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横隔膜「ヘルニヤ」の一例

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(1)

臨床實験

横隔膜「ヘルニヤ、の一側

東京女子欝學心門學狡「レントゲン」科教室

蝋撲 島 津 フ ミ

同 小見科教室 (主任 磯田教授)

桑 名 テ ル

横隔膜「ヘルニヤ」とは腹部臓器の一部或は全部が横隔膜の生理的或は病的の孔又は 裂隙を通じ胸腔内に侵入する疾病並に侵入し得る病的状態の稻にして左程稀有の疾病 では無v・。

本症は1δ79年Ambroise Pare EE i・zi依り病理學的に始めて記載されて以來,多数例

が報告せられた。生艘に於て臨床的診断を爲し剖見により確認し得たのは1874年 :Leichenstern氏を以て始とし,次V・で1900年Hirsch氏が「ン」線により始めて正確に 且つ容易に臨床的診断を下し得た症例を報告するに及び急激に症例報告が増加し近年

西駄に於てはSchiek氏により1000例にも及ぶ症例が集められた。本邦に於ても亦

稀有には非す1920年來の報告例は我々の集めし所によれば既に撒十例を敷へてるる。 本症はその成因上先天性と後天性とに分たれるが爾者共臨床上,其の診断に困難の 事多く殊に先天性横隔膜「ヘルニヤ」の際には轟産直後に死亡するものより生前潜伏性 に経過し死後剖見により始めて嚢見し得らるるもの迄種々あり,然も其の徴候は非定 型的なる爲診断は可成り困難とされてみる。 今圖我々は臨床上横隔膜「ヘルニヤ」の疑を抱き「レ」線槍査に依り更に其の確誰を得 た一例を経験し得たので蝕に報告し,V・ささか考按を加へて見たいと思ふ。

初診 昭和+四年二月二+三日

一第9巻685一

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48 島津・桑名=横隔膜rヘルニヤ」の一例 患者 六ケ月の心見 主訴 吐乳,呼吸困難及び「チアノーゼ士 家族歴 父母及び父母:の近親に弓形の有る者無く母親は三児妊娠中も健康にして外 傷を受けた事無きも唯職業の關公力・ら可成り重い荷物を持って1日何同となく2階を 昇り降りしたといふ。 既往歴 最期安産,生下時艦重976匁,母乳榮養にして生後2ケ月迄は獲育順調,「 格別病的の所も見えす叉外傷を受けた事も無かったとの事である。 現病歴 昭和13年10月初旬帥ち生後3ケ月目に入ってよ’り何等原因とも思はれる事

無く1日5∼6同時に1時間内に5∼6同の頻同に亙る吐孚Lあり。その吐孚Lは哺孚L時

聞との關係一定せす,哺乳直後の事あり1∼2時閥後の事あり。時間を経て嘔吐する 場合は,時に苦悶し顔色蒼白となりし事ありと云ふ。吐物は白色に凝固せる乳の事あ り或は黄色粘液状の事あわ。同時に下痢を虚し1E7∼8行黄色水檬便にして粘液, 温血を混ずる馬丁かったといふ。食慾は常に良好なるも不機嫌の事多く大意にて哺諭 する属しばしばなりとV・ふ。斯くの如き歌態が約20日聞績きしブZめ10月下旬某蟹の診 察を受けしに孚晦脚氣と云はれ治療を受け漸次病男犬輕快し後病2ケ月後巨防1鯛下旬 には便通良好となり嘔吐も杢く無v・日を交へるに至った。本年に入り順調な日が7∼ 10日聞績いたが,再び何等認むべき原因無く吐乳!日5∼6同起り墨画機嫌な日が2∼3: 日電V・た。此頃より仰臥位をとらしめれば不機嫌となる爲なるべく背負ふ事としたと 去ふ。かかる駿態は特別讐療を受けすとも輕快し叉暫くすると再び同じ状態を繰り返 した。 然るに本年2月19日午後より咳気出始め急に不機嫌となり嗜泣し績け母乳も飲ます 吐乳6同正常便2同あり。夜に入って呼吸面面加はり時k苦しげに噸吟ずるも熱感な し。璽2G日も同歯の駄態を画け寝かしめると苦しげな心付を心す様に成った021日よ り全く元三喪失,聲音力無く,呼吸困難,口唇に「チアノーゼ」さへ認めらるるに至っ た。22日朝1時呼吸緻減少し笑顔さへ見せたるも夕方より再び呼吸困難回り口唇口圏 に「チアノーゼ」を呈し23日夜迄同様の状態を届け來面面に入院す。 現:脳症 初診時所見:艦格中等大,榮養忌中温度なるも下牛身の榮養状態は上牛身に比し て面々劣る。皮膚は一般に蒼:白,艦温は36.8。C,脈搏は1分聞154,整調にして緊張, 大V・さ尋常なるも張く哺泣せる後は緊張不良となる。呼吸は促迫し1分聞に・50を敷へ 胸寸寸在性にして鼻翼呼吸を俘ひ吸氣の際季肋下部丁度に陥凹し丁丁を絆ふQ

