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2019 年度証券ゼミナール大会 5 10 第 3 テーマ 今後の家計の資産形成手段としての 投資信託 和歌山大学簗田ゼミナール 宮元班 1

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1

2019 年度 証券ゼミナール大会

5

第 3 テーマ

10

「今後の家計の資産形成手段としての

投資信託 」

15

和歌山大学 簗田ゼミナール

20

宮元班

(2)

2

-目次-

は じ め に ... 3 第 一 章 家 計 の 資 産 形 成 の 必 要 性 と 最 適 な 手 段 ... 4 5 第 一 節 老 後 か ら 逆 算 し て 考 え る 家 計 の 資 産 形 成 ... 4 第 二 節 家 計 と 投 資 信 託 ... 6 第 二 章 日 本 と 諸 外 国 の 投 資 信 託 ... 10 第 一 節 日 本 の 投 資 信 託 の 歴 史 と 導 入 経 緯 ... 10 第 二 節 NISA と ISA ... 13 10 第 一 項 NISA ... 13 第 二 項 つ み た て NISA ... 14 第 三 項 イ ギ リ ス と ISA ... 15 第 三 節 ア メ リ カ の 投 資 信 託 ... 17 第 四 節 日 米 英 の 比 較 ... 23 15 第 三 章 日 本 の 投 資 信 託 の 課 題 ... 26 第 一 節 家 計 の 金 融 リ テ ラ シ ー ... 26 第 二 節 金 融 機 関 ・ 販 売 会 社 の 側 面 ... 31 第 一 項 手 数 料 と 過 当 売 買 ... 31 第 二 項 フ ィ デ ュ ― シ ャ リ ー ・ デ ュ ー テ ィ ー の 遵 守 ... 35 20 第 四 章 提 言 ... 37 第 一 節 投 資 信 託 の あ る べ き 姿 ... 37 第 二 節 NY ダ ウ 連 動 フ ァ ン ド の 販 売 ・ 購 入 /日 経 平 均 株 価 の 企 業 銘 柄 の 入 れ 替 え ... 38 お わ り に ... 41 25 参 考 文 献 ... 42

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3 は じ め に 近 年 、「 人 生 100 年 時 代 」と い う 言 葉 か ら も 見 受 け ら れ る よ う に 、長 寿 化 が 進 展 し て い る 。長 寿 化 に 付 随 し て 、老 後 に 必 要 な 資 金 は 増 加 傾 向 に あ る 。一 方 で 、 5 現 在 の 公 的 年 金 制 度 で は 、 現 役 世 代 が 補 い き れ な い ほ ど 高 齢 者 が 多 く 、 年 金 受 給 額 が 少 な く な る 可 能 性 も あ る 。金 融 庁 は そ の よ う な 観 点 か ら 、「 貯 蓄 か ら 資 産 形 成 へ 」 と い う ス ロ ー ガ ン を 掲 げ 、 日 本 国 民 の 資 産 形 成 を 促 し て い る 。 そ こ で 家 計 は 、 老 後 の 暮 ら し を 豊 か に す る た め に 、 金 利 の 低 い 預 貯 金 に よ る 資 産 形 成 や 公 的 年 金 の み に 頼 る の で は な く 、 自 助 努 力 に よ る 資 産 形 成 を 今 よ り も さ ら に 10 考 え な け れ ば な ら な い 局 面 に あ る 。 本 稿 で は 家 計 の 資 産 形 成 を 促 す た め に 、 老 後 の 資 金 不 足 問 題 、 公 的 年 金 受 給 額 の 減 少 か ら 、 家 計 の 資 産 形 成 の 重 要 性 を 説 く 。 そ れ か ら 、 最 も 適 し た 手 段 に な り 得 る も の を 、 投 資 信 託 と 位 置 づ け 、 投 資 非 課 税 制 度 や 投 資 信 託 の 現 状 を 諸 外 国 の 投 資 信 託 と 比 較 ・ 整 理 ・ 考 察 を し 、 我 々 の 考 え る 投 資 信 託 の 本 来 の 姿 を 15 実 現 で き る よ う 、 提 言 を 行 う 。 第 一 章 で は 、 家 計 の 資 産 形 成 の 重 要 性 を 老 後 か ら 考 え 、 数 あ る 資 産 形 成 手 段 の 一 つ と し て 投 資 信 託 が 最 適 に な り う る こ と を 示 す 。 第 二 章 で は 、 日 本 の 投 資 信 託 の 歴 史 と 導 入 経 緯 を 示 し 、 そ こ か ら 広 が っ た 投 資 非 課 税 制 度 NISA に つ い て 述 べ 、NISA の モ デ ル と な っ た ISA に つ い て 述 べ る 。ま た ア メ リ カ の 投 資 信 託 20 制 度 に つ い て 触 れ 、 投 資 の 制 度 面 に つ い て 示 す 。 の ち に 日 本 、 ア メ リ カ 、 イ ギ リ ス の 投 資 信 託 の 実 情 を 比 較 し 、 日 本 で の 投 資 信 託 の 課 題 点 に 触 れ る 。 第 三 章 で は 、日 本 の 投 資 信 託 の 現 状 を 、1 つ 目 に 金 融 リ テ ラ シ ー 、2 つ 目 に 過 当 売 買 で あ る と 考 察 す る 。 第 四 章 で は 、 こ れ ま で に 論 じ て き た 現 状 や 問 題 点 か ら 、 投 資 信 託 の あ り 方 を 再 度 認 識 し 、 問 題 提 起 を し た あ と で 、 家 計 が 投 資 信 託 を 資 産 形 25 成 手 段 と し て 利 用 し や す い よ う 、 提 言 を 行 う 。 30

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4 第 一 章 家 計 の 資 産 形 成 の 必 要 性 と 最 適 な 手 段 「 貯 蓄 か ら 資 産 形 成 へ 」 と い う ス ロ ー ガ ン が 掲 げ ら れ て い る よ う に 、 日 本 で は 貯 蓄 に 代 わ る 資 産 形 成 の 必 要 性 が 重 要 視 さ れ て い る 。 本 章 で は 資 産 形 成 が 必 要 な 点 に 関 し て 検 証 し 、 家 計 の 資 産 形 成 に 最 適 な 手 段 と な り う る も の を 考 察 す 5 る 。 第 一 節 老 後 か ら 逆 算 し て 考 え る 家 計 の 資 産 形 成 老 後 は 収 入 が 低 下 す る に も か か わ ら ず 、総 務 省 の 報 告1に よ れ ば 、40 歳 未 満 の 1 ヶ 月 の 消 費 支 出 は 256,160 円 、60~ 69 歳 は 290,084 円 、70 以 上 は 234,628 円 10 で あ り 、 1 ヶ 月 の 消 費 支 出 は 大 き く 変 わ ら な い 。 こ の よ う に 老 後 の 生 活 に は 公 的 年 金 だ け で は 、 資 金 不 足 が 危 ぶ ま れ る 。 そ こ で 、 我 々 は 資 産 形 成 の 重 要 な ポ イ ン ト を 、 ⑴ 老 後 の 資 金 不 足 、 ⑵ 年 金 受 給 額 の 減 少 と 置 い た 。 上 記 二 項 目 は 、 現 代 日 本 で も し ば し ば 問 題 視 さ れ て お り 、 資 産 形 成 の 重 要 性 を 説 く た め の 基 本 的 な 観 点 で あ る と 考 え た 。 15 ⑴ 老 後 の 資 金 不 足 問 題 日 本 の 平 均 寿 命 は 年 々 増 加 傾 向 に あ る 。 厚 生 労 働 省 の 発 表 し た 資 料2で は 、 2018 年 時 の 平 均 寿 命 は 男 性 81.25 歳 、女 性 87.32 歳 と 過 去 最 高 の 数 字 と な っ て い る 。さ ら に 毎 月 の 国 民 年 金 受 給 額 も 満 額 は 、78 万 100 円3で あ り 、毎 月 の 受 給 額 に 換 算 す れ ば 65,008 円 で あ る 。こ の よ う に 国 民 年 金 に は 上 限 が あ り 、平 均 寿 20 命 が の び る こ と に 伴 っ て 、 国 民 年 金 満 額 受 給 者 が 増 加 し 、 高 齢 者 の 生 活 の 大 き な 問 題 に な る こ と が 考 え ら れ る 。 ま た 科 学 や 医 学 の 進 歩 に よ り さ ら に 長 寿 化 に な る と 予 想 さ れ る 。 次 に 図 表 1 か ら 、 社 会 保 障 給 付 費 は す べ て の 分 野 で 年 々 増 加 し て い る こ と が わ か る 。 そ の 中 で も 医 療 と 年 金 は 社 会 保 障 給 付 費 の 約 8 割 を 占 め て お り 、 現 状 の 社 会 保 障 制 度 等 が 維 持 さ れ 続 け る と 仮 定 す る な ら ば 、 こ の 25 先 の 少 子 高 齢 化 に 伴 っ て 現 役 世 代 は 将 来 、 十 分 な 社 会 保 障 額 が 給 付 さ れ な い こ 1 総 務 省 (2017) 「 家 計 報 告 」 2 厚 生 労 働 省 (2019) 「 平 成 30 年 簡 易 生 命 表 の 概 況 」 3 日 本 年 金 機 構 HP よ り 引 用 、 デ ー タ は 平 成 31 年 4 月 時 点 の も の

