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スマートリゾートハンドブック

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Academic year: 2021

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全文

(1)

デジタル技術を活用し、

地域の生産性や持続性を高め、

高い国際競争力を持った地域を形成するための

(2)

はじめに p.1

スマートリゾートとは

1 スマートリゾートに取り組むべき背景 p.2

2 スマートリゾートとは p.8

スマートリゾートを実現する主なサービス・機能・技術

1 スマートリゾートを実現する主なサービス・機能 p.11

2 スマートリゾートを実現するデジタル技術 p.43

スマートリゾートを実現するプラットフォーム p.55

スマートリゾートの戦略策定 p.66

地域でスマートリゾートを推進するポイント p.107

1

2

3

4

5

6

目次

(3)

 本書は、経済産業省が実施した「令和元年度 ローカル クールジャパン推進事業 (消費促進環境整備調査等事業)」 で行った調査およびモデル地域でのスマートリゾート戦略策 定を踏まえ、デジタル技術を活用し、訪日客の誘客や消費促 進を図るとともに、地域の生産性や持続性を高め、高い国際 競争力を持った観光産業を生業とする地域づくりをするため に参考となる、または活用していただける情報をまとめました。

はじめに

1

本書の目的

 本書ではデジタル技術を活用し、地域への誘客拡大、滞 在長期化や消費促進を目指すと共に、住民・行政組織や事 業者、地域環境・文化といった各主体に価値をもたらすこと を目指し、モデル地域(会津若松市、鎌倉市)で戦略策定に 取り組んだ様子を紹介しています。

デジタル技術を活用した地域づくりに関心のある方に

 人材不足や混雑などの諸課題の解決にあたって、デジタル 技術の活用は有効な手法のひとつです。本書では諸課題の 解決のためにデジタル技術を活用した事例を紹介しています。

人材不足や混雑などの諸課題を解決したい方に

 デジタル化の必要性を感じていても、具体的にどこから手 をつけたらいいのかわからない場合も多いのではないでしょ うか?本書では、スマートリゾートを推進する様々なサービ スや技術について国内外の先進事例を紹介しながら解説し ています。

業務や事業にデジタル技術を活用したい方に

本書の使い方

(4)

スマートリゾートに取り組むべき背景

2

1

各地域が

その地ならではの魅力的な地域資源を活かし、

地域コミュニティと訪れる人との

『繋がりの深化・多様化』を促進する交流の形を形成し、

訪れる人の地域への愛着の醸成を図る。

地域社会担い手(働き手)の減少による

地域経済規模の縮小

地域が直面する課題『人口減少』への対処

地域が直面する課題

 地域が直面する「人口減少」という課題に対しては、各地がその地域ならではの魅力を活かし、訪れる人の地域に対する愛着 醸成を促す取組みが求められます。 まち機能の低下し、買い物・医療などの

生活基盤が脆弱化

消滅可能都市化

(約5割の地域)

※2040年に若年女性人口が現状の5割以下に減少

地域の無居住化

(約2割の地域)

◉イノベーションの促進

◉人材の獲得育成

◉地域経済の

 活性化

魅力発信・多様な受入れ

地域の維持に求められること

将来にわたって『活力ある地域社会』の実現のために

関係人口の創出・拡大

(何度も訪れたくなる魅力的な地域づくり)が、

より重要な意味を持つ

そのためには

若者の流出・少子高齢化等に伴う

地域社会の消滅の危機!

人口減少

地域へ愛着・関係人口化

訪問者(Visitor) 地域住民(Community)

(5)

※1:各世代については様々な定義があるが、ここでは米国のPew Research Centerの定義

(https://www.pewresearch.org/fact-tank/2019/01/17/where-millennials-end-and-generation-z-begins/)をベースに、 ジェネレーションZ以降の世代をアルファ世代としている。

データ出所:United Nations 「World Population Prospects 2019」をもとに作成

 ミレニアル世代(1981-1996年生まれ)※1、ジェネレーションZ (1997-2012年生まれ)※1は小さな頃からインターネットやパ ソコン、携帯電話のある生活環境で育ち、デジタルデバイスを日常的に使いこなす、いわゆる「デジタルネイティブ」とよばれる 世代です。  2030年までにはデジタルネイティブが旅行市場で最大のシェアを占めるようになるため、地域としてデジタルネイティブの ニーズに応えていく準備を今から進めていくことが重要です。

これからの旅行市場の主役となる「デジタルネイティブ」への対応

デジタルネイティブの価値観によって変わるサービスのあり方

所有からシェアへの意識変化 デジタルネイティブ 団体行動となる 観光バスは利用したくない 時間の読めない  路線バスも使いたくはない でも、自由自在に動きたいし 人が行かないところに行きたい 運転技術の低下 運転免許取得率の低下 レンタカー主体の二次交通サービスの限界

20

(億人) 0-9歳

15

10

5

0

10-24歳 25-39歳 40-54歳 55-74歳 75-89歳 90歳∼ アルファ世代 2013年以降生まれ ジェネレーションZ 1997-2012年生まれ ミレニアル世代 1981-1996年生まれ ジェネレーションX 1965-1980年生まれ ベビーブーマー 1946-1964年生まれ サイレント世代 1928-1945年生まれ 2019年時点の年齢

(6)

∼80歳 ∼100歳

Seeing

昭和観光 観光名所を見に行く、 目に見える景色を楽しむ時代 High Low 生活文化への入り込み度 会社勤め ボランティア 組織に雇われない働き方 留学 探検

長寿化 

『人生100年時代』でマルチステージの人生へ

観光ハードルの低下 

世界の年間旅行数=2兆回に

観光ニーズの変化

 人生100年代時におけるライフステージ多様化の必然性の増大や観光ハードルの低下等に伴い、人々の訪れる土地に求める ニーズ(観光ニーズ)が、ユニークの人生設計を促すための“よりリアルな異日常体験”に向かうと予測されています。

『人生100年時代』に伴う観光ニーズの変化

Doing

平成観光 観光スポットに加え、 「そこで何ができるか」を 重要視する時代

Being

令和観光

現地での交流、体験、偶発的な

発見・学びなどを楽しむ時代

長寿化する人生に求めるもの

仕事・生き方の幅が広がるなか、 また、それを織りなすピース(学び・繋がり・場所等)を 得るための行動がより重要に。

“100年間生きる”ことを前提とした

ユニークな人生設計の必要性

が増大。 自己対話、自己実現・学び、繋がりを求め、人々は旅する。 から学び、自己対話のプロセスで昇華し、

訪れた地でしか味わえない“驚き”、

そこならではの“ライフスタイル”、

“よりリアルな異日常体験”