_第9毬…686一

(3)

島津・桑名踏横隔膜「ヘルニヤ’」の一例 49 頭部には異常無く頭園39・5 cm ,聰門揖指頭大に膨開し,頸部にも異常なく顔面は 正面を向く6面貌苦悶状を呈し,頬部のみは紅潮し居るも其他の部分は蒼白,口唇, 口圏及び鼻馬園に「チアノーゼ」あり,暗泣に依って著明となる。上限晦ごは皮下静脈 を透見し犠部,口團には冷汗を認む。生歯未だ無く咽頭部には輕度の獲赤あり。身髄 各・部の淋巴腺腫脹なし。 胸郡胸圏39・5cm;右牛19・5 cm・左4≧20 cm・呼吸時肋聞蓮動の歌は左側が僅に 弱V・様に思はれる。 心臓。心尖撮動は角冷感し得す。心臓濁音界は右:方に轄位し心界は右孚!腺上,上界は 右第三肋闇腔左転は不明瞭で,心尖音は右孚L腺上に最も著明,右胸骨縁まで清純に鼠 取し得るも左乳腺上にては殆んど難豪し得す。左第2肋骨腔には心音無く論点2肋聞 腔にのみ清純に難取し得。心搏は昂進す。 肺臓。右側は打診上七化無く肺肝境界は右乳腺上第六肋骨,嘉診上呼吸音は肺胞性 にして乳腺部に微小水泡島台音を,後面に於ては其中央部に中等大水泡性羅音を嘉取, 有高性のものを混ず。 左側前胸部は,鎮骨上下部を除き打診上一・一一一般に短音にして鼓音を帯び側部は濁音に 近し。後面は一般に短音にして中央部に鼓音を認む。 嘉二上全般に亙って呼吸音殆んど浩失し居るも,’呼吸に一致せ’ざる水泡音類似の雑 音を面取し得。聲音振盗も左側が滅弱せるを認む。 脊桂は正。 腹郡。全編として山々陥凹し螺品品動或は限局性の膨隆等は認め得す。論証するに 左側殊に其の上腹部の柔軟で内容に乏しきが如き感あり。左季肋下官に「グル」音あ り,硬結,及び索駄物は何威にも鯛れす古謡,脾臓及び腎臓共に燭知し得す,腹水も 認められす。 .四肢,下肢は上肢に比し皮下脂肪紹織一般に薄く上腿内側は稽弛緩し筋肉島育厭態 比較的不良なり。四肢末端は冷嚥なれども「チアノーゼ」を認め得す,蓮動機態反射機 能共に尋常なり。 晶晶所見に攣化無く糞便の「ベンチヂンJ反慮陰性な9。 以上の所見殊に胸部腹部の所見及び無熱の黙より胸部に腸脱出無きや? を疑ひて 「レ」線撮影を行った。 「レン1・ゲン」所見 一一

