三橋貴明の「新」日本経済新聞ゴールドメンバー講座
ポイントまとめ&月刊三橋が10倍おもしろくなる経済用語
「激論! 憲法9条〈国家の危機〉に備えるために」
目 次
TRACK1
(09:59)
日本経済の現状
TRACK2
(09:33)
日本国憲法の成り立ち
TRACK3
(27:16)
憲法9条は日本の誇りなのか?
TRACK4
(09:40)
安全保障とは軍事だけの話ではない
TRACK5
(20:28)
戦前の日本はダメな国だったのか?
TRACK6
(12:47)
日本を「国民を守れる国」にするために
TRACK7
(09:52)
国力とは何か?
▶ T R A C K 1 日 本 経 済 の 現 状
‐ 日銀のインフレ目標達成期限がやってきた
‐ 消費者物価指数ゼロの衝撃
‐ 物価が上がらない理由はわかりきっている
‐ 消費税が払えずに企業が倒産する!?
‐ 株高のわけ
‐ 世界経済の動向
▶ T R A C K 2 日 本 国 憲 法 の 成 り 立 ち
‐ 日本国憲法は誰が書いたか。
‐ アメリカの基本戦略
‐ アメリカにとって厄介な国「日本」
‐ 日本をルールで縛ろうとしたアメリカ
▶ T R A C K 4 安 全 保 障 と は 軍 事 だ け の 話 で は な い
‐ TPPと安全保障
‐ 日本の食料安全保障のカギを握る「全農グレイン」とは?
‐ まずは事実を知ること。
‐ 憲法96条をまず改正すべきなのか?
‐ 憲法を改正すればアメリカの圧力から解放される?
‐ まずは海外にいる日本国民を助けられる自衛隊にすること
▶ T R A C K 5 戦 前 の 日 本 は ダ メ な 国 だ っ た の か ?
‐ 戦前の方が民主主義に基づいて政権がしょっちゅう変わっていた
‐ 戦前の日本は工業大国=先進国だった
‐ 植民地にインフラ整備したり、教育したりする宗主国はない
‐ 中国・韓国と台湾の対日感情の違いはどこにある?
‐ 蒋介石が南京大虐殺の話を一度もしてないのはなぜか?
‐ 中国人の大虐殺をしたのはむしろ中国国民党の方
▶ T R A C K 3 憲 法 9 条 は 日 本 の 誇 り な の か ?
‐ 戦後の平和はアメリカが安全保障を担っていたから
‐ アメリカが日本を守ったのはソ連の存在があったから
‐ 国民皆兵の国スイスに学べ?
‐ 小笠原諸島に来た中国密漁船に手出しができなかったのは9条のせい?
‐ 犯罪と国際紛争は別
‐ 北朝鮮の拉致被害者を助けられないのはなぜ?
‐ 安倍首相の「わが軍」発言
‐ 集団的自衛権の行使容認でどう変わる?
‐ 憲法9条があることのリスク
‐ 憲法改正は実現するか?
‐ 憲法改正をアメリカは認めるか?
▶ T R A C K 6 日 本 を 「 国 民 を 守 れ る 国 」 に す る た め に
‐ 憲法改正は必須か?
‐ 核保有はすべきか?
‐ アメリカが日本に気を遣わなければならなくなる秘策とは
‐ 防衛費捻出のためにも経済成長して、GDPを増やさなければならない
▶ T R A C K 7 国 力 と は 何 か ?
‐ 国力とはお金の話ではない
‐ グローバル化で進む「分業」とは?