訪れる土地に求めるもの

教育 仕事 引退後 教育 引退

1

兆回

2015年

2

兆回

2030年 主体性

(7)

既存の観光まちづくりのあり方

今後求められる観光まちづくりのあり方

新たな観光ニーズを満たす『新産業創生』の必要性

 『観光スポットでの景色等を楽しむ』従来型の観光スタイルを支える一部の事業者による断片的なサービス提供から、地域 住民等も含む多様なプレイヤーの連携により、Visitor体験に立った“面としてのサービス提供”がより重要に。 物流 交通 シェアリング サービス サービス業 (遠隔教育、決済、美容) 学校教育機関 行政機関 病院 市民 小売・卸業 (地元商店) 農業 製造業

新たな産業

観光産業

旅行業(旅行代理店等) 宿泊業(観光ホテル・旅館等) 運輸業(航空・バス会社等) 名産品・土産製造業 観光施設 神社仏閣 飲食業

サービスが個別的提供・非効率

連携による新たな提供価値

事業者・サービス切りでの

断片的なサービス提供

“面“としてのサービス提供

ユーザ体験に立脚した ホテル・観光 チケット 交通機関 小売・サービス  いわゆる、『観光スポットに行き見える景色  ユーザの一連の滞在体験を充実・向上を サービス例 生活する 滞在する 癒される 移動する 体験する

プレーヤーが多様化

オンラインで作成し た旅行プランに基づ き複数の移動手段

観光産業

旅行業(旅行代理店等) 宿泊業(観光ホテル・旅館等) 運輸業(航空・バス会社等) 名産品・土産製造業 観光施設 神社仏閣 飲食業

(8)

デジタル技術の進化への対応

 近年、IT技術は大きく進化しています。特に通信速度の向上とスマートフォンの登場によって人々の行動や生活は大きく変化 しました。  2020年には日本国内で最新の通信規格5G(第5世代)の商用サービスが開始します。5Gが普及するに伴い、自動運転やIoT 等のサービスもますます進化し、IT化の流れはさらに加速します。 また、世界では技術の進化に伴い、様々な分野でIT化が進み つつあります。そのため、2030年に向けて国際的なリゾートとして競争力を高めるためには、IT化に今から取り組んでいくこと が非常に重要となります。

デジタル技術の進化に伴い様々なサービスが実用化する/近づく

1980 1990 2000 2010 2020 2030 通信速度

1G∼2G

電話を家の外に持ち出せる 短い文字の送受信が可能に

3G

メールやネット利用、 画像の送受信が可能に

4G

動画視聴が可能に 音楽、買い物も すべてスマホで

5G

自動運転やIoT等が進化

自動運転

ドローン配送

IoTの発展

スマートグラス

ロボット

(9)

人材不足や業務効率化など諸課題の解決に役立つ

 宿泊業や観光関連業等のサービス産業は他の産業と比較して生産性の低さや従業員給与の水準の低さが課題となっています。  経済産業省「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」(2015年)では生産性向上のために、付加価値の向 上および効率の向上の手法としてIT利活用を挙げています。IT技術の活用により従業員の業務時間の短縮や、省人化を図るこ とでスタッフに時間の余裕がうまれ、接客や複雑な業務に集中することができます。

データに基づいた戦略策定、マーケティングの重要性

 IT技術の進化によって、地域や旅行者にまつわ る様々なデータを収集・分析することが可能になり ました。また、旅行者のニーズや旅行スタイルは 年々変化しており、これまでの勘や経験に基づい た対応では限界が生じています。  これから、地域が生産性や持続性を高め、国際 的な競争力を培うためには、地域として必要なデー タを収集し、データに基づいた戦略策定、マーケ ティングを行っていくことが重要となります。

(10)

スマートリゾートとは

2

2

これからの新たな観光戦略「スマートリゾート」

データ分析による混雑緩和と利便性向上

収集データからリアルタイムの混雑・渋滞情報、観光客流動量 を把握し、混雑回避ルート等の案内により全域の混雑率平準 化を実現。また過疎地域における公共交通の利便性向上を担保。

住民目線での情報発信

訪問客を“一時滞在するよそ者”ではなく、共に街を守る仲間と して認識し、住人目線の「伝えたい」「知ってほしい」をオンライ ンで発信。

住民のQOLの向上

デジタル技術を活用し、 住民と訪れる方の双方にとっての “住みよさ”と“長期的な共生環境”を実現。 それを下支えする財政基盤・ 組織体を形成。 Community

住民・行政組織

自己実現&制約からの解放

ライフステージ多様化の必然性が高まる 「人生100年時代」に生きる世代の、 強い『学び』や『自己実現』への追求欲や、 『その地でしか味わえない リアルで本物な体験ニーズ』を 満たす。 Visitor

訪問者

手のひらで広がる発見・学び

街歩き中、“今・ここに来たからこそ”出会える「ご当地情報」を アプリで受信。こうした偶然な発見やリアルな体験を自己対話 の機会に。 偶然と出会う

オーダーメイドな旅&シームレスな事前手配

旅先で満たしたいニーズや自分好みにパーソナライズされた滞 在プランが画面表示され、承認ボタン一つで到着前に予約・支 払い完結。 プランをたてる

カバン一つで始めるマルチハビテーション

事前にアプリ上で部屋タイプ・インテリア、車や自転車のレンタ ルなどを好みに合わせ選択・予約し、到着後は生体認証等でセ ルフチェックイン。滞在中はキャッシュレスで生活。また他言語 翻訳によりコミュニケーションもストレスフリー。 滞在を始める デジタル技術を活用し、

これからの人々のニーズ(学びや現地での本物体験への追求等)を満たす

サービス提供

により、

地域への誘客拡大、滞在長期化や消費促進

及びそれによる地域の各主体 (住民、行政組織や事業者、地域環境・文化等)の

持続的な価値獲得や創出

を目指す。

当地ならではの特別なリトリート

日常から離れたリラックスした環境に身を置き、気分に合わせ て精進料理や座禅等、その他のDeepな文化体験をオンライン で予約。心身を整え、自分を見つめ直す時間を楽しむ。 癒される

(11)