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5 と が 推 測 で き る 。さ ら に 金 融 庁 は 、高 齢 社 会 に お け る 資 産 形 成 を 促 す 報 告 書4 お い て 、「 夫 65 歳 以 上 、 妻 60 歳 以 上 の 夫 婦 の み の 無 職 の 世 帯 で は 毎 月 の 不 足 額 の 平 均 は 約 5 万 円 で あ り 、 ま だ 20~ 30 年 の 人 生 が あ る と す れ ば 、 不 足 額 の 総 額 は 単 純 計 算 で 1,300 万 円 ~ 2,000 万 円 に な る 。 (中 略 ) 重 要 な こ と は 、 長 寿 化 の 進 展 も 踏 ま え て 、年 齢 別 、男 女 別 の 平 均 余 命 な ど を 参 考 に し た う え で 、 5 老 後 の 生 活 に お い て 公 的 年 金 以 外 で 賄 わ な け れ ば い け な い 金 額 が ど の 程 度 に な る か 、考 え て み る こ と で あ る 。」と い う 見 解 の 通 り 、公 的 年 金 制 度 に 頼 っ た 生 活 設 計 で は 資 金 不 足 に 陥 る 可 能 性 が あ る こ と が 分 か っ た 。 ま た 家 計 は そ れ ぞ れ 、 老 後 に 必 要 な 資 金 を 算 出 し 、 そ れ に 基 づ き 資 産 形 成 を 行 っ て い く べ き で あ る と 我 々 は 考 え る 。 10 図 表 1 社 会 保 障 給 付 費 の 部 門 別 の 推 移 図 表 1 出 典 ) 厚 生 労 働 省 (2019)「 社 会 保 障 費 用 統 計 (平 成 29 年 度 )」 よ り 筆 者 作 成 15 ⑵ 年 金 受 給 額 の 減 少 日 本 の 公 的 年 金 は 賦 課 方 式5が 一 般 的 で あ る 。賦 課 方 式 の 利 点 と し て 、イ ン フ レ ー シ ョ ン や 経 済 成 長 が 生 じ て い る 状 況 で 、 柔 軟 に 給 付 水 準 を 変 更 す る こ と が 可 能 で あ る 。 ま た 、 積 立 方 式 に 比 べ て イ ン フ レ ー シ ョ ン 時 の 資 産 の 目 減 り が 起 20 4 金 融 庁 (2019) 「 高 齢 社 会 に お け る 資 産 形 成 ・ 管 理 」 p.21 よ り 引 用 、 一 部 略 5 必 要 な 年 金 原 資 を 、 同 時 期 の 現 役 世 代 の 保 険 料 で 賄 う 方 式 の こ と 500,000 1,000,000 1,500,000 1 9 5 0 1 9 5 4 1 9 5 8 1 9 6 2 1 9 6 6 1 9 7 0 1 9 7 4 1 9 7 8 1 9 8 2 1 9 8 6 1 9 9 0 1 9 9 4 1 9 9 8 2 0 0 2 2 0 0 6 2 0 1 0 2 0 1 4 (億円) 年次 医療 年金

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6 こ ら な い こ と が 挙 げ ら れ る 。 し か し さ ら な る 少 子 高 齢 社 会 に な る に つ れ て 、 現 役 世 代 の 保 険 料 支 払 い の 負 担 が 大 き く な る と い っ た 懸 念 も な さ れ て い る 。 平 成 31 年 3 月 1 日 現 在 の 日 本 の 人 口6か ら 現 役 世 代 の 負 担 を 計 算 す る と 、 高 齢 者 1 人 を 支 え る た め に 現 役 世 代 は 約 1.9 人 必 要 で あ る こ と が 分 か っ た7。日 本 で 一 般 的 な 賦 課 方 式 の 年 金 制 度 で は 、 現 役 世 代 が 現 在 の 高 齢 者 を 支 え て い る た め 、 年 5 金 財 政 に 最 も 影 響 を 及 ぼ す の は 、 現 役 世 代 に 対 す る 高 齢 者 の 人 口 比 率 で あ る 。 こ の 先 、 少 子 化 だ け で な く 、 医 療 の 発 達 に よ っ て 平 均 寿 命 が 伸 び て 高 齢 化 が 加 速 し て い く と 考 え ら れ る 。 少 子 高 齢 化 に よ っ て 年 金 保 険 料 の 引 き 上 げ や 受 給 額 の 減 少 の 可 能 性 が あ る 。 し か し 、 年 金 保 険 料 を 引 き 上 げ た と し て も 将 来 の 経 済 動 向 は 予 測 で き な い た め 、十 分 な 額 を 受 け 取 る こ と が で き る か は 確 か で は な い 。 10 よ っ て 、 現 役 世 代 の 負 担 が 大 き く な る と 考 え ら れ る 。 現 役 世 代 が 安 心 し て 余 裕 の あ る 生 活 を 送 る た め に は 、 年 金 を 頼 り に す る の で は な く 、 自 ら の 将 来 、 老 後 の た め に 資 産 を 増 や し て お く 必 要 が あ る 。 以 上 二 点 よ り 、 老 後 の た め の 資 産 形 成 は 必 要 で あ る と 考 え る 。 次 節 で は 数 あ る 資 産 形 成 手 段 の 中 で も 、 投 資 信 託 が 家 計 に と っ て 適 し た 手 段 で あ る か ど う か 15 を 、 比 較 、 考 察 す る 。 第 二 節 家 計 と 投 資 信 託 こ の 節 で は 、 数 あ る 資 産 形 成 手 段 か ら 、 家 計 の 最 適 な 手 段 と な り う る も の を 考 察 し て い く 。こ こ で は 、① 預 貯 金 、② 債 券 投 資 、③ 株 式 投 資 、④ 不 動 産 投 資 、 20 ⑤ 保 険 、 ⑥ 投 資 信 託 を 主 な 資 産 形 成 手 段 と す る 。 25 6 総 務 省 (2019) 「 人 口 推 計 -2019 年 8 月 報 -」 7 高 齢 者 世 代 を 65 歳 以 上 、 現 役 世 代 を 20 歳 か ら 64 歳 ま で と 定 義 し 、 求 め た

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7 図 表 2 各 資 産 形 成 手 段 の 概 要 及 び 考 察 ① 預 貯 金 元 本 保 証 は あ る が 、金 利 が 低 い 。定 期 預 金 で 10 年 預 け た 平 均 金 利 は 0.010%8で あ り 、 普 通 預 金 の 場 合 は 0.001%9と 、 老 後 に 十 分 な 資 産 を 形 成 で き る と は 言 い 難 い 。 ② 債 券 投 資 償 還 期 限 ま で 保 有 す る と 、 額 面 全 額 で 返 済 を 受 け る こ と が 可 能 で あ る 。 固 定 金 利 で は 安 定 し た リ タ ー ン を 得 る こ と が で き る が 、 変 動 金 利 で は 不 安 定 で あ る 。 ま た 中 途 換 金 す る 場 合 、 売 却 価 格 が 購 入 時 よ り も 下 回 っ て 損 失 を 被 る こ と も あ る 。 購 入 し た 債 権 の 発 行 体 が 破 綻 す る リ ス ク も 存 在 す る 。 個 人 向 け 国 債 は 一 万 円 か ら 購 入 可 能 と 比 較 的 少 額 で あ る が 、 固 定 5 年 で 金 利 が 0.05% な ら ば 、 一 万 円 投 資 で 5 年 間 で の 利 子 は 20 円 と 、 長 期 的 に 資 産 形 成 す る べ き 家 計 で は 、 適 切 と は 言 い 難 い 。 ③ 株 式 投 資 株 価 の 上 下 で リ タ ー ン が 決 ま る 。 配 当 金 や 株 主 優 待 が あ り 、 株 主 総 会 に 参 加 が で き る 。し か し 、多 く の 銘 柄 で 、 10 万 円 以 上 の 投 資 額 が 必 要 に な り 、 初 期 投 資 コ ス ト が か な り 高 い 。 ま た 自 ら が 運 用 し な け れ ば い け な い の で 、 あ ら ゆ る 問 題 に 金 融 リ テ ラ シ ー の な い 家 計 は 対 応 で き な い 可 能 性 も あ り 、 家 計 の 資 産 形 成 に は 適 し た 手 段 と は 言 い 難 い 。 ④ 不 動 産 投 資 不 動 産 を 購 入 し 、 他 者 に 賃 貸 す る こ と で 家 賃 収 入 を 得 る こ と で あ る 。 利 回 り は 高 く 、 イ ン フ レ 時 は 資 産 価 値 や 家 賃 収 入 も 上 昇 さ れ る と 予 想 で き る 。 し か し 、 元 本 保 証 は な く 、 初 期 投 資 コ ス ト も 高 い 。 ロ ー ン を 組 ん で 不 動 産 を 購 入 す る 場 合 も 変 動 金 利 な ら ば 、 返 済 額 が 高 く な る リ ス ク も あ る 。 空 室 の リ ス ク も あ り 、 安 定 し た 収 入 を 得 る こ と が 難 し い 。 上 記 様 々 な リ ス ク が あ り 、 資 産 形 成 と し て は 適 し て い な い と 考 察 す る 。 ⑤ 保 険 こ こ で は 老 後 の 資 産 形 成 に 見 合 っ た 商 品 と し て 個 人 保 険 年 金 8 日 本 銀 行 (2019) 預 金 種 類 別 店 頭 表 示 金 利 の 平 均 年 利 率 等 に つ い て 9 8 に 同 じ

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8 を 紹 介 す る 。個 人 保 険 年 金 は 10 年 以 上 保 険 料 を 払 い 込 ん で い る 場 合 は 控 除 で き 、 節 税 が 期 待 で き る 。 保 険 料 は 口 座 か ら 自 動 引 き 落 と し に も で き る の で 、 強 制 的 に 資 産 が 形 成 で き る 。 し か し 元 本 保 証 は な く 、 中 途 解 約 す れ ば 元 本 割 れ の リ ス ク は 高 く な る 。 大 き な リ タ ー ン も 少 な い が 、 長 期 間 保 険 料 を 払 い 込 め ば 返 戻 金 も 多 く な り 、 毎 月 の 保 険 料 払 い 込 み 額 も 平 均 で 15,000 円 ほ ど な の で 、家 計 の 負 担 が 軽 い 。上 記 に 記 し た 通 り 、 個 人 保 険 年 金 は 家 計 の 資 産 形 成 に 適 し た 手 段 の 一 つ で あ る と 言 え る 。 ⑥ 投 資 信 託 運 用 を 専 門 家 に 任 せ る こ と が で き る 。 基 本 は 分 散 投 資 な の で リ ス ク を 軽 減 す る こ と が で き る 。 多 く の 投 資 信 託 は 少 額 で 購 入 で き る 。 し か し 元 本 保 証 は な く 、 購 入 時 の 手 数 料 や 毎 月 の 信 託 報 酬 な ど 、家 計 が 支 払 わ な け れ ば い け な い 手 数 料 が 多 い 。 し か し 、 家 計 は 商 品 を 熟 考 し て 購 入 す れ ば 、 長 期 的 に 見 れ ば 個 人 保 険 年 金 よ り も 多 く の リ タ ー ン が 得 ら れ る こ と が あ る 。 金 融 リ テ ラ シ ー が あ ま り な い 家 計 で あ っ て も 、 小 口 投 資 、 リ タ ー ン 、 運 用 を プ ロ に 委 ね ら れ る 投 資 信 託 は 、 適 し た 手 段 の 一 つ だ と 考 察 す る 。ま た NISA で は 税 制 優 遇 も な さ れ て い る の で 、 節 税 に も 期 待 が で き る 。 出 典 ) オ フ ィ ス 海 (2018)「 史 上 最 強 の FP3 級 テ キ ス ト 18-19 年 版 」 株 式 会 社 ナ ツ メ 社 よ り 筆 者 作 成 、 一 部 加 筆 上 記 で 様 々 な 資 産 形 成 手 段 を 比 較 し た 結 果 、 ⑤ 保 険 、 ⑥ 投 資 信 託 が 家 計 に と っ て 適 し た 手 段 に な り 得 る と 考 察 し た 。 以 下 か ら は 、 投 資 信 託 の 詳 し い 説 明 を 5 す る と と も に 、 最 適 な 手 段 か ど う か を 再 度 考 察 す る 。 投 資 信 託 に は 、主 に 4 つ の 特 徴1 0が あ る 。1 つ 目 は 専 門 家 が 運 用 を 行 う こ と で あ る 。 投 資 に 必 要 な 株 式 や 債 券 の 知 識 や 手 法 を 個 人 で 身 に 付 け る の は 一 般 的 に は 難 し い が 、 投 資 信 託 で は 投 資 家 に 代 わ っ て 、 経 済 や 金 融 に 関 す る 知 識 が あ る 1 0 投 資 信 託 協 会 HP