‐「分業」が成り立つには条件が必要
‐ 日本の技術力
‐ 私たちにできること
▶ 経 済 用 語 集
【インフレ目標2%】
日本銀行は2013年4月4日に政策委員会・金融政策決定会合において、「消費者物価の前年比上昇率2%の『物価安定
の目標』を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」との決定を行った。2015年4月で2年と
なるが、物価上昇率2%はとても達成されそうにない。これに対して、日銀の黒田東彦総裁は「2年程度」の「程度」
の部分を強調し、「前後にはみ出る余地はある」と強弁した。
【ETF】
「Exchange Traded Funds」の略。証券取引所に上場し、株価指数などの指標との連動を目指す投資信託。例えば、「東
証株価指数(TOPIX)」に連動するETFなどがある。日銀は2013年4月4日の政策委員会・金融政策決定会合におい
て「ETF、J-REITの買入れの拡大」を決定し、「資産価格のプレミアムに働きかける観点から、ETFおよびJ
‐ REITの保有残高が、それぞれ年間約1兆円、年間約300億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う」こ
ととした。
【REIT】
「Real Estate Investment Trust」の略。不動産投資信託。多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業
施設、マンションなど複数の不動産を購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する。もともとはアメリカで
生まれたものだが、日本では日本版REITという意味で、J-REITと呼ばれる。
【松島】
日清戦争、日露戦争で活躍した大日本帝国海軍の防護巡洋艦。1888年、フランス地中海鉄工造船所で起工。1908年、
除籍、解体。
【三笠】
日露戦争、第一次世界大戦で活躍した大日本帝国海軍の戦艦。1899年、イギリス・ヴィッカース社、バロー=イン
=ファーネス造船所にて起工。ワシントン海軍軍縮条約によって1923年に除籍。神奈川県横須賀市の三笠公園に保
存され、現在でも一般公開されており、見学することができる。
【大和】
大日本帝国海軍が建造した史上最大の戦艦。1937年、呉海軍工廠にて起工。1945年4月7日、坊ノ岬沖海戦で沈没。
8月31日、除籍。
【零戦】
「零式艦上戦闘機」。第二次世界大戦期の大日本帝国海軍の主力艦上戦闘機。設計者は堀越二郎。製造元は三菱重工業。
【ポジティブリスト】
原則として禁止されている中で、例外として許されるものを列挙した表。原則として、ポジティブリストに書かれ
ていることしか行うことができない。
【日米ガイドライン】
「日米防衛協力のための指針」。
日本が他国に攻撃された時や、周辺国が有事(戦争)になった時の自衛隊と米軍の具体的な役割分担を決めた文書。
初めて作られたのは冷戦下の1978年で、旧ソ連による日本侵攻への対応を念頭に置いた。1997年の改定では、北
朝鮮の核開発疑惑などを受け、朝鮮半島有事など周辺事態での協力を盛り込んだ。2014年10月8日、日米両政府は「日
米ガイドライン」改定の「中間報告」を発表した。2015年4月現在、新たな日米ガイドライン作成(改訂)に向け
た協議が進められている。
【機雷】
「機械水雷」の略。英語では「mechanical mine」。水中に敷設され、船が接触,あるいは接近すると爆発する兵器。
港湾、航路の防衛と、敵水域の封鎖のために敷設される。係留機雷、浮遊機雷、沈底機雷があり、また機能的には
陸地から電線を使って爆発させる機制水雷と、独自に爆発する機雷がある。
【実効支配】
ある国や勢力が、対立する国や勢力あるいは第三国の承認を得ないまま、軍隊を駐留させるなどして、一定の領域
を実質的に統治していること。
【全農グレイン】
アメリカ・ルイジアナ州コビントンに本社がある、全農の関連会社。ニューオリンズに単一のものとしては世界最
大の取扱量を誇る穀物エレベーター(穀物の貯蔵施設)を持つ。とうもろこし等の畜産用配合飼料の原料の安定確
保をその仕事としている。また、農薬不使用、遺伝子組み換え不使用のとうもろこしの取り扱いなど、安全な飼料
の確保にも取り組んでいる。日本の食の安全を守る司令塔的役割を担っているが、農協改革によって、その安全性
の担保が危機にさらされている。
【カーギル】
アメリカ・ミネソタ州に本社を置く穀物メジャー。遺伝子組み換え作物の販売も行っている。農薬会社モンサント
はロックフェラー財団の援助を受け、カーギルが扱う遺伝子組み換え作物の研究を行っており、除草剤とその除草
剤でも枯れない遺伝子組み換え種子のセット販売を行っている。
【COFCO】
中国・北京市に本社を置く企業グループ。中糧集団有限公司。中国最大の食品会社である中国食品を傘下に持つほか、
金融、ホテル、不動産などの事業を手掛ける。
【憲法96条】
日本国憲法第9章「改正」にある条文。日本国憲法改正の手続きを規定したもの。「この憲法の改正は、各議院の総