デジタルネイティブ世代の

デジタル技術の活用により、ストレスフリーに地域に溶け

込む

人生100年時代における

サステナブルなスマートリゾート

データ活用による顧客体験・消費活動の促進

県・市町村

国(観光庁JNTO等)

観光協会

購買情報

旅行会社

宿泊施設等サイト

観光情報サイト

ブログ

SNS

ウェブ

広告

旅ナカ

旅マエ

旅アト

観光客の旅行動線や消費行動データを活用し、地域及び関連 事業者の生産性向上や消費促進施策に活用。

共通デジタルPFの構築

観光・滞在関連ビジネスをシームレスに提供するためのサービ 【仲間として貢献する】

自分の得意と現地のニーズをマッチング

充実した滞在経験者だから気づく、伝えたいその地の魅力をアンバサダーと して発信。融和剤として、地域コミュニティや訪問したい方とを繋ぎ、地域視 点から貢献する喜びを通じ、“仲間感”の醸成や自分の生きがいを再発見。

文化・環境の保護

◉ SDGsへの積極的な関与 ◉ 地域文化認知度の底上げ・継承 ◉ Co2排出量の削減及び 自然環境の保護 Environment

環境や文化

Co-working Spaceの充実

高速Wi-Fiを完備した遠隔地のコワーキン グスペースをアプリで簡単に検索・予約。 自分のスタイルに合わせた休暇と仕事の バランスを実現。 日常を離れて働く

ゲーム感覚で未知へのExplore

モバイルアプリを通じ、ゲーム感覚で各地 を転々としながら、その地のDeepな魅力 を発掘していく。 探求を続ける

顧客体験を軸にした新産業の創出

縦割りだった組織・事業者の壁を越えた エコシステムを形成し、 一貫したパーソナライズな 旅行・滞在体験の提供に加え、 新産業創出による Industry

事業者

収集

連携

活用

解析

【生活する】

行政・地域の情報へアクセス

安心な滞在体験を支える行政・防災やイベ ント情報を多言語で地元住民と同じ目線 で受信。気軽なAIチャットボットへの問合 せで不安を解消。

(12)

スマートリゾートでなにがどう変わるの?

 スマートリゾートを推進することで訪問者、事業者、住民・行政組織、環境・文化の諸課題を解決し、それぞれの価値を向上さ せることで地域を活性化し、競争力を高めます。 Visitor

滞在における不便や手間を減らし、

滞在経験をより快適で満足感の高いものにします

→チャットボットによるリアルタイムな情報の提供 →人気観光施設の混雑解消による快適な滞在経験の享受

訪問者の好みや気分に合わせたサービスを

提供することで訪問経験をよりよいものにします

→個人の好みや気分に合わせた滞在プランの提案 Industry

データに基づいたマーケティングにより

稼ぐ力を向上します

→多様なデータの利活用により、単一事業者や  統計手法では捕捉できなかった潜在ニーズの可視化

業務の効率化や省人化を図り生産性を高めます

→セルフチェックイン機やロボットを活用した省人化 →AIやIoTを活用した業務効率化 Community

観光による諸課題の解決や利便性の向上により

住民の満足度を高めます

→パーク&ライドやロードプライシングによる渋滞解消 →観光客の誘導による混雑の回避 →騒音モニタリングなどによる観光公害の解消 →オンデマンドバスや自動運転車などによる二次交通の改善

地域の価値を高め、地域を活性化します

→消費単価増による地域経済活性化 →税収の増加 Environment

訪問者

事業者

住民・行政

環境・文化

有害物質や水質、騒音などをモニタリングし、

環境や文化資源を保全します

→悪影響を与える要素が基準値を超えた際の  入場規制等の実施

適切な情報提供により

環境や文化への理解を高めます

→解説アプリや端末による自然や文化財についての  情報提供

(13)

Smar t Resor t

スマートリゾートを実現する

主なサービス・機能

観光地公式ホームページ(インタラクティブ・参加型)

観光地公式モバイルアプリ

旅行先推奨サービス・ツアープランナー

チャットボット

電子チケット・生体認証チケット

デジタルサイネージ・案内表示

観光案内ガイド

スマートカード・スマートデバイス

電子決済(キャッシュレス)

混雑予測・コントロール

環境モニタリング

スマートパーキング

スマート交通システム

小型電動モビリティ

スマートホテル

P.

12

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14

P.

16

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18

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38

P.

40

スマートリゾートを実現する主なサービス・機能・技術

3

1

(14)

 観光地の公式ホームページは、多くの 観光客が、一番最初にその地域の情報 を得るために利用する情報源となりま す。従来の観光地のホームページは、行 政あるいはDMO・観光協会が一方的に 情報を提供する場でしたが、実際に利用 してもらい、消費額向上などのアウトプッ トにつなげるためには、アップデートが 必要となります。

観光地公式ホームページ

(インタラクティブ・参加型)

AI ビッグデータ

導入すると何が変わるの?

自分の好みや気分にあったコンテンツに出会えます

例えば… 関連するデジタル技術 for Visitors

◉ 旅行者側の情報に合わせて表示内容を変化させるインタラクティブなページ

◉ 地元の事業者が体験コンテンツの予約・販売サイトとして利用できる参加型のページ

アップデート例

サービスの概要

一般的なアクティビティサイトで売っているような一律の観光商品ではなく、より自分の好みや気分に適合し た観光商品を購入することができます。

より多くの旅行客にリーチできます

for Industries 個別の事業者では訴求できない旅行客に対して効率よく情報を発信することができ、予約・販売のチャネルが 広がります。

(行政・DMO)旅行者のデータを取得できます

観光商品の予約・購入データを解析することで、どのような観光資源にどのような人が関心を持っているのか ということを知ることができ、データに基づくブランディング・マーケティングにつながります。

地域ならではのコンテンツに出会えます

ローカルな魅力が詰まった、地元の人しか知らないような特別な体験を楽しむことができます。 訪問者 訪問者 訪問者 訪問者 事業者 事業者 事業者 事業者

(15)

 フランスの都市リヨンは、世界遺産の街並みやガストロノ ミー文化、ワイン産地などとして有名で、多くの中小事業者が、 様々なテーマのガイドツアーを展開しています。  事業者の多くはリヨン観光局の会員であり、観光局のホー ムページ上でツアーの予約が可能です。観光局のホームペー ジに掲載する情報は、事業者が編集・更新することができます。  ホームページは、ツアーテーマごとの検索や、対応可能言 語、価格、レビューの数などが一覧で比較できるように工夫 されています。

