契約内容と行為基礎
著者
三野 陽治
著者別名
Y. Mino
雑誌名
東洋法学
巻
25
号
1
ページ
p15-47
発行年
1981-11
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00006010/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja契約内容と行為基礎
三
野
陽
治
目 次 一 序 論 二 行為基礎と契約危険 三 建設講負契約と危険負担 四 契約内容と履行 五 動機錯誤ど意思欠敏論 序 論 契約の当事者は契約上の債務関係を以って常に一定の目的を追求する。その場合主たるまたは従たる更にそれ以上 の国的に債権者の目的を区別しうる。債権者の主たる目的は常に履行効果の発生にある。売買の場合には例えば翼主 東洋法学 一五契約内容と行為基礎 一六 の側では目的物の所有権及び占有権の取得にある。この主たる債権者霞的すなわち履行効果の発生は常に契約騒的で ある。従ってこの遅滞または挫折は直ちに履行障害の規定の適用となる。この主たる鷺約と他の債権者目的とを区別 すべぎである。例えば人は単に物や家屋をもち、土地の占有者になるためにのみ物を取得し家麗を建築させ土地を借 りるのではなく.これを以って一定のそれ以上の嚢的を・追求するからである。買った物を賑与し..箆に住み窟たは ︷、嫉貸し.或は.、頁留Lた土地の上で享、云を行うことを人は押する鶯韻鳶のμ瞬にPとんpCー者はごの倉磐 の隣陰訟 知りうる、しかし費霧者がこれを全く知らない妨合がしばLばある。しかしすべての場合にジ務者はこれに関係をも つ必﹄はないのが原則で誇る、韓故なら錘権丸磁いわゆる使用の危険を舞ほ憐べきであ参.従ウてこのようなd購が その後にもはや炎現不可能となり.履行が債牽、馨にとり無忘映となったときでも・契約に拘束されるというごとは取 引の安全の当然の要求である︵行メ基礎の脱落︶。それ故に履行のある一定の礎用騒的を主たる債紘者縫的.従って契 約内容と考えるか.それ以外の灘的にのみ.そこでせいぜいある撃合に行為基礎と考えるか否かは契約関係の運命に 決定的な意味をもつことになる。それは前者の場合は当族琢的の遅滞または挫折は履行障害の意味をもつが.後者の ︵隻︶ 湯合は基本的にはそれは重婁ではないからである。 顔屋の現居住者が同居の承諾をしたので.ごの家屋を賃受けたが、その後同居を拒否したため.買主は要素の錯誤 を理由に売買契約の無効を主張した事件に.同居の承諾を得ることは売買契約をなすについての動機にすぎず﹁意思 表示をなすについての動機は窯燃,、者が当該意思表示の内容としてこれを相手方に表示した場合でない限り法律行為の ︵2︶ 要素とはならないものと解するを相当とする﹂とする判例がある。これが法律行為の内容と動機の関係の某、準となる
が、さらに法律行為の内容と目的に関してその基礎となる事実について考察してみる。 契約の成立の際に当事者の有する観念と事実の不一致の場合にこのことが契約の効力に影響する法制度が錯誤であ る。しかし、契約成立後にその当時に存在した事情が変更となったために.契約の効力をそのまま維持することが妥 当を欠くような場合があり、このような場合の措置としての法理論に行為基礎論が幅えられている。 行為基礎の脱落の理論は法律行為と事実の分離の場合に常に生ずる正しい契約の思想による意欲された契約の制限 の間題に関する。これは契約自由と契約信義を前提とし、契約内容の中で考慮されずまたは正しい範囲で考慮されな かった諸事情を契約にとって意味あらしめることにより.これらの概念を相対的ならしめるのである。契約基礎の脱 ︵3︶ 落の理論はドイッ民法の制定後はじめて学説と判例により私法の中に取り入れられた。ドイッ民法制定当時は意思表 示の理論に関し、主観的心理的観点が重要な意味をもった。これがドイッ民法二九条の錯誤要件となり、この規定 によると、錯誤者に法的規定により法律上の意味が与えられないときは、すべて重要ではない動機の錯誤となること ︵4︶ になるであろう。 行為基礎の理論の場合に、重要となる聞題は法律行為と事実の関係である。すべての法律行為は事実に関係づけら れ、法律行為と事実に関する関係が不正となりまたは法律行為の締結後に事実が変更となり、すなわち法律行為が麟 ︵5︶ 的とする事実と異った場合に法律行為的規制に如何なる影響を及ぽすかは問題である。 生前法律行為の場合に法律行為と事実の関係の問題点は殊に債務契約の場合に生ずる。債務法は債務契約と事実の 関係の規定が多く、しかもこの規定は一般的な規定と同様に個々の債務契約類型の中に存在する。特に履行不能の場 東洋法学 一七
契約内容と行為基礎 一八 合.しかも原始的並びに後発的不能の規定.危険負担の規定.事情変更の解除権.ドイッ民法の相手方の財産状態悪 化のための履行拒絶︵三繭二︶。消費貸借債務者の相手方財産状態悪化のための取消︵六一〇︶。→要理由による告知 権.物と権利堰疵担保責任.貧困による贈与者の解除か、薦求等である。このようなすべての場合には.債務契約は契約 に定められていない、轡実に閃係することが闘題となっている。従って法規は合意の効力を生ぜしめないか.あるい は.合鷺の規定の補充または“正によ軽正Lいぎ項を決める.行為叢蟹糞ご謹’ー 前述のような法定のη.y脳於げ ると同様に法津行為と事実の購孫が間薦となる。行為ー樺論は.法的に規定されていないと考えられる場合のため ︵馨﹀ の.擬務.偶に於ける法定規範の徳充に億かならない欝 従来.戴冠式、腱件が行為塞礎論の例と考えられている。すなわち戴冠式の行列の視察のために窓際の溺屋が賛貸さ れた。そしてこの戴冠式の行列は行われなかった。英国ではこの事件は契約は維持されないと判決された。この、嚇件 に於ては.戴冠式が行われるという、﹄は契約とはちがう一つの動機としての契約当事者の観念の内容にすぎないの ではない。むしろ契約携身がこの事欝のためになされた。窓際の部屋の引渡のみが合意されたのではない。この合意 では意昧がないであろう。戴冠式の行列の視察のための窓際の部屋の引渡が合意された。ドイッ法ではこの事件の解 決は履行不能の規定から生ずることは明瞭である。戴冠式の行列の視察のための窓際の場所の引渡という合意された ︵7︶ 履行は不可能である。賃貸人は義務を免れるが、反対給付請求権を失うことになる。 債務契約の場合には、意思表示の意味と契約の機能から騨。欝。 ・麟纂・ 。。讐欝鼠の原鋼の法効果が生ずる。すなわ ち.抽象的に見ると.契約に予定される効果の発生は各契約の場合に.契約当事者の意思ではなくその可能性にかから