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9 専 門 家 で あ る フ ァ ン ド マ ネ ー ジ ャ ー に よ っ て 運 用 さ れ る た め 、 投 資 の 知 識 が な い も の で も 資 産 運 用 を す る こ と が で き る 。 2 つ 目 は 少 な い 金 額 で 投 資 が 始 め ら れ る と い う こ と で あ る 。 株 式 投 資 や 不 動 産 投 資 で は 、 ま と ま っ た 大 き な 資 金 が 必 要 に な る が 、 投 資 信 託 で は 100 円 か ら 投 資 が 可 能 で あ る た め 少 額 か ら 始 め や す い 。 3 つ 目 は 株 式 や 債 券 な ど に 分 散 投 資 が で き る こ と で あ る 。 小 口 の お 金 を 5 集 め 、 1 つ の 大 き な 資 金 と し て 運 用 し 、 さ ま ざ ま な 資 産 に 分 散 投 資 を す る こ と で 、 リ ス ク を 軽 減 す る こ と が 可 能 で あ る 。 4 つ 目 は 個 人 で は 投 資 し に く い 国 や 地 域 の 資 産 に 投 資 で き る こ と で あ る 。 投 資 商 品 の 中 に は 個 人 で は 購 入 が 難 し い も の が あ る 。 そ の 例 と し て 海 外 の 債 券 や 不 動 産 、 先 進 国 や 新 興 国 に あ る 企 業 の 株 式 が あ げ ら れ る 。 こ れ ら は 売 買 コ ス ト が 高 か っ た り 、 情 報 の 収 集 が 困 難 で あ 10 っ た り 、 税 金 の 処 理 が 煩 雑 で あ っ た り す る が 、 投 資 信 託 を 通 じ る と 購 入 等 の リ ス ク の 軽 減 が 可 能 に な り 得 る 。 一 方 で 、 懸 念 す べ き 問 題 は 2 つ あ る 。 1 つ 目 は コ ス ト 面 の 問 題 で あ る 。 投 資 信 託 に お け る 投 資 家 は コ ス ト と し て 、 購 入 時 に 販 売 会 社 へ 支 払 う 手 数 料 、 フ ァ ン ド か ら 毎 日 差 し 引 か れ る 運 用 管 理 費 用 ( 信 託 報 酬 )、換 金 時 に 換 金 価 格 か ら 差 し 引 か れ る 信 託 財 産 留 保 額 が あ る 。後 述 で 詳 し く 15 分 析 す る が 、 こ の コ ス ト 面 を 考 え る こ と が 今 後 の 投 資 信 託 に 必 要 な 事 で あ る 。 2 つ 目 は 、 元 本 保 証 が な い 問 題 で あ る 。 預 貯 金 は 元 本 が 保 証 さ れ て い る の に 対 し て 、 投 資 信 託 は 購 入 額 よ り も 売 却 額 が 下 回 る 可 能 性 が あ る 。 そ の た め 、 投 資 信 託 を す る 上 で 、 不 安 な 人 は 比 較 的 リ ス ク の 低 い 金 融 商 品 に 投 資 し て い る 投 資 信 託 を 選 び 、 元 本 割 れ の リ ス ク を 減 ら す こ と が 大 切 で あ る 。 山 口 勝 業1 1に よ る 20 と 、 日 本 で は 、 勤 労 者 世 帯 と 非 勤 労 者 世 帯 に 共 通 し て 、 金 融 資 産 総 額 と リ ス ク 資 産 の 間 に 、 明 確 な 比 例 関 係 が 観 察 で き た 。 我 が 国 の 家 計 の リ ス ク 許 容 量 が 財 政 状 態 に 依 存 し て ほ ぼ 決 ま っ て い る こ と が 示 唆 さ れ て い る 。 そ の た め 、 日 本 で は 財 政 状 態 が 良 い ほ ど リ ス ク 許 容 度 が 高 く 、 悪 い ほ ど 低 く な っ て い る と 考 え ら れ る 。 25 ま た 、投 資 信 託 協 会 の ア ン ケ ー ト1 2に よ る と 、投 資 信 託 の 非 購 入 理 由 上 位 3 つ は 、「 そ も そ も 興 味 が な い 」(48.4% )、「 投 資 の 知 識 が な い 」(38.0% )、「 損 を し 1 1 山 口 勝 業 「 我 が 国 家 計 の 金 融 資 産 に お け る リ ス ク 許 容 度 」 1 2 投 資 信 託 協 会 (2018)「 投 資 信 託 に 関 す る ア ン ケ ー ト 調 査 報 告 書 」 か ら 抜 粋

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10 そ う で 怖 い 」 (29.9% )で あ り 、 他 に も 「 仕 組 み が よ く わ か ら な い 」 や 「 元 本 保 証 が な い 」と い っ た マ イ ナ ス イ メ ー ジ も ま た 多 く 見 受 け ら れ た 。こ の 結 果 よ り 、 日 本 人 は 投 資 の 必 要 性 を 感 じ て い な い の で は な く 、 投 資 に つ い て 理 解 を す る の が 困 難 な 人 々 が 一 定 数 い る た め 、 割 合 が 低 い と い え る 。 そ の た め 、 現 段 階 で は 日 本 人 は 投 資 信 託 に 対 し て 消 極 的 な 人 が 多 い と い え る 。 資 産 運 用 は ハ ー ド ル が 5 高 く 、 リ ス ク が 大 き い と い う イ メ ー ジ が あ る が 、 知 識 や ノ ウ ハ ウ の 面 で 比 較 的 ハ ー ド ル が 低 い 一 例 と し て 、 投 資 信 託 が あ げ ら れ る 。 前 文 で も 述 べ た と お り 、 少 額 の 資 金 で 投 資 信 託 の 購 入 が 可 能 で あ る こ と 、 専 門 家 が 運 用 す る た め 投 資 家 個 人 が 運 用 す る 必 要 が な い こ と か ら 、 投 資 信 託 は 家 計 の 資 産 形 成 に お い て 最 適 な 手 段 に な り う る と 考 察 す る 。 10 図 表 3 投 資 信 託 の し く み 出 典 )投 資 信 託 協 会 HP よ り 引 用 15 第 二 章 日 本 と 諸 外 国 の 投 資 信 託 投 資 信 託 は 家 計 の 資 産 形 成 手 段 と し て 適 切 で あ る と 検 証 し た 。 本 章 で は 日 本 と 諸 外 国 と の 投 資 信 託 の 導 入 経 緯 や 制 度 を 比 較 し 、 日 本 の 投 資 信 託 の よ り 良 い あ り 方 を み て い く 。 20 第 一 節 日 本 の 投 資 信 託 の 歴 史 と 導 入 経 緯 太 平 洋 戦 争 の 直 前 、 1941 年 11 月 に 日 本 で 投 資 信 託 が 誕 生 し た 。 こ れ は 、 戦 時 体 制 を 強 化 す る た め に 、 国 民 の 貯 蓄 の 増 強 と 株 価 の 安 定 、 重 要 産 業 の 生 産 力

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11 を 強 化 す る た め の 資 金 の 供 給 と い う 国 策 上 の 観 点 か ら 誕 生 し た 。 こ の 投 資 信 託 は 、 委 託 者 を 野 村 證 券 、 受 託 者 を 野 村 信 託 と し た も の で 、 イ ギ リ ス の ユ ニ ッ ト ト ラ ス ト を 模 範 と し た も の で あ る 。 だ が 、 本 格 的 に 日 本 で 投 資 信 託 が 始 ま っ た の は 戦 後の こ とで あ る 。 戦 後 の 投 資 信 託 は 、1951 年 6 月 に ス タ ー ト し た 。こ の 戦 後 の 投 資 信 託 は 、戦 5 前 の 金 銭 信 託 を 模 範 と し て 立 法 化 さ れ 、 単 位 型 株 式 投 資 信 託 と し て 誕 生 し た 。 こ れ は 、 第 二 次 世 界 大 戦 終 戦 後 の 日 本 に お い て 、 株 式 が 供 給 過 多 の 状 態 に あ っ た こ と に よ り 、 株 式 の 需 給 調 整 や 、 資 金 不 足 時 代 に お け る 産 業 資 金 調 達 の 意 図 を も っ て 導 入 さ れ た 商 品 で あ っ た 。 こ の よ う に 、 政 府 が 、 産 業 復 興 資 金 の 調 達 を 容 易 に す る た め の 打 開 策 と し て 誕 生 し た も の が 、 現 在 の 日 本 の 投 資 信 託 制 度 10 の 基 に な る も の で あ る。こ の 日 本 の 現 行 投 資 信 託 制 度 は 、 商 品 面 、 販 売 面 、 資 産 運 用 面 に お い て 、 産 業 復 興 の 資 金 調 達 の た め 国 策 の 影 響 を か な り 受 け て き た と 考 え ら れ る 。 図 表 4 日 本 の 公 募 投 資 信 託 の 純 資 産 総 額 の 推 移 15 出 典 )投 資 信 託 協 会 HP よ り 筆 者 作 成 こ の よ う に し て 1951 年 か ら 始 ま っ た 投 資 信 託 は 、 図 表 4 か ら わ か る よ う に 、 発 足 か ら 30 年 後 の 1980 年 代 が ピ ー ク だ っ た が 、1991 年 か ら の バ ブ ル 崩 壊 に よ 20 り 、 日 本 株 式 市 場 は 長 期 的 な 低 迷 を 余 儀 な く さ れ た の で あ る 。 こ の 長 期 的 な 低 迷 か ら 脱 却 す る こ と は 、 日 本 の 金 融 に と っ て 大 き な 課 題 で あ っ た 。 こ の よ う な 状 況 を 踏 ま え て 、 政 府 は 金 融 ビ ッ グ バ ン を 開 始 し た 。 そ し て 、 金 融 ビ ッ グ バ ン 0 20,000,000 40,000,000 60,000,000 80,000,000 100,000,000 120,000,000 1965 年 1968 年 1971 年 1974 年 1977 年 1980 年 1983 年 1986 年 1989 年 1992 年 1995 年 1998 年 2001 年 2004 年 2007 年 2010 年 2013 年 2016 年 (百万円)

