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抑肝散の活性成分ガイソシジンメチルエーテルの 薬理作用と血液脳関門透過性に関する研究 株式会社ツムラ ツムラ研究所 今村幸子 現代社会の抱える問題の一つに高齢化があり それに伴う代表的疾患に認知症がある わが国の認知症患者は現在 4 万人を超え 65 歳以上の4 人に1 人が認知症とその予備軍と言わ

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抑肝散の活性成分ガイソシジンメチルエーテルの

薬理作用と血液脳関門透過性に関する研究

株式会社ツムラ ツムラ研究所 今村 幸子 現代社会の抱える問題の一つに高齢化があり、それに伴う代表的疾患に認知症がある。わが国の認知症 患者は現在400万人を超え、65歳以上の4人に1人が認知症とその予備軍と言われている。認知症の症状に は記憶・学習障害などの中核症状と、幻覚・妄想、暴言・暴力、攻撃性、不安、徘徊、うつ症状など様々な周 辺症状(BPSD)がある。BPSDは中核症状にもまして介護者へ大きな負担を強いることなどから社会的な問 題となっている。臨床では様々な薬物が対症療法的に用いられている。その中でこれまでBPSD治療に主に 用いられていた抗精神病薬には錐体外路系症状などの副作用が知られている。2005年、FDAが「これら薬 物が認知症患者の死亡率を高める」ことを勧告して以来、同様な報告が相次ぎ、副作用の少ない新しい治 療薬が探し求められていた。このような背景において、神経過敏で興奮しやすい、イライラする、眠れないな どの精神症状に効果を持つ抑肝散が抗精神病薬のような副作用がなく、BPSDに有効であることが報告され た。これを契機に三大認知症と言われているアルツハイマー型、レビー小体型、血管性認知症患者などを 対象とした抑肝散の多施設臨床試験が実施され、現在その有効性が集積されている。その一方で、このよう な改善効果を有する抑肝散の作用機序の解明が求められている。

著者は抑肝散のBPSD改善効果とその作用機序を明らかにするためin vivoおよびin vitro実験を実施し、 その作用機序の一つにセロトニン神経系に対する是正作用があり、その活性を釣藤鈎アルカロイド成分が 担っていることを見出した。本論文はその成果を4章に分けてまとめたものである。 第 1 章 抑肝散の薬効評価:動物(in vivo)試験 第 1 章では 2 種の動物モデル(APP-Tg マウスおよび隔離飼育マウス)を用いて抑肝散の BPSD 改善効 果を客観的に評価した。 APP-Tgマウス : アルツハイマー病の動物モデルとして知られる APP-Tg マウスにおいて学習障害 (図 1A:6 か月)、低不安症状(図 1B:7 ヵ月)および過活動(図 1C:14 ヵ月)が認められた。抑肝散(0.5 およ び 1.0 %混餌飼料で 15 ヶ月間飼育)はこれらの発症を有意に改善した。 隔離飼育マウス : セロトニン神経との関連性が示唆されている隔離飼育マウスの攻撃性と社会性に対す る抑肝散(0.5 および 1.0 g/kg:14 日間経口投与)および釣藤鈎(75 および 150 mg/kg:14 日間経口投与)の 効果を検討した(図 2)。抑肝散および釣藤鈎は、隔離飼育により誘発されたマウスの攻撃行動の増加およ び社会行動の低下を有意に改善した。これらの改善効果は 5-HT1A受容体遮断薬(WAY-100635)によって 阻止された。また、抑肝散の攻撃性および社会性改善作用は釣藤鈎除去により消失した。これらの結果か

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(A) 学習改善作用 (B) 低不安改善作用 (C) 過活動改善作用