しめられる。債務者が履行を欲しないとぎは、国家が救助する。履行の対象物が滅失するために、債務者が履行でき ないときは、履行不能に開する規定が救助する。債務者が無資力のときは、債権者が危険を負担する。履行不能すな わち法的に履行不可能は契約上の債務を第三者も実現しえないときのみ生ずる︵灘コ砂祇︶。契約の類型または契約の具 体的内容により別段の定めがあるとぎは例外である。立法老は契約の成立のとぎのみ例外的に債務者に考慮を保障し ︵8︶ ている。すなわちドイッ民法一九二、二一三条の要件の下に錯誤者が考慮される。 そこで、一当事者の契約上の危険範囲と履行の不期待性よりみると、その当事者により引受けられた契約危険にと って、目的意思の形成の際に契約内容と外部的事情により生ずる危険範囲と事実の相違が契約当事者に契約に拘束さ ︵9︶ れることを期待不可能ならしめるような重大な意味をもつ場合が行為墓礎と考えられる。 行為基礎の制度を支持する法規範としてドイッ民法二四二条︵信義則︶が考えられる。信義誠実の原馴は墓本的に は履行義務の方法のみを形成するが、特別の場合は権利と義務.請求権と債務の一部または全部の消滅を意味するこ とがでぎる。信義誠実の原則に従って債務者に債務履行を期待しえないし、従って債権者にその権利の行使を禁止す る場合にこの原則が適用される。行為基礎の脱落の場合も同様である。この期待不可能性に由来しない行為其礎論は ︵紛︶ ドイッ民法二四二条により理論づけることはでぎない。 債務契約が事実に関係するとしても、行為基礎論に入れられる場合には.契約と事実の関係が不法であるか、事実 が契約により引合にされた事柄と異る場合のための法律行為的規制を契約は規定していない。ごの点で行為基礎の場 合と事実のある事藏が契約の条件または損害担保引受の対象にされている場合との区別がある。従って事実が契約が 東洋法学 一九
契約内容と行為基礎 二〇 ︵慧︶ 引用した事項に適合せずまたは引用した毎項に対して変更になった場合のため法規範が見綴されねばならない。 契約の内容が直梓,凄実との不法な引合に関係している場合は別として、行為基礎論に入られるすべての場合には. 事実の危険を誰が負うかの閥題が重要である。この場合には行為基礎論の法的規制も要件効果に於いて個々の契約類 ︵鴛︶ 型に従って異る如く.一般的統一的解決は存しない。個々の酸、約類遡、について危険負担というごとを考えてみると. ぴろく誌彗 ﹂に驚ける危険舞担とい浩ときは.右の仕事の完成に予想以上にξ澱δよび労力が必要、陶ったとぎ熊が その粛険ぜ構パ担するかの闘題をすべて☆むと等えることができるが、しかし.仕事完成前に仕、.評が不可抗力によウて 甑鴛︶ 滅失又け ーしたときに誰がその危険を禽婁すべきかが・濤嚢契約におげるを枠ヂ腕本来の問響とさ飢る・ 舞.,.一∼細当事者の串で誰が事実の危険を負うかという問鷹の従来の規定は社会生活の事件に基づぎ. 特に戦轡と浅ヂ、誤似の事件による社会生活の変更に基づいて行われていない、勿論.一部には履行不能または危険負 担の如ぎ従来の規定で包括される。しかしこのようなことが可能でない多くの場合がある。このような揚合のために ︵無︶ 行為共、騰論が重要となる. 契約締結後に.その際に契約の萱、礎とされる事実が変更したために.当事者をその契約に拘束せしめることが正義 に反するときに行為旗礎論が必要となり.また.このような場合に対する法規範も存在するのである。 ︵玉︶ ︵2︶ ︵3︶ ぐ○鮮鍵図欝響⑳甑o劃⑪馨欝象薦霞伽霧ぐ簿欝謎Q aみ讐伽評鮒鎮蜘器鼠貫搭謡︾G 酸啄な 。8 最高判、昭二九・二・二六、民集八巻.一一号.二〇八七頁 麟勲韓鱒灘瓢欝層鴫騰鋤鵬驚醜徽窪簿総轡轟酸離囲髭剛認轡び鉱ゆ警幾器魯轡零の瀞餌猷認霧煉おお︶聾 り似嫁
︵4︶ ︵5︶ ︵6︶ ︵7︶ ︵8︶ ︵9︶ ︵鉛︶ ︵難︶ ︵12︶ ︵稔︶ ︵斑︶ ≦鷺ぼ一導類簿弩糞拶⇒詳鉾勲○‘o ゆ●慧 ≦建濤糟箆餌醤9層霧図g馨薦g9蘭PおOPo O・お“ ≦oき霧国戯碁3鋤●鉾○‘融。お刈h ≦o簿R国鎌簿漁鉾9。○‘G oQおc oめ ≦一鋳α鍔類騨霧蓉鯨類P騨鉾○‘G り辱ホ歴 ≦隷ぴ鮎鷺類勲弩導鋤疑89。帥●PvG っ●q ゆ傘 ダ齋 ぴ£簿麟餌巽糞鈴φ♂鉾勲○‘も 心“q 。轟や ≦¢簿霧国餐簿9鉾帥.○‘9 0響麟総 ≦霧欝簿距葺雛⑨辞勲○‘G っ。80 来栖三郎、契約法 四七八頁 ≦①簿窪鷺鱗鐸○”勲黛○こo Q“8一 二、行為基礎と契約危険 契約は当事者の意思の合致により締結される。契約が締結されると、その契絢の内容を履行すべぎ拘束力が生ず る。債務者は通常はその任意の履行をなすので契約の内容とされる債権債務の目的は達せられる。債務者の履行すべ ぎ履行行為は契約の内容によりぎまり、履行行為が履行可能な場合に債務者がその責により履行しないか、履行不可 能の状態を現出したときは債務不履行の責任を負うことになる。そして履行不能のとぎは債務者は債務を免れる。ま た契約の内容としての履行行為を債務者が実現したのにかかわらず債権者がこれに協力しないとぎは債権者は債権者 遅滞の責任を負うことになる。契約の内容はこのように履行行為の内容を定めることの基準をなすが、この契約の内
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二一契約内容と行為基礎 一ご一 容は通常は当事者の意思の表示された表示行為の内容により定められる。しかし契約の内容となっていない諸事情の 変更または脱落により履行行為が影響を受ける場合がありうる。 もしごのような事情を欠くと.契約をなした意義がなくなり.その騒的を欠き対象を失うようなとぎは履行の可能 性が・謹,を受けることになる。この事情を行為基礎というごとがでぎる。行為基礎といわれる事情は冥、縛の墓礎であ 唯て契約の内容ではない.このよ篠^L駄を欠く滋履行行為は不可能でなく・い妬も.ごれを履行せしめる轍撫が公τ. 当を欠くことになる・このような間璽感考察するためには.いわゆる轄津行為の動機襲たはこれと同様に評摘しうる 掌鷺と行為塞礎と行為内容の購を口右的し研究すべぎである、行為磯、礎は契約ー琴者の一方にのみ存するー、〆者の飢 念である動機窟たはそれと同一に評価しうる茎情と他方契約の聞にある、動桟甕たはこれと同視しうる宵.財は行為芝 ︵ユ︶ 礎となりうるしそして行為墓礎は契約内容に高められる。その移行は浮動的であり区分し難い。 ︵2︶ 法律行為の欝的とは.行為者がこれによって達成しよ5とした効果であって.法律行為の内容ともいう。この場禽. 行為基礎と行為内容の区別が重要である9行為基礎を契約の外にある法的に重要な事実と解する説があるが、行為基 礎と行為内容の間の限界は明瞭ではない。今溝もなお行為基礎はその墓礎に依存する法律行為の要素ではなくて、契 約と並ぶ独立の事実であると認められている。しかし.個商の場合にごの限界を消滅させる原理は明瞭でないとして ︵3︶ も見出すことは可能であると考られる。 この限界の明瞭化には次のような見解が役立つ。前提が単に一方のみであるのではなく.契約内容として知られる ︵基︶ ときはその前提は考慮に価する。行為基礎を主観的基礎と客観的基礎に分ける説によると客観的墓礎は客観的契約欝