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12 の も と で 銀 行 等 が 投 資 信 託 販 売 に 参 入 し た こ と が 大 き な 変 化 を も た ら し た 。 金 融 ビ ッ グ バ ン と は 、 直 接 金 融 か ら 間 接 金 融 へ 、 個 人 の 資 産 運 用 の 効 率 向 上 へ 、 と い う ね ら い が あ る 。 金 融 ビ ッ グ バ ン が 我 が 国 の 投 資 信 託 に も た ら し た 変 化 に つ い て 具 体 的 に 述 べ る 。 最 初 期 に 、 投 資 信 託 販 売 に つ い て 銀 行 な ど の 金 融 機 関 に よ る 販 売 が 解 禁 さ れ 、 投 資 信 託 の 販 売 チ ャ ネ ル が 大 き く 広 が っ た 。 さ ら に 、 5 2005 年 に は 郵 政 民 営 化 に 先 駆 け て 郵 便 局 で の 投 資 信 託 販 売 も 始 ま り 、販 売 チ ャ ネ ル は い っ そ う 拡 大 し た 。 単 位 型 株 式 投 信 で 始 ま っ た こ と 、 ETF が 導 入 さ れ た こ と 、 郵 便 局 で の 販 売 が 始 ま っ た こ と な ど も あ げ ら れ る 。 以 上 の よ う な 経 緯 で 日 本 の 投 資 信 託 は 発 展 し て き た 。 近 年 で は 、 2014 年 に NISA が 導 入 さ れ 、 2018 年 に は つ み た て NISA が 導 入 さ れ た 。 こ の よ う に 、 投 資 10 信 託 を 取 り 巻 く 制 度 の 拡 充 が 相 次 ぎ 、 需 要 は さ ら に 拡 大 す る と 考 え る 。 で は 、 投 資 信 託 や NISA が 日 本 に 導 入 さ れ る こ と に な っ た 理 由 に つ い て も 詳 し く 見 て い く 。 こ れ ら が 日 本 に 導 入 さ れ た 理 由 は 、 公 的 年 金 制 度 が 成 り 立 た な く な っ た か ら だ と 考 え る 。 日 本 で は 少 子 高 齢 化 が 著 し く 進 ん で お り 、 若 者 が 高 齢 者 の 老 後 の 生 活 を 支 え て い く こ と は 難 し い の が 現 状 だ 。 15 図 表 5 日 本 の 少 子 高 齢 化 の 推 移 出 典 ) 総 務 省 「 国 勢 調 査 」( 年 齢 不 詳 人 口 を 除 く ) よ り 筆 者 作 成 20 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 1950 年 1955 年 1960 年 1965 年 1970 年 1975 年 1980 年 1985 年 1990 年 1995 年 2000 年 2005 年 2010 年 2015 年 万人 14歳以下人口 15~64歳人口 65歳以上人口 高齢化率

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13 図 表 5 よ り 、 日 本 の 少 子 高 齢 化 は 著 し く 進 ん で い る こ と が わ か る 。 こ の よ う に 、 少 子 高 齢 化 が 進 ん で い る こ と に よ り 、 公 的 年 金 制 度 で の 若 者 の 負 担 が 大 き く な っ て き て い る 。 そ し て 考 え ら れ た の が 、 投 資 信 託 や 投 資 信 託 を 取 り 巻 く NISA な ど の 税 制 優 遇 制 度 を 使 っ て 、 老 後 の 資 産 を 形 成 す る と い う 方 法 で あ る 。 5 第 二 節 NISA と ISA 前 節 で は 、 日 本 の 投 資 信 託 の 歴 史 と 導 入 経 緯 か ら 分 か る よ う に 、 資 産 形 成 を 促 す 制 度 と し て NISA が 誕 生 し た こ と を 述 べ た 。 本 節 で は 投 資 信 託 を 取 り 巻 く NISA と そ の モ デ ル に な っ た イ ギ リ ス の ISA を 述 べ 、日 本 と イ ギ リ ス の 投 資 信 託 10 を 取 り 巻 く 非 課 税 制 度 に つ い て 述 べ る 。 第 一 項 NISA 日 本 で は 、 家 計 の 資 産 形 成 の さ ら な る 拡 大 を 目 指 し 、 2014 年 に 2023 年 ま で の 投 資 可 能 期 間 を 設 け て 少 額 投 資 非 課 税 制 度 、通 称 NISA が 策 定 さ れ た 。イ ギ リ 15 ス の 個 人 貯 蓄 口 座 (ISA)を も と に 、 日 本 版 と し て 導 入 さ れ て い る 。 NISA は 株 ・ 投 資 信 託 な ど の 金 融 商 品 に 投 資 し た 際 、 配 当 金 や 分 配 金 、 譲 渡 益 が 非 課 税 に な る 。非 課 税 期 間 は 最 長 5 年 で あ り 、新 規 投 資 額 で 毎 年 120 万 円 が 非 課 税 と な る 。 NISA 口 座 は 一 人 に つ き 一 口 座 し か 持 て な い が 、 金 融 機 関 の 変 更 は 可 能 で あ る 。 ま た 非 課 税 期 間 が 終 了 し た 際 で あ っ て も 、 投 資 家 は 売 却 ・ 課 税 口 座 に 移 行 ・ ロ 20 ー ル オ ー バ ー1 3す る か を 自 由 に 選 択 で き る 。 図 表 6 よ り 、 NISA の 口 座 数 と 買 い 付 け 額 は 年 々 増 加 し て お り 、 一 定 数 の 投 資 家 の 需 要 を 満 た し て い る 制 度 で あ る と 見 て と れ る 。 1 3 NISA 口 座 で 保 有 し て い る 金 融 商 品 の 非 課 税 期 間 を 延 長 さ せ る こ と 。 手 続 き を 行 い そ の 商 品 を 翌 年 の NISA 枠 に 移 す こ と に よ り 非 課 税 期 間 を 最 大 10 年 ま で 延 長 す る こ と が 可 能 。

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14 図 表 6 NISA 口 座 数 と 買 付 額 の 推 移 出 典 )金 融 庁 (2014-2019) NISA・ ジ ュ ニ ア NISA 利 用 状 況 調 査 第 二 項 つ み た て NISA 5 NISA か ら 派 生 し て 、 つ み た て NISA は 、 特 に 少 額 か ら の 長 期 ・ 積 立 ・ 分 散 投 資 を 支 援 す る た め の 非 課 税 制 度1 4で あ る 。一 般 NISA と の 違 い は 、非 課 税 期 間 は 20 年 間 で 、 新 規 投 資 額 は 毎 年 40 万 円 が 限 度 で あ る 。 ま た 非 課 税 期 間 が 終 了 し た 際 の ロ ー ル オ ー バ ー が で き な い 。 そ し て 対 象 の フ ァ ン ド は 、 販 売 手 数 料 が 0 円 (ノ ー ロ ー ド )の も の 、 信 託 報 酬 が 低 い 商 品 、 頻 繁 に 分 配 金 が 支 払 わ れ な い 商 10 品 な ど 、 一 般 NISA に 比 べ る と 多 く の 制 約 が つ い て お り 、 164 本1 5し か 存 在 し な い 。 し か し 金 融 庁 が 定 め た 基 準 を 満 た し た 金 融 商 品 に 限 定 さ れ て い る た め 、 初 心 者 に と っ て 、 投 資 の 対 象 が あ る 程 度 絞 ら れ て い る こ と は 一 つ の 利 点 だ と い え る 。 こ の よ う な 特 性 か ら 、 つ み た て NISA の 口 座 数 は 1,274,188 口 、 買 付 額 は 1,332 億 573 万 円1 6と な っ て い る 。 15 1 4 金 融 庁 つ み た て NISA の 概 要 1 5 2019 年 9 月 6 日 時 点 1 6 金 融 庁 (2019) NISA・ ジ ュ ニ ア NISA 利 用 状 況 調 査 平 成 31 年 3 月 末 時 点 6,503,951 8,791,471 10,120,80910,771,391 11,170,196 11,550,823 1.3 4.4 7.8 10.5 13.9 16.4 0 5 10 15 0 5,000,000 10,000,000 15,000,000 2014年3月 2015年3月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 NISA口座数 (兆円)

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15 図 表 7 一 般 NISA と つ み た て NISA の 比 較 一 般 NISA つ み た て NISA 利 用 可 能 者 日 本 在 住 で 20 歳 以 上 の 人 非 課 税 投 資 枠 /年 120 万 円 40 万 円 非 課 税 期 間 最 長 5 年 最 長 20 年 ロ ー ル オ ー バ ー 可 不 可 投 資 対 象 商 品 ・ 上 場 株 式 ・ REIT ・ ETF ・ ワ ラ ン ト 債 等 ・ 長 期 の 資 産 形 成 に 適 し た 投 資 信 託 ・ 一 部 の ETF 出 典 )金 融 庁 HP よ り 筆 者 作 成 第 三 項 イ ギ リ ス と ISA 前 項 ま で は NISA に つ い て 論 じ て き た が 、 そ の モ デ ル と な っ た ISA に つ い て 5 こ こ で 考 察 す る 。 ま ず イ ギ リ ス の 投 資 信 託 の 制 度 か ら ISA を 述 べ て い く 。 イ ギ リ ス は 投 資 信 託 の 起 源 と も 言 わ れ る ほ ど 古 く か ら 投 資 信 託 が 普 及 し て い る 。 ま た 、 日 本 よ り も 金 融 教 育 が 進 ん で い る1 7た め 我 々 よ り も 投 資 に 関 し て 多 く の 知 識 、そ し て 幅 広 い 選 択 肢 を 持 っ て い る 。さ ら に 先 ほ ど 論 じ た NISA の 見 本 と な っ た ISA も イ ギ リ ス が 発 祥 で あ る 。よ っ て 、日 本 の 資 産 形 成 手 段 の 参 考 と し て ISA 10 を 考 察 す る こ と は 意 味 の あ る こ と だ と 考 え ら れ る 。

ISA(Individual Saving Account)と は イ ギ リ ス が 1999 年 に 導 入 し た 個 人 貯 蓄 口 座 の こ と で あ る 。 発 足 当 初 は 2009 年 ま で の 時 限 措 置 で あ っ た が 、 低 所 得 層 や 若 年 層 に 普 及 し た こ と が 評 価 さ れ た た め 恒 久 化 さ れ た 。 現 在 ISA に は 図 表 8 の よ う に ⑴ 株 式 型 と ⑵ 預 金 型 の 2 種 類 が あ る 。 15 1 7 一 概 に 金 融 教 育 が 進 ん で い る と は 言 え な い が 、 欧 州 の 国 民 は 日 本 人 よ り も 投 資 に 対 し て 積 極 的 で リ ス ク を 厭 わ な い メ ン タ リ テ ィ ー を 持 っ て い る