謔X巻687一

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50 島津・桑名==横隔膜「ヘルニヤ」の一例 2月24画面純撮影に依る「レ」線晶晶は第一の如し。(第1爲眞参照) 邸ち之に依ると心臓は右側に轄古せるを認む,左側陶部には殆んど何虚にも肺野と 認むべき部分無く其上面部殊に左第一肋骨の高さより左第五肋骨の脊椎附着部に向っ て引ける弧線によりてかこまれた卵圓形の部分は明かに大腸のHaustraと思はれる 像にして之と似た所見は左程明瞭ならざるも左側側部に於ても認めらる。左側下面部 は唯濃淡種々の不規則なる陰影にして恐らく大腸並に小腸の陰影かと考へる。 右側胸部に於ては左側の卵園形の面面像より脊椎を越えて右肩脚骨の陰影像にま呑 延びたる大腸のHaustraの像を認められる。之は一直線に依り右肺野と明瞭に匝劃 されてみる。 2月25日再び胸腹部の輩純撮影を行ひたるiiC(第2爲眞参照)腹部は一一一見杢く塞虚 の感あり,左横隔膜の境界は不明,肝臓と思はれる陰影像は正常位に存す。胸部の略 中央部で第12胸椎の高さより上部にも結腸像を認む。第11胸椎の高さにて左側外張部 には不規則なる小腸の「ガスJ潴溜像を認め其より下部に向って有るか無きかの二六の 「ガス」陰影像あり,骨盤腔に於ても僅:かの「ガス」潴溜像を認む。 次v・で「バリn. 一ム」を與へ飲み絡ってより約3分後に撮影せし爲眞によれば(第3 爲眞参照)食道通過像は巳に認められす左上腹部には胃部と思はるる陰影像あIP,胃 泡の左上方に小腸の充盈像あり。第11胸椎め高さにては左側外官部が「バリューム」で 充盈された小腸を以て占められてみる。左胸腔の上孚部には矢張り結腸のHaustra と思はるる氣泡潴溜像を認め,かNる氣泡像は脊椎を越えて右側にまで達してみる。 3月8日,造影食投與前,胸部の箪純撮影を行ひたるも第一の虚血と殆んど同様に して造影食投與後約5分後の歌態は第4の爲眞に見る如くである。(第4爲眞参照)師 ち胃は腹腔内にありて正常の形を成し胃痴話の影像にも異常を認めす,噴門部は第一 腰椎の高さに始ま91) ,P論題ち最下端は骨盤無名線にまで達してみる。幽門部は正常? 其よPl十二指腸は左上方に向って胃の後部を通り次V・で「バリューム」充盈像は第12肋

骨の高さにて左側外方より4一の所記瞳F醸論いて醗に入嘘側下面部を占

ゆ む。左上南部は多くの結腸のHaustraの陰影像に依って占められてみる。 以上の「レ」線所見を総括するに,食道1は通過障擬無く正常の食道裂孔を通って腹 腔内の胃部に移行し,胃は梢・ぐ下垂直宮lvこて十二指腸に移行して居る。影像から想像 するときは腸面出は横隔膜の当面肋三角部より行はれ居るにはあらざるやと考へられ る。内容は小腸並に大腸にしてそれに押されて心臓が右側に韓位せるものと想像する 事を得。猫正常位の肛門より正常に排便ありし事より考へて大腸下部ぱ腹腔内にある 一第 9 巻 688一一一一

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島津・桑名=横隔膜「ヘル晶ヤ」の一例 51 事は疑ひなきも,その検査を行はなかった爲め残念乍ら腹腔内の長さ並に経過を知る 事が出來なかった。 経 過 入院當時の重篤症状は二心剤の注射のみにて翌日早朝には漸次清退し「チアノーゼ」 消失,既記も止り,唯呼吸頻数のみ績V・てるた。同日午後には已に機嫌も良好となり 呼吸激も漸次減少し元氣は日を追って塘温した。ただ便秘の傾向あるため隔日に洗腸

にて排便を行ってみた。2月27Bには呼吸激30代に減少3月3日には右胸部の氣二心

加二二も全治,3月5日には自然排便を見るに至った。 入院中の胸部並に腹部所見は入院三日と大差なく,胸部所見がただ打診上にも蕪診 上にも其の部位並に程度に僅がの攣化を示し,始め聴取し得た水泡晋様の雑音も時に は「コ・コロ」いふ性質のものあり時に摩擦音様の事もあり一様ならす,又朝夕の所見 の相違も一定しなかった。 全身二二輕快するに及び手術の遍礁を考へたるも家人の希望によりて手術は一時延

期し3月8日退院した。

然るに3月1珀より再び咳噸始まlp不機嫌にて二品無く口唇に湿度の「チアノーゼ} さへ認められるに至る。3月15日夕刻急に呼吸困難を來し陣吟張く「チアノーゼ」は口 唇口園に現はれ,口角より泡沫を出し元氣喪失,漸次嗜眠状となり其の夜再び入院し た。 (入院時所見),全身症状は第一同の入院時に比し更に悪化し鐙温3.74。C,脈博1分 間140内外,小にして緊張弱く,呼吸は促迫し坤吟,鼻翼呼吸を俘ひ吸氣の絡桝こ息 を止む。顔貌は無慾朕を呈し口角よb泡沫を出し,「チアノーゼ」は口唇口囲,鼻周忌 のみならす四肢末端にも認められた。胸部腹部の所見は以前と大差なきも唯右側前後 面に多数の申高大水泡性心音を二三す。 入院後の経過は重篤にて張心剤の注射’を行ふも恢復の徴無く元氣全く喪失,嗜眠状 にして時々力無く哺泣するのみであった。翌16日朝より食思全く鉄乏,嗜眠朕にて兎 眼あり眼光力無く口角より絶えず泡沫を出し時1び匪氣あり,「チアノーゼ』は更に著明 となり,午後に至り全身に振額來り午後6時孚には巳に四肢冷厭,「チアノーゼ」全身 に現はれ先づ呼吸停止次V・で心搏動停止し不幸鬼籍に入ったのである。