的を支持する事情である。両当事者の目的または契約内容の中に何らかの方法で表現され、従って相手方に知りうる と認められた一当事者の目的を契約目的と解する。契約目的を当事者は表現上合意しうるし、この意味で契約内容と することができる。しかし当事者が相手方の顕的を何らかの方法で自己のものとし契約内容の決定のさいに考慮して いるとぎで十分である。その場合も一方当事者の契約目的は直接の契約内容となり、従って客観的契約目的となる。 そこで契約目的は先ず間接的の取極めの場合はそれが何らかの方法で契約内容の中で表現したものであり、他方共通 の契約目的として尊重されるためには、契約内容の中で表現される目的は両当事者により承認されねぽならぬという ことを重視することになる。その限りで何故にこの者の側で契約内容に関連して承認されるものが間接の契約内容と なるかが問題となる。このような考えに立って契約目的は常に表示上または黙示で合意されなけれぽならぬと解され ︵5︶ るo 民法上も契約内容と当事者の内心の意思の不一致の場合は錯誤論の間題となり、契約の内容となっていない動機も 錯誤論の対象となることがある。 錯誤の場合にはいわゆる品質の錯誤の場合は別として、一方当事者の意思決定にとって重要な事情についての誤れ る観念または将来の発生に関する誤れる期待は意思表示の効力に影響を及ぼさない。価格が高騰するであろうとの期 待のもとに商品を買った者は、この期待が外れ、期待した利益ではなく、損失でのみ更に売ることがでぎるようなと ぎは、この商品売買契約は取消しえない。特定の将来の期待の発生を期待した財産状態の危険は各自が負担すべきで ︵6︶ あり、経済事情の変動によるリスクは取引当事者が覚悟すべきものであり、したがってそれに関する錯誤は、いかに
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二三契約内容と行為基礎 二四 ︵7︶ 重要なものであっても、意思表示の効力を否認する理由とすべぎでないとされる。行為基礎を主観的と客観的に区分 して錯誤法を要件の中で分離する見方は将来の発生の予見不可能を錯誤と見ないときにのみ成立する。しかし現在の ︵8︶ 状態の誤れる評価と将来の発生の誤れる期待とを相互に区別することがそれほど重要でないことがありうる。従って 当事者の観念も積糠的または消紅酌すなわち不発生の事情の現在佳か将来性も重要ではない。法律行為の当事者と事 実の誤れる臼びが注律行為の拘束力の評価のもとでこのようか拘束力からの解放を美求するか否かボデ、版鐙ある継坤隔 のために或る者が一定の事項についての観念をもった場合に.咋、薫した事情のための適禽をその変更の可能挫を明ら ハタロ かに予期したとの理由で.以前より判例が拒否した矛循を同麟.に解潜しうる、 法律行為に於て契約の場合に現在または将来の事実との誤れる関係の効象の方法は法律行為特に契約の中で引受け られた危険により決定される.契約危険は契約の限界を定める、 各当事者は自己の追求する法律行為の効果を達成するために如何なる限界まで不利益を受忍するかの意味である。 それ故に契約危険は各当事者別に見るべきである。契約は契約危段を付加する。個々の場合に危険範囲を如何なる方 法で表すかは明示または黙示の意思、法律または契約の類型により.正要な関係の範囲でなされる。更に契約危険は 通常期待すべぎ危険範囲のみならず報戸の期待不可能性の鱗購をも示す。従って或る期待可能な範囲は各々の契約危 険に帰属する。この範照内にある事項はなお契約の内容に属する。理疵ある物の売買契約の例ではごの毅疵が発見が 非常に困難で.買主が現実に発見できなかったとぎでも.たとえ異常なときであろうと.ごの危険は買主に期待すべ ぎである。これはなおドイッ民法四七七条で買主の負担としている期待不可能性の範囲に属する。この故に非常に発
見し難い環疵が事実上売買の目的物の引渡後六ヶ月の間に発見できないときは、澱疵担保責任は時効により消滅す ︵10︶ る。 契約締結後、その基礎となった事情の当事者の予見しえない変更のために、当初の契約内容に当事者を拘束するこ ︵U︶ とが極めて苛酷になった場合に、契約の解除または改訂が認められるという法理を事情変更の原則と呼び、事惰変更 ︵鴛︶ の原則を意思表示の客観的解釈として構成する可能性が与えられると考えられる。 行為基礎の理論に属する多くの場合に、社会生活の契約関係に及ぼす影響の場合は例外であるが、事実が契約に適 合しないとぎは、契約は全部または一部がー全部または一部の履行不能ー維持しえなくなるかまたは一方の当事者に 法定責任⋮物の毅疵または権利の澱疵1が生じまたは履行は契約が事実に適合するように変更され、ー特に扶養契約 の場合⋮または契約が矛盾する規定となりー例えば取引所相場事件1そして当事者のうち誰も危険を負担しないとい う理由で自己に不利益な規定は他方の当事者より強制され得ず、そこで一当事者による自己に不利益な規定の拒否の ︵捻︶ 場合には他方の当事者は契約を取消すごとができる。 行為基礎は契約の内容に対するものである。従って契約の行為基礎ということは、契約の内容に属するものは何か を明らかにするときのみ決定しうる。それ故に先ず交換契約の内容を考えるならば、この場合すべての当事者は他方 の履行を、ある特別の自己に固有の目的いわゆる使罵目的のためにのみそれを必要とするから、欲することが明らか となる。当事者が契約により求められる目的は全く様々であり、ある場合には対立することもあり、当事者がある共 通の目的を追求するということはでぎない。しかし他方、相手方をその履行に関する拘束に至らしめるために、各当
東洋法学 二五
契約内容と行為基礎 二六 事者は自己の鶏的を実現しようとするとぎは.その契約の中で一定の拘東を承諾することになる。当事者は一定の拘 束を承諾することにより.自己の履行の実行も反対給付の使用に関しても.当然に一定の危険を引受けることにな る。これは自己の履行を現実に提供し、穂方の履行を計画通りに使用しうることを各当事者は完全に保証することは できないからである。従って契約の内容には双方の行為の確定と並んで一定の当事者問の危険の分配も属している。 例続ば一霧曙巻が難、愈の中で一定の震行陣害にいして.馨頁藩れるとか.和解補償の中で蕪ー論識せずまたー漏鹸でぎ ない移.賑勲、..をも後に主張するという危険を一蕊、、薦が引螺.けることによ鯵危険の肝謡が表示上生ずるごとがある、 しかし一定の危険の引受は表示上オ、、嘱る必要はなく、π駕の﹂約類型の単なる暴択から1..メることがあ静うる.例え ば保証の申込は主たる債務者の支払無能力になる危険の引受を意味する。何故ならこれに対.して債権者は摂証により 保護されるからである。他の多くの場合には契約解釈しかも補充解釈が当※霧間の一定の危険分配に至るであろう。 この場合には殊に取引慣行が舌要な意味をもつ。しかし契約が何ら規定していないとぎは、結局は当該の場合に舅係 ︵蕉︶ する法規範により一定の危険分配が生ずる。 動機の錯誤の不考慮性についての法の規定は.表意者は事実について自己の観念の正当挫の危険を相手方に転化し えないことを内容とする。その墓礎となっている欝己に有利な、夢実についての観念が適切であるとの危険を負うこと を欲しない者は当該事情を法律行為の条件とするかまたは相手方より保証を要求し.少なくとも自己のこの観念が自 己の考えている事情に基づき法律行為の規欄が行われる方法により法律行為の構成部分になるように図ることがでぎ る。しかし事実についての表意者の観念が法律行為の構成部分でないとぎは.事実についての観念の正当性の危険を