図 1 APP-Tg マウスの学習障害(モーリス水迷路試験)、低不安作用(高架式十字迷路試験)および過活動(オープンフィールド試験)に対

する抑肝散の改善効果。各値は Mean ± SE (n=10)で示した。*P<0.05, **P<0.01 vs Tg (−)、

P<0.05, ††P<0.01, vs Tg(+): Mann-Whitney U

test または One-way ANOVA+Fissher’s PLSD test。

(A) 抑肝散:攻撃性 (B) 抑肝散:社会性 (C) 釣藤鈎:攻撃性 (D) 釣藤鈎:社会性

図 2 隔離飼育マウスの攻撃行動および社会行動に対する抑肝散および釣藤鈎の改善効果。抑肝散(0.5 および 1.0 g/kg)および釣藤鈎(75

および 150 mg/kg)は隔離 4 週から 6 週までの 14 日間経口投与した。各値は Mean ± SE (n=7~10)で示した。**p < 0.01 vs Group,

p<0.05, ††

p<0.01 vs Isolation, p < 0.05,‡‡p < 0.01 vs YKS(1.0 g/kg):Student’s t-test または Dunnett’s test。

ら、抑肝散の攻撃性および社会性改善作用には 5-HT1A受容体の活性化が関与し、その作用に構成生薬・ 釣藤鈎(UH)が寄与していることが示唆された。 第 2 章 抑肝散の作用機序:培養細胞(in vitro)試験 第 2 章では釣藤鈎に含まれる活性成分を探索するため 主要なアルカロイド 7 成分を対象に in vitro 受容体結合試 験を行った。その結果、ガイソシジンメチルエーテル(GM) に抑肝散や釣藤鈎と同様の 5-HT1A受容体に対する強い 結合性が認められた。[35 S]GTPγS 結合試験で 5-HT1A受体 に対するアゴニスト/アンタゴニスト作用を検証した結果、 GM は 5-HT1A受容体に対するパーシャルアゴニスト作用を 示すことが示唆された(図 3)。 UH (mg/kg) 75 150 UH+ WAY-100635 Group Isolation ** †† ‡‡ 0 5 10 15 20 Social behavior (counts/10 min) (Single) 図 3 GM の 5-HT1A受容体に対するパーシャルアゴニ スト活性(CHO-h5-HT1A 細胞を用いた[35S]GTPγS 結 合試験)。各値は 2 回測定の平均値で示した。 0 20 40 60 80 100 -10 -9 -8 -7 -6 -5 -4 5-HT geissoschizine methyl ether Compounds (log M) [ 35 S] G TPg a m m a S bou nd ( % ) 0 10 20 30 40 †† * (c o u n ts/ 5 m in ) Ent ri es in to o p en a rm s Tg(-)Tg(+) 0.5%1.0% YKS 0 10 20 30 40 50 60 Agg r essive behavio r (co unts/1 0 min) ** †† ‡‡ ‡‡ YKS(g/kg) 0.5 1.0 GroupIsolationYKS-UH YKS+ WAY-100635 (Single) Social behavio r (co unts/ 10 min) 0 5 10 15 20 YKS (g/kg) 0.5 1.0 YKS+YKS-UH WAY-100635 (Single) GroupIsolation ‡‡ ** † †† ‡‡ 50 0 10 20 30 40 UH (mg/kg) 75 150 UH+ WAY-100635 Group Isolation ** †† Aggr essive behavior (counts/10 min) (Single) 60 L a te nc y i n fi nd a pl a tf o r m (se c/ 1 m in) 0 10 20 30 40 50 60 * Tg (-) Tg (+) 0.5% 1.0% YKS 0 1000 2000 3000 Total d isa n ce (cm /5 m in ) †† ** Tg(-) Tg(+) 0.5% 1.0% YKS