一第9巻689一

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52 .島津」桑名=横隔膜「ヘルニヤ」の一例

横隔膜「ヘルニヤ」はその成因より先天性と後天性とに二二せられてるる。後者は外 傷によって惹起されるもので,前者は横隔膜の獲育不全に依bて起るものと見イ故され.

る部ち胎生期に於てその初期には胸腹共に共通の一艦腔なれどその後催腔壁の前方よ

ap Septum transversum狽1方よりPlica pleuroperivtoneale脊部よりMesenterium

dorsaleの3突起伸びて互に成長合致し胸腔と腹腔との間に一つの中隔を形成するも めであるQ其の閉鎮の際左右爾側に交通口残り正常の場合はそれも間も無く(先づ右 次v・で左)閉鎮するのである。然るに若し閉長せざる場合は假性「ヘル=ヤ」帥ち「ヘ ルニヤ」嚢なき横隔膜「ヘルニヤ」の原因となり閉鎮が後れる場合は「ヘルニヤ護を有・ する眞性「ヘルニヤJを生するにいたるものである。 嚢生部位は以上述べし虚にて知る如く生珀!的或は病的の孔叉は闇隙より起るものに して本邦症例の示す所に依れば次の表の如くである。

第 1表

生 部 位 症 例 撒 %o 後 部 (主として横隔膜腰髄三角部) 食 裂 孔 中 心 腱 質 部 前

蔀嶺罪鉄脚)

左 側 州 民 17 ,i)7.4% 9 14.5% 6 9.7% 3 3 4.S% 4.8% 2 3.2% 外 孚 減 損 1 1.6%

1堀

上 不 明 1 ユ.6% 20 総 撒 62 32.2% 帥ちその頻度よりすれば (/)後部主として横隔膜腰肋三角部(ボホダレ翌二三孔) (2)食道裂孔 (3)中心丁丁部 (4)前部主としてモルガン氏孔叉はラレリ氏丁丁:

一第9巻690一

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島津・桑名=横隔膜「ヘルニヤ」の一例 53 嵌入.

第2表

臓器

数.「 %

c

41 胃 29

大 網

・l

l 肝

璃 聞

i

L.一.. 膵

i 腎

1其 他 不

膜L祉・堅

1121 g.7%

一L.….....一一一一一一一_一...

1 ■ 5,7%、

..L一.一…⊥..一一1一一一...一.一.一

ド[

堕⊥.一9.L4些ゴ

巨L…凱

1・旨・6劉

.旨. ..1...一 . 一1

明}一.,.∵逓1

’li 33.i;o{i ’

P

23・4引 ’i ’ 1 の順である。 次に嵌入する臓器は直腸及び泌尿生 殖器を除く凡ての臓器は嵌入し得るも の.の如し,其頻度を本邦報告例に依っ て調べたるに左の表に示す如し。 三生側は左側に二二にして本邦報告 例62例中左側51例(82.2%)右8例(12.9 %)爾側1例(L6 ?6)不明2例(3.2%) となってみる○之は胎生期に於て胸腹 腔の交通口閉鎖の際左側の後れる事と 肝臓の存在とに原因するものとされて みる。 年齢霞勺には次の表に示す如く先天性 のものは殆んど90%が15歳以下に獲病

し過命数が2歳迄に病歌を呈してみ

る。

第3表

後天性と:先天性及養病と年齢

r

先天性i後天性 不 明

二歳迄’i

27

@1 「一

・ 計 .“・W

難場強

球歳迄

1−1 .=

4i O

o 5 45.2% S.O%.

