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禁煙準備過程からみた喫煙行動の特徴喫煙の生化学的指標を用いた分析

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平成12年9月15日 第47巻 日本公衛誌 第9号 783

禁煙準備過程からみた喫煙行動の特徴

喫煙の生化学的指標を用いた分析

ウ エ ダ キミコ 植田紀美子 ナカムラ マサカズ 中村 正和 シ ロ カ ワ ノ リ コ 城川 法子 キノシタ トモコ 木下 朋子 マスイ シズコ 増居志津子 ノガミ ヒロシ 野上 浩志 オオシマ ア キ ラ 大島 明 目的 禁煙準備過程(以下,ステージ)と喫煙の生化学的指標の関連性を断面調査のデータを用 いて分析することにより,喫煙者のステージごとの特徴を把握する。さらに,追跡調査のデ ータを用いて,ステージの変化による生化学的指標の変化を縦断的に検証する。また,あわ せてステージとその他の喫煙の行動特性に関しても検討する。 方法 調査対象は,大阪府内某職域の定期健康診断受診者のうちの喫煙者(男性277人)とした。 調査項目については,喫煙の生化学的指標として,呼気一酸化炭素濃度(以下,呼気CO 濃度)と尿中ニコチン代謝物濃度,喫煙行動特性として一日の喫煙本数,ステージ,吸うタ バコのニコチン収量,吸い込み方,起床後一本目を吸うまでの時間,過去の禁煙経験を取り 上げた。調査方法は,喫煙行動特性については自記式質問票,呼気CO濃度はマイクロス モーカーライザー,尿中ニコチン代謝物濃度は健康診断受診時の随時尿を検体とした高速ク ロマトグラフィ法により測定した。調査結果を用い,ステージと各生化学的指標,各喫煙行 動特性との関係を横断的に分析し,加えて1年間の追跡調査によるステージの変化(下降, 不変,上昇)と各生化学的指標,各喫煙行動特性との関係を縦断的に分析した。 結果 1. 断面調査:呼気CO濃度,尿中ニコチン代謝物濃度と一日の喫煙本数については,無 関心期と関心期で差を認めなかったが,準備期では,他の2つのステージに比べて低かっ た(ただし,呼気CO濃度,一日の喫煙本数は,有意差を認め,尿中ニコチン代謝物濃度 は,有意差を認めなかった)。一方,吸うタバコのニコチン収量については,ステージが高 いほど,低くなる傾向を認めた。次に,ステージが高いほど,吸い込み方が浅くなる傾向 にあり,起床後一本目を吸うまでの時間が有意に長く,過去の禁煙経験が有意に多く存在 した。  2. 追跡調査:1年間の追跡調査期間において,ステージの上昇に伴い,呼気CO濃度が 2.3 ppm減少,一日の喫煙本数が2.8本減少し,一日の喫煙本数の減少は有意であった。一 方,ステージの下降に伴い,呼気CO濃度,一日の喫煙本数が有意差は認めないものの増 加傾向にあった。ステージの変化がなかった場合,呼気CO濃度,一日の喫煙本数とも変 化がみられなかった。なお,吸うタバコのニコチン収量に関しては,ステージ変化に伴う 変化をほとんど認めなかった。 結論 ステージごとの喫煙者の特徴を明らかにした。 Key words : ステージモデル,行動変容,呼気一酸化炭素濃度,尿中ニコチン代謝物濃度,喫煙 行動特性

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