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ソバ属栽培種のルチン含量に関する育種学的研究

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Academic year: 2021

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Title

ソバ属栽培種のルチン含量に関する育種学的研究( 内容の要

旨 )

Author(s)

北林, 広巳

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 甲第020号

Issue Date

1995-03-14

Type

博士論文

Version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2361

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 北 林 広 巳 (長野県) 博士(農学) 農博甲第20号 平成7年3月14日 学位規則第4粂第1項該当 連合農学研究科 生物生産科学専攻 信州大学 ソバ属栽培種のルチン含量に関する育種学的 研究 主査 信 州 大学 教 授 副査 静 岡 大学 教 授 副査 岐 阜 大学 教 授 副査 信 州 大学 教 授 副査 信 州 大学 助教授 論 文 の 内 容 の 要 旨 男 和 彦 鉱 夫 嘩 弘 喜 峰 原 井 田 原 氏 中 古 茅 南 ルチン(Rutin)はフラボノイドの一種で,毛細血管の脆弱性を矯正し,脳溢血を予防す ることで知られている・ソバの種子(ソバ粉)に含まれるルチンは食用として直接人体に 摂取されるため,高ルチン含量品種の開発はソバの重要な育種目標の一つと考えられる・ しかし,これまでにルチンの品種や系統間変異などを扱った遺伝・育種学的な研究は皆無 に等しく,品種育成が試みられるまでには至っていない・ 本研究はソバ属の栽培種である普通ソバ(伽叩"∼皿eぶC〃ノe月f血とダッタンソバ(尺 r∂ね血〟虚のルチン含量に関する育種学的な基礎資料を得ることを目的として・種・系 統間さらには個体間のルチン含量の変異について検討し・ルチン含量に関する育種法につ いて考察を試みた. 先ず,精度の高いルチン定量法を確立するため,試料の調製条件すなわち試料の乾燥, 粉砕,抽出の条件について検討した後・ルチンの定量法を決定した・定量における測定誤 差は変動係数で5%程度であったため,定量法は十分な精度であると考え,以降の研究 普通ソバのルチン含量に関する品種・系統間差および遺伝率を明らかにするため・主要 な栽培国から導入した品種・系統を2か年各2反復の栽培を行い,種子と其のルチン含量

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などを調査した.その結果,ルチン含量では種子および其のいずれにおいても有意な品種 系統間差が認められた.また,ルチン含量は地域間で高度に有意な差が認められ,種子に ついてはネパール産系統がルチンの育種素材として有用であると考えられた.分散分析か ら推定した広義の遺伝率は,種子と其のルチン含量でそれぞれ0.59,0.25 であった. したがって,種子ルチン含量は比較的遺伝率が高いことが明らかとなり,種子ルチン含量 に関する選抜の可能性が示唆され,育種のための重要な知見が得られた.また,種子ルチ ン含量の系統内の遺伝的変異を明らかにするため,個体選抜による親子間の関係について 解析したところ,系統内の個体間で種子ルチン含量に関する遺伝的な変臭が存在している ことが明らかとなった.そこで,実際に系統内で種子ルチンの個体選抜を2回線り返し, 選抜の効果を検証した.その結果,選抜の効果が明確に認められ,普通ソバの種子ルチン 含量に関する系統内での個体選抜は,高含量系統育成のための有効な手段であることが明 らかとなった. ダッタンソバの種子および葉のルチン含量に関する品種・系統間の変異および遺伝率を 明らかにするため,普通ソバと同様な方法で栽培し,主要な栽培国から導入した品種・系 統を2か年各2反復の栽培を行い,種子と其のルチン含量および主要形質について調査し た.種子および葉のルチン含量のいずれも有意な品種・系統間差が認められた.分散分析 から推定したルチン含量の狭義の遺伝率は,種子と菓でそれぞれ0.76,0.10 であり, 種子ルチン含量の遺伝率は比較的高いことから,育種の可能性が示唆された.また,系統 内の遺伝的変異を明らかにするため,普通ソバで行ったのと同様に,種子ルチン含量につ いて個体選抜による親子間の関係を解析した.その結果,普通ソバで得られた結果とは対 照的に,系統内の遺伝変異はほとんど認められず,ダックンソバの供試系統はほぼ純系と みなされた.系統内の遺伝変異に関するこのような差異は,普通ソバが自家不和合性によ る他殖性で,一方のダッタンソバが自殖性であることに起因するものと推測された. また,育種において種間差を明確にすることは重要であるが,ルチン含量に関する普通 ソバとダッタンソバの種間差については,従来から意見が分かれている.そこで,一部の 実験を加えて総合的に種間差を比較検討したところ,種子のルチン含量ではグッタンソバ が普通ソバの約80倍と極めて多量のルチンを含んでいたが,其のルチン含量に関しては 種間差は顕著ではないことが認められた. 以上の結果から,ルチン含量の育種法について検討した.普通ソバの種子ルチン含量に 関しては,品種・系統問および系統内遺伝変異が認められ,かつ遺伝率が高い形質である ことから,分離育種法,交雑育種法,遠縁交雑育種法,突然変異育種法などの適用によっ てルチン高含量系統の育成が可能であることを明らかにし,今後の育種の展開が期待され る・ダッタンソバの種子ルチン含量に関しては,品種・系統間変異が認められたが,系統 内の遺伝変異は小さかったため,導入育種が比較的容易であると考えられた.さらに,ル チン含量の遺伝率は高く,選抜が効率的に行えることから,交雑育種法,突然変異育種法 が有効な方法であると結論した.