十歳 迄

十五歳迄

。 3 4 3 6.5sotE.’ o o・

1繊以上}

4.8% 6 !0 6 22・ ト

計 i

先天性後天性1 3.55% 44 11

計売封ずるi71.6%

7 E2 17.7% 11.3% 一第.9 巷 691一

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54 島津・桑名;横備膜「ヘルニヤ」の一例 次に臨床症欺に就てであるが先づ主訴を便宜上年齢別に分ち襯察すると次の表に示 す檬である。

第 4表

年 齢 別 主 訴

1圏叢繋∴糠1:li難:1懸鯛識量擁{鴛}

鄭坦∬1…□⊥二[控lllコ至1ヨニ

L 歳 IO ,1 f 31L l’ 1 ’i’ ll l l l ,1 ,1 ,1 ,

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理肇的所見も亦,不定にして本症に特異とする所見を見出す事は容易な事ではない とV・ふ,最も多くの症例に於て見られ然も診断上大切な症1伏とされてみる黙を列干す るど (1) 呼吸困難然も坐位に依ってやや輕減される呼吸困難。 (2)胸部打診上短音にして鼓音を帯ぶる事ある黒占,然もその所見に攣動のある事。 (3)胸部聴診上,呼吸晋の消失叉は減弱せる事,胸腔に於けるグル音脚ち腸雑音の

聡取。

(4)心篭蛾取部位の移動,心臓濁音界の移動,殊に左側に疑はしい所見のある場合 の心臓右側蒋位。 (5)腹部の陥冷血に腹部の燭診1こ當って生する胸腔内の腸雑音。 其の他不定の症朕として種たの循環障碍,浩化器障碍,呼吸器障碍。或は疑はしき. 下駄のある場合の頭部健側への傾斜,等墾げらてれるて丁丁は凡て嵌入臓器の種類並

一第9巻692一

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島津・桑名=横隔膜「ヘル=ヤ」の一例 55 に程度,其の他の種々な關係に依り多種多様である事は云ふ迄も無い。

從って種kの疾患と誤診される事多く,胸部所見より漁性馳膜炎膿胸・肺膿瘍

肺壊疸,結核性限局性氣胸等と匿別すべきで斯る際,無熱の経過とV・ふ非定型的な黒占 を見出した時は直に「レ」線診断を行ふべ嬉と云はれてるる。其他心臓右側下位より右 心症内臓三三下等とあやまられ,乳児に於ては乳児脚下と誤られた例もある。 「レントゲン」診断に於ても又問題となるのは限局性氣胸並に横隔膜「レラキサチオ」 との鑑別であって之に就ては成書にも種々記されてみる所である。 爲眞は横隔膜「レラキサチオ」の一例であるが(第5爲眞参照)此の疾患との鑑別黙を 列墨すると (1)横隔膜の形が軍調なものは「レラキサチオ..に多bo (2)横隔膜の重複弧線即ち「ヘルニヤ」の際は弧線が重複t、二重叉は三重となる。 (3)横隔膜の奇異運動は「ヘルニヤ」の際にのみ見られる。 (4)横隔膜の上昇蓮動の異常迅速は「レラキサチオ」の際に見られる。 (5)横隔膜が胃壁から離れて見える時は「レラキサチォコが疑はし。 (6)横隔膜祠τ経に二二的刺戟を與へじレ」三三査を行ふと「レラキサチオ」の時はその 刺戟に封ずる反慮が邊鈍である事を知る。 (7)其他胃の内堅を測定し呼吸時の内瞳漿動より知る:方法。 (8) Pueumoperitonaeum (9) 浩息子挿入法 等が行はれてるる。然し幼見には複難な方法を癒用し難い事は云ふ迄も無く,例へ 行ひ得ても明瞭な所見を窺知する事は困難である。 さて,本症は分娩麻痺等の既往無く「レ」線所見に於て左横隔膜の境界不明瞭,且つ 内容が非常に多く右側にまでも其影像を認める事より「ヘルニヤ」と考へて良V・と思 はれる。 且つ,既往症に於て外傷を受けた事の無い事,既に生後3ケ月頃より認むべき原因 無しに起りし頑固な嘔吐,然も嘔吐激しき時は非常に苦悶し顔色蒼白とたりし事,「レ」 線所見上「ヘルニヤ」門が左側腰回三角部と思はれる黒占,等より先天性横隔膜「ヘルニ ヤ」と推察す。 嵌入臓器としては臨床症状並に「レ」線所見より小腸並に大腸の下部を除く大部分と 推定するも,手術も剖見も許されなかった爲め残念乍ら推定の域を越える事を得すQ 叉眞性「ヘルニヤ」と偶性「ヘルニヤ,.tとの何れに蜀すべきであるかに就いて考へ 一第 9 着} 693一一一

(10)