 また、OTA(Online Travel Agent)サイトに移動すること なく、予約、販売まで観光局のサイト内で完結できるため、 以前はOTAに流れていた顧客データや、単体の事業者ごと に蓄積されていたデータを、観光局が把握できるようになり ました。データの分析結果は定期的に事業者へフィードバッ クされています。 スマートリゾートを実現する主なサービス・機能

フランス・リヨン観光局

1

事例  一般社団法人豊岡観光イノベーションが運営している外 国人旅行者向けサイト「VISIT KINOSAKI」は、地域の魅力 を一方的に発信するだけの従来の観光協会のHPの枠を超 え、アクティビティの予約、宿泊施設の予約までを一貫して 行うことができます。  また、ホームページを利用した外国人旅行者のデータを独 自に分析しており、その結果、一定の割合が日本に到着して から豊岡の宿を予約していることがわかりました。この理由 について、京都や大阪などのゴールデンルートを拠点にしつ つも、旅行中に豊岡のことを知り、足を延ばしている旅行客 がいるためだと考えました。そこで、京都や大阪での広告・宣 伝に力を入れるという戦略に結び付きました。

一般社団法人豊岡観光イノベーション

2

事例 https://en.visiterlyon.com/visites-guidees.html?_ga=2.70825104.161743577.1583895435-408524306.1580879263

(16)

CITY

CARD

長期滞在型・リピーターが多い場合

例)滞在が一週間ほど見込まれる 観光客が多いリゾート

アプリ自体の魅力とは別の理由で

ダウンロードがほぼ必須になる場合

例)シティーカードがアプリでしか 使えない観光地  情報を提供し、観光地での滞在をサ ポートするアプリとなります。一般的に アプリをダウンロードさせるのはハード ルが高く、むやみにアプリ開発をするこ とはお勧めできません。一方で、アプリ をダウンロードさせることで可能となる サービスの幅は広く、取得できるデータ も多いため、メリットも大きいです。  以下の条件に当てはまる地域では、ダ ウンロード率が高い可能性があるので、 公式モバイルアプリの導入を検討しても よいかもしれません。

観光地公式モバイルアプリ

5G Wi-Fi6 位置情報 AI ビッグデータ

導入すると何が変わるの?

地域特性に合ったサービスを受けられます

例えば… 関連するデジタル技術 for Visitors

サービスの概要

地域特有の交通機関情報(時刻表やルート)や旅行者向けの特典サービス、旅行者向けの災害対応サービス 等をひとつのアプリで受け取ることができます。

近くにいる旅行者にリアルタイムに適切な情報を送れます

for Industries 位置情報を利用し、アプリ内で登録された旅行者の属性情報とあわせることで、リアルタイムにターゲットを 絞った情報発信やオンラインクーポンの提供をすることができます。

旅行者の動きを細かに知ることができます

アンケートなどでとれる特定地点での静的データのみでなく、「どのような場所で」「どのような行動をしたの か」という動態データを得ることができます。 訪問者 訪問者 訪問者 訪問者 事業者 事業者 事業者 事業者

(17)

 コペンハーゲンでは、シティカード「コペンハーゲンカー ド」をデジタル化し、アプリとして提供しています。アプリ内 で周遊パスを購入するとQRコード®が生成され、その画面を 見せることで、域内の交通や美術館の入館が無料になりま す。また、主要なアトラクションやレストランの営業時間につ いて、アプリから最新情報を手に入れることができます。さ らに、オフラインで使えるマップをアプリ上で提供しています。  従来の紙やカードによるパスは、事前予約をしていても、 空港や市街地にある観光案内所に立ち寄り、アクティベート する必要がありました。しかしアプリであれば、個人のデバイ ス上でアクティベートが可能になることから、空港に着いた 瞬間から周遊パスの特典を利用することができます。

観光客向けシティカードアプリ

(デンマーク・コペンハーゲン)

1

事例  米国オーランドにあるウォルト・ディズニー・ワールド・リ ゾートでは、公式ホームページやアプリでアカウントを作成す ると、パークチケット、アトラクションの優先入場券、ホテル、 レストラン等の予約をアプリ上で管理することができます。  また、各種の予約情報がアカウントに紐づけられているた め、それを元にその日のスケジュールが自動的に組み立てら れていき、アプリ上で確認することができます。さらに、家族 や友人など、同行者のアカウントを登録できるため、代表者 1人が予約すると、同行者のスケジュールにも自動的に反映 されるようになっています。  予約情報以外にも、パーク内の経路検索やアトラクション の現在の待ち時間、パーク内で撮られた写真など、旅行に必 要な様々な情報をアプリ内で管理することができます。

テーマパークアプリ

(米国・ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート)

2

事例 スマートリゾートを実現する主なサービス・機能 https://apps.apple.com/us/app/copenhagen-card-city-guide/id1451195155?ls=1 ※「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

(18)

 行きたい観光スポットや予算、日程な どを入力することで、いくつかのツアー 案を自動的に生成するサービスです。  将来的には、入力された情報だけで はなく、日常のSNS投稿や消費行動を 踏まえた体験や、各事業者のスケジュー ルに合わせたツアー案をお勧めしてくれ ることが期待されています。

旅行先推奨サービス・ツアープランナー

位置情報 AI ビッグデータ

導入すると何が変わるの?

思わぬ観光スポットに出会うことができます

例えば… 関連するデジタル技術 for Visitors

サービスの概要

将来的には、日常のSNS投稿から、好きなものを抽出してくれるので、意識していない観光スポットに出会うこ とができます。

事業者の売上アップとなります

for Industries 事業者の繁忙期やピークタイム等の情報と合わせると、空いている時間に誘客が可能になります。

混雑していない場所に誘導することができます

for Community その時点の混雑情報をもとに、観光客をより混雑の少ない場所に誘導し、地域への悪影響を緩和することが できます。

調べる手間を省きます

観光スポット間の移動手段等(乗り換え案内等)、自分で調べる手間を省くことができます。

パーソナライズされたツアーを楽しめます

画一的なツアー商品ではなく、各自の趣味嗜好やスケジュールに合わせた体験を楽しむことができます。 訪問者 訪問者 訪問者 訪問者 事業者 事業者 事業者 事業者 住民・行政 住民・行政 住民・行政 住民・行政

