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IRUCAA@TDC : コロナ禍にて思うこと

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Academic year: 2021

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

コロナ禍にて思うこと

Author(s)

西井, 康

Journal

歯科学報, 120(3): 3i-3i

URL

http://hdl.handle.net/10130/5235

Right

Description

(2)

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コロナ禍にて思うこと

西 井

テレビニュースをつけると毎日のように世界のどこかで災害,飢餓,地域紛争が報じられている。 しかしながらこれらは,限局的,時限的なものであり多くの人々にとって他人事であった。しかし, 今回の新型コロナは,近代において全人類が初めて遭遇する災いであり,人々の移動に伴いあっとい う間に全世界に蔓延し,多くの人々を恐怖に陥れた。テレビでは,恐怖,不安を伴う内容が席巻し, ネットでは怒り,焦燥,不信感,憂鬱の言葉が散在している。現在,人類はいつ終わるかわからない 戦いを強いられている最中である。その中で,日本人の規律,道徳心の高さ,日本の医療技術の高さ だけではなく,医療従事者の献身性が驚異的な死亡者の低下につながっていると思うと感謝の念が湧 き上がってくる。 人間は恐怖がその心の空間を大きく占拠しだすと,理性の入るスペースが無くなりその言動行動が 適切ではなくなる。他人のちょっとしたマナー違反,不正への過剰な反応,感染者の家に投石をする など江戸時代の村八分と思える差別も人々の恐怖心がさせるものであろう。人類が初めて直面する問 題,つまり正解のない課題であるコロナ禍のなかで,我々は自身の生き方や行動規範を試されている のではないだろうか。脳科学者であり心理学者でもあるアントニオ・ダマシオは「創造性は直感と理 性の融合にある」とした。さしずめ医療においては,正しい医療は,注意深い観察眼とエビデンスに あると置き換えられる。どんなときでも特に世の中が不安なときほど,医療人である我々は努めて冷 静にそして理性に従い,診療においても日常生活においても適切な行動をとりたいものである。 死が隣り合わせにあった古代では,わずかな情報を手がかりに,自分の直感を信じ,創意工夫を重 ね生存をはかってきた。それがやがて文明になり文化に昇華してきたと思う。古事記の代表的神話で スサノオノミコト ある天岩戸神話では,世界は天照大御神がおさめる澄み切った世であった,そこに弟である素戔嗚尊 が悪行を繰り返し,それに嫌気がさした天照大御神が天の岩戸という岩屋に隠れてしまわれた。あっ という間に世の中は暗闇に支配され,様々な災いが起こったという。荒廃の中,神々が知恵を絞りあ い,ついに天照大御神を岩戸の外に出すことに成功した,その瞬間に世界は再び光と秩序を戻りもど した。 コロナ禍において,あまねく光を灯してくれるものは,我々の理性であり知恵であろう,そして医 療が一筋の光明を照らしてくれるのではないだろうか。高校時代を伊勢神宮近くの学び舎で過ごし, 現在東京歯科大学で,市川総合病院の皆様の献身的な奮闘を目の当たりにしている私が思うことであ る。 (東京歯科大学歯科矯正学講座 教授)

参照

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