︵類︶ 表意者が負担することになる。 契約締結の際の状態に対して事実が変更したとぎは、特に合意により危険分配が別に定められているとき以外は、 ︵照︶ 各当事者は契約類型により自己に属する危険を負担することになる。 特に履行障害のすべての規定は履行不能の場合の当事者間の履行と反対給付の危険の分配に外ならない。契約と法 が事実上当該の危険の規定を含む限り、行為基礎の脱落の問題ではない。むしろ契約上または法規上の規定が規準と なる。しかし危険の分配の場合には、当事者は常に意識的であろうと無意識であろうと、一定の前提に基づき、危険分 配がその当事者のために維持され継続されることがこの前提に係っている。そこで例えば種類債務の場合に、売主は 通常の努力を以って世界市場で商品を調達しうることを予期し、予期しなければならぬという理由でのみ、調達危険 ︵∬︶ を引受けるのである。 貨幣価値の変動から出発した事情変更則がその後多く行為基礎論という表現の下で取扱われ、行為基礎の理論は、 ︵⑱︶ 錯誤、履行の不可期待、毅疵担保、因果関係論等、多岐の論点に及ぶ。 ︵王︶ ︵2︶ ︵3︶ ︵4︶ ︵5︶ <o野窪閃09窪oPN≦g浮瑛鉱9麟鄭σq麟添傷N建g厨陣曾g雛σq鞍o ooび鉱α<①浮蹉9ぴ 我妻栄、民法総則 二四九頁 <○騨窪頃o暮獣g甲鉾騨り○こG o卿爵 灘霧一洲霧窪訓O駿o鐸騨σQ鐸β色謎⑦g雛山く窪霞お器鳳艶ξ轟︶おOも 。︾“ 喚・一刈h く○評R閃窪静貯ダ黛鋤・○‘9紹
東洋法学
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亙薯 璽7 蓋導 蓋欝 竃感 笠3 薫勲 呈堂 翌《) 9 $ 7 6 ) ) ) )“ }辱ノ }〆 島〆 ) ) ) ) ) ) 契約内容と行為基礎 魏麟瓢醒霧o欝︾≧蒔①蓉③ぎR興鰍囲瓢霧雛o甚毒 っ⇔財簿綴簿σ織鍵葎ぎ綴饗g馨評一霧P灘 農@烏 ゆ霧 川島武宜、民法総則 二九二頁 ダδ題雛 蓉緊零欝夢ゆ竃の窃無雛跨薦讐鐸蝕薦&籔韓浮轟③彊農ぐ窪酔蜀σq聾 Q籔欝霧︶罎“ど難 ね搬総 壌o鵜灘搾②鷺欝瓢器び欝きO‘韓麟も ゆ 》畷 駄眺畷鮮の鶏誘獣嚢︶評騨O虚羅 絵ひ・鶴 五十嵐、艀.契約と事億変更の原則.契瀞法大系玉.二九頁 五十嵐薮.前掲 ヨ七頁 超畷難欝晦灘澱難許雛獣魏糞蹴藤鎌輿鋼鱗許雛畿y轍 鍛豚㍊購 ♂♂欝欝瞬羅漿聾篇鵡ダ螢羅葦魏灘叢蜘鍵/擢購欝黙画織瓢響騨蕪瓢璽醗霧鯵雛謡蹄幹睡麟瞥 ㎞蘇瓢漕靭欝Φ“聾溝繊整 ゼ鴫灘鴇霧灘鍔嚢漕評騨O認鯵矧麟 贈. o騨驚鋼羅難韓紺拶欝野⇔‘鄭 鍛◎継榔 肝本正晃、行為墓礎論.ドイッ判例薫選 八八夏 二八 三 建設請負契約と危険負担 建設請負契約における危険ー、挺の問題は、仕華の完成に、予想外の費用および労働力が必要になったときに、誰が ︵箋︶ その危険を負担するかの問題であり.建設講負契約の建設業者は一定の土地の状態または或る程度固定した資材価格 と賃金を予期するときのみ確定の価格に関係するのである。その場合に後に建設土地が事実上花嵩岩で出来ておりま たは資材嚢用と賃金がインフレーシ.一ンの発展で何倍にも高騰したとぎは.碓定価格の合意により高騰する費用の危険の引受けに関係した前提が欠けることになる。この他の場合にも、契約の従来通りの継続が建設業者にとり破滅状 態となり従ってこれを期待することができないとぎは、建設請負契約の行為基礎が欠けたということができる。従っ て行為基礎は︵この場合に関係のある類型に限り︶当事者が意識的または無意識的に契約の危険分配の際に出発点と なるすべての事情より出来上っている。この事情が契約締結の際にまたはその後に欠けたときは、不利益をうける当 事者が合理的に考えられる契約上または法律上の危険分配によりこの危険をも負うべきではないかを探求すべきであ る。故に契約上または法律上の危険分配がすべての意昧を失い、同時にそれと逆になるように取引され、そこで契約 の従来通りの実現が一当事者にとり期待でぎないときに初めて行為基礎の言葉が使われる。この言葉は過度の履行障 ︵2︶ 害、等価侵害と目的不到達のときに特別の意昧をもつ。 仕事の完成に請負人が当初予想した以上の費用と労力とを必要とした場合には報酬の増額を講求することができる かについては、いわゆる条件の変更のとぎ、すなわち図面と工事現場の状態が一致しないとき、または地盤などの施 工にあたり予期することがでぎない状態が発見されたときは、定額請負において原則としてそれによる増加費用は請 ︵3︶ 負人が負担すべく報酬増額の請求はでぎず、賃金や物価の変動による増加工事費用は注文者と講負者のいずれが負担 ︵4︶ すべきかは、民法上は、事惜変更の原則の適用の可能性のあるような場合は別とすれば、請負人の負担と解すべきと考 えられている。しかし建設請負契約の講負人は営利を目的とする建設業者として企業化しており、建設業を安定性と 企図性をもった近代的な企業としてゆくためには、民法の請負が、請負人の仕事完成義務があるからとして、天災不可 ︵5︶ 抗力によって生じた損害をすべて請負人の負担とすることに対し、検討の必要が生れ、建設工事請負契約約款の中に
東洋法学 二九
契約内容と行為基礎 三〇 ︵§︶ 於て・賃金または物価の変動による請負代金の変更を求めうることが規定されるようになっている。また建設工事の請 負契約しついて磯舞ひ業法は.奥華内容.請負代金の額等を書面で明らかにすること︵条九︶を規定するが.この事 項に天災その他不可抗力に因る損害の負担を定めた場合もあり..﹂のような特約がなくとも、請負人の負担が著しく ・これを強いることが鷺、、義則に反するときは、事情変更の原則により.相当の報酬V熱〆嚇求するか.または新 ︵7▽ たに鰹拝するギ.旨 巽れる撫の見解がゆる. 諜ピ女と概紳翫録と更に諒賃について全額を定めない嶋合があ参.この翫、げ穏にー、、轡し応じず鳳相当 ハ慧︶ の、軽奮定める他なく、. ら曝的が仕認の完建突あるときは.なお趣︶衷備グ醇賃譲 、 、、 このような癒酬貰の定めのない漏負契約においては.耳.,瞬負丁﹁ジの内容に照応する合理的額を報酬として古、払、軽・ ︵嚢︶ というのが契約当事者の通常意思に適合するとの判例がある礁 ドイッ民法六囚四〃、査項にょると.仕畜の請負人は完成された仕事を注文者が受領するまで代金の危険を負担する というのが基本思想である。従って仕.、ρの悪、臆醜. 育用された資材.病気.大火災.地方の地震.労 勧の配置と組織に関するすべての危険を負担する。誇蛮われた仕事が撫務であり.その結果演支払の対象となる。瀞︶ のため.建設講負人は基本的には仕事の建設の危険を負担するという原則が重要である礁ごの原則の最も重要なる一 般的適用の一つは計算の危険は、、本的には建設∼、購負人の負担となるということである。この範闘で計算の錯誤はドイ ︵姶︶ ツ民法一一九条二項によリ工駕ではないという一般原則が存在するにすぎない。計算の錯誤とは表意霧が計算の際に その総計にまたは計榊.嬉の墓礎となった事情すなわち計算の要素に錯誤のあった場合であり.これが相手方に通知され
