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NPD製マイクロボールエンドミルに対するレーザ/プラズマ複合加工技術

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Academic year: 2021

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(1)

Title

NPD NPD製マイクロボールエンドミに対する 製マイクロボールエ

ンドミに対するレーザ/プラズマ複合加工技術

Author(s)

天本 祥文

Citation

福岡工業大学エレクトロニクス研究所所報 第34巻  P31-P34

Issue Date

2017-10

URI

http://hdl.handle.net/11478/776

Right

Type

Departmental Bulletin Paper

Textversion publisher

福岡工業大学 機関リポジトリ 

FITREPO

(2)

NPD 製マイクロボールエンドミルに対する

レーザ

/プラズマ複合加工技術

天本 祥文(工学部知能機械工学科)

仙波 卓弥(工学部知能機械工学科)

Laser Assisted Plasma Etching Technique for Micro Ball-Endmill

Made of Nano-Polycrystalline Diamond

Yoshifumi AMAMOTO (Department of Intelligent Mechanical Engineering, Faculty of Engineering) Takuya SEMBA (Department of Intelligent Mechanical Engineering, Faculty of Engineering)

Abstract

A research project was conducted to develop a laser scanning machining techniques that enables to form the Nano-Polycrystalline Diamond (NPD) radius cutting tool in high-speed with a shape accuracy and a radius of round edge are less than 1 μm. Micro ball-endmill with a frank face of free formed shape and combined shape made up of conical face and hemispherical face was fabricated conducting laser machining to the NPD. Also, it has been clarified that by performing dry etching to the NPD micro ball-endmill, the radius of the cutting edge can be formed to less than 1 nm.

Keywords:Nano-Polycrystalline Diamond, Micro Ball-Endmill, Laser Machining, Dry Etching, Atomic Force Microscopy

1. 緒 言

位置決めや送り運動に対する工作機械の制御分解能は, 現時点で1 nm に達している.これに対し,超精密切削に用 いられている単結晶ダイヤモンド製・切削工具の刃先の丸 み半径は20 nm 以下には成形されていると思われるが(1)1 nm 以下に成形されている保証はない. 高純度グラファイトを超高圧ならびに高温でダイヤモン ド に 直 接 変 換 し た ナ ノ 多 結 晶 ダ イ ヤ モ ン ド (Nano-Polycrystalline Diamond: NPD)は,サイズが 50 nm 以下のダイヤモンドの粒子によって構成されている(2)(3).粒 子の内部に生じた転位やすべり線が粒子の境界で止められ る た め ,NPD は 単 結 晶 ダ イ ヤ モ ン ド (Single-crystal Diamond: SCD)よりも硬いだけでなく,劈開が伝播しない 性質を持っている(4)(5)(6)ため,高硬度材料に対して超精密切 削加工を行うことができる,次世代の超精密切削加工用の 工具素材として有望視されている.しかし,NPD を超精密 切削加工用の工具に成形するためには,NPD に対する粗成 形技術(7)や仕上げ成形技術を新たに開発する必要がある. 本研究では,NPD 製マイクロボールエンドミルの刃先の 丸み半径を 1 nm 以下に成形するための研究を行った.初め に,ナノ秒パルスファーバーレーザを用いた 3 次元走査加 工を開発するための実験を行った.次に,レーザ成形後の NPD 製マイクロボールエンドミルに対して電解加工とドラ イエッチングを行い,刃先の丸み半径を 1 nm 以下に成形す るための実験を行った.