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GM はセロトニンと同様のインドール骨格を有することか ら 5-HT 受容体の各種サブタイプに対する結合性を調べた。 その結果、5-HT7受容体に対しても強い結合性を示した。 そこで、5-HT7 受容体に対するアゴニスト/アンタゴニスト 作用について、HEK293-h5-HT7 細胞の cAMP 産生量を 指標に検討したところ、GM は 5-HT で産生される cAMP 量 の増加(発行強度は減少)を有意に抑制(発行強度は増 加)した。この結果から GM の 5-HT7受容体に対するアンタ ゴニスト作用が示唆された(図 4)。 以上の結果から、GM は抑肝散の薬効を担う活性成分 の一つである可能性が示唆された。 第 3 章 ガイソシジンメチルエーテルの血液脳関門透過性 第 1 章の薬効が第 2 章で証明した活性成分 GM によるものなら、経口投与された抑肝散中の GM は血 中に移行し、血液脳関門(BBB)を通過し脳内に達しなければならない。そこで、第 3 章では GM の BBB 透 過性について検討した。 抑肝散をラットに経口投与すると 1 時間後をピークに GM が血漿中に検出された(図 5A)。抑肝散投与量 (0.25-4.0 g/kg)と血漿(図 5B)および脳中(図 5C)の GM 検出濃度の関係を投与 1 時間後で調べたところ、 血漿および脳から用量依存的に GM が検出された。GM の BBB 透過性を in vitro BBB 培養モデルを用い て検討したところ、その透過率は 27.3 %および透過係数(Pe値)は 97.2×10-6 cm/sec であった。これらの結 果から、抑肝散中の GM は、経口投与後、消化管から吸収され血中に移行し BBB を通過して脳に到達する ことが示唆された。 (A) GM の血中濃度推移 (B) 血漿中 GM 濃度 (C) 脳中 GM 濃度 図 5 抑肝散経口投与後の血漿中 GM 濃度推移(A)と抑肝散経口投与 1 時間後の GM 血漿(B)および脳組織中濃度(C)。血漿および脳中 の GM は LC-MS/MS-MRM 分析にて測定した。各値は Mean±S.E.(n=3)で示した。 4.0 g/kg 8.46±1.38 Cmax (ng/mL) Tmax(hr) 1.2±0.6 YKS 図 4 GM の 5-HT7受容体に対するアンタゴニスト作用。 5-HT 誘発 cAMP 産生に対する各被験物質の抑制作用 は 100 nM の 固 定 濃 度 で 比 較 し た 。 cAMP 量 は cAMP-Glo assay kit を用いて測定した。各値は Mean ±

SE (n = 3)。*P<0.0001 vs Control,

P<0.0001 vs 5-HT:

one-way ANOVA + Sheffe’s test。

0 4 8 12 16 20 24 G M (ng/ ml )

Time after administration of YKS (hr) 0 2 4 6 8 10 0 2 4 6 8 GM (ng /g ) Control 0.25 1.0 4.0 YKS (g/kg) ND ND 0 20 40 60 80 100 120 5-HT SB-269970

HIT HTE GM RP IRP CX ICX Control 5-HT cAM P L um inescence (% o f co ntr o l) UH alkaloids * 0 2 4 6 8 10 GM (ng /m l) Control 0.25 1.0 4.0 YKS (g/kg) ND

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第 4 章 GM の薬理効果の検証 抑肝散中の GM 含有量で BPSD 様症状(攻撃性/社会性)が改善するか否かを隔離飼育マウスを用い て検証した。 GM(150 および 300 μg/kg、隔離 4 週から 6 週までの 14 日間経口投与)は、抑肝散や釣藤鈎と同様に隔 離により誘発された攻撃性の増加および社会性の減少を用量依存的に改善した(図 6)。これらの改善効果 は抑肝散や釣藤鈎と同じように 5-HT1A受容体遮断薬(WAY-100635)により阻止された。この結果は GM が 抑肝散の薬理作用を担う成分の一つであることを強く示唆した。 (A) 攻撃性 (B) 社会性 図 6 隔離飼育マウスの攻撃性および社会性に対する GM の効果。GM(150 および 300 μg/kg)は隔離 4 週から 6 週までの 14 日間経口投与 した。ソーシャルインタラクション試験は最終日(14 日目)の各薬剤投与の 60 分後に行った。WAY-100635(0.1 mg/kg)はソーシャルインタラクシ

ョン試験の 30 分前に腹腔内投与した。各値は Mean ± SE (n = 10~29)。**p < 0.01 vs Group, ††p<0.01 vs Isolation, ‡‡p < 0.01 vs GM(300