︵n︶ 襲たは契約締結の際に重要であるとされると表示の内容となり取消しうる。 この場合同時に一つの限界があり、それを超越した場合には建設講負人が負担すべぎ危険の範囲を超えることにな る。この場合には、変更した事情が契約の信頼基礎に影響する結果となる。このような多くの場合には、契約の実現 に重要な基礎の侵害と考えられる。しかしドイッ民法六三一、六四四条に於て法は誇負人の負担すべき危険を非常に 広く限界をひく。請負人は完成された仕事の結果について債務を負担するから、基本的にはこご迄の過程で生ずる危 険を仕事の引渡の場合に負担する。これは契約上の危険の範囲を超えて生ずる危険責任は信頼基礎の範囲内ではたし かに可能であるが、事実上はそれほど多くはないことを意味する。契約上の危険範囲を超える信頼基礎の侵害は講負 人が負担すべぎか否かの検討はたしかに無用なことではない。しかし多くの場合にはこれは契約上の危険責任範囲の 広汎な拡張のために建設請爽人が仕事の完成の際に負担すべき契約上の危険の超越とともに注文者への危険移転が生 ずることになろう。予見できない事情が建設請負契約の信頼基礎を侵害する場合がこれに当る。しかし建設講負人が 元来負担すべき広範囲の契約危険に関して基本的危険が請負人に生じないから、注文者の責任となる。固有の基礎の 範囲に於ける契約危険の延長に代って、他方の基礎範開への契約危険の転化が行われる。このような異った取扱の基 本は、法は製作者の危険範囲を六四四条一項の代金危険という危険範囲の形に本質的に制限するということである。 このような評価は基本的危険の評価の場合にはなしではすまされない。 このような考慮は建設請負契約にもあてはまる。請負人の危険を六四四条の場合に完全に限定することにより、代 金危険の場合の損失の限界は契約自身の限界の範囲内とするところである。換言すると、予見しえない危険の多くの
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三一契約内容と行為基礎 三二 場合はー六四四条の関係でi疑もなく注文者の負担にならねばならない。代金危険が問題であり、履行危険が問題で はないから.基本的には注文者の補充的負担は後払義務を構成しなけれぱならない。勿論推定可能の限界までに及ぶ ︵鷲︶ にすぎないから.他の分地を調達するような場合は別の負担が考えられる。西ドイッにおける公共工事約款は危跨負 ︵鴛︶ 担を殆ど無条件に注文者の負担としており.行為基礎の原理の間題点は多くの憾合六四四条一項の広い契約責任のた ︵穀▽ り行為蒸覆、、鼠靴は注文者にある撫考える. 悉設議負契約の民法上の危険負担について間題となるのは.仕事完成前に§的物が滅失殿損した際合.あるいは. 仕轟兜氏鉱に嚢的物の引渡を必塁とする請負において.隣的物が慣失斎たじ慶鍛したときのみ.誌魚人の引渡債務が く蕪︶ 履行不能となった場合である。このジ合に於ては講負人が材料の全部︵または主翼、諾分︶を調達して物を製作する携 合には別段の意思表示のないかぎり当事者間では製作物の所有権が引渡の時または露爽代金支払ずみなら製作完了の ︵欝︶ 時︵代金支払が製作後引渡前なら代金支払の時︶に危険とともに移転すると解される。この点につぎ判例は﹁請負人 が自己ノ材料ヲ以テ注文者ノ土地論建物ヲ築造シタル場合ユ於テハ当事者問二別段ノみ思表示ナキ限リハ、其建物ノ 所有権ハ材料ヲ土地二附著セシムルニ従ヒ当然注文者ノ取得二帰スルモノニ非ズシテ.請負人ガ建物ヲ注文者二引渡 シタル時二於テ始メテ注文髄撃㎜移転スルモノトス。是レ本院判例︵輿治三十七年︵オ︶第二八六号同年六月二+二縫判決︶ノ 示ス所ナリ。蓋此場合二於テハ建物ハ全然講負人ノ供給シタル材料及ビ労力二因リテ成リタルモノニ係り.且請負契 約ノ盤質上特約ナキ限リハ講負人ハ其逢物ヲ注文者二引渡スニ非ザレバ債務完了セズ.之ヲ引渡スニ因リテ始メテ債 諮完了シ注文者二対スル報酬支払ノ請求権発生スベク.尚ホ建物ヲ引渡スマデハ之二関スル危険ハ講負人ノ負担二属
︵葺︶ シ引渡二因リテ始メテ注文者ノ負担二帰スベキ関係等二鑑ミ﹂とする。この判例は建物の引渡により危険が注文者に 移転するという考え方であるがこの理由は注文者に所有権が移転するという点にではなく、引渡によって請負目的物 が注文者の監護に入っていくところに求めるべきで、それは所有権の移転はかならずしも引渡と同時におこなわれる 必要はないとともに、物権変動に関して意思主義を採用するところのわが民法においては請負人が請負契約の本質上 ︵18︶ 負担すべき危険は仕事の完成自体についての危険であって、所有権の移転に関係がないからであるとする説がある。 また建設請負契約における請負代金の値増しや、その他の予約定価の改訂の間題の場合には相手方の意思に反する ︵鷺︶ 改訂もありうるが、増額の範囲については、消費者保護との関連で、慎重な配慮が必要と考えられる。 ︵1︶ ︵2︶ ︵3︶ ︵4︶ ︵5︶ ︵6︶ ︵7︶ ︵8︶ ︵9︶ ︵玉o︶ 内山尚三、現代建設請負契約法 一二九頁 ぐ○鮮簿図簿簿○慧o劃O塊黛鉱岡おΦ婆紆も 9<霧嘗濃。 ・−鋸遙G Q魯鉱含gぼG Q・o o.&慾 来栖三郎、契約法 四七六頁 来栖三郎、前掲 四七七頁 内由尚三、前掲 一七二頁 ﹁建設請負約款の研究、資料・建設講負約款﹂、法律時報 四二巻、九号、六三頁。内山尚三、 我妻栄、債権各論 中巻二、六二二頁 我妻栄、前掲 六〇三頁 東京高判、昭五六・一・二九、判例時報 九九五巻、五一頁 ≦○凝§σ9鳩欝⑦馨る ・399。Q警霊⇒薦笙&㌶鵯巴ωギお。号ω<R霞謂。 ・量ぎ。 ・.欝ヌo Qぴo 。 東 洋法 学 前掲 ︸七七頁 ⋮二
︵慧︶ ︵捻︶ ︵13︶ ︵M︶ ︵欝︶ ︵欝︶ ︵鴛︶ ︵鰺︶ ︵騰︶ 契約内容と行為基礎 図霧圃ど霧窪が艶一蒔o箏①貯窪感亀傷駿O窪緩9窪び母αq①難3窪饗①畠齢。 。︾一霧ざ○ り. ∼くo圃 蒔鋤欝磯屑騨轟雛欝凸訓のび欝騨爆O“Q 飛σ8 内山尚三.前掲 一四一頁 ダδ一蔚鋤雛α壁灘霧纂む 駐o鋼講︶欝欝O‘Q a尋総 内山尚三.前掲 一二八頁 広申俊雄.飯教各識講魯、麟五版.三二七頁 大判.大三・ニマニ六.民蘇 二〇巻. 二一〇八頁 浅井疲信.総合判例研九暁書.民法㈱ 三三頁 五十民転、事穂変更の摂粥と行為基礎論.民法の争点.孟瓢二慧 なo 遷 三四 騨 契約内容と履行 契約義務の不履行と行為基礎の脱落とは異っている。憲礎の脱落は不期待性の事実である。この場合は債ザ蓄は履 行しうるが.しかしもはや履行の必要のない状態である。行為基礎は契約締結のさいに存する単に履行の方法に関す る外部的履行条件の意昧の履行可能性にすぎない。これに反して履行がなされるかに関する履行の実現性は一般に履 行効果に向けられた履行義務に於て契約内容となる。履行約束は債務者の債権者に対する↓定の履行効果を目的とす る。従って当然にそれは実現されるべぎ効果に関する観念を含む。後者は両当事者の履行の評価の形成に於て契約内 ︵1︶ 容となる。この故に単に行為基礎の脱落ではない。