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16 図 表 8 ISA の 分 類 上 限 投 資 額 対 象 商 品 非 課 税 対 象 (1) 株 式 型 ISA 11520£ (約 190 万 円 ) 株 式 、 公 社 債 、 投 資 信 託 、 保 険 な ど 利 子 、 配 当 金 、 譲 渡 益 (2)預 金 型 ISA 5760£ (約 95 万 円 ) 預 金 、 MMF な ど 利 子 出 典 )大 和 総 研 (2014)「 な る ほ ど NISA 第 四 回 英 国 の ISA と の 制 度 比 較 」 よ り 筆 者 作 成 ISA の 特 徴 と し て 上 限 投 資 額 の 仕 組 み が 挙 げ ら れ る 。 ISA の 年 間 上 限 投 資 額 5 は 2019 年 度 で 15240 ポ ン ド1 8(約 214 万 円 )で あ る 。 な お 、 NISA で は 2019 年 現 在 で 120 万 円 で あ る 。 二 国 間 の 上 限 投 資 額 に 大 き な 差 は な い よ う に 見 え る が 、 ISA は 分 配 金 が 非 課 税 で あ る た め 、 投 資 で 得 た 利 益 を 同 じ 口 座 内 で そ の ま ま 次 の 投 資 に 回 す こ と が で き る 。 そ の 利 益 は 上 限 投 資 額 に 含 ま れ な い た め 、 非 課 税 の ま ま 、 投 資 を 続 け る こ と が で き る 。 ま た 、 非 課 税 期 間 が な い こ と も ISA 10 の 特 徴 で あ る 。 ISA が 恒 久 化 さ れ た た め 、 非 課 税 期 間 が 無 期 限 と な っ た 。 気 軽 に 、 そ し て 長 期 的 に 投 資 で き る よ う に な っ た の は イ ギ リ ス 国 民 に と っ て プ ラ ス と い え る だ ろ う 。 以 上 の こ と か ら ISA に は NISA が 参 考 に す る べ き 点 が あ る と い え る 。 再 投 資 が し や す い こ と 、 そ し て 投 資 に 対 し て 長 期 的 な 姿 勢 で 考 え ら れ る こ と で あ る 。 15 NISA は 2019 年 現 在 で 5 年 間 の 非 課 税 期 間 が 設 け ら れ て い る 。 投 資 に 対 し て 積 極 的 な 姿 勢 を 持 た な い 日 本 人1 9は 、6 年 目 以 降 も 非 課 税 と い う シ ス テ ム を 導 入 す る の で あ っ て も 、 大 き な 効 果 が あ る と は 言 い 難 い。付 随 し て 、 2019 年 10 月 16 日 政 府 は NISA の 恒 久 化 を 見 送 る こ と を 発 表 し た 。 政 府 は 、 NISA の 120 万 円 の 上 限 投 資 額 は 富 裕 層 を 優 遇 す る シ ス テ ム だ と 指 摘 し て い る 。 し か し 、 少 額 か ら 20 の 投 資 が 可 能 な NISA を 恒 久 化 し な い こ と は 、 か え っ て 富 裕 層 と 低 中 所 得 層 の 格 差 を 広 げ て し ま う の で は な い だ ろ う か2 0。低 所 得 層 、若 年 層 に 普 及 し た ISA と

1 8 HM Revenue & Customs よ り 作 成 1 9 第 一 章 第 二 節 参 照

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17 対 照 的 に 、NISA は 低 中 所 得 層 の 支 持 を 遠 ざ け る よ う な 方 向 に 進 も う と し て い る 。 こ の 状 況 で は ISA を 参 考 に し た 日 本 の 資 産 形 成 の 見 直 し は 難 し い と 言 え る 。 第 三 節 ア メ リ カ の 投 資 信 託 ア メ リ カ で は 、2019 年 3 月 末 の 時 点 で 投 資 信 託 残 高 が 23 兆 8030 億 ド ル で 世 5 界 1 位 で あ る (図 表 9)。こ の 保 有 額 は 世 界 の 投 資 信 託 残 高 の 約 半 分 に ま で 上 る 。 ま た こ れ は 、 他 の 投 資 信 託 残 高 上 位 国2 1の 金 額 に 注 目 す る こ と で も 、 圧 倒 的 な 数 字 で あ る こ と が 分 か る 。 こ の こ と か ら 、 資 産 形 成 手 段 と し て 投 資 信 託 が 活 用 さ れ て い る 成 功 例 と し て 、 ア メ リ カ の 投 資 信 託 の 特 徴 や 、 歴 史 を 再 考 す る こ と は 意 味 の あ る こ と で あ る 。 10 図 表 9 世 界 各 国 の 投 資 信 託 残 高 ( ド ル ) 1 ア メ リ カ 23 兆 8030 億 6 オ ー ス ト ラ リ ア 2 兆 1050 憶 2 ル ク セ ン ブ ル ク 5 兆 200 億 7 中 国 1 兆 9360 億 3 ア イ ル ラ ン ド 3 兆 840 憶 8 日 本 1 兆 8030 憶 4 ド イ ツ 2 兆 3900 億 9 イ ギ リ ス 1 兆 7670 億 5 フ ラ ン ス 2 兆 1630 憶 10 カ ナ ダ 1 兆 3310 億 出 典 ) 投 資 信 託 協 会 HP「 投 資 信 託 の 世 界 統 計 」 よ り 、 筆 者 作 成 ま ず は 、 ア メ リ カ に お け る 投 資 信 託 保 有 額 の 推 移 に つ い て 分 析 し た い 。 図 表 15 10 よ り 、ア メ リ カ に お け る 投 資 信 託 保 有 額 は 、2000 年 ま で 右 肩 上 が り を 続 け て い る 。 こ の 結 果 、 家 計 の 資 産 形 成 に お け る 投 資 信 託 の 割 合 も 0.2% か ら 13.1% へ と 上 昇 す る こ と と な っ た 。 少 額 か ら で も 挑 戦 で き る NISA は 低 中 所 得 層 向 き と 言 え る 2 1 た だ し 、 2 位 の ル ク セ ン ブ ル ク は タ ッ ク ス ヘ イ ブ ン と し て 活 用 さ れ て い る 点 に は 留 意 し た い 。

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18 図 表 10 ア メ リ カ に お け る 投 資 信 託 保 有 額 と フ ァ ン ド 数 の 推 移 出 典 ) ICI HP よ り 筆 者 作 成 こ れ だ け の 投 資 信 託 残 高 の 急 成 長 の 要 因 と し て 、 期 間 中 に ダ ウ 平 均 株 価 が 5 100 倍 以 上 に 成 長 し た こ と が あ げ ら れ る こ と は 言 う ま で も な い 。 そ の 上 で 、 投 資 信 託 が 家 計 の 資 産 形 成 と し て 活 用 さ れ て き た 経 緯 を 考 察 す る 必 要 が あ る 。 こ こ で 注 目 す る べ き こ と が 、確 定 拠 出 年 金 制 度 で あ る 。ア メ リ カ で は 1974 年 に 従 業 員 退 職 所 得 保 障 法 の 制 定 に よ っ て 確 定 拠 出 年 金 制 度 が 発 足 し た と 言 え る 。 こ れ は IRA と 呼 ば れ る も の で あ る 。 そ の 後 1981 年 に 確 定 拠 出 型 の 401( k) プ 10 ラ ン に よ り 現 行 の 確 定 拠 出 年 金 制 度 が 確 立 さ れ た 。 そ も そ も こ れ ら 制 度 は 、 図 表 11 か ら も 分 か る 通 り 、 貯 蓄 率 の 低 い ア メ リ カ 人 の 消 費 傾 向 が 問 題 視 さ れ た 背 景 が あ り 、 個 人 に よ る 老 後 に 備 え た 資 産 形 成 の た め の 資 産 運 用 の 促 進 を 目 的 と さ れ た も の で あ る 。 そ の た め 、 確 定 拠 出 年 金 へ の 個 人 拠 出 に つ い て は 税 制 の 優 遇 を 受 け 、 運 用 期 間 中 の 収 益 に つ い て 課 税 さ れ な い の で あ る 。 こ の 制 度 に よ 15 り 、 家 計 は 投 資 に 回 す こ と が で き る 資 産 の 確 保 を す る こ と が で き る よ う に な っ た 。ま た 、杉 田 浩 治( 2015)2 2に よ る と 、「 DC 加 入 者 の 間 に「 老 後 に 備 え る 長 期 の 資 産 運 用 に つ い て は 、 預 金 な ど 元 本 安 全 商 品 で な く 、 短 期 的 リ ス ク は あ っ て も 長 期 的 に は 高 い リ タ ー ン を 期 待 で き る 株 式 組 入 れ 商 品 を 中 心 と す べ し 」 と い 2 2 杉 田 浩 治 ( 2015)「 米 国 投 信 4 分 の 3 世 紀 の 歴 史 か ら 何 を 学 ぶ か 」 日 本 証 券 経 済 研 究 所 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 $0.00 $5,000.00 $10,000.00 $15,000.00 $20,000.00 1 9 4 0 1 9 5 5 1 9 7 0 1 9 7 7 1 9 8 0 1 9 8 3 1 9 8 6 1 9 8 9 1 9 9 2 1 9 9 5 1 9 9 8 2 0 0 1 2 0 0 4 2 0 0 7 2 0 1 0 2 0 1 3 2 0 1 6 (ファンド数) (billions)

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19 う 認 識 が 高 ま っ た こ と に あ る 。」と あ る よ う に 、株 価 の 長 期 上 昇 を 背 景 に 確 定 拠 出 年 金 を 運 用 し た ほ う が い い と い う 認 識 が 高 ま っ た こ と も 要 因 の 一 つ で あ る と 言 え る 。 確 定 拠 出 年 金 制 度 導 入 時 期 と 、 ア メ リ カ に お け る 投 資 信 託 フ ァ ン ド 数 が 急 激 に 上 昇 し 、 そ れ を 追 い か け る よ う に 投 資 信 託 残 高 も 上 昇 し て い く 時 期 が 一 致 し て い る こ と か ら も 、 確 定 拠 出 年 金 制 度 が 影 響 を 及 ぼ し た と い う こ と が 推 5 測 で き る 。 図 表 11 ア メ リ カ と 日 本 の 貯 蓄 率 の 推 移 出 典 ) OECD2 3HP よ り 筆 者 作 成 10

