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台風経路の違いによる風水害への影響についてInfluences of typhoon tracks on the severity of rain and wind storms

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Academic year: 2021

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台風経路の違いによる風水害への影響について

Influences of Typhoon Tracks on the Severity of Rain and Wind Storms

竹見哲也

Tetsuya TAKEMI

The severity of meteorological disasters spawned by typhoons critically depends on not only the intensity but also the track of typhoons. A slight change of the track of typhoons would induce a large difference in the intensity and spatial distribution of heavy rainfall and high winds. The present study explores the influences of typhoon tracks on the representations of heavy rainfall and high winds in numerical simulations of typhoon-induced events with the use of a regional meteorological model. The analyses are focused on high-impact typhoons over the Kanto Plain. A nesting capability is used to resolve convective storms embedded in typhoons at the 1-km horizontal grid spacing. A large variability in the representations of heavy rainfall and high winds is demonstrated.

1.はじめに 台風は、日本において風水害をもたらす最も顕 著な現象である。風水害による保険金支払額の上 位は台風によるものが占めている。台風による風 水害への影響を予測しそのリスクを評価すること は防災対策において極めて重要である。 台風による強雨・強風の発現特性は、台風の強 度と経路の双方に強く依存している。特に日本の ように地形が急峻かつ複雑な地理的特徴をもつ場 合には、経路が異なることで風の吹き方が異なり、 それが陸上での強雨や強風の現れ方に大きく影響 している。 経路の違いによる風水害の発現特性を把握する ためには、過去の被害をもたらした台風について 統計的に調べる方法が考えられる。しかしながら、 過去の顕著な台風の事例は数が限られるため、統 計的に評価する上では必ずしも十分な事例数を確 保できるとは言えない。そこで本研究では、気象 モデルを用いて台風経路を変化させる数値実験を 行い、数値モデルで生成された台風が異なる経路 を取った場合の風水害の出現特性を調べる。まず は、関東平野で顕著な降水をもたらしたいくつか の台風の事例を対象として数値実験を行ったので、 以下に報告する。 2.数値シミュレーションの設定と考え方 数 値 実 験 に 用 い た 気 象 モ デ ル は Weather Research and Forecasting (WRF)モデルのバージョ ン 3.3 である。3 重ネスト領域を設定し、日本列島 の大部分および日本の南海上をカバーする領域を 親領域としてその内側に東日本領域・関東領域を 設定し、解像度を 9 km/3 km/1 km と高分解能化し た。鉛直のレベル数は 52 であり、大気下層ほど細 かく解像した。初期値・境界値には NCEP Final Analysis を用いた。 対象とした台風は、T0115, T0221, T0422, T0709 の 4 事例である。それぞれの台風について経路を 操作する数値実験を行う。台風の発生初期段階か ら日本に接近または上陸するまでの 4~5 日間程 度の期間の数値シミュレーションを実行した。台 風の発生初期段階から転向点を通過して日本に接 近・上陸するまでを計算することから、経路を完 全にコントロールすることは困難である。しかし ながら、発生位置が違うことで台風が発達した時 の強度やその経路は異なることとなり、様々な経 路を取る台風が及ぼす風水害の影響を評価する上 では有益な情報数であると考えられる。 計算の結果、経路の少しの違いが強雨や強風の 出現のしかたに大きく影響を及ぼすことが明瞭に 示された。気象モデルは考えられうる大気の物理 過程を取り込んだ数値モデルであるため、数値シ ミュレーションによって生成された台風は現実の ものを模した物理構造を持っていると言える。こ のように物理モデルに根差した数値シミュレーシ ョンにより多数のサンプルを生成することができ れば、現実にはないような数の顕著台風を仮想的 に作り出すことで確率的な評価に繋げることがで きると考えられる。

参照

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