2. 実験装置

〈2・1〉 レーザ加工装置 マイクロボールエンドミル の成形に使用したレーザ加工装置の外観と模式図を図 1 に 示す.制御分解能が 10 nm の 3 軸立形マシニングセンタ(㈱ 牧野フライス製作所製, HYPER2J)のテーブルに,供試材を 装着するための 4 軸自公転ステージを固定した.供試材を 固定した S45C 製の工具ホルダは真ちゅう製の芯振れ防止 治具を介してステッピングモータ,ステッピングモータは X-Y ス テ ー ジ を 介 し て 回 転 テ ー ブ ル ( 駿 河 精 機 ( 株 ) 製 , K432-100)に取付けた.マシニングセンタの直進および円弧 運動と 4 軸自公転ステージの自転および公転運動を併用す ることにより,マイクロボールエンドミルを成形できる機 能を持っている. レーザには,波長が 1 060 nm,周波数が 20~80 KHz,パ ルス幅が 40~120 ns,ならびに出力が 1~8 W のナノ秒パル スファイバーレーザ(JDS Uniphase 製, PFL9)を使用した.レ ーザを集光するだけでなく,加工面を画像観察するための 鏡筒をマシニングセンタのコラムに取付け,レーザを機械 走査することにした.

(3)

天本 祥文, 仙波 卓弥 〈2・2〉 供試材 回転テーブルを用いて NPD 工具の回 転中心軸をマシニングセンタの Y 軸と平行になるように調 節し,NPD 工具を回転させながら Z 軸の+方向に十分に余裕 を持たせたうえで,X-Y 平面内で円錐ならびに半球形状の 輪郭に沿ってレーザ走査軌跡をプルームが出なくなるまで 繰り返し走査し,Z 軸の-方向に切り込んでいくといった走 査を工具の輪郭が鮮明に見えるまで行い円錐角が 72°なら びに先端半径が 0.1 mm の半球状にレーザ成形した NPD を 供試材として使用した.

3.

NPD 製マイクロボールエンドミル

〈3・1〉マイクロボールエンドミルの形状 図 2 に示し ているのは,軸直角断面の形状が半円の工具切れ刃と,切 れ刃からα 度後退した位置にある点 A のトロコイド曲線で ある.切れ刃によって加工面に作られる工具軌跡を実線, 点 A の軌跡を破線で示した.図 2 に赤色で示したコンマ形 の部分は,点 A が加工面に接触した領域を示している.工 具の回転中心 C と点 A の軌跡上の点を結ぶ直線と切れ刃軌 跡との交点を求めることにより接触長さ,接触長さの最大 値を求めることにより,切れ刃から α 度後退した位置にあ る点 A の最大接触長さ δ を幾何計算した. 図 3 に示しているのは,軸直角断面の半径が r の切れ刃 に関する,切れ刃からの後退角α と最大接触長さ δ との関 係である.工具半径 R を 0.1 mm,半径方向切込み量を 5 µm, 工具一回転当たりの送り量を 10 µm,工作物の傾斜角を 60 度に設定した場合の計算結果である. 切れ刃からの後退角がα の位置では,半径 r から最大接触 長さ δα を引くことにより加工面と接触しない工具半径 rα を求めた.傾斜角β を変化させて図 2 と同様の幾何計算を 行った後,幾何計算の結果を踏まえて作成したマイクロボ ールエンドミルの三次元 CAD 形状を図 4 に示している.逃 げ面を滑らかな自由曲面で定義するため,三次元 CAD が持 つスムージング機能を用いて工具の形状を設計した.また, 工具の回転中心を除去するため 45 度の平面で工具先端をカ ットした.CAD を用いて定義したマイクロボールエンドミ ルの形状を元に NPD 製マイクロボールエンドミルのレーザ 成形を試みた. 〈3・2〉NPD 製マイクロボールエンドミルの試作 図 5 に示しているのは,マイクロボールエンドミルのすくい面 ならびに逃げ面のレーザ成形の要領である.図 5(a)に示すよ 図1 工具成形に使用したレーザ加工装置の外観 図 2 軸直角断面が半円の工具に関する切れ刃と 刃裏にある点A の運動軌跡 図3 切れ刃からの後退角 α と最大接触長さδとの関係 図 4 幾何計算の結果を踏まえて設計したマイクロボ ールエンドミルの三次元CAD 形状

(4)