2 3 Organization for Economic Co-operation and Development

-1.000 1.500 4.000 6.500 9.000 11.500 14.000 16.500 19.000 21.500 24.000 1 9 6 0 1 9 6 3 1 9 6 6 1 9 6 9 1 9 7 2 1 9 7 5 1 9 7 8 1 9 8 1 1 9 8 4 1 9 8 7 1 9 9 0 1 9 9 3 1 9 9 6 1 9 9 9 2 0 0 2 2 0 0 5 2 0 0 8 2 0 1 1 2 0 1 4 2 0 1 7 2 0 2 0 アメリカ 日本

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20 図 表 12 401( k ) と IRS の 資 産 残 高 の 推 移 出 典 ) 杉 田 浩 二 ( 2012)「 米 国 の 確 定 拠 出 年 金 30 年 の 推 移 か ら 日 本 の DC の ビ ジ ネ ス を 考 え る 」 日 本 証 券 経 済 研 究 所 ・ P7・ 図 表 2 よ り 引 用 5 ま た 、 ア メ リ カ の 投 資 信 託 商 品 の 成 長 に も 注 目 し た い 。 ア メ リ カ の 投 資 信 託 は ア ク テ ィ ブ 運 用 型 の 株 式 フ ァ ン ド 、 債 権 フ ァ ン ド の 2 種 類 が 中 心 で あ っ た 。 こ の 状 況 は 1971 年 に MMF2 4が 生 ま れ た こ と を き っ か け に 、 免 税 地 方 債 フ ァ ン ド や イ ン デ ッ ク ス フ ァ ン ド 、 ETF な ど 消 費 者 の ニ ー ズ に 合 っ た 様 々 な 商 品 が 生 ま れ て い く 。 そ の 中 で も 、 特 に MMF の 登 場 に よ り 次 の 3 点 の 効 果 が 見 ら れ る 。 10 ① 金 利 上 昇 に 強 い フ ァ ン ド の 誕 生 で あ る 。株 式 フ ァ ン ド や 債 権 フ ァ ン ド に は 、 金 利 の 上 昇 時 に 利 益 が 出 に く い 特 徴 が あ る こ と に 対 し て 、 MMF で は 金 利 の 上 昇 に 伴 い フ ァ ン ド 利 回 り も 上 昇 す る た め 、 投 資 家 は 状 況 に よ っ て 適 し た 投 資 信 託 を 選 択 で き る よ う に な っ た 。 ② 株 式 や 債 権 フ ァ ン ド の 高 リ ス ク を 嫌 っ て い た 若 年 層 を 取 り 込 め た こ と だ 。 15 そ れ ら の フ ァ ン ド に 比 べ 元 金 安 定 性 が 高 い に も 関 わ ら ず 銀 行 預 金 よ り も 利 回 り が 高 く 、 そ れ ま で 証 券 会 社 の メ イ ン 顧 客 対 象 で は な か っ た 若 年 層 を 新 規 顧 客 と し て 取 り 込 む こ と が で き た 。実 際 に 、Matthew Fink( 2011)2 5と 杉 田 浩 二( 2015)

2 4 Money Management Fund

2 5 Matthew Fink “ The Rise of Mutual Funds ” Oxford University

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21 に よ る と 、銀 行 が 顧 客 の 一 角 で あ る 若 年 層 の 証 券 会 社 へ の 流 出 を 嫌 い 、20 の 州 に お い て MMF 排 斥 キ ャ ン ペ ー ン が 行 わ れ た の も こ の 時 期 で あ る 。 ③ 証 券 会 社 が 株 価 暴 落 時 に お け る 顧 客 資 金 の 避 難 場 所 を 作 る こ と が で き た こ と だ 。そ れ ま で は 株 価 が 暴 落 す る と 銀 行 預 金 へ 資 金 が 流 出 し て い た の だ が 、MMF、 つ ま り 証 券 会 社 内 で の 商 品 へ 資 金 を 逃 が す こ と が で き る よ う に な っ た 。 そ の た 5 め 、株 価 の 変 動 に 伴 う 顧 客 の 減 少 を 最 低 限 に 食 い 止 め る こ と が で き 、「 顧 客 の 受 け 皿 」 を 作 る こ と が で き た の で あ る 。 販 売 経 路 の 多 様 化 も 、ア メ リ カ の 投 資 信 託 の 普 及 に 貢 献 し て い る 。1980 年 代 に な る と 銀 行 に よ る 投 資 信 託 の 販 売 が 認 め ら れ 、2000 年 代 に な る と イ ン タ ー ネ ッ ト で の 売 買 が 可 能 に な り 、販 売 経 路 は よ り 拡 充 し て い く こ と と な っ た 。ま た 、 10 日 本 と の 最 大 の 違 い で あ る こ と が 、 証 券 会 社 の ビ ジ ネ ス モ デ ル が 変 わ っ た こ と で あ り 、 中 心 商 品 が 個 別 株 式 か ら 投 資 信 託 に な っ た こ と で 、 独 立 し た フ ァ イ ナ ン シ ャ ル ア ド バ イ ザ ー の 成 長 が あ る 。 以 前 の ビ ジ ネ ス モ デ ル は 、 個 別 株 式 の 売 買 手 数 料 で 利 益 を 出 す こ と が 主 流 で あ っ た こ と に 対 し て 、1990 年 代 に 入 る と 顧 客 の 資 産 残 高 に 対 し て 一 定 の 利 回 り を 徴 収 す る こ と に シ フ ト し て い っ た の で あ 15 る 。 つ ま り 、 コ ミ ッ シ ョ ン ベ ー ス か ら フ ィ ー ベ ー ス へ の 移 行 に よ り 、 投 資 信 託 商 品 を 成 長 さ せ る こ と が 利 益 を 出 す 方 法 へ と な っ た の で あ る 。 フ ァ ン ド 数 の 推 移 に も 特 徴 が 見 て 取 れ る 。 フ ァ ン ド 数 は 2000 年 代 ま で は 大 き く 増 加 を し 続 け て い る が 、 そ の 後 は ほ と ん ど 増 加 を し て い な い 。 し か し 、 投 資 信 託 残 高 を 確 認 す る と む し ろ 2000 年 代 に 入 っ て か ら 急 激 に 増 加 し て い る 。 20 こ の こ と か ら 、 投 資 信 託 商 品 の 種 類 を 増 や す の で は な く 、 運 用 に よ っ て 各 商 品 を 大 き く 育 て る こ と に シ フ ト し て い る こ と が 分 か る 。 つ ま り 、 投 資 信 託 会 社 が 既 存 商 品 を 大 切 に 育 て る こ と に 力 を 注 い で い る と い う こ と が 、 ビ ジ ネ ス モ デ ル の シ フ ト 以 外 に も 、 デ ー タ か ら 読 み 取 る こ と が で き る 。 以 上 の こ と か ら 、 ア メ リ カ の 投 資 信 託 は 70 年 以 上 の 歴 史 の 中 で 、 DC や 販 売 25 経 路 の 拡 大 、 MMF な ど の 投 資 信 託 商 品 の 多 種 化 に よ り 、 様 々 な バ ッ ク グ ラ ウ ン ド を 持 つ 人 が 投 資 信 託 を 利 用 し や す い 土 壌 を 構 築 し 、 投 資 信 託 会 社 が 投 資 信 託 商 品 を 成 長 さ せ 、 投 資 の 知 識 が な い 人 の た め の ア ド バ イ ザ ー の 存 在 に よ り 、 実 際 に 利 益 が 出 せ る 環 境 に な っ て い っ た と 言 え る 。 こ の よ う な 流 れ か ら 、 日 本 の 投 資 信 託 が 学 ぶ こ と し て 、 投 資 信 託 商 品 の 成 長 30

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22 と ア ド バ イ ザ ー の 存 在 の 2 点 が 挙 げ ら れ る 。 日 本 に お い て も 、 ア メ リ カ と 同 様 に 販 売 経 路 の 拡 大 や 商 品 の 多 種 化 な ど は す で に 行 わ れ て い る こ と は 、 周 知 の 事 実 で あ る と 言 え る こ と に 加 え 、 ア メ リ カ で 投 資 信 託 が 発 展 す る こ と が で き た 最 大 の 要 因 は 、 当 然 で は あ る が 利 益 を 出 す こ と が で き た こ と で あ る 。 ま ず 、図 表 13 よ り 、ア メ リ カ の 投 資 信 託 保 有 額 と フ ァ ン ド 数 の 関 係 を 日 本 の 5 も の を 比 較 す る と 、2018 年 時 点 で ア メ リ カ の フ ァ ン ド 1 本 当 た り の 保 有 額 が 約 2356 億 円2 6で あ る こ と に 対 し て 、日 本 で は 171 億 円 で あ り 、両 者 に は 14 倍 近 い 差 が あ る 。 投 資 信 託 に も 当 然 、 規 模 の 利 益 は 適 用 さ れ る 。 そ の た め こ の デ ー タ は 、 ア メ リ カ の ほ う が 経 費 や 運 転 費 用 に お い て 、 よ り 効 率 的 な 運 用 を し て い る と い う 裏 付 け で あ る と 考 え る こ と が で き る 。 こ の 観 点 か ら 、 日 本 に お い て も 、 10 既 存 商 品 の 成 長 に 力 を 注 ぎ 、 よ り 効 率 的 な 運 用 が で き る よ う に す る べ き で あ る こ と が 分 か る 。 図 表 13 日 本 に お け る 公 募 投 資 信 託 保 有 額 と フ ァ ン ド 数 の 推 移 15 出 典 ) 日 本 証 券 業 協 会 HP よ り 、 筆 者 作 成 2 6 2019 年 10 月 10 日 時 点 で の 1 ド ル 107.5 円 換 算 で 、 筆 者 に よ る 計 算 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 0 20,000,000 40,000,000 60,000,000 80,000,000 100,000,000 120,000,000 1981 年 1983 年 1985 年 1987 年 1989 年 1991 年 1993 年 1995 年 1997 年 1999 年 2001 年 2003 年 2005 年 2007 年 2009 年 2011 年 2013 年 2015 年 2017 年 (本数) (百万円) 純資産総額 ファンド数