議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認
には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」「憲法
改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公
布する。」とある。安倍政権は9条より先に、この96条の改正、すなわち改憲の条件を緩和することに意欲を示して
いるとされている。
【エクサスケールコンピューティング】
次世代超スーパーコンピューター。「エクサ」とは単位で「100京」のこと。スーパーコンピューターとしては、理
化学研究所の「京」が有名だが、その100倍の処理能力を持つという意味。現在、さまざまな機関によって開発が
進められおり、実現後はこれまでわからなかったこと、不可能だったことが、コンピューターによるシミュレーシ
ョンなどでわかるようになるとされている。参考図書に齊藤元章・著『エクサスケールの衝撃』(PHP研究所)な
どがある。
【国民党】
中国国民党。1919年、孫文によって結党された。中華民国の政府政党。1921年に中国共産党が樹立されると、反
共主義を取るが、1924年、第一次国共合作が成立。1927年に蒋介石によって国共合作は崩壊するが、1936年に蒋
介石が軟禁され、翌年、日中戦争が起こると第二次国共合作が成立した。なお、日中戦争で日本が戦った政府は中
華民国である。1945年、日本の敗戦によって国共内戦が再開され、1949年、国民党はソ連が支援する共産党に敗れ、
台湾島に逃れた。以後、現在まで、中国本土は共産党が支配し、台湾は国民党が支配するという体制が続いている。
【蒋介石】
中国の政治家・軍人。中華民国初代総統。中国国民党永久総裁。孫文の後継者として、中華民国による中国統一を
果たしたが、終戦後、中国共産党との戦いに敗れ、台湾へ逃れた。なお、1927年、満州問題で日本の田中義一首相
と会談した蒋介石は、北伐(中国統一)と対共戦(中国共産党との戦い)に対する日本の支援を得る見返りとして、
満州国建国を承認している。
【南京大虐殺】
日中戦争中の1937年に行われた日本軍による南京攻略戦において起こったと、一部の人が主張している、日本軍に
よる大量虐殺。その事実の有無、および仮にあったとしたときの規模について、さまざまな人がさまざまな説を述
べており、真相は不明である。特に規模については、数字そのものが根拠なく変化しており、その信憑性は疑わざ
るを得ない。
【非核三原則】
1967年、佐藤栄作首相が衆議院予算委員会において答弁した、核に関する日本の立場を示した原則。核を「もたず、
つくらず、持ち込ませず」の三原則。佐藤首相は「核は保有しない、核は製造もしない、核を持ち込まないという
【武器輸出三原則】
1967年、佐藤栄作首相が表明した三原則。「(1)共産圏諸国向けの場合、(2)国連決議により武器等の輸出が禁止
されている国向けの場合、(3)国際紛争の当事国又はそのおそれのある国向けの場合」の三つの場合には武器輸出
を認めないという政策。1976年、三木武夫首相によって項目が追加され、「『武器』の輸出については、平和国家と
しての我が国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避するため、政府としては、従来から慎重
に対処しており、今後とも、次の方針により処理するものとし、その輸出を促進することはしない。(1)三原則対
象地域については「武器」の輸出を認めない。(2)三原則対象地域以外の地域については、憲法及び外国為替及び
外国貿易管理法の精神にのっとり、「武器」の輸出を慎むものとする。(3)武器製造関連設備の輸出については、「武
器」に準じて取り扱うものとする」とした。2014年、「防衛装備移転三原則」が制定され、現在はこれが「武器輸
出三原則」に代わる新たな政府方針となっている。
【リカードの比較優位論】
イギリスの経済学者デヴィッド・リカードによって提唱された貿易および国際分業に関する理論。一国における各
商品の生産費の比を他国のそれと比較し、優位の商品を輸出して劣位の商品を輸入すれば双方が利益を得て、国際
分業が行われるという説。自由貿易を正当化するための理論としてよく使われる。ただし、理論には必ず、それが
成り立つ前提条件があり、その条件が崩れればまるっきり成り立たない。例えば、戦争・紛争状態になれば、国際
分業など成り立たなくなるし、想定外の為替変動が起これば成り立たなくなる。そうした前提条件を無視して、自
由貿易が絶対善であると考えるのは非常に危険である。
【ステルス戦闘機】
「ステルス」とはレーダーなどのセンサー類から探知されにくくする軍事技術の総称で、そのステルスを備えた戦
闘機をステルス戦闘機と呼ぶ。なお、「探知されにくさ」の度合いについては、特に明確な基準があるわけではない。
【心神】
防衛省が三菱重工業を主契約企業として開発を行っている先進技術実証機。国内初のステルス戦闘機開発を目指す
ための試験機。プロジェクト初期に部内で呼ばれていた「心神」という呼び名が公表され、広まったが、公式名称
ではない。