(a) レーザ成形後 (b) ドライエッチング後 図 8 ドライエッチング後に観察したマイクロボー ルエンドミルの切れ刃のようす 図 7 ドライエッチングに使用した誘導結合 プラズマ(ICP)発生装置の模式図 (a)すくい面 (b) 刃裏 図 5 工具の成形要領 うに,すくい面の成形では NPD 工具を半球状に成形した後 に,すくい面が真上かつ水平になるようにステッピングモ ータを用いて工具の自転角を調節し,X-Y 平面内で一方向 にレーザ光を機械走査させてミーリング加工を行い,すく い面を成形した. 図 5(b)に示すように,逃げ面の成形ではすくい面が真下を 向くように Y 軸回りに 180°回転させた後に,3 次元の CAD/CAM を使って計算されたレーザの走査軌跡をレーザ のプルームが見えなくなるまで繰り返し走査させた後に,Z 軸のマイナス方向に移動させるといった操作を繰り返し行 うことにより,自由曲面で定義した逃げ面と回転中心を除 去するための 45 °の平面を成形した. ナノ秒パルスレーザを用いて NPD に対してレーザ加工を 行うと,加工面に熱変質層が生じる.この熱変質層は,電 解液に濃度が 5 %の希塩酸を使用し,電圧を 20V,電流を 0.5 A に設定して 30 分程度の電解加工を行うと完全ではな いが除去できることが確かめられている.そこで,レーザ 加工を行い成形した NPD 製マイクロボールエンドミルに対 して電解加工を行った. 図 6 に示すのは試作した自由曲面で定義した NPD 製マイ クロボールエンドミルである.レーザの走査軌跡を 3 次元 CAD/CAM システムを用いて計算することで,自由曲面で定 義した逃げ面を成形することができた.この試作したマイ クロボールエンドミルの逃げ面が加工中に工作物と接触し ないことを確かめるために,ビッカース硬さが 110 の快削 黄銅に対して切削実験を行った.

4. 切れ刃鋭利化のためのドライエッチング

図 7 に示しているのは,ドライエッチングに使用した誘 導結合プラズマ(ICP)発生装置の模式図である.真空チャン バに希ガスを入れターゲットやアンテナに高周波電圧を印 加すると,プラズマが発生する.ノーズ R バイトを S45C 製 のホルダに取付け,ホルダにプラスのバイアス電圧を印加 すると,ホルダの端面からスパッタアウトした鉄原子が NPD に付着し NPD はプラスに帯電する.そのため,マイ ナスに電離したプラズマが NPD の表面に衝突して NPD は ドライエッチングされる. レーザ加工を行い,すくい面と逃げ面を平坦に成形する 図 6 レーザ成形後に観察した逃げ面を自由曲面 で定義したマイクロボールエンドミル

(5)

天本 祥文, 仙波 卓弥 ことは難しい.そのため,図 8(a)に示しているレーザ加工と 電解加工(ECM)を行い成形した,NPD 製ノーズ R バイトの 切れ刃に対してドライエッチングを行った.真空度は 0.3 Pa,ターゲット出力は 10 W, アンテナ出力は 120 W,なら びにバイアス電圧は 1000 V に設定し,8 時間のドライエッ チングを行った.エッチングガスにはアルゴンと酸素ガス を 8:2 の流量割合で混合した混合ガスを使用した.図 8(b) に示しているのはドライエッチング後の切れ刃のようすで ある.アルゴンと酸素の混合ガスを使用してドライエッチ ングを行うことで欠けのない鋭利な切れ刃を成形すること ができた. NPD 製マイクロボールエンドミルの刃先の丸み半径を測 定するために原子間力顕微鏡 AFM((株)島津製作所製,SPM9 500J)を使用した.図 9(a)に破線で示しているのは,鋭利な 刃先を測定した場合のプローブの軌跡である.プローブの 軌跡は,刃先の輪郭に対して触針の半径分だけ外側へオフ セットされ,プローブは刃先で円弧の軌跡を描く.たとえ ば,触針の半径が 7 nm で刃先の楔角が 80°の場合,図 9(a) に付記したように,刃先でプローブは走査方向に 10.7 nm 移 動する.そこでプローブの走査間隔を 1 nm 以下に設定し, 刃先の丸み半径を測定することにした.図 9(b)に示している のは,プローブの走査間隔を 0.98 nm に設定して測定した刃 先の断面曲線の例である. 図 10 に示しているのは,図 8(b)に示したドライエッチン グ後の NPD 製マイクロボールエンドミルに対して AFM を 用いて測定した切れ刃の AFM 像である. レーザ成形した NPD 製マイクロボールエンドミルに対し てドライエッチングを行うことで,ばらつきはあるが切れ 刃の丸み半径を 1 nm 以下に成形できることが明らかになっ た.

