の項目も人数が多く,子どもにとっては得 体のしれないものであったであろう日本の音楽を,音 階という視点で読み解いていったことが意欲づけにも つながったことがわかった。 また 「自分たちで,お箪をつかった音楽をつくった こと」により,既存の楽曲を演奏するだけでなく更に 自由な発想で都節音階の音楽を 「つくりだせた」こと に喜びを感じている子どもが多かった) また,タブレットのバーチャル挙アプリの活用は, 学校現場の楽器数の少なさを解決するだけでなく,ど の子にとっても容易に演奏に取り組みやすい手立てと しても効果的であった。 また,協働的な音楽づくりの実現のため, ペアやグ ループで1台(面)の楽器を使用し, 「旋律」「合いの 手」などの役割の設定したことは,子どもたちにとっ て協働的に取り組む必要性を感じさせるものであり, その有用性が明らかとなった。 5. 3.五 音 音 階 に 親 し み 日 本 や ア ジ ア の 音 楽 のよさを感じ取ることができたか 表5:子どもへのアンケートより 「日本の音楽や荀階について,授業前と比べて好きになりましたか。」 とても好きになった 1 4人 好きになった 1 3人 変わらない: 2人 あまり好きではない:0人 アンケートでは,「好きになった」と答えたのは全体 の 93% となっ t~ 「好きではない」という回答は0% である。 図 18は, 日本の音楽に対するイメージや思いにつ いての自由記述である。日本やアジアの伝統音楽に対 して「知らない」「興味がない」 「よくわからない」と いうようなイメージをもっていたようだが,本実践を 終えて子供たちの中でそのイメージや思いに変容があ ったことがわかる。 授業後(今) 授箋の前

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ミ 図18日本の音楽に対するイメージや思いの変容について 6 成果と課題 本研究では,知識・技能を活用 •発揮するためのカ リキュラム・マネジメントや教室掲示のエ夫,主体的・ 協働的な音楽づくりを促す授業のしかけを試みること で,日本やアジアの伝統音楽のよさを感じ取り,その 価値を見出す子どもの育成につなげることができた。 実践をとおして,「五音音階」に着目した日本の音楽 の鑑賞が,その後の子どもたちの表現意欲を高めるこ とが子どもたちの姿から明らかとなった。このように, 何気なく聴いていたり,または苦手意識をもっていた りする音楽も,その構造に迫り,知覚を明確化してい くことで,知覚したことと感受したこととの関わりに ついて考え, 表現へと生かしていくことが大切である と感じた。 今後も,我が国の音楽文化に愛着をもっとともに他 国の音楽文化を尊重し,我が国や郷土の音楽や諸外国 の音楽のよさや面白さを感じ取れるよう,指導法や教 材化について更に研究を深めていきたい。 参考文献 文部科学省 (2018)「小学校学習指導要領解説音楽編」 坪能克裕 (2012)「音楽づくりの授業アイディア集 音楽をつくる ・音楽を聴く」,音楽之友社 引用文献 *l財団法人ヤマハ音楽振興会音楽研究所 (2006) 「音楽ライフスタイルWebアンケート報告書」 htts://www. amaha・mf.or." /onken/ -cont.enUthemes/onke n/shared/pdflreport/rptOO 1 lifestyle2006.pdf *2降矢美禰子 (1982)「音楽教育における「日本の音 楽」に関する諸問題一日本の音楽教育の根本的な転 換をめざして一」,『福島大学教育実践研究紀要』P71 *3国立教育政策研究所教育課程研究センター 平成24年度学習指導要領実施状況質問紙調査 (小学校音楽) *4文部科学省 (2018)「小学校学習指導要領解説音楽 編」 P43

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