(19)

  セントーサ開 発 公社( S e n t o s a D e v e l o p m e n t Corporation)は、旅行者が交通やアトラクションのリアル タイムの運行状況がわからず、適切な旅程を立てられていな いことや、個人の属性や嗜好を考慮した情報提供ができて いないことに課題を感じていました。  そこで、政府観光局が提供している旅程作成ソフトを活用 し、セントーサ島観光アプリ「My Sentosa」の機能として、 ツアープランナーを提供しています。希望の日時や予算を設 定した上で、旅行のテーマ、行きたいレストランなどをいくつ かチェックすると、施設の営業時間や、施設間の移動時間を 考慮して1日の最適なプランが提案されます。プランは、アプ リ内の地図上に保存し、確認することができます。

ツアープランナー

(シンガポール・セントーサ島)

1

事例  アムステルダム市のブランディングやマーケティングを担 当するNPO団体「amsterdam & partners」は、AIチャット ボット「Goochem Chatbot」を提供しています。  初めに、「音楽 or イベント」や「美術館 or 演劇」など、旅 行者の興味・関心に関する11の質問に答えると、AIがお勧め のイベントや観光スポットを提案します。  旅行者は、有名な観光スポットだけでなく、郊外で行われ ているコンサートや期間限定の展示会など、普段は見逃して しまう情報に出会うことができます。また、事業者は、一部の 有名美術館だけが混雑する状況を避け、小規模な観光施設 であっても、効果的に人を呼び込むことができるようになり ます。  サービスを始めた当初は機械学習の精度が低かったもの の、多くの人の回答とフィードバックをインプットしていくこ とで、精度が上がってきています。

旅行先推奨チャットボット

(オランダ・アムステルダム)

2

事例 スマートリゾートを実現する主なサービス・機能 https://www.imda.gov.sg/-/media/imda/files/industry-development/startups/1-challenge-industry-briefing-slides.pdf?la=en

(20)

 チャットボットは人間に代わってコン ピューターが問い合わせなどに対応する コミュニケーションツールです。  現在はあらかじめ決められたシナリ オやパターンに沿って返答するチャット ボットが主流ですが、AIが発展すると会 話内容を自動で学習してより適切な回 答を返すことができるようになると期待 されています。

チャットボット

AI ビッグデータ

導入すると何が変わるの?

例えば… 関連するデジタル技術 for Visitors

サービスの概要

業務効率化が図れます

for Industries 簡単な質問をチャットボットに任せることで、スタッフは複雑な質問に集中して対応することが可能になること から、スタッフ数の削減や対応時間の削減に結びつきます。

顧客満足度の向上につながります

顧客を待たせることなく、いつでも正確な回答を提供することが可能になることから、顧客の評価を高めること につながります。

会話ログからユーザーの傾向を知ることができます

会話ログをデータとして収集・蓄積すると、回答内容を改善できるほか、ユーザーの傾向を知ることができ、 マーケティングに活かすことが可能になります。

24時間365日、知りたい情報をすぐに知ることができます

知りたい時に、その場ですぐに必要な情報を得ることができます。

気軽に問い合わせすることができます

やり取りが速く、ちょっとしたことでも質問できるため、気軽に利用できます。 訪問者 訪問者 訪問者 訪問者 事業者 事業者 事業者 事業者

(21)

 米国のベイルリゾートが提供しているチャットボット 「EMMA」は、スキー場の様々な情報を提供するチャットボッ トです。  FacebookのメッセンジャーからEMMAに質問をすると、 積雪情報やコースの圧雪状況、リフトの待ち時間などをリア ルタイムで知らせてくれます。また、スキー場内の情報だけで なく周辺エリアの情報も提供しており、お勧めレストラン、ス キースクール、レンタルショップについても教えてくれます。  既に広く浸透しているFacebookのメッセンジャー機能を 使っているため、旅行者が新たにアプリをインストールする 手間がありません。

スキー場のチャットボット

(米国・ベイルリゾート)

1

事例  ルフトハンザドイツ航空では、フライトの運行状況や各種 サービスなどの問い合わせを、チャットボットで24時間365 日対応可能にしています。  例えば手荷物の規定など、一般的な質問に答えるだけでな く、搭乗予定のフライトを登録すると、リアルタイムの運航 状況、ゲートの変更、チェックイン時間をリマインドしてくれ ます。また、オンラインチェックインもチャット形式で行うこ とができます。  さらに、乗り継ぎ便に間に合わなかった際の予約変更手 続きや、手荷物紛失時の対応などにも、チャットボットが対 応します。  チャットボットによって問題が解決しなかった場合は、 サービスセンターに転送され、スタッフによるライブチャット に切り替わります。チャットボットが一定レベルまでの質問 に対応できるようになることで、オペレーターを、複雑な対応

航空会社のチャットボット

(ルフトハンザドイツ航空)

2

事例 スマートリゾートを実現する主なサービス・機能

(22)

TICKET

TICKET

TICKET

 紙のチケットをQRコード®等にデジ タル化したり、顔認証などの生体認証 によって代替したもの。電子チケットは、 メールやアプリで取得でき、来場時には プリントアウトした紙か、携帯電話の画 面を表示することで入場できます。また、 生体認証チケットの場合は、チケットを 一切持たずに、入場することが可能にな ります。

電子チケット・生体認証チケット

生体認証

導入すると何が変わるの?

例えば… 関連するデジタル技術

サービスの概要

チケットの不正利用を防げます

for Industries for Visitors チケットを電子化や生体認証によって代替することで、複数人での使い回しを防止できます。

(電子チケット)手軽に家族や友人にチケットを共有できます

QRコードなどをメールやチャットツールで送ればよいので、紙のチケットに比べて簡単にチケットの共有が可 能になります。

発券する手間がなくなり、

行列や混雑が少ない快適な体験が得られます

プリントアウトやコンビニエンスストア等での発券が不要になり、スマートフォンだけで予約から入場までの手 続きが行えます。窓口に並ぶ時間が短くなるほか、会場内は過度に混雑せず快適な滞在が楽しめます。 訪問者 訪問者 訪問者 訪問者 事業者 事業者 事業者 事業者