契約の内容である義務が履行不能となる場合として次の例がある。不動産の売買契約のとぎに、売主がこの不動産 を買主以外の第三者に譲渡して移転登記をしてしまうならぽ、この売買契約上の売主の義務は履行不能となると解す べぎことになる。判例も﹁売主力売買ノ目的物ヲ第三者二譲渡シタル場合ト錐モ売主ハ更二第三者ヨリ其所有権ヲ譲 受ケ之ヲ買主二移転スルコトハ物理的ニハ不能ナリト調フコト能ハサルモ第三者力果シテ再譲渡ノ要求二応スルヤ否 ヤ売主力果シテ第三者ヲシテ目的物ノ再譲渡ヲ承諾セシメルノ手段方法ヲ有スルヤ否ヤハ全ク不明ニシテ疑ハシキ場 合二於テハ之ヲ否定スルヲ以テ取引上ノ通念ト為スニ依リ売主力買戻其ノ他ノ方法二依リ第三者ヨリ目的物ノ所有権 ヲ回復シ之ヲ買主二移転ルコトノ可能ナル事実ヲ証明シタル場合ハ格別其他ノ場合二於テハ売主力買主二対シテ負担 ︵2︶ セル所有権移転ノ義務ハ履行不能ノ状態二在ルモノト断定セサルヘカラス﹂とする。 このような原則により、その後の判例もこれに基づいている。土地建物の売買契約に於て売主がこの契約の成立後 にこの目的物の引渡義務を履行せずに、第三者に売却し所有権移転登記をしてしまったので、買主はこの履行義務が 履行不能となったとして損害賠償を売主に請求した事件では、売買契約の売主の債務は﹁判示移転登記の完了した時 ︵3︶ において、結局履行不能に確定したものとした判断は当裁判所もこれを正当と是認する﹂として、債務不履行による ︵4︶ 損害賠償の価格の算定の時期を履行不能のときとしている。この判例の態度は事実の解決に妥当であるものとして学 説も支持している。 土地の引渡不能のためその上の借地権の消滅を認める判例がある。借地の上に登記した建物を所有していたが、大 震災のためこの建物が滅失した。この間に地主はこの土地を他人に譲渡し登記をしてしまい建物を建築した。このた
東洋法学 三五
契約内容と行為基礎 三六 め借地人が地主に対し岱地絶確認と土地引渡不能の場合の損害賠償を議求した事件で﹁同買主二於テ窪地上二建物ヲ 建築スル論至ジ上告人ハ賃貸人トシテ本件宅地ヲ被上告人二引渡スコト不能トナリタル廊.署実ハ何レモ原審ノ確定スル 所ナ夢然ラハ六パ貸借契約上被上告人ヲシテ本件宅地ヲ使用収益セシムヘキ上告人ノ義務ハ其ノ窺,屡皿帰スベキ事由二 因夢既瓢P膏壕ぬトナリタル曇ノナルカ故論之ト共謄.、癒地ヲ使用収益スル被上蕾入!権利即チ借地権モ亦膚減識帰 ︵課︶ シ﹂とLて翫地引 しかL轍の.酬合は土聴のし 諾とは乳.、ー.. 蕊じなもざ ︵彗︶ る法律関係でなく、穴紮借蓼約に関する点に注隣すべきとする見解がめる、 この訣う爵ー貧不能の妨合は縫.げの内容である土地引渡蕪霧が契約成立後公・“情によ陰すなわち他人への売却の一、塗 実によむ鷲”の内容の実現が不可能となったのである。 或る石灰石の採掘権を有する薦が.この採撫及び採掘設備の資金を受け取り.契約の翌篶より一定の鰯闘内に右設 編を完成して採嘱を始め採掘石を販売し販売開始の月より出資金を返還し更に利益金を分配するとの契約をなして. 逐次必要額資金を受け取ったが.この採掘権者は設備工畢中重要にして且県庁の許可を要する関係上最も先ぎに着手 すべぎケーブルカー索道工事を一切行わず.該工凝の許可を出願し、ある一定の期間内に俊工すべき許可を得たが、 この期間を徒過し.更に再出願したが不許可となり索道工事は遂に完成不産になった書件で.寂務者の責に帰すべぎ寧 由による債あ不履行を理由として契約の解除を認めた判例がある。この判例は﹁然レトモ原判決ノ趣旨ハ本件契約ノ 目的タル石灰石採払略業ノ経営二最必要ナル索道工事ノ完成力上告人ノ怠漫二翼リテ不能トナリ其ノ結果右事業亦経 営不能二陥ジタルモノト認メタルニアル灘ト原判文上明ナリ而シテ民法第五百四十三条二所謂履行不能トハ総ユル手
段ヲ尽スモ尚絶体二不能ナル場合ノミヲ指スニ非ス一般取引観念上不能視セラルル場合ナルヲ以テ足ルコト当院ノ判 例トスル処ニシテ︵大正十一年︵オ︶第四六四号同年十一月±一百判決︶右索道工事の通常ノ方法ニヨリテハ認可期間中二 完成スルコト能ハサルニ至リタルコト及右工事ニシテ不能ナル限リ右事業ノ経営亦経済上不能ナルコトハ原審挙示ノ ︵7︶ 資料ニヨリ之ヲ認メ得サルニ非ス﹂としている。 請負契約が注文者の責に帰すべき事由により履行不能となった例がある。住宅電気設備機器の設置販売等を業とす る甲は乙所有家屋の冷暖房工事を工事完成時現金払の約旨で請け負ったが、この冷暖房工事は、丙が乙より請け負っ たものであり、丙は従来規模の大きい工事を請け負ったときは、みずからこれを施行することなく、更に他と請負契 約を締結して工事を完成させ、みずからは仲介料を得ていたところから、この工事も甲に請け負わせたものである。 更に乙は丙が甲に負担する債務について連帯保証をした。甲はこの冷暖房工事のうちボイラーとチラーの据付工事を 残すだけとなったので、残余工事に必要な器材を用意してこれを完成させようとしたところ、乙が、ボイラーとチラ ーを据え付けることになっていた地下室の水漏れに対する防水工事を行う必要上、その完了後に据付工事をするよう 甲に要講し、その後甲及び丙の再三にわたる請求にもかかわらず、乙はその防水工事を行わずボイラーとチラーの据 付工事を拒んでいるため、甲は冷暖房工事を完成させることができず、工事の完成は不能と見られるようになった・ このような事実関係では甲の行うべき残余工事は社会通念上、履行不能であるとの原審の認定判断を是認し、この判 例は﹁そして、丙と甲との間の本件契約関係のもとにおいては、前記防水工事は、本来、丙がみずからこれを行うべ きものであるところ、同人が乙にこれを行わせることが容認されていたにすぎないものというべく、したがって、乙
東洋法学 三七
契約内容と行為基礎 三八 の不履行によって甲の残余工事が履行不能となった以上.右履行不能は丙の責に帰すべぎ事由によるものとして、同 入がその責に任ずべきものと解するのが、相当である。 ところで.講負契約において.仕.鍵が完成しない間に.注文者の責に帰すべき事由によりその完成が不能となった 場合には.辱良人は.嚢己の残債梅を免れるが.民法五三六条二項によって、注文欝に.継良代金金頂を.㎡ふするごと がで麹.ただ.自己の綬.擁を避即た轍とによる利益を注文者に償卸すべ・、一.旨 .癬ないものとい勢.、 一 る、これを本件についてみると.本件冷暖房設備工事は.工事未完成のほに.注文者である丙勲一に帰すべ鯨.由に より甲においてこれを完成暴せることが不能となったとい5べきことは既述のと論勢でう勢.しかも.甲虞k.炉 艶 ︵騒︶ れたことによる利矯、蹴の蟹還につきなんらの主張立証がないのでめるから﹂として請麟、代簸の爺求を認める。 契約締結の当時すでに履行が不可能である例として.権利の移転につき行政官庁の聾可を必要とする場合に、契約 の当時にその爵可を得ることが不可能に確定しているとぎはこの権利の霞抜を藏的とする雲約は無効であるとする判 例がある。この判例は﹁案スル訟河川ノ流水ヲ占用セントスル者力河川渋第十八条二依り地方行政序ノ許可ヲ受ケタ ルトキハ之ヲ占用シ得ヘキ私法上ノ権利ヲ取得スルモノニシテ此養利ハ同法第二十一条二依り地方行政庁ノ許可ヲ受 クルニ非レハ之ヲ他人訟移ス㍑トヲ得サルモノ︾ス此等規定識依ジテ観ルニ河川ノ流水占用権ハ元来地方行政庁力最 初許可ヲ与ヘタル特定人ノ為メニ設定シタル権利ナルカ故二之ヲ他人二握疲スル場合二其ノ譲渡人力椎利ヲ取得スヘ キヤ否ヤニ付テモ地方行政庁ノ許可二依り決定セシムヘキ趣旨ナリト解スヘグ従テ河川ノ流水占用権譲渡塑.㍊ハ地方 行政庁ノ許可ヲ以テ其ノ効力発生ノ要件ト為シ仮令権利者力其ノ醸渡契約ヲ為スモ地方行政庁ノ許可ナキ限リ該驚利