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23 次 に 必 要 と な る も の が 、 ア ド バ イ ザ ー の 存 在 で あ る 。 日 本 で も 独 立 し た フ ァ イ ナ ン シ ャ ル プ ラ ン ナ ー か ら 、 知 識 の 乏 し い 一 般 投 資 家 が ア ド バ イ ス を 得 る こ と が で き る ビ ジ ネ ス モ デ ル を 構 築 す る 必 要 が あ る 。杉 田 浩 二( 2019)2 7よ り「 日 本 で は 、「 情 報 と 助 言 は タ ダ で 得 ら れ る 」 と 考 え る 投 資 家 が 多 く 、 FP の 独 立 が 5 難 し い 状 況 が 続 い て い る 。」と あ る よ う に 、日 本 人 の 気 質 も 影 響 し て 、ア ド バ イ ザ ー の ビ ジ ネ ス モ デ ル の 構 築 が で き て い な い こ と が 問 題 で あ る 。 話 が そ れ て し ま う が 、 株 式 会 社 JTB が 2019 年 4 月 1 日 よ り 、「 旅 行 相 談 料 」 を 試 験 的 に 導 入 し 、 話 題 に な っ た こ と か ら も 、 日 本 人 の 気 質 は う か が え る 。 こ の 状 況 下 で は 、 ア ド バ イ ザ ー が ビ ジ ネ ス を 行 う こ と は 困 難 で あ る と 考 え る こ と は 容 易 で あ り 、 10 金 融 教 育 な ど を 通 じ て 国 民 意 識 を 変 え つ つ 、 よ り 独 立 し た フ ァ イ ナ ン シ ャ ル プ ラ ン ナ ー が 参 入 し や す い 土 壌 を 整 え て い く 必 要 が あ る と 言 え る 。 第 四 節 日 米 英 の 比 較 こ れ ま で に 、 日 本 ・ ア メ リ カ ・ イ ギ リ ス の 投 資 信 託 の 歴 史 や そ れ を 取 り 巻 く 15 制 度 、 特 徴 を 述 べ て き た が 、 こ こ で は 3 ヵ 国 を 比 較 し 日 本 の 資 産 形 成 に お け る 投 資 信 託 は ど う あ る べ き か に つ い て 論 じ て い く 。 特 に 、 日 本 が 現 在 抱 え て い る 投 資 信 託 の 保 有 期 間 の 短 さ 、 手 数 料 の 高 さ 、 こ の 2 つ の 課 題 に 焦 点 を 当 て て い く 。 ま ず は 保 有 期 間 に つ い て 述 べ て い く 。図 表 14、15、16 は そ れ ぞ れ 日 本 、ア メ 20 リ カ 、 イ ギ リ ス の 主 な 投 資 信 託 保 有 期 間 を 表 す 。 見 て の 通 り 日 本 の 投 資 信 託 保 有 期 間 は ア メ リ カ 、イ ギ リ ス と 比 べ て 短 い2 8。日 本 の 投 資 信 託 の 販 売 口 と し て 、 証 券 会 社 は も と よ り 金 融 ビ ッ グ バ ン 以 降 は 銀 行 、 保 険 会 社 、 郵 便 局 な ど 様 々 な 金 融 機 関 が 挙 げ ら れ る 。 金 融 機 関 は 消 費 者 の 利 益 を 確 保 す る だ け で な く 、 一 企 業 と し て 自 ら の 利 益 も 獲 得 し な け れ ば な ら な い 。 そ の た め 、 販 売 手 数 料 を 稼 ご 25 う と 元 々 保 有 期 間 が 短 い 商 品 を 販 売 す る 過 当 売 買2 9が 行 わ れ る こ と が あ る 。 長 2 7 P19 2 8 た だ し 、 2014 年 以 降 保 有 期 間 が 長 期 化 し て い る の は NISA が 導 入 さ れ た た め で あ る こ と に 留 意 し て お き た い 2 9 本 稿 第 三 章 第 二 節 参 照

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24 期 保 有 の 商 品 は 消 費 者 が 購 入 後 、 次 の 商 品 を 購 入 す る ま で 期 間 が 空 き 、 販 売 手 数 料 を 取 る 回 数 が 減 っ て し ま う か ら だ 。 し か し こ の よ う な 金 融 機 関 本 位 の 営 業 を し て い る よ う で は 海 外 と の 差 は 縮 ま ら な い だ ろ う 。 図 表 14 日 本 の 投 資 信 託 保 有 期 間 5 出 典 ) 投 資 信 託 協 会 HP よ り 筆 者 作 成 図 表 15 長 期 投 資 型 ア メ リ カ ミ ュ ー チ ュ ア ル フ ァ ン ド の 平 均 保 有 期 間 10 出 典 ) 杉 田 浩 二 (2018) 「 投 資 信 託 の 制 度 ・ 実 態 の 国 際 比 較 」 よ り 筆 者 作 成 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 1989 年 1991 年 1993 年 1995 年 1997 年 1999 年 2001 年 2003 年 2005 年 2007 年 2009 年 2011 年 2013 年 2015 年 2017 年 (年数) 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 1985 年 1988 年 1991 年 1994 年 1997 年 2000 年 2003 年 2006 年 2009 年 2012 年 2015 年 2018 年 (年数)

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25 図 表 16 イ ギ リ ス 投 資 信 託 の 平 均 保 有 期 間 出 典 ) 杉 田 浩 二 (2018) 「 投 資 信 託 の 制 度 ・ 実 態 の 国 際 比 較 」 よ り 筆 者 作 成 次 に 販 売 手 数 料 に つ い て 述 べ て い く 。 こ こ で は 手 数 料 に つ い て 量 的 な 内 容 で 5 は な く 、 制 度 面 で の 比 較 を 行 う 。 日 本 の 投 信 販 売 手 数 料 は 自 由 化 さ れ て い る 。 つ ま り 、同 一 フ ァ ン ド に つ い て 販 売 会 社 、販 売 方 法 に よ っ て 手 数 料 率 が 異 な る 。 ま た 手 数 料 に 上 限 は な い 。 そ れ に 比 べ て ア メ リ カ は 、 各 フ ァ ン ド の 目 論 見 書 記 載 の 価 格 以 外 で の 販 売 手 数 料 を 設 定 す る こ と が 禁 止 さ れ て い る 。 目 論 見 書 は 運 用 会 社 が 作 成 す る こ と が 多 い た め 、 販 売 会 社 は 手 数 料 を 自 由 に 決 め る こ と が で 10 き な い 。 こ の 制 度 に は あ る 背 景 が あ る 。 旧 来 ア メ リ カ は 投 資 信 託 の 販 売 を 当 日 価 格 で は な く 前 日 価 格 で 行 っ て い た 。 そ う す る と 、 株 価 が 上 が っ て い る 日 に 前 日 の 安 い 価 格 で 購 入 し 、翌 日 高 い 価 格 で 売 却 す る と い う 流 れ が 発 生 す る の だ が 、 一 般 の 投 資 家 は 手 数 料 が ネ ッ ク に な っ て い た 。 し か し 、 一 部 の 業 界 関 係 者 や 優 遇 顧 客 は 手 数 料 無 し で こ の よ う な 闇 取 引 を 行 っ て い た 。 こ う し た 不 当 取 引 を 防 15 ぐ た め 、 ま た 資 産 価 値 の 希 薄 化 を 防 ぐ た め に 一 律 手 数 料 の 設 定 に 踏 み 切 っ た の だ 。 手 数 料 を フ ァ ン ド ご と に 一 律 に 設 定 す る こ と で 、 消 費 者 は 販 売 手 数 料 に 悩 ま さ れ る こ と が 減 り 、 ア メ リ カ の 投 資 家 は 合 理 的 な 選 択 が 可 能 に な っ た と 考 察 す る 。 ま た 、 イ ギ リ ス で は 「 Vanguard(バ ン ガ ー ド )」 が 注 目 さ れ て い る 。 バ ン ガ ー ド と は 、ア メ リ カ 発 祥 の 投 資 信 託 会 社 で 、2018 年 時 点 で は バ ン ガ ー ド 社 の 20 フ ァ ン ド 購 入 者 は 約 2000 万 人 に 上 る 。ま た 、販 売 以 外 に も フ ィ ナ ン シ ャ ル ア ド バ イ ス な ど も 行 っ て お り 、 人 気 を 集 め て い る 。 こ の バ ン ガ ー ド は 手 数 料 が 3.7 3.8 3.9 4 4.1 4.2 4.3 4.4 2007年2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 (年数)

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26 0.12% と 安 い の が 特 徴 で あ る 。 手 数 料 が 安 い 理 由 は 、 バ ン ガ ー ド の フ ァ ン ド の 投 資 家 は フ ァ ン ド を 通 し て 間 接 的 に バ ン ガ ー ド の 株 主 に な る た め 、 こ の 構 造 に よ り 投 資 家 以 外 の 株 主 に 配 当 金 な ど を 払 う 必 要 が な く な る 。 こ れ に よ っ て バ ン ガ ー ド 社 は 投 資 家 の 利 益 の た め だ け に フ ァ ン ド を 運 用 す る た め 、 手 数 料 を 多 く 取 ら な く て も 経 営 を 充 分 維 持 で き る と い う 仕 組 み に な っ て い る 。 こ の よ う に ア 5 メ リ カ や イ ギ リ ス で は 、 手 数 料 に つ い て 画 期 的 な 改 革 や 顧 客 本 位 の 考 え に 立 つ こ と に よ っ て 、 投 資 家 に と っ て 良 い 環 境 を 形 成 し て き た と 言 え る 。 以 上 の 比 較 か ら 、 日 本 は 投 資 信 託 の 保 有 期 間 、 手 数 料 に つ い て 制 度 上 遅 れ を と っ て い る こ と が わ か る 。 10 第 三 章 日 本 の 投 資 信 託 の 課 題 日 本 で は 政 府 主 導 の 下 、「 貯 蓄 か ら 資 産 形 成 へ 」と い う ス ロ ー ガ ン を 掲 げ 、投 資 信 託 を 含 め た 家 計 の 資 産 形 成 手 段 の 1 つ と し て 国 民 に 促 し て い る 。 し か し 現 状 の 日 本 の 投 資 信 託 に は 多 く の 問 題 が 存 在 す る 。 本 稿 図 表 17 か ら も 分 か る 通 り 、 日 本 の 家 計 の 金 融 資 産 構 成 に お け る 投 資 信 託 の 割 合 は 約 4% で あ り 、 投 資 15 信 託 が 家 計 の 資 産 形 成 手 段 と し て 機 能 し て い る と 言 い 切 る こ と は 難 し い 。 そ こ で 本 章 で は 、 家 計 と 金 融 機 関 の 2 つ の 側 面 か ら 、 日 本 の 投 資 信 託 の 現 状 や 課 題 点 を 挙 げ て い く 。 第 一 節 家 計 の 金 融 リ テ ラ シ ー 20 金 融 リ テ ラ シ ー と は 、 OECD に よ っ て 「 金 融 に 関 す る 健 全 な 意 思 決 定 を 行 い 、 究 極 的 に は 金 融 面 で の 個 人 の 暮 ら し ( well being) を 達 成 す る た め に 必 要 な 、 金 融 に 関 す る 意 識 、 知 識 、 技 術 及 び 行 動 の 総 体 」 と 定 義 さ れ て い る 。 ま た 、 日 本 証 券 業 協 会3 0に よ る と 、「 金 融 に 関 す る 知 識 や 情 報 を 正 し く 理 解 し 、自 ら が 主 体 的 に 判 断 す る こ と の で き る 能 力 で あ り 、 社 会 人 と し て 経 済 的 に 自 立 し 、 よ り 25 良 い 暮 ら し を 送 っ て い く 上 で 欠 か せ な い 生 活 ス キ ル 」 と 定 義 さ れ て い る 。 つ ま り 、 金 融 リ テ ラ シ ー と は 、 投 資 行 動 に 重 大 な 影 響 を 与 え る 要 素 で あ る 。 家 計 の 資 産 形 成 手 段 と し て 、 投 資 信 託 を 一 般 化 す る た め に は 、 金 融 リ テ ラ シ ー の 向 上 30 日 本 証 券 業 協 会 ホ ー ム ペ ー ジ 「 金 融 ・ 証 券 用 語 集 」( 金 融 リ テ ラ シ ー )