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 株式会社ウェブインパクトの提供する「Quick Gate™」は、スキーリフト券の購入から発券までを自動化するシステムです。  スキー場のホームページからクレジットカード決済でリフト券を予約すると、予約した人数分のQRコード®がメールで送られ てきます。送られてきたQRコード®を当日持ってスキー場に直接行き、スキー場内にある発券機「Quick Gate™」にかざすと、 リフト券が発券されます。QRコード®は1人に1つ発行されるため、事前に家族や友人に送っておけば、スキー場で現地合流す ることができます。スキー場としては、自動発券機を設置することで、リフト券売り場の混雑の解消や省人化が図れます。

リフト券の自動発券機

(株式会社ウェブインパクト)

1

事例 スマートリゾートを実現する主なサービス・機能  富士急ハイランドでは2018年に入場口やアトラクション の乗り場に顔認証ゲートを導入しました。導入前はフリーパ ス利用者はアトラクションに乗るたびに紙のチケットを提示 する必要がありましたが、導入後は顔認証のみで搭乗できる ため、利用者からは便利になったとの声が聞かれるようにな りました。  また、従来は各アトラクションで利用者がフリーパスを提 示し、スタッフが確認していましたが、その作業がなくなるこ とで、一日の運行回数を増やし、より多くのお客様に楽しん でいただけるようになりました。

顔認証による施設入場及びアトラクション搭乗

(富士急ハイランド)

2

事例

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導入すると何が変わるの?

自分の属性にあった情報の提供を受けることができます

例えば… for Visitors 顔認証を用いて性別や年代が推定され、パーソナライズされた情報提供を受けることができます。

旅行者に対して、リアルタイムでの情報提供ができます

for Industries 実際に観光地にいる旅行者に対して、リアルタイムに訴求することができます。

より丁寧なターゲティングが可能となります

時間帯や季節等を限定させて情報案内できるので、より最適なターゲットに情報提供することができます。

最新情報を即時に提供できます

for Community API等でホームページとつなげることで、常に最新情報を提供したり、動画媒体での情報を提供することがで きます。  観光地のデジタルサイネージとは、従 来の紙ポスター等に代えて、液晶ディス プレイに観光スポットの案内や現地の 交通情報を載せたものとなります。  現状は、一方的な情報発信手段とし て活用されているケースが大多数です が、やがてデジタルサイネージの前に立 つ旅行者の属性に合わせて内容が変化 するタイプが普及していくことが期待さ れています。

デジタルサイネージ・案内表示

IoT 生体認証

関連するデジタル技術

サービスの概要

訪問者 訪問者 訪問者 訪問者 事業者 事業者 事業者 事業者 住民・行政 住民・行政 住民・行政 住民・行政

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回転するデジタル案内標識

(フランス・リヨン)

1

事例  和歌山県の南紀白浜空港では、顔認証技術を用いたデジ タルサイネージが導入されています。  事前に顔写真を登録しておくと、空港に到着した際、ロ ビー正面にあるデジタルサイネージに顔が認識され、「ようこ そ○○さん」と旅行者の名前が表示されます。また、顔認証 の情報から、プロファイルに基づいた観光案内情報や広告 が表示されます。  顔認証システムは、市内のいくつかの観光スポットでも導 入されており、ホテルのチェックイン、施設の入場などにも活 用されています。また、顔写真と共にクレジットカード情報を 登録することもでき、土産物店での決済時などにも顔認証が 使われています。  フランスのリヨン市内の一部エリアでは、回転するデジタ ル案内標識が各所に設置されています。標識は矢印の形を しており、示す先にある観光施設までの交通手段と所用時 間や、付近で開催されているイベント情報などを表示してい ます。標識は360度回転し、矢印の向きに伴って、表示される 内容も変化します。  表示する情報はネットワーク経由でリモートで更新するこ とができます。また、将来的にはオープンデータの活用を拡 大し、例えば付近のシェアサイクルの空き情報や、最寄り駅 の電車の運行状況をリアルタイムで提供することが期待され ます。

顔認証観光案内板

(南紀白浜)

2

事例 スマートリゾートを実現する主なサービス・機能

ようこそ

○○○○さん

https://www.igirouette.com/case-study/lyon-city-center-a-test-site-for-igirouette-and-smart-city-uses-2/

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 旅行ガイドシステムはこれまではオー ディオガイドが主流でしたが、最近では タブレットやスマートフォンアプリでの 提供が増えています。  位置情報を用いて現在いる場所の解 説や周辺情報に関する情報発信、ARや VR等のデジタル技術を活用して普段は 見られない場所や文化財の当時の姿を 映像で見せることができるなど、多様な 情報提供が可能となります。

観光案内ガイド

5G Wi-Fi6 位置情報 AR・VR

導入すると何が変わるの?

地域の魅力を知る手助けとなり、旅行体験が豊かになります

例えば… 関連するデジタル技術 for Visitors

サービスの概要

隠れた地域の魅力の情報を提供し、旅行者に発見や感動を与えることができます。

回遊性を高め、滞在時間を伸ばすことにつながります

for Industries ガイドブックに載っていない場所やあまり知られていない場所の情報提供することで回遊性を高めます。

地域での消費を促すことができます

現在いる場所の周辺の飲食店やショップの案内やオンラインクーポンの提供等で旅行者の消費を促します。

環境や文化に対する理解を深めることができます

for Environment 自然環境や文化資源についての解説を提供することで旅行者の理解を深めることができるほか、利用にあたっ ての注意事項やマナーを伝えることで、保護に結びつけることができます。

デジタル技術を用いると、復元前の姿や非公開の場所などを

体験することができます

ARやVRを活用すると、歴史的建造物の当時の姿や、非公開の場所や文化財を映像で体験することができます。 訪問者 訪問者 訪問者 訪問者 事業者 事業者 事業者 事業者 環境・文化 環境・文化 環境・文化 環境・文化

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 中国の寧波市にある山と水に囲まれた観光地である寧海 では、寧海の魅力が水と山だけでないことを知ってもらうた めに、アプリ「寧海智慧旅游」で、温泉や歴史的な建造物な ど様々な観光地を紹介しています。  映像は360度の水平・垂直パノラマで、利用者が見たい方 向を操作して見ることができます。また、空からの映像も提 供しており、実際には見ることのできない風景を見ることを 可能にしています。

720度の観光地紹介アプリ

(中国・寧海)