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審 査 結 果 の 要 旨 近年,農作物の品質向上が強く求められており,品質・成分の改良は重要な育 種目標のひとつとなっている.ソバ粉の成分的な特徴としては,米,小麦粉など

の穀類と比べ,タンパク質含量が多いことの他に,ルチンを含んでいることが卒

げられる.ルチンは,毛細血管の脆弱性を矯正する薬理作用を有し,血管強化薬

としても利用されていることから,高ルチン含量のソバ品種の開発は成人病予防

の観点からも興味深い育種目標と考えられる.したがって,本学位論文は,育種

を行う上できわめて重要な研究棟居であるルチン含量の種間・系統間・系統内の 遺伝変異などを取り扱った.その成果は以下のようにまとめることができる・ 1)ルチン定量法の検討を行った.多数点の試料を迅速かつ正確に定量する必 要があるため,試料の調製方法を検討し,ltPLCによる正確な定量法を確 立した. 2)種間差について検討したところ,従来の報告以上の差が認められ,ダッタ

ンソバの種子が普通ソバの約80倍も多くのルチンを含み,種間交雑育種

が有効であることを明らかにした.また,葉のルチン含量に関しては,従

来から種間差の有無についての意見が分かれているが,このような意見の

違いが其の採種期の差異によることを実験により示し,其のルチン含量で

顕緒な種間差は存在しないことを明らかにした. 3)普通ソバの品種・系統間変異については,世界各地の品種・系統を供試し ルチン含量を定量した結果,遺伝変異の存在を認め,ネパール産系統はル

チン含量が高く,交雑育種の素材として有用であることを明らかにしたこ

また,遺伝率を推定したところ,種子ルチン含量は遺伝率が高く選抜効率

の高い形質であることを明らかにし,高ルチン含量品種の育成が可能であ

るという重要な結果を指摘した.系統内変異については,遺伝変異が認め られたことから分離育種の可能性を推測し,その後の選抜実験により分離

育種の有効性を実証した.

4)ダッタンソバに関して世界各地の品種・系統を供試した結果,ルチン含量 の品種・系統間変異を認め,交雑育種の可能性を示唆した.遺伝率を推定

したところ,普通ソバと同じくダッタンソバについても種子ルチン含量は

遺伝率が高く,高ルチン含量品種の育成が十分に可能であるとの重要な知

見を得た.系統内変異については,遺伝変異は認められず,分離育種は効 果が少ないことを明らかにした.この点について普通ソバと対照的な結果 であったが,生殖様式の差異との関連性を推測している.

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以上のように,ルチン含量に関する育種学的な研究はこれまでにほとんど行わ

れていなかったが,種間差,系統間変異,系統内変異について階層的に実験を

行った結果,ルチン含量に関する育種が可能であることを明らかにし,効果的な

育種法についての貴重な提言をした.今後,高ルチン含量品種の開発が期待され

るとともに,本研究から得られた知見はマイナークロツプの成分育種に関して大

きな指針を与えるものと考え,本論文の成果を高く評価するものである.した

がって,本審査委員会は,本学位論文が博士の学位論文として十分価値あるもの

と認め合格と判定した.

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