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27 は 必 要 不 可 欠 な 事 で あ る と 考 え ら れ る 。図 表 17 を 見 て わ か る よ う に 、米 国 や ユ ー ロ 圏 に 比 べ る と 日 本 の 現 金・預 金 の 項 目 の 比 率 は 、53.3% と ず ば 抜 け て い る 。 そ れ に 対 し て 、 債 務 証 券 ・ 投 資 信 託 ・ 株 式 等 の 資 産 運 用 項 目 の 比 率 は 、 15.2% と 、 と て も 低 い 結 果 と な っ て い る 。 こ の よ う に 、 米 国 や ユ ー ロ エ リ ア と 比 較 す る と 日 本 の 資 産 運 用 に 対 す る 意 識 の 低 さ を う か が う こ と が で き 、 金 融 リ テ ラ シ 5 ー は 低 い と 考 え ら れ る 。 図 表 17 日 ・ 米 ・ 欧 各 国 の 家 計 の 金 融 資 産 の 構 成 出 典 ) 日 本 銀 行 調 査 統 計 局 (2019)よ り 筆 者 作 成 10 日 本 の 金 融 リ テ ラ シ ー が 低 い 理 由 と し て 、 金 融 広 報 中 央 委 員 会 の 調 査 で は 、 金 融 に 関 す る 教 育 が 少 な い こ と 、 投 資 や 資 産 運 用 よ り も タ ン ス 貯 金 な ど に 傾 く 人 が 多 い こ と 、 投 資 と 聞 く と マ イ ナ ス イ メ ー ジ を 抱 く 人 が 多 い こ と の 3 つ に ま と め ら れ て い る 。 ま ず は 、 日 本 で の 金 融 に 関 す る 教 育 が 少 な い こ と を 、 ア メ リ 15 カ 、 イ ギ リ ス 、 オ ー ス ト ラ リ ア と 比 較 し て み て い く 。 53.3 12.9 34 1.3 6.5 2.3 3.9 12 8.8 10 34.3 18.8 28.6 31.7 34 3 2.7 2.2 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 日本 米国 ユーロエリア (%) 現金・預金 債務証券 投資信託 株式等 保険・年金・定型保証 その他

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28 図 表 18 4 カ 国 の 金 融 教 育 に お け る 差 異 ア メ リ カ イ ギ リ ス オ ー ス ト ラ リ ア 日 本 金 融 教 育 に 取 り 組 み 始 め た き っ か け ・1980 年 代 に 開 始 さ れ た 金 融 自 由 化 。 ・2007 年 の サ ブ プ ラ イ ム ロ ー ン 問 題 。 公 的 年 金 の 規 模 縮 小 お よ び 、 私 的 年 金 へ の 移 行 奨 励 策 に よ っ て 起 こ っ た 社 会 問 題 。 ・ ス ー パ ー ア ニ ュ エ ー シ ョ ン へ の 強 制 加 入 。 ・2000 年 初 頭 に 起 こ っ た 若 年 層 の 負 債 。 少 子 高 齢 化 が 進 み 、 今 の 子 供 た ち が 将 来 、 生 活 で き 不 自 由 な く 生 活 で き る だ け の 年 金 が も ら え な く な る 可 能 性 が 高 い 。 金 融 教 育 の 目 的 ・ 特 徴 情 報 を 選 択 し 、 落 と し 穴 を 避 け 、 ど こ に 助 け を 求 め に い っ た ら よ い か を 知 り 、 現 状 を 改 善 し 長 期 的 な 金 融 的 well-being を 改 善 す る た め の 行 動 を と る 力 を 付 け る 。 市 場 の 信 憑 性 、 公 衆 の 啓 蒙 、 消 費 者 の 保 護 、 金 融 犯 罪 の 削 減 。 金 融 教 育 は 金 融 サ ー ビ ス 市 場 法 と い う 法 律 に よ っ て 位 置 付 け ら れ て い る 。 お 金 や フ ァ イ ナ ン ス に つ い て 理 解 し 、 そ の 知 識 を 効 果 的 な 金 融 に 関 す る 意 思 決 定 に 活 用 す る こ と 。 「 一 貫 性 」 教 育 道 徳 観 念 や 金 銭 観 念 を 身 に 付 け さ せ る 。 ま た 、 老 後 を 楽 に す る た め に 資 産 運 用 の 方 法 を 身 に 付 け る 。 金 融 教 育 を 主 導 し て い る 機 関 ・ NEE ・ Jump$tart

FSA の CFEB ASIC 金 融 広 報 中 央 委 員 会

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29 当 機 関 各 学 校 に 委 ね ら れ て い る 。 教 育 基 準 、 カ リ キ ュ ラ ム 作 成 に 関 わ る 中 央 政 府 の 権 限 ・ 州 政 府 に 教 育 基 準 作 成 の 権 限 。 ・ 各 学 校 に 教 育 カ リ キ ュ ラ ム 作 成 の 権 限 。 教 育 技 能 省 に 教 育 基 準 、 カ リ キ ュ ラ ム 作 成 の 権 限 。 教 育 政 策 全 般 は 連 邦 政 府 に よ っ て 統 括 さ れ て い る が 、 小 学 校 ・ 中 学 校 ・ 高 校 は 各 州 の 教 育 行 政 部 門 が 管 轄 。 文 部 科 学 省 に 教 育 課 程 の 基 準 で あ る 学 習 教 育 指 導 要 領 作 成 の 権 限 。 協 力 団 体 150 以 上 の ア メ リ カ 銀 行 協 会 教 育 財 団 や 全 米 消 費 者 教 育 研 究 所 等 の 法 人 、 学 術 機 関 、NPO 団 体 、 政 府 機 関 な ど 政 府 と 民 間 の 連 携 、 地 域 ご と に pfeg と い う NPO 団 体 と の 連 携 。 政 府 ・ 学 校 関 係 機 関 、 各 学 校 、 親 、 監 督 者 、 若 者 、 家 族 、 ほ か の 教 育 や 訓 練 提 供 者 、企 業 、共 同 体 が 結 集 し て 責 任 を 負 う 。 金 融 広 報 委 員 会 、 金 融 業 界 団 体 、 消 費 者 教 育 団 体 、 な ど の 民 間 団 体 。 金 融 教 育 で 主 に 学 ぶ こ と 金 融 ケ イ パ ビ リ テ ィ 新 ナ シ ョ ナ ル カ リ キ ュ ラ ム 、 シ チ ズ ン シ ッ プ VELS( ヴ ィ ク ト リ ア 州 必 須 学 習 基 準 ) 金 融 教 育 の 取 り 入 れ 方 ス ポ ー ツ と い う「 遊 び 」を 組 み 込 む 。 義 務 教 育 ( 数 学 ) の 中 に 位 置 づ け た 。 オ ー ス ト ラ リ ア ン カ リ キ ュ ラ ム に 金 融 教 育 を 統 合 し 組 み 込 む 。 家 庭 科 ・ 社 会 科 に 組 み 込 む 。

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30 Jump $tart 多 く を 作 成 。 を 基 準 と し て 各 学 校 、 担 当 教 師 に 委 ね ら れ て い る 。 教 員 向 け 研 修 オ ン ラ イ ン 教 材 の 指 導 書 を ダ ウ ン ロ ー ド 。 NPO の pfeg が 教 師 教 育 を 行 っ て い る 。 マ ネ - ス マ ー ト テ ィ ー チ ン グ 政 府 ・ 日 銀 は 教 員 向 け セ ミ ナ ー や 公 開 授 業 を 行 っ た 。 実 践 的 な 取 り 組 み オ ン ラ イ ン 教 材 子 供 信 託 基 金 教 科 書 で 「 理 解 の チ ェ ッ ク 」「 考 え 話 し 合 お う 」 と い っ た 問 題 提 起 が さ れ て い る な し 出 典 ) 金 融 庁 (2005)「 金 融 教 育 に 関 す る 国 際 比 較 」 よ り 筆 者 作 成 図 表 18 よ り 、海 外 の 金 融 教 育 の 取 入 れ 方 の 例 と し て 、イ ギ リ ス や オ ー ス ト ラ リ ア で は 、 新 た に 金 融 教 育 の 授 業 の 時 間 を 作 る の で は な く 、 既 存 の 科 目 に 組 み 込 む こ と に よ っ て 授 業 時 間 を 確 保 し て い る 。 こ の よ う に 数 学 な ど の 授 業 時 間 が 5 多 く 確 保 さ れ て い る 科 目 に 組 み 込 む こ と で 、 授 業 時 間 が 確 保 で き な い と い う 問 題 は 解 決 さ れ る 。 ア メ リ カ で は 、 生 徒 が 取 り 組 み や す い よ う に 、 金 融 教 育 を オ ン ラ イ ン ゲ ー ム に し て い る 。 ま た 、 こ の ゲ ー ム で は 教 師 が 指 導 書 を ダ ウ ン ロ ー ド で き る よ う に な っ て お り 、 そ の 指 導 書 を も と に 授 業 を す る こ と が で き る 。 ま た 、 イ ギ リ ス で は 子 供 信 託 基 金 、 ア メ リ カ で は オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 、 オ ー ス ト ラ 10 リ ア で は「 理 解 の チ ェ ッ ク 」「 考 え 話 し 合 お う 」な ど の 問 題 提 起 が さ れ て お り 、 子 供 た ち が 実 践 的 に 取 り 組 め る よ う に 工 夫 さ れ て い る 。 し か し 、 日 本 で は 実 践 的 な 取 り 組 み が さ れ て お ら ず 、 金 融 を 身 近 に 感 じ る こ と が で き て い な い 。 日 本 が 金 融 リ テ ラ シ ー の 向 上 を 図 る た め に は 義 務 教 育 段 階 で 今 ま で 以 上 に 金 融 教 育 を 行 い 、 そ れ に 加 え て 個 人 が 金 融 能 力 を 高 め ら れ る 環 境 の 構 築 を す る こ と が 必 15 要 で あ り 、 金 融 に 関 す る 知 識 を 、 若 年 層 に 分 か り や す い 形 式 で 整 備 し て い く こ

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