ZrO 2 製セラミックス包丁(ナイフ,ハサミ)
2. 非酸化物系セラミックス
( a ) 窒化ケイ素Si
3N
4① 熱膨張率が小さく
,かつ熱伝導率が大きいため、熱衝撃に強い
② 高温強度は1473Kで約700MPa以上を示すため、
各種耐熱材料以外に高温用機械部品材としの応用が期待
(:切削工具,ガスタ-ビンの回転軸など
・・・cf.Niタ-ビン用基耐熱合金:1366K-300MPa (ジェット機のタービンブレード・・・金属の
2倍以上)
の代表材料)
セラミックス高温高強度材料の代表的物質
「セラミックスエンジン材料」用構造材料 高温での変形が金属とは異なり小さい
金属と同程度の高い値
海底地震観測の現場を支えるファインセラミック材料
高い圧縮強度、耐食性、比重の小さい窒化ケイ素Si3N4は、深海用 耐圧容器,特に、世界一深いマリアナ海溝の11,000mの深海に、地震 計(自己浮上型海底地震計:海底で地震を観測・記録する装置,観測 終了後、本体のみを海面に浮かせ、船で回収し、地震データを解析)
の保護用耐圧容器として使用されている
( b ) 炭化ケイ素SiC
① 伝熱性に優れるため、高性能IC基板に利用
② 硬度が大きい
③ Si
3N
4同様,耐熱材料として期待
④ 抵抗発熱体(通電により材料自体が高抵抗に起因して
発熱し高温になるもの)
→セラミックスファンヒーター
⑤ 次世代パワー半導体
:電力(電圧)変換機器(インバーター)用半導体素子
⇒
交流電圧を直流電圧に高効率に変換(
ex.60Hz → 50Hz)
・・・
Siを
GaNや
SiCといった化合物半導体で置き換える
ことで,
Si製パワー半導体素子(以下,パワー素子)で
実現できない大幅な効率向上や小型化が見込めるため
例えば,送電システムや電車,ハイブリッド車,工場内の
生産設備,太陽光発電システムで利用するパワーコン
ディショナー,エアコンを始めとする家電,サーバー機や
パソコンなどの分野で使用する次世代用高性能半導体
素子材料として
GaNや
SiCが今後の発展が期待される
図 次世代パワー半導体の用途・応用分野
(電力変換効率の向上、機器の小型・軽量化が期待)
( c ) 窒化ホウ素 BN
① 炭素(常温・常圧:黒鉛,高温・高圧:ダイヤモンド)同様、
窒化ホウ素も、常圧相の六方晶と高圧相の立方相の 2つの構造を有する(⇒Ⅲ-Ⅴ族化合物)
②
c-BN(
Cubic Boron Nitride),②
h-BN(
Hexagonal)共に 実用材料として多用される
『立方晶
BN(
c-BN)の特徴』
1.ダイヤモンドに次ぐ高硬度
高温下において切削工具材料として期待
⇒
セラミックス機械構造用材料
※
結晶構造がダイヤモンドに酷似し、原子間距離も
ほぼ同じであるため、高硬度特性を有する
2.熱伝導もダイヤモンド同様に高い
※ c-BN
の製造法
・・・
h-BNを
2273K-
5000気圧の高温・高圧下で焼結
『六方晶
BN(
h-BN)の特徴』
1.熱的安定性に優れる
(・・・
2200℃付近まで使用可能)2.熱伝導性に優れる
(・・・鋼に近い高い熱伝導率)
3.熱膨張率が小さい
(・・・熱衝撃性に優れる)
4.潤滑性・機械加工性が良好 (・・・精密加工が可能)
5.化学的安定性・耐食性良好 6.電気絶縁性に優れる
図 c-BNの結晶構造(正四面体構造)
・・・四つの頂点にBまたはN原子,
重心位置にN原子またはB原子
図 h-BNの結晶構造(正六角形の頂点 の青:B,茶色:Nで、(a)(b)(a)(b)・・・
の二層積層構造で結晶を形成
ニュ-セラミックスの特性支配因子
(- 特性と構造の関係 -)
『セラミックスの特性』
[:図2.1参照]「構造特性」・・・内部の気孔,粒子サイズ等のマクロ因子に依存 [:構造敏感]
「機能特性」・・・原子配列,原子価,イオン半径,電子状態等の
ミクロ因子に依存
図2.1 セラミックスの 特性支配因子
機械的性質
電気的性質
熱的性質
化学的性質 微細構造
超微細構造
原子
元素
ドキュメント内
セラミックス
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