56 島津・桑名謂横隔膜「ヘル=ヤ」の一例 るに,「ヘルニヤ」内容の多V・事や,丈献に依ると假性「ヘルニヤ」の例が頻度多い事よ b本身も假性「ヘル=ヤ」と考へた:方が安當の様に思はれる。

引例は生後6ケ月の受納に病状を現はせる横隔膜「ヘルニヤ」の一病例にして,小腸 並に大腸の大部分を内容とする假性先天性横隔膜「ヘルニヤ」と推察す,手術も剖見も 許されなかった事は甚だ遺憾とする所であるが,生前臨床上並に「レ」線瞼査により診 噺し得た例として舷に報告申上げた次第である。 絡りに臨み下塗御懇篤なる御指導を賜りました磯田先生に厚く御禮申上げます【 1)石黒順::r中央讐學會薙誌75號,1866頁 2)松田茂:十全會雑誌135 3)澤村榮美:日本外科霊草雑誌18巻,11號 4)野村繁人=土橋光太郎:同門會贈爵2號 5)梅田薫:勝事新聞1081號. 6)林信雄1髪事新聞1110號 7)林信雄,杉山三郎:目本消化器病難會難誌 8) 飯田四貞享:児科窺登誌 317號 9)城趾逸馬,森衛:實験溝化器病學2巻7號 10)渡邊保=東京常事新誌2676號,日本外科學會雑誌30同5號 11)森衛:グレンッゲビート4年8號 12)辻村秀夫:日本外科寳函7巷附鎌4.・i6 ユ3)藤浪修一:日本外科實函8巻,5號,S31 ユ4東勝司:見目雑誌331號,2075 15)三谷茂:日本婦人科學曾雑誌2S巻,7號959 ユ6)三谷茂:日本讐科大鵬雑誌6春,10號,/15ア 17)坂田敬之=實駆引報225巻,1246 18)杉i工,ll歪匡雄:高井荘次:∫琶科蔚詞曲 406號, 398 19)小林盈藏:満洲讐學會雑誌 20)小池上春芳:解剖學雑誌管4號,18 21)薦田金一:關西讐事148號5 22)二神恭次,東京忌事新誌28ユ・5號,375 23)木村三朗1九大回報4巻,4號,221 24)雫田重厚:愛知讐下界雑誌41巻,3號,493 25) [11口英:歩己孝斗難誌 405號7 279 26)多田克巳:児科難誌414號,165Ei 一第 9 釜 694一

(11)

島津’桑名=横隔膜rヘルニヤ」の一例 57 27)宇宿誠五:日本放射線讐學界難誌1巻,1號,97 28)杉田博:児科雑誌418號,399 29)紳徳蓮也,木村正二,榊徳甫=山口縣醤學界雑誌21同,8 30)前田遣忠:東京警事新誌2958號,3113 31)田中守也,松尾i義夫:東京署事新誌2981號,33?0 32)眞壁恭二:児科雑誌428號,175 33)池田浩藏1日本外科寳函13巻,3號,436 34)相賀勇一:日本外科學會雑誌37同,6巻,765 35)松原茂雄=1壷科婦人科紀要19巻,11號,2386 37)成山愛之輔=實験消化器病學12雀,6號,1025 38) 美馬陽=目本外科寳函 14餐き, 5號 1003 39)棋殿順;グレンツゲビート11年,6號,899 40)永井春三:日本放射線學界雑誌S巻,4號,578 41)小杉彰,出本ヨリ,川波浩∫兜科難誌44巷,エ號,153 42)魚佳孝義:日本放射線馨學界雑誌6巷,1號96 43)富田昇雫:産科婦人科紀要21雀,5號,743 ・44)森本昌,久本紀一・:産科婦人科紹要21巷,9號,1436 −45) Bonzanig」:Zeitschrift’f. Knderheilkunde 26, 119, 1931 ・46)Tuscherer;Jahrbuch f‘Kjnc]ehei】kL]ndeユ24,307,ユ929

97) Sch6nbai’ter u. Warkang: Zeits(hrift b. Ki”derheilkunde 50, 125, 1930

(12)

58 島津・桑名=横隔膜「ヘルニヤ」の一例

島津・桑名論文附圖

。難

第一撃

(13)

鳥プド・桑名=起・1IP・弼 「ヘルニセ」の一例 1冒津・桑名命文iSH岡

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第9谷697一

59

(14)

60 島津・桑名=横隔膜「へ・レニヤ」の一例

島津・桑名論:文附圖

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