1

事例  世界遺産になっている中国杭州の西湖では、住民や利用 者が投稿できる音声ガイドアプリが活用されています。  旅行者は、敷地内の観光掲示板に張られているQRコード を アプリで読み取ることで、その観光スポットの音声ガイドを 聞くことができます。  観光スポットの音声ガイドは一部公式で作られたものが ありますが、それ以外は住民や利用者が投稿できるように なっております。  また、これらの投稿された音声ガイドについては、投稿者 が金額を設定し、利用者が購入すると投稿者は一定割合の 報酬を受け取ることができる仕組みとなっています。

住民投稿型の音声ガイドアプリ

(中国・杭州)

2

事例 スマートリゾートを実現する主なサービス・機能 ®

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旅行経験の価値が高まります

アプリやホームページと連携すると、活動記録や撮影された写真を見ることができるなど、旅行の思い出が豊 かになります。

チケット、予約情報、決済手段等が

ひとつのカード・デバイスに集約され、利便性が向上します

チケットや優先搭乗券、レストラン予約の情報や決済手段等がカード・デバイスに集約されるため、身軽に観光 地を回ることができます。  スマートカード/デバイスには、チ ケットや予約情報、決済機能等が登録 されており、旅行者は利用時にカード/ デバイスを読み取り機にかざすだけで、 入退場や支払いを行えます。

スマートカード・スマートデバイス

IoT 位置情報 ビッグデータ

導入すると何が変わるの?

例えば… 関連するデジタル技術 for Visitors

サービスの概要

旅行者の行動履歴データを取得することができます

for Industries 行動履歴や購入履歴等のデータが旅行者属性と紐づいて得られるため、経営判断やマーケティングに活用で きます。

マーケティングツールとして活用することができます

立ち寄り場所についての満足度アンケートの送付等、旅行後も旅行者とのコミュニケーションツールとして活 用できます。 訪問者 訪問者 訪問者 訪問者 事業者 事業者 事業者 事業者

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 米国オーランドのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート では、パークの入場チケット、ホテルのルームキー、アトラク ションの優先入場券「FastPass+」などの様々な機能が、 「MagicBand」と呼ばれるリストバンドに搭載されています。  また、公式アプリでアカウントを作成し、MagicBandの IDを登録して紐づけを行うと、例えばアプリで予約したアト ラクションのFastPass+の情報がMagicBandに登録され、 MagicBandをタッチして入場が可能になります。従来のよう にFastPass+を取るための行列に並ぶ手間がなくなりました。  さらに、直営ホテルの宿泊者は、MagicBandにクレジット カードを登録することが可能で、テーマパーク内にある土産 店、レストランなど、様々な場所でMagicBandによる決済が できます。精算はホテルチェックアウト時にまとめて行います。  MagicBandは使いまわしを防ぐため、パークの初回入場 の際に指紋の登録が必要で、再入場の際も指紋の提示が求 められます。

多機能スマートリストバンド

(米国・ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート)

1

事例  米国コロラド州にあるスキーリゾート「ベイルリゾート」の リフト券には、RFID(Radio Frequency Identification)が 内蔵されています。リフト券はポケットに入れたままスキャン することが可能なため、利用者がスムーズに入場できるだけ でなく、運営側は利用者がリフトのゲートを通るたびに移動 データを取得することができます。  また、リフト券に記載しているバーコードを読み取ること で、アプリと連動させることが可能です。例えば、利用したリ フトの情報から、その日滑った距離や標高差などがリアルタ イムでアプリ内に保存されていきます。さらに家族や友人の 情報をアプリで確認することも可能です。  また、ゲレンデの各所に立っている専属のカメラマンに写 真をお願いすると、撮影後にリフト券がスキャンされ、アプリ に画像が送られてきます。

スマートリフト券

(米国・ベイルリゾート)

2

事例 スマートリゾートを実現する主なサービス・機能

(30)

現金を持ち歩かず、会計がスムーズになります

スマホをかざせば商品やサービスを購入でき、お釣りのやり取りがなくなるため、会計がスムーズになります。

(インバウンド客)現地通貨への両替の必要がなくなります

わざわざ、日本円への両替をしないで、日本の商品やサービスを楽しむことができます。

業務が効率化します

現金を扱わないため、金銭や在庫の管理等に関する人為的なミスが減り、手間を減らすことができます。

客層が広がります

日常的に現金を使わない人は、旅行先においても、電子マネーが利用できる店を選択しない傾向にあります。  現金を持ち歩かずとも、電子マネー (クレジットカード決済含む)にて商品 やサービスを購入できるようになります。  日常生活ではキャッシュレスが急速 に進んでいるため、旅行中においても現 金を使いたくないと感じる旅行者や電 子マネーを使えるお店を選びたいと考え る旅行者が増えています。

電子決済

(キャッシュレス)

導入すると何が変わるの?

例えば… for Visitors

サービスの概要

for Industries スマートリゾートを実現する主なサービス・機能 訪問者 訪問者 訪問者 訪問者 事業者 事業者 事業者 事業者

(31)

ヨーテボリ

(2020)

スウェーデン ノルウェー フィンランド ベラルーシ ポーランド ウクライナ ルーマニア トルコ ギリシャ イタリア フランス スペイン ポルトガル アイルランド イギリス ドイツ デンマーク アイスランド

ヘルシンキ

(2020)

リヨン

(2019)

マラガ

(2020)

 スマートツーリズム(本ハンドブックで言うスマートリゾートと同義)という概念は、徐々に世界的に注目を集 めています。特にEUでは、スマートツーリズムの促進、ネットワークの構築、競争力の強化、および先進事例の 紹介を目的として、以下の4つの視点に沿って、先進的な観光地を表彰する取り組みを実施しています。

Sustainability

持続可能性

EUでの取り組みについて

EUROPEAN CAPITAL OF SMART TOURISM

コラム

Digitalisation

デジタル化

Accessibility

アクセシビリティ

過去に表彰を受けた都市

(32)

TICKET

15:00

過度な混雑を避けることができます

時間帯ごとの予約入場制にすると、過度な混雑を避け快適な体験が楽しめます。  混雑は旅行経験の価値を下げ、満足度を低下させるだけでなく、住民の不満を高 め、環境や文化へ悪影響を及ぼすことにつながります。  GPS情報や各種センサーにより混雑状況を把握し、旅行者や住民に情報提供 を行うことで混雑の回避を促すことや、入場規制を行うことで混雑を解消します。  また、予測が可能になれば、需要に応じて価格を変化させることで(ダイナミック プライシング)、物理的に制限せずとも需要をコントロールすることも可能となります。

待ち時間や混雑する時間帯がわかれば、それに応じた行動が選べます

待ち時間や混雑する時間帯がわかると、時間の見通しが立つため不満が軽減します。空いている時間帯や施 設を選ぶことができるようになります。

空いている施設や時間帯への分散化が図れます

在庫を持てないというサービス産業の性質上、空いている施設や時間帯を推奨し、需要を平準化させることは、 生産性向上に大きく寄与します。

入場者数のコントロールが可能となり、待機する行列を回避できます

時間帯ごとの予約入場制にすると、施設側が入場者数をコントロールすることができるほか、入場者数の偏り がなくなるため入場を待つ行列を解消できます。

混雑予測・コントロール

IoT 位置情報 AI ビッグデータ

導入すると何が変わるの?