µg/kg):Student’s t-test または Dunnett’s test。

総括 本研究の成果を図 7 にまとめた。本論文は「抑肝 散が服用されるとその成分である GM が血中に移行 し、BBB を通過し脳内に達する。脳内に達した GM はセロトニン神経の機能異常に対し 5-HT1A受容体 パーシャルアゴニストおよび 5-HT7受容体アンタゴニ ス ト と し て作 用 し 、興 奮 、攻 撃 性 、社 会 性 な どの BPSD を改善する」という一連の機序を総括として提 唱した。 抑肝散を含む漢方薬は、現代社会において、あ らためてその価値が認められてきている。それは、西 洋薬では解決できない特異的効果が見出されてい るためである。本論文で提示した科学的エビデンスが医師および医療従事者に理解され、抑肝散が BPSD Intestine Brain Blood Liver first-pass effect Stomach Blood Absorption BBB GM YKS GM GM 5-HT7 AC 5-HT1A Excitement Gi Gs 5-HT 5-HT cAMP 5-HT BBB Partial agonist ATP Antagonist GM In the brain Group GM (μg/kg) 150 Isolation 300 GM+ WAY-100635 ** †† ‡‡ †† 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 Agg r ess iv e beh a v io r (co un ts /1 0 min ) (Single) 図 7 抑肝散のインドールアルカロイド成分・GM の BBB 透過性と 脳内セロトニン(5-HT)神経系に及ぼす作用 150 Group Isolation 300 GM+ ** †† ‡‡ 0 5 10 15 20 †† Soci al behavi or (count s/ 10 min ) GM (μg/kg) (Single) WAY-100635

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福岡大学大学院博士学位申請論文審査の結果の要旨 高 齢 化 社 会 に 入 り 認 知 症 の 患 者 数 は 年 々 増 加 し て い る 。 認 知 症 は 記 憶 障 害 、 失 見 当 識 な ど の 中 核 症 状 に 加 え 、 興 奮 ・ 攻 撃 性 、 幻 覚 な ど の さ ま ざ ま な 周 辺 症 状 ( B e h a v i o r a l a n d P s y c h i a t r y S y m p t o m s o f D e m e n t i a : B P S D ) が 頻 発 す る 。 そ れ は 患 者 本 人 だ け で な く 医 療 関 係 者 や 家 族 な ど に も 大 き な 負 担 を 強 い る こ と か ら 大 き な 社 会 問 題 に な っ て い る 。 B P S D 治 療 に は 抗 精 神 病 薬 な ど が 用 い ら れ て い た が 副 作 用 等 の 問 題 か ら そ の 使 用 に 際 し 注 意 が 喚 起 さ れ 、 副 作 用 の 少 な い 新 た な 治 療 薬 が 求 め ら れ た 。 こ れ に 対 し 、 神 経 の 高 ぶ り や 不 眠 症 に 効 能 効 果 を 持 つ 漢 方 薬 ・ 抑 肝 散 が 副 作 用 の 少 な い B P S D 治 療 薬 と し て 注 目 さ れ た 。 そ の 効 果 は 多 く の 臨 床 試 験 で 支 持 さ れ た 。 し か し 、 そ の 一 方 で 活 性 成 分 を 含 め た 作 用 機 序 に つ い て は ま だ 不 明 な 点 が 多 い 。 こ れ ら を 解 明 す る た め 、 著 者 は i n v i v o お よ び i n v i t r o 実 験 系 を 組 み 合 わ せ 、 抑 肝 散 の B P S D 改 善 効 果 、 作 用 機 序 、 そ れ を 担 う 活 性 成 分 お よ び そ の 脳 内

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福岡大学大学院博士学位申請論文審査の結果の要旨 移 行 性 な ど に つ い て 検 討 し た 。 本 論 文 は そ れ ら の 成 果 を 三 章 に 分 け て ま と め た も の で あ る 。 す な わ ち 、 第 1 章 で は ア ル ツ ハ イ マ ー 病 モ デ ル 動 物 ( A P P - T g マ ウ ス ) お よ び 隔 離 飼 育 マ ウ ス を 用 い て 、 抑 肝 散 が 攻 撃 性 、 社 会 性 、 不 安 お よ び 過 活 動 な ど の B P S D 症 状 お よ び 記 憶 学 習 障 害 な ど の 中 核 症 状 を 改 善 す る こ と を 客 観 的 に 実 証 し た 。 更 に 、 抑 肝 散 と 同 様 の 効 果 が 構 成 生 薬 で あ る チ ョ ウ ト ウ コ ウ に 認 め ら れ た こ と か ら 、 抑 肝 散 の 効 果 に は チ ョ ウ ト ウ コ ウ が 寄 与 し て い る こ と を 示 唆 し た 。 第 2 章 で は 、 チ ョ ウ ト ウ コ ウ に 抑 肝 散 と 同 様 な 5 - H T 1 A 受 容 体 パ ー シ ャ ル ア ゴ ニ ス ト 作 用 が あ り 、 そ の 活 性 成 分 が ア ル カ ロ イ ド 成 分 の ガ イ ソ シ ジ ン メ チ ル エ ー テ ル ( G M ) で あ る こ と 、 お よ び こ の 成 分 が 5 - H T 1 A 受 容 体 だ け で な く 5 - H T 7 受 容 体 に 対 し て ア ン タ ゴ ニ ス ト 作 用 を 示 す こ と を ヒ ト の 5 - H T 1 A ま た は 5 - H T 7 受 容 体 を 発 現 さ せ た C H O h 5