ハ移転セサルモノトス故二直接二河川ノ流水占用権ノ譲渡ヲ目的トスル契約ハ勿論之ヲ譲渡スヘキ債権債務ノ発生ヲ 目的トスル契約ノ如キモ契約当時既二其ノ権利移転二付地方行政庁ノ許可ヲ得ル能ハサルコト確定セル場合ニハ不能 ︵9︶ ノ事項ヲ目的トスル契約ニシテ無効ナリト云ハサルヘカラス﹂とする。譲渡人に流水占用の許可を与えたさいの条件 等から見て、この譲渡に許可を得ることが不可能と考えられる場合である。 他人の物の売買では、売主は権利を取得して買主に移転する義務があり︵舷鮎︶、 一般に原始的不能を目的とする契 ︵m︶ 約は無効とされているが、他人の物の売買は原始的不能を目的とする契約は無効であるとはされていない。売買の目 的物の一部が他人の所有に属する場合も売主がこれを取得して買主に移転できないときは、売主の権利に対する担保 責任が生ずる︵盟鮎︶。この例としては、売買の目的である土地の中に官有地があり、この土地を除いて移転登記と代 金の支払を終了したが、その後三年余も売主はこの一部の土地を取得して、買主に移転することがでぎなかった場合 がある。この場合の判例は﹁原審口頭弁論終結当時未タ被上告人力其ノ官有地ノ所有権ヲ取得シテ之ヲ上告人二移転 セサルヲ見レハ縦令被上告人二於テ将来之ヲ実行スルコトカ絶体不能ニアラス且其ノ実行ノ意思アル場合ト錐格段ノ ︵U︶ 事情ナキ限り既二民法第五百六十三条第一項二所謂移転スルコト能ハサル場合二該当スルモノト解スルヲ妥当トス﹂ としている。 契約成立当時売主の所有に属していない物を売主の物として売った場合は他人の物の売買として売主の権利の欠敏 に対する担保責任が適用されるが、売買の当事者が権利は売主に属していると誤信しても要素の錯誤として無効とな ︵犯︶ ることはなく契約は有効である。また、五六三条は理疵担保規定であり、その本質上原始的不能に限るべぎであり、 東 洋法 学 三九
契約内容と行為基礎 四〇 代金全額の支払後三年を経過せるも猶お売主が官有地部分を取得して売主に移転する能わざる事実は官有地の存在自 ︵捻︶ 体が実は本件に於いて原始的不能を臆成するものと考えるべぎであるとする説がある。 (((((((ズ∼〆へ搾\〆、((蓋3 亙2 1三 玉0 9 書 7 暮 藝 4 簿 驚 亙
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ぐo鐸灘糠⑫欝鐵窪︾Nだ霧騨韓器陣魯鐸謬馨舞綴駿醐N護⑲簿舞驚〆響磯帥鯵○ 磯魯鷺舞ぐ簿鋤襲欝嘗 大判.大二・五・ご嚇.民録 一九巻、三二七頁 取蘇判.昭三五・四二二.蚕⋮ ︸“鷲.穴琴.九三〇頁 高木多.,.闘男、氏商法雑誌 臨三巻.五号.八一頁 大判.昭一〇・四・一三.民集 ︸四巻.七号.五五穴頁 内購力蔵.判例民事法 昭和︸○年度. 七〇頁 大判.昭九・ニマニ一.民集 二二巻、二四号、二三五五頁 最高判.昭五二二一二一二.民集 三一巻.一号.八二頁 大判.昭八・四二二.民集 ご一巻.一〇号.九一五頁 来栖三郎.契約法 五四頁 大判.昭︸○・四二一七、民集 一四巻.九号.七九六頁 来栖三郎.前掲 一〇〇頁 由中康雄.判例民事法 昭和一〇年度.二一〇頁 お①脚纂 絵殿麟㍍ 燈五 動機錯誤と意思欠歓論 行為基礎を主観的と客観的に分けて考える学説があるが、両方の形式は正しい点を含む。しかし両者は密接であ る。主観的形式は当事者が事実上考慮した事情のみを動機を形成するものとして認める。しかし締結される法律行為 は多くの場合認識されなかったとして非現実的な当事者の観念の多くも基礎となっている。たしかにこれらの事情が 如何なる範囲で法律行為締結にとって原因となるかを心理的に確定しようとすることは無益なことである。しかしも し当事者がそれを考慮したならば、契約を締結しなかったであろうという範囲では法律行為上の規制を有している。 従ってそれは利益を構成する考慮の際には主要な動機と考えられなければならない。客観的形式は行為基礎は外部に 存在する事情により形成されるとは限らないということを考慮しない。両当事者が一致して誤れる観念に基づき、例 えば両当事者が誤解した計算の基礎に関する錯誤の場合の如く、これが当該取引の基礎となっている場合はそうでは ない。従って行為基礎は当事者の観念ではなく、この行為が関した事実であると一般的に言うこともでぎない。行為 ︵1︶ 基礎は常に真実の基礎とは限らない。むしろ当事者により観念されたにすぎない約定の事実でもありうる。 主観的と客観的基礎形式は他方に於て非常に広すぎると考えられる。主観的行為基礎は個々の意思表示のみでな く、全体としての法律行為に関係する。従って一方の契約当事者が他方の当事者に告知したことにより一方の当事者 の契約期待が共通の契約基礎となるものではない。むしろ相手方がその認識している表意者の動機に関係しなければ ならぬときに決定的な評価の問題となる。この意思表示受領者が表意者が心内にもつ動機を知らないが、しかし知り 東 洋法 学 四一
契約内容と行為基礎 四二 うるし知らなければならぬときに補充的な評価の問題が起る。従って主襯的行為基礎は常に個々の意思表示の基礎と ︵2︶ なる動機の特別の制限された面にすぎない。 我が国の判例も法律行為の動機の錯誤のあるとぎに一定の場合にこれを錯誤と認めているのであり.﹁法律行為ノ 要素二錯誤アリテ其意思表示ノ無効タルハ意思表示ノ内容ヲ成ス主要部分瓢錯誤アルガ為メ轟外ナラズ。而シテ物ノ 性状ノ如キハ工欝法律行為ノ縁由タル・・騨滋ギズシテ.其性状・ ・㎜錯誤アルガ㍉勤、君行為/無、,弩、ノ未タサザル£響ノ挨タ ズト難麟、.ヂ君者ガ之ヲ以テ意思表示ノ内容ヲ樺成セシメ其性状ヲ具有セザル晶於テハ法律行為ノ効カヲ発生セシメ ル慧トフ欲蹴ズ.砺力愚取引ノ葎.、夢物ノ常況無 醐︸ 髭・議,冒心表示ノ主畢部分ト為ス撫度ノ冊ノト認メ得ラルルトキハ是 ︵欝﹀ レ亦法律行為ノ要素ヲ成スヲ以テ.其錯試ハ.麻思談示ノ無効ヲ来タスベキモノトス﹂として.動機も法律行為の内容 をなすと考えられるならば法律行為の無効を来すものとしている。ごの粛,件は馨的物には錯誤がなくとも.その売主 の言葉を信じて買ったR的物が一定の性状を欠いていたので.これを理由に契約の無効を主張したものである。 客観的基礎は行為の関係するすべての事実ではありえない。法律行為と事実の関係は一段階ではなく数段階である からである。行為の関係する事実がすべて行為基礎となるのではない。行為にとって重要な事実の一部がむしろ行為 ︵魂︶ 内容の条件または麟的決定として実現されるべぎ履行効果の内容となる。従ってもし一般人が誠実にこの点の不確実 なごとを考慮したなら.相手方も信義誠実の原則に従って契約の要素に関して条件としたにちがいないような動機ま ︵5︶ たは事実のみが行為基礎と考えられるのである。 売買の霞的物の性質に関する錯誤については、一般には、取引客体たる財産の評価は.取引上のリスクに属し.売