5. まとめ

本研究では,超精密切削加工を行うことができるNPD 製 マイクロボールエンドミルを試作するために,ナノ秒パル スファーバーレーザを用いたレーザ粗成形技術ならびに, ドライエッチングを用いた仕上げ成形技術の開発を行っ た.また,試作したマイクロボールエンドミルの切れ刃の 評価方法の検討を行った.本論文で得られた研究の成果は 以下のようにまとめられる. (1) 切削加工中にトロコイド曲線の上を動く切れ刃と逃げ 面上の各点の干渉量を幾何計算し,逃げ面が加工面と接 触しない形状を求めることで,逃げ面が加工面と接触し ない,逃げ面を自由曲面で定義したマイクロボールエン ドミルを開発することができた. (2) レーザ加工ならびに電解加工を行った NPD 製マイクロボー ルエンドミルに対してアルゴンと酸素の混合プラズマを用い たドライエッチングを行った結果,ばらつきあるが刃先の丸 み半径を 1 nm 以下に成形できることが明らかになった. (3) AFM のプローブ走査間隔を 1 nm 以下に設定する必要は あるが,AFM を用いた鋭利な切れ刃の評価方法を確立 できた. (平成29年6月30日受付)

文 献

(1) 淺井昭一・田口佳男・堀尾健一郎・河西敏雄・小林昭,改良走査電子顕 微鏡 (SEM) による単結晶ダイヤモンド工具の切れ刃稜丸み半径の測 定と解析,精密工学会誌,Vol.56, No, 7(1990), pp.145-150.

(2) Tetsuo Irifune, Ayako Kurino, Shizue Sakamoto, Toru Inoue, Hitoshi Sumiya, Ultrahard polycrystalline diamond from graphite, nature, 421-6923,(2003), pp.599-600.

(3) H. Sumiya, T. Irifune, Indentation hardness of nano-polycrystalline diamond prepared from graphite by direct conversion, Diamond & Related Materials, 13(2004), pp.1171-1176.

(4) 角谷均, 入舩徹男, 各種炭素材料からの直接変換による高純度多結 晶ダイヤモンドの合成とその特性, 高圧力の化学と技術, 16-3(2006), pp.207-215.

(5) H. Sumiya, T. Irifune, Hardness and deformation microstructures of nano-polycrystalline diamonds synthesized from various carbons under high pressure and high temperature, J. Mater. Res, 22-8(2007), pp.2345-2351. (6) 仙波卓弥,岡崎隆一,角谷均, ナノ多結晶ダイヤモンド製マイクロ ボー ルエンドミル, 日本機械学会論文集 C 編,Vol.76, No. 763 (2010), pp. 768-776. (7) 山口哲郎,仙波卓弥,集束レーザ光を用いた高速微細加工技術の開 発,日本機械学会論文集 C 編,73-732(2007-8), pp.220-226. (a) プローブの軌跡 (b) 切れ刃の測定例 図 9 刃先半径を測定する場合のサンプリング間隔と 測定例.測定間隔: 0.98 nm 図 10 ドライエッチング後の NPD 製マイクロボールエンド ミルに対し,AFM を用いて測定した切れ刃の画 像(r: 0.1~9 nm)

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