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-福岡大学大学院博士学位申請論文審査の結果の要旨 H T 1 A 細 胞 や H E K 2 9 3 - h 5 - H T 7 細 胞 を 用 い た

i n v i t r o

試 験 で 明 ら か に し 、 両 作 用 の 相 加 な い し 相 乗 効 果 が 抑 肝 散 の B P S D 改 善 効 果 に 関 与 し て い る 可 能 性 を 示 唆 し た 。 第 3 章 で は 、 第 1 章 で の 抑 肝 散 の 薬 効 (

i n

v i v o

) と 第 2 章 で の 活 性 成 分 G M の 作 用 機 序 (

i n v i t r o

) を 連 動 さ せ る た め 、 抑 肝 散 を 経 口 投 与 し た ラ ッ ト の 血 漿 お よ び 脳 か ら の G M 検 出 を 試 み た 。 そ の 結 果 、 経 口 投 与 し た 抑 肝 散 に 含 ま れ る G M が 血 中 に 吸 収 さ れ 脳 に 到 達 す る こ と を 明 ら か に し た 。 ま た 、

i n v i t r o

B B B 透 過 性 試 験 の 結 果 か ら 、 G M の B B B 透 過 性 が 2 7 . 3 % で あ る こ と を 示 し た 。 最 後 に 、 G M が 抑 肝 散 の 活 性 成 分 で あ る こ と を 成 体 で 検 証 す る た め 、 抑 肝 散 に 含 ま れ る G M 含 量 を 隔 離 飼 育 マ ウ ス に 投 与 し 、 攻 撃 性 お よ び 社 会 性 改 善 効 果 を 検 討 し た 。 G M は 抑 肝 散 や チ ョ ウ ト ウ コ ウ と 同 じ よ う に 攻 撃 性 お よ び 社 会 性 を 改 善 し 、 G M が 抑 肝 散 の 活 性 成 分 で あ る こ と を 強 く 示 唆 し た 。

(9)

福岡大学大学院博士学位申請論文審査の結果の要旨 以 上 の 結 果 か ら 、 著 者 は 「 抑 肝 散 を 服 用 す る と そ の 活 性 成 分 で あ る G M が 血 中 に 吸 収 さ れ 、 B B B を 通 過 し 脳 内 に 達 す る 。 脳 内 に 達 し た G M は セ ロ ト ニ ン 神 経 の 機 能 異 常 に 対 し 5 - H T 1 A 受 容 体 パ ー シ ャ ル ア ゴ ニ ス ト お よ び 5 - H T 7 受 容 体 ア ン タ ゴ ニ ス ト と し て 作 用 し 、 興 奮 、 攻 撃 性 、 社 会 性 な ど の B P S D を 改 善 す る 」 と い う 一 連 の 作 用 機 序 を 示 唆 し た 。 以 上 の 内 容 に 関 し て 、 そ の 独 創 性 ・ 新 規 性 、 論 文 投 稿 、 さ ら に は 公 聴 会 で の 質 疑 に 対 す る 能 力 を 鑑 み た 上 で 、 本 論 文 は 本 学 薬 学 研 究 科 の 博 士 学 位 論 文 と し て 認 定 出 来 る と 判 断 し た 。

図 2  隔離飼育マウスの攻撃行動および社会行動に対する抑肝散および釣藤鈎の改善効果。抑肝散(0.5 および 1.0  g/kg)および釣藤鈎(75

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