例えば… 関連するデジタル技術 for Visitors

サービスの概要

観光による混雑を回避できます

混雑する時間帯や場所を把握することで、回避ルートなどを選択できます。 for Community for Industries

オーバーユースを回避できます

入場者数を一定量以下に制限することで環境や文化財への悪影響を回避します。 for Environment 訪問者 訪問者 訪問者 訪問者 事業者 事業者 事業者 事業者 住民・行政 住民・行政 住民・行政 住民・行政 環境・文化 環境・文化 環境・文化 環境・文化

(33)

 アムステルダムのシティカードは、市内にある大小さまざ まな美術館の入場や交通機関の利用などができる旅行者向 けのパスで、1日券から5日券までが提供されています。現在、 アムステルダムのほとんどの美術館がシティカードの提携先 となっています。  シティカードの売り上げは、美術館や交通事業者等に配 分されるほか、一部はファンドに回され、全体のプロモーショ ン費用に充てられています。  このシティカードには、RFIDが内蔵されており、旅行者の 回遊データの収集に活用されています。近年、過剰な旅行者 の来訪によるオーバーツーリズムに悩まされているアムステ ルダムでは、シティカードの分析から明らかになった旅行者 の行動パターンを元に、似た傾向にある複数の美術館につ いて相乗効果を狙ったプロモーションを行い、小規模美術館 にも人を呼び込むよう工夫しています。  また、中心部だけが混雑する状況を避けるため、シティ

シティカードによる旅行者行動データの取得

(オランダ・アムステルダム)

1

事例  アムステルダムの人気観光スポットであるゴッホ美術館で は、施設のキャパシティを超える多くの旅行者が押し寄せ、 長いときでは3時間から4時間の行列ができていました。そこ で、2018年からチケット販売システムの改革をし、時間制チ ケットの導入と販売システムのAPI化を行いました。  まずは、時間ごとの適切なチケット販売数を割り出すため、 大学との共同プロジェクトにより、個人の平均滞在時間・ク ロークの空き具合・スタッフの配置・その日の天気など様々 な要因を考慮した分析システムを構築しました。そして、その 推定結果に基づき、15分ごとのチケット販売数を毎日決定し ています。  また、OTAへのチケット販売方法も大きく変えました。従 来OTAへ販売していたバウチャーは、入館の日付や時間を 指定できないため、いつ来館するかコントロールできないこ とが課題でした。そこで、バウチャーを廃止し、代わりに美術

チケット販売のAPI化

(オランダ・ゴッホ美術館)

2

事例 ての入場者を美術館がコントロールできるようにしました。  その結果混雑の時間帯が平準化し、行列は解消され、入 場者の体験は大きく改善されました。 スマートリゾートを実現する主なサービス・機能 カードで入館することのできる美術館のエリアを郊外にまで 広げるなどの工夫をしています。

(34)

999

23

35

67

dB

999

hPa

災害や大気汚染等を避けることができます

大雪や高波、大気中の有害物質濃度等の各種情報を確認することで、災害等を回避することが可能です。  各種センサーにより大気汚染や騒音、水質などをモニタリングし、旅行者や住民、 事業者へ情報提供を行うことでリスク回避や対策を講じることができるほか、環境 や文化財等へ悪影響を与える各種要因が基準値を超えないよう管理することがで きます。

環境モニタリング

5G Wi-Fi6 IoT ビッグデータ

導入すると何が変わるの?

例えば… 関連するデジタル技術 for Visitors

サービスの概要

観光にまつわる諸課題を把握し、解決策を検討できます

旅行者による騒音や混雑状況などをモニタリングし、課題解決や混雑回避などの策を取ることができます。 for Community

環境や文化財への悪影響を防止し、持続可能性を高めます

空気中の有害物質や水質などをモニタリングし、入場制限などの措置をとることで環境や文化財への悪影響を 防ぎます。 for Environment 訪問者 訪問者 訪問者 訪問者 住民・行政 住民・行政 住民・行政 住民・行政 環境・文化 環境・文化 環境・文化 環境・文化

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 スペイン、バスク地方の観光地、ゲタリアでは、環境モニタ リングセンサーを主要な観光スポットに設置し、大気汚染、 騒音、水質をリアルタイムで監視しています。センサーから取 得された情報は、公共Wi-Fiのネットワークを通じて自治体 に送られ、市民の生活や観光資源にネガティブな影響が出 ていないか、リアルタイムでチェックされています。  例えば、歴史的街並みのエリアに騒音センサーを設置し、 夜間に住民や宿泊客からのクレームがあった場合に、騒音 データと照らし合わせて対応することができるようになって います。  また、モニタリング結果から大気汚染が悪化していると判 明した場合は、これらのデータが議会に提出され、市民や旅 行者に対しパークアンドライドを推奨するなど、政策策定の 判断材料としても活用されています。  センサーは、観光地の景観に悪影響を及ぼさないよう考 慮されています。

環境モニタリング

(スペイン・バスク州 ゲタリア)

1

事例  世界遺産である敦煌の莫高窟では、洞窟内の温度や湿度、 二酸化炭素濃度などをモニタリングしており、一定以上の数 値に達すると、洞窟の入場をコントロールし、文化遺産の保 全を行っています。  また、敦煌の各史跡では、また、各種センサーを活用し、砂 嵐や洪水などについてもモニタリングを行っており、旅行者 に対して早期に警告できるよう、仕組みを整えています。

環境モニタリングによる洞窟への入場制限

(中国・敦煌莫高窟)

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事例 スマートリゾートを実現する主なサービス・機能 http://www.libelium.com/getaria-environment-monitoring-for-a-smart-tourist-destination/

参照

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