買の目的物の属性の程度は、売買における通常のリスクであり、それに関する錯誤は重要ではなく、売買の担保責任 に関する規定により処理されるべきであるが、特に当事者が、一定種類の属性或いは或る属性の一定の程度の存在を ︵6︶ 条件として、契約した場合には、それに関する錯誤は無効の根拠となりうると考えられるであろう。また或る特定の 器物が甲より乙に売買された場合に乙は之を純金製と信じて買ったが、じつは鍍金にすぎなかったときは、この特定 の器物そのものを売買することに付いての煮思の欠敏はなく、双方の煮思表示は正しく合致しているから売買は戊晃 するが﹁乙力之ヲ純金製ト信シタルハ売震ノ動機二止マリ其ノ予期二反セシハ縁由ノ錯誤ニシテ所謂取引ノ錯誤︵即 チ意思ト表示ノ無自覚ナル不一致︶二非ス乙トシテハ又如何トモスルヲ得スト云フヲ正論トス則チ正論ナリト雛乙タ ルモノ亦憐ムニ勝エタリ此特定ノ器物ヲ買受クト云フ乙ノ意思ト共ノ表示トノ間一ヨソ何等齪腰スル所モ無ケレハ其 ノ中心予期シタル晶質ト実際ノソレト余リニ甚キ差等アルカ故二夫ノ例ヘハ何町十一番地ノ土地ヲ売買スル申込若ク ハ承諾力同町二十一番地ノ土地ヲ売買スル申込若クハ承諾ト誤記誤伝セラレタル場合ト一般是亦取引ノ目的物自体二 関シ意思ト表示ト無自覚二不一致ヲ来シタル場合二準シ当該意思表示ヲ無効トスルヲ取引ノ実際的処理トシテ当レリ ト為ス畢意錯誤者ノ救済二外ナラス否独此場合ノミナラムヤ総シテ錯誤ノ規定一トシテ此法意二出テサルハ無シ這ハ 民法第九十五条但書ノ証明スルトコ揖ナリ若シ夫レ目的物自体二関スル錯誤ノ場合二準セラルル程ノ晶質上ノ差等ト 云フハ如何ナル度合ノ差等ヲ云フヤニ至リテハ其ノ時其ノ処二於ケル一般取引観念二訴フヘク固ヨリ一律不動ノ準純 ヲ設ケ得ル限リニアラス﹂と晶質の錯誤と動機の関係を述べ.この判例は﹁一万斤約十九円ヲ串テサル晶質粗悪ノ無 煙炭ナルニ於テ此鉱区ノ経営或ハ採算上損アリテ利無キトキハ則チ七千万斤多シト雛経済的ニハ挙ケテ無二等シ原審
東洋法学
四三契約内容と行為基礎 四四 確定ノ事実未タ俄に上告人ノ主張ト相容レスト断スヘカラス果シテ然ラハ上告人ノ本件鉱区二付キ予期セシトコ獄ノ 如何二依リテハ所謂法律行為ノ要素二錯誤アル場合二該当スルヤモ亦知ル可カラス之ヲ縁由ノ錯誤ナリト云ヒテ一蹴 ︵7︶ スルハ早計ナリ何者品質二関スル錯誤ハソレ自体常二縁由ノ錯誤二外ナラサレハナリ﹂とする。この事件は或る無煙 炭鉱区採掘権の売舞契約に於て.買主はこの鉱区は未だ採掘されず多量の無煙炭を埋蔵しておりしかも品質が極めて 良好で幽ると信じていたとごろ鉱区の実際は全くこれレ芸なり.ーし永年にわた稚採蝦瞭れていて.殆ど無煙炭が姓 存しておらず.さらに、その品質も粧めて粗悪であったので.売買契約に璽鰍の鈷誤があり無効であると主張したも のであ黛 本件について.原審の判断が鉱肖殊夏の普通の場合には晶質の如きは必しも饗諌となすと嚢、え得ずとしたのは.仮 令内容とせられてもかかる取引に於ては当事者は危険を習して売買するものなるが故に重要な内容と為し得ずという ︵8︶ 趣旨であり.これは取引の実際に適しているとして本判決を是認し得ずとする見方がある。 主観的と客観的とに行為基礎を分けることには、具体的場合に主観的とともに客留ω行為を欠くことになる場合が あり、この二つの要件が裳本的に同一の法律効果に至るという闘題が生ずる。主観的行為基礎と客観的行為基礎は法 律論上異った関係にあるごとがこの見解には重要である。主観的行為蓬礎は意思形成の過程に関係している。従って これは動機錯誤と意思欠歓の理論に隣接する。客観的行為基礎は契約欝的の到達にとり決定的である。この欠歓また ︵9︶ は脱落は特別の履行不能である。 民法上は意思の欠鋏の場合として心理留保虚偽表示と要素の錯誤の規定がある。取引上一般的に起りうるのは錯誤
に関するものである。錯誤の場合は法律行為の要素に錯誤のある場合にはその法律行為は無効となり︵張継九︶、要素 と通常は考えられない点に錯誤があっても、このような錯誤は法律上は考慮されないごとになる。 ︵憩︶ 法律行為の要素とは意思表示の内容の重要な部分に、表意者の真に意図したところとくい違いがあるときとか其の ︵U︶ 内容中の要部と解される。 不動産の売買契約に際して、代金支払方法として第三者が買主に対して負担する債務を売主が債務引受をし、これ を売買代金債務と相殺するとの趣旨で契約がなされたが、この債務の債権者は買主ではなかったという事情のあった ときは、この債務の弁済のために売買契約がなされたものであり、﹁本件契約の締結に当り被控訴人には要素の錯誤 ︵鴛︶ があったものというべく、本件売買契約は無効である旨の原判決は正当である﹂とする判例がある。法律行為に関し て錯誤の生ずる場合はその事情が複雑であり、錯誤そのものの内容も多様であるから明確な決定規準を構成すること ︵B︶ は困難であり.表意者相手方もしくは第三者の利害の比較衡量こそは、要素の錯誤の判定に当って最も真剣に考慮さ ︵難︶ れるべぎものとする見解がある。 売買契約が締結されても、その目的物が一定の有すべき晶質を欠くために、契約の目的の達せられない場合には担 保責任との関係を如何に解するかの問題が生ずる。判例は﹁売買ノ目的物二晶質上ノ毅疵アリテ、為メ豆恩思表示ノ 錯誤ヲ生ジタル場合ト難モ、当事者が特二一定ノ品質ヲ具有スルヲ以テ育要ナルモノトシテ意思ヲ表示シタルニ、其 ノ品質二堰疵アリ若クハ之ヲ欠除スル為メ契約ヲ為シタル目的ヲ達スルコト能ハザルトキハ法律行為ノ要素二錯誤ア ︵矩︶ ルモノニシテ民法九五条二依リ無効ナジトス﹂とする。これは一定の意思の表示があったとぎに要素の錯誤となると
東洋法学 四五
契約内容と行為基礎 四六 するものである。これに対し.売買の欝的物が通常有すべぎ性質又は売主が特別の性質を保証した場合にその性質を 欠くときは売主の担保責任が適用されるが.特別の性質を有すると買主が誤信した場合には錯誤によるべきであると ︵鯵︶ する説がある。さらにこの点については学説が分れている。 意思の欠鉄の他の一つである虚偽表示の場合であるが.仮装売買により不動産の移転登記がなされても当事者間は .,,, ︶、箒しかし第三者が善葱にこの不動産を取得すると民法九四条二項によ蔭概 される瀞さらに、この、 鮎禽に貿主より登記に必公な、繍類を預った者がこれを利用して自己に難いノ記をしてし煮ったときに.もしこの登記 を信頼Lて瓢の不勅バを玲締した第三☆があると、この不鷺江の売主は所有槍片善登瀦の艇、ー 一、・顧無過失の算三后 に主張でぎないことになる、このような携・合に判例は右の事情によりなされた ∼>無過 失の鎗三茜し対しデに任ずべきものといわなければならない。それは民法九四条二項.同法二〇条の法意に照ら ︵鷲︶ し、外観尊重および取引保護の要講に応ずるゆえんだからである﹂としている。 ︵i︶ ︵霧︶ ︵3︶ ︵墨︶ ︵5︶ ︵6︶ ︵7︶ ぐ鉱ぎ醜聯の叢瓢簿“賊芝R滞璽瀦鐵羅岡麟麟類鳥瞬箋ビ⇒o群践籍雛α鱗鍵pG 農魯蕪伽く韓難同欝諮 ぐo鮮薩㈹郡纂窯窪︶避避O磁撫 Q聖繍 大判.大六・二二一.民録 二三輯.二八贈頁 ぐQ欝霧翻ぐな無瓢⑪鐸鋳攣Oこ鉾伊⑰ ぐo騨嚢雛①鯨鐵①蔚鈴鉾O‘娠 農.ゆ① 掛島武宜、民法総則 二九四頁 大判.昭一〇二・二九.民集 一四巻、三号、一八九頁 お⑰箇も 職¢誘
︵8︶ ︵9︶ ︵鉛︶ ︵H︶ ︵⑫︶ ︵熔︶ ︵M︶ ︵絡︶ ︵16︶ ︵葺︶ 山中康雄、判例民事法 昭和一〇年度、五九頁 <o節R鴬 ごo葺窪。P鈴●鉾○‘o 慶。零 我妻栄、民法総則 二九九頁 鳩山秀夫、民法総則 一九九頁 最高判、昭四〇二〇・八、民集 一九巻、七号、一七一三頁 川島武宜、前掲 二八四頁 谷田貝三郎、民商法雑誌五四巻、五号、六九八頁 大判、大︸O・心二・︸五、罵録 二七巻、嚇二六〇頁 来栖三郎、契約法 一〇〇頁 最高判、昭四五・六・二、民集 二四巻、六号、四六五頁 東 洋法 学 四七